2017年10月01日

2017 秋華賞 プレビュー

**★はじめに**

 今週はいよいよ、牝馬三冠の最終戦となる秋華賞ですね。
 開幕直後の高速淀の馬場に、トリッキーな内回り2000mでの一戦は、毎年の事ながら一筋縄ではいきません。
 ジェンティルドンナも大苦戦し、ブエナビスタでも取りこぼしたように、本格派の底力よりも軽快なスピードに機動力などの要素が強く問われやすいレースでもあります。
 とはいえ、結果的に見ても第一回からここまで、かなりの名牝が勝ち馬に名を連ねており、基本的に半端な馬では善戦は出来ても勝ち負けにまでは絡めない不思議な舞台で、果たして今年はどんなドラマが生まれるのか注目ですね。


**★レース傾向分析**

 基本的に小回りで内枠・先行優位のところはあり、かつ絶好の高速馬場故に絶対的なスピード能力、そしてコーナーでの横のポジショニングも大切になるレースです。
 この時期は概ね秋晴れに恵まれるからか、過去10年で馬場が渋ったのはアヴェンチュラ戦の1回だけ、それも稍重程度で時計はバッチリ出ています。
 もっと遡ってみても、初回から21レースの内、20回が良馬場で行われている稀有なレースで、今年は珍しく今の時点では雨予報が出ていますが、この時期の馬場なら多少の雨では悪化し切らないパターンも多く、その辺の見極めも重要になってくるでしょう。

 過去10年のレースラップの平均は、34,8(11,6)-48,7(12,17)-35,2(11,73)=1,58,7(11,87)という推移です。
 まだ世代戦なので、距離不安がある短距離志向の馬も出てきますし、多頭数で1コーナーまでの距離がそこまで長くないこともあって、テンの入りはそこそこ上がりやすい傾向が出ていますね。
 特に2F目は、ほぼ全てのレースで10秒台のラップを踏んでいて、唯一の例外のジェンティルドンナの年でも11,0と、いいポジションを取るにはそれなり以上のダッシュ力が問われる事が伺えます。

 中盤も比較的淡々と流れる傾向が強く、だいたい上り坂の手前で一度息が入って、下りからの4F勝負、というパターンになりやすいです。
 昨日の京都大賞典でもそうですが、現実的に流れてからの4F戦ですとそこまで極端な切れ味が問われる事は少ないようです。
 上位に来ている馬も大抵は先行から中団まで、という感じで、後ろから一気に押し上げていくのは現実的ではないイメージですし、ポジションを取りにくい外枠の方が不利なのは否めないでしょうね。

 ただいいポジションを取りに行った場合は相当に質の高い追走力は問われますし、その上でコーナーでの機動力、直線向いての持続力は均質に問われ、下り坂加速の適性も含めて難しさのあるコースなのは間違いないでしょう。
 馬場次第ではありますが、基本的には先行力と追走力が高く、その上で後半の要素もしっかり持っている馬を高く評価したいですし、差し・追い込み馬は少し評価を下げたい、という事になるかと思います。


**★有力馬分析**

・アエロリット

 春にNHKマイルCを完勝、夏のクイーンSも軽斤量のサポートがあったとはいえ、自ら速い流れを刻んで楽々押し切る非常に強い競馬を見せてきました。
 クイーンSでは馬体面の成長も見られ、ますますパワーアップしているようですし、脚質的にも高速京都の2000mなら距離不安はほぼないと見ています。先行馬ですが、常にラスト1Fの粘り腰が素晴らしい馬でもありますしね。

 基本的にマイルの流れで楽に前に取りつく先行力がありますので、ここもいいポジションは取れるはずです。
 ただたまに出遅れをやらかすのと、今回も関西圏への輸送、というのはあり、合わせて考えるとリカバーの効きやすい枠、外過ぎない青~緑帽くらいがベストかなと思います。
 無論自分で逃げてもいいのですが、理想はカワキタエンカを行かせてその番手でペースをしっかりコントロールしていく形になるでしょうか。

 レースメイクに関しては百戦錬磨の横山Jですから不安はほぼないですし、とにかく追走力が高いので、前走のように前で速い流れを刻んでポジション差を作り、坂の下りでじわっと動きつつも本仕掛けは直線まで待つ、というレースプランが実行出来れば、追走面で怪しい馬が多いここではかなり優位性が作れると見ています。
 枠が内過ぎたり外過ぎたり、後は雨が降って渋ったりと、そのあたりの条件次第では少し悩むかもしれませんが、ある程度時計が出る馬場であれば、現状私の中では不動の本命と言っていいですね。

・ラビットラン

 豪華メンバーが揃ったローズSで、芝2戦目の同馬が素晴らしい切れ味を発揮して実績馬をなで斬り、一躍秋の主役に躍り出た感があります。
 ただタイプ的には間違いなく前半ゆったり入って、後半の鋭さを早めに動いて出し切る形で使いたいと思うので、京都の2000mが合うかどうかはかなり微妙です。

 でも前走も外々を回しながら、最速地点のスピード負けもなく、そして直線の伸び始めもそれなりに早かったと感じるので、一定の機動力はありそうですし、立ち回りひとつでチャンスは出てくるでしょう。
 こちらも馬のタイプ的にインベタでどうこう、でもないので、外過ぎない外枠から中団くらいを意識して入ってこられれば、と思いますし、仮にスロー気味になってより4F戦、坂の下りからのロングスパート度合いが強くなればより面白いと感じています。
 枠次第では重い印も、そうでなくとも連下では押さえておきたいイメージですね。

・ディアドラ

 春シーズンも強行日程の中でへこたれることなく、しっかり結果を残してきていました。
 夏の北海道の条件戦で始動して強敵のラヴィエベールを撃破し、前走の紫苑Sでも実質高速馬場で超スローに近い展開から、ラスト全くラップが落ちない流れを問答無用で外から差し込んでおり、ここに来ての地力強化は顕著です。

 この馬も序盤の位置取りが鍵になってくるでしょう。
 そこまでテンに速い馬ではないので、現実的になんとか中団くらいは取りたいですし、そうなれば好走スポットの幅の広さはこのレースでは大きな武器になってきます。
 追走面もマイルのハイペースに対応できる馬なので不安は少ないですし、コーナーからの機動力、そこからの持続力もそれぞれ一流レベルのものがり、この総合力で上手く立ち回ってこられればチャンスは出てくるでしょう。

 基本的にインベタ決め打ちをしてくる岩田Jのままの方が、勝ち切る、という観点ではここはチャンスが大きかった気もしますが、当然ルメールJを確保してマイナスになることもないでしょう。
 前2走で馬体重の大きな増減があったので、中間の調整過程の順調度は気にした方が良さそうですが、こちらも基本的には軽視は出来ない、枠が内目ならより高い評価をしていきたいですね。馬場不問なのも頼もしいところです。

・リスグラシュー

 どこまで行っても勝ち切れない善戦ホースになってしまっていますし、今回の条件も器用さに欠けるこの馬にとっては難しいところではあります。
 ラストの持続力は確かなものがありますが、要所での反応が鈍く、コーナーでもスッと動けるイメージがあまりないので、純粋なコース適性は低いと見ていいでしょう。

 このレースで武器になるのは追走力の高さで、ペースが流れても末脚を引き出せる点は、まず大崩れはしないだろうという信頼に繋がりますし、馬場が悪化しても大丈夫なのはこちらも心強いところです。
 なのでこの馬に関しては序盤、桜花賞のように意識的に出していって、出来る限り前目のポジションを取ってしまうことが肝要だと思いますし、なるべく内目の枠が欲しいと感じます。
 どうせコーナーでは動けないので、3列目あたりのインベタで我慢して直線の差し脚に賭ける、という形が一番勝機があると思いますし、昨日も素晴らしいハンドリングを見せた武Jの京都ならではの手腕にも期待はしたいところです。

 総合的に見て、少し渋って時計がかかったほうがチャンスは大きいと思いますし、その上で枠の利も得られれば評価を引き上げたいですが、良馬場・外枠という条件なら無印まで視野に入ってくる、状況次第で振れ幅の大きい馬ではありますね。

・ファンディーナ

 前走は休み明けで馬体にもかなり余裕があったとはいえ、ラストの止まり方は皐月賞同様、少しだらしないものを感じさせました。
 総合的に見てスロー専用の気配はあり、かつ高速馬場への適性もイマイチで、ペースが流れてしまうと、なまじポジショニングは上手なだけに追いかけてしまうけど、それで最後のいい脚を削がれてしまう傾向が顕著です。

 勿論今回状態は上げてくるとは思いますが、アエロリットとカワキタエンカがいる中ではまず極端なスローは望めず、まともに流れに乗っていったらここも苦しい競馬になる可能性は高いと踏んでいます。
 いずれ後半型の競馬にシフトして欲しい、一回溜めに溜めてどこまで爆発できるか見たい馬ではありますが、京都内回りの舞台でやることではないですし、同じ京都でもエリ女の方がチャンスは大きいかなぁと思っています。

 この馬も渋った馬場に関してはこなしてくるはずですし、他の馬との比較で相対的には雨が欲しいかなと思います。
 諸々の条件が噛み合えば、とは思いますが、基本的にはここでは重く扱うつもりはない、ですかね。

・モズカッチャン

 この馬も春シーズンはかなり噛み合った部分が多く、そしてローズSでは正攻法で速い流れについていってイマイチでした。
 あの感じから追走面での幅はあまり広くないのかな、と思わせましたし、ここもバランスの取り方が大切になってくると思います。
 
 叩き良化型のイメージはありますし、意外と印象よりも器用さはあると思っているので、内枠で自然に中団くらいを取れて、という競馬ならチャンスがなくはない、と思いますが、高速馬場ですと時計面でスピード負けする公算は強くなりますね。
 結局この馬もまた少し渋ったほうが、という評価になりますし、個人的に良馬場ならかなり予想はシンプルになるのですけど、雨が降ると混沌としてくるなぁと感じています。

・カワキタエンカ

 ローズSは絶妙なバランスでの逃げ粘りで、しっかり権利を確保してきました。
 桜花賞でもハイペースで逃げて大きく崩れてはいませんが、この馬は平均気味に刻んで仕掛けを待つ前走の様な流れがベストでしょう。

 今回は、前走でベストパートナーぶりを感じさせた横山Jが、同タイプの強敵アエロリットに乗っている、という事で、流石にそれ以上の競馬が出来るかというと心許ないですが、前半2頭で示し合わせてペースを上げ、中盤で息を入れてから直線で再スパート、という流れを息を合わせて作っていければ、この馬の粘り込みも有り得ると感じています。

 アエロリットほど無茶は出来ないにしても、追走面で有力馬の脚を削げれば相対的に序列は上がってくるタイプと思いますし、その意味では時計勝負の良馬場の方がチャンスはありそうです。
 とにかく前半しっかりペースを作ることと、息を入れるタイミングを間違わない事、これが出来れば圏内のチャンスは充分に有る馬と思っています。

・レーヌミノル

 ローズSでは中途半端なポジション取りで外々になり、結果を残せませんでした。
 この馬は春から言及しているように、とにかく前半のペースが鍵になりますし、その流れの中でなるべく前目を取りたい馬です。
 
 元々小倉2歳の激流でも楽々こなすように、追走面ではアエロリットをも凌いでトップクラスの素材だと思うのですが、反面後半要素の甘さ、特に持続力の足りなささは顕著です。
 クイーンCのように逃げても、中盤緩ませてしまえば後半要素で明確に見劣りしますし、ここでチャンスを見出すとするなら積極策しかないと考えます。

 幸いレース傾向的には流れやすい舞台ですし、どうせ前走で正攻法では足りないのが見えているのですから、腹を括って逃げてもいい、くらいの気持ちで先行集団に入っていって欲しいですね。
 ダイワメジャーの仔ですし、流石に2000mまで伸びてどうか、とは思いますが、距離を怖がってを溜めていてはよりチャンスが遠のくのみ、桜花賞馬の看板を汚さないためにも、ここは強気のレースで見せ場を作ってくれないと、と思います。
 この辺りは週中の陣営コメントにも注目したいですし、馬場が渋ったら更に面白いので、流石に人気も落ちる中での穴候補として見ておきたいですね。

・リカビトス

 3戦3勝の東の秘密兵器、リカビトスもなんとか最後の晴れ舞台の出走に漕ぎ着けてくるようです。
 未知の魅力、という点では当然かなりのものがありますが、ただ馬のタイプ的にはやはり秋華賞で狙える素材ではない、というのはあります。

 過去3戦も、全てのレースでラスト1Fの前の落ち込みに乗じてのしぶとい差し切り、という形で、その持続力の高さは本物と感じますが、反面ポジショニングや要所の機動力は拙いものがあります。
 なのでこちらも適度に内枠、そして要所からブレーキなく進出出来るスペースがないと苦しいですし、多頭数の競馬もほぼはじめて、という所で、常識的には苦しいかな、と思います。

 こちらも渋った上でロンスパの比重が強まれば面白いかもですが、ここまでの3勝も相手関係・斤量に恵まれた部分は大きいので、今年の世代レベルを踏まえればまだ足りないと考えておきたいですね。


**★思い出の秋華賞**

 このレースも創設時から全てを見続けてきているので趣深いですが、古いレースの中ですと[スイープトウショウ](https://www.youtube.com/watch?v=1dsLKvzDGw4)の勝ちっぷりが一番鮮烈に記憶に焼き付いていますね。
 全体が速い流れで進む中、後方からスムーズにエンジンを点火して、ヤマニンシュクルと共に一瞬で突き抜けた脚は素晴らしく、本当に嵌った時の破壊力は凄まじいものがありましたね。

 あとやや地味かもですけれど、[アヴェンチュラ](https://www.youtube.com/watch?v=MBfSrRpp0UU)戦も好きです。
 いかにも岩田Jらしい先行・インベタから、4コーナーで早めに動いて堂々直線入り口で先頭、そのまま押し切る非常に強い競馬でした。
 次のエリ女でもスノーフェアリー相手に善戦しましたし、足元が無事なら牡馬とも伍して戦える底力はあった馬だと今でも思っています。本当にこの血統は足元が弱いのが勿体無いですよね。

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2017 南部杯 レース回顧

 今年のフェブラリーSの上位馬、過去の勝ち馬など、マイルの距離を得意とする名馬がずらりと出揃っての注目の一戦は、好位から楽な手応えであっさり後続を突き放したコパノリッキーが勝ち切り、金字塔のGⅠ10勝を達成しました。レースを振り返っていきましょう。

 まず馬場ですが、稍重発表で他のレースでも昨日触れたように1200m戦で13秒台、1400m戦で27秒台が出ていたので、当然ここは34秒台レベルの決着になるだろう、という感じでしたし、むしろ思いの外時計は出ていないくらいですね。

 レース展開ですが、まずスタートで躓き、ゴールドドリームが大きく出遅れるアクシデントがありました。
 その他の馬は綺麗なスタート、内からノボバカラとウインフルブルームが予想通りに先手を主張していって、そこに内からベストウォーリア、外からコパノリッキーが加わっていきます。

 予想外に出足を見せたのがカフジテイクで、外枠からスッとリッキーの外まで押し上げる積極策に出て、キングズガードも普段よりは早め、中央勢の先団の中では後ろの方ながら、しっかりとポジションを押し上げつつ進めていきます。
 ゴールドドリームは序盤はリズムを作るのに専念し、残り800mあたりから地方馬を外から交わしにかかってじわじわと進出、4コーナー付近では先団の一番後ろまでリカバーしてきていましたね。

 ラップはハーフで47,7(11,92)-47,2(11,80)=1,34,9(11,86)という推移でした。
 ノボバカラが残ったので、直観的にハイペースかな、と思ったのですが、こちらも予想外に平均ペース、むしろスロー寄りと言っていいラップでした。
 ラスト3Fが35,2ですので、800-600m地点も12,0とそこまで上がっておらず、コーナー後半から直線にかけてそれなりに速いラップを踏んでいる感じはします。
 コパノの位置で前から3馬身くらいあったので、後続はより明確にスローなのですが、この展開でノボバカラをコパノ以外が交わせなかった、というのは、適性面で細かく見ていくと色々あるとは思いますが、正直物足りない内容だったかなとは思います。

 しかし勝ったコパノリッキーは、本当に自分の形に入り込めれば最強ですね。
 基本的にはあまり前半流れない方がいいタイプではあるので、このペースで外からもつつかれずマイペースで行けたのは僥倖でした。
 多分ゴールドドリームがまともに出ていれば、背後をもっと厳しくマークされる形になっていたと思いますし、コーナリングが不得意なカフジテイクしか外にいない形では、無理せず軽く促すくらいでスーッとマークも外せてしまいますからね。

 とにかくこの馬は後半の機動力、コーナリングの巧さ、切れ味を全て高いレベルで完備していますので、正直3コーナーで勝ったなと思いましたし、実際全く危なげのない勝利でした。
 次の大井ではまた一筋縄ではいかないでしょうが、春過ぎから秋の終わりくらいまで、全体的に夏を挟むシーズンでしか走らないイメージもちょっとありますので、GⅠ勝利記録の更新にかけては次が勝負所かな、と見ています。
 とにかくスムーズであればしっかり走るので、常に外枠が欲しいところですね。

 2着ノボバカラは、3歳時にハイペースのユニコーンSでいい粘りを見せていた事もあり、全くノーチャンスではないとは思っていたのですが、それにしてもこの平均ペースの展開でこの馬が残ってしまうのはちょっと予想外でしたね。
 ただ近走芝で行き脚が足りなかったのを、ここで改めてしっかり逃げに転じて勝負に出たのは良かったですし、テン乗りの吉原Jもコーナーから軽く動いていって、いいバランスで進められたと思います。

 まぁこちらもウインフルブルームが予想以上にダート適性がなくてズルズル下がっていってくれた分のプレッシャーのなさも味方したと思いますが、やはりダートでこその馬ではありますね。
 本来はもっとハイペースで粘り込むタイプですし、JBCスプリントに回ってくるなら当然警戒はしなくちゃいけない一頭だと思います。

 3着キングズガードは、展開的にも悪くないと思ったのですがうーん、もう一歩足りませんでしたね。
 ただ乗り方としてはかなり良かったと思っていて、序盤は前についていきつつ、スペースは保ってある程度じっと構え、そして勝負所のコーナーで一呼吸早く動き、馬群を縫いながらベストウォーリアが外に出すのもしっかりと封じ込めて、狭い中でも勢いをしっかり付けて直線に入ってこれました。
 多少粗くはあったもののこれも勝負、いかにも地方で売り出し中の若武者らしい動かし方で、これで2着にも差し届かないのはちょっと馬の方に不満を感じてしまいます。

 まぁ本質的に序盤から急かすと甘いタイプですし、ペースとしては楽なはずでも、位置を取りに行った分苦しかったのかな、というのはあります。
 それに直線も決して長くはないので、コーナーで動けていても順々にエンジンをふかす、というよりは、一気に点火していく形になってしまったのかもしれず、そのあたりのコース適性、コーナリングでの素養が出た部分はありそうです。

 4着カフジテイクはもっと顕著に、コーナリングが全くダメってレベルでしたね。
 スタートをしっかり決めてコパノリッキーの外につけたのは驚きでしたが、この馬も序盤急かすと脚が溜まらない典型的なタイプではあり、かつそこそこ広い盛岡のコーナーでも前に取りつくのに苦労していました。
 ペースアップした4コーナーではかなり置かれてしまっていて、楽にキングズガードに進路を奪われていますし、コパノにプレッシャーをかけることも出来なかったのは流石に残念なところです。

 こういうコースですとエンジンもトップギアに引き上げ切れず、という感じでしたし、ラストもジリジリとしか伸びていません。
 ペースバランス的には1000m60秒を切っていないのですから、対応してくれなきゃ困る範疇ですけれど、コース形態なども絡むとやっぱり難しいんだなぁと改めて感じる負け方でした。
 こちらはまた府中に的を絞って、武蔵野Sあたりからですね。

 5着ゴールドドリームは、流石にあそこまでの大出遅れですとそれでもう終わった、としか言えませんね。
 少なく見積もってもスタートで5馬身はロスしていますし、そこから立て直しての後半勝負で、上がり時計だけはコパノより速い脚を使ってきています。
 このあたりからも机上の計算では、まともにスタートを切っていればコパノと互角に戦えたと感じますし、つくづく勿体ないスタートの失敗でした。この2頭がまともな条件でガチにぶつかったらどっちが強かったか、しっかり見たかったんですけどねぇ。その点でもやや物足りない一戦になってしまったと思います。

 6着ベストウォーリアは、こちらも色々少しずつ悪い要素が積み重なって、というイメージです。
 スタートもそこまで良くなく、でもしっかりポケットの位置は確保して淡々と進められましたが、この馬としては本来はもう少し流れてくれた方が楽ですし、要所で全馬が余力を持っている中、手応えの悪いウインフルブルームの後ろから外に出そうと判断するのがちょっと遅く、取りたかった進路をがっちりキングズガードに取られて押さえつけられてしまいました。

 おそらくここらが最速ラップに近い地点ですので、そこで勢いを削がれたのは結構致命的だったと思いますし、本質的にそこまで瞬時に反応できる馬でもない以上、あそこから再度鋭く伸びろ、というのは難しかったでしょう。
 結果的にはやはり内枠が少し難しかった、と思いますし、馬自身もフェブラリーSでは好走したもののそれ以降は物足りず、緩やかに下降線なのかな、と思わせる走りになってしまいましたね。
 こちらもJBCスプリントに回ってくれば侮れないとは思いますが、状態面がきちんと戻るかはひとつ丹念に見ておくべきかなと感じます。
 
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2017 京都大賞典 レース回顧

 好天に恵まれ、絶好の馬場での開催となった京都大賞典は、道中後方インから鮮やかなイン差しを決めたスマートレイアーが牡馬を撫で切り、悲願のGⅠ制覇に向けていいスタートを切りました。レースを振り返っていきましょう。

 今日の芝ですが、実質的には超高速だったと思います。
 ただ芝のレース自体2歳戦ばかりで、かつスローのレースばかりでしたので、いつぞやの月曜開催中山の時のように、ラスト1F最速かそれに近い数字の上がり・切れ味勝負になるパターンがほとんどでしたね。
 それでも新馬でラスト1F10,8とか、いくら超スローとはいえ1600万下の2000m戦も11,3-11,0-11,2なんて上がりですから、前半流れれば時計が出る馬場だったのは間違いないでしょうし、それをこのレースが証明していると思います。

 レース展開は、ちょっと色々序盤にごちゃつく所があって、これが制裁対象になっているかはまだ情報が出ていないのでなんともですが、そのあたりの影響は結構あったのかな、と感じます。
 具体的にはスタート直後、内でサウンズオブアースとシュヴァルグランが2度ほど馬体をぶつけてスピードに乗り切れなかった事で、ただレース映像でだけ見ていると、これは内側の5頭全ての綾が絡み合ってのもつれ、に見えますね。

 1番枠のプロレタリアトがいいスタートを切った直後に外に寄れて、少し出負けしたサウンズオブアースの前を塞ぎ、同じく好発を決めたミッキーロケットは内に凭れ、そこから玉突き的にスマートレイアー、シュヴァルグランがインに馬体を寄せていく格好になっています。
 その結果として、前を塞がれ咄嗟に外に出そうとしたサウンズオブアースとシュヴァルグランが接触し、二の足が削がれてしまっていて、プロレタリアトとミッキーロケットもその動きを横目に見ながら、という形で、一目散に前に出していく、という感じにはなりませんでした。

 その間隙をついて、というわけでもないのでしょうが、中目から好スタートのトーセンバジルが馬群を横切って最内へ一気に進路を取る積極策、更に外目からラストインパクトが復権をかけての逃げ戦法に出るという思わぬ形になりました。
 その外からカレンミロティック、ハッピーモーメント、マキシマムドパリあたりがじわっと取り付いていって先行、その後ろにプロレタリアトとミッキーロケットがいて、サウンズオブアースはちょっと無理やりな感じで行き脚をつけつつ外に持ち出して、この先団グループの一番後ろの外目で構えることとなります。

 そこから少し馬群が離れたところに、インベタ強襲を狙うヒットザターゲットが入り込み、レコンダイトもこのグループにいました。
 その後ろ、インにスマートレイアー、外目にフェイムゲームがじっくりと構え、行き脚を完全に削がれた格好になったシュヴァルグランは、デムーロJらしい肝の据わった後方待機策に切り替えて、まずは自分のリズムを取り戻すことに専念していたように見受けられます。

 レースラップは、35,6(11,87)-36,4(12,13)-36,6(12,2)-34,4(11,47)=2,23,0(11,92)という推移でした。
 ラストインパクトが気合をつけて進めていったことで、思ったより前半しっかり流れ、かつ淀みもないいいレースになりましたね。
 ハーフで見ると1,12,0-1,11,0と僅かに後傾ですが、これは馬場がとても軽かった故でもあり、少なくとも先行集団についていった馬はこの距離でもそれなりに質の高い追走力が求められていると感じます。

 その上で第3ブロック、坂の上りに差し掛かる地点で12,4-12,5と一息入り、そしてそこから11,7-11,5-11,4-11,5と、定石通りに坂の下りからペースが上がっていって、そのまま最後までほとんどラップが落ちずに進んでいます。
 前半流れた分と、しっかり後半4Fで分散された事で、極端な切れ味は問われていませんが、それでもコーナー地点が丸ごと11秒半ばのラップですので、いかにも京都外回りの高速馬場らしい、外目を押し上げて勝負に加わっていくのは中々難しい条件ではあったと考えていいでしょう。
 最後もしっかり持続力が問われていますし、コーナーを上手く立ち回った馬、持続力に秀でた馬、純粋に能力が高い馬が上位に食い込んできたと感じますね。

 勝ったスマートレイアーは、正に教科書通りのインドリフト、綺麗な内差しが嵌り切りましたね。
 この馬もスタート直後のごちゃつきには巻き込まれているので、そこで無理せず後方からを選択したと思いますが、ただ意図的にインベタを狙った感じではなく、序盤は外に出そう、という意識もあったので、結果的にヒットザターゲットより後ろのイン、という事になってしまいました。

 この辺りのポジショニングに関してはちょっと後手に回った感はありましたが、その分じっくりと腹を据えて脚を溜める形が取れましたし、外から早めにシュヴァルグランが動いていく中でもじっと我慢、コーナー出口では殆ど最後方、という位置取りになっていました。
 しかしその分、しっかり前にスペースを置きつつインに潜り込んでいったことで序盤からしっかり加速は出来ていて、引き込み線あたりで最内に進路を取り、華麗に馬群を縫って勢いを保ったまま差し込んできます。

 先に抜け出したトーセンバジルとの差は、残り200mで2馬身半くらいはあったと思いますので、この馬自身は推定で11,4-11,0-11,0くらい、ラストまでラップを落とさず流石の持続力を発揮しての勝利だったと見ています。
 この馬は持続力は頗る高いものの、究極的な切れ味は足りないタイプなので、コースロスを極限まで減らせたことと、レースラップ自体でそこまで速い脚が問われなかった事、ここがバッチリ噛み合ったと思いますね。

 勿論それだけのポテンシャルがあってこその勝ちっぷりですが、エリザベス女王杯では同じ競馬だと苦しいでしょうか。
 あちらの方が基本よりスロー寄り、かつ仕掛けも遅い一瞬の切れ勝負になりやすい傾向はありますし、本来はもう少し前が取れる馬ではありますから、本番は内枠でも中団くらい、しっかり脚が溜まるギリギリのラインを攻めて欲しいですね。
 適性自体はもうはっきり長距離型にシフトしていると思いますし、この馬にとっても次はほぼラストチャンスだと思うので頑張って欲しいところです。

 2着のトーセンバジルは、こちらも予想以上に素晴らしい競馬を見せてくれたなと思います。
 元々スタートがそこまで速くなく、前半急かすと甘くなるタイプでしたのでそのあたりでどうかな、と懸念していましたが、前走で2000m戦を使った効果もあったか、今日は抜群の出足を見せてくれました。
 開幕週の京都だけに、去年のアドマイヤデウス同様一切迷いなくインを取りに行った岩田Jの果断も流石でしたし、それを前目、2列目ポケットに程近い位置で取れたというのはこのレースの傾向を踏まえれば最高の立ち上がりだったと思います。

 基本的にスローから爆発力勝負が身上の馬ではあるのですが、今日に関しては前半60秒の流れにほとんど遜色ない位置で入ってこられましたし、直線でも最速地点でしっかりと切れ味を見せて抜け出してきました。
 ラストの持続力面でやや1、3着馬には見劣ったものの、それ以上にこの位置で競馬出来るメリットは大きかったと思いますし、いよいよ完成期に入ってきたのかな、というイメージが強く持てますね。
 今後もこういう競馬が出来るなら、GⅠクラスでも全く歯が立たない、という事にはならないと思いますし、距離はこのくらいがベストですので、JCは出走枠的に厳しそうにしても、有馬あたりで楽しみは出てきたと感じます。今日は本当に結果以外は最高の競馬でした。

 3着のシュヴァルグランも、負けて強し、と素直に称賛していい内容だったと思いますね。
 スタート直後に挟まれたのはこの馬自身の過失ではないと思いますし、そこで行き脚を削がれたのは近走の内容から致命的かと思いましたが、しかしそれでも後半型の競馬にシフトして持ち前の長くいい脚を最後まで維持するパターンを、京都の外回りで大外を通してやってのけたのは大したものです。

 前半はリズムを立て直すことに専念して後方二番手でしたが、向こう正面から坂の上りに差し掛かるあたりで、馬群が凝縮し始めたところで一気に外から動く選択を取ります。
 多分これが残り1000mをちょっと過ぎたくらいで、まだ坂の上り地点だったとは思うのですが、この選択はいかにも強気なデムーロJらしい動き出しだったと感心しますし、かつそれが結果的にもプラスに繋がっていると見ています。

 ラップ的には1000-800m地点は12,5とまだ緩く、そこから坂の下りにかけて11,7と、極端ではないにせよそれなりに加速しています。
 こういうパターンの時に、常識的に坂の下りからスパートを仕掛けても、前も加速しているので中々差は詰まらず、延々外々を通るロスが更に大きくなってしまいます。
 けれどその一呼吸手前からスパートを開始した事で、緩い地点でそれなりにしっかりリカバーが効きましたし、かつ勢いをつけて下りに入っていったことで楽にスピードに乗って、外目でも内の馬に伍していける形を作っていました。
 かつコーナー出口あたりでは無理に捲り切らずに一呼吸入れて、直線に入ってから全力の追い出し、というメリハリも見事な操縦であり、そして馬もそれにしっかり応えています。
 
 上がり自体は早めに動いたことと、スマートレイアーがインベタを決め切ったことで字面の数字においては見劣りますが、しっかり最速地点で再度エンジンを点火させつつ、ラスト1Fもこの馬自身はラップを落とさず、11,5-11,3-11,2くらいで走破出来ていると見ています。
 あれだけ外から長く脚を使って、かつラスト最速は素晴らしい脚力ですし、最後スマートレイアーに交わされたのは純粋に切れ味の差、だと思います。どうしてもこの馬は11秒を切るほどの脚は使えませんからね。
 その意味で、コーナーで捲り切ってしまっても良かったかもしれませんが、あまり前哨戦できつい競馬をしても、という所も踏まえれば妥当な判断だったかなと見ています。

 序盤でああいう形になってしまった中では、この馬の良さを引き出し切る、という意味でほぼベストに近い立ち回りだったとは思いますし、純粋な能力なら当然インベタの上位2頭に勝ってくると思います。
 本来はこちらももう少しポジションは取れるタイプですし、ただ形としては極端な先行策を試みるよりも、ステイヤー的なスローロンスパ、仕掛けどころを他より早くして分散させていく方が強さを引き出せるのかなぁとは改めて感じました。

 上手く噛み合えば秋のGⅠシリーズでも面白い存在になってきますし、乗り役含めて引き続き注目ですね。
 少なくとも懸念していた春のダメージはもう残っていないと見ていい走りでした。

 4着ミッキーロケットは、今日は好スタートを決めてそこそこいいポジションを取れたのは良かったと思います。
 序盤のごちゃつきの中で本当はもう一列前に入りたかった、という事もあるでしょうが、後半も極端に速い脚は問われない中でじりじりと伸びており、高速馬場への目途をつけられた一戦になりました。
 ただ持続力や切れ味が問われる展開ですと少し足りない感じはしますし、常にそれをポジショニングでリカバーできるタイプでもないので、ちょっと狙いどころは難しいですね。やや渋ったり、馬場が重い条件での2400~2500mなら面白いでしょうが、トップクラスで圏内に食い込むためのスポットはまだ狭いかな、と見ています。

 5着レコンダイトも、後ろからゆったり入ってコーナーもタイトに回ってきた事で、一定のしぶとさを発揮出来たと言えそうです。
 ただこの馬常に相手なりというか、強い相手でも弱い相手でも掲示板止まりなんですよね。距離はこのくらいがベストでしょうし、今後も人気はしてこないタイプと思うので紐には一考、という感じですが、扱いが難しい馬ではあります。

 6着ラストインパクトは、得意条件でちょっと復活の兆しを見せたかな、とも言えますが、逃げた以外はべストに近い展開で止まっているのを踏まえるとやっぱり下降線なのは確かなのかなと感じます。
 7着ヒットザターゲットも展開はかなり噛み合ったと思いますが、現状ではここまでですかね。

 13着サウンズオブアースは、時折見せる脆さが展開の綾と噛み合ってはっきり出てしまった感じです。
 序盤にぶつけられてリズムを崩しつつもおっつけて先行していったのは、横山Jにしては焦ったイメージがありましたし、結果的にそこそこ流れている地点でリカバーの脚を使って、かつ道中外々というのはかなり苦しかったでしょう。
 基本スローで入りたい馬ですからこのあたりと、後3~4コーナーでもシュヴァルグランの動き出しが早くて上手く外に被せられて進路を作れず、勢いを削がれながらの直線入り口でもう意気消沈、という雰囲気でした。

 負け方としてはいっそここまで明確に噛み合わず、ダメージを残さない形で下がっていった分、次に向けては度外視していいと思いますし、しかしとことん運はない馬だなぁと改めて思いましたね。 
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2017 毎日王冠 レース回顧

 GⅠ馬が5頭も出揃い、本格的な秋のGⅠシリーズ開幕の狼煙を上げるに相応しいレベルとなった一戦は、中団から鋭く脚を伸ばしたリアルスティールが見事復活の勝利を上げ、悲願の国内GⅠ制覇に向けていいスタートを切りました。レースを振り返りましょう。

 今日は朝から芝は良馬場発表で、実際に時計もそこそこ出ていました。
 全体的にドスローのレースばかりなのではっきり読みにくいところはありますが、2歳未勝利のマイルでアーモンドアイが1,35,1での差し切り、午後の芝レースでも軒並み上がり32秒後半から33秒前半を繰り出す馬が上位に来るパターンが多く、おそらく超、に程近い高速馬場にはなっていたと見ていいと思います。

 逃げ馬不在の中で序盤のレース展開も注目されましたが、好スタートを切ったダイワキャグニー、マッチレスヒーロー、ヤングマンパワーが雁行状態でそれぞれの動向を窺う中、少し出負けしたソウルスターリングも気合をつけてこのグループに取りついていきます。
 そうなると、基本どの馬も逃げたくはない、という条件の中で、最内のソウルが押し出されるようにハナを取る形になって、番手外にダイワキャグニー、ポケットにマッチレスが入って、その外にヤングマンパワーという隊列で前は落ち着きます。
 その先団の後ろにウインブライトがいて、内からはマカヒキもそんなにスタートは良くなかったですが、ある程度しごいて前の集団の最後尾に取りついていきました。

 そこから少し馬群が切れて、丁度中団、前後に何もいない楽な位置に好スタートからきっちり下げたリアルスティール、それをマークするようにワンアンドオンリーとサトノアラジンがいて、そこからまた少し離れてグレーターロンドンが追走していきます。
 更にそこからポツンポツンと、ヒストリカル、そして思い切った注文をつけてのアストラエンブレムが最後方となり、ペースの割に縦長で展開していったなと感じました。

 ラップは35,6(11,87)-36,5(12,17)-33,5(11,17)=1,45,6(11,73)という推移でした。
 結果的に見れば予想以上に馬場が軽く、決して極端に襲い前半の展開ではないのですが、バランス的には2秒以上の後傾戦、瞬発力と持続力に特化したレースになっていると思います。
 中盤も12,2-12,2-12,1と極端に息が入っているわけではない中で、先行勢は比較的仕掛けを遅らせる形を選択しており、それが後半ラップの11,1-10,7-11,7という推移に端的に現れています。

 3~4コーナー中間点ではまだ12秒台と楽なラップで、コーナー出口からじわっと加速していくものの、最速地点ははっきり直線坂地点で、かつ10,7とレースラップの時点で相当な質の高さを問われています。
 なので形としては、後ろから楽なコーナーでじわっと勢いをつけつつ前を向いて入ってこられた差し馬に噛み合うところはあったと思いますし、その上で加速力・瞬発力の質、持続力の全ての要素を高いレベルで問われた、数字以上にハイレベルな一戦だったと見ています。

 勝ったリアルスティールは、ようやく実力馬が完全復活してきたのかな、と感じるのと同時に、改めて古馬になっての資質が変化してもきているかな、と思いました。
 スタートは先頭列の馬と同等くらいに速く出ていましたが、そこから折り合い専念で、けれど必要以上に下げないのがデムーロJらしいバランスの取り方で、結果的に中団のエアポケットに近い最高のポジションを、ごく自然に確保することが出来ました。
 
 そこからコーナーではじわっと取り付いていくものの、出来る限りタイトに回って脚を溜めつつ、直線入り口でスッと外に持ち出して進路確保と、このあたりのコーナリングも絶妙で、そしてそこからの伸び脚が圧巻でした。
 個人的にリアルスティールという馬は、そこまで瞬発力に秀でていない馬だと意識していたのですが、今日は坂地点で前と3馬身くらいあったのを、あっという間に1馬身弱まで縮めてきていています。

 これは外から襲い掛かってきたサトノアラジンと同等、より末脚を溜め込んでいたグレーターロンドン以上の切れ味で、推定10,3くらいの凄まじい切れ味を引き出せていて、これはイメージにない走りでした。
 去年の天皇賞でも最速地点ではモーリスにやや置かれ気味になって、ラスト1Fの持続力で詰めてきた印象が強かったのですが、古馬として完成して、より瞬発型にシフトしてきたのかもしれません。キズナの晩年なんかもそうでしたし、スピード色が強くなってはいる、と思います。

 勿論ここまで最速地点の持ってき方が綺麗に嵌るレースをしてこなかった、というのもあるでしょうし、でも現状はこういう極端にロンスパにならない、2~3Fレベルで究極の質を繰り出す競馬がベストのようですね。
 ラストも自身11,5くらいではまとめて、持ち前の持続力もしっかり見せており、サトノアラジンと斤量差があったとはいえ、最後逆に少し離しているようにも見えますから、これは強い勝ち方だったと思います。

 こうなると当然次も楽しみは増してきますが、勝ち切るにはある程度の運を引き寄せる必要はあるでしょう。
 基本キタサンが前にいるレースですので、仕掛け自体はもう少し速くなっての持続力面が強く問われる可能性が高いですし、外枠を引かされて外々ですと、今日見せた持ち味が削がれる危険性はあるかなと思います。
 基本ポジションは取れる馬ですし、内枠からスッと出て6~7番手くらいで競馬出来れば、3歳時はキタサンとも互角に戦っていた馬なのですし充分にチャンスはあるでしょう。楽しみな馬が復活してくれたと思います。

 2着のサトノアラジンも、最重量58kgを背負ってこの競馬は立派で、次の天皇賞にも一定の目途を立てた内容だと言えますね。
 ただ今日は、実質的に超高速馬場に近い条件で、この馬にとっては絶好でしたし、その上適度にスローで前半じっくり脚を溜め、爆発力に賭ける競馬に徹することが出来ました。
 無論安田記念でも強かったように、もう少し追走が問われてもやれる馬ですが、今日に関してはあの位置から瞬発力の質という最大の武器をしっかり引き出せたのが好走要因だと思っています。

 ただその面ではこの馬かグレーターロンドンが現役最上位だと思っていたのですが、リアルスティールがあれだけ切れる脚を使えたのは驚きでしたし、そうなるとどうしてもポジショニングの優位性が如実に出てしまうので、この負けは仕方ないかな、と感じます。
 どうしても後ろから外一気、しか出来ない不器用な馬ですので、外を回されると辛い本番で、更に距離延長してとなると簡単ではないと思いますが、超高速馬場で内枠、ある程度流れる展開で前半死んだふり、くらい噛み合えば、直線外に出してのズドン、は警戒すべきかもしれませんね。

 3着グレーターロンドンは、まずこのクラスで戦える目途を立てた内容ではありましたが、もう一歩破壊力に乏しかったですね。
 この馬が後ろから中々差を詰められない時点で、坂地点が相当に速いラップだとは推察できたのですが、それにしても上位2頭の切れ味は凄まじく、この馬も相当に切れてはいるでしょうが、それでも画面で見る限りそこで1馬身くらい差をつけられています。
 
 そこからじわじわと減速をとどめ、しっかり持続力を見せて食い込んできたのは流石の素材ですし、位置取りも今日はまだ常識的でしたが、もう少し爆発できるイメージを持っていたので、この噛み合った展開でここまで、というのはちょっと残念ですかね。
 秋天は賞金的に無理でしょうし、マイルチャンピオンシップならそれなりに面白いとは思うのですが、どちらかと言えばもう少しはっきり持続戦寄りになってくれたほうがパフォーマンスは高いのかもしれません。
 改めて次が試金石になりそうですね。

 4着ダイワキャグニーは、このコース巧者らしい器用な立ち回りで一瞬見せ場を作りましたが、差し馬勢の切れ味には成す術なし、でしたね。
 スタートから逃げたくないので周りを見つつ、結果的にソウルが行ってくれたので格好の目標にしつつレースを進められて、直線坂でソウルに並びかけて交わすまではいい競馬でした。
 ただそこから切れ味の質ではっきり見劣り3番手まで後退、最後はグレーターロンドンの持続力にも後れを取って僅かに圏内から脱落する結果となってしまいました。

 今年の3歳牡馬世代のレベルからすると健闘した、とも言えますが、この馬に関してはプリンシパルSで見せているかなり質の高い追走力も武器になるので、もう少し道中ソウルをつつくイメージがあっても良かったかもしれません。
 現状左回りでしか結果を残せていないのもありますし、流石にこのクラスに入ってくると、全てが噛み合わないと勝ち負けまでは難しいかな、と思わせる内容でしたね。

 5着ヤングマンパワーも悪くない競馬でしたが、欲を言えばこの馬が逃げてもう少し速い流れを作ってくれたら、この馬自身もっと面白かった、とは感じます。
 マイラーズCなどでもそうですが、この馬自身前半ゆったりは入りたい、けれどゆったりし過ぎると切れ負けする、という難儀な馬ですので、そこのバランスをもうちょい上手くコントロールしていければ良かったなと。
 ただ昨日からの馬場のイメージ読みは乗り手も難しかったと思いますし、けど正攻法の外々では流石にちょっと足りない馬ですので、この負け方は仕方ないところでしょう。

 馬自身距離はこのくらいのほうが競馬しやすいでしょうし、大体後傾1秒くらいのペースで、仕掛けを速くして最速ラップを分散させるイメージでレースを作っていければ、この相手でも戦える力はあると思います。

 6着マカヒキはうーん、こちらは復活とはいきませんでしたね。
 ただいくらか噛み合ってない、と思うところはあって、まず最序盤、少し出負けした後にちょっと前を取りに行き過ぎたきらいはあります。
 3歳時も前半から急かして持ち味が出るタイプではなかったですし、ニュートラルに入ってリアルスティールのあたり、くらいが結果的にもべストだったでしょうから、その辺すこし開幕週を意識してスペースを詰め過ぎたと思います。

 その上で、コーナー出口からの1秒の加速地点でやや置かれ加減、直線もスペース自体はあったと思いますがジリっとしか伸びず、外から勢いをしっかり付けたリアルスティールとサトノアラジンには成す術もありませんでした。
 ダービーでは内からかなりスパッと動けていたのですが、10秒台前半に入る絶対的な質が問われるとそこまでは加速面でも質の面でも足りなかった、と言えますし、ラストはしっかり持続力を引き出してグレーターロンドンと同じくらいの脚色では伸びているので、着順は良くないですが春よりは見所のある走りではあったと思っています。

 これで秋天では人気を落とすでしょうが、適度に中目の枠で、中団やや後方くらいからじっくり構えて入っていける形、かつキタサンが主導してのコーナーから引き上げていく持続力戦になった時は、まだワンチャンスあっても、と感じます。
 それでも流石にリアルスティールより上の評価はしづらくなりましたし、なんとか次こそダービー馬の威厳を見せて欲しいのですけどね。ワンアンも今日は結構頑張ってましたけど、流石にダービー馬が掲示板外の6、7着争いでは…………。

 8着ソウルスターリングは、懸念していた逃げるしかない形に放り込まれてしまって少し力みがあった事と、後は純粋に切れ負けの側面が一番強いと思っています。
 これまでの競馬でも、いいポジションからそこそこ速い上がりを繰り出すのが持ち味で、瞬発力の質などははっきり素晴らしいものを見せていなかったので、ここでは結果的に脚を溜め過ぎて、後ろの馬により特化的な切れ味を引き出させるお膳立てをしてしまった印象です。

 オークスなどは同じくスローでもコーナー中間から11,6-11,3-11,2-11,6とじわじわ加速して、外を回すロスを後続に与えつつ最速ラップを上手く分散出来ていました。
 また追走面でももう少し余裕がある馬ですので、綺麗なペースを刻んではいますけれど、もう少しタフな、かつ強気なレースメイクでも良かったかもしれません。
 まぁ今日はまだ状態面ももう一歩、という雰囲気でしたし、一叩きしてどれだけ変わってこられるか、かつレース全体のスピード勝負の土俵でどこまでやれるか、まだ本番でもいい枠を引けば見限れないとは思います。 
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2017 サウジアラビアロイヤルカップ レース回顧

 朝方の激しい雨模様から一転、青空も覗いて非常に健やかな空気の中での一戦となったサウジアラビアロイヤルカップは、好スタートから番手につけたダノンプレミアムが、直線で楽に抜け出しそのまま押し切る強い競馬を見せました。レースを振り返っていきましょう。

 この日の芝は、午前中の雨の影響で重スタート、午後の後半から稍重に回復してきました。
 今日は他に芝レースの上級条件が少なかったのと、乾いていく段階でのレースでしたので判断が難しいですが、ひとつ前の10R、1000万下の2400m戦が、ややスロー気味の展開からの持続力戦で2,25,9とそこそこ時計を出してきました。
 
 この印象からしても、ベースの馬場はかなり軽かった、と見て良さそうですし、その上でこの時期の2歳戦にしては珍しくしっかり流れたとはいえ、1,33,0はちょっと驚きの好時計でしたね。

 展開は、まず好発を決めたのがダノンプレミアムとカーボナードでした。
 その2頭の間からハクサンフエロが一気にハナを奪って、ダノンプレミアムはスッとフラットに番手外を確保、そのグループにスターリバー、ボウルズ、ダブルシャープあたりもやや引っ掛かり気味に加わっていきます。
 
 その後ろに、内からはやや出遅れたもののリカバーをかけてきたシュバルツボンバー、中目にコスモインザハート、カーボナードは内の馬がこぞって前に行ってペースが上がったのを見越して、最終的には中団外まで下げる選択をします。そしてそれをマークする位置にテンクウがいました。
 人気のステルヴィオは五分のスタートを切ったものの、前走1800m戦だった弊害もあったか、新馬の時よりも二の足がつかず、内の馬もみんなかなり速かったのもあり、少しずつポジションを下げて後方からの競馬になります。
 途中で内目に入れたものの、そこを外からルッジェーロに被せられ、前の馬もスッと動いていってはくれなくて、結果的に勝負所の4コーナーでも中々エンジンを掛けきれずにほぼ最後方近い位置まで下げる難しい競馬になりました。

 ラップは34,3(11,43)-24,0(12,0)-34,7(11,57)=1,33,0(11,63)という推移になりました。
 この時期の2歳戦だけに、ここまでペースが上がる想定はしていませんでしたが、今年はフルゲートでどの馬もスムーズにいい位置を取りたい、と思うなら、こういう可能性も視野に入れておくべきでしたね。
 ただこの流れを主導していたのはハクサンフエロですが、実質的に支配していたのはダノンプレミアムで、新馬も出足のいい馬でしたが、この日も絶好のスタートから速い流れに全く怯むことなく追走できていて、結果的にかなりタフなレースになっています。

 馬場はもうほとんど良だったと考えていいでしょうが、それでもハーフで46,1-46,9の前傾ラップ、1000m通過も58,3というのは相当に高い水準で追走力が問われています。
 一応中盤緩んではいますが、一番遅いところでも12,2と極端ではなく、細かく見ればこの4コーナー地点でフラットに外から勢いを殺さず取り付けた馬の方が楽だったかな?という見立ては出来ますが、より純粋に絶対的なスピード能力と底力が問われた一戦と言えるでしょう。
 このラップでラスト3Fも11,5-11,5-11,7とほぼ落としていませんし、上位に食い込んできた馬は普通に強い、と思って差し支えないと考えます。

 そして勝ったダノンプレミアムは、ここまでマイルで完璧な競馬が出来るとは御見それしました、としか言えませんね。
 前走の感じから距離が伸びた方が味が出るのでは?と思っていたのですが、このペースを番手外で楽に追走、中間点でも前と2馬身差くらいですので、この馬自身はほぼフラットの走破でしょう。
 その上でコーナーで一息入れてからの残り400m、スパートを仕掛けるとスッと坂地点で反応して楽に加速しており、この馬は11,5-11,2-11,7くらいの上がりだと思いますが、このペースからでもかなりの切れ味を引き出すことに成功しています。

 こういう競馬が出来る、という事は、私の見立てははっきり間違っていて、純粋なマイラーとしての資質がかなり高い、と言えそうですし、けれどクラシックの時期までは絶対能力で距離も克服できるかな、と感じさせる凄みがありました。
 この時期にこれだけの追走の担保を持てる馬は中々いませんし、新馬の内容から少しタフな馬場でもやれる、ポジショニングも上手となれば、中山2000mの適正はそれなりに高そうです。
 無論持続力もかなり高いので、阪神1600mでも強い競馬は出来るでしょうが、どちらのGⅠに出てきても適性面では十分対応してきそうですね。自分でペースをコントロール出来る強みもありますし、これは本当に先が楽しみな一頭です。

 2着のステルヴィオも、結果的に枠の差や立ち回りのセンスの差で敗れたものの、絶対能力の高さは存分に示せた一戦だと感じました。
 スタート自体は悪くなかったですが、道中ルメールJにしては珍しく狭い所狭い所に押し込められてしまった感じで、正直直線入り口では万事休すに思えましたが、そこからの脚が圧巻でした。

 直線を向いて外に持ち出すと、すぐに鋭く反応は出来なかったものの坂でもじりじりと伸びて、そしてラストの1Fで前を急襲、ダノン以外は楽に捕まえる素晴らしい脚を見せてくれました。
 残り200m地点でダノンとは6馬身差くらいあり、それをここだけで4馬身前後詰めているように見えますので、この馬の上がりは推定で11,5-11,1-10,9くらいではないかと思います。

 この馬も自身の1000m通過で59,8と、かなり高いレベルで追走をクリアした上でこの脚ですので、決して嵌った形ではなく、純粋に底力が勝ち馬以外とは違った、と考えていいと思います。
 ただ今日のレース内容からすると、ロードカナロア産駒ではありますが、もう少し序盤にポジションが取れる1800~2000mの方がより走りやすいのではないか、というイメージはありましたね。追走面ではクリアできても、ポジショニングはかなり微妙で、無論外枠も厳しかったとは思いますが、府中1800mで見てみたい逸材です。

 3着カーボナードはほぼ完璧な競馬でしたし、上位2頭のスケールには完敗、というところですね。
 スタートも抜群でそのままニュートラルに中団やや前くらいの絶好位、そこから緩みに合わせてじわっと進出していく理想的な立ち回りでしたし、それでも直線最速地点でも、ラスト1Fでもダノンプレミアム比較でやや見劣っており、これは相手が悪かったと考えるべきでしょう。
 2戦目からスタートセンスがかなり良くなりましたし、マイラーとして今後面白くなりそうな1頭ではあります。デイリー杯あたりで内枠を引けたら全力で狙ってみたいですね。

 4着テンクウもほぼカーボナードと同じ競馬をして、同じような能力を見せてきましたが、スケールでは足りなかったと言えます。
 この馬自身としては、これまでスローから鋭い脚を引き出してきていたのを、このペースの中でもそこまで削がれず使えた、というのは収穫ですし、ヨハネスブルグ産駒ですので、稍重とはいえ開幕週の高速馬場もプラスだったかもしれません。
 距離はこのくらいがギリギリでしょうし、ワンパンチ足りないのはありますが、このクラスでも充分戦っていける目途は改めて立てた一戦、と言えるのではないでしょうか。

 5着シュバルツボンバーは、まず出負けが痛かったですね。
 内枠だった分早めにリカバーして中団は取れたものの、ペースの速いところで押し上げて脚を小刻みに使ってしまった事や、その上で内目のポジションで多少なり淀みに合わせてブレーキは余儀なくされていて、色々と噛み合っていないところはあると思います。

 直線もスッキリ進路を確保するまでに手間取りましたし、ラスト100mくらいはかなりいい脚を見せていて、能力的には3~4着馬あたりとも互角の力はあるかなと思います。
 未勝利の勝ち方からしても、こういう流れる展開が合うタイプなのはあるでしょうし、スタートがあまり良くないので常に安定して上位に来るタイプか、というと微妙かもですが、噛み合えば突き抜ける武器を持っている馬ですのでその辺は留意して今後を見ていきたいですね。

 6着ダブルシャープも、ちょっと色々噛み合わなかった部分はありそうです。
 前走の轍を踏まず、という意志でしっかり前を取りに来たのはいいですが、思いの外急流に巻き込まれてしまったのと、それでもやや引っ掛かり気味だったのは難しいところでした。
 仕掛け事態もダノンがある程度待っていた分だけ動くスペースを綺麗に確保できずに、その後ろをジリジリ、という形になってしまいましたし、流石にこのクラスで一気に差を詰められるだけの切れ味は持っていませんでしたね。

 予想以上に馬場が乾いて時計勝負になったのも不運でしたし、最後も伸びずバテず、という感じで、流石にこのクラスのマイルスピード勝負では分が悪かったか、という印象です。
 ただ前走で見せた持久力は本物と思うので、是非これで諦めずに、年末の中山を使ってみて欲しい1頭ですね。 
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2017 レディスプレリュード レース回顧

 牝馬ダート路線の頂点を決めるJBCレディスクラシック、その前哨戦となるレディスプレリュードは、芝路線挑戦から再びダート路線に戻ってきたクイーンマンボが、直線で後続を楽々突き放す圧勝劇を演じてみせました。レースを振り返りましょう。

 今日の馬場は、下手をすると更に昨日より重くなっていた感があります。
 下級条件とは言え1200m戦で1分16秒を切ってこないレースが続きましたし、それを踏まえるとこの勝ち時計1,53,1はかなり破格と言っていいかもしれません。後続が大きく千切られたのもある意味では納得の内容でした。

 レース展開は、まず内から揃って少し出遅れたサルサディオーネとマイティティーが押して押してハナを主張、それに外からララベルも絡んでいきます。
 最終的にサルサディオーネが枠を利してハナ、外からララベルが番手を取り切り、マイティティーは早い段階で外目に進路を切り替えてララベルの外から進出していきます。
 
 ララベルについていく形でスムーズに前目に入ってきたクイーンマンボがその後ろ、アンジュデジールも五分のスタートからフラットに前に取りついて、内目のポケットに入り込んでの追走となります。
 ホワイトフーガは二の脚がそこまで良くなく、枠の差もあって序盤はゆったり中団、最初のコーナーあたりからじわっと進出して先団の一番後ろに取りつく形でレースが進んでいきました。

 ラップは37,8(12,6)-36,7(12,23)-38,6(12,87)=1,53,1(12,56)という推移でした。
 最序盤はそこまでペースアップしていませんが、向こう正面の中盤3Fがかなり速くなっていて、ラストも大井らしくコーナーで緩んで再加速ラップを踏んでいるものの、全体的には消耗傾向が強い流れになっています。

 中盤からかなり長く脚を問われているので、距離以上にスタミナ適正、底力を問われるレースになりましたし、この日の馬場はかなり重かったのも相俟って、勝ち馬だけがその中でもう一足を繰り出す余力があった、というイメージです。
 少なくとも2着位置で測ればラスト3Fは40秒近くになるので、大半の馬にはこれでも前半流れて、かつ中盤も速い消耗戦だったはずで、改めてクイーンマンボという馬の底力と持久力、スタミナが存分に発揮された一戦だったと言えそうです。

 それにしても、このクイーンマンボの強さには驚きましたね。
 1800mですと多少追走に苦労するかな、と思ったのですが、前走芝で強い相手と戦った経験が生きたのか、外枠もあってスムーズに先行、道中も非常に伸び伸びと走っているように見えたのが印象的でした。
 この馬のバランスで言えば前後半はほぼフラットくらいで走破していて、前半ある程度楽に入ってからのロングスパートと、スタミナ性能が優位に出やすいレース展開にバッチリ嵌ったところはあると思います。それ以外の馬がスピード色が強かった、というのもありますけれど。

 中盤最速で足を出し切る展開も良かったですし、また4コーナーで一度13,1と緩んでから12,4と再加速していく中でも、外から緩みに合わせずフラットに取りついたことで、しっかりスピードを殺さず強気に押し上げてこられたのが、ここまで大きく千切った要因のひとつではあるでしょう。
 この展開でしたらどうあっても勝っていたでしょうが、その上で騎乗も噛み合っていて、馬自身時計のかかるタフな馬場に適性が高いのだろうと思います。

 ただ他の有力馬に比べると、この馬は夏からあまり休みを取らずに使い続けてきているので、本番にどこまで上積みがあるか、は怪しさがあります。
 今日は外枠でスムーズそのものでしたが、内枠で外に出すのに苦慮する形だと少し難しくなりますし、今日のように中盤流れるならともかく、逆に中盤で緩みが生まれる展開ですと、スピード色が強いタイプも台頭してくるので、今日の内容だけで次は楽勝、と考えるのは早計かもしれません。
 とはいえ出し切った時の圧倒的な破壊力は見せつけましたし、最有力候補なのは間違いないですね。

 2着ホワイトフーガは、展開としてこういうタフな流れはそんなに悪くない、とは思うのですが、やはりもう現状1800m、特に重い馬場での1800mはちょっと長いのかな、と思わせる負け方でした。
 スタートから内目の枠でややポジション取りに苦慮するところはあったものの、向こう正面ではクイーンマンボの後ろにつけていつでも動き出せる体勢を作れていて、特に大きなロスではなかったと思います。

 コーナーからもクイーンマンボの後ろを通して、勢いを殺さず入ってこれていますし、けれどそこから加速地点で反応できずに最期もかなりラップを落として、となると、スタミナ面での限界をちょっと感じさせましたね。
 この馬の場合はむしろ序盤からガンガンペースが上がったほうが、ともなりますが、どうあれ今日は完敗も完敗ですし、本番は斤量差が詰まるとはいえ、1800mでは中々難しいとは思います。
 せめて内外逆で仕掛けどころを抑え込みながら、くらいの恵まれた形はないと、と思いますし、三連覇に黄信号、というところではないでしょうか。

 3着アンジュデジールも、この馬らしい器用さを生かした競馬は出来ましたが、ここまで馬場が重くなると1800mはちょっと長い、ということになりそうです。
 中盤が速くなったことでステイヤー向きの展開でしたし、インベタでなるべくスタミナを消耗しないいい立ち回りをしていて、最後も内からしぶとく2着争いには加わってきましたが、こういう展開ではどうしようもなかったですね。
 この馬も本番でチャンスがあるとすれば中緩み展開で、より加速度が大きくなって器用さを問われたとき、と思います。
 ただ最終的には1400~1600m路線に進んだ方が噛み合いそうなイメージではありますね。

 4着ララベルはこの馬らしい強気のレースメイクでしぶとく粘っていましたが、こちらも今はマイルの方がいいのかもしれませんね。
 安定して先手を取れる馬ですし、本番は今日先行策を取ってきたサルサやマイティティーが出てこられるのかも微妙なところなので、マイペースの逃げを打てるならちょっと怖さはありますけれど、1800mでは強気に狙うのは厳しいかもしれません。
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2017 9月第5週新馬戦など レース回顧

 ちょっと今週は余力がありませんで、いつも土日に分けて掲載している2歳戦回顧を一記事にまとめ、かつ目についたレースだけ紹介させていただきます。
 便宜上9月最終週扱いですが、日曜のレースも入っていますのでご了承くださいませ。

 ちなみに書くべきことが多いのもありますが、純粋に別件で忙しいのもあって、来週末くらいまでは少し内容が素っ気なくなってしまうかもしれません。重ね重ね宜しくお願い致します。

**★9/30(土) 中山5R 芝1600m戦**

 やや時計のかかる馬場で行われた牝馬限定の一戦は、人気のデュッセルドルフが外からしぶとく差し込んで初勝利を飾りました。

 スタートから内目の馬の出足が揃って良くなく、序盤は外枠の馬の主導でレースが展開していく中、2~3着のカッパツパッチとカサーレは好位の外目、デュッセルドルフはそれを見るように中団の外目でレースを進めていきました。

 ラップは36,9(12,3)-25,6(12,8)-34,6(11,53)=1,37,1(12,19)という推移でした。
 序盤と中盤がかなり緩いのと、中盤が13,1-12,5とかなりブレーキしていて馬群が凝縮、そこから11,7-11,3-11,6と、段階的に加速しているのが特徴的です。
 なのでどちらかと言えば外々から自分のリズムでギアを上げていけた馬の方が噛み合った流れだと思います。典型的な、スローだけど差し馬有利、というイメージですね。

 その中でデュッセルドルフもその流れに乗って、前を行く2~3着馬が進出するのに合わせてコーナーでは一番外を回して追い上げていきます。
 最速地点の11,3のところではやや伸び切れていませんでしたが、坂を登り切ったあたりからグイッともう一伸びして前を捕まえる、まずまず味のある持続力を見せてきたと思います。
 ただ反応面はともかく、一瞬の切れや坂加速、という点ではやや物足りなさもあり、展開的により急加速、質の高い切れ味が問われると厳しいイメージはありますね。常に仕掛けの意識を速く持って、流れをロンスパに誘導したいタイプかなと思いますし、距離はもうちょっと合ってもいいと思います。

 2、3着馬も流れは噛み合っていますし、勝ち馬が外々なのでここは力負けでしょう。
 後半の総合力はそれなりに見せてきたので、未勝利クラスならチャンスはありそうですが、流れた時の対応力などは当然未知数になるかなりのスローでしたので、簡単ではないかもしれませんね。

**★9/30(土) 阪神3R 芝1800m未勝利戦**

 ここは、新馬でワグネリアンとの激戦の末涙を呑んだヘンリーバローズが出てきて、スッと先手を取ってそのまま馬なり、好時計で押し切る流石の競馬を見せてくれました。 
 
 阪神は高速馬場でしたので時計自体は凄みがあるほどではないですが、スタートセンスも良く、特に気追う感じもなくフラットに先手を取って、ラップも36,5-37,2-33,8とスローではありますが極端な淀みはなく、上がりも11,2-11,1-11,5としっかり減速度少なくまとめています。
 ほぼ追ったところなしでこれですので、やはり素材面では桁が違う、と見ていいでしょうが、懸念としてはここで逃げの手を打ったことで、次のレースで折り合い不安が出ないか、後は新馬でもワグネリアンに見劣った、一瞬の切れの部分が少し足りない可能性はあるのかな、というくらいでしょうか。
 
 ただ追走面はこれでほぼ常識的なレベルはクリアしてきましたし、優に重賞級の能力はあると感じるので、今後のレース選択含めて大注目の一頭ですね。

**★9/30(土) 阪神5R 芝1800m戦**

 こちらは良血のアドマイヤキングが好位から早めに動いてしぶとく押し切っての新馬勝ちになりました。
 新馬戦らしく37,2(12,4)-38,6(12,87)-34,1(11,37)=1,49,9(12,21)とかなりのスローで、かつ上がり時計も流石にヘンリーバローズ戦に比べてしまうと、となります。
 後半ラップが12,7-11,1-11,2-11,8と、坂の下りで一気に加速しての持続力特化戦という様相で、勝ったアドマイヤキングはそこでしっかり外目から押し上げており、展開に噛み合った動きはしていたと思いますね。

 ただ直線入り口から残り200mまでの最速地点ではあまり鋭さは見せず、ラスト1Fを11,8でまとめてきた持続力が武器、という感じになりそうですね。
 どうあれレベルとしては微妙なラインですし、叩き2戦目の変わり身がどこまであるか、レースセンス自体は既にかなりいいものを見せただけに、それ以外の上積みがないと上のクラスでは楽ではないと感じます。少なくとも現状で、ヘンリーバローズに勝てる感じは微塵もないですからねぇ。

**★10/1(日) 中山5R 芝1800m戦**

 芝状態は回復して高速状態だったと思われる日曜の中山の新馬戦は、グローリーヴェイズが好発からハナを奪い、まんまとスローペースに持ち込んで楽々逃げ切りました。
 ラップが40,2(13,4)-37,7(12,57)-34,9(11,63)=1,52,8(12,54)という推移で、いくら新馬戦でも、ここまで最序盤のペースが緩いのは滅多に見ません。
 とにかく前半4Fがべらぼうに遅く、そこからは12,1-12,1-12,2-11,5-11,2という推移で、向こう正面からペースを引き上げてのロンスパ、だけど前半がスロー過ぎてそれでもラストは余力充分で坂地点最速、これでは後続は手も足も出ませんね。

 勝ち馬としても次にどうか、が見極めにくいところですが、それでも一応5Fロンスパに対応した事、最後の坂加速の鋭さとフットワークの良さは目につきましたし、常識的な流れに対応してくれば結構面白い一頭になるかも、とは感じましたね。
 2着のミッキーハイドもポケットでしっかり折り合い、そこから加速負けせずスッとついていけたセンスは中々良くて、未勝利ならすぐに勝ち負けに加わってこられるかな、と思わせました。

**★10/1(日) 阪神5R 芝1400m戦**

 こちらは好位追走したロードカナロア産駒のアルモニカが、直線で楽に抜け出し完勝しました。

 逃げて3着に粘り込んだフェールデュビアンの番手を、アルモニカは少し離れた位置でしっかり折り合いながら追走し、その後ろに2着に差してきたバレンタインジェムがいました。

 ラップは35,2(11,73)-12,3-34,8(11,6)=1,22,2(11,75)という推移でした。
 ややスロー寄りの平均ペースですが、中盤が12,3とかなり緩く、ここでアルモニカはじわっと差を詰めにかかっています。

 そこから直線にかけては11,8-11,4-11,5とじわじわ加速しつつ最後まで落とさないラップで、しっかり好位から勢いをつけてコーナーを回り、直線でも派手に切れたわけではないですが、このペースでラストまで全く落とさずに踏ん張ってきたのはまずまずのパフォーマンスだと感じました。
 実際後続は突き放していますし、時計も悪くはないので、より前半を詰めてこられればこの路線で面白いかもです。ただカナロアの仔なので、スロー気味に展開したのがプラスに働いた可能性も高く、次で真価を問いたいですね。

 
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2017 東京盃 レース回顧

 JBCスプリント本番を見据えて、スピード自慢の有力馬が出揃った一戦は、中央からの移籍2戦目となるキタサンミカヅキが、前走のアフター5スター賞に続き大外から力強く差し切って、新たなスプリント王候補に名乗りを上げました。レースを振り返りましょう。

 この日の馬場は良に回復して、少し前日より時計がかかっていたと感じます。
 レディスプレリュードの想定でも書いたように0,5秒くらいはかかってきて、実際にこのレースも12秒台に突入、その分だけ必然的に相対的な前傾度が高くなったレースですね。

 展開は、近走はまともに逃げられなかったシゲルカガが、久し振りに往年の小気味よいダッシュ力を披露してハナを取り、その外から二の足を効かせてコーリンベリーが番手外に取りついていきます。
 更にその外にトウケイタイガーがつけて、内からはニシケンモノノフにサトノタイガーが好位に潜り込んでいきました。
 外目はブルドックボスがいて、その斜め後ろにスアデラ、それを見る位置でドリームバレンチノ、そこからもう一列後ろ、前の馬群の一番後ろにキタサンミカヅキが虎視眈々と構えていました。
 ナックビーナスは大きく出遅れて後ろから、と厳しい競馬になってしまいましたね。

 ラップは35,2(11,73)-36,9(12,3)=1,12,1(12,02)という推移でした。
 バランス的には前傾2秒に近いハイペースですが、このレースの特徴はそれだけでなく、後半ラップが12,6-11,7-12,6と非常に波が大きいところです。
 
 無論大井の3~4コーナーは加速し難い地点ですので、上級条件での大抵のレースが直線400-200m地点の再加速を伴うのは普段通りですけれど、それでもその前の3F目、11,7の地点から一気に12,6に0,9秒もブレーキしていて、かつ直線を向いてまた0,9秒加速している、この幅は平均的に見てもかなり大きい方だと思います。
 こういうレースの支配は実にコーリンベリーらしいところで、この馬自身は加減速が抜群に上手な馬ですのでこれでいいのですが、結果的に垂れていくシゲルカガや、それを待って一息入れていたコーリンベリーの真後ろにいた内枠の有力馬、ニシケンモノノフやショコラブランはここでワンテンポ仕掛けを待たされる格好になっています。

 それとは対照的に、外枠の馬はこの12,6の地点で無理なく外から取り付くことが出来ており、実質的な再加速度を、直線に入る前から勢いをつけていけた事で上手くフォローしており、けっかてきにかなり外差し優位の展開になりました。
 その上で展開が噛み合ったブルドックボスを、よりこういう粘り気のある重たい馬場に適性が高く、ラストまでバテずに伸びてくるキタサンミカヅキが捕まえた、というイメージですね。

 それにしても勝ったキタサンミカヅキは本当に南関の水が合うのでしょうね。中央時代とはべつ馬の様な力強さで2連勝、決して本番でも侮れない存在になってきました。
 序盤はどうしてもそこまでポジションは取れないですし、多分追走面でもそこまで無理は効かないタイプだと思いますので、ある程度展開の助けはいるタイプでしょう。

 アフター5スター賞に関してはこのレースほど優位性を作れる余地はなかったところを能力で差し込んできましたが、流石にこのレベルになると噛み合い切らないとここまでは、というのはあるかもしれません。
 この馬自身は35,8-36,3とフラットに近いラップで走破出来ており、残り600mからの緩みの地点でしっかりエンジンを掛けながら進出出来たのが、内でブレーキを踏まされていた馬に対しては絶対的なアドバンテージになっていたと思います。
 かつ馬場が重くなってくれたのもこの馬にとっては僥倖で、ラスト1Fで一気にラップが落ちるところでしっかり差し込んでいて、切れ味はないものの長くいい脚を使う、というイメージですね。

 このタイプは常に序盤の位置取り、特に動き出しを意識してのポジションが大切だと思いますし、噛み合えば本番でも怖い一頭になるでしょう。
 ただアフター5スター賞でも見せていたように、前半ペースが上がればその分置かれてしまう不安材料はあるのと、もう少し馬場が軽くなって、最速地点での接待的な質や加速度がより鮮明に問われたときは、ラストの食い込みだけでは届かない、という場面は当然出てくると思います。
 この馬をこのレベルで狙うなら、この日水準くらいの馬場がベストに近いと感じますし、あまり内枠ですとそれも良くない気はするので、諸々条件を踏まえて見ていきたいですね。

 2着のブルドックボスも、結果的には外目から緩みでフラットに押し上げられたのがバッチリ嵌った格好だと思います。
 結果的に内の馬が素早く反応できない位置だったこと、コーリン自体も休み明けで反応が本物ではなかったことが重なり合って、ちょっと早めに先頭に立ち過ぎてしまい、キタサンの格好の餌食になってしまった感じはあります。
 ただこの馬自身南関2戦目で少し馬場に対する適応も見せてきましたし、それでもラストは止まってしまっているので、対キタサンという視座でも、馬の特質からしても、もう少し軽い馬場の方が本番チャンスを見出せる可能性は高いと感じています。

 3着ニシケンモノノフに関しては、今日は仕方ない負け方かなぁと。
 この枠で、コーリンとシゲルがかなり速かったのでその後ろで我慢、というのはやむを得ない仕儀ですし、馬群の中でもしっかり対処できるスポットの広い馬なのですが、流石にこの加減速の大きさに諸に付き合わされたのは厳しかったと思います。
 本質的には淡々とスピード勝負に持ち込んで良さが出る馬ですし、コーリンベリーの性能とは噛み合わないところはあるのでしょう。

 勿論本番に向けて悲観する負け方ではないですが、またコーリンが出てきて支配する場合は、その外から早めに動いていける枠が欲しいですね。出し切れれば当然最上位の一角には入っている馬だと思います。

 4着ショコラブランもメカニズムとしてはニシケンと同様で、かつこの馬場でスピード勝負になり切らなかったところでの抵抗は出来ていましたが、それでもニシケンには勝てなかった、となると、現状このクラスではワンパンチ足りないのだろうと感じます。
 賞金的にもこの馬は本番は厳しい感じがありますし、改めて適条件、カペラSあたりからコツコツ積み重ねていって欲しいですね。

 5着ドリームバレンチノは、この馬も淀みを外から押し上げられた恵まれ組なので、それでこのパフォーマンスはちょっと不満ですね。
 良い時ならキタサンと並んで突き抜けるくらいの脚は見せられた馬ですし、流石に下降線が顕著、と見ていいでしょう。

 6着コーリンベリーは、流石に長い休み明けと馬体増もあり、最後は顕著に息切れしてしまいましたけれど、まだこの馬のレースができる、というのは証明してきたと思います。
 とにかく逃げて加減速の馬場で後続を幻惑しつつ、一瞬の切れ味の鋭さで出し抜くのが勝ちパターンになりますし、この日の斤量でもしっかりそれが出来ていたので、当然一叩きして上昇、条件の好転が見込める本番は有力視できると感じる負け方でした。
 ただ強いて言うと、ここまで馬場が重いと相対的な前傾度が上がってしまって苦しいとは思っていて、ベストは35-36くらいの前傾1秒バランスだと思っていますので、そのくらいの馬場なら尚更強気に狙いたい、という所です。

 9着スアデラはうーん、まるで見せ場もなかったですね。
 相手も強かったですし、キタサン比較だと前走通りとは言えて、この感じですとどうにも左回り巧者の可能性が強くなってきました。
 無論大井でも勝っていますが相手が弱いところですし、船橋のパフォーマンスがあまりに鮮烈だったせいでどうにも見切れないところはあるのですけど、流石に今日の五分な条件下でこれでは、本番でどうこうはちょっと言えなくなってしまいましたね。残念です。
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2017 白山大賞典 レース回顧

 雨の影響が大きく、水の浮く不良馬場での開催となった白山大賞典は、番手外につけたインカンテーションがコーナー出口で先頭に立って押し切る横綱相撲で、ここでの格の違いを見せつけました。レースを振り返りましょう。

 正直金沢の条件戦のレベルはさっぱりわかりませんので、今日の馬場でどのくらい時計が出ていたのかはなんともですが、このレースのレコードが2,12,5ですので、やはり普通の良馬場よりは軽かったはずです。

 レース展開は、外から完璧なスタートを決めたクリノスターオーが、内から競りかけてくるカツゲキキトキトを制してハナに立ち、それを追いかける形でインカンテーションが苦もなく番手外を取り切って、キトキトはポケットに入りこむ形になります。
 コパノチャーリーは大きく出負けして、序盤で外目からリカバーしてインカンテーションの外目、そして予想外にいいスタートを決めたタガノティグオとナムラアラシも早々とそのグループに取りついて、この6頭とその他で大きく分断される交流重賞らしい光景でレースが進んでいきます。

 ラップは上がりしか出ないのではっきりとは言えませんが、全体時計が2,13,6ですのでハロン平均が大体12,7くらいです。
 そして上がり4Fが52,3、上がり3Fが39,7と計時されていますので、800-600m地点が12,6、そしてそこからの3F平均が13,23という事で、極端ではなかったでしょうがハイペースの消耗戦だったのは間違いないと思います。

 勝ったインカンテーションは、ここでは役者が違う、という楽な勝ちっぷりでしたね。
 番手至上主義のクリノスターオーが珍しく躊躇いなくハナを取りに行ってくれたおかげで、楽に番手外に取りつけたのも流れの中ではかなりプラスだったと思いますが、そのまま大名マークしてのコーナーの手応えも、いくらコーナー苦手のクリノスターオーが相手とは言え余裕綽々で、最後もそんなに強く追うことなくあっさり突き放しての貫禄勝ちでした。

 この馬としては流れてくれたのはプラスだったと思いますし、この距離もなんら問題りませんでしたね。
 賞金的にどうか、というのはありますが、どこかで大井の2000mのGⅠに出てきて欲しい馬ですし、今の群雄割拠で上位に安定感がない状況では、この馬の堅実さは充分武器になると思います。今日は本当に強かったです。

 2着のカツゲキキトキトもいい競馬でしたが、流石にインカンにあの完璧な競馬をされてしまうと能力的に厳しかったですね。
 スタートも無難に決めて、ハナに立ってもいい、というくらいの気持ちから、クリノが譲らなかったのでポケット、という位置取りはほぼ理想的だったと思いますし、コーナーでもしっかり前にスペースを置いて進路取りを丁寧に、押し上げてきたタガノティグオに外を回させる形でしっかり直線に向けて、そこからのしぶとさは流石でした。

 やっぱりこの馬は2000m前後の距離でハイペースになる展開がベストだと思いますし、どこかで交流重賞のひとつくらいは勝てる素材だと思いますね。
 自分で逃げる、という選択肢も取れる馬ですし、騎手が常に弱気にならずこの馬のペースでタフな展開を作る意識があれば、バリバリのGⅠレベルの馬でなければ伍していけると改めて感じさせてくれました。

 3着のクリノスターオーは、今日に関しては逃げて正解でしたね。
 馬場的に前が止まらない中で、コパノの出遅れは中々想定し辛いですし、2頭分外を回るよりは、と腹を括ったポジション取りに、馬も絶好のスタートで応えていて、まだまだ顕著な衰えはない事を示せたと思います。

 ただどうしてもコーナーが下手なのは確かで、勝負所の3~4コーナーでも持ったままのインカンに押して押してそれでも抵抗できないわけで、これはもうコース形状の面で仕方ない、まだ最内を通せただけ余力を残せたと見るべきでしょう。
 この馬もバテきってはいないでしょうが、しっかりコーナーで勢いを残して入ってきたキトキトに比べるとどうしても不器用さが目立ちましたし、これはこういうタイプなのでどうしようもないですね。地方でもコーナーが緩い、広いコースならまだ勝つ力はあると思います。

 4着タガノティグオは、デムーロJに乗り替わって元々出負け癖が酷い馬だけにどうかな?と思っていましたが、予想以上にいいスタートを切れてビックリしました。
 そのまま流れに乗っていい位置で競馬が出来ましたし、向こう正面の終盤から外を押し上げてきっちり出し切って勝ちに行く姿勢は見せており、これで直線伸びあぐねたのは距離か、或いは純粋にまだ力不足、という所だと思います。

 あと強いて言えば、前半比較的急かして入っていった分、追走で削がれた可能性もあって、タイプ的には今までみたいに前半ゆったり、の方が合うのかもしれません。
 どうあれまだ若い馬ですし、このメンバーで一定の目途が立てられたのは良かったと思います。改めて次も楽しみですね。
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2017 9月第5週海外GⅠ レース回顧

 今週はアメリカでもフランスでもGⅠクラスのレースは沢山ありましたので、気にとまったものだけごく軽く拾っていこうと思います。
 週末が月跨ぎでしたので、一部10月のレースもありますがご了承下さい。

**★オーサムアゲインS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=EtJk0ZtcC_A)**

 BCクラシックの主要な前哨戦のひとつ、オーサムアゲインSは、正確に調べていないですがおそらくドバイ以来のムブタヒージが外からしぶとく差し切りました。

 この日のサンタアニタは結構時計を要していた印象で、その中で前半のハイペースを好位の外目で追走しながら、直線前から早めに抜け出し粘りこむミッドナイトストームをしっかり捕まえたのはそこそこ評価できる内容です。
 ミッドナイトストームも距離は1800mの方がいいタイプでしょうし、いい先行力としぶとさを見せましたが、ただBCクラシック本番を見据えて、となるとどちらもワンパンチ足りないかなぁ、というのはありますね。

 シャーマンゴーストを物差しにしても、本来のアロゲートとはかなり力の差はありますし、当然今好調期のガンランナーやウェストコーストも強力ですので、距離が伸びてどちらも味が出る、というところもなさそうです。
 本番では好走しても、掲示板の後ろの方を争うあたりに落ち着くかなとは思いますが、ムブタヒージ自体は最近善戦ばかりで勝ち切れない馬だったので、これで勝ち味を覚えて今更にガラッと変わってくれば、とは思いますかね。

**★ゼニヤッタS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=wGNeXd7ZOb0)**

 アメリカが誇る稀代の名牝ゼニヤッタの名を冠した3歳牝馬限定のこのレースは、サンタアニタオークスを衝撃的な強さで勝つも、その後低迷期に入っていたパラダイスウッズが復活の狼煙を上げる逃げ切り勝ちを収めました。
 前半からかなりのハイペースで後ろを引き離して進めていったことで、後続のプレッシャーを受けなかったのが良かったのか、それともようやく泥んこ馬場のケンタッキーオークスのダメージから回復したのか、直線でもしっかり粘り腰を見せての圧勝でした。

 当然相手関係は楽でしたし、頭数も少ないので鵜呑みには出来ませんが、この先行力と持久力は嵌った時はかなりのものだと思っていますので、BC本番でも内枠が引けてスムーズに逃げられるならワンチャンスある…………かも?とちょっと歯切れが悪くなるのは次のレースのせいです。

**★ベルディムS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=2sf6pEM9B1c)**

 こちらはベルモントパークで行われた牝馬限定の一戦で、こちらにはアラバマSを圧勝したイラートが出てきました。
 はじめての古馬相手の一戦でしたが、相手関係は緩かったので圧倒的な人気に推され、そしてその評価に恥じない圧巻の勝利を収めました。

 前走は番手抜け出しでしたが、この日は内枠から道中馬群に揉まれるやや苦しい競馬に見えたものの、直線を向いて先行する2頭の狭いすき間をこじ開けるように抜けてくると、後は後続を突き放す一方の大楽勝でした。

 良馬場の割に勝ち時計自体はあまり良くないので、純粋なレースレベルがどうだったかは難しいところですが、見た目のインパクトは充分ですし、先週の結果を踏まえてもアベルタスマンよりこちらの方が脚質的にも隙がなく、今は強いのではないかと思えますね。
 どうあれきっちりBCディスタフに駒を進めて欲しいですし、有力馬が出揃えば今年はかなり興味深い一戦になってくれると思います。

**★オペラ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=QuvgFVU5gB8)**

 凱旋門賞デーの他のレースに関してはとりあえずこれだけ拾っておきます。
 ご存知の通りのタフな馬場でのレースになる中、61,6-62,0という綺麗な平均ペースで、前目につけたハイドランジアが抜け出すところを、外から同厩のロードデンドロンがしぶとく捻じ伏せて勝ち上がりました。

 元々この馬は、英オークスで1番人気に推されて、残り200mまではイネイブルと馬体を合わせていたくらいの実力馬でしたが、仏オークス遠征の落馬から少しリズムを崩していて、ここにきてようやく本領を発揮してきたかな、と思います。
 着差こそ大きくはないですが、後続に対して上位2頭は完勝、という内容ですし、来年の牝馬路線ではかなり楽しみな馬になってくれると感じますね。

 ちなみに2歳GⅠの良レースには、前走セプテンバーを負かしたハッピリーとマジカルが使い分けで出てきて、牡馬混合の方に出たハッピリーは勝ったものの、牝馬限定戦に回ったマジカルは敗れる、という形になっていました。
 ただこのあたりも、純粋にモイグレアスタッドS組は普通に強い、という印象に繋がってきますし、とりあえずディープの仇はディープで、の先駆けとして、欧州調教馬でも向こうのクラシックを取ってくれれば、と思います。フランスの1000ギニーを勝った馬はもういますけど、イギリスの方が重厚なイメージはありますしね。
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2017 カンナS・ヤマボウシ賞・サフラン賞 レース回顧

 物凄い私事ですけれど、先週末から来週の半ばにかけて、普段基本的に記事にしている回顧やレース予想がてんこ盛り過ぎますね。。。
 今週はまた交流重賞三連発ですし、週末も三日間開催で毎日重賞もある、更に南部杯までついてくるとなると、流石にいくつか記事が追い付かなくなるかもしれません。あらかじめご了承ください。まぁ出来るだけは頑張りますけどね。

 さしあたりは2歳OPと特別戦を先出しで振り返っていきます。

**★カンナS(中山芝1200m戦)**

 OPの冠を背負っているとはいえ、このレースから出世した馬、というのはあまり記憶にない地味なOP戦のカンナSですが、今年も重賞路線で少し足りなかった馬が集っての一戦になりました。

 土曜の中山はまだ少し渋りが残っていたとは思いますが、それでも大分高速馬場に近づいていましたし、バイアスも内伸びが徐々に目立ち始めていたと思います。それでも日曜ほど顕著ではなかったと感じますが。

 レース展開は、札幌の未勝利でいい勝ち方をしてきたリンシャンカイホウが逃げて、その外にビリーバーとトランプ、ポケット近辺にペイシャルアスがいました。
 オジョーノキセキは流れに合わせて中団よりは前の外目を追走し、ヴァイザーは中団馬群の真っ只中、すずらん賞を勝ってここでも人気に推された地方馬リュウノユキナは、やや出負けして後方4番手くらいの追走になります。

 ラップは34,1(11,37)-35,1(11,7)=1,09,2(11,53)という推移でした。
 形として前傾1秒の綺麗なハイペース、かつ道中で緩みもなく、後半ラップも11,6-11,7-11,8と、遮二無二飛ばしていない分極端に落ちてはいませんが、一応一貫減速戦です。
 とはいえ逃げ馬の位置でこれなので、それを追い上げる馬は勝負所での一段加速は必要だったと思いますし、前半の追走力と後半の機動力、それぞれを平均的に問われた内容だったと思います。

 勝ったペイシャルアスは、小倉2歳Sでも最後インからいい脚で伸びていましたし、ここは綺麗にポケットから鋭く抜け出してきましたね。
 ある程度前にスペースを置いて入ってこられたのも良かったですし、直線リンシャンカイホウの斜行などもあってややスムーズさを欠きつつ、最後までしっかり減速せずに走れているのは好印象です。
 無論能力的にじゃあ重賞でどうこう、とは、勝ち時計からもとても言えないとは思いますが、競馬のセンスはいいですし、インから立ち回る器用さを生かす競馬で頑張って欲しいですね。

 2着のリンシャンカイホウも、札幌戦がいい内容でしたので注目していましたが、それなりの結果には繋げてきたと言えそうです。
 直線の斜行はいただけないですが、この馬自身のラップで波が少なくしっかり走り切れていますし、スプリンターとしての素材は悪くないと思いますね。
 当然ここからもっともっと成長していかないと、とは思いますが、距離はもう少し融通も効きそうですし、レースを支配する形で色々試していって欲しいところです。

 3着のオジョーノキセキも悪くない競馬ですが、上位2頭に比べると要所で外々を回された分かな、と思います。
 ただ土曜の時点ではまだバイアスも極端ではなかったと思いますし、基本的には力負け、とう感じで、現状はこんなもの、力は出し切れているレースに見えました。

 5着のリュウノユキナは、この週の内伸び馬場であの位置からでは、というのはありますし、すずらん賞に比べればかなり時計面で詰める必要を問われたので、そのあたりでも苦しかったとは思います。
 ペースが淀まない分押し上げるタイミングもなかったですし、直線外に出してから坂の途中までの伸び脚はかなり鋭く、それこそレッドファルクスしちゃいそうな雰囲気がありましたけど、ピタッと残り100mで止まってしまいましたね。

 とはいえこの展開で後ろから大外ぶん回しでここまで来るのは力はありますし、1200mで時計の速い馬場ですと追走で汲々となってしまうので、もう少し距離伸ばしてみても面白いのではないかと感じます。
 ただ基本はハイペースで前が止まるところを差し込む馬、とは思いますので、距離伸ばしてもポジションが取れるか、スローの時に切れ味を引き出せるか、まだまだ課題は多いでしょう。

 6着ヴァイザーはどうして先週のききょうS使わなかったの?と思うんですよねぇ。絶対1200mじゃポジション面で良さが出ないと思います。
 スタートの巧い戸崎Jでもあの位置ですし、後半要素で一気に盛り返してこられるほどの武器は今のところ見せていないので、1400~1600mで出来るだけ先行して、前をつついて粘りこむ形がベターに思いますし、素材的にはちょっと面白いだけに勿体ないローテーションに感じました。


**★ヤマボウシ賞(阪神ダート1400m戦)**

 ダートの500万下の一戦となるこのレースは、外からドンフォルティスが楽に差し切りました。
 土曜のダートはシリウスSで2,03,9だったようにまず標準的な重さで、この時期の2歳馬としては1,25,0は及第点の時計だと思います。

 レースは2着に粘った芝からの転向馬オーロスターキスが逃げて、それをペガッソ、イエローブレイヴ、ハゼルあたりが追走、人気のレディバードは内から前走と同じく少し下げてポケット付近をキープします。
 その後ろにテイエムオスカーとナムラアッパレがいて、スタートで少し出遅れたドンフォルティスはリカバーしつつ中団、札幌1700mで強い競馬をしてきたサージュミノルは、芝と重いダートで全く行き脚がつかずに後方に置かれる格好になります。

 ラップは34,8(11,6)-12,7-37,5(1,25)=1,25,0(12,14)という推移でした。
 前半3Fはそこそこ速く、阪神1400mダートらしい前傾戦ですけど、意外と前が緩むのが中間地点と早くきて、そこからずっと12秒台後半を刻み続ける、少し変則的なラップになっています。
 先行馬は平均11,6の流れからいきなり12,7にブレーキして、というちょっとちぐはぐな競馬になっていて、そこで中団くらいにいた馬が淀みに合わせず外から進出していったことで、結果的に外から勢いをつけた差し馬が上位に台頭してくる形になりました。

 その中でもドンフォルティスの差し脚はケタ違いでしたね。
 新馬戦ではレディバードに負けていますが、あの時は凄い出負けをしていますし、ここ2走は出負けはしているものの常識的で前にもある程度ついていけたので、そこからはしっかり長くいい脚を使えて来ている、というイメージですね。

 レース内容としては押し上げやすい展開で、そこで勢いを削がずに入ってこられたのは楽でしたけれど、それでもラスト1Fは推定12,2くらいで、ほぼ最後までラップを落とさず軽々と突き抜けています。
 この感じですともう少し距離があってもやれそうですし、芝スタートも極端に悪くはなかったので府中の1600mとかは合いそうなんですが、惜しむらくは来年春までまともなダートのOP戦ってないんですよねぇ。
 正直地方のコース形態が合うタイプか、というと微妙ですし、素材的に面白いものがあるだけに今後の路線が難しいですね。

 2着のオーロスターキスも、ダートでの消耗戦で良さが出てきましたね。ヘニーヒューズのワンツーですし、そういうレースだった、とも言えます。
 この馬の場合中間から減速はしているものの、そこから同じくらいの速度で粘りこむだけで極端に加速などは問われていないので、後続に比べれば力を出し切れるところはあったのでしょう。
 3着のテイエム、4着のナムラなんかも緩んだところで外から押し上げる噛み合った競馬ですので、それを退けたのは一定の評価は出来ますし、500万下なら常に善戦はしてくる能力はありそうですね。

 5着レディバードは、ローテーションもあったのか以前より走りが固く見えたのもありますし、あとこの前がブレーキを早めに踏む流れの中でポケットにいたのは、もろにその淀みの影響を食らってしまっていてその点も不運でした。
 直線進路が確保できた時にはもう外捲り勢は突き抜けていて、まぁどうしたってドンフォルティスには勝てなかったでしょうけど、もう少し勝負所でスムーズに動けていれば2着争いのラインまでは入ってこれたかもしれませんね。
 能力は高い馬と思っていますので、立て直しての巻き返しに期待です。


**★サフラン賞(中山芝1600m戦)**

 日曜になって一段と高速化・内伸びが顕在化していた中山の500万下マイル戦は、その馬場を読み切っていたかのように好枠から逃げたデムーロJのレッドレグナントが押しきって2連勝を飾りました。

 スタートはそんなに良くなかったですが、他の馬が消極的なのもあって内からジリジリと盛り返してハナを切ると、淡々とした淀みの少ない流れに持ち込み、その上で後半も直線まで仕掛けを待てている競馬になっています。
 素材面で明らかに未勝利の勝ち方が抜けていると見えた3頭ですが、ミュージアムヒルとトーセンアンバーは揃って後ろからで、流石にこれでは逃げ切りも致し方なし、というところでしょう。

 ラップも36,5(12,17)-24,2(12,1)-34,5(11,5)=1,35,2(11,90)という推移で、前半極端に緩んではいないものの総合的に見ればかなりのスロー気味な展開、かつラスト3Fが11,6-11,5-11,4とラスト1F最速ラップで、勝ったレッドレグナントにしてもまだ出し切ってはいない、という見立てが出来ます。
 レッドレグナント自体は札幌戦も早めに動いて千切る強い競馬で、このペースなら追走面に不安はないですし、コーナーでじわじわと引き上げつつ最後まで一脚をしっかり残したデムーロJのコントロールが巧みだったと言えそうです。
 裏を返すと、この流れで特筆するほどの切れ味や加速力は見せられていないので、正直広いコースなら2~3着馬の方に魅力を感じますね。

 2着ミュージアムヒルは、枠なりにじわっと出して中団の外目という福永Jらしいそつのない競馬で、コーナーも外々を回しつつしっかり勢いに乗せて直線に入っていきます。
 ただそこからエンジンのかかりがやや遅く、一瞬でレッドに突き抜けられてしまい、坂地点では外から一気にきたトーセンと合わせる形でじわじわ伸びてくるものの時すでに遅し、でしたね。
 
 この馬はそこそこ追走面を苦にしないのですが、後半のエンジンのかかりが良くないのは新馬未勝利でも見せていて、でも勢いに乗れば持続力は非凡です。
 その意味でも確実に府中の方が噛み合うと思いますし、アルテミスSあたりで普通に狙える素材だとは思いますね。勿論相手関係にもよりますけれど、トリッキーな中山では難しかったと思います。

 3着トーセンアンバーは、これまた非常にロスの多い競馬でした。
 道中後方はいいにしても、半端に内に入れたせいでズルズル下がって最後方になってしまい、そこからコーナー出口で一気に外に持ち出そうとするものの、進入角が悪くて勢いを乗せ切れず、前の馬も壁になりかかって、改めて外に持ち出しての直線だけの競馬になってしまいました。
 そこからは一気に脚を使って、残り1Fは楽に10秒台後半のラップを踏んできているとは思いますが、そこまでの過程からどうにもなりませんでしたね。

 結果的に壮絶に脚を余していますし、この馬は広いコースに加えて距離延長が望ましいですね。府中の1800mで走って欲しい馬です。
 あと余談ながら、レースを見ている時、事前に馬柱をサラッとしか見ていなかったので、ええっ、横山Jでポツン気味からあんな稚拙な進路取り?と思ったのですが、よくよく見れば息子さんの方でしたね。それなら納得。
 とりあえず勝ち負けになるかはともかく、後方ポツンって自分のリズムで、かつ勢いを削がずコースロスもなるべく減らすメリットはあるわけで、それすらも殺してしまっては如何に素材が素晴らしくても、という印象です。まあ馬自身コーナー加速が良くなさそうな感じもありましたが。
 でもシュウジの進路取りの角度の使い方を見比べてみるとやっぱり違いは歴然ですし、この辺りはしっかり若手は勉強していって欲しいところですね。
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2017 凱旋門賞 レース回顧

 昨夜行われた凱旋門賞は、イネイブルが好位からあっという間に抜け出して後続を突き放す圧倒的な競馬で勝利し、3歳牝馬にしてキングジョージ&凱旋門賞の2大レースを制するという途方もない偉業を達成しました。
 一方で日本期待のサトノダイヤモンドとサトノノブレスは共に外目追走から直線で伸びず惨敗と、またしても欧州の高い壁に跳ね返される無念の結果に終わってしまいました。レースを振り返っていきましょう(レース映像はJRAのホームページからご覧ください)。

 まず当日の馬場ですが、重の発表通りにかなり時計のかかる条件だったのは間違いありません。
 レースごとにペースのバラつきがあるので一概には言い切れないですが、前半の2歳マイルGⅠで去年の時計から2~3秒遅く、オペラ賞は去年より1,5秒程度ですが、これは去年がスローだったからかもしれません。
 最終のフォレ賞などは、馬場が使い込まれたせいもあるのか去年より4秒近く時計を要しており、少なくとも2400mの距離なら普通に3~4秒は余分に時計がかかる馬場、であったのは間違いないと思います。

 コース的には、前日になんと12m分もの豪快な仮柵を立てていたので、基本的にはどこを通してもそこまで荒れていない条件だったと思いますが、そうであれば尚更に、出来る限りインを通した方が噛み合うレースだったでしょう。
 実際に上位に食い込んだ馬のほとんどが内から2頭分までの隊列にいましたし、外々を回して追い込むのは相当に能力と馬場に対する適性がないと、という所だったと思います。

 レース展開ですが、まずいいスタートからポンッとハナに立ったのは、ほぼ想定通りにオブライエン勢のペースメーカーとなったアイダホでした。
 イネイブルもいつものように好発を決め、少しだけ外に張り出すようにポジションを調整しながらも、まずは番手外の絶好位を確保します。
 その外から上がっていったオーダーオブセントジョージは、やっぱりスタート自体はあまり良く見えませんでしたが、こちらも先行してイネイブルを揉み潰すオーダーがあったのでしょう、遮二無二前に取りついていって、外からイネイブルを交わして番手に取りつき、そこでイネイブルが一列下げる形になります。

 内の隊列は、1番枠からまずまずのスタートだったユリシーズが2列目のポケットを狙いに行きますが、最初のコーナーワークで更に内から進出してきたブラムトにその位置を奪われる格好になりました。
 ブラムトもスタートはいつも通りちょっと遅れていますが、それでも近走の中では一番まともには出ていて、かつ内枠を生かして最初からインに回り込み、それこそ去年のオーダーオブセントジョージの逆パターン、内から馬体を離して、外回りのコースとの合流地点までにじわっと押し上げてポケットに入り込んでおり、これは非常に積極性のある素晴らしいアイデア・騎乗ぶりだったと思います。

 結果的にそこから弾き出されたユリシーズは3列目、イネイブルの真後ろあたりをキープする形となり、その内側に、やはり真ん中の枠から狙い通りにインに絞り込んできたオブライエン勢の筆頭格、ウィンターとムーアJが潜り込みます。
 この位置取りは去年のファウンドと全く同じところで、それを難なくやってくるあたりが流石ですし、他の外枠のオブライエン勢も結果的に惨敗だったとはいえ、すぐに内に舵を切って出来るだけタイトなコース取りを心がけており、改めてこのコースはインにいないとお話にならないのかな、と感じさせました。

 対象的に、というべきなのか、それともあれで作戦通りなのかは判断に迷うところですが、サトノノブレスのポジション取りはちょっと稚拙でしたね。
 イネイブルと互角の好スタートを決めていて、おそらくそこからイネイブルマークのつもりだったのでしょうが、思った以上に内外から前目に馬が殺到してくる中で揉み潰され、じりじりと下がって最終的に3列目の外、という、内枠の利は全く生かせない位置取りになってしまいました。

 その外に正攻法で外から押し上げていくチンギスシークレットがいて、サトノダイヤモンドはこちらも好スタートに見えたもののそこからじわっと下げてその後ろ、内からは3頭目の中団外々に位置して前の動きを注視していました。
 ややポジション争いで後手を踏む形になったクロスオブスターズは、末脚に賭ける形でユリシーズの真後ろ、中団に位置し、その後ろにイキートスとカプリ、ザラックも大外枠から最内に潜り込んで後方から虎視眈々、という格好でレースは進んでいきます。

 ラップはJRAの公式のみならず、他の映像でも残り1000mからの通過ラップ計時が故障していたのか、正直細かくは見て取れませんでした。
 ただ1400m通過は1,27,10でそこまでのハロン平均が12,44、そしてゴールまでの1000mが61,59で平均12,32ですので、ほぼ平均ペース、と見做していいと思います。
 残り600m地点だけ時計が止まっていて1,52,38でしたので、1000-600m地点が25,28、平均が12,64ですので、レースの流れに比べると一旦緩んで息が入っており、そしてその分直線序盤から一気に加速する流れになっていると見ています。

 ここからは目視判断になるので正確さは欠きますが、芝の残り距離表示ラインを通った時のイメージで、ラスト3Fは11,8-11,9-12,6くらいだと思います。
 残り200mがほぼ2,16,0に見えましたので、最後は少し失速はしているものの、このペース、この馬場で直線序盤はかなり速いラップを踏んでいると考えられ、このペースを楽に追走し、そこで一気に突き放してきたイネイブルの化け物ぶりは鮮明に見えてきますね。

 数字から判断すればコーナーでは多少緩んでいますので、そこで押し上げるのが致命的なマイナス、という事まではなかったでしょうが、それでも持続力勝負の色合いは強い中で、出来る限りタイトに、内目を通して仕掛けを待てた馬の方が楽だったのは間違いないと考えています。
 枠番が1~10だった馬が9着までを占める極端な結果でもあり(ちなみにただ1頭二桁着順に沈んだのは我らがサトノノブレスというオチつき)、総合的に枠の差がそのままレース展開でも有利不利に直結するパターンだったのでしょうね。

 それにしてもイネイブルの強さは本当に凄まじかったですね。スプリンターズSのレッドファルクスに続き、強い馬の強い競馬が見られたことには満足しています。
 この馬にとって馬場が渋ってくれたことは当然プラスにはなったでしょうが、それでもこの馬の戦歴から比較した時に、この前半のペースや勝ち時計はこれでも未知の領域ではありました。
 しかしスタートも綺麗に決めて、隊列が決まりかかったところでオーダーオブセントジョージに強引に前に入られてリズムを崩しそうなところでも全く動じる事はなく、鞍上の指示に忠実に淡々と進めていきます。

 勝負所の4コーナー出口あたりから徐々に外に持ち出してしっかり進路確保し、この辺りは個人的には結構恵まれた部分はあったと思うのですが、どうあれ脚を出し切れる態勢が整ったなら後は独壇場でした。
 直線序盤のおそらく最速地点であっという間に加速して一気に抜け出し、直線中盤でも後ろを引き離す一方、流石にラスト1Fは少しクロスオブスターズに詰められるところはあったものの余裕のセーフティリードで、全くケチのつけようのない王者の競馬を完遂してくれた、と思います。

 これで2400mのGⅠを5連勝という離れ業となり、かつ上でも触れたように、3歳牝馬でキングジョージと凱旋門賞を同年度に制した馬は史上初、イギリスの3歳牝馬のこのレースの戴冠も史上初で、鞍上デットーリJもこのレース最多勝となる5勝目、色々な意味で記録づくめ、ジンクスブレイクの勝利となりました。
 そもそも3歳牡馬まで枠を広げても、キングジョージ&凱旋門賞の同一年度制覇はラムタラまで遡らないと例がありませんし、この時点でトレヴやザルカヴァなど、このレースを制した稀代の名牝の名声に並ぶか、もしくは上回ってきたと言えるでしょう。

 もう正直勝つべきレースは残っていないとは言えますし、今年はここまで使い詰めだったので、今後の動向は気になりますね。
 普通にこれで引退繁殖の可能性もありそうですが、これだけの馬だけにもう1年現役を継続してくれれば本当に来年の2400m路線が盛り上がりますので、そこはちょっと期待したいです。
 この上で更に高速馬場への適正まで見せてきたら手が付けられないですが、今日のレースを見る限り、追走力面でもポジショニングでも、そして要所の加速力や切れ味などを勘案しても、もはや馬場不問のレベルで強い感覚はあります。
 もし来年もこのレースに出てくるようなら、日本勢にとって恐るべきライバルになるでしょう。
 来年はロンシャンに戻る筈ですので、シャンティイとロンシャンの凱旋門賞を連覇する、なんて空前絶後の記録にチャレンジしてくれたなら、海外競馬ファンとして嬉しい限りなんですけどね。

 2着クロスオブスターズはいい競馬でしたし、流石名門ファーブル厩舎、このレースにピタリ照準を合わせてきたな、という感じです。
 フォワ賞は休み明けで、距離の不安もあり明確に脚を図るレースに徹していて、結果チンギスシークレットに敗れはしたものの、あれで陣営は大きな自信を持っていたのでしょう。

 枠もいいところでしたが、思ったよりも後ろから内に潜り込んで前を狙ってくる馬が多かったために、並びの関係で少しずつ下げる格好になって、結果的にユリシーズの後ろ、4列目になってしまったのは少し勿体なかったです。
 基本先行力と追走力はある馬ですので、ユリシーズのポジションが取れてスムーズだったらもう少し際どかった気もしますが、ただ結果的にユリシーズを風除けに直線半ばまで脚を溜める形になったのも、一瞬の切れ味はあるものの、持続面では少し甘い感もあるこの馬にとってはプラスだったのかもしれません。

 まぁどちらにせよ2着には変わりなかったと思いますし、しっかり好枠を生かしてタイトに回って、最後の最後に脚を伸ばすお手本的な競馬を見せてくれましたね。
 こういう馬場不問の堅実なタイプは今後も期待が持てるのですが、しかしそこはかとなく漂うフリントシャー臭と言うか、今日も展開そのものは噛み合っていたと思いますし、このレベルで勝ち切るまでの絶対的な武器は乏しいイメージがあるので、善戦すれども、というもどかしい戦績になっていきそうな予感もしますね。

 3着ユリシーズも、このシーズンは春からずっと大きなレースに出続けて、しっかり成長しながら結果を残してきており、ここもその成長ぶりと堅実さはしっかり発揮してくれたと思います。
 この馬にとってはここまで渋るのはあまりプラスではなかったと思いますし、イネイブルとの着差はキングジョージから僅かに縮めているものの、斤量差も縮まっていた分、と思えばまずこの馬場での実力通りには走ってきた、と言えるでしょう。

 当然この馬も枠の恩恵は大きく、イネイブルをしっかりマークするいい位置が取れたのはありますし、それを鑑みると少し物足りなさもありますが、本質的に2400mが少し長いのも最後の脚の鈍り方に影響はあったのかなと感じます。
 2400mでも高速馬場のBCターフならもう少しは、と思いますし、来年も現役を続けるなら2000m路線の主役級の1頭になるのは間違いないと思います。

 4着オーダーオブセントジョージは、去年に続き健闘した、とは言えますが、強いて言えばやはりデットーリJが乗っていた去年の方が、枠の不利を有利に転じた序盤の入り方でアドバンテージは大きかったと感じますね。
 ペース自体は逃げたアイダホが刻んでいたので、チームオーダーがタイトな平均ペースだったのかな、とは思いますが、この馬としては去年前半1400m1分22秒台の猛ペースを追走しても削がれなかったところはあり、対イネイブルだけで考えるならもう少し引き上げてしまっても良かったのかもしれません。

 かつコーナーで少し緩んで息が入り、その分直線での加速度が大きく、絶対的な質としても高くなったことは、どこまでもバテないけどスパッと切れる脚はないこの馬にとってはプラスではなく、コーナーも淡々と平均のまま刻んでいれば3着争いまでは面白かったのではないかと感じましたね。
 この辺りの精密な判断は、流石に欧州のジョッキーと言えどまだ若手の面々には荷が勝ち過ぎたところもあったかもですし、今年は枠も真ん中で、出足のあまり良くないこの馬がしっかりオーダー通りに先行できただけでも頑張った、とは言えるのではないでしょうか。
 馬自身の能力は確かですし、長距離路線の馬は種牡馬需要がないから現役を長く続けるパターンが多いので、来年も2400m超の路線で主役を張ってくれるのではないかと思います。

 5着ブラムトは、しっかり勝ちにいく競馬をしてのものですし、世代レベルなどを踏まえれば健闘の部類に入るのではないか、と思います。
 とにかくスタートが命、という馬でしたが、今日も出遅れはしたものの致命的ではなく、そしてすぐさまリカバーの意識を持って最内にコースを切り、一気に先団まで進出してきたのは、このコースの特徴を踏まえれば最善の判断ではあったと感じます。

 勿論今までが末脚勝負の馬ですので、序盤ちょっと無理をしてこのペースについていって削がれた部分はあったかもしれませんが、それでも直線はしぶとく粘り込んでいて、後ろからの競馬だったら掲示板確保もまず無理だったでしょう。
 枠の有利に甘んじず、尚もいいポジションを狙ったこの姿勢は評価したいですし、C・デムーロJは本当に成長株ですね。この秋の短期免許も楽しみです。

 折々に触れたように、今年のフランス3歳路線は牝馬牡馬ともに弱い、と踏んでいたので、その中では気を吐いたと感じますし、自分の実力は出し切ってみせたと思います。
 距離も少し長い、というのはあったと思いますし、来年も現役を続けるなら中距離路線で、スタートがもう少し安定してくればフランス内では上位の力はあると思うので楽しみです。

 6着チンギスシークレットは、序盤からずーっと外々を回し、コーナーでも外から勝負に行くという形でしたので、その不利度合いを考えれば大健闘、非常に強い競馬だったと思っています。
 純粋にこういう馬場が合うのも勿論なのでしょうが、やっぱりこちらもこの競馬場に慣れが少ないドイツの騎手、という所で、どうしてもタイトな立ち回りは難しかったですし、あと地味にこの馬にとってはサトノノブレスが邪魔でしたね。。。この辺の攻防に関しては後で詳しく触れます。

 馬自身良馬場でどうか、というのはあれ、イキートスもそれなりに健闘はしていて、こういうタフさに噛み合うのはドイツの馬らしいところだと思います。来年も渋った馬場で出てくるようなら楽しみはありますね。

 9着ウィンターは、少なくともやるべき競馬は出来ていて、それで伸び切れなかったので、純粋に距離が持たなかった、と判断していいと思います。
 スタートからインに切れ込んで、しっかり馬群の中で動かしながら3列目のインに潜り込む手腕は流石のムーアJでしたし、直線もある程度進路はスムーズに確保し、後は伸びるだけでしたが、序盤の最速地点でもう反応が鈍く、最後も止まってはいないですがじりじりと雪崩れ込むだけになってしまいました。
 
 2000mのオペラ賞が、ロードデンドロンとハイランドジアというオブライエン勢の3歳牝馬2騎のワンツーでもあったように、主にイギリス&アイルランドで走っていた3歳牝馬のレベルそのものが高かったのは改めて間違った判断ではなかったと思っていますし、この馬なら距離もこなしてくれると思っていただけにそこは残念です。
 これで1600mから、長くても2000mまでの馬、と言うのははっきりしましたので、現役を続けていくならこの路線では断然の主役になってくるはずで、ここでは一敗地に塗れたとはいえ悲観する内容ではなかったと思っています。

 最後に15着サトノダイヤモンドと16着サトノノブレスですが、こちらは馬場や展開も厳しいものがあったのと同時に、前哨戦に続いてチームの連携、という部分でもちぐはぐな内容になってしまったなと思っています。

 サトノダイヤモンドはいいスタートを切って、しかしそこから無理はせず、かつ何か工夫をするでもなく、流れのままに淡々と中団の外目に入っていったのは、いかにもルメールJらしいニュートラルさで、けれどここで勝つ、という意思を感じさせるなにかがあるとは思えませんでした。
 勿論外枠の馬がインに潜ろうとすれば、ザラックやカプリのように後方にはなってしまいますし、そこから勝ちの目を拾い出すのも難しいとは思いますが、前哨戦があれだけの正攻法で完敗し、同じような馬場になった時点で乾坤一擲の戦略はあっても、と思いましたね。

 或いは、と思うのは、サトノノブレスが早めに外に持ち出して、イネイブルをマークする位置にいたことが、最初からダイヤモンドが外目を通すつもりでいるからその露払い、という意識でのものだった可能性もあるのですが、実際のところそれすらもうまく機能していなかったのが正直なところです。
 無論ノブレス自身が勝ちに拘る競馬をする場面ではないので、序盤の位置取りがああなのはいいとして、しかしだとしたら中盤以降の立ち回りにははっきり物足りなさを感じてしまいます。

 オブライエン勢がある程度強引にイネイブルの前に入っていって、馬群の中に閉じ込める、という戦略自体は比較的上手く機能していましたし、それが予想される状況の中で、イネイブルをマークする外目を最初から狙っているならば、残り1000mあたりから、最後に脚をなくすのは承知でイネイブルの外に被せていかないと、あの位置にいる意味がないと感じました。
 かつそこで早めに押し上げることでレース全体の仕掛けを誘発し、後ろから来るサトノダイヤモンドに少しでもタイトなコース取り、押し上げを可能にも出来る、一石二鳥の戦略になり得る筈だったのですが、動かなかったのか動けなかったのか、コーナー中間でイネイブルを楽に外に出させるスペースを与えてしまったのは大きな失策だったと思えます。

 チンギスシークレットの邪魔をしていた、というのもそのあたりで、もしチンギスがあの位置にいたなら、絶対に早めに押し上げて、それこそオルフェーヴル2年目の時に、外からトレヴとキズナの2頭に蓋をされて仕掛けが遅れたみたいな形にイネイブルを押し込めることは可能だったと思います。
 ですけれど、間に動かないノブレスがいた事で、余分に外を回す羽目になり、チンギスシークレット自身がイネイブルに蓋をするところまで一気に押し上げることは出来なかった、というのが実情に思えました。

 こういうのを見てしまうと、川田Jには悪いですが日本人ジョッキーをチーム戦略の中の、言い方は悪いですが捨て駒に徹して使う、という場面で起用するのはオーダーミスだったように感じますね。実際にそういうレースをする事は日本では許されていないわけですし、スパッと意識を切り替えろといっても、つい常識的な判断が咄嗟の場面で先に出てしまうのは仕方のない事なのでしょう。 
 ペース的にも少しコーナーで緩んでいて、いくら能力的に厳しくても、ある程度追走力もスタミナも持っているノブレスがあそこで全く動けなかったとは思えないですし、この馬が動いてペースが落ちなければ、その後ろのスペースを使ってサトノダイヤモンドももう少しスムーズな競馬は出来たでしょうし、そのあたりからも不完全燃焼、残念な結果だったと思います。

 勿論サトノダイヤモンド自身が、どこまで完璧にサポートされてもあの外目から伸びて、例えばチンギスシークレットくらいまで肉薄できたか、と言えば、多分今日の条件では無理だったとは思います。
 ただ結果的にサトノダイヤモンド自身が自分から早めに動いて、チンギスの更に外を回って進出してきたのが、より大敗の誘因とはなっている筈ですし、付け焼刃のチーム戦略がかえって裏目に出てしまったパターン、正直欧州関係者の目からしたら稚拙なものだったのではないかと感じました。
 ちょっと厳しい論調にはなってしまいましたが、今後も凱旋門賞に挑戦する馬は後を絶たないでしょうし、また同様にチーム戦略を組んでいく可能性もあると思えば、今回の失敗の原因を明確に分析して他山の石、反省材料にする事は大切だと思うので敢えて書かせていただきました。

 サトノダイヤモンド自身に関しては、2戦続けてタフな馬場で体力的にも精神的にも消耗してしまったのが、今後のパフォーマンスに影響しないかは心配ですね。
 この後秋シーズンは出てきても有馬位でしょうが、また国内では強いダイヤモンドと、堅実なノブレスが変わらずに見られる事を祈りたいです。
 ともあれ、日本人としては頗る残念な結果でしたが、イネイブルの戦慄する強さを堪能できたという面では満足のいく、2400m路線の最高峰レースの名に恥じないいいレースだったと思います。
 
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2017 スプリンターズS レース回顧

 爽やかな秋風が吹き抜ける絶好のコンディションの中で行われたスプリンターズSは、後方から異次元の持続力を見せつけたレッドファルクスが残り100mでまとめて差し切り、見事サクラバクシンオー・ロードカナロアの最強スプリンター2頭に続く当レース連覇を達成しました。レースを振り返っていきましょう。

 まず本日の中山芝コースのコンディションですが、昨日から更に乾いてきて、しっかり時計の出る高速馬場に戻っていたと思います。
 今日も基本的にスローからの上がり勝負で、ラスト1F最速、なんてのが多かったですが、33,4-34,4と比較的常識的に流れてくれた10Rが1,07,8でしたので、このメンバーでまともにスピード勝負になれば7秒前半は出てこないと、という条件だったと感じます。
 なのでこのレースの1,07,6は、ペースバランスとしても平均にコントロールされた事で出し切ったものではないと言えますし、かつ昨日から感じていた内伸び馬場のバイアスも顕著でした。

 レース展開は、まず好スタートを決めた組の中からワンスインナムーンが1頭抜けた二の足を見せて一気にハナに立ちます。
 それを外からダイアナヘイロー、内からフィドゥーシアが追いかけてこの2頭が2列目、その後ろにビックアーサーとセイウンコウセイのGⅠ馬2頭がつけて、そこに外からネロも加わってきます。

 その内にはまずまずのスタートだったレッツゴードンキがいて、そしてちょっと外の動きがわかりにくいところがありました。
 スタート直後にファインニードルとブリザードがバランスを崩してズルズル下がるシーンがあり、後でパトロールを見ないと正確なところは分かりませんが、ひょっとするとネロあたりがすぐに内に切れ込んできて狭くなった可能性があります。
 ともあれ出足がつかなかったファインニードルが、200m過ぎから外目をぐいぐいと押し上げてネロの列まで進出し、ブリザードもそれに合わせるようにネロの後ろまでリカバーしてきます。

 その外にダンスディレクターがいて、今日は大外枠でスタート絶好でしたが、こうなると今度は折り合いに難しさを見せてしまうのが辛いところなんですよね。
 外で懸命に宥めながらの追走になり、その間にリカバーしてきた馬が間に入って結局外目外目を回される事になります。

 レッドファルクスもまずまずいいスタートでしたが、どうしても二の足では劣って少しずつ下げる形になりました。
 今年は去年より内目の枠だったのも災いし、外の先行馬がリカバーして前に入ってくる中で、少しずつですが前とのポジション差が広がってしまう苦しい形で、デムーロJはこうなれば末に賭けるのみ、としっかり脚を溜め、出来る限りタイトに回りつつじわじわとエンジンを掛けていきます。

 スノードラゴンがドンキの真後ろの最内を追走し、その外にやや出負けしたメラグラーナ、注文をつけたラインミーティアはスノードラゴンの更に後ろの最内にいました。
 そしてもう1頭、こちらも明確に注文を付けてのシュウジがポツンと離れた最後方からレースを進めることとなります。

 レースラップは33,9(11,3)-33,7(11,23)=1,07,6(11,26)という推移でした。
 見ての通り、このコース、このクラスとしてははっきりペースが遅く、バランスとしては平均ですけれど、ハイペースになるのが当たり前の中山1200mではスロー、と見ていいです。実際ひとつ前の1000万下より前半が0,5も遅く、全体時計も0,2しか速くなくて、スピード決着が望ましくない後傾タイプの馬にチャンスが出来る流れだったと思います。

 細かく見ていくと、前半が11,9-10,8-11,2で、2,3F目が例年に比べるとはっきり遅いです。
 これは番手外を取ったダイアナヘイローと、その外につけたビックアーサーが、ここで良し、と折り合いに専念してしまった分が大きいと思っています。
 後ろがつついてこないので、ワンスインナムーンとしては軽く息を入れてしまおう、とコントロールする事が容易でしたし、ワンスインナムーン自体はハイペースでもやれる馬ですけど、それでもこの段階で緩められたのは僥倖だったでしょう。

 逆にダイアナヘイローとビックアーサーに関しては、これまでのレースぶりからすると流れてこそ、というところはあるのに、ここまで消極的に入っていく形になるのはちょっと解せません。
 状態面に不安があったからか、ポジションありきで良しとしてしまったか、ともあれこの2頭の出方がレースからスピード色をある程度剥ぎ取ってしまったのは事実でしょう。これより外の馬が一気に、というのは、流石にああもすんなり隊列が固まってしまうと無謀に近いですからね。

 後半のラップが10,9-11,1-11,7となっていて、ワンスインナムーンの石橋Jの上手かったところは、少し3F目で緩められたけど極端にはせず、かつそこから後続を待ち過ぎずに、コーナー全体を速いラップに持ち込んで、外を回す不利が大きくなる展開にしたところだと思います。
 結果的にインベタしてきた馬が2~4着を占めたレースですから、そこのロスは決して小さくなかったと見ていて、1着からビリまで0,7秒差に犇めく、どの馬も基本的には足を残せる展開の中で、立ち回りの良さ、枠順がもろに影響しました。
 その上で後半要素として高い瞬発力と持続力を同時に問われていて、はっきり言ってこの展開を後ろから差し込むのは至難の業です。

 しかし勝ったレッドファルクスは、その至難の技を易々とやり遂げてしまうのですから恐れ入るしかない、というところです。
 正直なところ今日の騎乗自体はそんなに上手くいっていないですし、レース展開と馬の図抜けた能力に助けられた、という面が非常に大きいと見ています。
 勿論道中下手に動かずにじっと我慢して、直線勝負に徹した胆力と、それでもブレーキだけは踏ませないような細心の進路取りは流石ではあり、その最低限のサポートに馬がしっかり応えた、というイメージですね。

 この馬自身は34,6-33,0というかなりの後傾バランスで走破していて、ただスプリント戦でもう少しテンから忙しくなると、宮記念のように削がれる懸念もあった馬ですので、前半のペース自体はこれくらいがベストでしょう。
 逆に言えばこの馬場で、もっと前が飛ばして7秒前半の勝ち時計になっていたらさしもの末脚でも届かなかったと思っていますし、緩んでレース自体が平均になってくれたのが逆に良かった、と見ています。

 元々去年のCBC賞でも、34,5-32,7の後傾バランスで外々を回して一気にラスト200mで差し込む強烈な競馬を見せていて、今日はそれの焼き直しのような形でした。
 コーナーはある程度タイトに、それでも3~4頭分外目のロスは作りつつですが、直線向くまでは無理に動かさずじっくり入ったことで、この馬にとっては厳し過ぎない程度のロスで済ませ、それがラストの強烈過ぎる伸び脚に繋がっています。
 実際コーナーでは少し置かれ加減のところもあり、ラスト200m地点でワンスインナムーンと5馬身近くの差はあったので、この馬の3F推定は11,0-11,1-10,9くらいではないか、と感じました。

 最後は周りが全て止まって見えるほどの強烈さでしたが、この馬自身としては坂に入って多少なり加速しているかな?というイメージで、この切れ味と持続力の凄まじさは、何度リプレイを見直しても驚嘆するしかありません。
 今日は確実に内伸び馬場でしたし、その中でのこのパフォーマンスは、間違いなく絶対能力だけなら図抜けて強い、と断言できる走りだったでしょう。

 ただ本質的にもう1200mで流れてしまうと噛み合わない、というのはあると思いますので、むしろここからマイルチャンピオンシップを狙ってくるなら大いに期待したいところです。
 あのレースも坂の下りからの4F持続力戦になりやすい傾向ですし、出し切れればマイル路線でもトップクラスだと思うので、デュランダル以来の秋の短距離GⅠ2階級制覇の可能性も充分に有ると踏んでいます。本当に今日は素晴らしい走りでした。

 2着のレッツゴードンキは、今日は完璧に噛み合いましたね。それでも勝ち切れないのは、もはや相手を誉めるしかないと思います。
 スタートも今日は先ず先ず良く、前に壁を作れる枠なのである程度積極的に中団を取れて、折り合いもそんなに苦労せずスムーズに追走できていました。
 3~4コーナー中間から、ビックアーサーが正攻法で外から押し上げる展開になり、他の馬もそれに合わせて外に振られる馬が多くなって、がっぽりと空いたインコースを楽々押し上げることが出来たのは僥倖そのものでしたし、コーナリングだけでレッドファルクス比較でも3~4馬身は得しているように感じます。

 かつこの馬もスプリント戦では後傾バランスの方が適性が高い馬ですので、しっかり後半の加速力とそれなりの持続力を発揮して、きっちりワンスインナムーンを捕まえたのですから普通のレースなら勝っていた、と言えるでしょう。
 とはいえスプリント路線ですと、スピード決着になり過ぎた時のバランスの難しさはありますし、本当に千載一遇レベルで嵌ったここで勝ち切れなかったのは痛恨ですね。
 こちらはマイルまでは長そうですし、むしろ平均ペースになりやすい香港スプリントを狙ってみても面白いと思います。内枠さえ引ければそこそこ勝負になる気はします。

 3着ワンスインナムーンは、まんまと単騎逃げの形に持ち込めた運の良さも味方につけ、でもその幸運に甘んじずコーナーからしっかり勝ちにいく競馬が出来ているのは評価していいと思います。
 この馬自身は綺麗な平均で走破していて、馬の力は存分に出し切っていると思いますし、コーナーで引きつけずに離していったのが差し馬につらい展開を誘発もしたので、わかりにくいですけどこれは結構な好騎乗だったと感じます。

 でもそれは最序盤につつきに来なかったハイペース志向の馬のボーンヘッドもありましたし、常にこういう楽な競馬が出来るものではないので、あまりこの結果そのものを高く評価し過ぎるのは良くないとは思います。
 ただ馬自身も力はつけていて、自分の形に持ち込めれば強い、というのは見せてきたと思うので、今後も楽しみが大きいですね。
 今日の感じからすると、2連勝の内容はハイペースでしたが、コントロールして早仕掛け、の方が持ち味が生きそうに思えたので、そういう競馬を1400m~1600mでも試していって欲しいかな、と感じました。

 4着スノードラゴンは、ここでこの馬がここまでくるか、という感じで、老いてなお益々盛んというべきでしょうか。
 元々この馬も生粋のスプリンターと言うよりは、平均ペースくらいからの持続力勝負で強い馬ですし、今日は位置取りと流れが相当に噛み合ったのは間違いありません。
 強いて言えばドンキとの前後で前に入れていればもっと上を、という所でしょうが、流石にそこまでは厳しかったですし、今出来る最高の内容を披露はしてくれたと思いますね。

 5着ブリザードも思った以上に強い競馬でした。
 香港のレースからしても、スローの方が味が出るタイプっぽいとは思っていて、その点で噛み合った部分はあれ、こちらは道中から外々を回して5着ですので、レッドファルクス以外の上位の馬とは遜色ない内容と見ていいです。
 流石に香港の強いメンバーに揉まれてきた馬、というべきか、それだけ今の日本のスプリントレベルが低いというべきか、そこはこのペースでもあるので一概には決めつけづらいですが。

 かつこの馬は、スタート直後に明らかにロスがあります。
 今パトロール見ましたけど、これでも良く分からないですね。
 最初の一歩は五分に近い形で出ていますが、そこから馬自身が寄れて躓いた感もあり、ただネロが早めに切れ込んできているのもありそうなので、この辺は判断が難しいです。

 どうあれ、この序盤のロスがなければもう少し楽に同じ位置は取れたでしょうし、そうすれば最後もうちょっと際どかったかもしれません。
 流石にレッドファルクスの持続力とは比肩出来ませんが、しっかりリカバーしてかつ折り合いもつけ、そこからもう一足引き出してきたあたりはいかにも外国の馬っぽいタフさで、この馬が先行できる馬だったらより怖かったな、こういう積極性は大切だなと改めて感じるところです。

 6着ビックアーサーも悪くはない競馬でしたが、微妙に噛み合っていない所と、後はやっぱり状態面でまだ一息だったのはあったと思います。
 スタートは綺麗に決めて二の足も良くダイアナヘイローの後ろにつけたのは理想的な形でしたが、形が理想的過ぎた故にそこから無理に前をつつくことなく進めてしまいました。
 この流れに合わせるところはいかにも福永Jっぽく、レースラップとして中間は11,2-10,9と3コーナーに入る前の方が緩んでいたので、本来前半からの惰性スピードを活かしたいこの馬としては僅かな差ですが、それがプラスには転じていないと思います。

 かつペースが上がるコーナー中間からまともに正攻法、2頭分外を押し上げて勝負に出ていて、それ自体はまぁ悪くない選択なんですけれど、細かく言うならそこじゃなく3F目の緩みの時点でもっと前をせっついて取り付くべきだったと惜しく感じましたね。
 どうしたって後半勝負でここまではっきり持続力が問われてしまうと甘い馬ですし、残り200mで止まってしまったのも、状態もさることながら適性面で嵌らなかった部分は大きいと感じています。

 これがしっかりややハイくらいの流れであの位置でしたら勝ち負けまで加わっていても、と思えるだけに、2年続けて勿体ない競馬にはなってしまっていると思います。
 でもあの位置から、ダイアナヘイローを交わしていってもいい、くらい前半ゾーンで動くのは勇気が要りますし、そこまで責められないですかね。

 7着メラグラーナはまぁ、こういう競馬しか出来ない弱みですね。
 今日は立ち回りが良くなかったレッドよりも後ろでは如何ともしがたいですし、この馬にとってはあの位置でももうちょっと流れてくれた方が、上位に食い込むチャンスはあったと思います。でもこのクラスに入ると勝ち切る絵図は描きにくい馬なのは間違いないですね。

 8着ダンスディレクターも同様に、この枠は厳しかったですし、好発を決められたのは良かったにせよ、それで折り合いを欠いてしまって、壁も作れずに苦労するあたり本当に難しい馬です。
 内枠からあのスタートで行けたら上位も、と思えるだけにここは運がなかったですし、引っ掛かっても一定の脚を使ってくるのがこの馬ですが、それでもこの流れで外々を回されて最後まで脚を維持できるのは、それこそレッドファルクスクラスの化け物だけですので、致し方ない負け方とは思っています。

 10着シュウジは、勝ち負けには加われなかったものの、復調のきっかけを掴むに足るレースにはなったんじゃないかと思います。
 もう横山Jは最初からポツンする気満々で、スタートもわざとゆっくり出したんじゃないか、ってくらいゆっくりと後方から、とにかく馬の行く気を削いでのんびり走らせて、その秘めたるスピード能力をラストの直線だけにぶつけてきましたね。

 画面上はほとんど見えないところを走っているのでなんともですが、上がりだけなら最速32,7、ラスト1Fもレッドファルクスに遜色ない脚は使っているように感じましたので、やはりその点からしても、この馬はあくまで最低で平均、出来れば後傾バランスで走ってこそなんだと思います。
 近走はほとんど激流を自分で作るか、自ら巻き込まれるかだったので、こういう形で足を使えたのは今後の明るい指針になりますし、後はここまで極端ではなく、去年の阪神Cのように馬群の中でしっかり脚を溜める常識的な競馬がもう一度出来るか、ですね。
 今なら1400~1600mで、ゆったり入って後半の爆発力を引き出すパターンの方が、能力そのものは出し切れると思います。

 11着セイウンコウセイは、ややポジション取りで後手に回った事と、ここまで明確に持続力勝負だと甘いのかな、というイメージですね。
 元々確かに一歩目はそこまで速くない馬ですが、フィドゥーシアの横くらいには入ってこられるかと思いきやはっきり3列目になってしまって、外からある程度正攻法でビックアーサーに合わせる形で進出していきました。
 ここが最速地点ですので、この馬の位置でもかなり高く持続力は問われていて、本来番手から一足で抜け出し粘りこむのが勝ちパターンの馬だけに、そのいい脚を勝負所の押し上げで使い切ってしまった感はあります。

 何気にラストが坂、というコースも久しぶりでしたし、でも直線入り口の時点でブリザードにも手応えが劣っていましたので、この流れであの位置からでは完敗だったといっていいでしょう。
 今ならもう少し流れてしまった方が対応しやすかった気はしますし、前に馬を置くと良くない可能性も当然考えられるので、そうなると好走のスポットがやや限定される事になりますが、まだ若い馬でもありますので、改めて次、どういう競馬が出来るか見極めたいところですね。
 
 さて、秋初戦のGⅠも終わりましたが、今宵はまだ凱旋門賞が控えています。
 やはり馬場コンディションは微妙のようですが、なんとかいい競馬を、と遠い日本から応援の念を送りつつ、しっかりと観戦したいと思います。
posted by clover at 04:18| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする