2017年10月18日

2017 北海道2歳優駿 レース回顧

 スタミナと機動力を問われる門別の1800m戦、2歳ダート路線の登竜門のひとつとなる北海道2歳優駿は、圧倒的な人気に推されたドンフォルティスが問答無用の大外ぶん回しで楽々突き抜け、能力の違いを誇示する完勝を収めました、レースを振り返りましょう。

 馬場は重で、他のレースを見てもそこまで軽い条件ではなかったように思います。なので時計的には、近年の標準レベルには達しているのかな、と感じますね。

 レース展開は、まずディーエスソアラーが逃げて番手にサザンヴィグラス、その外からヤマノファイトが追いかけていきます。
 内目からハッピーグリンとマイネルアンファンが好位列に取りついていって、その外にムルシェラゴ、やはり二の足が今一歩だったドンフォルティスはじわっとリカバーしつつ後方の外目、内からやはり出足は悪かったフィールシュパースが外に持ち出してそれをマークするように最後方に近い位置取りでした。
 その内にナナヒカリ、という隊列になって、馬群は一団で横に大きく広がりながら淡々と進んでいきます。

 ラップは途中経過しかわかりませんが、全体時計が1,55,5(12,83)で、上がり3Fが38,2(12,73)ですので、思ったよりも序盤からペースは上がらず平均で進んでいた、と見て良さそうです。
 そうなるとより強くコーナー地点からの機動力、加速力が問われ、そこからの持久力も含めて、後半要素をしっかり引き出せるか、がポイントになっているかなと思います。

 勝ったドンフォルティスはその意味で非常に理に適った立ち回りでしたし、馬自身もそれに応え、距離不安もなんのそのの問答無用に強い競馬でした。
 スタートで少し挟まれ加減にもなりますが、慌てずに後方外、常に前がクリアになる大外を選択していて、しかしその分コーナーへの侵入角が楽になり、しっかり機動性を引き出してきたのは流石の武Jらしい立ち回りだったと言えます。

 残り800mあたりからスーッと動き出して、残り600m地点では既に先頭列のすぐ後ろに取りつけていたように、思った以上にコーナーで動けたな、という感じで、このあたりは武Jのお家芸的な部分もあるので、そこを懐疑的に見たのは反省すべきポイントでしょうか。
 馬自身も、この馬の位置ですと明確にスローバランスにはなっている筈で、それを残り800mから動いて、ラストまでおそらくほぼラップを落とさないまま突き抜けていて、このあたりの持続性能は今までのレースでも見せていた通りです。
 ただそれをこの重いダート、小回りの1800mという条件でも使えたのは大きな収穫ですし、今後の展望が大きく広がっていきますね。

 現状まだダートで切れ味そのものは未知数ですので、例えば時計の出やすい府中マイルで坂地点最速、なんて場合に差し損ねるパターンはあるかもですが、追走面でも不安は少ないですし、動き出しのタイミングとスペース作りをしっかり意識してくる騎手が乗っている限りは安定して上位に突っ込んでくる力はあると思います。
 フィールシュパース比較でもルヴァンスレーヴと互角に戦える素材と言えるでしょうし、先週のハヤブサマカオーといい、この世代のダート戦線はこの時期から中々の素質馬が出揃って面白くなりそうですね。

 2着のフィールシュパースも、この馬の競馬、脚はしっかり引き出してくれたと思います。
 個人的に予想の段階ではこの馬が2番人気と疑ってなかったのでその点意外でしたが、どうしてもこういう脚質の馬だけに中々信頼が置けないのはあるのでしょうね。
 ただその弱点を補う形で、序盤はゆったり、そこからじわっと外に出して、確実に動いてくれるドンフォルティスを目標に仕掛けていく、田辺Jらしいクレバーな戦略で入っていければ、展開的にも噛み合いましたしこれくらいは当然走ってくるでしょう。

 ただ勝ち馬とはコーナーでの反応も違っていましたし、直線でラストは向こうが流していたから少し詰められたくらいで、持久力面だけでも精々互角、となると、総合的に見て勝ち馬を逆転できる要素を見出すのは中々に難しいですね。
 強いて言えば血統的な部分からも、大井の2000mになれば潜在的なスタミナの違いで逆転は可能かもしれませんが、長い距離のレースが少ない2歳戦の内は、このまま勝ち切れない競馬が続きそうな感じです。

 3着サザンヴィグラスは、距離不安をポジショニングとペース配分で上手く糊塗してきた、と言えますでしょうか。
 前走のサンライズカップは、レース平均が13,0くらいなのに上がり3F平均が14,0くらいの極端なハイペースでしたし、それを今回平均まで落としてきたことで、要所の機動力を生かして粘り込め、同時にサンライズカップの1、2着馬の良さを削いだ、と言えるかもしれません。
 それでも最後止まっているように、血統的に距離がギリギリだったのは間違いないでしょう。ただ南関の1800mまでなら、この立ち回りの上手さはかなり大きな武器になりそうですし、移籍してくるなら面白い存在ですね。

 ヤマノファイトは1200mでも強い競馬が出来ているように、追走面を強く問われた方がプラスだったのかな、という感じで、実際コーナーの立ち回り、多少なり加速するところで後手を踏んでいましたので、後半要素は少し足りない、と考えて良さそうです。
 ハッピーグリンの場合は更に内々に入ってしまった事で、自分のタイミングで動きにくかったのもあるでしょうし、こちらもスロー展開であまり良さが出なかったか、加えて歴戦の疲労もそろそろ出てしまったか、という負け方になってしまいましたね。
 それにここまではずっと外から捲って押し上げる競馬で結果を出していたので、その点でも戸惑いがあってかなと見ますし、潜在能力的にはもっとやれるはずなので巻き返しには期待したいところです。
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2017 萩S レース回顧

 土曜の京都で開催された2歳OP特別の萩Sは、新馬で大器ロックディスタウンに敗れたものの、その後の未勝利でアドマイヤアルバ相手に強い競馬で勝ち切ってきたタイムフライヤーが、後方一気で大外から豪快に差し切ってみせました。レースを振り返りましょう。

 土曜はまだ雨が本格的にはなっていませんでしたが、それでも馬場表記は重であり、一週前の台風の影響も顕著に残っていて、パンパンの良馬場から比べると3秒くらいは平然とかかる条件だったのは間違いありません。
 スワンSも1秒前傾の消耗戦と時計が出やすい流れで1,22,4止まり、10Rの準オープン1800m戦も、こちらはかなりスローだったとはいえ、勝ち馬がぶっちぎる形で1,49,8ですので、かなり流れたとはいえこのレースの1,49,7は相当に高く評価していい時計だと思います。

 レース展開はまず最内のニシノベースマンが逃げ、新馬を好時計で逃げ切ったリュクスポケットが宥めながら少し離れた外目を追走、その後ろに新馬でタニノフランケルを下したサクステッドとシースプラッシュが並んで入っていきます。
 その後ろにオーデットエールとタイムフライヤーがじっくり構え、アドマイヤキングはスタートも良くなく、この流れの中で追走にも汲々していて、道中内目に入れておっつけながら、という形になりました。

 ラップは35,7(11,9)-36,8(12,27)-37,2(12,4)=1,49,7(12,19)という推移でした。
 馬場が馬場なので時計的には充分出ていますし、かつ最序盤が結構流れ、道中も12秒前半を淡々と刻む形で、息の入れにくい、この馬場なりのパワーを兼備する追走力が高いレベルで必要とされていたと思います。
 その上で後半も極端に波のない持久力特化戦になっていて、このペースで足を削がれない追走力と、そこからバテずに突き抜けられるスタミナ、持久力面が相当に強く問われていますね。
 実際に2着以下はラスト1F実質13秒台に入っている消耗戦と見做せますし、その中で勝ち馬は図抜けた底力を見せてくれたと言えそうです。

 とりあえずタイムフライヤーがこういう競馬でここまで強さを見せるとは、ちょっと驚きはありましたね。
 新馬にせよ未勝利にせよ、超スローからの3F瞬発力/持続力特化戦に近い形でしっかり反応の良さと鋭さを見せていて、ゆったり入って良さが出るこの時期のハーツ産駒らしい馬かな、と踏んでいたのですが、この今までのレース内容とは真逆に近い厳しい流れでこの結果は、今後の展望が大きく広がったと言えそうです。

 無論ハイペースに区分できる流れの中でじっくり後方から、という立ち回りは噛み合ったわけですが、それでも同じ位置にいたアドマイヤキングなど完全に追走で足を使い果たしている感じでしたし、あの位置でも決して楽なペースではなかったはずです。
 コーナーでも特に全体がペースアップしたわけではないながら、それでも一番外を通すロスはあったと思いますし、自身の上がりが36,1で、ラスト200mはほぼこの馬のラップと思うので、実質的には11,8-11,7-12,6くらいで走破していると見て取れます。

 つまりこの馬場このペースでも、しっかり一段上の切れ味を引き出すパワーと追走力を秘めていたことは間違いなく、自身の走破でラスト1Fはかなり落としている、とはいえ、他と相対的に見ればかなり粘っているとも言えますので、これは本当に強かったと思います。
 勿論血統的にこういう渋った馬場、スタミナを問われた事がプラスだったとは思いますが、この時期のハーツ産駒でこのペースを楽にこなしてきたのは中々の完成度、素材のスケール感だと言えますね。

 この後どこを使うのかはわかりませんが、今の馬場が悪い府中京都なら重賞でも当然、となりますし、持久力戦になりやすい年末中山も視野ら入ってくるでしょう。
 ただポジショニングですごく器用、という感じでもないので、現状は広いコース、府中1800mなんかが一番良さそうな気はしています。
 いずれ距離が伸びても面白いですし、好走スポットがかなり広いので、ダービーまでの可能性を踏まえてじっくり育てていって欲しい逸材かなと思いますね。

 2着のオーデットエールも、内容的には完敗ですが、中々面白い競馬は出来ていると言えます。
 というより、こちらも新馬がスローからの5Fロンスパで二段階加速に対応、新潟2歳Sは位置取りが絶望的だったとはいえあの3F特化戦でまずまず適応、そしてここでも持久力特化戦に一定対応と、どれを取っても凄みのある武器ではないながら、勝ち馬同様にどんな展開でも崩れにくい総合力は持っているのかな、と思えます。

 まあ位置取りもほぼ同じ、かつこちらの方が内を通して、あのラストの着差のつけられ方なので、素材面では足りないのは明白ですけれど、こちらもハーツ産駒としては比較的完成度が高いと思いますし、距離ももう少しあったほうが噛み合いそうですね。阪神の外回り1800mとかで見てみたいです。

 3着のリュクスポケットは、追走面ではギリギリ対応してきたと思いますが、ここまで重い馬場ですと純粋なスタミナ面で少し足りなかったのかな、とは思います。
 新馬は稍重表記とはいえ、そこそこ軽い馬場で持続力戦をしぶとく立ち回って好時計勝ちでしたし、この馬の位置でも平均よりはややハイ寄り、くらいの中で、最後全く切れ味を問われない展開においては、ダイワメジャー血統ですと少し辛い、というのはあったかもしれません。

 ただ新馬の時と違い番手からでも一定対応が出来ましたし、基本的にはバランス良くスピードを活かしたいタイプなのは間違いないと思うので、もう少し軽い馬場のマイルから1800mで改めて真価を見せて欲しいですかね。

 4着シースプラッシュもこの馬場に持ち味を殺された面は強いと思います。
 未勝利の持続力特化戦の勝ちっぷりは鮮やかでしたし、前走に今回と強敵相手に粘り強く堅実に走ってはいますが、理想は血統的にも綺麗な馬場でスローから脚を出し切る展開なのかな、と今のところは感じます。
 要所でスッと反応できる感じはそこまでないので、広いコースの方が合うのは間違いないかなと考えます。

 5着サクステッドも展開が噛み合わなかった面は強そうですね。
 新馬はコーナーの緩みに乗じた内容ではあり、強かったけど噛み合ったのも間違いなかったので、ここでかなり追走を強く問われて一足を引き出せなかった、という点でも、スポットがそこまで広くはない、というのはありそうです。
 まぁ2着基準で言えば大きく負けてはいないですし、相変わらずスタートセンスやポジショニングの上手さなどはあるので、高速馬場でゆったり入れる条件なら見直したいところです。馬場の回復前提ではありますが、百日草特別あたりが現状ベスト条件かなって思います。

 6着アドマイヤキングは、明らかに他の馬以上に追走で苦慮していましたし、後は新馬の内容からしても単純に力負け、の側面は強いと思います。
 血統的には成長力はあると思いますが、直ぐにOPでどうこう、という感じではないですね。500万からコツコツとしっかり実績を積み重ねて、後はよりゆったり入れる距離と馬場の方が良さそうなので、来春にすみれSとかでいい勝負をしていそうなイメージはあります。
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2017 10月第4週海外GⅠ レース回顧

**★コックスプレート [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=wyrOhQN0-g4)**

 破格――――昨日の感想に被せる形で書き出すなら、やはりこちらも驚嘆をイメージさせる形容こそが相応しい、ウィンクス22連勝達成となったコックスプレート。
 これで当レースにおいて、史上2頭目の3連覇を達成し、国内の最多獲得賞金ホースに躍り出ると共に、かのブラックキャビアがマークしたGⅠ15勝の金字塔にも肩を並べる、こちらも歴史的偉業がいくつも重なった上での、チャンピオンの矜持を遺憾なく発揮した素晴らしい勝利となりました。

 レースは見られる映像にしっかりラップが推測できるものがないのであくまで印象論にはなりますが、少頭数ながらも前は比較的しっかりペースを作っていって、そこそこハイペースで展開していたと思います。
 その中でウィンクスは道中ずっと外目のやや後方でじっくり構え、なが~い3~4コーナーの入り口辺りからじわじわと進出していって、特に4コーナー付近では4頭雁行状態の一番外を一気に押し上げていく形になります。
 さしものウィンクスであっても、勝ち時計が2,02,94というレコードタイムで、それなりに時計の出る条件下でコーナー外々ぶん回しは楽ではなかったはずで、それをシメシメ、とばかりに見ていたのが、最後2着に差し込んで、一瞬とはいえ肝を冷やさせたヒュミドールでした。

 この馬は春の中~長距離路線で、ジャメカと勝ち負けを繰り返していた馬ではあり、本質的に距離が伸びてこそのタイプではあります。
 オーストラリアでは、例え3200mのメルボルンカップが大目標、という馬でさえ、基本前哨戦は1400~1600mあたりを使い、徐々に距離を伸ばしていく事が多い、というより、そもそも前哨戦に2000m級の距離のレースが少ない、路線が整備されていないという事情があるように感じます。
 その中でこの馬も、この春シーズンは1400mのレースを叩き台に2回使ったようですが、そこではまるでついていけずに結果を出せず、そのせいでここは人気をかなり落としていました。

 しかし2000mになれば別であり、かつ敵はウィンクス一頭、と絞り込んでのこの馬のレースは、中々にクレバーな戦略を感じさせるものでした。
 スタートから無理せず後方に位置し、けれどほぼインベタで距離ロスを最低限に抑えつつ、斜め前にウィンクスを見てしっかりマークする形で進めていきます。
 ウィンクスが3コーナー過ぎから外を回して進出していくのに合わせて、この馬もポジションを上げてはいくもののまだ極力インを通し、馬群を捌きながら虎視眈々と追走、そしてコーナー出口付近でようやくウィンクスの真後ろに誘導してスムーズに進路確保という完璧な立ち回りを見せてきました。

 ここに至るまでの経緯で明らかにロスが多かったのはウィンクスの方で、かつヒュミドールもこの路線でGⅠをしっかり勝ち切っている実力馬ですので、ここでは非常に珍しい、後ろから差し脚で追い詰められるウィンクス、という構図が完成します。
 直線向いて残り100mまでの脚色は明らかにヒュミドールが勝っており、場内から悲鳴が聞こえてくるようでしたが、しかしここからがウィンクスの女王たる由縁、馬体の影が並びかかったあたりからもう一度しっかり反応し、それでもじわっとは詰め寄られるものの最後はほぼ同じ脚色にまで持ち込んでいて、着差はクビと僅かながら、昨日のキタサン同様に、この後どこまで走っても詰まらない、そんなクビ差にも見えました。

 改めて、何度繰り返しても飽き足りませんがウィンクス、凄まじい牝馬です。
 何気にこの春シーズンはここが5走目と、これだけの馬にしては結構過酷な使われ方をしています。
 今回相手も強かった&かなり嵌った競馬をしてきたとはいえ、見た目に結構苦戦したのは、連戦の疲れもなかったわけではないとは思うのですが、それでもこうしてきたのには、おそらく陣営がはっきり、ブラックキャビアの金字塔、25連勝の更新を視野に入れてきたからなのでは、と感じています。

 ここまで毎シーズン4走、というのが定番となっていましたし、けれど今春にひとつ多く使った事で、来年の秋シーズンで例年通りに4戦走り、全て青写真通りに勝ち切れれば、その時点で26連勝となります。
 まずそこで実質的な数字面での記録をクリアし、満を持してアスコット遠征を敢行して、そこで勝てれば、その連勝記録の中にアスコット開催のダイヤモンドジュビリーSが含まれる、ブラックキャビアの偉大過ぎる足跡を名実ともに凌駕する事になる――――それはなんとも夢のあるプランに思えます。
 
 かつ、もしもそこでプリンスオブウェールズSを選択し、イネイブルと激突するようなことがあれば、これは本当に歴史的一戦になるわけで、競馬ファンとしてはどうしても見たい垂涎のカードになること請け合いでしょう。
 勿論気が早すぎる話ではありますが、本来これだけのシーズンに跨って好調期を維持するのは不可能に近い中で、そんな常識を悉くその凄まじい走りで覆してきたこの馬なら、とも思いますし、まずはしっかり休養して(勿論JCなんて来るわけもなかったですね。。。)、次のシーズンもその素晴らしい走りを陰らせることなく披露して欲しいと思います。

 ヒュミドールも文字通り相手が悪すぎただけで強い馬ですし、或いはメルボルンカップに使ってくるかもしれないので、来年のクイーンエリザベスSあたりではウィンクスの最大のライバルとして名を馳せている、なんてことになっていれば面白いですね。


**★レーシングポストトロフィー [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=0Afko_HNX8s)**

 こちらは過去にハイシャパラル、オーソライズド、セントニコラスアビー、キャメロットなど錚々たる名馬を輩出しているイギリスの2歳GⅠ、芝のマイル戦になります。
 このレースを勝ったのはオブライエン厩舎のサクソンウォリアー、この勝利できっちり、自身のホームである欧州で年間GⅠ26勝の金字塔を打ち立て、そしてそれを成し遂げたのがディープインパクト産駒、という点でも日本の競馬ファンには何とも言えない気分にさせられるところです。

 レース自体はペースメーカーの2頭が飛ばしていって、サクソンウォリアーは第2グループの先頭近くで機を窺います。
 前がバテてくる残り600mあたりからじわっと進出して先頭に立つサクソンウォリアーですが、後方で脚をじっくりと溜めていた2着馬のロアリングライオンが満を持して追い出すと、素晴らしい切れ味を発揮して一瞬でサクソンウォリアーを交わして先頭に立ちます。

 その2着馬がどんどん内側に切れ込んでくることで、やや追いづらいところもあったサクソンウォリアーですが、鞍上ライアン・ムーアJの叱咤に応え、一度は半馬身くらい抜け出されたところからジリジリと盛り返していきます。
 最後はやや勢いの衰えた2着馬を差し返し、勝ち時計も1,40,12とかなり重い馬場の中で圧巻の底力と勝負根性を見せつける形での勝利を収めたのでした。

 これでサクソンウォリアーは3戦3勝と完璧な成績で2歳シーズンを終え、現時点で英ダービーの一番人気に推されているようです。
 ディープの仔なので本質的に欧州の2400mは長いのではないか、という懸念も当然出てきますが、この馬は重馬場でも強く、かつ文字通り欧州馬らしいしぶとさを備えているので、この勢いのままクラシックシーズンを席巻していく期待も充分に持てますね。
 当然血統的な特性はあっても、その後の生育環境次第では全く違う質の馬が出来る、という可能性も当然見ていきたいところですし、来年のクラシックは牝馬にもセプテンバーがいますので、オブライエン厩舎のディープ産駒の動向から目が離せませんね。
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2017 天皇賞(秋) レース回顧

 偉観――――強烈な雨にけぶる府中の杜を切り裂いて、まさかの出遅れからインをスルスルと抜け出してきた王者キタサンブラックが、不良馬場もなんのその、堂々たる4角先頭から押し切り、現役最強の貫禄を見せつけました。
 これで通算GⅠ6勝目、今期だけで3勝とほぼ2年連続の年度代表馬を手中に収め、かつタマモクロス、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、メイショウサムソンに次ぐ史上5頭目の、同一年度天皇賞春秋連覇を達成となり、改めて記録にも記憶にも残る名馬として、この雨すらも舞台演出のように煌びやかに見せていましたね。

 この身体的、精神的な強さは流石、の一言しかありません。
 ずっとこの世代はドゥラメンテ世代、と呼称されていたものですが、改めて粒揃いな強さを示すとともに、後代においてドゥラメンテ・キタサンブラック世代と並び評されるに値するだけのドラマチックな実績を残したものだと感慨深いですね。

 さて、普段より前置きが長くなりましたが、台風の影響で今週も予想を遥かに凌駕する猛烈な雨が降り注ぎ、先週の菊花賞に続き過去に例のないレベルでの不良馬場でのレースになりました。
 ここまでくると馬場差など考えるのも無粋な気もしますが、一応9Rの1000万下2000m戦が65,3-64,8=2,10,1でしたので、時計的にも充分GⅠとして通用するレベルで上位2頭は駆け抜けた、と言えそうですね。
 流石にここまで悪化してしまえば、無論馬場の巧拙は出てくるにせよ最終的には底力勝負の側面が強くなりますし、強いて言えば普通の重不良レベルよりも更にスタミナ面は問われたので、基本マイラー、というタイプですと苦しかった可能性は見ておきたいです。

 レース展開ですが、普段は素晴らしいスタートを決める筈のキタサンブラックが、ゲートに突進して出遅れる、という波乱がありました。
 好スタートを決めたのはサクラアンプルール、ネオリアリズム、リアルスティールあたりで、この内枠の馬が外に進路を探りつつ先行していくのを、ロードヴァンドールが注文通りに出していって交わして先頭に立ちます。
 五分のスタートだったサトノクラウンもじわっとインにコースを取って、距離のアドバンテージを生かしながら先団に取りついていき、外からシャケトラとミッキーロケットも先行策を選びます。

 中団あたりは、馬群の真っ只中にヤマカツエースがいて、その外にソウルスターリング、そして出遅れたキタサンブラックがサトノクラウンの後ろを通す格好で中団のインに押し上げ、更に内側に潜り込んでグレーターロンドンが位置を上げていきます。
 その後ろにステファノス、カデナ、ワンアンドがいて、ディサイファも大きく出遅れたものの途中からインを使って挽回、そしてマカヒキが後方2番手の外目でじっくり構え、最後方の外にサトノアラジン、という隊列になりました。

 ラップは38,6(12,87)-51,0(12,75)-38,7(12,90)=2,08,3(12,83)という推移でした。
 ハーフで見ると64,2-64,1と綺麗な平均ペースになっていて、中盤も真ん中の2Fだけ13秒台と僅かに緩んだものの総合的に見れば中盤4Fが一番速いくらいと、この馬場での追走面を問われつつ、息の入りにくいタフな展開になっています。
 かつ後半5Fが13,1-12,4-12,0-12,7-14,0と相当に波の大きい推移になっている事、そして800-600mの3~4コーナー中間くらいから一気にペースが上がって、600-400mのコーナー出口~直線入り口で最速ラップを踏むという、極限まで底力を問われる厳しい厳しい展開です。

 当然馬場の巧拙はあり、コーナー地点でインを通すことが出来た馬が相対的に楽だったのは間違いないでしょう。
 とはいえ、この馬場でこの仕掛けの早さ、かつ一瞬の脚の鋭さは驚異的なものではあり、本来のキタサンのスタイルである、早めに仕掛けての持続力特化勝負に様相としては似通っていると言えるでしょう。この馬場で持続力水準に入っていたかは正直判別がつかないですが、ラストに大きくバテているところを踏まえても、勝負所のラップはえげつなかったと考えていいです。
 とにかく結果的にはインを通した馬、前付けした馬しか勝負にならない展開ではありましたし、それを可能にする精神力と馬場適性、そして純粋な底力が正直に結果に反映したとみてもあながち間違いではないと思います。

 勝ったキタサンブラックは、まさかの出遅れで万事休すか、と思わせてからの圧巻の逆転劇は本当に見事でしたね。
 馬格があって走りも掻きこむようなイメージなので、こういう馬場はこなせるとは思っていましたが、かなり荒れていたインを通しても全く苦にしないあたり道悪の鬼だった可能性まであります。
 むしろ出遅れた事でかなりごちゃついた先団争いを尻目にイン決め打ちが出来ましたし、これが五分のスタートでいつもの先行策だったらここまで器用さを生かす立ち回りになったか、と思えば、文字通りピンチをチャンスに変えた乾坤一擲の好騎乗ではあり、かつ馬もそれに完璧に応えてきた、と言えそうです。

 コーナーワークでスルスルと進出し、ほぼ4角入り口で外のグレーターロンドンを弾き出すようにして先頭でしたが、ここはこのレースにおける圧倒的な最速ラップ地点でした。
 レースの上がりが38,7で、この馬の上がりが38,5、そして残り400mでは完璧に先頭に立ちきっていることを踏まえると、いかにコース利があったとはいえ、この馬場であの地点を11,8で乗り切っている計算になります。
 これだけ重い馬場でこんな切れ味を引き出せたのは本当に驚異的ですし、それは持ち前の器用さ、加速性能があってこそで、結果論的に言えばサトノクラウンの追撃を凌ぎ切れたのは、この地点の切れ味の差で上手くリードを作れたから、と言い切っていいと思っています。

 ラップの落ち込み度合いに差はあれど、去年のJCや今年の大阪杯なども、この馬自身は600-400m最速で一気にリードを作り押し切るのが勝ちパターンではありますし、この馬場でもそれを踏襲してきたところに王者としての凄みを感じます。
 流石に最後はいっぱいいっぱいで、タフさでは現役最強のサトノクラウンに詰め寄られたものの、内から来たらもう一度踏んばってもいましたし、今日は本当にこの馬の凄さがぎゅうっと詰まった素晴らしいレースを披露してくれた、と思いますね。

 ただこの秋初戦でこれだけ走ってしまって、流石に疲労は残るでしょうし、残り2戦にどう影響するかは慎重に見ていきたいところです。
 ダービーや宝塚など、限界を感じると馬自身が自分でやめる賢さ(狡賢さ、とは評したくないですよね)もあるのですが、とりあえずこの秋からはハードトレーニングをやめて維持する方向に切り替えた、という話ですし、それが功を奏するのか、最後まで王者に君臨したまま現役生活を終えられるのか、残り2戦、結果はどうあれこの馬が中心となっていく事は間違いないですね。

 2着のサトノクラウンも、ここまで馬場が重くなってしまえば、実質平均ペースでも絶対的な速度は問われないので、持ち前の後半の持久力、しぶとさを生かすことが出来たのかなと思います。
 ただこの馬にとって少し辛かったのは、本来緩急の少ない淡々と一定のラップを刻むスタミナ勝負こそ、という面がある中で、まさかこの馬場でキタサンがあんな鋭い出し抜きを見せてくるとは、というのがあったと感じます。

 この馬も比較的ずっと内目を走っていましたが、コーナーで加速していく流れの中で少しズブさを見せてもいて、前は基本的にクリアな状況だった中でも、コーナー出口~直線入り口の地点でスッと3馬身くらいキタサンに離される格好になってしまいました。
 つまりこの馬にとっては、この馬場で引き出せるラップは12,3~4くらいが限界で、器用にそこから加速できる馬でもなく、とにかくバテない強みを生かして、ラスト200mの食い込みで肉薄した、と考えていいでしょう。
 その視座で言えば、キタサンとサトノは近い位置にいつつも、それぞれが最大の持ち味を発揮できるパターンで走破してきた、とも言えますし、その中での結果ですので、現状はまだキタサンの総合力面に分があった、と見做していいと思います。

 ただこの馬は本当にレースに順調に使える限りはタフですし、JC・有馬と距離が伸びるのは大歓迎でしょう。
 特にJCはここ2週の雨の影響で、この先も高速馬場には戻らずに実施される可能性がかなり高いですし、逆転の目は充分にあると思います。
 デムーロJも流石のGⅠでの存在感でしたし、こちらも極限までタフな流れの中で見事なレースだったと思います。

 3着レインボーラインは、それこそレインボーアンバーの血が疼いたか、とオールドファンが首肯しそうないい内容でした。
 この枠でやはりスタートはそんなに速くありませんでしたが、岩田Jらしく内目をタイトに回ってじわじわと押し上げていき、4コーナーで加速する地点でもしっかり反応して、馬群の間をスムーズに抜けて追撃することが出来ました。

 それでもキタサンの切れ味とサトノの持久力には共に完敗、という形で、勝ち切るには決定的な武器がない、というのはあるでしょう。
 馬自身はある程度流れた方が持ち味が生きると見ていますし、去年のJCはかなり消極的な位置取りにはなってしまっていたので、そのあたりで攻めていければ前進があっても、とは思います。
 けれど上位2騎はタフな馬場では相当に強いですし、まともだと難しいのかな、と思わせる力負けでしたね。

 4着リアルスティールも頑張ってはいると言えます。本当にドゥラメンテ世代のクラシック善戦組はその後大成しているなぁと。
 こういう馬場が決して得意ではない中で、スムーズにスタートを決めて、かつそれなりには折り合いをつけての競馬が出来ましたし、外からの正攻法を取った馬の中では最先着ですので、勝ちにいっての負け、という形で納得は出来るのではないかと思います。

 結果的に言えば、これだけスタミナが問われる条件で、去年のJCと似たようなイメージがありますね。
 JCもキタサンの作る600-400m地点最速の流れに早めに乗っかっていってラストやや失速、という形ですし、本質的に持続力/持久力勝負でなく、もっとゴールに近いところで一瞬の切れを生かす、毎日王冠のような展開がベストと考えれば、やはりキタサンは目の上のたん瘤なのだなぁと。
 多分次は距離適性も踏まえて香港でしょうが、こちらはスローになりやすく、かつ直線勝負で切れ味が問われる年も多いので、噛み合えばチャンスはあると思います。

 5着マカヒキは、この良くない条件の中で、辛うじてダービー馬としての沽券は示したのかな、と思います。
 馬場が合ったとは思いませんが、それでも後方から追い込んできたのはこの馬だけで、上がりだけなら上位2頭とも遜色なく、ラスト1Fの相対的な伸び脚は中々のものでした。

 やはり純粋にこの馬は自身後傾で入り、後ろでじっくり構えて外から順々にギアを上げていく過程を踏まないと、本来の末脚が引き出せないタイプなんだろうなぁと感じます。
 ダービーだけ例外的にインからスッと反応できていますが、なんかワンアンもそうですけど、ダービーの舞台でだけ一世一代の反応の良さで勝ち切った、と考えておくべきで、本質的には器用さはあまりない、展開待ちで長くいい脚を使うことに決め打ちするべき馬だと改めて思いました。
 JCは距離的にタフな馬場と考えると微妙かもですが、適度に外枠でしっかり自分の形が作れそうなら、更なる上昇を期待してもいいのではないか、と感じさせる走りでした。

 6着ソウルスターリングもこの馬場で正攻法、年上の牡馬に揉まれながらもよく頑張ったと思います。
 結果的にこの馬場でこの展開でも、ある程度最後脚を使えた、という事からすれば、距離適性的には2400mくらいが一番合う可能性は考えたいですね。
 オークスは本当に強い競馬でしたし、良馬場でこそ、というイメージをある程度は払拭する走りでしたが、長い距離の方が相対的に特化的な切れ味を問われにくいのも含めて噛み合う気はします。

 ただJCはレイデオロがいますし、多分出てこないんでしょうね。条件としてはむしろプラスに思えるのですが。
 香港を使うなら個人的にはカップよりヴァーズに行ってみて欲しいです。ハイランドリールの早仕掛けを追いかけていく形で結構面白さがありそうな気がします。

 ともあれ、この馬場で全く競馬にならなかった馬もいる中で、本当に人馬ともにしっかり完走できたのは何よりでした。
 先週に引き続きダメージの残りそうな競馬でしたが、古馬主軸としてはだからといって残りの2戦をオールスキップ、など泣き言も言えないでしょうから、しっかりケアして改めてそれぞれが持ち味を生かす強い競馬を披露してくれたら、と思います。
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2017 スワンS・アルテミスS レース回顧

**★スワンS**

 しとしとと執拗な雨模様、肌寒い空気の中で行われたスワンSは、3歳馬のサングレーザーがインからしぶとく差し切り4連勝、マイルチャンピオンシップの惑星として一気に頭角を現しました。レースを振り返りましょう。

 予想したよりも東西共に雨脚は遅めではありましたが、京都は午後から断続的な雨となり、このレースの時点では重となっていました。
 そして先週の影響も当然大きく、500万下のマイル戦が47,0-48,5とかなりのハイペースでも1,35,5止まり、1600万下の1800m戦もかなりのスローだったとはいえ1,49,8と、相当に時計がかかっていました。

 ただこの八坂特別では、後半11,9-11,0-11,6と意外に速いラップも踏めていて、でも勝ち馬が大きく千切ってのものなので、こういうタフな馬場に対する抜群の適性がないとまず鋭い脚を使うのは難しい条件、だったのは確かだと思います。多分9Rのタイムフライヤーなども同じ文脈で説明できるのかなと。
 そして内外結構満遍なく荒れているので、特に極端に外差し優位、という感じでもなかったように思います。力があって馬場にある程度フィットする馬ならどこからでも来れるけれど、基本的に差し込むこと自体が難しい馬場、とは感じました。

 レース展開は、まず外からトウショウピストがハナを奪い、ダノンメジャーとムーンクレストがそれについていく形で、外主導の先頭争いになります。
 内からは好スタートを決めたヒルノデイバローがポケットに入り込んで、その後ろにレッツゴードンキ、好位勢はキャンベルジュニアにベステンダンク、好スタートから少し下げた格好のセイウンコウセイなどがいて、その後ろにジューヌエコールとカラクレナイの3歳牝馬勢、サングレーザーとビップライブリーがインコースの中団やや後ろくらいでした。
 トーキングドラムやトーセンデューク、ミスエルテあたりが後方に構えて、淡々とした流れの中馬群は一団となって進んでいきましたね。

 ラップは34,9(11,63)-11,7-35,8(11,93)=1,22,4(11,78)という推移でした。
 極端ではないものの1秒の前傾ラップで、かつ中盤の緩みもない淡々とした内容で、減速度合いは小さいながらも一貫した消耗戦にもなっています。
 なので当然要所での急加速などはほぼ問われていませんし、この重い馬場での追走力面がかなり強く問われた感があって、かつ結果から見ればコーナーの立ち回りがかなり明暗を分けています。

 わかりやすく1~4番枠の馬と逃げ番手馬、という決着ですし、数字以上にコーナーで外々を回すロスを作りつつギアを上げて差し込んでくるのが難しい条件だったのかな、と感じますね。
 後ろの馬も息を入れるポイントがなかったのは確かですし、その意味で重い馬場でのスプリント力とパワー、純粋な底力もそれなりに評価出来る要素ではないでしょうか。

 勝ったサングレーザーは見事な立ち回りだったと思います。
 前半は流石にこの流れでついていくのは厳しかったですが、それでも内枠を利してじわじわとリカバー、ビップライブリーより前に入ってきたのは結果的に見ると好判断だったのだろうと感じます。

 血統面ではともかく、戦績からすればこういう馬場自体はこなすと思っていましたし、かつ機動性が高いので内をタイトに回りつつコーナーでしっかり差を詰めることが出来ました。
 この馬自身は推定で1秒後傾位で入れていることになりますが、しっかり自分からコーナーで動いてラストまでしぶとく伸びてくる持続面は中々のものがありますし、今の充実度がそのまま結果に反映された、と言えそうです。

 ただレース自体はどちらかと言うとスプリント色が強い感じはするので、やはり本番は1F延長が鍵になってくるでしょう。
 少なくともこの秋の京都はもう高速馬場に回復する余地は低そうですし、その点では噛み合うと思いますが、明らかに1400mのリズムがベスト、というタイプになっているので、そこをどう誤魔化してくるか、乗り役の腕が問われそうな印象ですね。
 当然相手関係もグンと強くなりますし、本番で外枠になってしまったら軽視でいいかな、とは思って見ています。

 2着のヒルノデイバローもそつのないいい競馬でした。本当にこの馬は多彩な条件で、しっかり人気以上に入ってきますね。
 今日はスタートも絶好で、芝に転向した頃とはまるで別物のようにスムーズにいいポジションを取れるようになりましたし、タフな馬場で少しどうかな、と感じるところもありましたが、楽に直線で抜け出しての惜しい2着でした。

 阪急杯などもそうですが、1400mだとある程度流れて自身平均前後で入れるのが一番噛み合うのかな、というイメージになってきますし、あと直線で坂のないコースの方が安定して走ってくるようです。
 良馬場でしっかり溜めても相当に切れ味と持続力を引き出してくるタイプなので、中々キャラが掴み辛いのはあるのですが、1200mですと確実に前傾についていくとオーバーペースになるので、今は1400mの平均ペース、かつ少し時計がかかる馬場がベストなのかもしれませんね。
 それにしても、いつも惜しい競馬をしつつ勝ち切れないのもこの馬らしいところで、面白い馬だと思います。

 3着レッツゴードンキは最低限かな、というイメージです。
 スタートはまずまずで、この枠なのでポジションは取りに行って3列目とほぼ理想に近い形で、ある程度引っ掛かるところはあっても許容範囲でしたし、直線もスムーズに捌いて序盤で進路はほぼ確保出来ていました。

 ただそこから伸び切れなかったのは、多分この馬場で前傾戦になって、ある程度しっかり流れに乗っていった分があるのかもしれません。
 スプリントのGⅠ2戦も、京都牝馬Sもかなりのスローバランスで良さを出していますし、この馬場で相対的にペースが上がり、息を入れるポイントもなかったことで削がれてしまった、と考えればしっくりくる負け方ではありますね。

 次は香港目標らしいですが、馬のタイプ的には平均からスローに振れやすい香港は噛み合う方だと思っています。
 内枠を引くことが勝ち負けには絶対条件でしょうが、ノーチャンスの馬ではないと思うので注目しておきたいですね。

 4着ピップライブリーも、準オープン時代の堅実さをここでもしっかり発揮出来ました。
 2走前のサングレーザー戦を踏まえればこれくらいは、というのはありますし、この馬も高速巧者でもありつつ、こういう荒れた馬場もしっかり走ってくるあたり、非常に頑張り屋のいい馬だなぁと思います。
 着順的にはやはり立ち回りがかなり大きなウェイトを占めたレースですので、そのままこのクラスで通用の目途、と言い切るには半信半疑ですが、相対的に他の馬が苦手とするコンディションで台頭してくる、という部分は頭に置いておくと良さそうです。

 5着ダノンメジャーは、馬場が抜群に合ったのと、追走面でやや苦しかったのが打ち消し合ってのこの位置、というイメージでしょうか。
 この馬はほぼ先頭列にいたので、そのまま1秒以上前傾の流れに乗っていますし、これまでの戦績からすればオーバーペースなのは間違いありません。
 ただそれでも後ろから鋭く差し込める馬がいなかったので粘り込めた、と思いますし、こちらはスプリント的な性能は高くないので、せめてマイル、やはりベストは1800mなのかなぁと思います。
 チャレンジCあたりで淡々と逃げればかなり面白いと思いますし、馬場が渋れば常に鬼ですので、そこも記憶に留めておきたいところです。


**★アルテミスS**

 こちらはギリギリ良馬場での開催となった、出世レースになりつつあるアルテミスSは、オルフェーヴル産駒のラッキーライラックが好位から危なげなく抜け出しデビュー2連勝を飾りました。レースを振り返りましょう。

 雨の降り始めが遅かった分、想定よりは一段階軽い馬場になりましたが、しかし全体的に見ても決して高速馬場ではなかったと思います。
 500万下の1800m戦が36,0-35,8-35,1=1,46,9ですので、特別に重い感じはないですが、それでも9Rの1000万下1400m戦に至るまで、上がり33秒台を駆使した馬が一頭も出てこなかったというあたりでも、純粋に軽さが生きる馬場でなかったことは間違いないと思います。
 血統的にもそういう、少しパワータイプの種牡馬が躍動している感じもありますし、このレースもそういう傾向は見て取れたかな、と感じます。

 コース自体はインも極端に悪くはないですが、やはり逃げ馬でも三分所くらいにまで出していくパターンが目立ちました。
 そんな風に馬群全体が外目に押しやられる傾向のせいもあるのか、あまり差しが決まる馬場ではなかったでしょうし、一瞬の切れ味を楽に発揮できる条件でもなかったと見ていて、これは当然明日も続いていくかなと思います。まぁもっともっと雨が降ったら逆にどうなるか難しいですけれど、今の時点では前有利が顕著だったろうと。

 レース展開は、サヤカチャンが好スタートからスッとハナに立ち、シンデレラメイクが二番手、ラッキーライラックも綺麗なスタートからいいダッシュでその外、好位列の外目という絶好のポジションを確保します。
 内からはラテュロスが上がっていってポケット、その間にタイトオーバーがいて、中団やや前にスカーレットカラーとトロワゼトワル、ハイヒールなどがいました。

 それを見る位置にグランドピルエット、人気のトーセンブレスはスタートはまずまずでしたが二の足が効かず、序盤から押して押して前に取りついていく形で中団やや後ろに位置する事となります。
 ダノングレースやウラヌスチャーム、ミスマンマミーアは後方からで、比較的淡々と流れて馬群がギュッと詰まった形でのレースになりましたね。

 ラップは35,4(11,8)-24,4(12,2)-35,1(11,7)=1,34,9(11,87)という推移でした。
 ハーフで見ると47,5-47,4と綺麗な平均ペースであり、三分割ですと多少中緩みはあるものの、それでもこの馬場で、この時期の2歳戦という観点ではかなり流れている方だと考えていいでしょう。
 後半4Fが12,3-11,4-11,5-12,2と、中盤で少し息を入れた上で、逃げたサヤカチャンがコーナーから一気にペースを上げていく持続力戦の様相が強く、ここで押し上げながら外々、になると最後息切れが顕著になりますし、力の要る馬場での追走面と、その上での後半要素、特に加速力と持続力を強く求められていて、切れ味はそこまで必要にならないラップ推移だと思います。

 差し馬はこのくらいの緩みですと流石に一気に押し上げる選択も取り辛く、まんまとコーナー最速の地点で脚を使わされてしまった感じが強いですし、非常にサヤカチャン@松岡Jがいいバランスで刻んできた中で、序盤のポジショニングセンスと総合力に秀でたラッキーライラックの強さが光る内容でした。

 とにかくこの馬はレースセンスがいいですし、安心して見ていられますね。
 スタートで楽にこのペースの中でもいい位置を取れましたし、追走で極端に削がれることもなく淡々とついていけて、その分だけコーナーでも無理せずに馬場のいいところを選ぶ余裕を持てました。
 コーナー地点ではサヤカチャンに少し出し抜かれる格好になったものの、坂地点でしっかり鋭く伸びてきており、この馬の上がりは11,5-11,2-12,0くらいではないかと思います。しっかり自身は坂地点で本仕掛けを敢行し、それに応えて鋭く伸びており、ラストも12,0でまとめてきたのは中々の持続力でした。

 無論新馬に比較するとペースが全然違うので多少削がれてはいますが、他の馬はもっと、という形ですし、基本的に2戦以上の経験を積んで、かつそこそこ速い流れに対処した経験がある馬が上位に入っている中では、この馬のセンスの良さと性能は折り紙付き、と言っていいでしょうね。
 当然阪神JFも有力候補になりますし、もう一頭のオルフェーヴル産駒の大物、ロックディスタウンとの激突は大いに楽しみです。
 こちらの方が序盤のセンスの良さは確実に高いので、そこでアドバンテージを作りつつしっかり自分のタイミングで動いていければ、チャンスは充分にありそうですね。今日は本当に強い競馬でした。

 2着のサヤカチャンにはビックリというか、シンデレラメイクにそういう競馬を求めていたらこっちがかぁ、と脱帽でした。
 ただ戦績的に今まで大崩れはしたことがなかったわけですし、相対的に経験値を積んでタフな馬場、タフな流れにたいする適応力がしっかりあったのに加え、この馬場で後続のつつく意識が薄かったのも功を奏した格好だと思います。

 でもこの馬自身コーナー最速でしっかりラストまで粘り込んでおり、これはフロックで出来る芸当ではないので、距離的にもマイルから1800mくらいでスムーズな平均ペースを作ってこられれば、今後も面白い競馬が出来るかもしれません。
 今日は馬場の恩恵もあったでしょうし、血統的にも渋ったところは得意、という面も感じるので、次もしっかり切れ味比べに持ち込まずの強気のレースメイクを意識していって欲しいですね。

 3着ラテュロスは、とりあえず今日の府中はディープの鬼門、的な印象があった中では気を吐いてきました。
 こちらもレースセンスがかなり良く、すっと好位のインを取れましたし、勝負所もタイトに回りつつ、サヤカチャンが出し抜いてくれたので仕掛けるスペースも充分あって、それで最後までジリジリ、となったのは純粋に力負け、コンディションに噛み合わなかったと見ていいのかなと思います。
 新馬の雰囲気からも、ペース自体は対応できるけれど、その上で一瞬の切れ味を問われた方が良さそうで、パンパンの良馬場なら今日の上位陣を逆転してくる余地もありそうです。

 4、5着のトロワゼトワルとスカーレットカラーは、揃って中団前目から外目を通しての正攻法で、ちょっと足りなかったという形ですね。
 無論2戦目のトロワゼトワルの方がより今後の上積みが期待できるとは思いますが、スケール感という意味では今後素直に割り引いてみていいと思いますし、トロワの方はもう少しスロー、逆にスカーレットの方は流れるレースの方が良さが出るのかなと踏んでいます。

 6着トーセンブレスは、やはりスタートが良くなかったのと、あと2F目の前が速いところでかなり押してリカバーをかけていたのが、この日7勝と絶好調だったルメールJにしては焦った感じはあったかな、と。
 無論馬場傾向的に前に行かないと話にならない、というのがわかっていればこそだったかもですが、そこで無理に脚を使うよりは、中盤で緩むと踏んでそこまでゆったり、後半5Fでじわじわと押し上げていった方が良かったようにも感じます。

 結果的に序盤ちょっと無理をして馬群の後ろで緩みに付き合ってブレーキ、かつ馬群の中目に閉じ込められてスムーズに加速するスペースを作り切れないまま終わってしまった感もあり、馬もそれに戸惑って伸び切れていない感じはしました。
 ただ坂地点でスッと来る感じがなかったのも含めて、追走で削がれた可能性は見ておきたいですし、タイプ的にハープスターみたいに、序盤ゆったり入って順々にギアをあげていかないと最高の爆発力に至れない不器用なタイプなのかもしれませんね。

 素質的にはまだこの負けで見限れないと思いますし、常識的に流れた中、スムーズに外々からでどれくらい脚を使えるのか、改めて次も注目はしておくべきでしょう。
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2017 アイビーS・くるみ賞・なでしこ賞 レース回顧

**★アイビーS(芝1800m戦)**

 先週末の日本列島はほぼ例外なく雨に祟られる形で、当然このレースも不良馬場での開催になりました。
 ただ富士Sでも47,8-47,0で1,34,8が出ているように、日曜に比べれば格段に時計は出る馬場でしたし、この時点での馬場差は2~2,5秒くらいだったと見ておきたいですね。
 また府中はこの日の午後あたりから顕著に内の馬場を避けて通る馬が増えてきて、けれどまだこなせる馬もいたので、そのあたりの進路取りで結構な明暗もあったとは思います。どちらにせよ純粋な能力面がどうか、という点で評価の難しい週になりました。

 ともあれそんな中で、去年はソウルスターリング-ペルシアンナイトで決まった出世レースのアイビーS、今年は超良血タニノフランケルと、評判馬フラットレーが図抜けた人気になっていましたが、流石にレースは一筋縄ではいきませんでした。

 まず好スタートを切ったのがシャルルマーニュで、外からハナを窺う中、インからある程度押して意識的に出していったコスモイグナーツが交わしていって先頭に立ちます。
 その二頭からはかなり離れて、この日は普通のスタートだったタニノフランケルは控える形の三番手、それをマークする位置にフラットレーとシュバルツボンバーがおり、キボウノダイチが後方追走、地方から参戦のトーセンブルが最後方でした。
 縦長の隊列が残り800m過ぎから凝縮してきて、そのあたりでシュバルツボンバーがズルズル下がり、結果的に競争中止する事となりましたが、逃げるコスモイグナーツだけがインベタを選択、後の馬はコーナーで大きく外を回しての直線勝負になりましたね。

 ラップは37,0(12,33)-38,3(12,77)-36,1(12,03)=1,51,4(12,38)という推移でした。
 二歳戦でこの時期ですので、全体がスローバランスなのはまぁ普通ですし、馬場を踏まえれば流れた方ではあるかなと思います。
 ただ三番手以降の馬はより前半離れた位置にいて、コーナーでじわっと詰める形になっており、後半4Fが12,9-11,8-11,6-12,7ですので、コーナー出口地点で外を回しながら加速するのは結構タフな展開だったかもしれません。
 馬場差を踏まえると判断が難しいところではありますが、基本的にはある程度出し切る形での持続力戦と見ています。

 勝ったコスモイグナーツはまんまと馬場のバイアスを逆手にとっての逃走劇でしたね。
 この馬自身の戦歴を見ていくと、新馬は明確に持続力戦で息切れ、2戦目ははっきり持久力戦で自分からロングスパートをかけて完勝、芙蓉Sは逃げるも直線ではっきり切れ負け、という形で、基本的には全体のペースを引き上げて勝負したいタイプになると思います。

 なので実質的にこの馬の推移でも持続力は求められている中で、最後がくっと甘くなったのはそのあたりに原因はあるかな?とも感じていて、少なくともこれがベストのバランスではなかった気はしています。
 それでも押し切れたのは荒れたインを苦にしない適性面と、他の馬がこの馬場での持続力面であまり良さを引き出せなかった部分にあるかな、とは思いますし、良馬場でこのくらいのバランスで入ってしまうと上位に食い込むのは中々難しくなってくるとは感じます。
 逆に平均ペース~ややハイまでコントロールしていければ、この時期ならアドバンテージになりますし、仕掛けどころも待てる可能性が高くなるので、重賞路線で結果を出すにはそういう意識を持って入って欲しいかな、と思いますね。

 2着のシャルルマーニュもいい競馬ではありましたが、ワンパンチ足りませんでしたね。
 序盤からずっと馬場のいいところを選んで走らせていましたし、その分のロスを踏まえても前目からしっかり持続面は一定見せてきましたけど、この馬も一連のレース内容からすれば、もう少し流れてしまった方が楽だったかもしれません。
 もっとも流れていたらコスモももう少しパフォーマンスを上げていた感もあるので、どうあれ勝ち切るのは難しかったかもですが、とにかくレースをこなす中で競馬のセンスが良くなってきましたし、切れ味勝負ではちょっと分が悪いでしょうが、機動力を生かせるコースでなら楽しみはありそうです。京都2歳Sとか結構合うかもしれません。

 3着タニノフランケルは、少なくともまだ新馬未勝利で3F水準での持続力性能を見せていなかったのでその辺半信半疑でしたが、馬場もあるのかちょっと物足りない伸びになってしまいました。
 無論この馬が後続を主導する形でコーナーから長く動いていますし、11,8のところで押し上げながら外々なので、この馬より後ろの馬は実質的に600-400m地点で最速ラップを踏んでいる可能性が高いです。
 その点前の2頭より顕著に持続力性能を問われた、という感もありますが、それでもラストの12,7でフラットレーともどもほとんど決定的に食い込めていませんし、馬場に削がれた可能性もあるにせよなんとも言えないですね。

 フランケル産駒ですので軽い馬場の方がとも言えますが、クラックスマンを見てると一概にも言えないですし、本質的にはこの馬もレース全体でスピードを活かす方が活路があるのかもしれません。
 畢竟母のウオッカもそういう、前半が流れてくれないとべストのパフォーマンスに届かないタイプでしたし、スタートセンスとポジショニングの上手さは非常に大きな武器になりますので、皐月賞戦線を戦う上で序盤の追走面でどこまで余裕を持てるか、その辺を試すチャンスがどこかで欲しいですね。

 4着フラットレーも、こういう馬場が得意かと思いましたが簡単ではなかったですね。
 新馬は完全な持久力戦でしたし、ペースもここより遅いくらいでしたので、この馬場で地味に追走にもちょっと苦慮、勝負所もなるべくタイトには回ってきていましたけど、それでも直線どの地点でも前を脅かすだけの切れ味・持続力を見せることは出来なかったのはかなり残念です。
 良馬場で見直す手はあるでしょうが、ハーツクライ産駒は晩成でもあるので、現時点ですぐに上のクラスで、というレベルではないのかもしれません。
 距離はもうちょっとあってもいいと感じるので、百日草特別あたりからじっくり仕上げていって欲しいですかね。


**★くるみ賞(芝1400m戦)**

 日曜の府中も京都に負けずズブズブのド不良馬場で、このレースも1,29,3と、地方のダート下級条件戦みたいな時計になっています。
 
 レースはセイウンリリシイとココロノイコロ、ニシノオリーブが先導してそのインに人気のモルトアレグロ、マイティ―ワークスは後方からレースを進めることとなりました。
 ラップが36,9(12,3)-13,1-39,3(13,1)=1,29,3(12,76)という推移で、全体的にはかなりペースの速い消耗戦、かつ後半が12,3-13,0-14,0というところで、仕掛けも早くそこからの我慢比べ、細かい性能よりは純粋な底力と、馬の精神力もかなり問われた内容に感じますね。

 勝ったモルトアレグロは、ダートデビューでもあり馬場不問の強さを見せたと言えます。
 コース取りは多分一番荒れてるイン寄りと厳しかったとは思いますし、その分コーナーワークが楽だった利点はあるにせよ、中々前との差を詰められませんでしたが、ラストの14,0地点でしぶとく食い込んできて勝ち切ってみせました。
 この結果から芝適正、とりわけスピード勝負でどうか、というのは全く判別できませんが、少なくとも前傾ラップの消耗戦には対応できるのと、減速地点でしっかり踏ん張れる底力があるのは見て取れました。

 その意味で地方のダートでも戦えるでしょうし、血統的にそれこそ厩舎の先輩リエノテソーロみたいに早熟傾向は出てきちゃうかもですけど、2歳戦の内は極端に距離を伸ばさない限りは崩れる心配の少ない馬、と見ていていい気はします。

**★なでしこ賞(ダート1400m戦)**

 日曜の超不良馬場開催だった京都のダート特別戦は、函館の新馬を途轍もないスケール感で勝ち切ってきたハヤブサマカオーが、ここでも素材の違いを見せてほぼ追ったところなしで圧勝、レコードのおまけつきでした。

 新馬のダートスタートでもいい出足を見せていましたが、芝スタートと距離短縮でどうかな、とそこは懸念材料でした。
 ただこの日の芝は下手するとダートより重い状況でしたし、かつ馬自身も鋭くスタートを決めて、好スタートだったオーロスターキスの内から楽に先手を取れたのは素晴らしいスピード能力だったと思います。
 ラップは34,3(11,43)-11,7-37,4(12,47)=1,23,4(11,91)という推移で、前傾3秒超のかなりのハイペース、かつ道中全く緩みのない一貫消耗戦です。

 いくら不良馬場とはいえ、この日はそこまで時計が出ないぐちゃぐちゃのダートでしたから、前半の34,3は掛け値なしに速いと感じますし、後続がほとんど追走できていなかったのもそれを証明しています。
 唯一ついてこれたオーロスターキスもコーナーワークで楽に突き放し、流石に最後は12,1-12,3-13,0と減速はしていますが、まだしっかり追ってもいない点は少しくらいは短縮の余地もありそうで、本当に素晴らしいスケール感ですね。

 血統的に高速ダートは合いそうですが、函館戦の強さを踏まえてもマイルくらいまでは余裕で守備範囲、というイメージが持てますし、純粋にスピードで圧倒できるタイプですので、この前プラタナス賞を楽勝したルヴァンスレーヴと府中1600mでの対決が見てみたいですね。
 少なくとも現状スタートも二の足も良く、追走面もすこぶる高くて機動力もあると、欠点らしい欠点は感じないので楽しみの大きい馬です。

 2着のオーロスターキスも、2戦続けて相手が悪い、という感じにはなりましたが、これだけのハイペースに対応できたことは今後の糧になってくると思います。
 ヤマボウシ賞は少し息を入れるのが速過ぎた感じはありましたし、当面はこういう一貫消耗戦を主導して、他の馬を振り落とすレースでこそ真価が発揮できそうなイメージですかね。
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2017 10月第4週海外GⅠ レース回顧 その他雑談

**★ブリティッシュチャンピオンズスプリントS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=mJjvI8RjPqo)**

 ブリティッシュチャンピオンズディのGⅠレースの開幕戦となったスプリントS、ここではジュライカップ、スプリントカップと連勝し、スプリント路線のスターホースとして大きな注目を浴びることとなったハリーエンジェルが圧倒的な人気を背負っていました。
 しかし重馬場で行われたこのレース、まずスタートでそのハリーエンジェルが少し立ち遅れ、二の足でリカバーしてくるものの馬を前に置く形になって前半かなり気負った走りになってしまいます。

 勝負所で一旦馬群から抜け出す脚を見せるものの、しかし今日は余力なく内からこの路線の物差し馬になりつつあるタスリート、伏兵リブリサブリーズに交わされ、最後はカラヴァッジョにも差されて4着という残念な結果に終わりました。
 勝ったのは外から鋭く伸び切ったリブリサブリーズで、これまでGⅠでは全く歯が立たず、GⅡ路線で善戦を繰り返していた馬なのでなんとも、というところですが、良馬場での開催に比べると3~4秒は時計の掛かるタフな馬場を味方につけて、というところでしょうか。

 タスリートも相変わらず中々に堅実ですが、結局今シーズンはGⅠのタイトルにあと一歩届きませんでしたね。
 来年も走るのかはわかりませんが、基本的に先行力もあり追い出してからしぶとく、かつどちらかと言えば良馬場の方が良さそうなタイプなので、噛み合えばチャンスは巡ってくるだけの力はつけていると思います。

 3着カラヴァッジョも、無敗でアスコットミーティングのコモンウェルスカップを制した時にはこちらが新星と騒がれたもので、それからすっかりハリーエンジェルと地位が逆転していた節があるだけに、ここで一矢報いたのは意地、というべきでしょうか。
 とはいえやっぱりこの馬要所での反応もイマイチですし、ポジショニングも最上位メンバーに入ると甘くなりがちですので、この先も中々難しい戦いを強いられる事にはなりそうです。

 4着ハリーエンジェルは、これで生涯はじめて連対を外す事となってしまいましたが、敗因は明確にあるのでそこまで悲観的にならずとも、というところでしょうか。
 スプリントカップでは重馬場を克服して圧勝していたのでここでも、と思いましたが、元々ダークエンジェル産駒は重があまり得意ではないというのもありますし、シーズン最後でここまでの疲れが出てナーバスになっていたのかもしれません。
 来年のこの路線を牽引していく馬でしょうし、しっかり立て直してまた素晴らしい先行力を発揮して欲しいですね。

**★ブリティッシュチャンピオンズフィリーズ&メアS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ZgWlB1UtZdA)**

 重馬場、という事で、ヴェルメイユ賞の1、2着馬が人気となり、そこに3歳のハイドレンジア、コロネットが加わって、中々に面白いメンバーが出揃いましたが、レースはハイドレンジアがコーナーで捲り気味に先頭に立ち、一度は並ばれたバティールを楽にもう一度突き放して勝ち切る完勝でした。

 ハイドレンジアは元々マイル路線を走っていて、2000mも前走がほぼはじめて、という戦歴だっただけに、タフな馬場での2400mがどうか、と思いましたが、流石のオブライエン厩舎、その見立てに狂いはなかったというべきでしょうか。
 これで遂にGⅠ25勝の年間タイ記録、新記録をどこで達成するかはかなりの注目の的になりそうですね。
 馬自身も本当にタフネスが凄いというか、中団から楽に外を通して突き抜け、そこから粘り通すあたりはいかにも欧州馬、という感じですよね。2走前にもメイトロンSでウィンターを退けたように、重馬場適性が抜群に高い可能性はありますが、来年の牝馬路線の中核を担ってくる一頭なのではないかと思います。

 2着のバティールも名うての重巧者だけに、遠征の不利があったとはいえこの着差は素直に完敗、といっていいでしょうね。
 3着コロネットも最後しぶとく差を詰めていて、ヨークシャーオークスでイネイブルの2着に入った実績は伊達ではないところを示しました。

**★クイーンエリザベスⅡ世S [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=SBk2EJr5iq0)**

 ここは実績断然のリブチェスターが人気を背負うも、直線で鋭く脚を伸ばした伏兵のパースエイシヴが勝ち切りました。
 このレースも去年に比べて8秒近く時計がかかっており、そういう馬場で台頭してきた、と見做すのが自然ではありますが、でもこの馬もダークエンジェル産駒なんですよね。多分現場では、こっちのダークエンジェル産駒が来るのか!って話になってそうです。

 どうあれ序盤から画面左側にオブライエン勢、真ん中くらいにゴドルフィン勢が集まってのレースが、中盤から馬群が一塊になっていき、そして早めに抜け出したリブチェスターを埒沿いから懸命にチャーチルが追いかけています。
 勝ったパースエイシヴは道中はチャーチルの後ろ、かなり窮屈な位置に閉じ込められていましたが、残り400mくらいでかなり大胆に外に進路変更をすると、そこからの伸び脚は圧巻でリブチェスターを一瞬で撫で切り、最後は抑える余裕を見せての完勝でしたね。
 この馬も去年末から台頭し、牝馬GⅠ戦線で善戦を繰り返してきましたがタイトルには届かず、しかし引退レースのここで見事なジャイアントキリングを決めてきた事になります。向こうでも馬場が相当悪くなると意外性のある馬が突っ込んでくるのは変わりません。

 2着のリブチェスターは自分の競馬は出来ていますし、春のドバイからGⅠだけを続けて6戦し、欧州に戻ってきてからは一度も連対を外さずに走り切ったのですから本当に大した馬だと思います。
 初対決となったチャーチルは楽に退けていますし、この後はBCが有力ながらマイルチャンピオンシップや香港マイルも視野に入っている、なんて言っているらしいので、是非アジア圏に来て欲しいですねぇ。先行力と持続力が素晴らしい馬だけに、結構京都の高速マイルは合うと思うんですよ、戦績的にも良馬場の方が断然強い馬ですしね。

 3着チャーチルはこれで引退らしいですが、こちらもシーズン後半は少し尻すぼみ、という形にはなってしまいましたね。
 もっとも3歳マイル路線は強い、と踏んでいたのですが、結果的に古馬と相対してそこまででもなかったか、或いは重い馬場で本領を発揮し切れなかったか、どうあれお疲れさまでした、というところですね。

**★チャンピオンS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=I2_jwVxGwx4)**

 ここまでのレースでは本命馬が敗れ続けて概ね波乱の決着でしたが、ここは圧倒的人気のクラックスマンが早め先頭から直線で千切る一方、という素晴らしい競馬で初GⅠタイトルを獲得、奇しくも父フランケルの引退レースで、欧州では初めてのタイトルをもたらす結果にもなりました。

 スタートから4番手と好位置につけたクラックスマンは、ニエユ賞でも見せたように荒れ馬場を全く苦にするところもなく楽に追走、コーナーでスーッと進出し、外目に進路を取って突き抜けてみせました。
 本当にこういう馬場で強いんだなと、これまでのフランケル産駒のイメージを覆してきましたし、或いはフランケルも4歳シーズンに更に強くなったように、血統的に晩成の傾向があるのかもしれません。

 ただこの馬は、快進撃の発端となった夏のフランスでもかなりの好時計で勝ち切っており、馬場不問の強さだと思います。
 来年も現役続行らしいですし、同厩舎のイネイブルとも路線分けしないと明言してるみたいですが、そうなるとデットーリJはどちらに乗るのか、文字通り身体が二つ欲しい、という事になりそうですね。

 2着のポエッツワードも、愛チャンピオンSに続いての好走ではっきりこの路線でのトップクラスに上ってきましたね。
 前走を踏まえてもこういう馬場が向いた可能性は高いですが、比較的競馬の上手なイメージですし、今後も大崩れせず2000m路線で活躍してくれるのではないかと思います。

 3着ハイランドリールはこの秋シーズン、出ようとするレースが全部苦手な重馬場になってしまったのは不幸でしたね。
 このレースでもやはり使い込んで荒れた馬場を気にしていたのか、ムーアJが道中思い切って外埒沿いまで寄せる、阪神大賞典のオルフェーヴルもびっくりの逸走ぶりを見せながら、しっかりコーナーで馬群に合流してきてしぶとく脚を伸ばし、流石に実力馬、という所を見せてきました。
 例年通りBCから香港が既定路線のようですし、改めて適正な条件でどのくらい走ってくるか、香港では去年同様日本勢の強力なライバルになりそうですし楽しみです。

**★とりあえずのお知らせ**

 私も今さっきこのページを開いてみて気付いたんですけれど、まさかのスポナビブログ自体が終了してしまうとの事です。
 スポーツの話題を書いていく、という面では、認知度も集客力も高いし素晴らしいコンテンツだと思っていたので、こういう事態になるとはうーん、と色々ビックリでもあり、折角軌道に乗ってきたか、というところではあったので残念ですね。

 さしあたり来年の1/15までは記事も更新できる、との事ですので、少なくとも年内は今まで通りの更新を続けていく所存です。
 それ以降はどこかに記事もインポートしてのお引越しを視野に入れねばなりませんし、今と同じ水準で続けていくかも含めて色々思案する必要がありそうですが、どうあれ身の振り方を決めたら早めに告知致します。
 
posted by clover at 04:07| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017 天皇賞(秋) プレビュー

**★はじめに**

 今週はいよいよ、古馬の頂上決戦となる秋の中距離GⅠ三連戦、その先陣となる秋の天皇賞ですね。
 2コーナーの引き込み線からスタートするという、やや特殊なコース形態で実施されるレースですが、それでも数多の名馬が勝ち馬に名を連ね、このコースならではの筋書きのないドラマをいくつも生み落としてきました。

 今年はGⅠ馬8頭と超豪華メンバーが出揃います。
 まぁ近年はGⅠ路線も多様化して、そのタイトルが海外GⅠのみ、なんて馬も出てきますので、その頭数自体が全体的な能力の高さ、レース質の高さとイコールになるかは判断しづらいところもありますけれど、それでもやはりこれだけ多様な路線から有力馬が集まってくれるのは、2000mという距離ならではの醍醐味と言えるでしょう。

 2週続けて道悪での決戦が続きましたので、そろそろ今週位は良馬場での真っ向勝負が見たいなと思いつつ、過去を紐解いて攻略のヒントを探っていきましょう。


**★レース傾向分析**

 コース形態はややトリッキーで、改装前よりは改善されたとはいえ最初の2コーナーまでの距離がすこぶる短く、外枠の馬が先行するには不利な舞台、というのがほぼ定説化しています。
 ただそこをクリアして隊列が落ち着けば、それなりの起伏を伴いつつもゆったりしたコーナー、長い直線で実力馬が力を引き出しやすいロケーションですし、直線の坂が残り260mくらいまでで、坂を上ってから更にもう一段踏ん張れるパワー・底力をも求められる事になります。

 過去10年での平均ラップは、35,4(11,8)-47,2(11,8)-35,1(11,7)=1,57,7(11,77)という推移になっています。
 この数字だけ見ると、レース全体で淀むところがなく、均質的に高いスピード能力と底力を問われる条件だなと感じさせます。

 ただ府中の馬場は結構軽さにムラがあり、近3年は良馬場でもちょっと時計がかかってきている印象です。
 またその10年の推移の中に、2年ほどシルポートが玉砕逃げをかまして超ハイペースを演出していることもあり、特にトーセンジョーダンの年の1,56,1というスーパーレコードが全体の平均値を押し上げていますので、実際的にはもう少しスロー寄りになる傾向が強いとは思います。

 それでもコース形態的に、序盤いいポジションを取るためにある程度先行争いは激しくなりますし、ハイペースになればなるほど逃げ・先行馬にはストレートに辛い条件と言えるでしょう。
 過去10年でも逃げ馬で圏内に飛び込んできたのは稀代の名牝ダイワスカーレットのみですので、率直に逃げ馬は割り引いた方がいいと思います。

 その上でペースがスロー気味に落ち着くなら先行から中団につけた馬、ハイ気味になるなら後方からでも届く、というイメージですね。
 また、レースの仕掛けどころは坂の上りが最速、というパターンが目立ちますが、コーナーからペースが上がる場合はスローでも持続力を引き出しきって差し馬が届く、という傾向も見えています。

 今年の場合は、先週・今週と極悪の馬場で開催したダメージがどのくらい残ってくるかが一つ大きな鍵になってくると思います。
 今のところ週末は晴れ予報ですし、今週からBコースになりますので、昨日みたいに顕著に馬場の内側を避けての競馬にまではならないかもしれません。
 それでも先行馬がコーナーで外に膨れ、馬場のいいところを狙ってくる可能性はあり、春の府中でも指摘したようにそうなると仕掛けのポイント・最速ラップ地点が600-400m地点のコーナー出口に来る場合が増えてきます。

 一昨日の富士Sなどでも似たような感じはありましたが、差し・追い込み馬がコーナーでラップが上がるとき、更に外々を回されてしまうと殊更に辛い、というのはありますので、そうなると差し馬でも内枠から馬群を割れる馬とか、多少の荒れ馬場を苦にしない馬などが台頭してくるチャンスも生まれるのではないか、と考えています。 


**★有力馬分析**

・キタサンブラック

 今年いっぱいでの現役引退・種牡馬入りが報道され、最後のシーズンを王者らしく締め括るべく、満を持して古馬王道路線の初戦に駒を進めてきました。
 宝塚記念の不可解な惨敗から、色々と懐疑的な声も出てきそうな今回ですが、それでもGⅠ5勝の実績は圧倒的で、先ずは敬意を表してこの馬から語るのが当然ということになるでしょう。

 まず宝塚記念に関してですが、他の馬のその後も踏まえて考えたときに、間違いなくスーパーレコードで駆けた春天の反動があったことは確かでしょう。
 加えてレース内での敗因としては、中途半端な位置取りから、仕掛けのタイミングも後ろからサトノクラウンが突っついてきたことでかなり早まり、6Fのロングスパート戦になった中で外々を通す羽目になったのはかなり痛かったと改めて思います。
 体調自体は休養して戻してきていると思いますし、調教過程やコメントからも後ろ向きなイメージはなく、個体差があるので一概に括れないとはいえ、シュヴァルグランがしっかり秋初戦で強い競馬を見せられたのも含めて、極端に疑ってかかる必要はないと思っています。

 あとは純粋に府中2000mへの適性がどうか、となります。
 春の大阪杯を完勝したことで、この馬は2000mでも強い、と見做されていますが、私個人としてはまだ純粋に全体スピードを問われた時の2000m戦への適性は全幅の信頼を置けるほどではないかな、と思っています。

 実際に大阪杯は、大きく離して逃げたマルターズアポジーの位置でも平均ペース、キタサンの位置ですと顕著に3秒近い後傾ラップを踏んでいますので、前半の追走面が強く問われたとは感じません。
 なので、高速馬場に戻って、かつ平均からややハイまでペースが上がった時に、トウケイヘイローを追いかけたジェンティルドンナみたいに早めに深追いしていくと、後半要素が削がれて甘くなる可能性は考えておきたいですね。

 ただ今年の場合、昨日までの馬場悪化の影響で、まず高速状態までは戻らないんじゃないか、という気はしています。
 全体的に時計がかかって、1,59,0前後の決着に落ち着くならばこの馬には追い風だと思いますし、あと今年は典型的な逃げ馬がいないのもポイントになります。
 逃げ馬の成績自体が壊滅的なのは確かですが、このレベルの馬なら逃げて自分のペースに持ち込めれば当然しぶとく粘りこめるとは思いますし、どうあれ先行策を取るのは確かなので真ん中よりは内の枠が欲しいところでしょう。

 この馬にとって一番厄介なのは、堀厩舎の2頭の出方になってくるかなと見ています。
 ネオリアリズム・サトノクラウンともにスローからのロングスパートが得意な馬であり、特にネオリアリズムは枠次第で逃げ先行策を打ってくる可能性もあります。
 基本的に総合力に長けているキタサンブラックですが、持続力/持久力特化戦になったり、オーバーペースになったりすると脆さも見せる、というところは時折あるので、厩舎戦略としてネオが先導して仕掛けを速めていく、なんてパターンに巻き込まれると、宝塚記念のように直線で甘くなるかもしれません。

 どうあれ他の有力馬からびっしりマークされる存在なのは間違いないですし、枠の並びや直前の気配などをしっかり判断しつつ序列を決めていきたいですね。
 春は基本的に一貫して高く評価していましたが、このレースに限っては枠次第で本命から連下まで柔軟に構えておきたいところです。

・サトノクラウン

 過去2年の秋天では見せ場すら作れない大敗を喫しているサトノクラウンですが、その後GⅠタイトルをふたつ積み重ね、本格化を経ての三度目の正直、となるのでしょうか?

 個人的にはやはり、基本的にそこまで高く評価したくはないタイプではあります。
 2000mですと前半忙しくなりすぎますし、ゆったり入ってロングスパート、以外に絶対的な武器があるわけではないので、確実にフルゲートになってくるであろうここで自分の競馬を貫けるかは難しいところだと思います。

 ただこの馬にとっても、馬場が重くなってくれるのは明確にプラス材料でしょう。
 荒れた馬場も苦にしないパワータイプですので、序盤は内枠から中団より後ろでじっくり構えて、勝負どころでもVMのアドマイヤリードみたいにみんなが避けるインコースを使ってショートカット、なんて芸当は出来そうで、勝負勘鋭くこの秋もGⅠで絶好調のデムーロJですから、一概に嫌ってはいられないな、とは感じています。
 無論外枠を引いたら割り引きたいなと思いますし、流石に宝塚記念ほど後半に波が少なく、かつ一切切れ味の質は問われない条件が整うとは考えづらいので、重い印は視野に入れてはいませんが、枠と馬場次第では捲土重来のチャンスは十分にある、と見ています。

・ネオリアリズム

 こちらも重い馬場自体はこなしてきますし、先行力があってロングスパートが得意、中山記念などでも顕著なように、ハロン11,5前後の足を延々5Fくらい続けてこられるのがこの馬の最大の武器です。

 無論香港からの長い休み明けで、現状コメントからもまだ状態面は一息、という雰囲気は伝わってきますが、こちらの方が堀厩舎の2頭で比較すると、たとえ前半にペースが上がっても対応できる余地が大きく、またキタサンを潰す戦略を大胆に実行できるだけの素材でもあります。
 やはり外枠になったら嫌ですが、ある程度中目の枠でキタサンを外から見ていく形などが取れれば、早めにつついてリズムを崩しつつチャンスを広げていくことも出来そうで、並びによっては単穴くらいまでの評価にするかも、というイメージです。

 シュタルケJというのも、純粋に先行させるのは上手いですし追ってしぶといタイプなので結構合うんじゃないかな、とは感じます。
 今回はまた秋恒例、カタカナジョッキーがぞろぞろと御目見えしてきましたが、その中では騎手人気しにくいタイプだと思いますし、しっかり前目から勝負に行ってほしいですね。

・リアルスティール

 今年は春先から順調さを欠いていましたが、前走の毎日王冠では鋭い決め手を見せて改めて能力上位を誇示、その勢いを駆って悲願の国内GⅠ制覇に挑みます。

 去年もモーリスに肉薄する2着といい競馬をしており、存外リピーター率も高いレースですので、その点で一定の信頼度は置けるな、と感じます。
 馬のタイプ的に前半ゆったり入ることで後半の鋭さ、特に一瞬の質を高められるところがあるようなので、この馬としてはどちらかというと例年の傾向通りに、高速馬場で仕掛けも遅い展開のほうがチャンスは大きいかなと思います。
 中山記念の時は体調もいまいちだったのでしょうが、それでもあの5Fロンスパ展開で早々に沈んでおり、その意味ではこの馬にとっても堀厩舎陣営の戦略が噛み合うか否かは死活問題かもしれません。

 ただ府中の場合なら、前が動いても無理にコーナーで仕掛けず、切れ味の質を信じて直線勝負にかけることでカバーできるかもしれません。
 シュミノーJは年頭のイメージからすると、非常にコース取りがタイトで、かつしっかり加速のスペースも取ってくれるバランスのいいジョッキーと思いますので、順々にしっかりエンジンをかけていきたいこの馬には悪くないチョイスだと思います。

 前走は結果的に前後に誰もいないノープレッシャーの絶好位を確保できましたし、流石に今度はあそこまで楽なポジション取りは難しいでしょうが、内枠から中団に潜り込んで、しっかり進路確保が出来ればチャンスはあるでしょう。
 でも荒れ馬場が合うかどうかで言えば、多分合わない軽さが身上のディープ産駒、とは思うので、前日の馬場状況を注視して序列を考えたいところです。

・ソウルスターリング

 毎日王冠の敗戦で評価は下がっていますが、それでもレベルの高い3歳牝馬世代の頂点を極めた馬で、ここが本番の仕上げでもあっただけに巻き返しのチャンスは十分にあると思います。

 前走はやはり慣れない逃げの形と、その結果として3F特化の切れ味勝負になってしまったことが敗因と見ていますし、年末の阪神でも強い競馬が出来ているように、馬場が少し重くなるくらいは問題ないと思います。渋ったときは桜花賞からしても少し割引なのかなとは思いますが。
 この馬も一瞬の切れでなくある程度分散しての持続力で勝負したい馬ですし、この距離ならペースがかなり上がっても追走面での問題はないので、むしろ他の馬が苦にする分ややハイ、くらいになってくれた方がチャンスは広がるかもしれません。

 スタートも二の足もいい馬ですので、内枠から無理せずフラットに2列目に入っていく形がベストで、このあたりも枠次第ですね。
 今回はマークもキタサンに集中する中で、ある程度漁夫の利を狙ってじっとしていられることも踏まえれば、重い評価を視野に入れてもいいかな、と考えています。

・サトノアラジン

 前走は58kgを背負いながらも大外一気で強い2着、距離にも改めて目途を立てたサトノアラジンは、またこの府中の長い直線でその末脚を炸裂させることが出来るのでしょうか?

 まず考えておきたいのは、あくまでもこの馬は高速馬場巧者、という点です。
 前走は明確に極限的な切れ味の質を求められる馬場と展開が噛み合ったのは間違いなく、あの当時の馬場まで回復するならいいのですが、顕著に重たさが残るようですと少なからず割引にはなると思います。
 かつ更に距離が伸び、頭数も増えてポジション取りが難しいのはありますし、この馬はたとえロスがあっても大外をのびのびとぶん回すほうがパフォーマンスが上がる馬ですので、それが噛み合い切るか、となると結構限定的だとは思います。

 安田記念を見てもわかるとおりに、このメンバーに入れば追走面の余裕は最上位ですが、だからと言って前目につけられるわけではないので、好走の為の絶対条件としてはペースが上がることと、最低限の高速馬場に戻っていることになるでしょうか。枠も内目はかえって嫌で、10~12くらいの極端でない外、とかなりスイートスポットが狭くなりそうです。
 流石にこの頭数を外々から瞬発力の質だけで面倒見るのは荷が重いですし、今のところは印を回しても連下、消す可能性も高いかな、と踏んでいます。

・ステファノス

 珍しく休み明けから勝ちに行ったオールカマーでも2着と、善戦マンぶりに拍車がかかってきたステファノスも、ベストの舞台である府中の2000mで悲願のGⅠ取りにチャレンジします。

 こちらも2年続けて好走しているように、適正面では抜群の信頼が置けます。
 過去2年はどちらも外枠でポジションが取れず、後方から追い込むも時すでに遅し、という形にはなっていますので、今年は何とか好枠を引き当てて、大阪杯のようにある程度ポジションを狙っていく意識で入っていきたいところです。

 あとは戸崎Jなので、ある程度持続力を引き出したいこの馬でもスペースを置かずに入ってくると、せっかくの内枠なのに要所の反応で見劣る、なんて可能性もあるので、そこはなるべくバランスを取って、最悪でも確実に伸びる強い馬の後ろを取る意識は欲しいですね。
 今年のメンバーなら追走面ではまだ上位に入りますし、馬場が少し重くなるくらいは問題もないので、チャンスは十分にある一頭だと思います。内枠なら重い印も視野に入れたいです。

・シャケトラ

 今年上半期の最大の上がり馬と言っても過言ではないシャケトラが、秋シーズンは古馬王道路線にチャレンジしてきます。

 一連のレースぶりからもステイヤー色が強いのは間違いなく、宝塚記念もあの展開で先行勢の中では良く粘った、とは言えるのですが、現状持久力戦ではサトノクラウンには及ばず、といって切れ味を問われるとやや辛い、という立ち位置で、少なくとも2000m戦ですと勝ち切るイメージを作りにくい馬ではあります。

 追走面でも不安はありますので、馬場がかなり悪くて相対的に時計がかかる中でチャンスを見出す余地はありそうですし、フランスでトップジョッキーの地位を確立したC・デムーロJとも面白いコンビにはなりそうですが、基本的には軽視したい条件ですね。
 ここで一定の好走が出来るようならJC・有馬に夢が広がりますし、レースぶりには注目しておきたいところです。

・ヤマカツエース

 昨年の秋からは体調も安定し、一連のレースで安定した強さを見せているヤマカツエース、親子タッグでの悲願のGⅠ制覇に向けて、池添Jの渾身の手綱さばきが見られるか注目の一頭です。

 この馬も若い頃は追走面でも、タフな馬場でも強さを見せていましたが、近走はある程度ゆったり入って長く切れ味を引き出す競馬が噛み合っているようです。
 ただ現状の馬場や読み切れないペースを考えたときに、この馬の好走スポットの広さはかなり信頼度が高いですし、近走はポジション取りも少しずつ進境を見せているので、ここでもチャンスがある一頭には入ってくると考えています。

 この馬も極端な内外は嫌で、真ん中くらいの自由度が高い枠がベストでしょう。機動力がある馬ですし、馬群も割れるので、コーナーで外から勝負をかける馬を見ながら、ワンテンポ遅らせて真ん中を突き抜けるなど、立ち回りひとつで面白い走りは出来そうな予感がします。

・マカヒキ

 久しぶりの適性条件で真価が問われた前走も、かつての輝くばかりの末脚は不発、ダービー馬としてがけっぷちに追い込まれた中でのこの一戦で、改めてその強さを取り戻すことが出来るのでしょうか?

 前走は結局のところ、出していって自分から窮屈なところに入ってのがプラスではなかったと思いますし、本領は後ろからゆったりエンジンをかけていく形、多分一気にトップスピードに乗せるのが難しいタイプなんだろうと思います。
 その意味ではオンオフのメリハリのつけ方が激しい内田Jってのは微妙なのかな?と前走を見て思いましたが、ただここで継続騎乗になることで特徴を掴み、しっかり出し切る競馬を模索してくれそうな感じはあります。

 極端な偏差のない持続戦ならば、前走もラスト100mではもう一度伸びていたようにノーチャンスとは思いませんが、他に魅力的な馬も多い今回、個人的には取捨に悩むラインですね。
 ある程度死んだふりからスペースを作って加速しつつ直線を向ける形なら、差し馬勢として引けはとらない資質はあると思うのですが、出来ることが少ない、という意味でかなりスポットが限定的にはなると思うので、ギリギリまで諸要件を判断して考えたいです。

・サクラアンプルール

 札幌記念では並み居る強豪を撃破し、6歳にして本格化を印象付けたサクラアンプルールも、その余勢を駆って天皇賞に挑戦してきます。

 前走はそれまでのスロー専用馬、というイメージを覆す鮮やかさではありましたが、それでも展開的にはかなり噛み合い、ヤマカツあたりとは内容的には互角程度だろうと踏んでいます。
 かつ元々スローでこその馬であり、持ち時計が全くないのも流石にこのメンバーに入ると苦しいところで、追走面・斤量面の不安も含めて流石にここまで手は回せないかな、という印象ですね。

・レインボーライン

 この馬は春シーズンは色々と噛み合わないところも多く、改めてこの秋に真価が問われるでしょう。
 ただ地味に今回の条件は悪くないとは思っていて、追走面は持っており、切れ味勝負は分が悪いながら馬場悪化とロンスパ展開が望めるメンバー構成、荒れ馬場も克服できるので、それこそサトノクラウン同様にイン付きでうまく立ち回れれば、圏内に食い込んでくるくらいはあっても驚けない馬だとは踏んでいます。

 ポジショニングが下手ですので少しでもリカバーするために内枠は必須ですが、ペースが流れてかつロンスパ、というタフな展開になったときにはチャンスが回ってきそうで、並びを見ながら判断したいところですね。

・グレーターロンドン

 前走で強い相手にも一定の目途は立てた、とは言えるものの、斤量差も含めてサトノアラジンに完敗している以上、ここでは楽ではないでしょう。
 どうしても一歩目が遅くポジションは取れない馬ですし、不器用さもあるので、一か八か、という競馬に活路を見出すしかないのかな、と感じます。
 
 節分Sや安田記念のように、スペースがあれば馬群に怯むところはないので、コーナーをタイトに回って最後の爆発力・持続力に賭けてどこまで食い込めるか、でしょう。この距離になると後半要素の絶対的な質は少し削がれる感覚もありますし、やはりマイルがベストの馬には感じていますので、素材は評価しつつもここは軽視する可能性が高いです。


**★思い出の天皇賞(秋)**

 近年でも数々の名レースがありましたし、列伝などでも披露する機会が多いのですが、そちらで触れたものは避けて、純粋にレースの迫力という意味で大好きなのは、かの[スペシャルウィーク](https://www.youtube.com/watch?v=zEY0IFcOtcA)が京都大賞典の惨敗から見事に巻き返し、大激戦のゴール前を閃光のような鋭さで差し切った1999年のレースですね。

 この年も多彩な路線から錚々たる名馬が集結し、ペースもかなり流れて底力が問われた中で、どの馬も存分に実力を出し切っての残り200mの迫力は素晴らしいものがありました。
 その中で大外一気の乾坤一擲に賭けたスペシャルウィーク・武Jは、文字通りその底力を信じての胆力のこもった素晴らしい騎乗でしたし、そしてそれに応えて残り50mからもう一伸びしてきたのが、本物の王者としての強さ・価値を示してくれていたと思いますね。

 あと純粋にすさまじく強い、という意味では、[ジャスタウェイ](https://www.youtube.com/watch?v=QXpEYdmBGDk)も鮮烈に焼き付いていますね。
 この日は良馬場でも渋りの残るかなり重い馬場ではあり、その中をトウケイとジェンティルがガンガン飛ばしていった恩恵もあったにせよ、坂の頂上からの凄まじい持続力は圧巻の一言で、時計も馬場を踏まえれば特級、後続が千切られたのも納得のえげつないパフォーマンスでした。
 ここからドバイを勝つまでは本当に驚異的な強さでしたし、その後はローテーションや騎乗面、体調など噛み合わないことも多くて歯痒かったものの、この秋天の勝ちっぷりだけで間違いなく後世まで語り継がれる資格のある名馬だと思います。

 にしても、この時の福永Jは前週にエピファネイアで菊を勝ってからの、牡馬王道GⅠの連勝でついに一皮剥けたか、と感じさせたものですが、近年はまた大舞台で音沙汰がなくなってきてしまっていますね。
 毎週毎週デムルメでは流石に食傷するところもありますし、そろそろ生え抜きとしての意地を見せてもらいたいところではあります。まぁ流石にカデナでは足りないとは思うんですけど。
posted by clover at 04:07| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017 菊花賞 レース回顧

 容赦なく降り注ぎ続ける猛烈な雨の影響で、まるで水田のごとき様相を呈していた淀のターフ、歴史上でも稀に見る極悪の不良馬場の中での決戦は、1番人気のキセキが後方から大外一気で力強く伸び切り、食い下がる伏兵馬を一蹴して最後の一冠を見事に手中に収めました。レースを振り返っていきましょう。

 正直馬場状態に関してはもう論ずるまでもない、ってレベルの壮絶な不良でしたね。
 芝1200mのレースでも1分12秒を切ってこられないように、短距離でも5秒くらいは時計の掛かる条件でしたので、およそその2,5倍は走るこの菊花賞で、例年よりも14~5秒時計を要してきたのも致し方なし、というしかありません。レースレベル云々を図れる状況ではありませんでした。

 また、昨日はまだインコースからでも伸びる馬場でしたが、今日は完全にインが掘れ切って死に馬場になっていましたね。
 ダートコースと見紛うばかりの土煙が巻き起こっていましたし、午後のレースなどは特に、ほとんどの馬が出来るだけ外、最低でも馬場の三分所より外に持ち出して、なんとかバランスを崩さずに走れるよう腐心していたと思います。
 ここまで来ると多少のコースロスなぞなんら問題になりませんし、逆に馬場が悪くなりすぎて、最低限の適性面に加えて純粋な底力もかなり大きなファクターになってきていた、とは感じましたね。

 レース展開は、まず内でウインガナドルとスティッフェリオが好スタートを決め、その外からアダムバローズ、ベストアプローチが積極的に前に取りついていきます。
 その内からトリコロールブルーも好発を決めて先団の一角、外からは掛かり気味にマイスタイルが上がっていき、坂の下りでこのまま引っ張り切るよりは、とハナを奪い取ってインコースに誘導していきます。
 その先団の後ろに折り合いをつけながらダンビュライト、ポポカテペトルがいて、それを見るようにアルアインとサトノクロニクル、ミッキースワローはそこより更に一列後ろで、セントライト記念同様にアルアインをマークしていく形になります。

 ややスタートで立ち遅れたブレスジャーニーと、出足が効かなかったクリンチャーは後方からで、キセキもやや出負けして序盤は無理せず、後ろ過ぎない程度に後方で馬場のいいコースを選んで走っていました。
 マイネルヴンシュはスタートは良かったものの無理に先行争いには加わっていかずにリズム重視で後方から、クリノヤマトノオーもやや後ろ目で、サトノアーサーも今日は折り合い重視で本来の追い込みポジションを選択します。

 スタートで大きく出遅れたプラチナヴォイスが最後方となり、ある程度縦に長く、横にも広くなりつつスタンド前を通過していって、このあたりでようやく外目に持ち出したクリンチャーがじわじわと前に取りついていく動きを見せていましたね。
 ペースが落ちた1~2コーナーを過ぎて、向こう正面に入ると先行勢が盛んに動き出していき、それを有力馬はワンテンポ待って追いかけていく形になりました。

 レースラップは3F×5で見ていきますが、37,8(12,6)-39,8(13,27)-42,3(14,1)-39,0(13,0)-40,0(13,33)=3,18,9(13,27)という推移になりました。
 まぁこのコース形態ですので、この馬場であっても序盤が速いのは当然として、一周目のスタンド前から1~2コーナーではかなりペースが緩んでいますが、残り1200m、向こう正面の直線あたりで一旦ペースが上がって、最序盤を除いた中では、この第4ブロック、坂の上り下りを含む1200-600m地点が最速になっています。
 
 5Fずつで見ると1,04,1-1,08,8-1,06,0ですので、ややハイペース気味からの中緩み、そこから6Fロングスパート戦、という見立ては出来ます。
 一方でラストの4Fは12,9-13,4-12,7-13,9という推移でもあり、地味ながら4コーナーで少しペースが落ちて、直線で再スパート、という加速性能も多少問われていたりもします。
 どうあれ言えるのは、このタフ過ぎるコンディションの中でもしっかり直線まで余力を残し、その上でラストの落ち込み地点でもしっかり粘り込める、身体的にも精神的にも素晴らしい剛健さを持った馬が上位に来た、と考えていいのではないでしょうか。

 ただこのレース、余りにもタフ過ぎたので出走メンバーの今後はかなり怖いですね。
 ロジユニヴァースのダービーの時みたいになりそうな気もするので、上位に食い込んできた馬は無理せず、来年まで休養してもらいたいというのが率直なところです。

 ともあれ、勝ったキセキは見事な力強さでした。
 父親のルーラーシップもこれがJRA初GⅠとなりますが、重に強いキンカメ血脈で、ルーラー自身も重の鬼でしたし、かつ父の母方からトニービンの血も引いていることが、この究極の消耗戦でも挫けず突き抜ける要因の一つにはなっているのでしょう。
 加えて夏の本格化が確かなものだったこと、前走減った馬体をしっかり維持してくる厩舎の手腕、そしてこの馬本来の、跳びの大きさを存分に生かした大外を回してリズム良く末を生かす競馬が可能なコンディションに変貌した事なども含め、文字通り総合力の勝利と言えるでしょうか。

 スタートはいつも通り今一歩でしたが、この馬場ですので無理にポジションは取らずに序盤は折り合いに専念して、かつコースロスを気にせずあくまでも馬場の、少しでも走りやすいところを選んでいたのが印象的でした。
 向こう正面から前の動きが激しくなる中でも無理に仕掛けてはいかず、手応えのいいクリンチャーの後ろをヒタヒタとついていきつつまだ本仕掛けを待っていて、その道中の消耗の少なさが、直線残り200mで全ての馬が失速する展開の中でも、しぶとく脚を伸ばせた要因に繋がってきたのだと感じます。

 果たして良馬場の菊花賞でこういう外々の競馬をして勝ち切れたか、というと神のみぞ知る、とはなりますが、純粋な素材のスケール感、馬力は素晴らしいものを見せてくれました。
 むしろこういう、ディープの血は母系でスピードを軽く補完するくらいの重厚さの方が、それこそ凱旋門的なコースには噛み合うのかもしれませんね。
 夏から使い詰めでしたし、今後はまず無理せず休養、となるでしょうが、来年の春シーズン、特に阪神の2000mや2200mで強い競馬が出来るなら、と夢を膨らませる余地が多分にある走りだったと思います。人馬一体、見事な勝利でした。

 2着のクリンチャーも敗れはしたものの、この馬がするべき競馬はしてくれたかなと思います。
 いつも以上にスタートが悪くて後方から、とはなりましたが、スタンド前で外目に持ち出すと馬がやる気になったようにじわじわと前に取りついていって、それこそゴールドシップのロングスパートをちょっと彷彿とさせる長い、長い脚を使って進出していきました。

 このあたり実のところ、序盤はインの悪い馬場に足を取られていた感もあり、最初から外枠だったらむしろ、と、例年とは真逆の事を思わずにもいられませんが、どうあれ外に出してからは仕掛けの意識も早め早めに持っていて、坂の上りからしっかり前を捕まえにいって、下りを抜けて直線向いたところで早くも先頭に立っていました。
 地味にここで加速ラップを踏んだことで、少し切れ味で負けた感じもあったのですがこればかりはバランスが取れる状況でもなく致し方なし、ラスト200mのしぶとさは流石の一言で、内から迫りくるポポカテペトルを最後捻じ伏せての2着確保は立派な内容だったと思います。

 結果的に見てやはり血統面でこういう馬場は、というところはあったのと、究極的にスタミナ面を問われて良さが出たのは間違いないと思います。
 すみれSからするとキセキに逆転された格好ですけど、それだけあの時期のキセキの完成度が低かったと見做すことは出来そうですし、自分の力はしっかり引き出しての負け、それでも大健闘の2着だったと思います。

 素材的に今後は長距離路線がベターとは思いますが、京都の長距離ですと良馬場の場合はポジショニング勝負のところもあるので、出足の悪いこの馬では分が悪そうですね。
 まぁステイヤーズSとか、阪神大賞典とかに出てきたら全力で狙いたい馬です。

 3着ポポカテペトルも、純粋な血統面というより兄妹成績からイメージできる重馬場の上手さをしっかり発揮してくれましたし、やはりいいスタミナの持ち主だと思います。
 道中もう少し前に行きたかったのはあるでしょうが、それでも有力馬を内から見る形でやや窮屈なところもありつつ、馬はしっかりそこからしぶとく抜け出してくるタフさがありましたし、総合的に見て極端に速いラップを踏むパターンよりは、波の少ない流れを淡々と押し切る競馬の方が強い、という部分を改めて証明してきたと思います。
 こちらも距離はあったほうが良さそうですね。クリンチャーほど極端ではないにせよ、2500m以上のステイヤーコースで本領を発揮してくる馬に成長していくのではないでしょうか。

 4着マイネルヴンシュは、結果的に内枠の馬が悪い馬場に押し込められるのを嫌って先行し、オーバーペースになって沈んでいったのと対照的に、自分のリズムに徹しての後方から、という戦略が見事に当たりましたね。
 基本的にこういう馬場が得手、ではなかったと思いますが、キセキ同様になるべくいいところを走り続けて余力も残せましたし、流石に直線入り口の加速地点では反応できなかったものの、ラスト1Fの差し込みは中々に迫力があり、この地点だけならキセキよりいい脚を使っていたかもしれません。
 少なくともスタミナ面での裏付けはしっかり見て取れましたし、仕掛けの早い展開も合うタイプですので、こちらもステイヤーコース、中山2500mあたりがベストになっていくのかなと思います。

 5着ダンビュライトは、結果から逆算して考えると、ちょっと勝負に行き過ぎた、という事にはなるのかもしれませんね。
 このレースで先行する場合は、最序盤で脚を使った上に、向こう正面から自分で仕掛けていってというかなり厳しい競馬を強いられていて、その流れの一番後ろ側とはいえ、そこに乗っていっての正攻法でここまで粘り込んだのは流石だと思います。

 こちらも血統的にルーラーですので重はこなせるレベルでしたし、距離もギリギリ大丈夫だったと思いますが、展開の綾もありつつ最終的にはほんのちょっと、やはり底力の面で見劣ったのかなと感じました。
 ただミッキーやアルアインとの死闘となった掲示板争いを制したように、本当に馬は堅実な頑張り屋なので、どこかでしっかり勝ち星を挙げて早めに重賞戦線に戻ってきて欲しい馬ですね。日経新春杯とかで見てみたいです。

 6着ミッキースワロー、7着アルアインは、共にやはり流石にこの距離は長い、という所でも、しっかりと地力は見せて見せ場を作り、人気馬の面目は保ってきたと言えそうです。
 特にミッキーは前半から気難しい面を出していたりと、輸送なども含めて難しさがある中で辛抱した、と思いますし、アルアインもこの距離でここまで走れるのなら、適距離では世代最強クラスの可能性は充分にあると思います。
 春の結果通り、2000mならアルアインで2400mならレイデオロ、という感じのところに、キセキがどちらの距離でより適性を見せてくるか、本当はここにアドミラブルがいてくれれば、と思うのですけどね。

 ともあれ、今日はいかに実績馬・人気馬と言えど未知の部分が大きすぎるレースでしたし、この内容が今後どこかに繋がる可能性も低い、とは思います。
 ですがレース個体としては道中の入り替わりも激しく、騎手同士の駆け引きも熾烈で、かつ直線も見応えのある叩き合いとなって、各馬が底力を振り絞ってのこの結果には拍手を送りたいですね。実にいいレースでした。
 
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2017 富士S レース回顧

 しとしとと降りしきる雨により、遂にメインレースの時には不良まで馬場が悪化して行われた一戦は、好位追走から直線では大外に持ち出したエアスピネルが、最後までしっかりと伸び切って勝ち切り、悲願のGⅠ制覇に向けて秋の好スタートを切りました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場状態は朝一から重馬場で、かなり時計がかかっていました。
 同時に、特に午後のレースからは内の馬場が掘れてきて、明確に外を回す馬が増えてきており、ただ9Rのコスモイグナーツや、このレースでもレッドアンシェルなど、インベタで回ってきた馬もそれなりには粘れる条件ではあったと思います。
 どちらにせよ時計はマイル戦でも2秒近くは掛かる条件でしたし、馬場の巧拙とポジショニング、コース取りなどに難しさのあった一戦だったでしょう。

 レース展開は、まず好スタートを決めたのがイスラボニータとエアスピネルでしたが、間からマイネルアウラート、クラリティシチー、ミュゼエイリアンあたりが先行していきます。
 それに、一歩目はやや遅かったものの内からじわっとリカバーをかけてきたレッドアンシェルが加わっていき、最終的にはこの馬とマイネルアウラートがほぼ雁行状態で先頭を走る形に落ち着きました。

 エアスピネルはある程度前に壁を置きつつその一列後ろで待機、ペルシアンナイトも内からその列に加わっていって、中目にジョーストリクトリ、外目にイスラボニータが好位集団を形成していました。
 その後ろも大きく離れる事はなく、サトノアレス、ロードクエスト、グランシルクあたりが中団の位置で追走、その後ろにブラックムーンとガリバルディがいて、長い休み明けのクルーガーは最後方の外目からレースを進めていく事になります。

 ラップは35,6(11,87)-24,2(12,1)-35.0(11,67)=1,34,8(11,85)という推移でした。
 ハーフで取っても47,8-47,0でややスロー気味の平均ペースですね。序盤外の馬が及び腰で探り探りでしたが、レッドアンシェルが出していった事で常識的には流れましたし、中盤も緩んではいるもののこの馬場条件なら妥当な範疇ではあると思います。

 そしてこのレースは、残り600m手前からエアスピネルが早めに仕掛け、馬群の間を縫って進出してきたことで、全体の仕掛けのポイントも結構早めに来ており、丁度4コーナーの出口、600-400m地点で最速の11,2を踏んでいます。
 後半の推移が12,0-11,2-11,2-12,6ですので、地味にコーナー出口の地点でそこそこの加速力も問われ、かつ馬群全体が外に外に、と意識する状況でしたので、この地点で仕掛けながら外を回してしまうと結構なロスはあったのではないかと感じます。
 このペースとこの馬場で、最速ラップ11,2はそこそこ速いですし、そこはこの渋った馬場でも機動力が削がれない適性面が問われていて、かつ内容的には持続力特化戦、ラストはかなり落としている中で、地力も含めて後半要素の素材面が強く問われた内容かな、と見ています。

 勝ったエアスピネルは、まず血統通りにこういう馬場が巧みでしたね。
 スタートも良く、序盤から内目を通りながらも足を取られる感じもなくて、楽な形で追走できましたし、密集して馬を前に置くと引っかかりやすいこの馬にとっては、馬群が散らばりやすい馬場条件もプラスだったと思います。
 手応えが良かったからか、早めに内2頭目から馬群を縫ってコーナーでスーッと上がってこられましたし、直線入り口まではその位置にいて、そこから一気に大外まで持ち出していいところを選んだのも見事な判断でした。

 結果的にワンテンポ早く動いたことで外に持ち出すスペースを作れましたし、かつ後ろの馬を外々に押しやることで、コーナー地点ではインで我慢できていたこの馬と比較して余分に脚を使わせることにも成功していて、後は真っ直ぐいいところを伸びるだけ、という競馬でしたね。
 上がり的にもほぼレースラップ通りか、外に出した分だけ内のレッドに出し抜かれた面はあるので、ラスト200mが12,4~5くらいかもですが、どうあれ持続力戦の中でも一定の素材は見せ、しっかり出し切る競馬が出来たと言えそうです。

 本質的に良馬場でここまで強気に出ると、絶対的な持続力面でラスト甘くなる点がカバーしきれないかもですが、今日の馬場なら後ろの馬も中々伸びてこられない、加えて切れ味の質も、一定落とす馬がいる中でこの馬は削がれない、と、いい条件が出揃っていたと思います。
 概ねイスラボニータとは、多少適性の差はあれ互角の能力だとは見ていて、今日は馬場と枠、斤量面で恩恵があったので、それを加味すれば妥当な着差と言えるのではないでしょうか。
 本番はまた色々な方面から強い馬が集結してくる事にはなりますが、まず基準としてこの馬とイスラボニータがいて、それを負かし得る馬、という見方で入っていけそうですね。

 2着イスラボニータは、結果的に外枠が極端なマイナスにはならない条件になってくれたかなと思います。
 どうしても独特の走りをする馬で、グリップの効きにくいこういう馬場が得意とは思っていないのですが、それでも今日は外からずっと馬場のいいところを選んで走れたことで、馬が嫌気を出さずにスムーズに流れに乗れたのだろうと感じます。
 前が動いたコーナーで仕掛けをワンテンポ待っていたのもいい判断で、その分だけ仕掛けを遅らせて直線勝負の比重を強く出せましたし、ただ本来は一瞬の切れならエアより上のはずが、その点今日は逆転していたので、そこに馬場の影響は見て取れます。

 ですが、流石に最後は地力の違いで、前が落としたところでじりじりと伸びてきましたし、これだけ悪条件が重なった中での2着は、去年の2着よりも内容があったんじゃないかなと感じます。
 当然京都のマイルはかなり適性が高いので楽しみですし、年齢的にもそろそろ下り坂に入ってくる可能性がある中で、フジキセキ晩年の傑作としてはどうか、種牡馬入りするためにももうひとつくらいは箔をつけたいところですね。

 3着クルーガーは、ここしばらくはほとんど順調に使えていなかったのでどうなのか、と思いましたが、流石に地力のあるところを見せてくれました。
 血統的にもこちらもキンカメで渋った馬場を苦にしない、というのもあったでしょうし、序盤はあまりついていけずに無理せず最後方で、中団から後方よりの馬がコーナーで動いていって脚を使い果たすのを尻目に、じっくり直線まで待ちつつ進路確保もイスラの真後ろをスムーズに取れて、最後の伸び脚は中々に見所がありました。

 展開的には嵌った部分はあるでしょうし、本来もうちょっと先行できる馬ですので、そこで改めて本来の走りができるようになってくれば、今後マイル路線で侮れない存在になってくるかもしれませんね。

 4着レッドアンシェルも、慣れない逃げの形から良く粘り込んできたと思います。
 ハナに立たされたとはいえ、そんなに無理して出していく形でもなく折り合いはスムーズで、エアが早めに動いたことで出来ればもう少し仕掛けを待ちたかったでしょうが、意を決してインベタで勝負をかけたのは中々いい判断だったと思います。
 馬個体としては、新馬戦でもその片鱗を見せていたように、こういう馬場が合っていたと言えるでしょうが、ただ使えるいい脚が一瞬、というのは元々の素材通りで、このコーナー出口最速での仕掛けだとラストが如実に甘くなってしまいました。

 ただ休み明けで、自分の形とは言えない逃げでも堅実に走ってきたのは今後の収穫でしょうし、個人的には1400mの方が噛み合う事が多いタイプだと思うので、阪神Cあたりに出てきたらちょっと狙い目になるかな、と感じています。

 5着ペルシアンナイトも悪くはなかったですが、この馬の場合は重はギリギリこなせるけどあまり良くはない、イスラくらいの適正幅だったかな、という感触です。
 ペースもややスローで仕掛けの早い持続戦なので、これが良馬場ならもってこい、という流れに思えますし、馬場の悪いインを狙った分はあるにせよ直線どの地点でもエアに対しアドバンテージを感じなかったのは少し物足りなかったですね。
 ハービンだからと言ってどの馬も重がバリバリに得意、というわけでもないでしょうし、この馬は良馬場の方が良さそうです。かつマイルのスピード勝負よりは、1800~2000mがベストの様な気がしています。
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2017 10月第3週新馬戦 レース回顧

 今週も雨続きで中々に鬱々とした気分になりますね。
 丁度菊花賞の枠順も発表になりましたけど、いかにも真っ当には決着しなさそうな並びになってしまって、馬場状態も含めてかなり悩む事になりそうです。

 その前に先週の新馬戦を振り返っておかないと、というところですが、先週から新潟開催もはじまり、未勝利も含めれば2歳戦は本当に鞍数が増えてきました。
 ですので、以前にも告知したようにそろそろレース数は絞り気味に、注目度が高いレースや内容が面白いレースを中心に取り上げていく事になりますのでご了承くださいませ。

**★10/14(土) 東京4R ダート1400m戦**

 雨の影響で不良開催となったダートの新馬戦は、最内から好スタートを決めたダークリパルサーが、直線半ばで後続に並ばれながらももう一伸びしてそのまま逃げ切る強い競馬を見せました。

 時計としては同距離のレース、1Rの2歳未勝利が1,25,6、最終の1000万下が1,23,0でしたので、新馬戦で1,24,1はかなり優秀な部類に入ってくるでしょう。
 同日のプラタナス賞も1,36,2のレコードでしたが、このレースの上位3頭も、向こうに出ていても勝ち馬以外とはそこまで遜色なかったのでは、と感じるくらいには、4着以降の馬とは走りが違いましたね。

 展開は好スタートからダークリパルサーがハナに立ち、その後ろにオレノマニラとアルクトス、一番人気のミヤギウイングはややスタートで後手を踏むものの、早めに外からリカバーして好位の外目につけていきます。
 直線に入るとオレノマニラは脱落して先行3頭の勝負になり、後続はその影も踏めないという形になりましたね。

 ラップは35,6(11,87)-12,5-36,0(12,0)=1,24,1(12,01)という推移でした。
 全体的には平均ペースで、4~5F目が12,5-12,5とかなり緩んでおり、そこから11,7-11,8と再加速を伴う内容で、このペースで追走を苦にせず、直線で楽に加速できる余力を残していた上位馬が強かったと見ていいでしょう。

 勝ったダークリパルサーはその中でも強い競馬で、直線スッと加速してから後続の手応えを見る余裕もあり、最後は鞭を使わずしっかりラップも落とさずに走り切っていて、この馬場でレースを支配出来た強みと、インを通した分の差をはっきり見せたのかなと感じます。
 加速地点での勢いはミヤギの方が、というところもありましたが、この加速度で楽に動けたのは武器になりそうですし、軽いダートの方が強みが活きそうですね。1200mに入ると前半の追走面でまだ未知の部分は大きいので、現状は1400~1600mが合いそうです。

 2着のアルクトスは途中からポケットに入れて、前の動きを見ながらになった分、加速地点で勢いをつけるのがワンテンポ遅くなったのはあると思います。
 その分最後は内から伸びて、ミヤギを交わして前にも詰め寄っていましたが決定的ではなく、ですがこういうスピード色が強い競馬での適性はしっかり見せたと思います。
 あの位置から器用に動けましたし、スタートも抜群でしたので、次は普通に勝ち負けできる馬でしょう。

 3着のミヤギウイングも、少し序盤にリカバーで脚を使ったのと、コーナー外々から早めに押し上げていった分、最速地点では一番いい脚を使ったものの最後は少し止まってしまいましたね。
 枠がもうちょっと内なら楽だったかもですし、やや荒削りなところは見えますが素材としては確かな感じはあります。こちらも切れ味はかなりのものを見せたので、こういう馬場が合った面もあるでしょうが、未勝利クラスなら順当に勝ち上がっていけるはずです。

**★10/14(土) 東京5R 芝1600m戦**

 やや渋った馬場での一戦は、桜花賞馬アユサンの全弟となるマウレアが馬群を割って差し切りデビュー勝ちを果たしました。

 展開は、外目からデムーロJのロンギングファローが押して先頭に立ち、他伏兵勢の先行集団の直後、内目にいたのがマウレアで、その外にコロンバスデイがピッタリマークする形で控えていました。
 ラップは37,2(12,4)-25,6(12,8)-34,5(11,5)=1,37,3(12,17)という推移で、新馬らしく序盤緩く中盤で更に緩んで、そこから加速を伴う3F勝負、という様相でした。

 マウレアはまずまずのスタートから好位をしっかり確保して道中は内目を通して直線、前が壁になっていたので外に持ち出そうとするもののコロンバスデイに遮られ中々進路確保が出来なかったものの、残り300mくらいで前の馬が内に寄れた隙間を通して一気に伸びてきます。
 その勢いのままに逃げ込みを図るロンギングファローを捉え、ラストは中々の持続力を見せてじりじりと引き離す完勝でした。

 正直乗り方自体は危なかっしいところはあったのですが、馬自身の素材はちょっと抜けていたのかな、という勝ち方で、あそこから瞬時に前が空いて加速、馬群を割って競馬が出来たのは収穫にはなると思います。
 血統的にもマイル路線が主軸になってくるとは思いますが、ゆったり入れば2000mくらいは、とも思いますし、血統的に少し渋っても対応できそうなのは強みですね。

 2着馬はこのペースで逃げて、仕掛けも主導してなので、内容的には完敗ですし、持続面や切れ味で特筆したものは見せられていないので、もう少しペースを引き上げて良さが出てくればともかく、直線勝負の形ですと今後も楽に勝てる、とは言いづらいところですね。

**★10/14(土) 京都4R ダート1800m戦**

 良馬場で行われたダートの新馬戦は、ライジングドラゴンが好位から直線入り口で堂々先頭に立ち押し切る、中々強い競馬を見せました。
 同日の500万下が揃って1,53,0ですので、このレースの1,54,3は標準くらいかな、とも思いますが、全体的にスローだったのでまだ時計は詰める余地がありそうですし、勝ち馬は後半要素で面白いものを見せています。

 ラップが38,3-39,1-36,9=1,54,3とはっきり終盤の上がり勝負になる中で、その分仕掛けどころは早く後半4Fが12,6-12,0-12,3-12,6とコーナー中間が最速で、そのあたりからじわっと勝ち馬は動いていきました。
 ラスト200mは完全に自身のラップですので、おそらく12,0-12,1-12,6くらいと、コーナーでずっと速い脚を使いつつ、最後は流してほとんど落としていないので、これは後半要素だけで見ると500万レベルよりも強い競馬が出来ていたと思えます。
 無論ペースが上がってこの機動力と持続性能が引き出せるかの課題はありますが、スタートセンスもかなり良く、要所の反応も鋭かったので、中々に面白い一頭になってくるのではないかと思います。

 2着のグレートタイムも悪くない競馬で、ただこちらは序盤からかなり行きっぷりが悪く、コーナーでペースアップするところでも内々を回して尚ややついていけずに、不器用さを露呈したのはありますね。
 ただ直線で外に出してからの伸び脚は、勝ち馬が緩めていたのはあれ中々に見所があり、おそらく12,2-12,2-12,0くらいのラスト1F最速で突っ込んできていると思います。
 血統的にキンカメ×ミラクルレジェンドでいかにもダートの鬼っぽいですし、藤原厩舎ですので一叩きした次は確勝級なのではないかなと感じます。

**★10/15(日) 東京3R 芝1600m戦**

 重馬場となり、超スローで展開した牝馬限定のマイル戦は、キロハナ、ハナレイムーンの全妹になるオハナが直線鋭い決め脚を発揮して勝ち切りました。

 ラップは38,5(12,83)-28,0(14,0)-34,3(11,43)=1,40,8(12,60)という推移で、いくら馬場が悪いとはいえ極端な中緩みになっています。
 その為に後半ラップが13,9-12,2-11,1-11,0と非常に幅の広い加速を伴う2F切れ味勝負になっていて、持続力はそこまで問われず、あくまでも機動性と瞬発力の質が最重視される内容だったと言えるでしょう。

 そんな中で2着のライレローズがコーナーを外目から押し上げ直線入り口でほぼ先頭、という理想的な立ち回りをしてくる中、その2頭分くらい後ろにいたオハナも直線で外に持ち出して追撃を開始します。
 残り400mで4馬身、200mで2馬身くらいの差があるところを、最後しっかり捉え切っていますので、この馬自身は12,2-10,7-10,7くらいの上がりを使っていて、この馬場で2F10秒台を並べてきたのは、質の面でかなり秀でたものを保持していると言えるでしょう。よくこれを差し切った、とは思います。

 ただ当然超スローの中での切れ味ですので、ペースが上がってどうかは疑問符が付きます。
 キロハナもハナレイムーンもどちらかというとスロー専門のところがありますし、そのあたりで兄姉の素材を上回ってくれば面白い、と言えますが、現時点ではまだ未知の部分が多過ぎるのでなんとも、ですね。

**★10/15(日) 東京4R 芝1800m戦**

 こちらもかなりの中緩み展開になる中、コーナーで外目から押し上げて前に取りついたギャンブラーがそのまま押し切り、石橋Jは3Rに続いての新馬連勝となりました。
 ラップは37,2(12,4)-39,3(13,1)-35,4(11,8)=1,51,9(12,43)という推移でかなりのスロー、後半4Fが13,1-12,0-11,4-12,0ですので、後半要素で目立った素質を見せられた馬があまりいない中、緩みに乗じてしっかり押し上げたギャンブラーが持続面で良さを発揮したイメージですね。

 ギャンブラーはほぼ4コーナー出口で先頭でしたので、上がりから逆算すれば11,5-11,4-12,0とコーナー地点でかなり速い脚を使っている計算にはなり、この馬場とペースの中でラストを12,0でまとめてきたのはまずまず、だと思います。
 相手関係が弱かった、とは思いますが、機動力と持続力面は中々ですし、ハービンの仔ですのでこういう馬場でのスローロンスパに近い競馬は噛み合うところもあったでしょう。
 切れ味はそこまで高くなさそうですので、良馬場でスローだとどうか、ペースが上がってどうかと課題も多そうですが、中距離路線で楽しみはありそうです。

**★10/15(日) 京都4R ダート1200m戦**

 この日は午後になって雨脚が強まる中、このレースの時点ではまだ稍重発表のダートで、クレヴァ―パッチが好スタートからハイペースに持ち込み、そのまま楽々押し切る強い競馬を見せました。
 同日の1R未勝利戦が1,14,8、最終で重に変更になった1600万下が1,11,1という時計でしたので、このレースの1,12,8は新馬としてはかなり凄みのある時計ですし、他の馬とは絶対的なスピードが違った、という感じですね。

 ラップ的にも35,0-37,8で、道中一切緩みのない一貫減速消耗戦ですので、勝ち馬にしても出し切った時計とは思いますが、純粋にこのスピード能力なら500万レベルなら楽にクリアしてこられるでしょう。
 血統的に距離が伸びてどうかは難しいところですが、母父ディープでかなり軽快なスピードを見せているので、一度くらい芝の短距離を試してみてもいいかもしれません。
 ダートでも1400mまでは充分に対応できそうですし、スムーズな競馬が出来るなら今後も楽しみですね。

 後続の中では上がりダントツで追い込んできた3着のマイネルレヴリーには変わり身がありそうです。
 スタートは良かったのに序盤から二の足で全くついていけていないので、明らかにもう少し距離があったほうが良さそうです。
 とりあえずダートスタートの1400mなら、と思いますし、最後の脚は光るものがあったので、もう少しポジションを取ってどこまでやれるか注目しておきたいですね。

**★10/15(日) 京都5R 芝1800m戦**

 芝もこの辺りからは大分湿ってきて、時計的にも極端に速いラップは踏みにくい条件になってきていたと思います。
 その中で勝ったのは、マウントシャスタやカミノタサハラ、クリアザトラックなどの全弟になるフォックスクリークでした。本当にこのクロウキャニオンの子供は、決して大当たりはしないけどみんな揃ってOPレベルまでは上がってきて大したものですし、この馬がそのあたりの壁を破れるかも面白いところです。

 ラップが36,3(12,1)-38,0(12,67)-36,7(12,23)=1,51,0(12,33)という推移で、テンはそこそこ流れて中盤緩み、けれど仕掛けは遅めで後半2F勝負、という流れの中で、勝ったフォックスクリークはスタートから好位外目に位置します。
 直線手前からしっかり外を通して進出し、残り200mで先頭に立つところに、2着馬のドラセナの急襲を受けますが、残り100mでもう一度突き放して勝ち切る、中々に味のある競馬が出来ましたね。

 馬場が読みにくいので時計面やラップ推移で派手さがないのがどうか、判断も難しいですが、ある程度前に行って追走を問われ、緩みに合わせてからの直線勝負で、しっかり勢いをつけて入ってきたドラセナを差し返す形で凌いだのは地力の証明と見ていいと思います。
 スタートの良さやポジショニングは今後も武器になりそうでしたし、後は良馬場で鋭さを増してくれば素材的には充分上位クラスでも、と思わせますね。
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2017 もみじS・紫菊賞・プラタナス賞 レース回顧

**★もみじS(芝1400m戦)**

 秋華賞と同日の、雨が強まる中での一戦となったもみじSは、未勝利で強い勝ち方を見せたダノンスマッシュが圧倒的な一番人気に推され、それに応える形で好位から抜け出し圧勝しました。

 馬場表記はこの時点ではまだ稍重でしたが、降雨の雰囲気からするとかなり重くはなってきていたと思います。少なくとも良馬場から1,5秒くらいは上乗せして考えて問題ない条件ではなかったかと感じますね。

 展開は、まずナムラバンザイが積極的にハナを取り切り、それを北海道の1200m戦で結果を残してきているリンガラポップスが早めに追走していきます。
 ダノンスマッシュは絶好のスタートを切るものの、特に促すことなく馬なりで内の2頭を前に行かせて3番手でしっかり折り合いに専念、一方スタートではちょっと出負けしたアーデルハイゼは、少頭数で近くの馬が前に行っていたこともあり、序盤でリカバーして中団、ダノンスマッシュを内から見る位置につけます。
 その外に外枠の伏兵3頭が追走して、ミッキーマインドは注文を付けて最後方から脚を溜める形で進めていきます。

 ラップは36,4(12,13)-12,2-34,8(11,6)=1,23,4(11,91)という推移でした。
 どうしても一気に渋り始めた条件で、前も中々突っ込んでいけない、というのはあったでしょうし、この時期の2歳戦でもありますから、極端ではない現実的なスローペース、というのも致し方ないところでしょう。

 かつレース全体の仕掛けも遅く、後半の推移が12,2-11,8-11,6-11,4と段階的にじわじわ加速していく流れで、逃げたナムラバンザイとしてはスローに落として本仕掛けも直線まで待てた最高の形でしたが、しかし素材の違いでダノンスマッシュが突き抜けた事でラスト1F最速ラップを踏む事となっていますね。
 全体としてはあまり追走は問われず、仕掛けも遅いので要所の反応も問われにくい2F戦、という様相で、この馬場に対する適性と、もう少し長い距離向きの内容を示しているのかなと感じました。

 そういう諸々を差し引いても、勝ったダノンスマッシュの強さは鮮烈でしたね。
 この馬のいいところはとにかくスタートが抜群で、そこから折り合いにも苦労しない、というあたり、この前のサウジアラビアロイヤルカップを勝ったダノンプレミアムにも通じるところがあって、今年のダノンはセンスあるいい馬が揃ったなぁ、と思います。

 この馬の上がりは34,2で、直線入り口ではナムラバンザイがそこそこ出し抜く形で4馬身近く離れているので、この馬の推定は11,8-11,2-11,2くらいだと思います。
 他のレースとの比較でも、かなりのスローペースとはいえこの日の午後の馬場で11秒前半の切れ味を引き出す、しかも2F続けてくるというのはかなり難しかったと感じますし、タフな馬場に対する適性と、そして改めてスローバランスでの後半要素の凄みを見せてきたのかなと感じました。

 この馬は新馬戦もかなり強い競馬はしていたのですが、それでも激流に巻き込まれて最後まで粘りつつも差し込まれてはいて、ハイペースにも一定ライン対応はしてくるけれど、本質的にはスローバランスでこそ、と見ていいとは思います。
 前走の未勝利もラブカンプーに楽勝でしたし、ラブカンプーは今週ようやく相手に恵まれて未勝利を圧勝で勝ち上がりましたが、そのあたりの比較からも素材としては既に重賞クラスとは感じますね。

 あまり急かされない方がいい、という意味で、今のところ見せている正統的なロードカナロア産駒の強い馬、って思いますし、これだけしっかり折り合いがつくので距離延長はむしろ歓迎でしょう。
 まだ仕掛けが速くなって3Fの持続力勝負でどうか、という課題はありますが、少なくともそれ以外の面ではかなり阪神マイルにフィットする適性を見せていますし、朝日杯はかなり有力、と思っていいと考えます。
 マイルになれば平均ペースくらいでも追走に苦慮はまずしないでしょうし、あまり外枠でない限りは前目から堅実に圏内に食い込んでくるイメージを持てますね。

 ダノンとしては、この馬が朝日杯で、プレミアムがホープフルSという使い分けでピッタリ、という感がありますし、カナロア産駒でもステルヴィオより素軽い対応ができるタイプですので、先々名マイラーになれる素養はあると思います。

 2着のアーデルハイゼも悪い競馬ではなかったですが、勝ち馬のスケールには完敗でしたね。
 しっかりリカバーを効かせて、内目を通しての直線勝負は、血統的にも噛み合う部分だったとは思いますが、それでもエイシンフラッシュ産駒だけに、本質は良馬場でもっと加速や一瞬の切れを問われた方がいいタイプなのかもしれません。
 ただ、比較的タフな競馬だった新馬勝ちとはまた違う適性で良さを引き出してはいるので、トップクラスには中々難しいものがあるとは思いますが、フェアリーSとか微妙なところでいい走りをしてきそうな感じもありますね。


**★紫菊賞(芝2000m戦)**

 土曜の京都はまだ高速馬場を保っている中で、マイハートビートが最後方から一気のイン差しで、素質馬トゥザフロンティアを凌ぎ切り2連勝を飾りました。

 展開はまずタニノミステリーが逃げ、番手にニシノベースマン、それを外から少し気合をつけてトゥザフロンティアが追いかけます。
 その後ろにドンアルゴス、次いでシースプラッシュがいて、マイハートビートはやや二の足がつかずにゆったりと最後方から、6頭と少頭数の競馬らしく、序盤は隊列が密集しない形で淡々と進んでいきます。
 
 ラップは35,7(11,9)-49,4(12,35)-35,3(11,77)=2,00,4(12,04)という推移でした。
 レース全体で見るとやや中緩みがある平均ペース、という形ですが、これは離して逃げた馬のペースですので、実質的にトゥザフロンティアから後ろの馬はもっとスローバランスで入っているでしょう。

 中盤の推移が12,1-12,2-13,0-12,1で、1Fだけ極端に前が緩めている地点があり、画像でもはっきりわかるのですが、後続はその1000-800m地点で、前のペースを合わせずフラットに進出して取りついており、一気に馬群が凝縮しています。
 それを踏まえても、レース全体のハーフバランスは60,0-60,4ですが、トゥザフロンティアのあたりでは61,0-59,4くらいと見ていいでしょう。

 それでも一定は流れている現実的なスローから、5Fのロンスパ戦の様相が強く、仕掛け自体はラスト3Fが12,0-11,6-11,7であるようにそこまで早くはありません。
 ロングスパートの流れの中から最後もう一段加速出来た馬、という見立てでいいですし、極端な影響ではないにせよコーナーの立ち回りも少しは結果に響いたのかなとは感じます。

 勝ったマイハートビートは、腹を括っての後方待機でしたが、その分3~4コーナーでしっかり内目から進出出来ましたし、直線もスッと進路を確保、最後までしっかり伸び切ることが出来ましたね。
 レースの形としてはコーナーの通す地点で2、3着馬よりは恵まれているので、地力の面で抜けているとは当然思わないですが、コーナーをタイトに回って加速できる器用さと、ロンスパでしっかりしぶとく脚を引き出せる持久力面の良さは感じさせました。
 それにしても改めて、ルーカス戦の掲示板メンバーの強さは光っていますね。真打ち登場の東スポ杯が今から実に楽しみです。

 2着のトゥザフロンティアも、芙蓉Sよりは序盤のポジショニングなど常識にかかってきて、あと一瞬の反応が鈍い馬ですので、ある程度淡々と流れて加速力が問われにくい展開になったのもプラスだったと思います。
 ただ正攻法で外々を回したとはいえこの頭数ですし、それで後ろから、インから差し込まれるというのはあまり印象のいい負け方ではなく、純粋な素材面でも少し足りない感じはまだ付きまといますね。
 でも距離自体はこれくらいあっていいイメージですし、むしろもっとペースが流れてしまった方が楽かもしれません。中距離で総合スピードを活かして、というのが、それこそトゥザヴィクトリー血統の特質的なところもありますから、常にしっかりポジショニングを意識してレースに臨んで欲しいかなと思います。

 3着のドンアルゴスは、コーナーで外に膨れるところでの戒告が出ていますけど、レース内容としてもその頭数でなんでそこまで外を通すか、ってイメージはありましたね。
 その点ではっきりトゥザフロンティアよりもロスは大きかったと言えますし、それでもラスト1Fは伸びてきていて、素材面では1~2着馬よりも面白いものがあるかも?とは思わせる走りでした。
 新馬は前目で受けての持続戦でいい味を出していましたし、この馬も理想はこのくらいの距離でポジションを取って、になるでしょうか。難しさはありそうですがしっかり矯正してくれば、まだ奥行きはありそうです。


**★プラタナス賞(ダート1600m戦)**

 去年はエピカリス、一昨年の3着馬にケイティブレイブと、中々の素質馬を輩出している伝統の2歳ダート戦・プラタナスS。
 今年は圧倒的な人気に推されたルヴァンスレーヴが外から楽~に抜け出して持ったままのレコード勝ち、同厩舎の先輩エピカリスに続いて、ダートチャンピオンに向けての階梯を一つ力強く駆け上がってみせました。

 当日のダートは終日不良で、なのでレコード自体は驚くほどではありません。
 500万下のマイル戦でも、45,9-49,5の超々ハイペースとはいえ1,35,4が出ていますし、ややハイ程度の流れでこの時計なら、この時期の2歳馬としては優秀な部類には当然入ってきますが、かなり特殊な適性や展開面の噛み合わせもあったレースですので、そのまま鵜呑みにするのは危険はある、とは感じています。

 展開はまず最内のスペースファルコンが逃げて、好スタートのソリストサンダーが番手につけます。
 その一列後ろに伏兵陣がついていって先団を形成する中、やや立ち遅れたルヴァンスレーヴは、じわっとダート地点に入ってからリカバーして先団の後ろ、いつでも外に持ち出せる位置でどっしりと構えます。
 その後ろにこちらも出遅れたマイネルユキツバキがいて、外目のフィールシュパースも芝地点でダッシュが効かずに後方から、初ダートのロードトレジャーもスタートで後手を踏んでほぼ最後方からの競馬になりました。
 
 ラップは35,5(11,83)-25,2(12,6)-35,5(11,83)=1,36,2(12,02)という推移でした。
 ハーフで見ると47,8-48,6とややハイくらいですが、3分割で見ると明確に中緩みが顕著です。
 特に5F目の12,9が突出して遅く、そこから12,1-11,6-11,8と段階的に加速して最後まで落とさない流れで、この緩い地点でしっかり前に取り付けていった方が流れ的には楽だったのは間違いありません。
 ただ全体で見れば一定の追走力、そして後半の加速力と切れ味、持続面もそれなりには問われていて、総合力勝負で底力がはっきり出た一戦と考えてもいいのかなとは思っています。

 勝ったルヴァンスレーヴは、相変わらず荒削りな競馬であることは間違いないですが、それでもやはり素材としては特級品だというのを示したと思います。
 スタートこそ出遅れたものの新馬よりは大分改善されていて、しっかり中団、前に馬を置いても落ち着いて競馬が出来たのは収穫になったろうと思いますし、このペースに楽々ついていけたのも雄渾な素質を感じさせるところです。

 残り800mから外に出して、前の淀みに合わせずに外からフラットに押し上げていったのは、いかにもデムーロJらしい強気の戦法ではあり、実際にそれが流れに噛み合ったのもここまで楽勝出来た要因だとは思っています。
 それでも直線入り口からしっかり加速して最速ラップ11,6とそれなりの切れ味は示しており、ほぼ馬なりのままラストまで落とさなかったのも素晴らしいところです。
 新馬はかなり重いダートの日でしたので、そこではっきり持久力勝負になっても全くバテない強みを見せていて、この日はダートでの瞬発力・持続力面もしっかり見せてきたので、順調にチャンピオンへの階段を上っていると見ていいでしょうね。

 贅沢を言えばもう少しスタートが上手くなれば、と思いますし、距離もマイルでスピード特化、例えば上で触れた500万みたいに超ハイペースまで入ると少し分が悪い面も出てきそうなので、1800m~2000mがベストに感じます。
 ただ追走はそれなりに出来ていますし、それこそケンタッキーダービー路線を視野に入れても、と感じさせるスピード感、フットワークの良さはありますね。先々が本当に楽しみな一頭です。

 2着のソリストサンダーは、距離が伸びたものの軽いダートになってスピードを存分に生かせたのはあるでしょう。
 この馬は緩みに合わせた競馬をしているので、かなり加速度の高い流れで直線序盤は食い下がっていて、底力はともかく器用さはかなりのものと感じましたので、1400m~1600m路線で前受してレースを主導する形、それこそコーリンベリーの様なタイプに成長していけば面白さがありそうですね。

 3着フィールシュパースも、前走に引き続き長くいい脚を使う所は見せられたと思います。
 ただ最速地点での切れ味はあまりなく、そこでははっきりロードトレジャーには見劣っていたのを、ラスト100mのしぶとさで差し返す形になっていて、直線が長いコースは合うでしょうが、距離的にはもう少し欲しいかなと感じます。1800~2000mの方が安定して強そうですし、この日の流れでも後半要素の良さは削がれていないので、中距離でハイペース、が一番ベストな条件かなと思いますね。
 後は明らかにエンジンを早めに吹かして、出し切る形を取ったほうがいいと感じますし、一度ブレーキすると再加速が得意なイメージはないので、そのあたりを上手く意識して乗ってくれる騎手を選ぶ馬、かもしれません。

 4着マイネルユキツバキは出遅れが響いた感はありますが、直線馬群の狭い所をこじ開けるように伸びてきた脚には見所がありましたし、結構新馬から期間を空けての一戦でもありましたので、ここで叩いて次の良化には期待できるかなと思います。
 5着ロードトレジャーも同様に出遅れなければ2着争いまでは、というのはあり、あと後半要素としては一瞬の切れはかなり鋭く、ここはこのメンバーでも最上位に感じました。
 ただその分ラストやや甘くなったのもありますし、その切れ味の使いどころが難しいタイプでしょうね。流れ的には消耗戦よりスローで団子、とかの方が合いそうですし、中団くらいからスパッと瞬発力の質で一気に先頭に立ってしまいたい、それが勝ちパターンになってきそうなイメージの馬です。
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2017 10月第3週海外GⅠ レース回顧 その他雑談

**★デューハーストS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=bXd202HI8OE)**

 イギリス2歳牡馬のチャンピオン決定戦のひとつ、日本で言えば朝日杯みたいな位置づけのデューハーストSは、ミドルパークSを勝って個々に臨んだユーエスネイビーフラッグ(カタカナで書くと名前がダサく感じますねこれ。。。)がハイペースの逃げから堂々押し切りました。
 このレースはオブライエン厩舎が1~4着を独占、かつ1番人気のエキスパートアイをかっちりハイペースで削り切ってと、中々に迫力のある内容になっています。
 これでオブライエン厩舎はGⅠ年間最多勝の新記録にマジック2のようですね。来週は英チャンピオンズデーが控えていますし、そこでの達成も視野に入ってきたという所でしょうか。

 この時期のニューマーケットにしてはかなり馬場が乾いていたようで、勝ち時計の1,22,37はこのレース史上最速でもあり、かつ内容的にはスピード勝負の舞台で良さを引き出してきた勝ち馬が、自らハイペースを刻んで後続を追走で削ぎ切った、という印象があります。
 なので更に1ハロン伸びるギニー路線でどうか、或いはスプリント路線を選択するかも、という馬ではありますが、このスピード能力は中々ですし、叩き上げの中で力をつけてきているので来年も楽しみですね。

**★フィリーズマイル [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=yJWhU019niU)**

 こちらは大きい映像見つけられなかったのですが、ともあれ牝馬のイギリス2歳チャンピオン決定戦のひとつとなるフィリーズマイル、ここは逆にオブライエン勢のマジカルとセプテンバーが人気を集めていたものの、人気薄の伏兵ローレンスに押し切られる形になりました。

 こちらも例年以上に時計は出ていてかなり堅い馬場だったと推測されますが、その中で人気のマジカルは、前走のフランス遠征と堅い馬場が応えたか外目から伸び切れず、そしてセプテンバーは残り400mあたりからずっと前が壁、という状況で、前がクリアになった残り100mから猛然と前を追い詰めるものの鼻差届かず、という悔しい敗戦となりましたね。

 セプテンバーはモイグレアスタッドSではマジカルに完敗していますし、こちらは母方の血統はともかく、ディープらしく軽い馬場でパフォーマンスを上げてくるタイプのようですね。
 明らかにこのレースは時計の出る軽い馬場は味方になっていましたし、ギニーからオークス路線でも馬場に恵まれればチャンスはあるかも、と思わせる走りでした。来年も注目していきたいところです。

**★ジ・エベレスト [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ySz-n9VK8tc)**

 アメリカのペガサスワールドカップに倣って設立された、各陣営が出走枠を買って莫大な賞金のレースを作り上げるシステムのオーストラリアのスプリントGⅠですね。
 総賞金が10億とか中々に破格の設定ですが、流石にこの路線では他からの遠征もほぼ見られずに、地元の馬が強いレースを見せています。

 ラップ推移は34,1-34,2くらいのバランスで、向こうはおそらくスタートの計時が日本とは違うので実質1秒程度のハイペース、それを番手外で追走して早めに抜け出し、楽々と突き抜けた勝ち馬のレッドゼルは相当の器ですね。王道的なスプリントチャンピオン、という感じです。
 その相手に、日本から移籍したブレイブスマッシュがかなり肉薄するレースが出来ていて、中団から馬群を縫い、レッドゼルの真後ろを通す戦略も良かったものの、しっかり直線で伸びて、最後は大外から鋭く差し込んできた2着馬に屈して3着となるものの、中々に味のある競馬を見せてくれました。

 次に紹介するレースでも、トーセンスターダムがようやく向こうで初GⅠ勝利を上げたわけで、しっかり適性や環境面で噛み合えば、日本のOP馬が移籍すればトップクラスでも伍していける、というのが改めて目についた内容ではありますね。
 アドマイヤデウスもどのくらいの競馬が出来るか非常に楽しみですし(と書いた直後に故障のニュースが…………競馬につきものの話とは言え切ないですね)、アンビシャスも中距離路線ならかなりやれそうで、今後日本で少し頭打ち、という馬の青田買いが加速する傾向は見られるかもしれませんね。

**★トゥーラックハンデキャップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=EkU0lbm_pyo)**

 上で触れた通り、トーセンスターダムが大外ぶん回しから豪快に突き抜けて初GⅠ勝利を飾りました。
 まあハンデGⅠですし賞金も3000万くらいと、実質的なレースレベルは見知ったメンバーがほぼいないところからもお察しですが、それでもややハイくらいの流れを大外から楽々突き抜け、トップハンデで快勝するあたり、随分と素軽いイメージに変わったなぁ、という感じです。皐月賞で追走に汲々としていた姿が懐かしい。。。

 どうあれ日本で馴染み深い馬が、移籍後に活躍してくれる、というパターンも中々に楽しいものはありますし、今後はより強い相手に頑張っていって欲しいですね。

**★JC登録馬について**

 今日発表された一次登録では19頭がエントリーしていますね。
 無論例年通り最終的には多くても4~5頭しか来ないんだろうなぁ、とは思いますけれど、ただちょっと驚きなのは、登録だけとはいえウィンクスの名前が!
 そりゃあ99.99%来ないだろう、とは思うのですけど、もしも万が一でも来てくれたら超テンション上がりますけどねぇこれ。
 ただ少なくとも今年の場合、オーストラリアの馬は検疫の関係で香港に行きづらくなっている筈なので、その意味では有り得ない話ではないのかも、とか思っちゃいます。
 まぁ検疫が厄介なのは日本もですし、その辺難しいとはいえもう少し融通の利く処置は出来ないものかって思うんですけれども。

 現実的なところでは、ある程度の実績があるイラプトやイキートスはくるかも、ってのと、オブライエン勢もどれか使ってくるかもしれない、って所でしょうか。
 ハイランドリールはBCから香港が主軸っぽいでしょうけど、今年はBCが西海岸で使いづらい事情もあるので、JCから香港のタフなローテを選択する可能性も零じゃないかも?と期待したくなりますね。
 セブンスヘヴンも意外と軽い日本の馬場合うと思うんですけどね、後はカナダでは惨敗して重い馬場が?って感じになってきた、ハイランドリールの弟のアイダホもワンチャあるかも、って感じです。
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2017 秋華賞 レース回顧

 氷雨篠突く淀の舞台、金襴緞子が泥まみれ、など懐かしいフレーズも彷彿とさせる、レース史上はじめての重馬場決戦となった秋華賞は、後方から完璧な立ち回りを見せたディアドラが、最後前を行く2頭を力強く差し切って勝利しました。
 父ハービンジャーにしてもこれが悲願のJRA初GⅠ勝利となり、3着のモズカッチャン含めて改めてヴィンテージイヤーであった事を示すと同時に、タフな馬場でのタフなペースで、強い馬が強い競馬をするいいレースになったと思います。

 今日の淀の馬場ですが、午前中まではまだ良発表だったものの、午後過ぎくらいからかなりの降雨量があったようで、段階的に時計の掛かる馬場にシフトしていった感があります。
 7R以降の芝レースでは、スローでもそこまで鋭い脚が使えない条件にはなっていたと思いますし、その中でしっかり流れて2,00,2でまとめてきたのは、改めて世代レベルの優秀さを浮き彫りにしたとも感じています。
 当然このタフな馬場に対する適性は問われましたし、その上で概ね純粋な能力勝負になったかなと見ています。

 レース展開は、まず注文通りにカワキタエンカが飛ばしていきます。
 アエロリットもまずまず好スタートでしたが、カワキタエンカの動きを見ながらじわっと入っていく中で、外から勢いをつけて番手外を取り切ったファンディーナに蓋をされ、序盤はポケットの位置取りで少し力むところを見せていました。

 その後ろにブラックスビーチとモズカッチャン、外からレーヌミノルが好位に取りついていって、インからラビットランも早めの位置取り、メイショウオワラにミリッサ、カリビアンゴールドあたりまでが中団につけていました。
 スタートでちょっと出負けしたリスグラシューは、無理のない範囲でじわっとリカバーしつつ中団の少し後ろ、同じく出負けしたディアドラは枠の並びもありそれより更に後ろで、少しずつ進路を内目に取っていく戦法に出ます。
 ポールヴァンドルにリカビトス、ハローユニコーンあたりが最後方に近い位置取りで、途中からカワキタエンカがかなり飛ばしていった事と相俟って、かなり馬群は縦長に広がる形で進んでいきました。

 ラップは35,6(11,87)-47,6(11,90)-37,0(12,33)=2,00,2(12,02)という推移でした。
 序盤・中盤共に極端ではないですが息の入らない淡々とした速い流れになっていて、4コーナー手前で前が少し引き付ける形となり、後半のラップ推移は12,0-12,1-12,5-12,1-12,4となっています。
 どの地点でも後半は切れ味をほとんど問われない一貫した持久力戦の様相を呈していますが、細かく見ると前が少しペースを落とした12,5の地点でどれだけ積極的に取り付いて、ポジションを上げていったかはポイントになってきます。

 ただそこで動く場合、当然後半はロングスパートの形で息を入れられはしないので、純粋な能力とスタミナ、後は多少なりコーナーの立ち回りも成否を分けた所ではあると感じます。
 ですがそれも細かいレベルで、実質的に実力上位の馬が掲示板を占めてきていますし、渋ってスタミナ色がやや強くなった面はあれ、この条件での有利不利はほとんどないいい勝負、いいレースだったと思っています。

 勝ったディアドラに関しては、ここにきての馬の充実度もさることながら、テン乗りのルメールJのエスコートも完璧で、展開が噛み合ったのも含めて素晴らしい勝ちっぷりを見せてくれましたね。
 
 スタートはどうしてもそんなに速くない馬ですし、この枠ですからいいポジションは取れないと最初から覚悟した上で、序盤は後方でじっくり脚を溜めつつ、こういう重い馬場も札幌の経験が生きたか、内目に潜り込んでも脚色が鈍ることなく楽に追走していきます。
 ペースが流れてくれて、後方からでもスペースが作りやすかったのもプラスでしたし、勝負所の800m付近から前の馬が勝負に出るのを見定めつつ、器用にインを立ち回って、けれどきちんと手応えのある馬の後ろを選んで、ノンブレーキで直線までほぼインベタで踏んでこられたのは流石の進路取り、と唸るしかありませんでした。
 つか正直最初の観戦時は、外から押し上げるモズカッチャンとリスグラシューしか見えてなかったので、直線で一体どこから来たの?ってくらい完璧に気配を消して忍び寄ってきた感がありましたね。

 4コーナー出口では、ラビットランの手応えを見てしっかりその後ろにエスコート、垂れていくファンディーナとの間を斜めに横切ってべストのタイミングで外に出せましたし、2、3着馬が早めに外から押し上げて脚を使っていたのに対し、こちらはコーナーで我慢しつつポジションを上げられた、その差が最後の100mの鮮烈な伸びに繫がったと見ていいでしょう。
 この馬自身はラスト1Fは11,8くらいだと思いますし、前走とは全く質の違うレースながら、持続力戦でも持久力戦でも最後までラップを落とさず差し込んでこられるのは本当に素晴らしい能力、資質だと思います。

 馬体重も増えて更にパワーアップしていましたし、結果的にこの馬場とも展開とも噛み合い、あの枠をプラスに転じた、という意味でも素晴らしい騎乗、素晴らしい勝利だったと感じます。
 ただ絶対能力的には上位3頭は拮抗してるんじゃないかな、というイメージですし、どの馬も距離伸びることに不安はあまりないので、この上位陣がそのままエリ女に出てくるなら楽しみは大きいですね。

 2着のリスグラシューは仕方ない負け方ですね。
 スタートはこういう馬ですし、でもそこからしっかり道中で息を入れつつもじわじわ進出していって、モズカッチャンが早めに仕掛けたのを見て相手はあの一頭、と決めたような動き出しを見せてきました。
 どうしてもその分外々を回るロスはありましたが、この4コーナー地点は12,5と後半の中でも一番遅いラップになっていますので、結果的にモズカッチャン共々致命的なロスには決してなっていない、むしろフラットにブレーキを踏まずに入っていけた点ではプラスだったと思っています。

 この馬はとにかく要所の反応が良くないタイプですが、今日は前半流れて重い馬場にもなったことでその弱点がほとんど露呈しませんでしたし、直線でもしぶとく脚を伸ばして最後の最後でモズカッチャンを捉えたのは流石の意地、という感じでしたが、ディアドラにああまで完璧に立ち回られては抵抗しようもありませんでしたね。
 これで3度目のGⅠ2着と、相変わらずどうしてもあと一歩が足りないもどかしい馬ですし、スローからの切れ味勝負になりやすいエリ女よりはここの方が、とも思っていたのでそこは残念です。でも力は出し切った素晴らしい立ち回りだったと思いますし、今日は勝ち馬を誉めるしかないでしょう。
 エリ女でも渋ってくればチャンスは広がりますし、どこかでタイトルを取って欲しい馬なんですけどね。
 
 3着モズカッチャンも改めて強い競馬、かついかにもデムーロJらしい強気一辺倒の競馬で、レースを非常に面白くしてくれたと思います。
 今日は枠が良かったので、スタートをしっかり決めて楽に先行できましたし、道中はインベタで前を追いかけ過ぎずに脚を温存出来ました。
 この馬の位置で丁度平均ペースくらいの走破だと思うのですが、ペースが速い分コーナーで淀むと判断したか、残り800mからスッと外に出して一気に押し上げていく判断、というか天性の勘はいかにもデムーロJ、という立ち回りで、実際にそれがラップともしっかり噛み合って、淀みに合わせて我慢していたアエロリットとファンディーナを一気に捲り切って直線入り口で堂々と先頭に立ちます。

 そのまま押し切るか、と思えましたが、流石にラストは少し甘くなり、1、2着馬の差し込みを許しての惜しい3着でした。ですが、馬の力は完璧に引き出し切るいい騎乗だったと思っています。
 個人的な反省としては、ローズSの内容からハイペース適正は高くない、と思っていたのですが、多分この馬はもっと純粋に、時計の速い決着そのものがあまり良くないタイプだったのでしょう。

 今日のように渋った馬場での相対的なハイペース、そして後半で切れ味を問われない持久力戦ならしっかり差し込める、と証明できましたし、後はトライアルからしっかり状態も上がっていたのでしょう。
 勝ち馬共々ハービンジャーの仔で、その点が噛み合ったとも思えますが、それでもこういう競馬で勝負出来たのは次に向けての収穫になると思います。
 こちらは距離はもうちょっと長い方がいい、多分2400mがベストのタイプに感じますので、エリ女で勝ち負けに持ち込むならばまた早仕掛けで、速いラップを分散させていく必要性はありそうですね。

 4着ラビットランも、前走とは真逆に近い展開の中で内々からしぶとく脚を伸ばしていて、純粋な絶対能力の高さは見せてくれたと思います。
 枠が良かったこともあり、序盤はしっかり中団と勝負出来るポジションにつけられましたし、内目を立ち回ってもスムーズにコーナーで反応できていて、決して外一気だけの馬ではない、という所を証明できたのは今後に向けての収穫でしょう。

 ただ流石に一切切れ味を問われない持久力戦では、純粋なスタミナ面で上位に伍せるだけのものはなかったかな、と思いますし、理想は良馬場の1600~2000m近辺になってくるのでしょう。
 適正だけなら秋天の方が噛み合うと前走でも思ったので、来年その舞台に立てるくらい実力と実績を積み重ねていって欲しいですね。血統面だけでは推し量れない逸材だと思います。

 5着カワキタエンカも自分の競馬に徹して、先行してきたアエロリットとファンディーナに先着したのは褒められていい内容だったと思います。
 重い馬場も苦手ではないですし、しっかり速い流れを主導して後続の脚を削ぐ形で良さが出るタイプではあるので、そこを前走ほど完璧ではないにせよきちんとエスコートは出来ていたと思います。
 これでもラビットランに差し込まれているように、素材的にはどうしても見劣るのは確かですが、昨日のクロコスミアのように、展開と馬場が上手く噛み合えば強い馬相手でもチャンスを見出せる武器は持っている馬、と思うので、今後も注目していきたいですね。

 7着アエロリットは、やや難しい競馬になりましたね。
 序盤やや様子見で入っていったところに、気合をつけて一気に上がってきたファンディーナに締められ、狙っていたであろう番手外をスムーズに取れなかった事と、その後しばらくファンディーナと並走する形でテンションが上がってしまったのは誤算だったとは思います。

 クイーンSではコーナーで引き付けてからもう一回脚を使えましたが、今日の馬場でこのペースですと流石にスタミナ面で心許なかったのか、という感じで、モズカッチャンの押し上げに抵抗できる雰囲気がありませんでした。
 最後は鞍上も無理しない形で手綱を抑えていましたし、良馬場での軽いスピード勝負ならともかく、ここまで悪化しての重馬場では厳しかったと言えるでしょう。それでもこの馬なら、と思いましたが見立てが甘かったですね。
 馬体も-10kgと少し寂しく映りましたし、やはり血統面や所属の壁など少しずつ積層した負の要素に加え、この競馬で上位3頭は非常に強かったので、その意味でも今日は力負けでしょう。

 この感じですと、次使うならマイルチャンピオンシップの方が確実に良さそうですね。
 ただ桜花賞と合わせて輸送が得意でない可能性もありますし、ここで無理をせず来年のヴィクトリアマイルに照準を合わせておくのもアリかもしれません。どうあれマイルで軽いスピード能力を生かし切る形なら、古馬や牡馬相手でもチャンスはある馬だと思っていますので、改めて期待はしたいところです。

 13着ファンディーナは、やっぱりこのペースにまともについていってしまうとてんでダメ、でしたね。
 重馬場ならもう少し抵抗できるか、とも思いましたが、モズカッチャンとは違い相対的なハイペースでも対応できませんでしたし、はっきりスロー専門、というのは見えたと思います。
 距離ももうちょっとあったほうが良さそうで、あと個人的には一回、不発でもいいから後ろから溜めに溜めて切れ味を引き出す競馬を試みて欲しいです。

 なまじテンのダッシュが速いだけにポジション取りたくなりますけど、そこで既に削がれている可能性は感じるので、春先のパフォーマンスを取り戻すには、思い切った起爆剤が必要でしょう。
 能力は間違いなくある馬だと思いますから、それを存分に引き出せるスタイルを模索して、輝きを取り戻して欲しいですね。
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2017 府中牝馬S レース回顧

 霧雨の舞う肌寒い気候の中での一戦は、スムーズに先手を取ってまんまとスローペースに持ち込んだクロコスミアが、直線も有力馬が進路確保に苦しむ中スイスイと逃げ脚を伸ばして押し切りました。レースを振り返りましょう。

 秋雨前線が長く居座る天気図で、昨日から雨が断続的に降り続くも、極端な雨量ではなく稍重馬場での開催になりました。
 今日の芝レースはその分、どこも馬場を意識してのスローからの3F戦が続出しており、軒並み上がり時計だけが突出して速い、という内容になっています。
 直線は延々11秒台のラップを踏める程度には重くなり過ぎず、切れ味や持続力も普通に問われていますし、全体的には前残りの傾向が顕著ではありましたね。実質的には先週までの良馬場から1秒も時計は掛からないくらいだったと見ています。

 レース展開は、まず注文通り、という感じでクロコスミアが好発からハナを取り切ります。
 その内からトーセンビクトリーが進出してポケット、外目からアスカビレンが積極策で番手外につけ、その後ろにパンゴールやゲッカコウなどの伏兵陣が並ぶ形になります。
 ヴィブロスも一歩目は無難に決めて3列目のインでじっと我慢の展開、その中団外目にキンショーユキヒメ、クインズミラーグロ、ワンブレスアウェイなどがいて、デンコウアンジュがヴィブロスの真後ろでマークする形になりました。

 クイーンズリングはかなり出負けして無理せず後方からじわっと外目に出していき、アドマイヤリードはいいスタートだったものの二の足で少しずつ後ろになっていき、また前の隊列が固まって馬群が凝縮していく中でもじわじわと下げる形になって、最終的には後方2番手のイン、という位置取りになりましたね。

 ラップは36,8(12,27)-37,6(12,53)-33,7(11,23)=1,48,1(12,01)という推移でした。
 大方の予想通り誰もつつきにいかない展開で、馬場のイメージもあったとはいえ序盤も緩く、中盤の緩みもそれなりにあっての3F戦になっています。
 後半ラップが12,5-11,2-11,0-11,5で、コーナー出口から直線にかけて一気に1,3秒の加速が問われ、更にそこから坂地点で11,0と中々の切れ味も問われ、ラストも11,5と落とさない中での持続力も、と、後半勝負に大切な部分が平均的に問われた内容になっているかなと思います。
 基本的には前受した方が有利ですが、まだ緩い地点で外からじわっと押し上げる形でもチャンスは作れた展開ですし、先団にいた馬が伏兵や、切れ味に乏しい馬ばかりだった事で、進路取りなどにも難しさはあったレースでした。

 勝ったクロコスミアは、本当にしてやったり、という完璧な逃げ切りでしたね。
 この馬の場合は切れ味を問われる場合、それをどれくらいゴール手前まで引き付けて引き出せるかが勝負の分かれ目であり、例えば阪神牝馬Sなどですと、下り坂の600-400m地点でせっつかれて最速ラップを踏まされてしまい、その分ラストがかなり甘くなっていました。
 その点今日はローズSほど顕著ではないものの、コーナーから自分のリズムで仕掛けつつまだ全開ではなく、しっかり一番いい脚を直線半ばまで残せたことが、最後持続型の強敵を退けられるポイントになったと思います。

 無論実質的には良に近い馬場でこれだけのスローと仕掛けの遅い展開で、かなり恵まれた勝利とは言えますが、牝馬限定戦は往々にしてこういう形になりやすいので、その中での後半要素の総合的なレベルの高さを見せてくれたなと感じました。
 本番は2200mでちょっと距離的に長いイメージもなくはないですが、今日のように仕掛けをコントロールする形で、坂の下りから加速しつつも本仕掛けは直線、という去年のような形に持ち込めれば決して侮れないとは思っています。

 2着のヴィブロスも、長い休み明けとこの斤量の中で、まず格好はつけた一戦になったと思います。
 最内枠でしたのでどうしてもポジショニングとしてはああなりますし、前の馬が加速面で当てにならなかったので直線半ばまでしっかり進路を確保し切れず、という形になったのは、基本出し切ってこその馬としては勿体ないところはあります。
 ただそれでも加速や最速地点の切れにも互角には動けていましたし、残り200mで前がクリアになってからの持続力は流石で、ドバイ勝ちは伊達ではない、と思わせてくれました。

 当然ここを使っての本番の上積みは期待出来ますし、こちらは距離伸びてプラスの要素もあるかなと思います。
 出来れば坂の下りから本仕掛けが早くなる展開で、スムーズに進路確保できれば、と思いますし、今日にしてもドバイにしても、馬群の中からでもしっかり伸びてこられる馬なので、極端な外枠とかでなければチャンスは充分でしょう。負けはしたものの今日の流れの中では仕方ないと言えますし、自分から動ける枠ではなかったので悲観する事は一切ないと感じました。

 3着アドマイヤリードはうーん、結果的に3着ですけど少なくとも勝ちが見える競馬ではなかった、というのを、あくまで前哨戦だからと取るべきか難しいところですね。
 スタートは結構良かったのですが、そこからのポジション取りで窮屈な方に入ってしまって後方インに押し込められ、かつそこでも腹を括って動けるスペースを確保するのでもなく、淡々と馬群の後ろをついていくだけではありました。

 結果的に直線入り口でも持ち出すスペースがなく、手応えの怪しいロッカフラベイビーがなんとか進出してからやっとこ外に持ち出して進路確保するものの、その時点で前との差は既に絶望的になっていました。
 ただそれだけ充分に脚を溜められたことで、最後残り200mの伸び脚は流石GⅠ馬、というものがありましたね。この地点で軽く4馬身は詰めてきているので、推定10,7くらいで上がっていますが、まぁ壮絶に脚を余してもいます。

 この馬の最大の武器はこの一瞬の切れなのは確かですが、持続力自体もそれなりに持っているので、せめてその切れ味の差を繰り出すところで前に取りついていないと勝ち負けは、となるわけで。
 内を完璧に立ち回ったVMではそれを先頭に立つのに使えましたが、今日は物理的に差せないレベルの位置から使うだけだったので、もう少しなんとか出来なかったものか、とは思います。
 最後クイーンズリングを交わしてはいるものの、あちらの方が外々から早めに押し上げて勝つチャンスを見出す乗り方にはなっているのですよね。せめて下げるならもっとも思いっきり下げ切って、コーナーの遠心力で外に出しつつノンブレーキで直線に入っていくくらいのイメージは欲しかったですし、それだけ末脚特化に持っていってどこまで肉薄できたかは興味がありますけどね。

 馬自身は小兵ながら56kgも克服し、広いコースで改めて強さを見せましたし、スローの方が確実にいいのでそうなりやすいエリ女も楽しみはあるでしょう。
 ただポジショニングはどうしても、ですので、先週のスマートレイアーみたいに、コーナーで上手くインをついて、くらいの思い切りがないと、例え展開が噛み合って出し切れたとしても頭までは難しいかも、とは思いますね。

 4着クイーンズリングは、出負けした時点でスローが見えていた今日は厳しい競馬でしたね。
 ただ後方からじわっと進出して、残り800mからの緩い地点で押し上げているのはデムーロJらしい勝負掛かりの乗り方で、結果的には最後少し止まっている感もありますが、どうあれ今日の流れでは前にいないと厳しかったのでこれは仕方ないとは言えます。

 でも出負けが再発したのは良くない傾向ですし、調子自体は春より良さそうですけれど、本番はまずしっかりスタートを決めることは連覇への必須条件になるでしょう。
 また、この馬も使える脚は長くはないので、外枠よりは断然内枠の方がいいですね。でも噛み合えばまだこのレベルのメンバーでも勝ち切る力は持っている馬だと思います。

 5着トーセンビクトリーは、ポジショニングセンスは相変らず上手いですが、今日の流れでヨーイドンだと流石に切れ負けしますね。
 並び的に外にクロコスミアがいた時点で、どうしてもポケットになってしまう、というのはあり、そこで勝負的に外に張り出して番手外を取りに行く意識があっても良かったとは思いますが、まぁそつなくは乗ってきたと言えます。
 レース全体としてはもう少し流れてくれた方がいい馬ですし、どうしても切れ味が足りないので京都2200m向きではない気もしますが、番手外から仕掛けを主導する形でラップを分散出来ればワンチャンスはあるかもしれません。
 
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2017 エーデルワイス賞 レース回顧

 雨に祟られ不良馬場での開催となったエーデルワイス賞は、地元期待のストロングハートが好位追走から早めに抜け出し押し切る強い競馬を見せました。
 上位5頭まで道営馬が独占し、今年は中央勢の層の薄さと脆さがはっきり出たレースにもなっていますね。

 レース展開は、まず1番人気のシャインカメリアが大きく出遅れるという波乱の幕開けになります。
 ラインギャラントも少し出遅れて後方からになり、そして先行はマサノスマイルとコスモウーノ、そこにジュンドリームとアンジュキッスがついていって、更にその外にストロングハートが虎視眈々と構えていました。
 それをマークする位置にウインジェルベーラとグラヴィオーラがいて、パキラパワーは少しダッシュで負けて中団くらいから、じわじわ内目に潜り込んでいってコーナーをタイトに立ち回ることで差を縮めていきます。

 ラップは34,5(11,5)-37,9(12,63)=1,12,4(12,06)という推移でした。
 馬場の差がどうかは掴み辛いですが、例年は稍重くらいでもこのくらいの時計で走る馬はいるので、その点でも今年は中央勢がかなりだらしなかったとは言えて、そうなれば地方勢もある程度対戦の序列がそのままに入ってきたのかな、というイメージです。
 当然3秒以上の前傾ですので強く追走力は問われていますし、コーナーでの機動性も含めてタフな展開になったとは思います。

 勝ったストロングハートは文句なしの横綱相撲でしたね。
 ある程度距離不問、位置取りも不問で最後はしっかり脚を引き出してきますし、このペースはこの馬にとっても未知だったでしょうが、それでも勝負所でスッと楽に動けているように、タフさと器用さを兼ね備えた非常にいい馬だと感じます。
 最後グラヴィオーラに並びかけられてからもう一伸びした感じもありましたし、将来的にもかなり楽しみな素材ではないかと思います。

 2着のグラヴィオーラもそつなくタイトに回ってきて、勝ち馬マークの戦法が綺麗に嵌りかけたのですけど、最後はちょっと地力の差を見せられたかな、という印象です。
 ただここまで流れる展開でもそこそこの位置は取れて、時計勝負にも対応してきましたので、こちらもレースぶりに幅がありますし、距離延長も視野に入れていって欲しいですね。

 3着リコーデンジャーも、着順が目立たない分人気を落としていましたが、ストロングハート比較ではこのくらい走れる馬ではあるんですよね。
 この馬は多分1200mだとちょっと短いとは感じるのですが、それでも今日は枠が良く、前の速い馬を見ながら楽に追走できましたし、その辺で進境を見せてきたのが次につながれば、というところですね。

 4着パキラパワーは、キャリアの浅さの割にしぶとい競馬というか、あそこからインに潜り込んでくるのは中々に味のあるハンドリングで、馬も狭い所からしっかり伸びていたのは印象的でした。
 総合力的に上位2頭に完敗なのは確かですが、乱戦になると浮上してくるタイプに感じましたね。
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2017 10月第2週2歳新馬・特別戦など レース回顧

 今週もちょっと2歳戦をじっくり精査している余裕がありませんので、3日分一通り見て目についたレースだけまとめて取り上げさせてもらおうと思います。

**★10/7(土) 東京5R 芝1400m新馬戦**

 やや渋った馬場での一戦は、大外枠からスムーズに先行したキャンディケインが直線でしっかり抜け出し、差し馬も完封して問題なくデビュー勝ちを飾りました。
 ラップは36,3(12,1)-12,6-34,7(11,57)=1,23,6(11,94)という推移で、馬場が重かったことを差し引いても前半は緩め、ラスト3Fの切れ味・持続力勝負になっています。

 キャンディケインは大外でスムーズに運べたのも良かったですし、またスタート直後にすぐ先団に取りつくのでなく、ニュートラルにじわじわとポジションをあげていく形を取っていたのが、いかにも馬に負担をかけないルメールJらしい動きだったなぁと思います。
 それが前半緩い流れの中で噛み合った部分はあるでしょうし、ハーツクライの仔なので極端に前半からスピードが求められると辛かった気はするので、そこは恵まれました。

 ただラストの脚は、切れ味こそさほどではないものの、最後までほぼラップを落とさずにしっかり走破出来ており、もう少しゆったり入れる距離で更に良さが出てくるかも、と思わせる内容でしたね。

**★10/8(日) 東京2R 芝1600m未勝利戦**

 ここは、新潟の新馬で完全に脚を余した負け方だった良血馬のアーモンドアイが、中団からコーナーで一捲り、直線もほぼ持ったままで突き抜ける楽勝でした。

 ラップは非常に中盤が緩くなっているので、序盤ポジションが取れないこの馬にとって取りつきやすい展開になりましたし、結果的に早めにエンジンを掛けていったことでしっかり長くいい脚を見せてきたと思います。
 この日もラストの推移は11,3-11,4とほとんど落ちておらず、自身推定は11,0-11,1-11,4くらいですけれど、前走でも感じさせた非凡な持続力は改めて確かなものだと思いますね。

 血統的にも後半型の競馬をして噛み合った部分はあるでしょうし、この雰囲気ですともう少し距離があってもこなせそうですよね。今のところ本当にカナロアの仔はマイラーが多い気がします。

**★10/8(日) 東京4R ダート1600m新馬戦**

 勝ったのは人気のスマートファルコン産駒、ヴェルトゥアルでした。
 外枠から好スタートで主導権を握ると、この時期の新馬としては中々に小気味よいペースで飛ばしていき、中盤で息を入れてからしっかり再加速して突き放す、味のある強い競馬でした。
 ラップも35,3-25,1-37,1と前掛かり度は強いですが、中盤で息を入れた事と、本仕掛けを遅らせられたことで、ラスト2Fは12,2-12,2と落とさずに走破出来ており、中々に素材として楽しみがある勝ち方でしたね。

 この時期にハロン12を余裕でクリアする追走力が担保されたのは大きいですし、スムーズな展開の中なら簡単には崩れないタイプに育っていくんじゃないかな、と思っています。

**★10/8(日) 東京5R 芝2000m新馬戦**

 こちらは人気のディープ産駒・ブラゾンダムールが、二番手からレースを進めて直線半ばで逃げるジェシーを捉え、新馬勝ちを収めました。

 この時期の中距離新馬戦らしい超スローの展開で、ラップが38,3-51,9-33,7と超後傾、ほぼ上がり3Fだけの勝負になっています。
 当然ポジショニングの差がはっきり出るレースでしたし、それとは別個にしかり加速力・切れ味・持続力の全てが問われる、後半要素の資質を見る上では面白い展開でしたね。

 勝ったブラゾンダムールは、二番手につけるも後ろの馬が競りかけてもこないので楽にインベタ、ペースが上がり始める4コーナーからじわっと勢いをつけつつもギリギリまで逃げ馬の後ろで我慢し、残り400mから満を持して追い出していますね。
 そこからもスパッとは切れる感じではないですが、それでも坂地点で確実に10,8くらいの切れ味を引き出し、ラストも11,4でまとめているのでまずまずの内容だと思います。

 当然ペースが上がった時の懸念はありますが、後半要素はどれも確かなものがありそうですし、次にどれくらい伸びしろを見せてくれるか楽しみな素材だと思います。

**★10/8(日) 京都5R 芝2000m新馬戦**

 こちらはニューアプローチ産駒の伏兵ジュンヴァルロがマイペースに持ち込み、コーナーで後続を突き放して一杯に粘りこむ形での新馬勝ちでした。
 日曜の時点ではもう京都は高速馬場だったとは思いますが、一応未勝利2000mとほぼ同じ時計で走破していて、あちらはウォーターパルフェにウォルビスベイと、そこそこ実力のある実績馬なので、その点で面白味はあります。

 またペースとしても、ハーフで見て60,5-60,8と綺麗な平均ペースになっていて、スピードの持続性が高い欧州血脈のイメージが強く出ている推移かなと感じます。
 意外とニューアプローチのサイヤーラインは、ガリレオの仔としては日本の馬場に適性が高そうですし、後続に脚を使わせて、かつしっかりコーナーで出し抜ける競馬が出来るのはこの時期では珍しいので、意外と人気はしなくても好走してくるタイプかも、とは思いますね。
 ラストはやや止まってはいるので、距離はもう少し短くてもやれるかもしれません。

**★10/8(日) 京都9R りんどう賞(芝1400m)**

 このレースは、スタートから好位につけたマドモアゼルが早めに抜け出して、後続の追撃を何とか振り切り2連勝を飾りました。
 ラップが35,0-12,0-34,7=1,21,7とほぼ平均的に刻まれる中、人気のスズカフェラリー、アリア、レッドシャーロットは揃って後方からの競馬になり、ラスト3Fが11,6-11,6-11,5と前も止まっていない中で良く追い込むも、という形になっています。

 勝ったマドモアゼルは、一番素直に流れに乗っていい位置につけられましたし、実質的に超高速馬場で前が止まらない展開も味方したと思います。
 アリアは1200mの前走からポジショニングに進展がなかったのが勿体無く、スズカフェラリーに関しては新馬の勝ち方からして、血統面はともかく1400mで良さが出るタイプではないと思っていましたので、結果的に差し届かずになってしまったのは素質を鑑みるともどかしいですね。この馬は確実に阪神外回りの方が合うはずです。
 レッドシャーロットも前走はハイペースで追走面の優位を見せられたけれど、ここでこの平均ペースにコントロールされると良さが出切らなかった感じで、もう少し距離が欲しい、かつ流れて欲しい馬ですね。それにもうちょい前付けを意識して欲しいところはあります。

 この組からファンタジーSに向かう馬もいるでしょうが、あの時期の京都は差しが嵌るようになってくるので、ここの結果は逆転する可能性はかなり高いと思います。

**★10/9(月) 東京2R 芝1600m未勝利戦**

 こちらは中山の新馬でトーセンブレスの鬼脚に屈したプリモシーンが順当に勝ち上がりました。
 ただレースとしては結構危うく、まず前走は好スタートでしたがこの日は出遅れて後方から、かつペースも比較的淡々と流れて取り付く場面が少ない中、3~4コーナーから一気に進出していって坂下では早くも先頭、だたしそこから2着馬にかなり粘られて、脚を出し切っての辛勝、というイメージでした。

 ただこの時期で35,9-24,2-34,1=1,34,2は中々の好時計ですし、向こうは馬なりだったとはいえ日曜のアーモンドアイを全体時計・上がり時計ともに上回ってきたのは評価していいと思います。
 特に後半ラップが11,2-11,3-11,6と仕掛けが速い持続力戦の中で、そのコーナー地点で連続10秒後半くらいの脚を使って押し上げているのは中々のインパクトがありました。

 しかもそれを外々から、なので、流石にラスト少し甘くなるのは仕方ないでしょう。
 むしろ本来はもっとポジションが取れる馬のはずなので、そのあたりが安定してくれば上でも楽しみですね。

 2着のテトラドラクマも悪くない競馬ですが、こちらはこのペースを前受して仕掛けを待てていましたし、素材面では完敗、というところですので、次も凡走はしないでしょうが勝ち切れるか、は難しいタイプかもしれませんね。

**★10/9(月) 東京5R 芝1600m新馬戦**

 こちらもロードカナロア産駒のゴールドギアが、外枠から大外一気で差し切る中々見た目に強い競馬をしてきました。
 勿論全体時計や上がりだけで見るとプリモシーン戦とはかなり見劣るのですが、コーナーからペースが上がる中で大外を回しても速度負けしない機動力と、最速地点11,2のところでかなりしっかり切れて、10,8くらいで一気に先頭に立っており、加速と切れ味に長けたタイプに感じます。

 数字的にも最低限は流れたレースですし、その中であれだけの脚を引き出せたのはまず一つ収穫だと感じますので、よりスピード勝負の度合いが強くなっても一定はやれるタイプではないかと思っています。

**★10/9(月) 京都3R 芝1600m新馬戦**

 このレースはブエナビスタの仔・ソシアルクラブが、後方の位置から残り200mでエンジン点火、内の各馬を豪快に差し切ってみせました。
 ラップは36,4-25,4-35,1=1,36,9とやや平凡であり、スロー気味の中から後半も12,1-11,4-11,6と仕掛け自体が遅く、ポジショニングの優位性が本質的にはかなり強く出る推移だったと思います。

 その中でソシアルクラブは、やや出遅れから道中後方インでじっくり構え、直線でじわっと外に持ち出します。
 一瞬進路を迷うようなところがあってブレーキしつつも、残り200mで外に持ち出して、その時点ではまだ5馬身くらいの絶望的な差がありました。
 しかしそこからどんどん加速していって、ゴール直線で内で鎬を削る数棟をまとめて差し切り、ここのラップはおそらく10,7~8くらいでしょうか。

 自身は12,1-11,5-10,8くらいで、確実に脚を出し切っていない中でも、自力でしっかり加速して10秒台にまで踏み込んでこられるのは一定の評価が出来ると思います。
 上がり時計としては去年のコロナシオンの1800m戦の方が上ですが、あちらは残り600-400m地点で11,3と極めて脚を引き出しやすい展開でしたし、この2F戦でかつスムーズさを欠いた中でも、ラスト素材だけで突き抜けたのは評価していいと見ていますし、少なくともコロナシオンよりは将来性を感じるレース内容でした。

 ただ5Rの新馬戦でも、超スローで逃げた馬がラスト11,6-11,3-10,8なんてラップで上がっており、そういう脚を使える馬場だったのは確かなので、過大評価も厳禁、一先ずは次、ペースが上がってどうなるか注目ですし、そこをクリアしてくればクラシックの舞台も見えてくるのではないかと思いますね。
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2017 10月第2週海外GⅠ レース回顧

**★ターンブルS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=DuJ0OQl9SZs)**

 まずはオーストラリアのウィンクス、コックスプレート3連覇に向けての前哨戦として選んだのは2000mのターンブルSでした。
 スタートからゆったりと構えて後方に位置し、4コーナー手前くらいから馬なりでじわじわと進出してきて、そして直線に入ってすぐのところで早くも先頭、後はほとんど持ったままで突き放す一方という圧倒的なレースぶりで、見事21連勝を達成しました。

 内容としてはあまり語るところもないというか、ただただ凄いの一言なんですけど、やはり大枠で見るとこの馬はマイル近辺よりは2000mの方が圧倒的に強いとは思うんですよね。
 多分オーストラリアはどちらかというと短距離の方が層が厚いはずなので、純粋にこのくらいの距離だと能力の違いが出過ぎるのかもしれませんが、ここ2戦は短い距離でややハラハラさせる差し切りだっただけに、この日は誰もが4コーナーで安心して見ていられたレースだったのではないでしょうか。

 正直コックスプレートも故障以外で負ける要素が見当たらないですし、どれくらい圧巻のパフォーマンスを見せてくれるか注目ですね。

**★サンチャリオットS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=MGxN4kZvI_E)**

 こちらはイギリスの牝馬限定マイルGⅠですが、3歳馬のローリーポリーがスタートから先頭に立ち、勝負所で並ばれるところもありましたが最後は突き放しての完勝でした。
 このコースはイギリスにしては時計が出る事でも有名で、日本でもお馴染みのサブレザなんかが連覇してたりもしますが、この馬も時計勝負、良馬場の方がパフォーマンスは高い馬ですね。

 どうしても同世代にウィンターがいて、彼女には一回も勝てていないので印象的には地味ですが、常に先行して、切れる脚こそないもののラストまでしぶとく伸び続ける堅実ぶりは見事で、これで今年だけでGⅠ3勝目ですから大した馬です。
 このレースは相手関係も軽かったのは確かですが、弱い相手に負けない、というのもある意味で名馬の条件ではりますからね。この後更にBCあたりを使ってくるのかも含めて、動向に注目したい馬です。

 オブライエン厩舎は今年、1年間での歴代GⅠ最多勝に肉薄しているようなので、多分使える状態ならBCマイルあたりに出てきそうなんですけどね。流石にチャンピオンズデーはチャーチルやウィンターにお任せでしょうが。

**★ジョッキークラブゴールドカップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=wh8UZlUhPu0)**

 過去の勝ち馬にシガーやスキップアウェイ、カーリンなどの錚々たる名馬がいる伝統の一戦ですが、今年はやや寂しいメンバー構成となり、そしてGⅠはおろか重賞初参戦だったディファーシファイ(読みに全く自身がありません。。。)が逃げ切るという結果になりました。

 スタートからハナに立った勝ち馬は、アメリカ競馬としては極端ではない程度のハイペースを淡々と刻み、4コーナーで後続の手応えが悪くなるのを尻目にスッと離していきます。
 それを外からキーンアイスが追い詰めていきますが、最後までじりじりとしか差は縮まらず、結局そのまま押し切っての勝利でした。
 
 それまでの戦績も比較的勝ち続けていて綺麗な上がり馬、というイメージですが、流石に余勢を駆っての本番では相手関係がタフ過ぎるでしょうね。
 キーンアイスも今年は安定した走りを見せていますが、それでも前走ガンランナーとは5馬身以上の差でしたし、その比較からしても最上位にはまだまだ足りない感はあります。
 ただこういう上がり馬が本番に出てくると、未知の魅力で盛り上がるところはあるのでその点は楽しみですね。
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2017 10月第4週新馬戦 レース回顧

**★10/21(土) 東京4R 芝1600m戦**

 土曜午前の時点ではまだ重発表でしたが、それでもかなり渋った馬場での一戦は、外国産馬のデルタバローズが好位から楽々押し切りました。

 スタートを綺麗に決めたデルタバローズですが、外のレアバードが譲らないのでスッと下げて番手外の絶好位を確保してレースを進めます。
 ラップが36,7(12,23)-26,1(13,05)-35,1(11,7)=1,37,9で、ラスト4Fが12,9-11,6-11,5-12,0という推移、コーナー出口で一気に加速して、持続力を伴う後半の3F戦という様相の中で、直線で早々と先頭に立ち、そのままラスト1Fで着差を広げて押し切る強い競馬でした。

 相手関係的には楽そうですし、こういう馬場に対する適性も高かったと思いますが、それでも上がりをこの時計で、ラスト1Fも12,0でまとめてきたのは中々で、序盤のセンスもかなり良かったですし、こういうアメリカ血統でいずれはダートかもですが、前半を詰めてなお後半要素の良さを引き出せれば面白そうな素材かな、と感じますね。

**★10/21(土) 東京5R 芝2000m戦**

 こちらは超スローの展開から、人気のディープ産駒オブゼッションが、上手くインを立ち回って勝ち切りました。
 ペースは書くまでもないほどにスローで、ラストが11,6-11,3-12,0とそれなりに切れ味を問われる展開位の中で、スタートから中盤までは後方内目でガマンしつつ、コーナーでみんなが外を狙う隙間を縫って進出していったのは、アドマイヤリードのVMを見ているようでしたね。
 そのハンドリングの良さもあって直線先頭、そこから最速地点でもしっかり加速してきたものの、最後は内から食い下がられて懸命に粘り込んでの勝利、という印象でした。

 血統的にはこういう馬場向きではなかったでしょうし、勝ち切ったことに意味はあるでしょうが、序盤のポジション取りなども含めてまだ課題は多く、馬場もこうでしたので次改めてどういう競馬が出来るかは注目しておきたいところです。

**★10/21(土) 京都4R 芝1400m戦**

 土曜の京都もそれなりには悪化していて、稍重発表以上にこの時点でも時計は掛かっていたと感じます。
 その中で勝ったナディアは、道中中団後ろ目の外から、直線も外に出しての競馬で、残り1Fで前との3馬身差をあっさり捉えて差し切る中々に味のある競馬でした。

 ラップが35,3-12,2-35,8とややハイ、後半が12,0-11,9-11,9とほぼ速いレースラップを踏んでこない中で、この馬だけは実質12,0-11,7-11,4と確実に加速ラップで〆ていて、馬場適性の高さと一貫ペースへの適応力をみせた格好になります。
 これはここまでのノヴェリストの仔の傾向からも少し見えていた部分ですし、完全に良馬場で切れ味をより高いレベルで問われると危ういかもですが、追走面もそれなりに担保されましたし、タフな展開なら上のクラスでも台頭するチャンスはありそうです。

 日曜のレースは馬場が壊れ過ぎていたのと、内容的にも特別凄味を感じなかった事、あと単純にちょっと時間がありませんで、申しわけないですが割愛させていただきます。
 まぁそれに加えて、今週は閉鎖のニュースで微妙にモチベが低いのもあるんですけどね。明日までには立て直しておきます。
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2017 菊花賞 プレビュー

**★はじめに**

 今週は牡馬クラシックの最終章、もっとも強い馬が勝つ、と言われる菊花賞ですね。
 独特の雰囲気を持つ淀の長距離戦、今年はダービーの1~3着馬が不在とかなり手薄なメンバー構成にはなってしまいそうですが、マヤノトップガンやマンハッタンカフェなど、夏の上がり馬から一気にチャンピオンホースに登り詰めた例もありますし、今年もこの距離で躍動する強い馬が台頭する事を大いに期待したいところです。

**★レース傾向分析**

 淀の3000mはスタートしてからすぐに上り坂、そして下り坂というロケーションですので、スタート直後からいいポジションを取るべく出していくと、坂の下りで引っ掛かってスタミナが持たないとされる、非常に繊細な手綱捌きが要求されるコースです。
 また近年は馬場の高速化が顕著になり、その分コーナーごとにそれなりに速いラップを踏むパターンが増えてきましたので、基本的には前に壁を作りやすく、ポジションも取りやすく、コースロスもない内枠が圧倒的に有利な舞台と化しています。

 距離が長いのでラップは5Fごとの区切りで見ていきますが、過去10年の平均は60,5(12,1)-63,1(12,62)-60,3(12,06)=3,03,9(12,27)という推移になっています。
 基本的には前半のゴール板前あたりまでは、ポジション争いと下り坂の影響もあってそこそこ流れ、1コーナーから緩み出して二周目の坂の上りまでは緩いペース、そして下り坂に差し掛かってからの後半4Fで速いラップを踏んでくるものの、極端に切れ味の質は問われず、長くいい脚を使う事が求められています。

 当然ながら最序盤のポジショニングは重要で、特に近年は馬群が凝縮して展開する事も多々あり、外枠の馬が内目に潜り込むのは簡単ではありません。
 コーナーを6回通すことになるので、その分だけ距離ロスの影響も大きいですし、最後の4コーナーではかなり速いラップも問われるので、この距離を淡々と追走して尚高い持続力を引き出せるレベルの馬でないと、外から一気に差し込むのは難しい条件です。

 ただし今年は少し様相が違っていて、先週から不動明王の如くに列島近辺に居座っている秋雨前線、これが今週もまだまだその勢威を奮う模様です。
 昨日の秋華賞でも史上初の重馬場決戦になりましたし、そこから晴れ間が少なく断続的に雨が降る、という事となれば、例年に比べて純粋に芝の状態も良くなく、かつ当日も重馬場開催になる可能性はあります。
 そうなると、例年よりもよりスタミナ色が強い、古色蒼然の菊花賞に立ち返る可能性も見ておきたいですし、ここも非常に難しい一戦になることは間違いないと感じています。

**★有力馬分析**

・アルアイン

 栄えある皐月賞馬でダービーも5着と、春シーズンの実績としては明確にこの馬が図抜けています。
 厩舎や牧場の使い分けの方針もあったのか、前哨戦はわざわざ関東のセントライト記念でしたが、明らかに叩き台のここでも、特殊な馬場コンディションの中でミッキースワローの一瞬の切れには屈したものの、クラシックホースとしての貫禄を示す内容ではありました。

 血統的にスタミナ不足は指摘されていますし、私もこの馬のべストは2000m近辺だろう、とは考えていますが、それでも近年の淀の長距離は立ち回りひとつでなんとかなります。
 今年の春天のように全く淀みなく進んでしまえば別でしょうが、少なくともこのメンバーでそういうタフなレースになる公算は低いでしょうし(そういう流れに持ち込んで欲しい、と期待する馬はいますが)、序盤のポジショニングの巧さと操縦性の高さは折り紙付きです。
 少なくとも良馬場なら勝ち切るまではともかく凡走はしない、とは思っていますし、当然ながら内目の枠を引ければ尚更に重い印まで視野に入ってきますね。

 ただ重馬場になった場合は少し事情が変わってきます。
 重自体は千両賞の内容からもこなせる馬だと思いますが(シンザン記念はどん詰まりだったので除外していいでしょう)、流石に昨日のように明確に時計がかかってスタミナが強く問われる条件になると、この馬の持ち味である後半の持続力そのものを引き出す条件とも適応しなくなりますし、危うさは増してくるのではないかと考えています。

・キセキ

 本番との直結度が非常に高いトライアルの神戸新聞杯も、厳しい位置取りになりながら直線しぶとく伸びて2着と、夏の勢いが本物であることを示してきました。
 この馬も長距離がベスト、とは当然感じないですが、それでも絶対能力の高さを考えれば、ここでも勝ち負けに加わる資格を有した一頭ではあると思います。
 キンカメが長距離になるとてんでダメ、という種牡馬ですので、その子のルーラーはどうかとなりますが、母方のトニービンの血脈は重・長距離の鬼のようなところもありますし、そちらの面が強く出れば、という所でしょうか。

 ただレースに入っていってのポジショニングの拙さは、基本内有利・前有利のこのコースでは減点材料です。
 跳びの大きい馬ですので、前走も馬群の中からなんとかこじ開けてきたものの、やはり外から出し切る形よりは少し破壊力が削がれていた感はありますし、理想としては道中内々で、勝負所から外に出して早仕掛け、という事になるでしょうか。

 このあたりはデムーロJとのコンビですので、常に動けるポジションを模索しつつ、昨日のモズカッチャン同様しっかり勝負を掛けに来てくれるという期待は持てますが、良馬場で勝負所外々、のロスを作りつつ他を圧倒できる能力差があるか、まではまだ判断のしづらいところです。
 重は血統面ではこなせそうな雰囲気もあるのですが、本格化前とはいえ春のすみれSの内容がかなりだらしなく、それを踏襲するなら渋らない方が良さそうですね。また当然枠も内目から、最序盤で中団くらいは狙っていきたいところです。

・ミッキースワロー

 セントライト記念では徹底したアルアインマークから、抜群の切れ味を繰り出して一気に世代トップクラスの実力を開花させてきました。
 春シーズンから見所のある競馬は続けていましたし、鞍上が変わった事も含めてプラス材料は多いです。
 血統的にも母方にトニービンの血が入っていますし、折り合いも上手な馬ですので、同世代の長距離ならこなしてきてくれるでしょう。

 やはりポイントは道中の立ち回りになるでしょうし、時々スタートが良くない馬ですのでそこをしっかり決めていいポジションを取る事と、勝負所で進路確保をノーブレーキで持ってくる事が勝利への絶対条件にはなります。
 また未勝利戦の内容から、馬群を割る競馬も可能なのは、インを立ち回りやすい淀の外回りではオプションが増える、という意味でポイントは高いですし、多少渋っても対応できそうなのも強みです。ただし絶対的には良馬場で切れ味を活かす方がいいでしょう。

 昨日菊沢厩舎×横山Jの義兄弟コンビは、アエロリットで苦杯を舐めたばかりです。
 この馬もあまりこのレースで実績のない関東馬ではありますが、一応京都新聞杯で輸送は経験していますし、その点では極端なマイナス材料ではないと踏んでいます。
 無論枠次第でもありますが、この陣営の捲土重来を期待しての重い印も視野に入れている一頭です。

・サトノアーサー

 前哨戦は今までより前目のポジションで勝負をかけるも、上位2頭には完敗の3着でした。
 どうしても不器用さが目立つ馬で、エンジンの掛かりが遅く少しでも渋ると良くはない、ポジショニングもそこまで上手くない、となると、あまり菊の舞台では狙いたくないタイプにはなってきます。

 前走もあの位置から末脚比べで上位2頭に見劣ったのは、素材的にもちょっと物足りない気はしていますし、よほど絶好枠を引かない限りは高い評価はしないつもりではいます。
 まして馬場が渋れば余計にチャンスは少なくなるだろうと思いますし、噛み合い切れば能力的には足りるかもしれませんが、その噛み合う幅がこの条件では非常に狭い、と思いますね。

・サトノクロニクル

 むしろサトノ2頭の中では、距離が伸びて面白いのはこちらでしょう。
 この馬もコーナーでの機動力や瞬発力の質など、色々足りないものがある馬ではありますが、少なくとも最序盤のポジショニングはそこそこ上手くこなせますし、そこまで後半ラップに波が出来にくい淀の外回りの舞台ならば、コーナリングの拙さも致命的にはならないと思います。

 実力差は上位とは少しあると感じていますので、枠の恩恵で前半好位、そこからコーナーで内目を立ち回りつつという条件は必須だと思いますが、ある程度渋っても対応できそうな面も含めて、連下にはぜひ加えたい馬だと考えています。
 ただ現時点でだれが乗るのかはっきりしていませんし、そのあたりも含めて総合的に判断したいですね。

・ダンビュライト

 神戸新聞杯では力負けを喫したものの、なんとか辛うじて賞金順でこの舞台に滑り込むことが出来そうです。
 こちらは距離はともかく、渋った馬場への適正はそれなりに見せていますし、ポジショニングが上手な事も含めて、まず格好の穴馬候補に挙げられる事でしょう。まして去年、エアスピネルをインベタで3着まで持ってきた、淀マイスターの武Jの手綱となれば尚更です。

 ただ現状1勝馬であるように、勝ち味に遅く決め手のないタイプですので、この距離で持久力が問われる流れでも勝ち切るまではどうかな?という感はあります。
 オーバーペースにならない限り基本堅実に走る馬ですので、凡走は考えづらいですが、他の馬がどれくらい力を出し切れる条件になるか、枠の並びなど含めて、この馬の素材の絶対的な評価というよりは、他馬との比較で相対的に序列を決めるべき馬かな、と踏んでいます。

・ベストアプローチ

 期待した前走は中団から伸びあぐねるやや残念な競馬でしたが、元々本番への賞金は足りていた馬で、ガラッと一変に定評のある藤原厩舎の叩き2走目ですから、その点での期待は持てます。
 ポジショニングはそこまで上手ではないので、好走の為にはやっぱり内枠は欲しいな、となりますが、血統的にはガリレオ枝で欧州色が強く、渋った馬場・重い馬場への適正面で期待は出来るかもしれません。

 こちらも脚を出し切りたい、しぶとさが身上のタイプですので、勝負所での捌き方は大切になってくると思いますが、最近調子がいい岩田Jとのコンビで渾身のイン付きが嵌れば、という期待は持てる馬ですね。

・ブレスジャーニー

 2歳時は世代最強と目された馬が、ほぼ一年ぶりにターフに戻ってきます。
 勿論常識的にはかなり厳しく、これで勝ってしまえばサクラスターオーも仰天の偉業になりますが、転厩も含めてどのくらい馬が仕上がっているか、能力を発揮出来るかは注目です。

 ただ2歳時もポジションが取れる馬ではなく、サウジアラビアロイヤルCでも一瞬の切れ味でダンビュライトを圧倒しているように、本質的には直線の長いコース、かつラップにメリハリがついた方がいいタイプだろうとは見ています。
 レース数が少ないので、まだ未知のポテンシャルを隠し持っている可能性はありますが、それでも純粋な適性面だけでもそこまで噛み合う、とは思えないですし、ここは静観する可能性が高いですね。

・クリンチャー&アダムバローズ&ウインガナドル&マイスタイル

 個々に書くほどでもないのでまとめてしまいますが、とりあえずこのレースでの逃げ・先行候補はまずこの4頭になるでしょうか。
 どの馬も血統的に長距離適性はありそうですし、渋った馬場への実績も一定持っていて、結構怖さはあります。
 特に馬場が重くなった時に、前4頭で中盤の緩みも控えめに、かつ仕掛けも早くしてコーナーから引き離していくようなプランが綺麗に嵌った時は、前々で行った行ったの大波乱、なんて可能性を考えてもいい、それくらいの実力はある4頭です。

 アダムとウイン、マイスタイルは出足も安定していますが、クリンチャーは前走を見ても内枠からスムーズに前に取りつけるかは怪しさがありますので、レース傾向とは反する形でも、この馬に関しては皐月賞のように、外からじわじわと自分のペースで前に取りついていく、という形を取れた方がベターでしょう。

 まぁ4頭が離していったとして、多分第二集団の先頭近くにダンビュライトは位置していそうですし、武Jが馬場に惑わされてペース読みをしくじる可能性はあまりないとは思ってはいます。その動きを見てアルアインやキセキも動くでしょうから、後続が脚を余す可能性までは期待しない方が、と思います。
 ただそれでも、タフな展開で後ろの馬が早めに捕まえにいく形で苦しくなる可能性は見ておきたいですし、逃げ馬勢としては極端なスローや中緩みには絶対にしない、適度な平均ペースくらいを作っていく意識・気概があれば楽しみが広がりますね。

・クリノヤマトノオー&ポポカテペトル&トリコロールブルー&マイネルヴンシュ

 こちらも個々に書くほどではない、前走1000万勝ち四天王になります。しかしこうして書いてみると、思いの外好走してもおかしくないな、と思える馬が多いですね今年は。枠ひとつでガラリと結果が変わりそうな大混戦だと思います。

 どの馬も血統的に淀の長距離をこなせそうな下地はありますし、前走の勝ち方も派手さはないもののいかにもしぶとく脚を使えていて、成長を感じさせる内容でした。
 まぁポポカテとトリコロールは、青葉賞で完敗だったところからも実力的にはまだ一枚足りない、とは思っていますが、トリコロールの方は前走馬体を大きく増やしながらの勝利で、そのあたりにチャンスを見出せるかもしれません。ただポジショニングが良くない上に、動き出しの意識が薄い戸崎J、ってのはあまり噛み合うとは思えないところはありますが。

 マイネルヴンシュも2走前にアドマイヤウィナーに完敗しているので、そのアドマイヤが神戸新聞杯5着、というのを見れば、常識的にはまだ少し足りない、という印象になります。

 前走勝ちの距離が1800mと、あまりこの距離に直結しなさそうなクリノヤマトノオーが、このメンバーでは一番個人的には穴目として面白いかなと踏んでいます。
 白百合Sもある程度出し切ったサトノクロニクルと互角の内容でしたし、前走はともかく本来ある程度ポジションが取れる馬でもありますので、勝負付けが済んでいない、という意味でも魅力はあるかなと思います。

 ただ馬場が渋ればより混沌としてくる中で、一連のレースで見せている力関係がガラッと書き換えられる可能性もありそうで、秋華賞は渋っても上位安泰だと感じていましたが、こちらは本当に一筋縄ではいかなさそうですね。 


**★思い出の菊花賞**

 一番思い入れが強いのは当然ライスシャワーなんですけれど、レースとしてすごく好きなのは[ソングオブウインド](https://www.youtube.com/watch?v=fQyRxumFiuM)が勝った年ですね。

 戦前から大逃げを示唆していたアドマイヤメインが非常にタイトなペースを刻んでいって、それを三冠がかかったメイショウサムソンが堂々早めに動き出す王者の競馬で追撃、そしてそれをマークしていたドリームパスポートがしっかり交わしたところに更に後ろから伏兵ソングオブウインドが急襲と、淀の長距離戦の面白さが凝縮した名レースだったと思います。
 今年の逃げ・先行馬も、この時のアドマイヤメインの様な果敢なレースメイクをして欲しいですし、それを強い馬が捕まえにいく中で最後にどういうドラマが見られるか、そういうワクワク感のあるレースになってくれればなぁと思います。 
posted by clover at 04:07| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする