2017年10月18日

2017 富士S レース回顧

 しとしとと降りしきる雨により、遂にメインレースの時には不良まで馬場が悪化して行われた一戦は、好位追走から直線では大外に持ち出したエアスピネルが、最後までしっかりと伸び切って勝ち切り、悲願のGⅠ制覇に向けて秋の好スタートを切りました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場状態は朝一から重馬場で、かなり時計がかかっていました。
 同時に、特に午後のレースからは内の馬場が掘れてきて、明確に外を回す馬が増えてきており、ただ9Rのコスモイグナーツや、このレースでもレッドアンシェルなど、インベタで回ってきた馬もそれなりには粘れる条件ではあったと思います。
 どちらにせよ時計はマイル戦でも2秒近くは掛かる条件でしたし、馬場の巧拙とポジショニング、コース取りなどに難しさのあった一戦だったでしょう。

 レース展開は、まず好スタートを決めたのがイスラボニータとエアスピネルでしたが、間からマイネルアウラート、クラリティシチー、ミュゼエイリアンあたりが先行していきます。
 それに、一歩目はやや遅かったものの内からじわっとリカバーをかけてきたレッドアンシェルが加わっていき、最終的にはこの馬とマイネルアウラートがほぼ雁行状態で先頭を走る形に落ち着きました。

 エアスピネルはある程度前に壁を置きつつその一列後ろで待機、ペルシアンナイトも内からその列に加わっていって、中目にジョーストリクトリ、外目にイスラボニータが好位集団を形成していました。
 その後ろも大きく離れる事はなく、サトノアレス、ロードクエスト、グランシルクあたりが中団の位置で追走、その後ろにブラックムーンとガリバルディがいて、長い休み明けのクルーガーは最後方の外目からレースを進めていく事になります。

 ラップは35,6(11,87)-24,2(12,1)-35.0(11,67)=1,34,8(11,85)という推移でした。
 ハーフで取っても47,8-47,0でややスロー気味の平均ペースですね。序盤外の馬が及び腰で探り探りでしたが、レッドアンシェルが出していった事で常識的には流れましたし、中盤も緩んではいるもののこの馬場条件なら妥当な範疇ではあると思います。

 そしてこのレースは、残り600m手前からエアスピネルが早めに仕掛け、馬群の間を縫って進出してきたことで、全体の仕掛けのポイントも結構早めに来ており、丁度4コーナーの出口、600-400m地点で最速の11,2を踏んでいます。
 後半の推移が12,0-11,2-11,2-12,6ですので、地味にコーナー出口の地点でそこそこの加速力も問われ、かつ馬群全体が外に外に、と意識する状況でしたので、この地点で仕掛けながら外を回してしまうと結構なロスはあったのではないかと感じます。
 このペースとこの馬場で、最速ラップ11,2はそこそこ速いですし、そこはこの渋った馬場でも機動力が削がれない適性面が問われていて、かつ内容的には持続力特化戦、ラストはかなり落としている中で、地力も含めて後半要素の素材面が強く問われた内容かな、と見ています。

 勝ったエアスピネルは、まず血統通りにこういう馬場が巧みでしたね。
 スタートも良く、序盤から内目を通りながらも足を取られる感じもなくて、楽な形で追走できましたし、密集して馬を前に置くと引っかかりやすいこの馬にとっては、馬群が散らばりやすい馬場条件もプラスだったと思います。
 手応えが良かったからか、早めに内2頭目から馬群を縫ってコーナーでスーッと上がってこられましたし、直線入り口まではその位置にいて、そこから一気に大外まで持ち出していいところを選んだのも見事な判断でした。

 結果的にワンテンポ早く動いたことで外に持ち出すスペースを作れましたし、かつ後ろの馬を外々に押しやることで、コーナー地点ではインで我慢できていたこの馬と比較して余分に脚を使わせることにも成功していて、後は真っ直ぐいいところを伸びるだけ、という競馬でしたね。
 上がり的にもほぼレースラップ通りか、外に出した分だけ内のレッドに出し抜かれた面はあるので、ラスト200mが12,4~5くらいかもですが、どうあれ持続力戦の中でも一定の素材は見せ、しっかり出し切る競馬が出来たと言えそうです。

 本質的に良馬場でここまで強気に出ると、絶対的な持続力面でラスト甘くなる点がカバーしきれないかもですが、今日の馬場なら後ろの馬も中々伸びてこられない、加えて切れ味の質も、一定落とす馬がいる中でこの馬は削がれない、と、いい条件が出揃っていたと思います。
 概ねイスラボニータとは、多少適性の差はあれ互角の能力だとは見ていて、今日は馬場と枠、斤量面で恩恵があったので、それを加味すれば妥当な着差と言えるのではないでしょうか。
 本番はまた色々な方面から強い馬が集結してくる事にはなりますが、まず基準としてこの馬とイスラボニータがいて、それを負かし得る馬、という見方で入っていけそうですね。

 2着イスラボニータは、結果的に外枠が極端なマイナスにはならない条件になってくれたかなと思います。
 どうしても独特の走りをする馬で、グリップの効きにくいこういう馬場が得意とは思っていないのですが、それでも今日は外からずっと馬場のいいところを選んで走れたことで、馬が嫌気を出さずにスムーズに流れに乗れたのだろうと感じます。
 前が動いたコーナーで仕掛けをワンテンポ待っていたのもいい判断で、その分だけ仕掛けを遅らせて直線勝負の比重を強く出せましたし、ただ本来は一瞬の切れならエアより上のはずが、その点今日は逆転していたので、そこに馬場の影響は見て取れます。

 ですが、流石に最後は地力の違いで、前が落としたところでじりじりと伸びてきましたし、これだけ悪条件が重なった中での2着は、去年の2着よりも内容があったんじゃないかなと感じます。
 当然京都のマイルはかなり適性が高いので楽しみですし、年齢的にもそろそろ下り坂に入ってくる可能性がある中で、フジキセキ晩年の傑作としてはどうか、種牡馬入りするためにももうひとつくらいは箔をつけたいところですね。

 3着クルーガーは、ここしばらくはほとんど順調に使えていなかったのでどうなのか、と思いましたが、流石に地力のあるところを見せてくれました。
 血統的にもこちらもキンカメで渋った馬場を苦にしない、というのもあったでしょうし、序盤はあまりついていけずに無理せず最後方で、中団から後方よりの馬がコーナーで動いていって脚を使い果たすのを尻目に、じっくり直線まで待ちつつ進路確保もイスラの真後ろをスムーズに取れて、最後の伸び脚は中々に見所がありました。

 展開的には嵌った部分はあるでしょうし、本来もうちょっと先行できる馬ですので、そこで改めて本来の走りができるようになってくれば、今後マイル路線で侮れない存在になってくるかもしれませんね。

 4着レッドアンシェルも、慣れない逃げの形から良く粘り込んできたと思います。
 ハナに立たされたとはいえ、そんなに無理して出していく形でもなく折り合いはスムーズで、エアが早めに動いたことで出来ればもう少し仕掛けを待ちたかったでしょうが、意を決してインベタで勝負をかけたのは中々いい判断だったと思います。
 馬個体としては、新馬戦でもその片鱗を見せていたように、こういう馬場が合っていたと言えるでしょうが、ただ使えるいい脚が一瞬、というのは元々の素材通りで、このコーナー出口最速での仕掛けだとラストが如実に甘くなってしまいました。

 ただ休み明けで、自分の形とは言えない逃げでも堅実に走ってきたのは今後の収穫でしょうし、個人的には1400mの方が噛み合う事が多いタイプだと思うので、阪神Cあたりに出てきたらちょっと狙い目になるかな、と感じています。

 5着ペルシアンナイトも悪くはなかったですが、この馬の場合は重はギリギリこなせるけどあまり良くはない、イスラくらいの適正幅だったかな、という感触です。
 ペースもややスローで仕掛けの早い持続戦なので、これが良馬場ならもってこい、という流れに思えますし、馬場の悪いインを狙った分はあるにせよ直線どの地点でもエアに対しアドバンテージを感じなかったのは少し物足りなかったですね。
 ハービンだからと言ってどの馬も重がバリバリに得意、というわけでもないでしょうし、この馬は良馬場の方が良さそうです。かつマイルのスピード勝負よりは、1800~2000mがベストの様な気がしています。
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2017 10月第3週新馬戦 レース回顧

 今週も雨続きで中々に鬱々とした気分になりますね。
 丁度菊花賞の枠順も発表になりましたけど、いかにも真っ当には決着しなさそうな並びになってしまって、馬場状態も含めてかなり悩む事になりそうです。

 その前に先週の新馬戦を振り返っておかないと、というところですが、先週から新潟開催もはじまり、未勝利も含めれば2歳戦は本当に鞍数が増えてきました。
 ですので、以前にも告知したようにそろそろレース数は絞り気味に、注目度が高いレースや内容が面白いレースを中心に取り上げていく事になりますのでご了承くださいませ。

**★10/14(土) 東京4R ダート1400m戦**

 雨の影響で不良開催となったダートの新馬戦は、最内から好スタートを決めたダークリパルサーが、直線半ばで後続に並ばれながらももう一伸びしてそのまま逃げ切る強い競馬を見せました。

 時計としては同距離のレース、1Rの2歳未勝利が1,25,6、最終の1000万下が1,23,0でしたので、新馬戦で1,24,1はかなり優秀な部類に入ってくるでしょう。
 同日のプラタナス賞も1,36,2のレコードでしたが、このレースの上位3頭も、向こうに出ていても勝ち馬以外とはそこまで遜色なかったのでは、と感じるくらいには、4着以降の馬とは走りが違いましたね。

 展開は好スタートからダークリパルサーがハナに立ち、その後ろにオレノマニラとアルクトス、一番人気のミヤギウイングはややスタートで後手を踏むものの、早めに外からリカバーして好位の外目につけていきます。
 直線に入るとオレノマニラは脱落して先行3頭の勝負になり、後続はその影も踏めないという形になりましたね。

 ラップは35,6(11,87)-12,5-36,0(12,0)=1,24,1(12,01)という推移でした。
 全体的には平均ペースで、4~5F目が12,5-12,5とかなり緩んでおり、そこから11,7-11,8と再加速を伴う内容で、このペースで追走を苦にせず、直線で楽に加速できる余力を残していた上位馬が強かったと見ていいでしょう。

 勝ったダークリパルサーはその中でも強い競馬で、直線スッと加速してから後続の手応えを見る余裕もあり、最後は鞭を使わずしっかりラップも落とさずに走り切っていて、この馬場でレースを支配出来た強みと、インを通した分の差をはっきり見せたのかなと感じます。
 加速地点での勢いはミヤギの方が、というところもありましたが、この加速度で楽に動けたのは武器になりそうですし、軽いダートの方が強みが活きそうですね。1200mに入ると前半の追走面でまだ未知の部分は大きいので、現状は1400~1600mが合いそうです。

 2着のアルクトスは途中からポケットに入れて、前の動きを見ながらになった分、加速地点で勢いをつけるのがワンテンポ遅くなったのはあると思います。
 その分最後は内から伸びて、ミヤギを交わして前にも詰め寄っていましたが決定的ではなく、ですがこういうスピード色が強い競馬での適性はしっかり見せたと思います。
 あの位置から器用に動けましたし、スタートも抜群でしたので、次は普通に勝ち負けできる馬でしょう。

 3着のミヤギウイングも、少し序盤にリカバーで脚を使ったのと、コーナー外々から早めに押し上げていった分、最速地点では一番いい脚を使ったものの最後は少し止まってしまいましたね。
 枠がもうちょっと内なら楽だったかもですし、やや荒削りなところは見えますが素材としては確かな感じはあります。こちらも切れ味はかなりのものを見せたので、こういう馬場が合った面もあるでしょうが、未勝利クラスなら順当に勝ち上がっていけるはずです。

**★10/14(土) 東京5R 芝1600m戦**

 やや渋った馬場での一戦は、桜花賞馬アユサンの全弟となるマウレアが馬群を割って差し切りデビュー勝ちを果たしました。

 展開は、外目からデムーロJのロンギングファローが押して先頭に立ち、他伏兵勢の先行集団の直後、内目にいたのがマウレアで、その外にコロンバスデイがピッタリマークする形で控えていました。
 ラップは37,2(12,4)-25,6(12,8)-34,5(11,5)=1,37,3(12,17)という推移で、新馬らしく序盤緩く中盤で更に緩んで、そこから加速を伴う3F勝負、という様相でした。

 マウレアはまずまずのスタートから好位をしっかり確保して道中は内目を通して直線、前が壁になっていたので外に持ち出そうとするもののコロンバスデイに遮られ中々進路確保が出来なかったものの、残り300mくらいで前の馬が内に寄れた隙間を通して一気に伸びてきます。
 その勢いのままに逃げ込みを図るロンギングファローを捉え、ラストは中々の持続力を見せてじりじりと引き離す完勝でした。

 正直乗り方自体は危なかっしいところはあったのですが、馬自身の素材はちょっと抜けていたのかな、という勝ち方で、あそこから瞬時に前が空いて加速、馬群を割って競馬が出来たのは収穫にはなると思います。
 血統的にもマイル路線が主軸になってくるとは思いますが、ゆったり入れば2000mくらいは、とも思いますし、血統的に少し渋っても対応できそうなのは強みですね。

 2着馬はこのペースで逃げて、仕掛けも主導してなので、内容的には完敗ですし、持続面や切れ味で特筆したものは見せられていないので、もう少しペースを引き上げて良さが出てくればともかく、直線勝負の形ですと今後も楽に勝てる、とは言いづらいところですね。

**★10/14(土) 京都4R ダート1800m戦**

 良馬場で行われたダートの新馬戦は、ライジングドラゴンが好位から直線入り口で堂々先頭に立ち押し切る、中々強い競馬を見せました。
 同日の500万下が揃って1,53,0ですので、このレースの1,54,3は標準くらいかな、とも思いますが、全体的にスローだったのでまだ時計は詰める余地がありそうですし、勝ち馬は後半要素で面白いものを見せています。

 ラップが38,3-39,1-36,9=1,54,3とはっきり終盤の上がり勝負になる中で、その分仕掛けどころは早く後半4Fが12,6-12,0-12,3-12,6とコーナー中間が最速で、そのあたりからじわっと勝ち馬は動いていきました。
 ラスト200mは完全に自身のラップですので、おそらく12,0-12,1-12,6くらいと、コーナーでずっと速い脚を使いつつ、最後は流してほとんど落としていないので、これは後半要素だけで見ると500万レベルよりも強い競馬が出来ていたと思えます。
 無論ペースが上がってこの機動力と持続性能が引き出せるかの課題はありますが、スタートセンスもかなり良く、要所の反応も鋭かったので、中々に面白い一頭になってくるのではないかと思います。

 2着のグレートタイムも悪くない競馬で、ただこちらは序盤からかなり行きっぷりが悪く、コーナーでペースアップするところでも内々を回して尚ややついていけずに、不器用さを露呈したのはありますね。
 ただ直線で外に出してからの伸び脚は、勝ち馬が緩めていたのはあれ中々に見所があり、おそらく12,2-12,2-12,0くらいのラスト1F最速で突っ込んできていると思います。
 血統的にキンカメ×ミラクルレジェンドでいかにもダートの鬼っぽいですし、藤原厩舎ですので一叩きした次は確勝級なのではないかなと感じます。

**★10/15(日) 東京3R 芝1600m戦**

 重馬場となり、超スローで展開した牝馬限定のマイル戦は、キロハナ、ハナレイムーンの全妹になるオハナが直線鋭い決め脚を発揮して勝ち切りました。

 ラップは38,5(12,83)-28,0(14,0)-34,3(11,43)=1,40,8(12,60)という推移で、いくら馬場が悪いとはいえ極端な中緩みになっています。
 その為に後半ラップが13,9-12,2-11,1-11,0と非常に幅の広い加速を伴う2F切れ味勝負になっていて、持続力はそこまで問われず、あくまでも機動性と瞬発力の質が最重視される内容だったと言えるでしょう。

 そんな中で2着のライレローズがコーナーを外目から押し上げ直線入り口でほぼ先頭、という理想的な立ち回りをしてくる中、その2頭分くらい後ろにいたオハナも直線で外に持ち出して追撃を開始します。
 残り400mで4馬身、200mで2馬身くらいの差があるところを、最後しっかり捉え切っていますので、この馬自身は12,2-10,7-10,7くらいの上がりを使っていて、この馬場で2F10秒台を並べてきたのは、質の面でかなり秀でたものを保持していると言えるでしょう。よくこれを差し切った、とは思います。

 ただ当然超スローの中での切れ味ですので、ペースが上がってどうかは疑問符が付きます。
 キロハナもハナレイムーンもどちらかというとスロー専門のところがありますし、そのあたりで兄姉の素材を上回ってくれば面白い、と言えますが、現時点ではまだ未知の部分が多過ぎるのでなんとも、ですね。

**★10/15(日) 東京4R 芝1800m戦**

 こちらもかなりの中緩み展開になる中、コーナーで外目から押し上げて前に取りついたギャンブラーがそのまま押し切り、石橋Jは3Rに続いての新馬連勝となりました。
 ラップは37,2(12,4)-39,3(13,1)-35,4(11,8)=1,51,9(12,43)という推移でかなりのスロー、後半4Fが13,1-12,0-11,4-12,0ですので、後半要素で目立った素質を見せられた馬があまりいない中、緩みに乗じてしっかり押し上げたギャンブラーが持続面で良さを発揮したイメージですね。

 ギャンブラーはほぼ4コーナー出口で先頭でしたので、上がりから逆算すれば11,5-11,4-12,0とコーナー地点でかなり速い脚を使っている計算にはなり、この馬場とペースの中でラストを12,0でまとめてきたのはまずまず、だと思います。
 相手関係が弱かった、とは思いますが、機動力と持続力面は中々ですし、ハービンの仔ですのでこういう馬場でのスローロンスパに近い競馬は噛み合うところもあったでしょう。
 切れ味はそこまで高くなさそうですので、良馬場でスローだとどうか、ペースが上がってどうかと課題も多そうですが、中距離路線で楽しみはありそうです。

**★10/15(日) 京都4R ダート1200m戦**

 この日は午後になって雨脚が強まる中、このレースの時点ではまだ稍重発表のダートで、クレヴァ―パッチが好スタートからハイペースに持ち込み、そのまま楽々押し切る強い競馬を見せました。
 同日の1R未勝利戦が1,14,8、最終で重に変更になった1600万下が1,11,1という時計でしたので、このレースの1,12,8は新馬としてはかなり凄みのある時計ですし、他の馬とは絶対的なスピードが違った、という感じですね。

 ラップ的にも35,0-37,8で、道中一切緩みのない一貫減速消耗戦ですので、勝ち馬にしても出し切った時計とは思いますが、純粋にこのスピード能力なら500万レベルなら楽にクリアしてこられるでしょう。
 血統的に距離が伸びてどうかは難しいところですが、母父ディープでかなり軽快なスピードを見せているので、一度くらい芝の短距離を試してみてもいいかもしれません。
 ダートでも1400mまでは充分に対応できそうですし、スムーズな競馬が出来るなら今後も楽しみですね。

 後続の中では上がりダントツで追い込んできた3着のマイネルレヴリーには変わり身がありそうです。
 スタートは良かったのに序盤から二の足で全くついていけていないので、明らかにもう少し距離があったほうが良さそうです。
 とりあえずダートスタートの1400mなら、と思いますし、最後の脚は光るものがあったので、もう少しポジションを取ってどこまでやれるか注目しておきたいですね。

**★10/15(日) 京都5R 芝1800m戦**

 芝もこの辺りからは大分湿ってきて、時計的にも極端に速いラップは踏みにくい条件になってきていたと思います。
 その中で勝ったのは、マウントシャスタやカミノタサハラ、クリアザトラックなどの全弟になるフォックスクリークでした。本当にこのクロウキャニオンの子供は、決して大当たりはしないけどみんな揃ってOPレベルまでは上がってきて大したものですし、この馬がそのあたりの壁を破れるかも面白いところです。

 ラップが36,3(12,1)-38,0(12,67)-36,7(12,23)=1,51,0(12,33)という推移で、テンはそこそこ流れて中盤緩み、けれど仕掛けは遅めで後半2F勝負、という流れの中で、勝ったフォックスクリークはスタートから好位外目に位置します。
 直線手前からしっかり外を通して進出し、残り200mで先頭に立つところに、2着馬のドラセナの急襲を受けますが、残り100mでもう一度突き放して勝ち切る、中々に味のある競馬が出来ましたね。

 馬場が読みにくいので時計面やラップ推移で派手さがないのがどうか、判断も難しいですが、ある程度前に行って追走を問われ、緩みに合わせてからの直線勝負で、しっかり勢いをつけて入ってきたドラセナを差し返す形で凌いだのは地力の証明と見ていいと思います。
 スタートの良さやポジショニングは今後も武器になりそうでしたし、後は良馬場で鋭さを増してくれば素材的には充分上位クラスでも、と思わせますね。
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2017 もみじS・紫菊賞・プラタナス賞 レース回顧

**★もみじS(芝1400m戦)**

 秋華賞と同日の、雨が強まる中での一戦となったもみじSは、未勝利で強い勝ち方を見せたダノンスマッシュが圧倒的な一番人気に推され、それに応える形で好位から抜け出し圧勝しました。

 馬場表記はこの時点ではまだ稍重でしたが、降雨の雰囲気からするとかなり重くはなってきていたと思います。少なくとも良馬場から1,5秒くらいは上乗せして考えて問題ない条件ではなかったかと感じますね。

 展開は、まずナムラバンザイが積極的にハナを取り切り、それを北海道の1200m戦で結果を残してきているリンガラポップスが早めに追走していきます。
 ダノンスマッシュは絶好のスタートを切るものの、特に促すことなく馬なりで内の2頭を前に行かせて3番手でしっかり折り合いに専念、一方スタートではちょっと出負けしたアーデルハイゼは、少頭数で近くの馬が前に行っていたこともあり、序盤でリカバーして中団、ダノンスマッシュを内から見る位置につけます。
 その外に外枠の伏兵3頭が追走して、ミッキーマインドは注文を付けて最後方から脚を溜める形で進めていきます。

 ラップは36,4(12,13)-12,2-34,8(11,6)=1,23,4(11,91)という推移でした。
 どうしても一気に渋り始めた条件で、前も中々突っ込んでいけない、というのはあったでしょうし、この時期の2歳戦でもありますから、極端ではない現実的なスローペース、というのも致し方ないところでしょう。

 かつレース全体の仕掛けも遅く、後半の推移が12,2-11,8-11,6-11,4と段階的にじわじわ加速していく流れで、逃げたナムラバンザイとしてはスローに落として本仕掛けも直線まで待てた最高の形でしたが、しかし素材の違いでダノンスマッシュが突き抜けた事でラスト1F最速ラップを踏む事となっていますね。
 全体としてはあまり追走は問われず、仕掛けも遅いので要所の反応も問われにくい2F戦、という様相で、この馬場に対する適性と、もう少し長い距離向きの内容を示しているのかなと感じました。

 そういう諸々を差し引いても、勝ったダノンスマッシュの強さは鮮烈でしたね。
 この馬のいいところはとにかくスタートが抜群で、そこから折り合いにも苦労しない、というあたり、この前のサウジアラビアロイヤルカップを勝ったダノンプレミアムにも通じるところがあって、今年のダノンはセンスあるいい馬が揃ったなぁ、と思います。

 この馬の上がりは34,2で、直線入り口ではナムラバンザイがそこそこ出し抜く形で4馬身近く離れているので、この馬の推定は11,8-11,2-11,2くらいだと思います。
 他のレースとの比較でも、かなりのスローペースとはいえこの日の午後の馬場で11秒前半の切れ味を引き出す、しかも2F続けてくるというのはかなり難しかったと感じますし、タフな馬場に対する適性と、そして改めてスローバランスでの後半要素の凄みを見せてきたのかなと感じました。

 この馬は新馬戦もかなり強い競馬はしていたのですが、それでも激流に巻き込まれて最後まで粘りつつも差し込まれてはいて、ハイペースにも一定ライン対応はしてくるけれど、本質的にはスローバランスでこそ、と見ていいとは思います。
 前走の未勝利もラブカンプーに楽勝でしたし、ラブカンプーは今週ようやく相手に恵まれて未勝利を圧勝で勝ち上がりましたが、そのあたりの比較からも素材としては既に重賞クラスとは感じますね。

 あまり急かされない方がいい、という意味で、今のところ見せている正統的なロードカナロア産駒の強い馬、って思いますし、これだけしっかり折り合いがつくので距離延長はむしろ歓迎でしょう。
 まだ仕掛けが速くなって3Fの持続力勝負でどうか、という課題はありますが、少なくともそれ以外の面ではかなり阪神マイルにフィットする適性を見せていますし、朝日杯はかなり有力、と思っていいと考えます。
 マイルになれば平均ペースくらいでも追走に苦慮はまずしないでしょうし、あまり外枠でない限りは前目から堅実に圏内に食い込んでくるイメージを持てますね。

 ダノンとしては、この馬が朝日杯で、プレミアムがホープフルSという使い分けでピッタリ、という感がありますし、カナロア産駒でもステルヴィオより素軽い対応ができるタイプですので、先々名マイラーになれる素養はあると思います。

 2着のアーデルハイゼも悪い競馬ではなかったですが、勝ち馬のスケールには完敗でしたね。
 しっかりリカバーを効かせて、内目を通しての直線勝負は、血統的にも噛み合う部分だったとは思いますが、それでもエイシンフラッシュ産駒だけに、本質は良馬場でもっと加速や一瞬の切れを問われた方がいいタイプなのかもしれません。
 ただ、比較的タフな競馬だった新馬勝ちとはまた違う適性で良さを引き出してはいるので、トップクラスには中々難しいものがあるとは思いますが、フェアリーSとか微妙なところでいい走りをしてきそうな感じもありますね。


**★紫菊賞(芝2000m戦)**

 土曜の京都はまだ高速馬場を保っている中で、マイハートビートが最後方から一気のイン差しで、素質馬トゥザフロンティアを凌ぎ切り2連勝を飾りました。

 展開はまずタニノミステリーが逃げ、番手にニシノベースマン、それを外から少し気合をつけてトゥザフロンティアが追いかけます。
 その後ろにドンアルゴス、次いでシースプラッシュがいて、マイハートビートはやや二の足がつかずにゆったりと最後方から、6頭と少頭数の競馬らしく、序盤は隊列が密集しない形で淡々と進んでいきます。
 
 ラップは35,7(11,9)-49,4(12,35)-35,3(11,77)=2,00,4(12,04)という推移でした。
 レース全体で見るとやや中緩みがある平均ペース、という形ですが、これは離して逃げた馬のペースですので、実質的にトゥザフロンティアから後ろの馬はもっとスローバランスで入っているでしょう。

 中盤の推移が12,1-12,2-13,0-12,1で、1Fだけ極端に前が緩めている地点があり、画像でもはっきりわかるのですが、後続はその1000-800m地点で、前のペースを合わせずフラットに進出して取りついており、一気に馬群が凝縮しています。
 それを踏まえても、レース全体のハーフバランスは60,0-60,4ですが、トゥザフロンティアのあたりでは61,0-59,4くらいと見ていいでしょう。

 それでも一定は流れている現実的なスローから、5Fのロンスパ戦の様相が強く、仕掛け自体はラスト3Fが12,0-11,6-11,7であるようにそこまで早くはありません。
 ロングスパートの流れの中から最後もう一段加速出来た馬、という見立てでいいですし、極端な影響ではないにせよコーナーの立ち回りも少しは結果に響いたのかなとは感じます。

 勝ったマイハートビートは、腹を括っての後方待機でしたが、その分3~4コーナーでしっかり内目から進出出来ましたし、直線もスッと進路を確保、最後までしっかり伸び切ることが出来ましたね。
 レースの形としてはコーナーの通す地点で2、3着馬よりは恵まれているので、地力の面で抜けているとは当然思わないですが、コーナーをタイトに回って加速できる器用さと、ロンスパでしっかりしぶとく脚を引き出せる持久力面の良さは感じさせました。
 それにしても改めて、ルーカス戦の掲示板メンバーの強さは光っていますね。真打ち登場の東スポ杯が今から実に楽しみです。

 2着のトゥザフロンティアも、芙蓉Sよりは序盤のポジショニングなど常識にかかってきて、あと一瞬の反応が鈍い馬ですので、ある程度淡々と流れて加速力が問われにくい展開になったのもプラスだったと思います。
 ただ正攻法で外々を回したとはいえこの頭数ですし、それで後ろから、インから差し込まれるというのはあまり印象のいい負け方ではなく、純粋な素材面でも少し足りない感じはまだ付きまといますね。
 でも距離自体はこれくらいあっていいイメージですし、むしろもっとペースが流れてしまった方が楽かもしれません。中距離で総合スピードを活かして、というのが、それこそトゥザヴィクトリー血統の特質的なところもありますから、常にしっかりポジショニングを意識してレースに臨んで欲しいかなと思います。

 3着のドンアルゴスは、コーナーで外に膨れるところでの戒告が出ていますけど、レース内容としてもその頭数でなんでそこまで外を通すか、ってイメージはありましたね。
 その点ではっきりトゥザフロンティアよりもロスは大きかったと言えますし、それでもラスト1Fは伸びてきていて、素材面では1~2着馬よりも面白いものがあるかも?とは思わせる走りでした。
 新馬は前目で受けての持続戦でいい味を出していましたし、この馬も理想はこのくらいの距離でポジションを取って、になるでしょうか。難しさはありそうですがしっかり矯正してくれば、まだ奥行きはありそうです。


**★プラタナス賞(ダート1600m戦)**

 去年はエピカリス、一昨年の3着馬にケイティブレイブと、中々の素質馬を輩出している伝統の2歳ダート戦・プラタナスS。
 今年は圧倒的な人気に推されたルヴァンスレーヴが外から楽~に抜け出して持ったままのレコード勝ち、同厩舎の先輩エピカリスに続いて、ダートチャンピオンに向けての階梯を一つ力強く駆け上がってみせました。

 当日のダートは終日不良で、なのでレコード自体は驚くほどではありません。
 500万下のマイル戦でも、45,9-49,5の超々ハイペースとはいえ1,35,4が出ていますし、ややハイ程度の流れでこの時計なら、この時期の2歳馬としては優秀な部類には当然入ってきますが、かなり特殊な適性や展開面の噛み合わせもあったレースですので、そのまま鵜呑みにするのは危険はある、とは感じています。

 展開はまず最内のスペースファルコンが逃げて、好スタートのソリストサンダーが番手につけます。
 その一列後ろに伏兵陣がついていって先団を形成する中、やや立ち遅れたルヴァンスレーヴは、じわっとダート地点に入ってからリカバーして先団の後ろ、いつでも外に持ち出せる位置でどっしりと構えます。
 その後ろにこちらも出遅れたマイネルユキツバキがいて、外目のフィールシュパースも芝地点でダッシュが効かずに後方から、初ダートのロードトレジャーもスタートで後手を踏んでほぼ最後方からの競馬になりました。
 
 ラップは35,5(11,83)-25,2(12,6)-35,5(11,83)=1,36,2(12,02)という推移でした。
 ハーフで見ると47,8-48,6とややハイくらいですが、3分割で見ると明確に中緩みが顕著です。
 特に5F目の12,9が突出して遅く、そこから12,1-11,6-11,8と段階的に加速して最後まで落とさない流れで、この緩い地点でしっかり前に取り付けていった方が流れ的には楽だったのは間違いありません。
 ただ全体で見れば一定の追走力、そして後半の加速力と切れ味、持続面もそれなりには問われていて、総合力勝負で底力がはっきり出た一戦と考えてもいいのかなとは思っています。

 勝ったルヴァンスレーヴは、相変わらず荒削りな競馬であることは間違いないですが、それでもやはり素材としては特級品だというのを示したと思います。
 スタートこそ出遅れたものの新馬よりは大分改善されていて、しっかり中団、前に馬を置いても落ち着いて競馬が出来たのは収穫になったろうと思いますし、このペースに楽々ついていけたのも雄渾な素質を感じさせるところです。

 残り800mから外に出して、前の淀みに合わせずに外からフラットに押し上げていったのは、いかにもデムーロJらしい強気の戦法ではあり、実際にそれが流れに噛み合ったのもここまで楽勝出来た要因だとは思っています。
 それでも直線入り口からしっかり加速して最速ラップ11,6とそれなりの切れ味は示しており、ほぼ馬なりのままラストまで落とさなかったのも素晴らしいところです。
 新馬はかなり重いダートの日でしたので、そこではっきり持久力勝負になっても全くバテない強みを見せていて、この日はダートでの瞬発力・持続力面もしっかり見せてきたので、順調にチャンピオンへの階段を上っていると見ていいでしょうね。

 贅沢を言えばもう少しスタートが上手くなれば、と思いますし、距離もマイルでスピード特化、例えば上で触れた500万みたいに超ハイペースまで入ると少し分が悪い面も出てきそうなので、1800m~2000mがベストに感じます。
 ただ追走はそれなりに出来ていますし、それこそケンタッキーダービー路線を視野に入れても、と感じさせるスピード感、フットワークの良さはありますね。先々が本当に楽しみな一頭です。

 2着のソリストサンダーは、距離が伸びたものの軽いダートになってスピードを存分に生かせたのはあるでしょう。
 この馬は緩みに合わせた競馬をしているので、かなり加速度の高い流れで直線序盤は食い下がっていて、底力はともかく器用さはかなりのものと感じましたので、1400m~1600m路線で前受してレースを主導する形、それこそコーリンベリーの様なタイプに成長していけば面白さがありそうですね。

 3着フィールシュパースも、前走に引き続き長くいい脚を使う所は見せられたと思います。
 ただ最速地点での切れ味はあまりなく、そこでははっきりロードトレジャーには見劣っていたのを、ラスト100mのしぶとさで差し返す形になっていて、直線が長いコースは合うでしょうが、距離的にはもう少し欲しいかなと感じます。1800~2000mの方が安定して強そうですし、この日の流れでも後半要素の良さは削がれていないので、中距離でハイペース、が一番ベストな条件かなと思いますね。
 後は明らかにエンジンを早めに吹かして、出し切る形を取ったほうがいいと感じますし、一度ブレーキすると再加速が得意なイメージはないので、そのあたりを上手く意識して乗ってくれる騎手を選ぶ馬、かもしれません。

 4着マイネルユキツバキは出遅れが響いた感はありますが、直線馬群の狭い所をこじ開けるように伸びてきた脚には見所がありましたし、結構新馬から期間を空けての一戦でもありましたので、ここで叩いて次の良化には期待できるかなと思います。
 5着ロードトレジャーも同様に出遅れなければ2着争いまでは、というのはあり、あと後半要素としては一瞬の切れはかなり鋭く、ここはこのメンバーでも最上位に感じました。
 ただその分ラストやや甘くなったのもありますし、その切れ味の使いどころが難しいタイプでしょうね。流れ的には消耗戦よりスローで団子、とかの方が合いそうですし、中団くらいからスパッと瞬発力の質で一気に先頭に立ってしまいたい、それが勝ちパターンになってきそうなイメージの馬です。
posted by clover at 04:07| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする