2017年02月01日

2017 フェブラリーS プレビュー

**★はじめに**

 今年もJRAのGⅠシリーズの開幕を告げるフェブラリーSがやってきました。
 GⅠに昇格した頃は、こんな安直なレース名のままでGⅠにしていいのかっ、と思ったものですが、昇格より二十年余り、積み重ねた伝統と、それを彩ってきた時代ごとの名馬の重みが、今では非常に馴染む感覚に書き換えてくれています。
 競馬観戦歴が長くとも、GⅠの第一回目から見続けているレース、というのはそんなに多くはないので、その意味でも思い入れはありますね。

 一応これから、GⅠレースくらいはこうして諸々雑感やらなにやらを綴っていく記事を発信したいとは思っています。

**★レース傾向分析**

 府中の1600m戦は当然ながら芝スタートになります。
 また、常に外枠有利と言われるように、芝を走れる距離が長い外の馬が主導権を取りやすいコースレイアウトになっています。

 これは統計を取ったわけではなくあくまで印象論ですが、外枠の馬がレースを主導する場合、物理的にインコースの馬より完全に前に出切らなくてはいけない、という制約がある分だけ、ペースは上がりやすい傾向にあると思っています。
 そういう諸々合わさって、このレースもやはり前半のペースは上がりやすく、基本的にはハイバランスで展開されることがほとんどです。

 過去10年の平均ですと、34,9(11,63)-24,4(12,2)-36,1(12,03)=1,35,4(11,92)という推移になっています。
 テンをダッシュ良く飛び出した先行馬の争いで、3Fで35秒を切る高い追走力を問われる展開になり、その分だけ中緩みは顕著、後半も減速傾向ではありますが、それでも偏差はあれラスト400-200mの坂地点での再加速がほぼ確実に見られるのが特徴的になってくると思います。

 年によって馬場の重い軽いがかなり違うので一括りにしづらい部分もありますが、馬場が重くても序盤から極端に緩むのは稀で、近年だとコパノリッキーが大波乱を演出した年が顕著に平均ペースになっているくらいでしょうか。
 なので、単純に馬場が重い分だけ前後半のペース差は大きくなりやすく、勝負所での加速幅も小さくなりやすくて、一概には言えませんが差し追い込み馬が届くときはそれなりに馬場が重いケースが多いと感じます。

 過去10年より前を見ると、メイショウボーラーあたりがいた頃は、前半4F45秒台前半なんて規格外のハイペースも散見できますが、近年は基本的には46秒台後半くらいで推移する傾向で、前半でいいポジショニングを志向する場合は、その流れに楽々ついていけるだけの裏付けは欲しいところです。

**★有力馬所感**

・カフジテイク

 根岸Sの豪快な追い込みで一躍スターダムにのし上がった感はありますが、傾向的にダートスタートの1400mから芝スタートの1600mに伸ばした時、序盤のポジショニングで後手を踏み、いい脚で来るも届かない、というケースは多発するので、極端な過信は禁物でしょう。
 府中戦で取りこぼしているのは武蔵野Sだけ、というのもそれを裏付けてはいますし、斤量が重くなるのも、切れ味が身上の馬としてはプラスにはならないとは思います。

 ただあのレースは、急死が本当に惜しまれるタガノトネールが、前中後半を絶妙なバランスで運んで、1600m全体のスピード勝負に持ち込んだ故もあり、かつ改修後のコースレコードでもあったように、レースレベル自体もかなり高かったと見做せます。
 まだ週末の天気までは確認していませんが、この馬自身は根岸Sのように時計のかかるダートでもそこまで削がれる事なく切れ味を発揮できますので、全体時計が落ち込む状態になればチャンスは膨らむと考えます。
 今の馬場のままなら、せいぜい1分35秒前半が出れば、って感じですし、根岸Sの回顧でも書いたように、前にコントロールされて坂加速の度合いが大きくなっても、それ以上の切れ味で前を詰められる稀有な馬なので、良馬場なら圏内の信頼度は高いと感じています。

 もう一つの懸念材料は当然乗り替わりで、GⅠで、しかも乗り変わりが発表になってからもしばらく鞍上が告知されないのは良いこととは当然思えません。
 一応テン乗りの福永Jもしっかり末脚を引き出せていたように、操縦性そのものは特別難しくはなさそうですけれど、それ以上にこういうタイプはエンジンのかけ方に明確な意識が必要となってきます。
 このレースなら、序盤はともかく中盤の中緩みに乗じて多少なりポジション差を詰める意識がないと、直線だけでは厳しいとなりますし、しっかり段階的にエンジンをふかしていかないとあの究極的な切れ味は引き出せない気がするので、そういうタイプの鞍上が選ばれるといいのですが。

・コパノリッキー

 近走の惨敗で微妙な人気になりそうですが、この馬の良さはポジショニングと追走力の高さ、そこから息が入れば後半でしっかり高い加速力と切れ味を発揮できる総合力にあります。
 これまでも惨敗の後にコロッと好走してくることは儘ありましたし、主戦の武Jに手が戻るのも大きなプラス材料ですね。
 前走レース後に、馬がレースに飽きているかも、なんてコメントが見えましたけど、あんなドスローでチンタラ走ったらそりゃ飽きるでしょう、と正直思ってしまいましたし、気分良く追走できてこその馬なのは間違いないと思います。

 また今年は登録メンバーを見渡す限り、強力な逃げ・先行馬があまり多くありません。
 去年の様にかなり前が速くなる中で、外目のポジションに持ち出せなかったりすると脆いのは確かですが、相対的に今年は先行力を生かせそうな雰囲気はあり、当然中目から外の枠を引ければ一気に好走確率は上がってくるでしょう。

 勿論この馬が主導権を取った時に、そろそろ後続もこの馬の弱点はわかっているので、半端に緩めたりすると早めにつつかれる可能性も高いので、前半ある程度速い流れを作って、息を入れるのも最低限度、そこからの一瞬の脚と粘りに懸ける、という工夫は必要になってくるでしょう。
 そういうレース支配、ペースコントロール面では百戦錬磨、現役屈指の武Jというのは当然心強いですし、この馬が強気なレースを展開して、後続を篩にかけてくれば、レースレベルもグッと引き締まって面白いかなと考えています。

・サウンドトゥルー

 前走の取りこぼしから急遽ここに参戦、というイメージと、主戦の騎乗停止での乗り変わりはやはりマイナス材料に感じます。
 また基本的に序盤のポジショニング自体は絶望的に悪い馬で、追走力そのものは秘めていると思うので、この距離の流れでも脚を削がれることはないと思います。

 が、カフジと違ってこの馬は典型的な消耗戦の差し馬であり、前がラップを落としたところでバテずに差し込んでくるのが身上、最大の武器になります。
 故に直線坂地点で11秒台のラップに入ってくるような流れだと、そこでは全く差を詰められず、ラストの落ち込みでようやく伸びてくるものの時すでに遅し、となりやすいタイプだと思うので、個人的にはここでは狙いたくない一頭になりますね。

・モーニン

 この馬も惨敗が続きますが、リズムひとつでガラッと変わってくる馬ではあると思います。
 前走は枠も悪く、そのくせ外枠なのにロンスパの流れの中で動けるポジションにいなくて、かなりちぐはぐな競馬になってしまっていましたので度外視していいと思いますし、距離がマイルに戻るのは当然好材料です。

 本質的にはよりスピード型かもしれませんし、去年の様に馬場が渋ったほうがチャンスが大きいでしょう。
 かつ、コパノ同様一息入れての加速力に魅力のある馬ですので、良馬場だとペースバランスが大切になってくると思います。比較的コパノとセットで上げ下げしたい馬ですね。

 今回はムーアJなのでまた不必要に人気する可能性は否めませんが、ポジショニングに関しては本当に信頼できる騎手ですので、やはり中から外目の枠でスムーズに先行出来れば当然怖さはある一頭です。

・ゴールドドリーム

 この馬も、前走は若干なり距離が長い、道中ずっと外々の上、ブライトラインのチームオーダー的な早仕掛けについていってしまっては、というところで、デムーロJの超積極性が仇になった形だと思っています。
 今回は走り慣れた府中のマイルに戻りますし、このコース・距離でなら馬場不問で高い総合力を見せてきた馬、実際に同斤量でカフジテイクを破っているというのも能力の証明ですし、人気が落ちるようなら積極的に狙って見たい一頭になります。

 やはりデムーロJなので、一歩目の出負けだけには注意して欲しいですね。追走力もかなり高いものを備えているので、最低でも中団までに入ってレースを進められればかなり怖いでしょう。

・ベストウォーリア

 典型的な善戦マンになってしまっていますが、やはり地力そのものは侮れません。
 マイル戦だと若干ベストより長いため、後半勝負の要素が大きくなるほどマイナス、と見立てており、ここで勝ち切る競馬をするなら二列目くらいまで思い切って出していく騎乗はまず最低条件として求められると考えています。

 去年も最序盤の攻防で、前につけるチャンス自体はあったのに一歩引いたのが結果的にラストの差に直結したと思っていますし、壁を作る形でなく自分のリズムでじわっと前を狙いたいところ、内枠でも器用に捌ける総合力はありますが、その意味では極端な大外、とかのほうが腹を括れて面白いかもしれません。

・ノンコノユメ

 近走がかなりだらしないので、色々と評価の難しい馬になってきますね。
 去勢後にあまり進展が見られないもどかしい現状ですが、個々のレースを見ても不得意な流れやコースになってしまっている場合がほとんどで、良績のある府中マイルでなら見直す手はあると思います。
 去年も実際、差し追い込みには辛い流れの中でしっかりラスト食い込んできましたし、カフジテイクと違って一瞬の質は高くないものの、3Fそれなり以上に速い脚を持続できる性能は、当然府中コースにベストフィットするので、前の加速度が高くならないレース展開なら出番があっても不思議はありません。

 コーナリングが致命的に下手なので、ワンターンのコースは勿論プラスですし、乗りなれたルメールJで出来る限りのポジショニング、加速扶助をしっかり噛み合わせればチャンスは出てくるでしょう。
 ただやはり切れ味の差を見ても、現状はカフジテイクの方が追い込み脚質の中では上かな、と見立てていますし、個人的に好きな馬ではあるのでここで復活の狼煙を上げて欲しいものですが、現実的にはどうでしょうか。このコース・距離なら、サウンドトゥルーよりは上に来るとは思うのですが…………。  

・アスカノロマン

 前走は一歩目のダッシュが悪かったのが、後々のレース展開にまで悪い方に影響を及ぼす形になってしまいましたし、完全に度外視でいいと思います。
 この馬の最大の強みは相当に高い追走力とそこからの一足にあると思っていて、去年のフェブラリーははじめてのマイル戦だったのもあり、意識的に後ろ寄りのポジションになったのが結果的に勿体なかったレースでした。
 
 少なくともマイルの急流に乗っかっていっても簡単にばてる馬ではないので、内枠を引いてしっかり二列目ポケットあたりを確保できた時は、あっと言わせるシーンがあっても全く驚きません。
 多少なり人気薄になりそうな今回は、枠の並び次第では有力候補、最低でもヒモとしては推奨したい一頭になってきますね。

・インカンテーション

 前走はやはり坂スタートで後手を踏んだ時点で、となりますし、この馬も自分のリズムで出し切りたいタイプになってきます。
 二年前のフェブラリーの様に、外から中緩みに乗じて押し上げる競馬が上手く噛み合えば、地力的には通用してくる一頭なので、外枠を引いた時には注意したいですね。

・ケイティブレイブ

 えーここも使うの?という感じで、去年春からほぼ月一ペースで走りづめになりますし、マイルだと追走力の面で疑問符が付きます。
 鞍上も乗り替わりになりますし、幸Jだとダートでは強気のパターンが多いので、速い流れに乗っていく競馬になると思いますが、それだと正直足りないだろうなとは思いますね。

・ホワイトフーガ

 この馬は高い追走力とそこそこのポジショニング性の良さを兼ね備える消耗戦特化タイプになってきます。
 なので内枠から中団くらいを取れて、かつコパノの先導に誰かが早仕掛けで突っかかっていって、中盤の緩みが少なく、後半でガクッとラップが落ちるような展開になると、インからひょこっといつの間にか忍び寄っている、というパターンは大いにあるので、おそらく取り上げた馬の中では最も人気しないでしょうが警戒は必要だと思いますね。

・キングズガード

 現状正攻法ではカフジにはどうやっても勝てない、という状況下では、まず狙いにくいという観点から入らざるを得ないところです。
 前走の様に相手を一頭に絞って蓋する立ち回りが可能(でもしませんでしたが)ならまだしも、今回は他にも差しの有力馬はいますし難しいですね。
 活路を見出すとしたら、この馬は差し馬の割に馬群を割れる、というところが、他の追い込み脚質の馬にはないストロングポイントなので、道中後方のインでべったり、直線でも前が空くのに懸けてインを突く、くらいの思い切りは必要でしょう。
 この前の節分Sのグレーターロンドンくらいスムーズに捌ければワンチャンス、くらいの見立てです。

**★思い出のフェブラリーS**

 まだそこまで歴史の深くないGⅠとはなりますが、それでも数々の名勝負が繰り広げられました。

 個人的に凄く好きなのは、エスポワールシチーの4、5歳時の走りですね。
 4歳時は完全な上がり馬として挑戦者の立場、それ故の積極的で外連味のない逃げを打ちます。
 稍重馬場の中で35,1-23,7-35,8と、このレースとしては極めて偏差の少ない、底力を問う王者の逃げを展開しており、かつ特筆すべきはコーナー入り口で11,3と一気に脚を使って引き離す超強気な運び方をしているところです。

 過去10年で見ても、他の9レース全てで、後半4Fの最速地点は400-200mの坂地点なのに、このレースだけ直線入り口が勝負所になっていて、その分ラストは12,3-12,4と失速気味、最後にガラッと前が入れ替わる展開になっています。
 基本マイルでは短いサクセスブロッケンを勝たせたのはこの馬のこの特異なレースメイクによるものと見立てていいでしょうし、非常に挑戦者らしい、全てを出し切って歴々の王者たちにぶつかっていく清々しい走りだったと思います。

 そして5歳時、完成されたこの馬は本当に強かったなと、長い現役生活の中でも間違いなくこれがベストレースになると思います。
 芝からの参戦のローレルゲレイロ、逃がせての王者らしい番手マーク、この年はラップが34,8-24,4-35,6とほぼレースの平均値に近似する流れの中で、直線入り口から一気に突き放す脚を見せて残り400mで堂々先頭、そこから11,6-12,1でまとめて後続を全く寄せ付けない完勝、圧勝でした。

 地味にこの年は他のレースを見ても時計がかかっている馬場で、その中で1,34,9というタイムは驚異的でしたし、後続が大きくちぎられたのもさもありなん、と頷ける強さだったと思います。
 無論曖昧な印象論ではありますが、歴代の当レースの勝ち馬が一堂に会したとしても、この時のこの馬に勝つのは相当に難しい、凄まじいパフォーマンスだったと今でも思いますし、こういう勝ち方こそダートの王道だよなぁ、と感じさせてくれる素晴らしいレースでした。
posted by clover at 04:18| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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