2017年12月31日

2017 私的名レースベスト10(中央競馬編)

 あっという間に今年も年末が到来してしまいましたね。
 今年も競馬シーンには様々な感動と盛り上がりがあり、思い返せば胸を去来するものも多いでしょう。
 その中でも特に印象的なレースを10選、ピックアップして改めて今の視座でも振り返って見られたらなと思います。

 もっとも夏頃にネタに困って上半期ベストテンをやってしまったので、そこと重複する部分が出てくるのはご容赦くださいませ。


**★第十位 青葉賞(勝ち馬アドミラブル)**

 やはり今思い出しても、このレースのアドミラブルの仕掛けどころとそこから使った脚の長さ、破壊力は驚異的だったなと思います。
 結果的に勝ち時計の2,23,6も、JCを凌いで今年の府中2400mの最速タイムでもありましたし、それをあれだけ前半ロスをつくりながら、3コーナーからの仕掛けで外をぶん回して、悠然とラスト1F12,0で突き抜けてくる持続力は桁違いでした。

 例えばJCでも、同じように3コーナーから動いたサトノクラウンが全く伸びていないように、若干のペースの違いはあれど、サトノクラウンほどの強い馬でも無謀な仕掛けになってしまうラインを3歳春で悠々踏み越えてきたのは凄まじい限りです。

 結果的にJC・有馬の結果だけでも、また秋一連の重賞戦線を見ても、今年の3歳世代の総合的なレベルの高さは浮き彫りになりましたし、ダービーこそ展開の綾と金縛りで取りこぼした感はありますが、まともであれればこの馬が世代最強だったとはまだ疑っていません。
 勿論結果的にそれなりに流れた時のレイデオロの持続力も相当な水準にあるので、理想的には来年の秋、JCを舞台にレイデオロ・アドミラブル・スワーヴリチャードの3頭が揃い踏みし、シュヴァルグランや明け3歳勢も含めて真のチャンピオン戦を見せて欲しいなと切に思いますね。

**★第九位 チャンピオンズカップ(勝ち馬ゴールドドリーム)**

 レースの流れ自体は平凡ですが、その流れを支配して押し切りにかかった、それぞれに様々なドラマと期待を背負って粘り込むコパノとジンソクを、容赦仮借ない強烈過ぎる末脚で捻じ伏せていったゴールドドリームの潜在能力の高さは本当に圧巻でした。

 つい先日もコパノリッキーが種牡馬入りしましたし、今年惜しくも亡くなってしまったゴールドアリュールのサイアーラインは色々な方向で繋がっていく可能性はそれなりにあるとは思います。
 この馬もその系譜を継ぐ一頭になれるはずですし、絶対的なスピード能力の高さはピカイチなので、来年もまた中央GⅠを総なめするくらいの勢いでの活躍を期待したいところですね。

**★第八位 ローズS(勝ち馬ラビットラン)**

 レース自体も横山Jカワキタエンカの絶妙な支配で見応えたっぷりのものになりましたし、なにより様々な柵を踏み越えての和田J渾身の一撃、という所でインパクトのあったレースですね。ファンディーナの逆噴射ぶりも悪い意味で印象深いですが…………。

 全体時計としても優秀な一戦で、世代レベル全体の高さを後にモズカッチャンが証明してくれますし、その中で一頭だけ群を抜いた切れ味と持続力は素晴らしいものがありました。
 前走こそイマイチでしたが、直線の長いコースならマイルから1800mあたりでかなり強そうで、ただ結局金杯も騎乗停止で和田J乗れないんですよねぇ。もっともそうでなくても乗れたのかまでは知りませんが。
 能力的にはパンパンの良馬場なら世代トップクラスは間違いないですし、まずはVM路線で、ゆくゆくは牡馬トップクラスともマイル路線で伍していける馬になってくれればという期待があります。

**★第七位 平安S(勝ち馬グレイトパール)**

 チャンピオンズカップこそ4歳ゴールドドリームが勝って一矢を報いたものの、秋の交流GⅠ戦線などではまだまだ古豪健在、という感じのレースが多く、群雄割拠が続いています。
 そんな勢力図を一気に覆しうるとしたらやはりこの馬しかいないだろう、という感じで、とにかくダートでの雄大な走り、それでいながらどんな展開にも対応できる器用さも持っていて、このレースの勝ちっぷりも底知れないものがありました。

 骨折休養からまた一頓挫あったりと中々順調にいかない模様ですが、帝王賞あたりで交流戦に殴りこんでこられるように実績を積んでいって欲しいですし、ゴールドドリーム・ケイティブレイブとともに5歳世代の一角としてダート路線を大いに盛り上げてもらいたいものです。

**★第六位 スプリンターズS(勝ち馬レッドファルクス)**

 このレースも全体像としては平均ペースの前目内目の競馬ではあり、時計的にも平凡ではあるのですが、それをものともせずに大外一気で差し切ったレッドファルクスの強さが非常に鮮烈な一戦です。
 特にあの坂加速の鋭さはすさまじいものがありますし、血統的にもスウェプトオーヴァーボードの後継として期待されるわけですから、おそらく引退レースになりそうな高松宮記念、この馬にとって走りやすい良馬場で、その桁違いの持続力をもう一度満天下に見せつけて欲しいですね。

**★第五位 クイーンC(勝ち馬アドマイヤミヤビ)**

 このレースも、春の時点でもそうでしたが、今になって思い返すとかなり凄みのあったレースだったなと感じます。
 上位馬、特にミヤビとアエロリットの叩き合いは迫力がありましたし、その後を考えても世代トップクラスの能力を保持していて、かつ晩成型のハーツの仔だったのですから、つくづく屈腱炎での早期引退が惜しまれますね。

 この馬がいたら、結構秋の牝馬戦線は様相が違っていたとは思いますし、それでもその代替的にディアドラが台頭してくるなど、本当に層自体は分厚い世代だよなぁと。
 この馬もオークスは勿体ない走りになりましたし、やはり運のない馬は世代に一頭くらいは常にいるものだよなぁと思わせる戦歴でしたね。

**★第四位 天皇賞・秋(勝ち馬キタサンブラック)**

 レース内容のインパクトという意味では今年でも屈指だったと思います。
 馬場自体も近年には有り得ないレベルでの超々不良馬場で、2,08,3という勝ち時計の遅さもそれをはっきり証明していますが、それでも強い馬は強い、という部分を証明した事に比類ない価値があると言えるでしょう。
 特に出遅れて、後ろからの競馬になっても慌てずに、馬場の悪い内からリカバーして直線入り口で出し抜いていく強気の競馬は本当に迫力がありましたし、サトノクラウンが迫ってきてかららもう一伸びしてみせる力強さに真のチャンピオンの凄みを感じました。

 結果的にその疲れと、有馬までお釣りを残すための調整軽めでJCの時計勝負には敗れて、その辺やっぱり2000mで57秒台決着とかだったら危うかったのかな?と感じる向きもあるのですが、そのあたりも含めて名馬が持ちうる運をしっかり引き寄せ、決してそれを取り落とさないところはこの人馬の真骨頂、でしたね。

**★第三位 安田記念(勝ち馬サトノアラジン)**

 結果的にロゴタイプの引退レースともなってしまいましたが、あの外連味のないハイペースからのコーナー最速の逃げは本当に痺れますね。
 ついてきた馬を全て潰してしまっていますし、それでいて最後までしぶとく雪崩れ込む強靭さはとても7歳とは思えない活力に満ちていて、けれどそんな風に有利不利が出にくい底力勝負に持ち込んでくれたからこそ、勝ち馬サトノアラジンの、非常にスポットの小さい最大能力発揮の舞台が整った、というのが中々に面白いところでした。

 直線も全馬が大きく横に広がって見た目にも大激戦、というイメージになりましたし、その中で不利があった馬もいつつ概ね実力馬が上位を占めた、という意味ですごく印象深いレースです。

**★第二位 中山大障害(勝ち馬オジュウチョウサン)**

 直近ですが、内容的には本当にすさまじいレースで、春天とどっちを一位にするかちょっと迷ったくらいです。
 長距離戦になると大抵道中どこかで弛緩する部分があるのですが、このレースと春天に限っては一切それがなく、道中延々とドキドキしながら観戦出来て、ラストも大激戦で大いに盛り上がり、最後もしっかりカタルシスを得られる、およそレース内容としては最高級のマッチレースになったなと思います。

 それもあの敢然としたハイペースの逃げを打ったアップトゥディトと、それを早め早めに追いかけて敵は一頭だけ、後ろから差される事を恐れずに攻めていったオジュウチョウサン、それぞれの人馬の絶妙な駆け引きがあればこそで、その上でこの展開でもオジュウチョウサンが勝ち切る、というところにドラマとして最高の決着感もあって、つい何回もレースリプレイを見たくなる、結果がわかっていてもドキドキする、そんな希有なレースだったと思います。

**★第一位 天皇賞・春(勝ち馬キタサンブラック)**

 とはいえ、レース内容の凄みではこのレースも負けていませんし、上位に来た馬の底力の確かさをヒシヒシと感じさせる素晴らしい内容でもありました。

 個人的にキタサンが支配したレースの中ではこれが一番強かったと思っていますし、あれだけの速い流れを作ってもなお仕掛けは早く、コーナーで引き離す王者のスタイルを貫き通したのが本当にかっこよかったですね。
 どうしても枠の差は出てしまうレースですが、その最初に手にした有利を一瞬たりとも手放さなかったからこそ勝ち切れたと言えますし、シュヴァルグランも後にJC勝ちしたわけで、今年のチャンピオンレースだったと思っています。

 まあアドマイヤデウスなどは豪州移籍の後に非常に残念なことになってしまいましたし、サトノダイヤモンドも欧州遠征で輝きを失い、キタサンにシュヴァルにしても宝塚ではそのダメージでまともに走れずと、後遺症の大きいレースでもありました。
 そういう面を見てしまうと複雑なものはありますが、それでも欲張りなファン心理としては、ああいう競走声明を削るようなチャンピオン同士の激戦を見られるのはやっぱり嬉しいのですよね。

 とりあえず来年のサトノダイヤモンドには復活を大いに期待しなくてはなりませんし、シュヴァルもまた王道路線を引っ張っていってくれるでしょう。
 流石に春天でこんな緊迫感のあるレースは当分みられない気もしますが、やはりJCあたりで有力馬がみんな無事に駒を進めて、というのを楽しみにしたいですねー。
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2017年12月30日

2017 12月第5週 エスペランサ賞・新馬戦 レース回顧

**★12/28(木) エスペランサ賞 ダート1200m戦**

 このレースは圧倒的な人気のミスターメロディを押さえて、外からスムーズに進出したオーヴァーライトが押し切り2勝目を上げました。

 人気のオーロリンチェやスーパーアキラが先行し、外枠の馬も芝スタートで勢いをつけて前に入っていく中で、中目の枠のミスターメロディは出足一歩で馬群に揉まれる競馬となり、そしてペースもかなり上がってきました。
 ラップが33,6-38,2=1,11,8ですので、実に中山1200mらしいハイラップですし、全体時計としても同日未勝利や新馬戦が1,13,4~5という中ではまずまず優秀ではあると思います。

 こういう、4F目からガクンとラップが落ちる一貫消耗戦ですので、外からブレーキなく惰性で入っていけた勝ち馬のような競馬がベストではあり、元々新馬戦でも強い競馬を見せていた馬ですが、高い追走力と、この距離でこそ、という部分をはっきり見せてきたと思います。

 一方でミスターメロディは、前走も芝スタート自体はあまり速くなく、外枠だったのでリカバー出来ましたが、中山1200mの内枠でそれは難しくて、馬群に揉まれる苦しい競馬になってしまいました。
 前傾度もかなり高い中で最後は地力で伸びてきて、条件の割には悪くない競馬だったとは思いますが、べストはダートスタートの1400mでやや前傾、位になるとは感じます。

 ルメールJもこの馬で勝っていれば、というのはあるので勿体なかったですが、この条件でこの枠ですともっと思い切って下げて外から、くらいしか他に出来る事はなかったと思いますし致し方ないですね。
 このちぐはぐなレースでも崩れない、精神的にも強い馬なのは間違いないので、いずれ軌道に乗れば重賞クラスでも、と期待出来る馬です。


**★12/28(木) 中山5R 芝1600m戦**

 こちらは人気のキューグレーダー(こっちもルメールJ)が逃げ粘るところを、大外ぶん回しの大味な競馬で牝馬のレッドイリーゼが差し切りデビュー勝ちを果たしました。

 ラップが48,3-48,3と綺麗な平均ペースで、中盤も極端には緩まない、フラットで底力を問われるレースで、外枠もありゆったり入って後方から、コーナーで動き出して長く脚を使って最後まで維持してきたのはそれなりにインパクトはあったと思います。
 無論ラップ的にコーナーで動くのが苦しくなるほど上がり切ってはいないですし、この日はメインもタイムフライヤーが買ったように、ハーツクライ産駒のスタミナが生きやすい馬場だったのもありそうですが、それでも強かったのは間違いありません。

 ただあまり器用さは感じないので、馬群の中からの競馬になったり、より切れ味を問われてどうかは今後の課題ですね。素材としては中々面白いですが、ハーツの仔は今年の桜花賞でもそうですが、高いレベルまで行くとマイルでは前半要素でスピード負けする傾向が強いので、そのあたり含めて注目していきたいところです。

 2着のキューグレーダーも悪くない競馬でしたが、血統的にも軽い馬場でより加速性能が生きそうなタイプですし、今回はこの枠で逃げるしかなかったのも苦しい部分ではあったと思います。
 番手~好位列で我慢する競馬の方が噛み合うイメージはありますし、いずれ未勝利レベルなら、というイメージは持てる馬ですね。


**★12/28(木) 阪神5R 芝1400m戦**

 こちらは人気のインディチャンプが外を回して押し切る競馬で勝ち名乗りを上げました。

 ラップが35,7-12,1-35,4=1,23,2という推移で、馬場を考えるとレースレベル自体はそこまだ高くはないですが、後半11,5-11,7-12,2と比較的仕掛けが早い展開、コーナーのロスが大きい流れで一番外からずっと長く脚を維持してきたのは中々印象的でしたね。
 2着馬などはコーナーインベタで脚を溜めきれていましたし、そのあたりからしても着差以上に強いのは間違いなく、要所の反応も悪くなかったと思うので自分が内で前受する形でも一定対処してくるタイプでしょう。

 血統的にもう少し距離があってもこなしそうですし、ただ後半勝負する素材としての絶対的な強さまでは感じないので、レース全体を上手く使っていきたいタイプに育っていく感じはありますね。


**★12/28(木) 阪神6R 2歳500万下芝2000m戦**

 こちらは葉牡丹賞で脚を余す形で敗れたシャルドネゴールドが順当に勝ち上がりました。

 ラップが37,2-50,7-35,1=2,03,0とかなりのスローで中緩みも大きく、後半も11,7-11,4-12,0と本仕掛け自体は遅めの、時計自体が出にくい推移にはなっています。
 とはいえ馬場を踏まえれば最速地点、持続面共に今一歩、というイメージではありましたね。

 勝ったシャルドネゴールドはある程度先団の外目で、前走の轍を踏まないようにいつでも動ける位置を確保していて、フランツがコーナーで仕掛けて一気に上がってきたのを受けて外に張りつつ直線、最速地点である程度切れて先頭に立つも、内の抵抗を受けての辛勝、というイメージではありました。
 前走は脚を余したように感じたものの、このレースぶりを見るとそこまで長い脚が使えるタイプでもなさそうで、結果的に前走はあれが精一杯だったのかな、と感じさせるところで、もうちょっとこの相手なら頑張って欲しかったのはありますかね。

 2着のエタリオウも新馬戦よりポジショニングで良さが出てきての前受でしたが、結果的にもう少しじわっと先に動いていって、外の馬にロスを作っていけていれば、という感じでした。
 外の馬がコーナーで勢いをつけて入ってきたのに対し、直線入り口の加速で少し見劣っていて、でもラストはしぶとく粘っているので、そのあたりのフォローがより精密だったら勝ち切れていた感触はあります。
 いずれにせよ長い距離でゆったり入って良さそうなタイプですし、年明けなら京都の2200m未勝利とかありそうですから、そのあたりならまず崩れないのかなと感じます。
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2017年12月29日

2017 東京大賞典 レース回顧

 年末の大一番・東京大賞典は、好スタートから躊躇なくハナを奪い切ったコパノリッキーが、道中マイペースに持ち込んで押し切り、見事に引退レースでGⅠ級レース11勝目の金字塔を達成しました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場は大体昨日の想定通りに、年末としては標準的に重い条件だったとは思います。
 C級のマイル戦で勝ち馬が千切る形で1,43,8、ひとつ前のB1の1200mも1,13,8まででしたから、このレースの2,04,2はまずまず優秀な方ではあるかなと感じますし、その上で諸々展開面でなるほど、と思わせるものはありましたね。

 レース展開は、まず外からケイティブレイブとコパノリッキーが出していって、最終的に外からコパノが譲らずにハナを取り切ります。
 何故かゲート入りが最後でいいスタートを決められたミツバとインカンテーションがそれを追いかけて2列目、その後ろにロンドンタウンとヒガシウィルウィンが続いて、後方からアポロケンタッキーとサウンドトゥルー、という隊列になりました。

 ラップは35,5(11,83)-51,6(12,90)-37,1(12,37)=2,04,2(12,42)という推移でした。
 このレースの肝は最序盤はかなり流れている事と、その分中緩みがかなり大きく、直線での加速度が非常に高くなっている点ですね。
 ハーフで見ても61,3-62,9とハイペースはハイペースなのですが、中盤の4Fが綺麗に12,8~13,0と緩い流れに終始していて、ある程度追走力があり、道中で息が入って仕掛けを遅らせられれば強いコパノリッキーにとってはべストに近い流れを作れた、と言えるでしょう。

 去年と違うのは、序盤はそれなり以上に速いのでそこでリードを明確に作れている事と、中盤もギリギリ捲りを誘発しないラインでフラットに緩めている、そのコントロールのバランスにあると言えます。
 去年のように前半65秒とか馬鹿げたペースですと、そりゃあ後続も楽ですから向こう正面からどんどん来てしまいますし、今年はその轍を踏まずにそういう動き出しをしにくいレースに支配したところである意味勝負あり、でした。
 
 それでも例えばここにタルマエがいたなら容赦なく向こう正面から捲ってきたでしょうし、そうならなかった事でコパノ得意のコーナーからのじわっと加速、そして直線での一気の出し抜きが完璧に嵌っています。
 後半ラップも12,9-12,6-11,7-12,8となっていて、コーナー中間でしっかりペースを引き上げて被されないように配慮しつつ、まだ直線で11秒台の切れ味を引き出す余力を残せたわけで、これは大井の2000mでコパノが過去に勝利したJBCや帝王賞と酷似しており、ある意味では有馬同様の忖度パターンではありましたね(笑)。

 勝ったコパノリッキーに関しては、こちらも今更多くを語ることはないでしょう。
 キタサンほどの安定感はなかったですが、自分の形に持ち込めるなら本当に素晴らしい能力を発揮した馬ですし、しかしこの秋は南部杯からスタートして、1600m⇒1200m⇒1800m⇒2000mとハチャメチャなローテーションながら、全て馬券圏内に食い込んできたあたり凄まじいですね。本当に引退が勿体無いほどです。

 とにかくタフな馬場で緩急をつけての揺さぶりが上手かったですし、コーナーワークという武器も明確に持っていて、潰しに行くならいけるけど、それをやると後続の餌食になる、という意味ではキタサン同様にすごく厄介な馬だったと思います。
 まあ正直今日は相手というか他の騎手に恵まれた部分はないとは言いませんが、絶妙にいやらしいバランスで動くに動きづらい、というラップを組み立てた田辺Jも流石ではありましたし、今年の年末は大団円がテーマだった、という事でしょうね。

 2着のサウンドトゥルーもあの競馬しか出来ませんし、その上でコパノに能力全開されたら足りない、というのは過去のレースからも明らかなので、自分の力は問題なく出せていると思います。
 序盤は全くついていけませんでしたが、向こう正面から少しずつ前に取りついていって、しっかりコーナーで勢いをつけて前に入ってこれた分最後まで強い競馬が出来たと言えますね。

 JBCに比べると、コーナーでの淀み自体はほぼなくじわっと加速する中で、前に取りつき切れなかった分と、最速地点の加速度が強かった分絶対的な速度でも足りなかったとは言えて、そこそこ噛み合ってはいるけれど噛み合い切ってはない、となるとこの着順が妥当なのでしょうね。
 ただ馬自身はまだまだこの舞台なら崩れそうにないですし、来年もいい意味で物差し、壁になってくれるのではないでしょうか。

 3着ケイティブレイブは、うーん福永Jは有馬に続いてそれかぁ、とは言いたくなりますね。
 この馬の場合は出来る限りラップの波を少なくして、一貫したスピードの持久力で勝負したいタイプであり、その点で逃げられなかったのはともかく、この中緩みに安易に合わせてしまった事は馬の特性を生かすという意味では、有馬シャケトラに続いて不満があります。
 実際直線入り口の最速地点で突き離されているように加速性能そのものは甘い馬ですし、この馬の前走にしたって同じ負け方なんだからそこは一工夫は欲しかったんですけどね。勿論向こう正面からつついてコパノを潰してもサウンドトゥルーにやられる、という点で難しい立ち位置だったのは理解しますが…………。

 ただ馬自身の個性で考えた時、もう少し後ろからロンスパの競馬にシフトしてみるのは普通にアリかもしれません。
 前半ある程度出していくとどうしても仕掛けの意識が遅くなりますし、それよりもゆったり出してフラットに取りつき、その勢いを維持して後半に入っていく帝王賞パターンの方が強い可能性はここ数戦の内容からも高くなってきたとは感じます。
 こういっちゃなんですが、厩舎が変わればそこまで逃げ先行に拘る理由がなくなるかもですし、まだ明け5歳ですから色々なスタイルを模索して、来年こそ真のチャンピオンに登り詰めて欲しい馬ですね。

 4着アポロケンタッキーは相変わらず好走パターンが読みにくい馬ですが、ひとつ言えるのは出負けして後ろからで、自身は後傾で入れている事と、向こう正面で明確に息が入っている事、そして直線入り口で切れ味が問われている事が噛み合っているのかなと思います。
 これは形的には去年の大賞典や船橋の日本テレビ盃に近いメカニズムがありますし、大きな馬体から勘違いしがちですが結構器用さがある馬なので、このクラスになるとそういう部分を生かす競馬にならないと苦しいのかもしれません。
 どうあれタフな一貫戦だと狙いにくい馬なので、中々ココ、と狙いどころが定めにくくはあるでしょうが、力は足りる馬なので来年に期待ですね。

 5着ロンドンタウンも序盤あまり無理せず、後半緩んでからの一脚、という後半勝負でまずまず結果を出してきましたが、このレベルに入ると距離や馬場適性で見劣るかな、とは正直思いました。
 佐賀記念は相手が弱すぎましたし、あのレースもかなり後傾のヨーイドンに近いラップですので、地方だと中々噛み合う舞台がないかもしれませんね。
 むしろ地方ならマイルの方がいいかな、とも思いますし、こちらもまだ先がある馬なので色々適性の幅を増やしつつ頑張って欲しいところです。

 6着ミツバはなんか狡い形でロケットスタートは決めましたが、やっぱり馬群の中、馬の後ろからだとスムーズに動けない弱点はあるので、そのスタートなら思い切って早めに外に出してしまう選択もアリだったとは思います。
 加えて予想以上に中盤緩んでの再加速戦になった分、コーナーでも直線入り口でも置かれているようにどうしても器用さが足りないので、JBCの様に淀みの少ないレースで、常に動ける位置が取れそうな時以外はあまり強く狙えないのかな、というイメージです。

 7着インカンテーションは雰囲気は良く見えましたが、思ったより大井のコーナーで動けなかった感じもありますし、コパノの出し抜きには全く反応できなかったように、高いレベルまで来るとこの距離は長いのかもしれません。
 まだ馬自身は枯れていないとは思うので、来年も活躍できる舞台は沢山あると思いますが、この馬も比較的ジャストな適性が見極めにくいところはあるのでその辺しっかり考えつつ取捨選択しないと、ですね。

 8着ヒガシウィルウィンは現状ここまで、ですかねぇ。
 この馬のタイプとしてはやはり加速度がここまで高くなるレース自体は良くなくて、羽田杯でもキャプテンキングに出し抜かれているように、出来る限りタイトなペースでフラットに粘り込む競馬の方が合うのは確かです。ホントサウスの仔らしくはないんですけどね。
 その意味でもうちょっと中盤から積極的に、チャレンジャーらしく攻めていっても良かったとは思いますし、噛み合えば大きな舞台でもそれなりに太刀打ちできるレベルの馬にはなれると思うので、来年改めて期待です。
posted by clover at 17:52| Comment(2) | レース回顧・地方競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする