2017年10月18日

2017 10月第3週海外GⅠ レース回顧 その他雑談

**★デューハーストS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=bXd202HI8OE)**

 イギリス2歳牡馬のチャンピオン決定戦のひとつ、日本で言えば朝日杯みたいな位置づけのデューハーストSは、ミドルパークSを勝って個々に臨んだユーエスネイビーフラッグ(カタカナで書くと名前がダサく感じますねこれ。。。)がハイペースの逃げから堂々押し切りました。
 このレースはオブライエン厩舎が1~4着を独占、かつ1番人気のエキスパートアイをかっちりハイペースで削り切ってと、中々に迫力のある内容になっています。
 これでオブライエン厩舎はGⅠ年間最多勝の新記録にマジック2のようですね。来週は英チャンピオンズデーが控えていますし、そこでの達成も視野に入ってきたという所でしょうか。

 この時期のニューマーケットにしてはかなり馬場が乾いていたようで、勝ち時計の1,22,37はこのレース史上最速でもあり、かつ内容的にはスピード勝負の舞台で良さを引き出してきた勝ち馬が、自らハイペースを刻んで後続を追走で削ぎ切った、という印象があります。
 なので更に1ハロン伸びるギニー路線でどうか、或いはスプリント路線を選択するかも、という馬ではありますが、このスピード能力は中々ですし、叩き上げの中で力をつけてきているので来年も楽しみですね。

**★フィリーズマイル [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=yJWhU019niU)**

 こちらは大きい映像見つけられなかったのですが、ともあれ牝馬のイギリス2歳チャンピオン決定戦のひとつとなるフィリーズマイル、ここは逆にオブライエン勢のマジカルとセプテンバーが人気を集めていたものの、人気薄の伏兵ローレンスに押し切られる形になりました。

 こちらも例年以上に時計は出ていてかなり堅い馬場だったと推測されますが、その中で人気のマジカルは、前走のフランス遠征と堅い馬場が応えたか外目から伸び切れず、そしてセプテンバーは残り400mあたりからずっと前が壁、という状況で、前がクリアになった残り100mから猛然と前を追い詰めるものの鼻差届かず、という悔しい敗戦となりましたね。

 セプテンバーはモイグレアスタッドSではマジカルに完敗していますし、こちらは母方の血統はともかく、ディープらしく軽い馬場でパフォーマンスを上げてくるタイプのようですね。
 明らかにこのレースは時計の出る軽い馬場は味方になっていましたし、ギニーからオークス路線でも馬場に恵まれればチャンスはあるかも、と思わせる走りでした。来年も注目していきたいところです。

**★ジ・エベレスト [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ySz-n9VK8tc)**

 アメリカのペガサスワールドカップに倣って設立された、各陣営が出走枠を買って莫大な賞金のレースを作り上げるシステムのオーストラリアのスプリントGⅠですね。
 総賞金が10億とか中々に破格の設定ですが、流石にこの路線では他からの遠征もほぼ見られずに、地元の馬が強いレースを見せています。

 ラップ推移は34,1-34,2くらいのバランスで、向こうはおそらくスタートの計時が日本とは違うので実質1秒程度のハイペース、それを番手外で追走して早めに抜け出し、楽々と突き抜けた勝ち馬のレッドゼルは相当の器ですね。王道的なスプリントチャンピオン、という感じです。
 その相手に、日本から移籍したブレイブスマッシュがかなり肉薄するレースが出来ていて、中団から馬群を縫い、レッドゼルの真後ろを通す戦略も良かったものの、しっかり直線で伸びて、最後は大外から鋭く差し込んできた2着馬に屈して3着となるものの、中々に味のある競馬を見せてくれました。

 次に紹介するレースでも、トーセンスターダムがようやく向こうで初GⅠ勝利を上げたわけで、しっかり適性や環境面で噛み合えば、日本のOP馬が移籍すればトップクラスでも伍していける、というのが改めて目についた内容ではありますね。
 アドマイヤデウスもどのくらいの競馬が出来るか非常に楽しみですし(と書いた直後に故障のニュースが…………競馬につきものの話とは言え切ないですね)、アンビシャスも中距離路線ならかなりやれそうで、今後日本で少し頭打ち、という馬の青田買いが加速する傾向は見られるかもしれませんね。

**★トゥーラックハンデキャップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=EkU0lbm_pyo)**

 上で触れた通り、トーセンスターダムが大外ぶん回しから豪快に突き抜けて初GⅠ勝利を飾りました。
 まあハンデGⅠですし賞金も3000万くらいと、実質的なレースレベルは見知ったメンバーがほぼいないところからもお察しですが、それでもややハイくらいの流れを大外から楽々突き抜け、トップハンデで快勝するあたり、随分と素軽いイメージに変わったなぁ、という感じです。皐月賞で追走に汲々としていた姿が懐かしい。。。

 どうあれ日本で馴染み深い馬が、移籍後に活躍してくれる、というパターンも中々に楽しいものはありますし、今後はより強い相手に頑張っていって欲しいですね。

**★JC登録馬について**

 今日発表された一次登録では19頭がエントリーしていますね。
 無論例年通り最終的には多くても4~5頭しか来ないんだろうなぁ、とは思いますけれど、ただちょっと驚きなのは、登録だけとはいえウィンクスの名前が!
 そりゃあ99.99%来ないだろう、とは思うのですけど、もしも万が一でも来てくれたら超テンション上がりますけどねぇこれ。
 ただ少なくとも今年の場合、オーストラリアの馬は検疫の関係で香港に行きづらくなっている筈なので、その意味では有り得ない話ではないのかも、とか思っちゃいます。
 まぁ検疫が厄介なのは日本もですし、その辺難しいとはいえもう少し融通の利く処置は出来ないものかって思うんですけれども。

 現実的なところでは、ある程度の実績があるイラプトやイキートスはくるかも、ってのと、オブライエン勢もどれか使ってくるかもしれない、って所でしょうか。
 ハイランドリールはBCから香港が主軸っぽいでしょうけど、今年はBCが西海岸で使いづらい事情もあるので、JCから香港のタフなローテを選択する可能性も零じゃないかも?と期待したくなりますね。
 セブンスヘヴンも意外と軽い日本の馬場合うと思うんですけどね、後はカナダでは惨敗して重い馬場が?って感じになってきた、ハイランドリールの弟のアイダホもワンチャあるかも、って感じです。
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2017 秋華賞 レース回顧

 氷雨篠突く淀の舞台、金襴緞子が泥まみれ、など懐かしいフレーズも彷彿とさせる、レース史上はじめての重馬場決戦となった秋華賞は、後方から完璧な立ち回りを見せたディアドラが、最後前を行く2頭を力強く差し切って勝利しました。
 父ハービンジャーにしてもこれが悲願のJRA初GⅠ勝利となり、3着のモズカッチャン含めて改めてヴィンテージイヤーであった事を示すと同時に、タフな馬場でのタフなペースで、強い馬が強い競馬をするいいレースになったと思います。

 今日の淀の馬場ですが、午前中まではまだ良発表だったものの、午後過ぎくらいからかなりの降雨量があったようで、段階的に時計の掛かる馬場にシフトしていった感があります。
 7R以降の芝レースでは、スローでもそこまで鋭い脚が使えない条件にはなっていたと思いますし、その中でしっかり流れて2,00,2でまとめてきたのは、改めて世代レベルの優秀さを浮き彫りにしたとも感じています。
 当然このタフな馬場に対する適性は問われましたし、その上で概ね純粋な能力勝負になったかなと見ています。

 レース展開は、まず注文通りにカワキタエンカが飛ばしていきます。
 アエロリットもまずまず好スタートでしたが、カワキタエンカの動きを見ながらじわっと入っていく中で、外から勢いをつけて番手外を取り切ったファンディーナに蓋をされ、序盤はポケットの位置取りで少し力むところを見せていました。

 その後ろにブラックスビーチとモズカッチャン、外からレーヌミノルが好位に取りついていって、インからラビットランも早めの位置取り、メイショウオワラにミリッサ、カリビアンゴールドあたりまでが中団につけていました。
 スタートでちょっと出負けしたリスグラシューは、無理のない範囲でじわっとリカバーしつつ中団の少し後ろ、同じく出負けしたディアドラは枠の並びもありそれより更に後ろで、少しずつ進路を内目に取っていく戦法に出ます。
 ポールヴァンドルにリカビトス、ハローユニコーンあたりが最後方に近い位置取りで、途中からカワキタエンカがかなり飛ばしていった事と相俟って、かなり馬群は縦長に広がる形で進んでいきました。

 ラップは35,6(11,87)-47,6(11,90)-37,0(12,33)=2,00,2(12,02)という推移でした。
 序盤・中盤共に極端ではないですが息の入らない淡々とした速い流れになっていて、4コーナー手前で前が少し引き付ける形となり、後半のラップ推移は12,0-12,1-12,5-12,1-12,4となっています。
 どの地点でも後半は切れ味をほとんど問われない一貫した持久力戦の様相を呈していますが、細かく見ると前が少しペースを落とした12,5の地点でどれだけ積極的に取り付いて、ポジションを上げていったかはポイントになってきます。

 ただそこで動く場合、当然後半はロングスパートの形で息を入れられはしないので、純粋な能力とスタミナ、後は多少なりコーナーの立ち回りも成否を分けた所ではあると感じます。
 ですがそれも細かいレベルで、実質的に実力上位の馬が掲示板を占めてきていますし、渋ってスタミナ色がやや強くなった面はあれ、この条件での有利不利はほとんどないいい勝負、いいレースだったと思っています。

 勝ったディアドラに関しては、ここにきての馬の充実度もさることながら、テン乗りのルメールJのエスコートも完璧で、展開が噛み合ったのも含めて素晴らしい勝ちっぷりを見せてくれましたね。
 
 スタートはどうしてもそんなに速くない馬ですし、この枠ですからいいポジションは取れないと最初から覚悟した上で、序盤は後方でじっくり脚を溜めつつ、こういう重い馬場も札幌の経験が生きたか、内目に潜り込んでも脚色が鈍ることなく楽に追走していきます。
 ペースが流れてくれて、後方からでもスペースが作りやすかったのもプラスでしたし、勝負所の800m付近から前の馬が勝負に出るのを見定めつつ、器用にインを立ち回って、けれどきちんと手応えのある馬の後ろを選んで、ノンブレーキで直線までほぼインベタで踏んでこられたのは流石の進路取り、と唸るしかありませんでした。
 つか正直最初の観戦時は、外から押し上げるモズカッチャンとリスグラシューしか見えてなかったので、直線で一体どこから来たの?ってくらい完璧に気配を消して忍び寄ってきた感がありましたね。

 4コーナー出口では、ラビットランの手応えを見てしっかりその後ろにエスコート、垂れていくファンディーナとの間を斜めに横切ってべストのタイミングで外に出せましたし、2、3着馬が早めに外から押し上げて脚を使っていたのに対し、こちらはコーナーで我慢しつつポジションを上げられた、その差が最後の100mの鮮烈な伸びに繫がったと見ていいでしょう。
 この馬自身はラスト1Fは11,8くらいだと思いますし、前走とは全く質の違うレースながら、持続力戦でも持久力戦でも最後までラップを落とさず差し込んでこられるのは本当に素晴らしい能力、資質だと思います。

 馬体重も増えて更にパワーアップしていましたし、結果的にこの馬場とも展開とも噛み合い、あの枠をプラスに転じた、という意味でも素晴らしい騎乗、素晴らしい勝利だったと感じます。
 ただ絶対能力的には上位3頭は拮抗してるんじゃないかな、というイメージですし、どの馬も距離伸びることに不安はあまりないので、この上位陣がそのままエリ女に出てくるなら楽しみは大きいですね。

 2着のリスグラシューは仕方ない負け方ですね。
 スタートはこういう馬ですし、でもそこからしっかり道中で息を入れつつもじわじわ進出していって、モズカッチャンが早めに仕掛けたのを見て相手はあの一頭、と決めたような動き出しを見せてきました。
 どうしてもその分外々を回るロスはありましたが、この4コーナー地点は12,5と後半の中でも一番遅いラップになっていますので、結果的にモズカッチャン共々致命的なロスには決してなっていない、むしろフラットにブレーキを踏まずに入っていけた点ではプラスだったと思っています。

 この馬はとにかく要所の反応が良くないタイプですが、今日は前半流れて重い馬場にもなったことでその弱点がほとんど露呈しませんでしたし、直線でもしぶとく脚を伸ばして最後の最後でモズカッチャンを捉えたのは流石の意地、という感じでしたが、ディアドラにああまで完璧に立ち回られては抵抗しようもありませんでしたね。
 これで3度目のGⅠ2着と、相変わらずどうしてもあと一歩が足りないもどかしい馬ですし、スローからの切れ味勝負になりやすいエリ女よりはここの方が、とも思っていたのでそこは残念です。でも力は出し切った素晴らしい立ち回りだったと思いますし、今日は勝ち馬を誉めるしかないでしょう。
 エリ女でも渋ってくればチャンスは広がりますし、どこかでタイトルを取って欲しい馬なんですけどね。
 
 3着モズカッチャンも改めて強い競馬、かついかにもデムーロJらしい強気一辺倒の競馬で、レースを非常に面白くしてくれたと思います。
 今日は枠が良かったので、スタートをしっかり決めて楽に先行できましたし、道中はインベタで前を追いかけ過ぎずに脚を温存出来ました。
 この馬の位置で丁度平均ペースくらいの走破だと思うのですが、ペースが速い分コーナーで淀むと判断したか、残り800mからスッと外に出して一気に押し上げていく判断、というか天性の勘はいかにもデムーロJ、という立ち回りで、実際にそれがラップともしっかり噛み合って、淀みに合わせて我慢していたアエロリットとファンディーナを一気に捲り切って直線入り口で堂々と先頭に立ちます。

 そのまま押し切るか、と思えましたが、流石にラストは少し甘くなり、1、2着馬の差し込みを許しての惜しい3着でした。ですが、馬の力は完璧に引き出し切るいい騎乗だったと思っています。
 個人的な反省としては、ローズSの内容からハイペース適正は高くない、と思っていたのですが、多分この馬はもっと純粋に、時計の速い決着そのものがあまり良くないタイプだったのでしょう。

 今日のように渋った馬場での相対的なハイペース、そして後半で切れ味を問われない持久力戦ならしっかり差し込める、と証明できましたし、後はトライアルからしっかり状態も上がっていたのでしょう。
 勝ち馬共々ハービンジャーの仔で、その点が噛み合ったとも思えますが、それでもこういう競馬で勝負出来たのは次に向けての収穫になると思います。
 こちらは距離はもうちょっと長い方がいい、多分2400mがベストのタイプに感じますので、エリ女で勝ち負けに持ち込むならばまた早仕掛けで、速いラップを分散させていく必要性はありそうですね。

 4着ラビットランも、前走とは真逆に近い展開の中で内々からしぶとく脚を伸ばしていて、純粋な絶対能力の高さは見せてくれたと思います。
 枠が良かったこともあり、序盤はしっかり中団と勝負出来るポジションにつけられましたし、内目を立ち回ってもスムーズにコーナーで反応できていて、決して外一気だけの馬ではない、という所を証明できたのは今後に向けての収穫でしょう。

 ただ流石に一切切れ味を問われない持久力戦では、純粋なスタミナ面で上位に伍せるだけのものはなかったかな、と思いますし、理想は良馬場の1600~2000m近辺になってくるのでしょう。
 適正だけなら秋天の方が噛み合うと前走でも思ったので、来年その舞台に立てるくらい実力と実績を積み重ねていって欲しいですね。血統面だけでは推し量れない逸材だと思います。

 5着カワキタエンカも自分の競馬に徹して、先行してきたアエロリットとファンディーナに先着したのは褒められていい内容だったと思います。
 重い馬場も苦手ではないですし、しっかり速い流れを主導して後続の脚を削ぐ形で良さが出るタイプではあるので、そこを前走ほど完璧ではないにせよきちんとエスコートは出来ていたと思います。
 これでもラビットランに差し込まれているように、素材的にはどうしても見劣るのは確かですが、昨日のクロコスミアのように、展開と馬場が上手く噛み合えば強い馬相手でもチャンスを見出せる武器は持っている馬、と思うので、今後も注目していきたいですね。

 7着アエロリットは、やや難しい競馬になりましたね。
 序盤やや様子見で入っていったところに、気合をつけて一気に上がってきたファンディーナに締められ、狙っていたであろう番手外をスムーズに取れなかった事と、その後しばらくファンディーナと並走する形でテンションが上がってしまったのは誤算だったとは思います。

 クイーンSではコーナーで引き付けてからもう一回脚を使えましたが、今日の馬場でこのペースですと流石にスタミナ面で心許なかったのか、という感じで、モズカッチャンの押し上げに抵抗できる雰囲気がありませんでした。
 最後は鞍上も無理しない形で手綱を抑えていましたし、良馬場での軽いスピード勝負ならともかく、ここまで悪化しての重馬場では厳しかったと言えるでしょう。それでもこの馬なら、と思いましたが見立てが甘かったですね。
 馬体も-10kgと少し寂しく映りましたし、やはり血統面や所属の壁など少しずつ積層した負の要素に加え、この競馬で上位3頭は非常に強かったので、その意味でも今日は力負けでしょう。

 この感じですと、次使うならマイルチャンピオンシップの方が確実に良さそうですね。
 ただ桜花賞と合わせて輸送が得意でない可能性もありますし、ここで無理をせず来年のヴィクトリアマイルに照準を合わせておくのもアリかもしれません。どうあれマイルで軽いスピード能力を生かし切る形なら、古馬や牡馬相手でもチャンスはある馬だと思っていますので、改めて期待はしたいところです。

 13着ファンディーナは、やっぱりこのペースにまともについていってしまうとてんでダメ、でしたね。
 重馬場ならもう少し抵抗できるか、とも思いましたが、モズカッチャンとは違い相対的なハイペースでも対応できませんでしたし、はっきりスロー専門、というのは見えたと思います。
 距離ももうちょっとあったほうが良さそうで、あと個人的には一回、不発でもいいから後ろから溜めに溜めて切れ味を引き出す競馬を試みて欲しいです。

 なまじテンのダッシュが速いだけにポジション取りたくなりますけど、そこで既に削がれている可能性は感じるので、春先のパフォーマンスを取り戻すには、思い切った起爆剤が必要でしょう。
 能力は間違いなくある馬だと思いますから、それを存分に引き出せるスタイルを模索して、輝きを取り戻して欲しいですね。
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2017 府中牝馬S レース回顧

 霧雨の舞う肌寒い気候の中での一戦は、スムーズに先手を取ってまんまとスローペースに持ち込んだクロコスミアが、直線も有力馬が進路確保に苦しむ中スイスイと逃げ脚を伸ばして押し切りました。レースを振り返りましょう。

 秋雨前線が長く居座る天気図で、昨日から雨が断続的に降り続くも、極端な雨量ではなく稍重馬場での開催になりました。
 今日の芝レースはその分、どこも馬場を意識してのスローからの3F戦が続出しており、軒並み上がり時計だけが突出して速い、という内容になっています。
 直線は延々11秒台のラップを踏める程度には重くなり過ぎず、切れ味や持続力も普通に問われていますし、全体的には前残りの傾向が顕著ではありましたね。実質的には先週までの良馬場から1秒も時計は掛からないくらいだったと見ています。

 レース展開は、まず注文通り、という感じでクロコスミアが好発からハナを取り切ります。
 その内からトーセンビクトリーが進出してポケット、外目からアスカビレンが積極策で番手外につけ、その後ろにパンゴールやゲッカコウなどの伏兵陣が並ぶ形になります。
 ヴィブロスも一歩目は無難に決めて3列目のインでじっと我慢の展開、その中団外目にキンショーユキヒメ、クインズミラーグロ、ワンブレスアウェイなどがいて、デンコウアンジュがヴィブロスの真後ろでマークする形になりました。

 クイーンズリングはかなり出負けして無理せず後方からじわっと外目に出していき、アドマイヤリードはいいスタートだったものの二の足で少しずつ後ろになっていき、また前の隊列が固まって馬群が凝縮していく中でもじわじわと下げる形になって、最終的には後方2番手のイン、という位置取りになりましたね。

 ラップは36,8(12,27)-37,6(12,53)-33,7(11,23)=1,48,1(12,01)という推移でした。
 大方の予想通り誰もつつきにいかない展開で、馬場のイメージもあったとはいえ序盤も緩く、中盤の緩みもそれなりにあっての3F戦になっています。
 後半ラップが12,5-11,2-11,0-11,5で、コーナー出口から直線にかけて一気に1,3秒の加速が問われ、更にそこから坂地点で11,0と中々の切れ味も問われ、ラストも11,5と落とさない中での持続力も、と、後半勝負に大切な部分が平均的に問われた内容になっているかなと思います。
 基本的には前受した方が有利ですが、まだ緩い地点で外からじわっと押し上げる形でもチャンスは作れた展開ですし、先団にいた馬が伏兵や、切れ味に乏しい馬ばかりだった事で、進路取りなどにも難しさはあったレースでした。

 勝ったクロコスミアは、本当にしてやったり、という完璧な逃げ切りでしたね。
 この馬の場合は切れ味を問われる場合、それをどれくらいゴール手前まで引き付けて引き出せるかが勝負の分かれ目であり、例えば阪神牝馬Sなどですと、下り坂の600-400m地点でせっつかれて最速ラップを踏まされてしまい、その分ラストがかなり甘くなっていました。
 その点今日はローズSほど顕著ではないものの、コーナーから自分のリズムで仕掛けつつまだ全開ではなく、しっかり一番いい脚を直線半ばまで残せたことが、最後持続型の強敵を退けられるポイントになったと思います。

 無論実質的には良に近い馬場でこれだけのスローと仕掛けの遅い展開で、かなり恵まれた勝利とは言えますが、牝馬限定戦は往々にしてこういう形になりやすいので、その中での後半要素の総合的なレベルの高さを見せてくれたなと感じました。
 本番は2200mでちょっと距離的に長いイメージもなくはないですが、今日のように仕掛けをコントロールする形で、坂の下りから加速しつつも本仕掛けは直線、という去年のような形に持ち込めれば決して侮れないとは思っています。

 2着のヴィブロスも、長い休み明けとこの斤量の中で、まず格好はつけた一戦になったと思います。
 最内枠でしたのでどうしてもポジショニングとしてはああなりますし、前の馬が加速面で当てにならなかったので直線半ばまでしっかり進路を確保し切れず、という形になったのは、基本出し切ってこその馬としては勿体ないところはあります。
 ただそれでも加速や最速地点の切れにも互角には動けていましたし、残り200mで前がクリアになってからの持続力は流石で、ドバイ勝ちは伊達ではない、と思わせてくれました。

 当然ここを使っての本番の上積みは期待出来ますし、こちらは距離伸びてプラスの要素もあるかなと思います。
 出来れば坂の下りから本仕掛けが早くなる展開で、スムーズに進路確保できれば、と思いますし、今日にしてもドバイにしても、馬群の中からでもしっかり伸びてこられる馬なので、極端な外枠とかでなければチャンスは充分でしょう。負けはしたものの今日の流れの中では仕方ないと言えますし、自分から動ける枠ではなかったので悲観する事は一切ないと感じました。

 3着アドマイヤリードはうーん、結果的に3着ですけど少なくとも勝ちが見える競馬ではなかった、というのを、あくまで前哨戦だからと取るべきか難しいところですね。
 スタートは結構良かったのですが、そこからのポジション取りで窮屈な方に入ってしまって後方インに押し込められ、かつそこでも腹を括って動けるスペースを確保するのでもなく、淡々と馬群の後ろをついていくだけではありました。

 結果的に直線入り口でも持ち出すスペースがなく、手応えの怪しいロッカフラベイビーがなんとか進出してからやっとこ外に持ち出して進路確保するものの、その時点で前との差は既に絶望的になっていました。
 ただそれだけ充分に脚を溜められたことで、最後残り200mの伸び脚は流石GⅠ馬、というものがありましたね。この地点で軽く4馬身は詰めてきているので、推定10,7くらいで上がっていますが、まぁ壮絶に脚を余してもいます。

 この馬の最大の武器はこの一瞬の切れなのは確かですが、持続力自体もそれなりに持っているので、せめてその切れ味の差を繰り出すところで前に取りついていないと勝ち負けは、となるわけで。
 内を完璧に立ち回ったVMではそれを先頭に立つのに使えましたが、今日は物理的に差せないレベルの位置から使うだけだったので、もう少しなんとか出来なかったものか、とは思います。
 最後クイーンズリングを交わしてはいるものの、あちらの方が外々から早めに押し上げて勝つチャンスを見出す乗り方にはなっているのですよね。せめて下げるならもっとも思いっきり下げ切って、コーナーの遠心力で外に出しつつノンブレーキで直線に入っていくくらいのイメージは欲しかったですし、それだけ末脚特化に持っていってどこまで肉薄できたかは興味がありますけどね。

 馬自身は小兵ながら56kgも克服し、広いコースで改めて強さを見せましたし、スローの方が確実にいいのでそうなりやすいエリ女も楽しみはあるでしょう。
 ただポジショニングはどうしても、ですので、先週のスマートレイアーみたいに、コーナーで上手くインをついて、くらいの思い切りがないと、例え展開が噛み合って出し切れたとしても頭までは難しいかも、とは思いますね。

 4着クイーンズリングは、出負けした時点でスローが見えていた今日は厳しい競馬でしたね。
 ただ後方からじわっと進出して、残り800mからの緩い地点で押し上げているのはデムーロJらしい勝負掛かりの乗り方で、結果的には最後少し止まっている感もありますが、どうあれ今日の流れでは前にいないと厳しかったのでこれは仕方ないとは言えます。

 でも出負けが再発したのは良くない傾向ですし、調子自体は春より良さそうですけれど、本番はまずしっかりスタートを決めることは連覇への必須条件になるでしょう。
 また、この馬も使える脚は長くはないので、外枠よりは断然内枠の方がいいですね。でも噛み合えばまだこのレベルのメンバーでも勝ち切る力は持っている馬だと思います。

 5着トーセンビクトリーは、ポジショニングセンスは相変らず上手いですが、今日の流れでヨーイドンだと流石に切れ負けしますね。
 並び的に外にクロコスミアがいた時点で、どうしてもポケットになってしまう、というのはあり、そこで勝負的に外に張り出して番手外を取りに行く意識があっても良かったとは思いますが、まぁそつなくは乗ってきたと言えます。
 レース全体としてはもう少し流れてくれた方がいい馬ですし、どうしても切れ味が足りないので京都2200m向きではない気もしますが、番手外から仕掛けを主導する形でラップを分散出来ればワンチャンスはあるかもしれません。
 
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