2017年10月18日

2017 10月第4週海外GⅠ レース回顧 その他雑談

**★ブリティッシュチャンピオンズスプリントS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=mJjvI8RjPqo)**

 ブリティッシュチャンピオンズディのGⅠレースの開幕戦となったスプリントS、ここではジュライカップ、スプリントカップと連勝し、スプリント路線のスターホースとして大きな注目を浴びることとなったハリーエンジェルが圧倒的な人気を背負っていました。
 しかし重馬場で行われたこのレース、まずスタートでそのハリーエンジェルが少し立ち遅れ、二の足でリカバーしてくるものの馬を前に置く形になって前半かなり気負った走りになってしまいます。

 勝負所で一旦馬群から抜け出す脚を見せるものの、しかし今日は余力なく内からこの路線の物差し馬になりつつあるタスリート、伏兵リブリサブリーズに交わされ、最後はカラヴァッジョにも差されて4着という残念な結果に終わりました。
 勝ったのは外から鋭く伸び切ったリブリサブリーズで、これまでGⅠでは全く歯が立たず、GⅡ路線で善戦を繰り返していた馬なのでなんとも、というところですが、良馬場での開催に比べると3~4秒は時計の掛かるタフな馬場を味方につけて、というところでしょうか。

 タスリートも相変わらず中々に堅実ですが、結局今シーズンはGⅠのタイトルにあと一歩届きませんでしたね。
 来年も走るのかはわかりませんが、基本的に先行力もあり追い出してからしぶとく、かつどちらかと言えば良馬場の方が良さそうなタイプなので、噛み合えばチャンスは巡ってくるだけの力はつけていると思います。

 3着カラヴァッジョも、無敗でアスコットミーティングのコモンウェルスカップを制した時にはこちらが新星と騒がれたもので、それからすっかりハリーエンジェルと地位が逆転していた節があるだけに、ここで一矢報いたのは意地、というべきでしょうか。
 とはいえやっぱりこの馬要所での反応もイマイチですし、ポジショニングも最上位メンバーに入ると甘くなりがちですので、この先も中々難しい戦いを強いられる事にはなりそうです。

 4着ハリーエンジェルは、これで生涯はじめて連対を外す事となってしまいましたが、敗因は明確にあるのでそこまで悲観的にならずとも、というところでしょうか。
 スプリントカップでは重馬場を克服して圧勝していたのでここでも、と思いましたが、元々ダークエンジェル産駒は重があまり得意ではないというのもありますし、シーズン最後でここまでの疲れが出てナーバスになっていたのかもしれません。
 来年のこの路線を牽引していく馬でしょうし、しっかり立て直してまた素晴らしい先行力を発揮して欲しいですね。

**★ブリティッシュチャンピオンズフィリーズ&メアS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ZgWlB1UtZdA)**

 重馬場、という事で、ヴェルメイユ賞の1、2着馬が人気となり、そこに3歳のハイドレンジア、コロネットが加わって、中々に面白いメンバーが出揃いましたが、レースはハイドレンジアがコーナーで捲り気味に先頭に立ち、一度は並ばれたバティールを楽にもう一度突き放して勝ち切る完勝でした。

 ハイドレンジアは元々マイル路線を走っていて、2000mも前走がほぼはじめて、という戦歴だっただけに、タフな馬場での2400mがどうか、と思いましたが、流石のオブライエン厩舎、その見立てに狂いはなかったというべきでしょうか。
 これで遂にGⅠ25勝の年間タイ記録、新記録をどこで達成するかはかなりの注目の的になりそうですね。
 馬自身も本当にタフネスが凄いというか、中団から楽に外を通して突き抜け、そこから粘り通すあたりはいかにも欧州馬、という感じですよね。2走前にもメイトロンSでウィンターを退けたように、重馬場適性が抜群に高い可能性はありますが、来年の牝馬路線の中核を担ってくる一頭なのではないかと思います。

 2着のバティールも名うての重巧者だけに、遠征の不利があったとはいえこの着差は素直に完敗、といっていいでしょうね。
 3着コロネットも最後しぶとく差を詰めていて、ヨークシャーオークスでイネイブルの2着に入った実績は伊達ではないところを示しました。

**★クイーンエリザベスⅡ世S [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=SBk2EJr5iq0)**

 ここは実績断然のリブチェスターが人気を背負うも、直線で鋭く脚を伸ばした伏兵のパースエイシヴが勝ち切りました。
 このレースも去年に比べて8秒近く時計がかかっており、そういう馬場で台頭してきた、と見做すのが自然ではありますが、でもこの馬もダークエンジェル産駒なんですよね。多分現場では、こっちのダークエンジェル産駒が来るのか!って話になってそうです。

 どうあれ序盤から画面左側にオブライエン勢、真ん中くらいにゴドルフィン勢が集まってのレースが、中盤から馬群が一塊になっていき、そして早めに抜け出したリブチェスターを埒沿いから懸命にチャーチルが追いかけています。
 勝ったパースエイシヴは道中はチャーチルの後ろ、かなり窮屈な位置に閉じ込められていましたが、残り400mくらいでかなり大胆に外に進路変更をすると、そこからの伸び脚は圧巻でリブチェスターを一瞬で撫で切り、最後は抑える余裕を見せての完勝でしたね。
 この馬も去年末から台頭し、牝馬GⅠ戦線で善戦を繰り返してきましたがタイトルには届かず、しかし引退レースのここで見事なジャイアントキリングを決めてきた事になります。向こうでも馬場が相当悪くなると意外性のある馬が突っ込んでくるのは変わりません。

 2着のリブチェスターは自分の競馬は出来ていますし、春のドバイからGⅠだけを続けて6戦し、欧州に戻ってきてからは一度も連対を外さずに走り切ったのですから本当に大した馬だと思います。
 初対決となったチャーチルは楽に退けていますし、この後はBCが有力ながらマイルチャンピオンシップや香港マイルも視野に入っている、なんて言っているらしいので、是非アジア圏に来て欲しいですねぇ。先行力と持続力が素晴らしい馬だけに、結構京都の高速マイルは合うと思うんですよ、戦績的にも良馬場の方が断然強い馬ですしね。

 3着チャーチルはこれで引退らしいですが、こちらもシーズン後半は少し尻すぼみ、という形にはなってしまいましたね。
 もっとも3歳マイル路線は強い、と踏んでいたのですが、結果的に古馬と相対してそこまででもなかったか、或いは重い馬場で本領を発揮し切れなかったか、どうあれお疲れさまでした、というところですね。

**★チャンピオンS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=I2_jwVxGwx4)**

 ここまでのレースでは本命馬が敗れ続けて概ね波乱の決着でしたが、ここは圧倒的人気のクラックスマンが早め先頭から直線で千切る一方、という素晴らしい競馬で初GⅠタイトルを獲得、奇しくも父フランケルの引退レースで、欧州では初めてのタイトルをもたらす結果にもなりました。

 スタートから4番手と好位置につけたクラックスマンは、ニエユ賞でも見せたように荒れ馬場を全く苦にするところもなく楽に追走、コーナーでスーッと進出し、外目に進路を取って突き抜けてみせました。
 本当にこういう馬場で強いんだなと、これまでのフランケル産駒のイメージを覆してきましたし、或いはフランケルも4歳シーズンに更に強くなったように、血統的に晩成の傾向があるのかもしれません。

 ただこの馬は、快進撃の発端となった夏のフランスでもかなりの好時計で勝ち切っており、馬場不問の強さだと思います。
 来年も現役続行らしいですし、同厩舎のイネイブルとも路線分けしないと明言してるみたいですが、そうなるとデットーリJはどちらに乗るのか、文字通り身体が二つ欲しい、という事になりそうですね。

 2着のポエッツワードも、愛チャンピオンSに続いての好走ではっきりこの路線でのトップクラスに上ってきましたね。
 前走を踏まえてもこういう馬場が向いた可能性は高いですが、比較的競馬の上手なイメージですし、今後も大崩れせず2000m路線で活躍してくれるのではないかと思います。

 3着ハイランドリールはこの秋シーズン、出ようとするレースが全部苦手な重馬場になってしまったのは不幸でしたね。
 このレースでもやはり使い込んで荒れた馬場を気にしていたのか、ムーアJが道中思い切って外埒沿いまで寄せる、阪神大賞典のオルフェーヴルもびっくりの逸走ぶりを見せながら、しっかりコーナーで馬群に合流してきてしぶとく脚を伸ばし、流石に実力馬、という所を見せてきました。
 例年通りBCから香港が既定路線のようですし、改めて適正な条件でどのくらい走ってくるか、香港では去年同様日本勢の強力なライバルになりそうですし楽しみです。

**★とりあえずのお知らせ**

 私も今さっきこのページを開いてみて気付いたんですけれど、まさかのスポナビブログ自体が終了してしまうとの事です。
 スポーツの話題を書いていく、という面では、認知度も集客力も高いし素晴らしいコンテンツだと思っていたので、こういう事態になるとはうーん、と色々ビックリでもあり、折角軌道に乗ってきたか、というところではあったので残念ですね。

 さしあたり来年の1/15までは記事も更新できる、との事ですので、少なくとも年内は今まで通りの更新を続けていく所存です。
 それ以降はどこかに記事もインポートしてのお引越しを視野に入れねばなりませんし、今と同じ水準で続けていくかも含めて色々思案する必要がありそうですが、どうあれ身の振り方を決めたら早めに告知致します。
 
posted by clover at 04:07| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017 天皇賞(秋) プレビュー

**★はじめに**

 今週はいよいよ、古馬の頂上決戦となる秋の中距離GⅠ三連戦、その先陣となる秋の天皇賞ですね。
 2コーナーの引き込み線からスタートするという、やや特殊なコース形態で実施されるレースですが、それでも数多の名馬が勝ち馬に名を連ね、このコースならではの筋書きのないドラマをいくつも生み落としてきました。

 今年はGⅠ馬8頭と超豪華メンバーが出揃います。
 まぁ近年はGⅠ路線も多様化して、そのタイトルが海外GⅠのみ、なんて馬も出てきますので、その頭数自体が全体的な能力の高さ、レース質の高さとイコールになるかは判断しづらいところもありますけれど、それでもやはりこれだけ多様な路線から有力馬が集まってくれるのは、2000mという距離ならではの醍醐味と言えるでしょう。

 2週続けて道悪での決戦が続きましたので、そろそろ今週位は良馬場での真っ向勝負が見たいなと思いつつ、過去を紐解いて攻略のヒントを探っていきましょう。


**★レース傾向分析**

 コース形態はややトリッキーで、改装前よりは改善されたとはいえ最初の2コーナーまでの距離がすこぶる短く、外枠の馬が先行するには不利な舞台、というのがほぼ定説化しています。
 ただそこをクリアして隊列が落ち着けば、それなりの起伏を伴いつつもゆったりしたコーナー、長い直線で実力馬が力を引き出しやすいロケーションですし、直線の坂が残り260mくらいまでで、坂を上ってから更にもう一段踏ん張れるパワー・底力をも求められる事になります。

 過去10年での平均ラップは、35,4(11,8)-47,2(11,8)-35,1(11,7)=1,57,7(11,77)という推移になっています。
 この数字だけ見ると、レース全体で淀むところがなく、均質的に高いスピード能力と底力を問われる条件だなと感じさせます。

 ただ府中の馬場は結構軽さにムラがあり、近3年は良馬場でもちょっと時計がかかってきている印象です。
 またその10年の推移の中に、2年ほどシルポートが玉砕逃げをかまして超ハイペースを演出していることもあり、特にトーセンジョーダンの年の1,56,1というスーパーレコードが全体の平均値を押し上げていますので、実際的にはもう少しスロー寄りになる傾向が強いとは思います。

 それでもコース形態的に、序盤いいポジションを取るためにある程度先行争いは激しくなりますし、ハイペースになればなるほど逃げ・先行馬にはストレートに辛い条件と言えるでしょう。
 過去10年でも逃げ馬で圏内に飛び込んできたのは稀代の名牝ダイワスカーレットのみですので、率直に逃げ馬は割り引いた方がいいと思います。

 その上でペースがスロー気味に落ち着くなら先行から中団につけた馬、ハイ気味になるなら後方からでも届く、というイメージですね。
 また、レースの仕掛けどころは坂の上りが最速、というパターンが目立ちますが、コーナーからペースが上がる場合はスローでも持続力を引き出しきって差し馬が届く、という傾向も見えています。

 今年の場合は、先週・今週と極悪の馬場で開催したダメージがどのくらい残ってくるかが一つ大きな鍵になってくると思います。
 今のところ週末は晴れ予報ですし、今週からBコースになりますので、昨日みたいに顕著に馬場の内側を避けての競馬にまではならないかもしれません。
 それでも先行馬がコーナーで外に膨れ、馬場のいいところを狙ってくる可能性はあり、春の府中でも指摘したようにそうなると仕掛けのポイント・最速ラップ地点が600-400m地点のコーナー出口に来る場合が増えてきます。

 一昨日の富士Sなどでも似たような感じはありましたが、差し・追い込み馬がコーナーでラップが上がるとき、更に外々を回されてしまうと殊更に辛い、というのはありますので、そうなると差し馬でも内枠から馬群を割れる馬とか、多少の荒れ馬場を苦にしない馬などが台頭してくるチャンスも生まれるのではないか、と考えています。 


**★有力馬分析**

・キタサンブラック

 今年いっぱいでの現役引退・種牡馬入りが報道され、最後のシーズンを王者らしく締め括るべく、満を持して古馬王道路線の初戦に駒を進めてきました。
 宝塚記念の不可解な惨敗から、色々と懐疑的な声も出てきそうな今回ですが、それでもGⅠ5勝の実績は圧倒的で、先ずは敬意を表してこの馬から語るのが当然ということになるでしょう。

 まず宝塚記念に関してですが、他の馬のその後も踏まえて考えたときに、間違いなくスーパーレコードで駆けた春天の反動があったことは確かでしょう。
 加えてレース内での敗因としては、中途半端な位置取りから、仕掛けのタイミングも後ろからサトノクラウンが突っついてきたことでかなり早まり、6Fのロングスパート戦になった中で外々を通す羽目になったのはかなり痛かったと改めて思います。
 体調自体は休養して戻してきていると思いますし、調教過程やコメントからも後ろ向きなイメージはなく、個体差があるので一概に括れないとはいえ、シュヴァルグランがしっかり秋初戦で強い競馬を見せられたのも含めて、極端に疑ってかかる必要はないと思っています。

 あとは純粋に府中2000mへの適性がどうか、となります。
 春の大阪杯を完勝したことで、この馬は2000mでも強い、と見做されていますが、私個人としてはまだ純粋に全体スピードを問われた時の2000m戦への適性は全幅の信頼を置けるほどではないかな、と思っています。

 実際に大阪杯は、大きく離して逃げたマルターズアポジーの位置でも平均ペース、キタサンの位置ですと顕著に3秒近い後傾ラップを踏んでいますので、前半の追走面が強く問われたとは感じません。
 なので、高速馬場に戻って、かつ平均からややハイまでペースが上がった時に、トウケイヘイローを追いかけたジェンティルドンナみたいに早めに深追いしていくと、後半要素が削がれて甘くなる可能性は考えておきたいですね。

 ただ今年の場合、昨日までの馬場悪化の影響で、まず高速状態までは戻らないんじゃないか、という気はしています。
 全体的に時計がかかって、1,59,0前後の決着に落ち着くならばこの馬には追い風だと思いますし、あと今年は典型的な逃げ馬がいないのもポイントになります。
 逃げ馬の成績自体が壊滅的なのは確かですが、このレベルの馬なら逃げて自分のペースに持ち込めれば当然しぶとく粘りこめるとは思いますし、どうあれ先行策を取るのは確かなので真ん中よりは内の枠が欲しいところでしょう。

 この馬にとって一番厄介なのは、堀厩舎の2頭の出方になってくるかなと見ています。
 ネオリアリズム・サトノクラウンともにスローからのロングスパートが得意な馬であり、特にネオリアリズムは枠次第で逃げ先行策を打ってくる可能性もあります。
 基本的に総合力に長けているキタサンブラックですが、持続力/持久力特化戦になったり、オーバーペースになったりすると脆さも見せる、というところは時折あるので、厩舎戦略としてネオが先導して仕掛けを速めていく、なんてパターンに巻き込まれると、宝塚記念のように直線で甘くなるかもしれません。

 どうあれ他の有力馬からびっしりマークされる存在なのは間違いないですし、枠の並びや直前の気配などをしっかり判断しつつ序列を決めていきたいですね。
 春は基本的に一貫して高く評価していましたが、このレースに限っては枠次第で本命から連下まで柔軟に構えておきたいところです。

・サトノクラウン

 過去2年の秋天では見せ場すら作れない大敗を喫しているサトノクラウンですが、その後GⅠタイトルをふたつ積み重ね、本格化を経ての三度目の正直、となるのでしょうか?

 個人的にはやはり、基本的にそこまで高く評価したくはないタイプではあります。
 2000mですと前半忙しくなりすぎますし、ゆったり入ってロングスパート、以外に絶対的な武器があるわけではないので、確実にフルゲートになってくるであろうここで自分の競馬を貫けるかは難しいところだと思います。

 ただこの馬にとっても、馬場が重くなってくれるのは明確にプラス材料でしょう。
 荒れた馬場も苦にしないパワータイプですので、序盤は内枠から中団より後ろでじっくり構えて、勝負どころでもVMのアドマイヤリードみたいにみんなが避けるインコースを使ってショートカット、なんて芸当は出来そうで、勝負勘鋭くこの秋もGⅠで絶好調のデムーロJですから、一概に嫌ってはいられないな、とは感じています。
 無論外枠を引いたら割り引きたいなと思いますし、流石に宝塚記念ほど後半に波が少なく、かつ一切切れ味の質は問われない条件が整うとは考えづらいので、重い印は視野に入れてはいませんが、枠と馬場次第では捲土重来のチャンスは十分にある、と見ています。

・ネオリアリズム

 こちらも重い馬場自体はこなしてきますし、先行力があってロングスパートが得意、中山記念などでも顕著なように、ハロン11,5前後の足を延々5Fくらい続けてこられるのがこの馬の最大の武器です。

 無論香港からの長い休み明けで、現状コメントからもまだ状態面は一息、という雰囲気は伝わってきますが、こちらの方が堀厩舎の2頭で比較すると、たとえ前半にペースが上がっても対応できる余地が大きく、またキタサンを潰す戦略を大胆に実行できるだけの素材でもあります。
 やはり外枠になったら嫌ですが、ある程度中目の枠でキタサンを外から見ていく形などが取れれば、早めにつついてリズムを崩しつつチャンスを広げていくことも出来そうで、並びによっては単穴くらいまでの評価にするかも、というイメージです。

 シュタルケJというのも、純粋に先行させるのは上手いですし追ってしぶといタイプなので結構合うんじゃないかな、とは感じます。
 今回はまた秋恒例、カタカナジョッキーがぞろぞろと御目見えしてきましたが、その中では騎手人気しにくいタイプだと思いますし、しっかり前目から勝負に行ってほしいですね。

・リアルスティール

 今年は春先から順調さを欠いていましたが、前走の毎日王冠では鋭い決め手を見せて改めて能力上位を誇示、その勢いを駆って悲願の国内GⅠ制覇に挑みます。

 去年もモーリスに肉薄する2着といい競馬をしており、存外リピーター率も高いレースですので、その点で一定の信頼度は置けるな、と感じます。
 馬のタイプ的に前半ゆったり入ることで後半の鋭さ、特に一瞬の質を高められるところがあるようなので、この馬としてはどちらかというと例年の傾向通りに、高速馬場で仕掛けも遅い展開のほうがチャンスは大きいかなと思います。
 中山記念の時は体調もいまいちだったのでしょうが、それでもあの5Fロンスパ展開で早々に沈んでおり、その意味ではこの馬にとっても堀厩舎陣営の戦略が噛み合うか否かは死活問題かもしれません。

 ただ府中の場合なら、前が動いても無理にコーナーで仕掛けず、切れ味の質を信じて直線勝負にかけることでカバーできるかもしれません。
 シュミノーJは年頭のイメージからすると、非常にコース取りがタイトで、かつしっかり加速のスペースも取ってくれるバランスのいいジョッキーと思いますので、順々にしっかりエンジンをかけていきたいこの馬には悪くないチョイスだと思います。

 前走は結果的に前後に誰もいないノープレッシャーの絶好位を確保できましたし、流石に今度はあそこまで楽なポジション取りは難しいでしょうが、内枠から中団に潜り込んで、しっかり進路確保が出来ればチャンスはあるでしょう。
 でも荒れ馬場が合うかどうかで言えば、多分合わない軽さが身上のディープ産駒、とは思うので、前日の馬場状況を注視して序列を考えたいところです。

・ソウルスターリング

 毎日王冠の敗戦で評価は下がっていますが、それでもレベルの高い3歳牝馬世代の頂点を極めた馬で、ここが本番の仕上げでもあっただけに巻き返しのチャンスは十分にあると思います。

 前走はやはり慣れない逃げの形と、その結果として3F特化の切れ味勝負になってしまったことが敗因と見ていますし、年末の阪神でも強い競馬が出来ているように、馬場が少し重くなるくらいは問題ないと思います。渋ったときは桜花賞からしても少し割引なのかなとは思いますが。
 この馬も一瞬の切れでなくある程度分散しての持続力で勝負したい馬ですし、この距離ならペースがかなり上がっても追走面での問題はないので、むしろ他の馬が苦にする分ややハイ、くらいになってくれた方がチャンスは広がるかもしれません。

 スタートも二の足もいい馬ですので、内枠から無理せずフラットに2列目に入っていく形がベストで、このあたりも枠次第ですね。
 今回はマークもキタサンに集中する中で、ある程度漁夫の利を狙ってじっとしていられることも踏まえれば、重い評価を視野に入れてもいいかな、と考えています。

・サトノアラジン

 前走は58kgを背負いながらも大外一気で強い2着、距離にも改めて目途を立てたサトノアラジンは、またこの府中の長い直線でその末脚を炸裂させることが出来るのでしょうか?

 まず考えておきたいのは、あくまでもこの馬は高速馬場巧者、という点です。
 前走は明確に極限的な切れ味の質を求められる馬場と展開が噛み合ったのは間違いなく、あの当時の馬場まで回復するならいいのですが、顕著に重たさが残るようですと少なからず割引にはなると思います。
 かつ更に距離が伸び、頭数も増えてポジション取りが難しいのはありますし、この馬はたとえロスがあっても大外をのびのびとぶん回すほうがパフォーマンスが上がる馬ですので、それが噛み合い切るか、となると結構限定的だとは思います。

 安田記念を見てもわかるとおりに、このメンバーに入れば追走面の余裕は最上位ですが、だからと言って前目につけられるわけではないので、好走の為の絶対条件としてはペースが上がることと、最低限の高速馬場に戻っていることになるでしょうか。枠も内目はかえって嫌で、10~12くらいの極端でない外、とかなりスイートスポットが狭くなりそうです。
 流石にこの頭数を外々から瞬発力の質だけで面倒見るのは荷が重いですし、今のところは印を回しても連下、消す可能性も高いかな、と踏んでいます。

・ステファノス

 珍しく休み明けから勝ちに行ったオールカマーでも2着と、善戦マンぶりに拍車がかかってきたステファノスも、ベストの舞台である府中の2000mで悲願のGⅠ取りにチャレンジします。

 こちらも2年続けて好走しているように、適正面では抜群の信頼が置けます。
 過去2年はどちらも外枠でポジションが取れず、後方から追い込むも時すでに遅し、という形にはなっていますので、今年は何とか好枠を引き当てて、大阪杯のようにある程度ポジションを狙っていく意識で入っていきたいところです。

 あとは戸崎Jなので、ある程度持続力を引き出したいこの馬でもスペースを置かずに入ってくると、せっかくの内枠なのに要所の反応で見劣る、なんて可能性もあるので、そこはなるべくバランスを取って、最悪でも確実に伸びる強い馬の後ろを取る意識は欲しいですね。
 今年のメンバーなら追走面ではまだ上位に入りますし、馬場が少し重くなるくらいは問題もないので、チャンスは十分にある一頭だと思います。内枠なら重い印も視野に入れたいです。

・シャケトラ

 今年上半期の最大の上がり馬と言っても過言ではないシャケトラが、秋シーズンは古馬王道路線にチャレンジしてきます。

 一連のレースぶりからもステイヤー色が強いのは間違いなく、宝塚記念もあの展開で先行勢の中では良く粘った、とは言えるのですが、現状持久力戦ではサトノクラウンには及ばず、といって切れ味を問われるとやや辛い、という立ち位置で、少なくとも2000m戦ですと勝ち切るイメージを作りにくい馬ではあります。

 追走面でも不安はありますので、馬場がかなり悪くて相対的に時計がかかる中でチャンスを見出す余地はありそうですし、フランスでトップジョッキーの地位を確立したC・デムーロJとも面白いコンビにはなりそうですが、基本的には軽視したい条件ですね。
 ここで一定の好走が出来るようならJC・有馬に夢が広がりますし、レースぶりには注目しておきたいところです。

・ヤマカツエース

 昨年の秋からは体調も安定し、一連のレースで安定した強さを見せているヤマカツエース、親子タッグでの悲願のGⅠ制覇に向けて、池添Jの渾身の手綱さばきが見られるか注目の一頭です。

 この馬も若い頃は追走面でも、タフな馬場でも強さを見せていましたが、近走はある程度ゆったり入って長く切れ味を引き出す競馬が噛み合っているようです。
 ただ現状の馬場や読み切れないペースを考えたときに、この馬の好走スポットの広さはかなり信頼度が高いですし、近走はポジション取りも少しずつ進境を見せているので、ここでもチャンスがある一頭には入ってくると考えています。

 この馬も極端な内外は嫌で、真ん中くらいの自由度が高い枠がベストでしょう。機動力がある馬ですし、馬群も割れるので、コーナーで外から勝負をかける馬を見ながら、ワンテンポ遅らせて真ん中を突き抜けるなど、立ち回りひとつで面白い走りは出来そうな予感がします。

・マカヒキ

 久しぶりの適性条件で真価が問われた前走も、かつての輝くばかりの末脚は不発、ダービー馬としてがけっぷちに追い込まれた中でのこの一戦で、改めてその強さを取り戻すことが出来るのでしょうか?

 前走は結局のところ、出していって自分から窮屈なところに入ってのがプラスではなかったと思いますし、本領は後ろからゆったりエンジンをかけていく形、多分一気にトップスピードに乗せるのが難しいタイプなんだろうと思います。
 その意味ではオンオフのメリハリのつけ方が激しい内田Jってのは微妙なのかな?と前走を見て思いましたが、ただここで継続騎乗になることで特徴を掴み、しっかり出し切る競馬を模索してくれそうな感じはあります。

 極端な偏差のない持続戦ならば、前走もラスト100mではもう一度伸びていたようにノーチャンスとは思いませんが、他に魅力的な馬も多い今回、個人的には取捨に悩むラインですね。
 ある程度死んだふりからスペースを作って加速しつつ直線を向ける形なら、差し馬勢として引けはとらない資質はあると思うのですが、出来ることが少ない、という意味でかなりスポットが限定的にはなると思うので、ギリギリまで諸要件を判断して考えたいです。

・サクラアンプルール

 札幌記念では並み居る強豪を撃破し、6歳にして本格化を印象付けたサクラアンプルールも、その余勢を駆って天皇賞に挑戦してきます。

 前走はそれまでのスロー専用馬、というイメージを覆す鮮やかさではありましたが、それでも展開的にはかなり噛み合い、ヤマカツあたりとは内容的には互角程度だろうと踏んでいます。
 かつ元々スローでこその馬であり、持ち時計が全くないのも流石にこのメンバーに入ると苦しいところで、追走面・斤量面の不安も含めて流石にここまで手は回せないかな、という印象ですね。

・レインボーライン

 この馬は春シーズンは色々と噛み合わないところも多く、改めてこの秋に真価が問われるでしょう。
 ただ地味に今回の条件は悪くないとは思っていて、追走面は持っており、切れ味勝負は分が悪いながら馬場悪化とロンスパ展開が望めるメンバー構成、荒れ馬場も克服できるので、それこそサトノクラウン同様にイン付きでうまく立ち回れれば、圏内に食い込んでくるくらいはあっても驚けない馬だとは踏んでいます。

 ポジショニングが下手ですので少しでもリカバーするために内枠は必須ですが、ペースが流れてかつロンスパ、というタフな展開になったときにはチャンスが回ってきそうで、並びを見ながら判断したいところですね。

・グレーターロンドン

 前走で強い相手にも一定の目途は立てた、とは言えるものの、斤量差も含めてサトノアラジンに完敗している以上、ここでは楽ではないでしょう。
 どうしても一歩目が遅くポジションは取れない馬ですし、不器用さもあるので、一か八か、という競馬に活路を見出すしかないのかな、と感じます。
 
 節分Sや安田記念のように、スペースがあれば馬群に怯むところはないので、コーナーをタイトに回って最後の爆発力・持続力に賭けてどこまで食い込めるか、でしょう。この距離になると後半要素の絶対的な質は少し削がれる感覚もありますし、やはりマイルがベストの馬には感じていますので、素材は評価しつつもここは軽視する可能性が高いです。


**★思い出の天皇賞(秋)**

 近年でも数々の名レースがありましたし、列伝などでも披露する機会が多いのですが、そちらで触れたものは避けて、純粋にレースの迫力という意味で大好きなのは、かの[スペシャルウィーク](https://www.youtube.com/watch?v=zEY0IFcOtcA)が京都大賞典の惨敗から見事に巻き返し、大激戦のゴール前を閃光のような鋭さで差し切った1999年のレースですね。

 この年も多彩な路線から錚々たる名馬が集結し、ペースもかなり流れて底力が問われた中で、どの馬も存分に実力を出し切っての残り200mの迫力は素晴らしいものがありました。
 その中で大外一気の乾坤一擲に賭けたスペシャルウィーク・武Jは、文字通りその底力を信じての胆力のこもった素晴らしい騎乗でしたし、そしてそれに応えて残り50mからもう一伸びしてきたのが、本物の王者としての強さ・価値を示してくれていたと思いますね。

 あと純粋にすさまじく強い、という意味では、[ジャスタウェイ](https://www.youtube.com/watch?v=QXpEYdmBGDk)も鮮烈に焼き付いていますね。
 この日は良馬場でも渋りの残るかなり重い馬場ではあり、その中をトウケイとジェンティルがガンガン飛ばしていった恩恵もあったにせよ、坂の頂上からの凄まじい持続力は圧巻の一言で、時計も馬場を踏まえれば特級、後続が千切られたのも納得のえげつないパフォーマンスでした。
 ここからドバイを勝つまでは本当に驚異的な強さでしたし、その後はローテーションや騎乗面、体調など噛み合わないことも多くて歯痒かったものの、この秋天の勝ちっぷりだけで間違いなく後世まで語り継がれる資格のある名馬だと思います。

 にしても、この時の福永Jは前週にエピファネイアで菊を勝ってからの、牡馬王道GⅠの連勝でついに一皮剥けたか、と感じさせたものですが、近年はまた大舞台で音沙汰がなくなってきてしまっていますね。
 毎週毎週デムルメでは流石に食傷するところもありますし、そろそろ生え抜きとしての意地を見せてもらいたいところではあります。まぁ流石にカデナでは足りないとは思うんですけど。
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2017 菊花賞 レース回顧

 容赦なく降り注ぎ続ける猛烈な雨の影響で、まるで水田のごとき様相を呈していた淀のターフ、歴史上でも稀に見る極悪の不良馬場の中での決戦は、1番人気のキセキが後方から大外一気で力強く伸び切り、食い下がる伏兵馬を一蹴して最後の一冠を見事に手中に収めました。レースを振り返っていきましょう。

 正直馬場状態に関してはもう論ずるまでもない、ってレベルの壮絶な不良でしたね。
 芝1200mのレースでも1分12秒を切ってこられないように、短距離でも5秒くらいは時計の掛かる条件でしたので、およそその2,5倍は走るこの菊花賞で、例年よりも14~5秒時計を要してきたのも致し方なし、というしかありません。レースレベル云々を図れる状況ではありませんでした。

 また、昨日はまだインコースからでも伸びる馬場でしたが、今日は完全にインが掘れ切って死に馬場になっていましたね。
 ダートコースと見紛うばかりの土煙が巻き起こっていましたし、午後のレースなどは特に、ほとんどの馬が出来るだけ外、最低でも馬場の三分所より外に持ち出して、なんとかバランスを崩さずに走れるよう腐心していたと思います。
 ここまで来ると多少のコースロスなぞなんら問題になりませんし、逆に馬場が悪くなりすぎて、最低限の適性面に加えて純粋な底力もかなり大きなファクターになってきていた、とは感じましたね。

 レース展開は、まず内でウインガナドルとスティッフェリオが好スタートを決め、その外からアダムバローズ、ベストアプローチが積極的に前に取りついていきます。
 その内からトリコロールブルーも好発を決めて先団の一角、外からは掛かり気味にマイスタイルが上がっていき、坂の下りでこのまま引っ張り切るよりは、とハナを奪い取ってインコースに誘導していきます。
 その先団の後ろに折り合いをつけながらダンビュライト、ポポカテペトルがいて、それを見るようにアルアインとサトノクロニクル、ミッキースワローはそこより更に一列後ろで、セントライト記念同様にアルアインをマークしていく形になります。

 ややスタートで立ち遅れたブレスジャーニーと、出足が効かなかったクリンチャーは後方からで、キセキもやや出負けして序盤は無理せず、後ろ過ぎない程度に後方で馬場のいいコースを選んで走っていました。
 マイネルヴンシュはスタートは良かったものの無理に先行争いには加わっていかずにリズム重視で後方から、クリノヤマトノオーもやや後ろ目で、サトノアーサーも今日は折り合い重視で本来の追い込みポジションを選択します。

 スタートで大きく出遅れたプラチナヴォイスが最後方となり、ある程度縦に長く、横にも広くなりつつスタンド前を通過していって、このあたりでようやく外目に持ち出したクリンチャーがじわじわと前に取りついていく動きを見せていましたね。
 ペースが落ちた1~2コーナーを過ぎて、向こう正面に入ると先行勢が盛んに動き出していき、それを有力馬はワンテンポ待って追いかけていく形になりました。

 レースラップは3F×5で見ていきますが、37,8(12,6)-39,8(13,27)-42,3(14,1)-39,0(13,0)-40,0(13,33)=3,18,9(13,27)という推移になりました。
 まぁこのコース形態ですので、この馬場であっても序盤が速いのは当然として、一周目のスタンド前から1~2コーナーではかなりペースが緩んでいますが、残り1200m、向こう正面の直線あたりで一旦ペースが上がって、最序盤を除いた中では、この第4ブロック、坂の上り下りを含む1200-600m地点が最速になっています。
 
 5Fずつで見ると1,04,1-1,08,8-1,06,0ですので、ややハイペース気味からの中緩み、そこから6Fロングスパート戦、という見立ては出来ます。
 一方でラストの4Fは12,9-13,4-12,7-13,9という推移でもあり、地味ながら4コーナーで少しペースが落ちて、直線で再スパート、という加速性能も多少問われていたりもします。
 どうあれ言えるのは、このタフ過ぎるコンディションの中でもしっかり直線まで余力を残し、その上でラストの落ち込み地点でもしっかり粘り込める、身体的にも精神的にも素晴らしい剛健さを持った馬が上位に来た、と考えていいのではないでしょうか。

 ただこのレース、余りにもタフ過ぎたので出走メンバーの今後はかなり怖いですね。
 ロジユニヴァースのダービーの時みたいになりそうな気もするので、上位に食い込んできた馬は無理せず、来年まで休養してもらいたいというのが率直なところです。

 ともあれ、勝ったキセキは見事な力強さでした。
 父親のルーラーシップもこれがJRA初GⅠとなりますが、重に強いキンカメ血脈で、ルーラー自身も重の鬼でしたし、かつ父の母方からトニービンの血も引いていることが、この究極の消耗戦でも挫けず突き抜ける要因の一つにはなっているのでしょう。
 加えて夏の本格化が確かなものだったこと、前走減った馬体をしっかり維持してくる厩舎の手腕、そしてこの馬本来の、跳びの大きさを存分に生かした大外を回してリズム良く末を生かす競馬が可能なコンディションに変貌した事なども含め、文字通り総合力の勝利と言えるでしょうか。

 スタートはいつも通り今一歩でしたが、この馬場ですので無理にポジションは取らずに序盤は折り合いに専念して、かつコースロスを気にせずあくまでも馬場の、少しでも走りやすいところを選んでいたのが印象的でした。
 向こう正面から前の動きが激しくなる中でも無理に仕掛けてはいかず、手応えのいいクリンチャーの後ろをヒタヒタとついていきつつまだ本仕掛けを待っていて、その道中の消耗の少なさが、直線残り200mで全ての馬が失速する展開の中でも、しぶとく脚を伸ばせた要因に繋がってきたのだと感じます。

 果たして良馬場の菊花賞でこういう外々の競馬をして勝ち切れたか、というと神のみぞ知る、とはなりますが、純粋な素材のスケール感、馬力は素晴らしいものを見せてくれました。
 むしろこういう、ディープの血は母系でスピードを軽く補完するくらいの重厚さの方が、それこそ凱旋門的なコースには噛み合うのかもしれませんね。
 夏から使い詰めでしたし、今後はまず無理せず休養、となるでしょうが、来年の春シーズン、特に阪神の2000mや2200mで強い競馬が出来るなら、と夢を膨らませる余地が多分にある走りだったと思います。人馬一体、見事な勝利でした。

 2着のクリンチャーも敗れはしたものの、この馬がするべき競馬はしてくれたかなと思います。
 いつも以上にスタートが悪くて後方から、とはなりましたが、スタンド前で外目に持ち出すと馬がやる気になったようにじわじわと前に取りついていって、それこそゴールドシップのロングスパートをちょっと彷彿とさせる長い、長い脚を使って進出していきました。

 このあたり実のところ、序盤はインの悪い馬場に足を取られていた感もあり、最初から外枠だったらむしろ、と、例年とは真逆の事を思わずにもいられませんが、どうあれ外に出してからは仕掛けの意識も早め早めに持っていて、坂の上りからしっかり前を捕まえにいって、下りを抜けて直線向いたところで早くも先頭に立っていました。
 地味にここで加速ラップを踏んだことで、少し切れ味で負けた感じもあったのですがこればかりはバランスが取れる状況でもなく致し方なし、ラスト200mのしぶとさは流石の一言で、内から迫りくるポポカテペトルを最後捻じ伏せての2着確保は立派な内容だったと思います。

 結果的に見てやはり血統面でこういう馬場は、というところはあったのと、究極的にスタミナ面を問われて良さが出たのは間違いないと思います。
 すみれSからするとキセキに逆転された格好ですけど、それだけあの時期のキセキの完成度が低かったと見做すことは出来そうですし、自分の力はしっかり引き出しての負け、それでも大健闘の2着だったと思います。

 素材的に今後は長距離路線がベターとは思いますが、京都の長距離ですと良馬場の場合はポジショニング勝負のところもあるので、出足の悪いこの馬では分が悪そうですね。
 まぁステイヤーズSとか、阪神大賞典とかに出てきたら全力で狙いたい馬です。

 3着ポポカテペトルも、純粋な血統面というより兄妹成績からイメージできる重馬場の上手さをしっかり発揮してくれましたし、やはりいいスタミナの持ち主だと思います。
 道中もう少し前に行きたかったのはあるでしょうが、それでも有力馬を内から見る形でやや窮屈なところもありつつ、馬はしっかりそこからしぶとく抜け出してくるタフさがありましたし、総合的に見て極端に速いラップを踏むパターンよりは、波の少ない流れを淡々と押し切る競馬の方が強い、という部分を改めて証明してきたと思います。
 こちらも距離はあったほうが良さそうですね。クリンチャーほど極端ではないにせよ、2500m以上のステイヤーコースで本領を発揮してくる馬に成長していくのではないでしょうか。

 4着マイネルヴンシュは、結果的に内枠の馬が悪い馬場に押し込められるのを嫌って先行し、オーバーペースになって沈んでいったのと対照的に、自分のリズムに徹しての後方から、という戦略が見事に当たりましたね。
 基本的にこういう馬場が得手、ではなかったと思いますが、キセキ同様になるべくいいところを走り続けて余力も残せましたし、流石に直線入り口の加速地点では反応できなかったものの、ラスト1Fの差し込みは中々に迫力があり、この地点だけならキセキよりいい脚を使っていたかもしれません。
 少なくともスタミナ面での裏付けはしっかり見て取れましたし、仕掛けの早い展開も合うタイプですので、こちらもステイヤーコース、中山2500mあたりがベストになっていくのかなと思います。

 5着ダンビュライトは、結果から逆算して考えると、ちょっと勝負に行き過ぎた、という事にはなるのかもしれませんね。
 このレースで先行する場合は、最序盤で脚を使った上に、向こう正面から自分で仕掛けていってというかなり厳しい競馬を強いられていて、その流れの一番後ろ側とはいえ、そこに乗っていっての正攻法でここまで粘り込んだのは流石だと思います。

 こちらも血統的にルーラーですので重はこなせるレベルでしたし、距離もギリギリ大丈夫だったと思いますが、展開の綾もありつつ最終的にはほんのちょっと、やはり底力の面で見劣ったのかなと感じました。
 ただミッキーやアルアインとの死闘となった掲示板争いを制したように、本当に馬は堅実な頑張り屋なので、どこかでしっかり勝ち星を挙げて早めに重賞戦線に戻ってきて欲しい馬ですね。日経新春杯とかで見てみたいです。

 6着ミッキースワロー、7着アルアインは、共にやはり流石にこの距離は長い、という所でも、しっかりと地力は見せて見せ場を作り、人気馬の面目は保ってきたと言えそうです。
 特にミッキーは前半から気難しい面を出していたりと、輸送なども含めて難しさがある中で辛抱した、と思いますし、アルアインもこの距離でここまで走れるのなら、適距離では世代最強クラスの可能性は充分にあると思います。
 春の結果通り、2000mならアルアインで2400mならレイデオロ、という感じのところに、キセキがどちらの距離でより適性を見せてくるか、本当はここにアドミラブルがいてくれれば、と思うのですけどね。

 ともあれ、今日はいかに実績馬・人気馬と言えど未知の部分が大きすぎるレースでしたし、この内容が今後どこかに繋がる可能性も低い、とは思います。
 ですがレース個体としては道中の入り替わりも激しく、騎手同士の駆け引きも熾烈で、かつ直線も見応えのある叩き合いとなって、各馬が底力を振り絞ってのこの結果には拍手を送りたいですね。実にいいレースでした。
 
posted by clover at 04:07| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする