2017年09月14日

2017 シリウスS レース回顧

 秋の大舞台への飛躍を目指す馬が出揃ったシリウスSは、最後の最後に急追したメイショウスミトモが粘るドラゴンバローズを交わしさり、嬉しい初重賞制覇を成し遂げました。レースを振り返っていきましょう。

 まず阪神のダートですが、重くもなく軽くもなく、という普通レベルの良馬場だったように思います。
 2歳戦の1400mでも1,25,0とそこそこの時計が出ていて、500万の1800m戦が平均から仕掛けの速い展開で1,53,0ですので、このレースの2,03,9は正直レベルが高かった、とは感じません。
 でもレース展開も意外とタフな展開になる中で、そういう流れに適性のある馬と、純粋なスタミナ面で優位性がある馬がしっかり食い込んできていて、淡々とした見た目より内容のある面白いレースだったと思います。

 展開は、まずマスクゾロが気合をつけて先行し、内に切れ込んでいきます。
 この時にちょっと急に内に寄ったせいで、すぐ隣のドラゴンバローズが立ち上がりかけるところはありましたが、すぐにリカバーして外の馬を抑え込み、コーナー利を生かしてこの馬が2番手につけます。
 外からは芝スタートで勢いがついたピオネロが3番手、2列目ポケットにはメイショウイチオシが入って、その外にモルトベーネが前の動きを見ながらの追走になりました。

 その次の列のインコースにメイショウスミトモがいて、外からトップディーヴォ、タムロミラクルなどもこのあたりにいました。
 其の後ろにマインシャッツ、ミツバはいつものように二の脚が良くはなく後方4番手の外あたりでおっつけながらの追走、スリータイタンは更にその後ろに構えていました。

 レースラップは35,6(11,87)-50,6(12,65)-37,7(12,57)=2,03,9(12,39)という推移でした。
 最序盤が速いのはコース形態上ありがちな事ですが、中盤は緩んでいるように見えて、ラップで見ると13,5-12,5-12,3-12,3であり、コーナー出口でスローになりかかったところからすぐに加速しています。
 これは前が緩めるのを察知したドラゴンバローズの和田Jが、そこでじわっと差を詰めてプレッシャーをかけ、激しい中緩みにならないように仕向けているように見えました。
 前をカットされたあたりからの当てつけ的なマーク感もありつつ、結果的にそれがこの馬の持ち味を引き出すにプラスな展開、ペースに持ち込めていて、そのあたり見事でしたね。

 ともかく、中盤緩み過ぎずに6Fロンスパ気味の展開、かつ後半が12,0-12,5-13,2とコーナー中間地点で最速ラップを踏んでいて、ここで外々から押し上げるのは辛かったですし、基本的にはタイトな立ち回りを出来た馬が上位に来ています。
 当然序盤の追走力もそれなりに問われた上で、息の入りにくいロンスパ戦での高いレベルの持久力が必要となった一戦であり、斤量が重い組がこぞって崩れたのもわからないではない、というイメージですね。

 勝ったメイショウスミトモは、いわゆる1900m以上のステイヤーコースに出走するのがはじめてでしたが、これが綺麗に嵌った部分はあると思います。
 元々追走面で1700mとかでは厳しい、1800mでも流れ切ると辛い感じで、前半ゆったり入れれば長くいい脚を使えるので、このコースには最適な性能の持ち主ではあり、またここは内枠で器用に立ち回ってこられたのがファインプレーでした。

 コーナー最速である程度スペースが出来る中で、上手く馬群を縫いつつも基本的にはコーナーをインベタで回り、直線入り口で外に出す理想的な競馬が出来ていて、前がかなり消耗していく中での最後の1Fで、この馬だけほぼ減速せず差し込んでこられたのはそのあたりが抜群に噛み合ったからと見ています。
 スパッと一瞬の切れがあるタイプではないので、府中2100mよりはロンスパになりやすいこのコースがベストだったと思いますし、ここまで綺麗に噛み合うレースも中々ないとは思いますが、それでも所与の条件の中で、馬自身は本来の素晴らしい持久力を発揮してくれたと思いますね。
 今日の内容からしても、コーナーの機動力は中々良かったですし、川崎記念とか出られたら面白いかもしれません。

 2着のドラゴンバローズは強い競馬でした。
 この馬は結構ステイヤーコースを走っていて、ペースが緩んだ時ほど崩れている傾向にあったので、その弱点を補うような番手からの強気の競馬で、道中も前をつついて緩みを極力減らせたのが好走の大きな要因だと思います。今年の和田Jは本当に乗れていますね。
 メイショウスミトモは正直かなり嵌った感はあり、この展開で終始一列外だったとはいえ、ピオネロを退けているのは立派で、斤量面の恩恵を踏まえても重賞クラスに目途を立てる一戦だったと言えそうです。

 この馬の場合ステイヤーコースに拘る必要はあまりなく、1800mのタフな競馬でも対応できますので、その意味で今後の目標に出来るレースはメイショウスミトモに比べれば多いと思います。
 今後もこのコンビでしっかり強気のレースを作り、重賞路線を盛り上げて欲しいですね。

 3着のピオネロも、芝スタートが良かった分もあるとは思いますが、久々に先行して粘りこむこの馬らしい競馬が出来たと思います。
 この馬の場合は後半の機動力、一足の鋭さが武器になる馬ですので、ここまでロンスパ気味で最速地点も早い展開はそこまで噛み合ってはおらず、それでもスローにコントロールされるよりは良かったのだろうと考えています。
 結果的に枠が逆なら、というところもありましたし、やはり先行してこそ、とは思うので、それが噛み合う条件で、かつペースが上がりそうなところは常に積極的に狙っていける馬だと思います。

 4着トップディーヴォも、今は充実期なのかな、と思わせるいい競馬でした。
 どうしても枠なりに外々にはなってしまいますし、コーナー最速地点でもろに押し上げる形を取っていましたので、流石に最後甘くなるのは仕方ありません。
 ただこの距離、外枠で一定の結果を出せたのは収穫ですし、本来はインを立ち回って要所の機動力で勝負出来るタイプですので、距離にもめどをつけて今後の選択の幅は広がりましたね。仕掛けの早い展開はやはり強いので、今後も展開待ちの部分はあれ楽しみです。

 5着スリータイタンは、スタートからインに入れて一か八か、という競馬でしたが、結果的に位置取りが後ろになり過ぎました。
 上がり最速できていますし、インからコーナーもなるべくタイトに回ってきていい展開ではありましたが、結果的に最初から内枠である程度ポジションが取れる馬に比べると立ち回りで後手後手に回ってしまったという印象です。
 常に堅実に差し込んできますし、もう少し噛み合えばどこかで圏内にズドン、と飛び込んできてもおかしくないと思いますので、長い距離のレースでは常に一定の警戒を置いておいても悪くはないと思います。

 7着マスクゾロは、結果的にペースを落とそうと目論んだところでせっつかれて、びっしりマークされる展開は厳しかったですね。
 それならあのままスピードを落とさず入っていった方が良かったですし、去年に比べると斤量面もあり走りに余裕がなかったように感じます。
 馬場も去年よりは重かったので、そのあたりもあるかもしれません。実際強い競馬が出来ているのは重馬場とか時計の速い馬場なんですよね。盛岡の2000mとかいかにも合いそうなイメージがあります。
 この馬も変に息を入れずに一気に飛ばす競馬で、1800mでもスピード負けしない点は強みですので、ここはドラゴンバローズに上手く支配されましたし、テン乗りの難しさ、斤量も含めて総合的に敗因を見ておきたいところです。
 
 8着ミツバは、序盤の位置取りはあんなものと思いますが、道中からいかにも手応えが悪かったですね。
 斤量面もあったでしょうし、それ以上にやや状態にも疑問符が付いたのかもしれません。流石に普段からあそこまで反応できない馬ではないわけで、ペースも淡々と流れて詰めるのは難しかったですが、一瞬もオッと思わせるところがなかったですからね。
 最後は前が消耗するところで多少詰めてはきましたけれど、この距離でもスピード負けしたような格好になったのは残念でした。

 11着モルトベーネは、この馬にとってはこれはハイペースだった、という視座がひとつと、後ははっきりロンスパでスタミナを問われて甘くなった面を合わせて見ておきたいです。
 この枠で不用意に下げることも出来ないでしょうから、あの位置はまず妥当だったと思いますし、コーナーもそこまでロスなく回ってきて、それでも直線全く反応できなかったので、こういう消耗戦の舞台では良さが出ないと、名古屋大賞典に続きはっきり見せたと感じます。

 ただ基本的にペースが緩みやすいステイヤーコース向きの馬だとは思うんですよね。
 今日は斤量や休み明けもありましたし、アンタレスSが予想以上に強かったところからも顕著な叩き良化型かもしれません。もう一戦様子を見たいところです。
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2017 日本テレビ盃 レース回顧

 最後の直線は中央勢4頭の熾烈な叩き合いになり、非常に見応えのあった今年の日本テレビ盃は、外からアポロケンタッキーが力強く抜け出して、去年末の東京大賞典以来の勝利を限り、秋のGⅠ戦線に弾みをつけました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場状態は昨日から変化なく稍重で、かなり時計は掛かる状態のままでしたね。
 全体時計としてはほぼ予想の範疇で決まった形ですし、その中での細かな展開の綾がレース結果を左右しているとは思います。

 隊列もほぼ予想通りに、やや一歩目が良くなかったモーニンがリカバーして先頭、それを見る形で番手外にケイティブレイブ、それをマークするようにアポロケンタッキーと、中央勢の外枠3騎がレースを主導していきます。
 サウンドトゥルーは出足こそいつも通り良くなく、1コーナーは6番手くらいでしたが、そこからじわじわペースを上げて、向こう正面で一気に先頭列に取りついていく形となり、後続は大きく離れて4頭の勝負となっていきました。

 ラップは35,9(11,97)-39,6(13,20)-37,4(12,47)=1,52,9(12,54)という推移でした。
 序盤こそそこそこ流れたものの、去年以上に明確に中緩みがあり、そこで楽にサウンドトゥルーが取りついていて、そこから後半3Fで再加速しての直線勝負、という様相で、ラストは12,4-12,5-12,5とほとんど落としていません。
 極端ではないものの後半勝負所での機動力と、長く脚を使う持続力は問われているのかな、というイメージで、緩みが顕著な分明確なスタミナ勝負にはならず、追走面でもそこまで強く問われなかった一戦と見て良さそうです。

 勝ったアポロケンタッキーは、中盤でしっかり息が入る展開になってくれたのは間違いなくプラスだったと思います。
 コーナーからも緩く入っていったことで、外目の位置取りの不利もありませんでしたし、しっかり反応してこの馬の持ち味である一瞬の切れの良さと、そこからの粘り腰を遺憾なく発揮してきたかな、と感じました。

 1800mですと流れ切ってしまうと忙しい、というのは間違いないと思うので、今後2000mが舞台になっていくのは総合的にはプラスでしょうし、ポジションではなくペースバランスを意識して、この馬のリズムで後半要素を引き出す意識が持てれば、群雄割拠になりつつある今のメンバー構成ならチャンスは充分にあるでしょう。
 ドバイ明けの帝王賞からしっかり立て直してきたと思いますし、まだ若い馬ですから今後も楽しみですね。

 2着のサウンドトゥルーも、まずまずいい競馬だったと思います。
 序盤ついていけないのはいつもの事ですのでいいとして、去年の轍を踏まないように中盤で緩んだところで合わせずに、一気に前に取りついていったのは正解で、そこは去年に比べてメンバーが断然楽だった幸運もあります。
 とにかくこの馬は中盤以降長く一定のペースで速い脚を続けてこられる馬ですので、正直に言えばコーナーでインに拘らずアポロの外から勝負に行っても良かったのでは?と思わなくもなかったですが、ケイティの後ろを通して直線外、そこからはこの馬らしいしぶとい差し脚を見せてくれたと思います。
 
 やや外差し馬場の恩恵もあったとはいえ、まだまだ実力は健在なのを見せましたし、また一貫したタフな流れでなくとも結果を出せたのは好材料だと思います。
 ただ基本はもっとラストに消耗する展開で外から差し込みたいタイプですし、このレースの結果を受けて本番俄然流れてくれるようなら、改めて漁夫の利を得るチャンスも到来するかな、という印象はありますね。少なくとも力は全く衰えていないでしょう。

 3着ケイティブレイブに関しては、懸念したレースの流れに合わせる形で進めたことで、勝負に置ける後半要素の比率を強くしたことが結果的に敗因かな、とは思っています。
 最序盤にモーニンの出方を窺ったのはあれでいいと思いますが、向こう正面で一気にモーニンが緩めてきたところで、それに付き合わず先頭を奪うくらいのプランは欲しかったですし、この馬の持ち味を最大限に生かしきれない中緩み展開にさせてしまいました。

 勿論こういう競馬でもこの馬の好走スポットは広いので一定対応してはきますが、どうしても全馬勝負所で余力がある、という形からの後半勝負では優位に立てる要素はあまりなく、今日は58kgもあったとはいえ形の上では完敗ですので、改めてこれを踏まえてどういうレースを組み立てるべきか、というのを意識して欲しいです。
 帝王賞が差す競馬で味が出たのも、結局は息の入らないタフなペースだったからではあり、個人的にはやっぱり前目で常に厳しい流れを作ってこその馬、と見たいですし、次は本領発揮を期待したいですね。

 4着モーニンは、首尾よく去年と似たような形に持ち込めましたが、それでも最後は甘くなる以上、距離的な面でギリギリなのは間違いないんだろうと改めて感じます。
 この馬がいい勝負をするためのプランとしての中緩みは当然の帰着ですので、今日の戸崎Jの逃げ方は悪くなかったと思いますし、ただ強いて言えば去年よりマーク自体は厳しく、またコーナーで馬場がより重かった分鋭く反応できなかったかな、という感じはありました。

 上位がどちらかと言えば重厚な、1800mよりは2000mの方が得意、って馬ばかりでしたし、この馬の持ち味である加速力・機動面をもう少し顕著に出していければ面白かったかな?とも思いますが、まぁ総体的には力負け、という見立てでいいと思います。
 状態面と精神面は大分安定してきていると思いますし、中央のコースの方が距離の誤魔化しは効くと思うので、主導権を上手く握れそうなところでどこまでやれるか改めて見てみたいですね。短い距離ですとやっぱり揉まれない外枠必須にはなるのでしょうが。
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2017 9月第4週新馬戦など レース回顧(日曜編)

**★9/24(日) 中山4R ダート1200m戦**

 雨の影響で渋りの残る脚抜きのいい重馬場での一戦となったこのレースは、人気の一角デンコウケンジャが、好位外の追走から楽々抜け出し圧勝しました。

 この日のダート自体はそこそこに時計は出ていて、最終の500万下1200mで33,6-37,6=1,11,2という時計が出ていましたが、1Rの2歳未勝利戦は34,6-38,7=1,13,3という内容でしたので、そこから比較するとこのレースの1,11,7は破格、ですね。
 勝ち馬が非常に強いのは勿論、掲示板に乗った馬でも上記未勝利の時計は楽々クリアしており、中々の逸材揃いだったかもしれない、という所です。

 展開はデンコウケンジャが外から好スタートを決めますが、内から競り合うようにして上がってきたプリンシアブラスカ・ダッシュトマホーク・3着タガノアム・2着リードザウインドなどに譲って好位の外でじっくりと構えます。
 ラップは34,0(11,33)-37,7 (12,57)=1,11,7(11,95)という推移で、中山ダート1200mらしい超ハイペースですが、ラスト3Fは12,5-12,7-12,5ともう一度加速していて、勝ち馬だけがこのペースでもバテきらずにフラットに突き抜けてきた、という事になります。
 内容的には淡泊に追走力と持久力を強く問われていますが、それに限っても相当にレベルは高かったと言えそうです。

 特に勝ったデンコウケンジャは素晴らしく安定感のある競馬で、コーナーで外々を回しつつも楽々な手応えで進出、直線もあっさり抜け出して最後は流す余裕がありました。
 勿論このコースは外枠有利ですし、内目でゴリゴリ競り合いに巻き込まれたり、前に馬を置いてどうかなど課題はあるでしょうが、純粋な素材ならもう古馬500万下と遜色ない、と言って良さそうですね。
 血統的に距離延長やペースダウンがプラスに働くかは微妙なところですが、とりあえずは1400mあたりから試して欲しいですね。実に先が楽しみな勝ち方でした。

 2着のリードザウインドも充分強い競馬だと思うのですが、勝ち馬の凄みの前に霞んでしまいましたね。
 この馬の位置ですとラストは完全な消耗戦、13秒台に入っているかな?くらいなので、流石に大書出来るほどの素材感ではないのですが、それでもこの馬もレースセンスはありそうですし、勝ち馬より馬群の中で捌くのに苦労した部分もありますので、そこの経験値という意味ではプラスに出ると思います。
 キンシャサノキセキの仔ですので、ここまで前傾戦があまり良くなかった可能性もありますし、後半要素が比較的問われやすい府中の1300m・1400mあたりなら楽に勝ち上がってきそうです。

**★9/24(日) 中山5R 芝2000m戦**

 このレースはダイワスカーレットの仔のダイワメモリーが、馬群を割って伸びてくる味のある競馬で勝ち切りました。 
 芝自体は標準的な高速馬場であり、その中で芙蓉Sあたりと比較すれば流石に勝ち時計・上がり時計ともに目立つところはない一戦ですが、ダイワメモリーは確かに面白い勝ち方だったと思います。

 レース展開は、内から一番人気のマイネルプリンチペが逃げてスローペースに持ち込み、それをジャストアキッス、マノン、ニコラオスあたりが追いかけて先団を形成します。
 ダイワメモリーは大外でもあり、ややスタートでも立ち遅れ加減で、リカバーしながら中団の外くらいを追走、最後3着に粘り込んだエピキュリアンはスタートから行き脚が悪く後方、道中ペースの遅いところで一気に捲って先頭列に並びかける積極的な競馬でした。

 ラップは39,6(13,20)-51,9(12,97)-34,6(11,53)=2,06,1(12,61)という推移でした。
 いくら2000mの新馬戦とはいえ、序盤のペースはあまりにも遅く、中盤もかなりゆったりで仕掛けどころも遅い、ラスト3F勝負の色合いが強いレースです。
 そこも11,6-11,5-11,5とラスト1F最速でレース全体としても出し切っていない流れの中で、立ち回りの巧さと切れ味が問われたのかな、というイメージです。

 ダイワメモリーは外枠から上手く道中で内目に潜り込んでロスを抑え、コーナーから直線ではやや前が壁になって窮屈さはあったものの、上手く内外にハンドリングしながら馬群を縫って進出、最後は逃げ込みを図る2着馬を鋭く捉え切りました。
 残り200mで2馬身くらいはあったので、この馬のラップは11,6-11,5-11,1と明確にラストの坂地点最速で、しっかり勢いをつけ乍ら坂で加速する余力を持てたのは中々に面白い競馬ですね。
 勿論レースレベル自体は微妙な気はしますし、追走面もほぼ問われない淡泊なところはありますが、ノヴェリストにダスカ、という血統である程度平均的なスピードが問われてもやれそうなイメージは持てますし、ここで叩かれて素軽さが増してくれば、と思います。

 2着馬は逆に、このペースでラストあのラップしか出せないあたりでちょっと足りない感じもありますし、ポジショニングに拙さを見せて、外々を回す形になった3、4着馬に伸びしろがあれば逆転を許すかも?というイメージでしょうか。

**★9/24(日) 阪神2R 芝1400m未勝利戦**

 ここはロードカナロア産駒のダノンスマッシュが、軽快に逃げるラブカンプーを楽に捉えて勝ち切りました。
 ラップが35,1-11,8-35,0と綺麗な平均ペースの中、新馬はほとんど逃げる形から粘り込むも惜敗だったダノンスマッシュですが、ここは福永Jにチェンジしてじっくり構える競馬にシフト、直線11,8-11,4-11,8と前が出し抜く競馬の中で最速地点・ラスト1F共に2着馬を凌ぐ鋭さを見せてくれて、後半要素を生かす形で進境を見せたと思います。

 新馬を見てもハイペース適正はそこそこあるようですが、カナロアの仔だけにやはり前半ゆったり、の方が強かったですね。
 勝ち時計も1,21,9と22秒を切ってきて、前日のききょうSとの比較でも互角に近いですし、ラブカンプーも中々の強敵なので、これを楽に差し切ったのは評価していいと思います。
 好走スポットの幅は広く、次も楽しみな馬です。

 そしてラブカンプーはどうにも勝ち切れません。
 まぁここも綺麗な平均に支配して出し抜く理想的な競馬は出来ていて、時計的にもバーニングぺスカくらい走っているから順当、と言えばそうなんでしょうかね。こちらもスプリント色が強い感はありますが、ぺスカよりはスポットが広そうなので、京都の1400mなら充分勝負になりそうです。

**★9/24(日) 阪神5R 芝2000m戦**

 このレースは、レース序盤から先行したドンアルゴスが、人気馬2頭の追撃を振り切ってデビュー勝ちを収めました。
 展開は、人気薄の2頭が先導する流れをドンアルゴスが3番手につけ、そこから少し離れて中団に2着のアルムフォルツァと3着レッドエクシードがいて、人気の一角トーセンブレイヴはその後ろ、という位置取りでした。

 ラップは37,6(12,53)-50,9(12,72)-34,3(11,43)=2,02,8(12,28)という推移で、まぁ超スローではありますが、新馬としてはまだほぼ13秒台を踏んでいないだけ流れた方で、その分仕掛けは遅めでラスト3Fは11,8-11,2-11,3、という推移になっています。
 ただ後ろの馬はコーナー中間の11,8の地点でかなり押し上げてきており、その点でかなり持続力は強く問われていて、結果的にそこで前で待てた勝ち馬との差が出たのかな、という印象です。

 ドンアルゴスはスタート良く楽に前に取りつけましたし、コーナーで2、3着馬が一気に捲ってきたのに対しても、加速面で見劣る事なく内から対応できていたのは中々のレースセンスだと思います。
 この馬自身は仕掛けを遅らせたことで実質2F戦ではあり、その分最後まで脚が持続した、と見ていいんですが、それも含めて素材面では総合力が高く、地味ですけどそこそこ面白い一頭だな、と感じましたね。

 2着のアルムフォルツァは、レッドエクシードより一枚内を通せた分はあれ、このメンバーでは屈指の持続力を見せてくれたと思います。
 ラスト2Fはほぼレースラップに近い走破のはずなので、おそらく11,2-11,1-11,3くらいの上がりで、切れ味の質で出色、というほどではないですが、外のレッドがラスト1Fでピタリと止まったのに対して、こちらはしぶとく脚を伸ばしていたのが印象的でした。
 このあたりはいかにもハーツらしいしぶとさでしたし、現状はこれくらいゆったり入れる距離向きですね。

 3着レッドエクシードも、捲ってくる時の勢いは断然、と思わせましたが、そこからが案外でしたね。
 一瞬の反応の良さは感じたものの、いかに外々を回したとはいえラスト1Fで前と2馬身つけられるのは印象があまり良くなく、距離的にももう少し短くてもいいのかな?と思わせました。
 どちらかと言えば瞬発力の質で勝負したいタイプに感じたので、もう少しポジショニングの面で良さが出てきて欲しいですし、レース全体のスピードが問われた方が噛み合いそうですね。

**★9/24(日) 阪神6R ダート1400m戦**

 こちらは新馬戦で強い、というかかなり早熟傾向が見えてきたスパイツタウン産駒(リエノテソーロは頑張って欲しいんですがね)のオペラグローブが、直線の火の出るような叩き合いを制して勝ち切りました。

 この日のダートは良ながらそこそこ時計は出ており、1Rの2歳未勝利が1,12,7、最終1000万下の1400m戦が1,23,4ですので、一貫消耗戦の中での1,26,6は特筆できるところは流石にないかな、という感触です。

 レース展開も、逃げたオペラグローブを好位にいたスーブレットがじわじわ追い詰め、後続は千切られる一方という淡泊な展開でした。
 ラップも35,7(11,9)-12,0-38,9(12,97)=1,26,6(12,37)と、ほぼ綺麗な一貫消耗戦で、ラストが13,9と相当掛かっているので、能力を出し切ってこれ、というところはあります。
 次はかなり変わり身がないと上で即通用、とはならないでしょうし、2着馬もレースセンスはいいので安定して上位にきそうですが、4着ブルベアブロッコリみたいに上がりでいい時計を出している馬が、2戦目でポジショニングを良くしてきたら危ういところはあるかもしれませんね。
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2017 9月第4週新馬戦など レース回顧(土曜編)

**★9/23(土) 中山5R 芝1600m戦**

 このレースでは、圧倒的な人気に推されたロードカナロア産駒のグランドピルエットが、人気に応えてセンスあふれる競馬で完勝しました。

 土曜の中山の馬場は、週中の雨の影響で終日稍重でした。
 メインのセプテンバーSが33,5-34,5=1,08,0で、流れればそこそこ時計が出る馬場ではありましたが、それでもマイル以上の距離では、日曜に比べて1秒くらいの馬場差を見込んでも良いと思います。

 スタートは相当にばらけましたが、その中から好ダッシュを決めたのが3着に逃げ粘ったキングドンドルマでした。
 それを外から4着マイネルオフショアが追いかけ、内からは5着のジュンパッションがポケットに潜り込んでいって、まずまずのスタートを決めたグランドピルエットはその二頭の間で少し挟まれるような感じもあり、無理せず一列下げて前の動きを見ながらのレースになります。
 
 出遅れた馬が非常に多かったので、その中ではあまり目立ちませんでしたが、地味に2着のクリッパーも出負けしていて、道中は中団のインくらいを追走、徐々に押し上げて、外目に持ち出していく人気のグランドピルエットの真後ろをマークするような格好になります。

 ラップは37,3(12,37)-24,2(12,1)-35,3(11,77)=1,36,8(12,10)という推移でした。
 序盤はゆったり入っていますが、比較的中盤が緩くなく、仕掛けどころも600-400m地点のコーナー中間から加速していて、新馬としては馬場も含めて結構タフな競馬になっていると思います。
 どちらかと言えば序盤のポジショニングが大切で、そこから長く脚を使える性能が問われており、マイルよりちょっと長い距離での適性を求められている感じもありますね。
 全体時計も馬場の割に優秀で、この上位陣はそこそこ強いと見ています。

 勝ったグランドピルエットは、その中でも1頭だけ余裕綽々、と言った磐石のレースぶりでしたね。
 スタートも良く、しかし行きたい馬を行かせてスッと下げて馬群の中できっちり折り合い、勝負所から外に持ち出してコーナーからスーッと加速、直線入り口から坂下で楽に抜け出して、最後はクリッパーに少し詰められるもののもはや勝負が決した後、という形でしたので、素材的にも最上位なのは間違いないと思います。
 最速地点の11,5のところでスパッと抜けてきたように瞬時の反応と切れ味が特に見所があり、ポジショニングの巧さも含めてマイル前後の距離で持ち味が存分に生きる競馬でした。

 血統的にカナロアの仔はトゥザフロンティアがああいう負け方をして、実際に距離が伸びてどうかはまだまだ未知数ですけれど、この馬は母の血統的にはもう少し持っても、とは思います。まあザレマ自身はマイラーだったので難しいところでもありますが。
 この日はかなり楽に勝った、という印象ですし、もう少し流れても対応してくると思うので、次のレースがとても楽しみですね。

 2着クリッパーも素材では引けを取らないと思いますが、ここは完成度の差、レースに入っての器用さが出たと見ています。
 スタートもイマイチで中団からを余儀なくされましたし、そこからグランドピルエットマークの形で押し上げていったのは良かったですけれど、最速地点でグランドピルエットにはあっさり離されてしまいました。
 ラスト200mでは逆に2馬身差を3/4馬身差まで詰めており、持続力ではこちらの方が、とも思わせましたが、どうあれ加速力と切れ味の面では、この距離この流れではあまり良さを感じなかったですね。

 なので結論的にはもう少し距離が欲しい、と感じましたし、府中の1800mか2000mで伸び伸び走らせて、どれくらい後半要素を高めてくるか、まず素材的には好勝負出来ると思いますが、伸びしろを期待したいところです。


**★9/23(土) 阪神3R 芝1800m未勝利戦**

 高速馬場状況の中、このレースではマイスターシャーレとムーンレイカーの一騎打ちになり、最後はしぶとくマイスターシャーレが追いすがるムーンレイカーを振り切って勝利を収めました。

 35,7-38,0-34,5という中緩みからの3F戦を、ともに中団から運んだ2頭は、直線で早々に抜け出してきます。
 レースラップが後半11,5-11,6-11,4ですが、残り200mでは完全に2頭が抜け出していたので、勝ち馬で11,1-11,1-11,4、2着馬が11,1-10,9-11,4という感じでしょうか。一瞬の切れ味はムーンの方に分があったと思いますが、持続力では互角か、ややマイスターシャーレに軍配が上がったという形です。

 マイスターシャーレは例の札幌開催の目玉だったルーカスの新馬戦の3着馬でもあり、また明日の記事で取り上げる中山の未勝利でも5着ゴーフォザサミットが強い競馬で勝ち上がっています。
 4着馬も既に勝ち上がっていて、やはりあのレースはレベルが高かったのだなぁと改めて感じると共に、この馬自身は前走こそ重い馬場で逃げて粘る形でしたが、今回は馬群の中でじっくり脚を溜めて、後半要素を飛躍的に伸ばしてきたと思えます。
 全体時計もこの時期の2歳馬としては優秀ですし、先々まで楽しめる素材だと思いますね。

 ムーンレイカーも敗れはしたものの、新馬にしろここにしろ相手がちょっと悪かった、というだけで、間違いなく強い競馬は出来ていますね。
 新馬の時は内回りの2F瞬発力特化戦のようなところがあり、そこでコーナー出口まで前が壁で勢いをつけられなかった分、外から捲ってきたシルヴァンシャーに切れ負けした、というイメージでしたが、今回しっかり出し切る形になってより良さが出てきたと思います。
 この馬の上がり33,4は当日の芝レースの中で断然最速でしたし、今後も広いコースで足を使い切る形ならすぐに勝ち上がれるでしょう。

**★9/23(土) 阪神5R 芝1200m戦**

 こちらはアドマイヤマックス産駒のトンボイが好スタートから楽々逃げ切りました。
 ただこのレースは、いくら新馬とはいえスプリント戦にあるまじきスローペースで、ラップが36,8(12,27)-34,1(11,37)=1,10,9(11,82)となっています。
 かつ後半も11,5-11,3-11,3と仕掛けが遅く、ラストまで失速しない単調な展開であり、その中での逃げ切りはそれはそうだろう、という感じですね。

 2着馬以降も好位にいた馬で占められていて、この圧倒的不利な展開の中で後ろから目立つ脚を使って、という馬もいなかったので、内容としては凡戦だと思います。

 ただトンボイ自身のレースセンスはかなり良さそうで、スタートも上手いですし、追走面で問題がなければ上でもそこそこやれる素地はありそうには感じました。
 どうあれこのレースだけでは全く資質が掴み切れない、というところはありますし、常識的に流れたところで良さが出てくる馬もそこそこいるでしょうが、素材面で光るものを感じる馬は見当たらなかったので軽く締めさせて頂きます。
 
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2017 ききょうS・芙蓉S レース回顧

**★ききょうS**

 阪神1400mで行われた2歳のOPクラスの一戦は、圧倒的な人気に推されたタワーオブロンドンが後方から豪快に突き抜けて圧勝しました。レースを振り返っていきましょう。

 阪神の馬場は、土日通じて基本的に良好な高速馬場を保っていたと思います。
 2歳の未勝利戦が1,35,9に1,48,2とまずまずの時計で、古馬1000万下の1800m戦が1,46,4でしたから、このレースの1,21,7は可もなく不可もなく、かなり流れたことを加味すればちょっと時計面では微妙かも?とは見ています。

 展開は、綺麗に一線に揃ったスタートから、まず内のバーニングぺスカが先頭を窺っていきます。
 それを外から気合をつけて、離れたところからジュンドリームが交わしていって、後ろを大きく引き離す逃げを打ち、バーニングぺスカが二番手におさまります。
 その後ろにアイアンクローとフランシスコダイゴがつけ、丁度中団にリンガラポップスとイイコトズクシ、その後ろにスーサンドンとアントルシャがいて、大外枠からまずまずのスタートだったタワーオブロンドンは一度下げ、内に潜って後方二番手、というレースプランになりました。
 最後方に大きく離されてテイエムスグレモン、全体的にハイペースらしい縦長の展開になりましたね。

 ラップは33,5(11,17)-11,7-36,5(12,17)=1,21,7(11,67)という推移でした。
 ジュンドリームが注文を付けて一気にペースを引き上げたことで、阪神内回り1400mでは時々起こる超のつくハイペースになりました。
 すこし離れたバーニングぺスカの位置でも前傾2秒近いハイペースですし、丁度タワーオブロンドンの位置でややハイ寄りの平均、という感じで、兎にも角にも追走力が大きく問われ、そこからの持久力も求められたレースだったと思います。

 その中で、勝ったタワーオブロンドンは強い競馬ではあったと思います。
 スタートは良かったものの無理せず馬任せで後ろから、とはいかにもルメールJらしい静かな入りで、道中は上手くインに潜ってコースロスを防ぎつつ、徐々に外に持ち出していくあたりも巧みでしたね。

 他の馬がこの激流の中で促しつつの追走になる中、この馬はほぼ馬任せでスムーズに流れに乗っていましたし、勝負所からの進出も実にスムーズでした。
 レースラップとこの馬の動きからして、後半4Fはずっと11,7~11,8くらいの脚を続けてきたのではないか、という見立てで、追走面ではかなりの裏付けになるのと、そこから持続力水準に入らない、高速持久力戦に対する高い適性を見せてきたのではないかと思います。

 新馬戦が中緩みからの2F瞬発力特化戦で完勝し、クローバー賞はややスローで中盤息の入らない流れで外から押し上げる競馬で惜敗、このあたりからしても、この馬はスローで入った時の後半要素にはちょっと限界があるタイプかもしれません。
 勿論ダブルシャープは札幌2歳Sでもあの無茶な競馬で3着ですから、相手が悪かったとも言えますが、このレースを見る限りは前半要素が問われてよりしぶとさが生きてきた、というイメージは持てますね。

 ただ時計面での1,21,7はそこまで評価出来なくて、馬場状態が違うとはいえ、夏前のヴァイザーの新馬戦でも超ハイで1,21,9が出ていますし、あの馬がここにいれば際どい勝負にはなっていたんじゃないか、と思います。
 ともあれ、これで少なくとも3歳春までのマイルGⅠレベルまでの追走力の担保は確実、と思わせますし、後はもっと高速馬場、時計の速い決着になった時に、もう一段加速するギアがあるかどうか、それ次第ではマイル戦線の主役に躍り出てもおかしくはないと感じます。
 ただ新馬とクローバー賞の印象からは、最高速を早めに踏んでしまうと甘くなる印象はあるので、阪神外回りの朝日杯は適性的に微妙かもしれませんね。

 2着のバーニングぺスカは、あらためてハイペース適正の高さを示した、と言えそうです。
 結局この流れで、斤量が重いとはいえアイアンクローは崩れていて、あのレースは追走力特化戦の割に色々と序列が謎だったんですよね。
 この馬やヴァイザーがもっとスムーズだったらその辺は逆転していたのだろうと改めて思いましたし、しかしこの馬自身に限って言えば、1400mでもちょっと長い純正スプリンターなのかな、と感じる走りでした。

 勿論自身の位置で34,0程度のラップを踏んでも崩れないところは見事ですが、流石に最後もう一段加速する余力はなかったですし、小倉2歳でも後ろから後半要素であまり光るところがありませんでした。
 それを踏まえると現状は一貫ペースの短距離戦こそが、と思うので、次に500万の1400m戦とか、マイル戦に出てきて人気になるなら疑って見てもいいタイプだと思います。
 逆に京都1200mなら、まず格好はつけてくると思いますね。

 3着イイコトズクシも、小倉2歳Sに続いてしぶとく伸びて3着を確保してきましたが、タワーは勿論バーニングにも完敗、という内容ですので強気にはなれません。
 少なくとも新馬勝ちは自身後傾で入ってじわっと伸びた格好ですし、この馬に関しては距離延長に活路は見出せる余地はあるかもですが、スケール感はあまりないので堅実だけど勝ち負けには加われない、というタイプになりそうなイメージですね。
 前傾戦への適性もそこまで高くない、と見受けられますので、ペースが落ち着きやすい京都になってどこまでやれるか、と思います。

 5着アイアンクローは、小倉2歳Sで成長を見せたか、と思ったのですが、あのレースは相手関係や展開に恵まれた面が大きくて、基本的にはこちらもハイペース向きではない、というのを露呈したのだと思います。
 勿論ローテの厳しさや斤量面など擁護する余地はありますし、この馬も一度マイルくらいでゆったりした流れを前受して、新馬で見せた加速力と持続力を生かしてどこまでやれるか試して欲しいですね。


**★芙蓉S**

 近年中山2000m戦に生まれ変わり、冬のホープフルSに向けての前哨戦のひとつに位置付けられた芙蓉Sは、新潟の新馬で強い勝ち方を見せたサンリヴァルが、札幌2歳S2着のファストアプローチの追撃を振り切りデビュー2連勝を飾りました。レースを振り返っていきましょう。

 日曜日の中山の馬場は、極端なスローも多かったのでわかりにくいですが、ほぼ水準的な高速馬場だったと考えていいと思います。
 10Rの1000万下マイル戦が47,2-46,4=1,33,6ですので、流れればそれなりに、スローなら切れ味も問われるという印象でした。
 前日までの渋りの影響のイメージもあるのか、騎手の馬場意識もやや下がり目でしたので、オールカマーは流石にどうか、と思うにしても、2歳戦のここが超スローになるのはまあ必定に近いところですね。

 レース展開は、内から好スタートを決めたコスモイグナーツがハナを主張します。
 ファストアプローチも好スタートを決めて先行列に加わっていきますが、サンリヴァルも枠の差を利して半馬身ほどの遅れを徐々に挽回ねコーナーワークの中でファストアプローチより前に出て2番手を確保し、ファストアプローチが3番手でレースが進んでいきます。
 人気のトゥザフロンティアはまずまずのスタートから枠なりに中団外、それに並ぶ位置にスターフィールドがいて、道中は出入りもなく淡々とした流れになりました。

 ラップは38,0(12,67)-51,3(12,82)-34,3(11,43)=2,03,6(12,36)という推移で、序盤も中盤も緩い後半勝負の様相が強い一戦です。
 ハーフで見ると63,9-59,7と4秒以上のスローですが、後半のラップが12,9-12,5-11,7-11,1-11,5と綺麗な階段加速になっていて、その時点でのポジション差を一気に後半に塗り替えるのは難しい展開でもありました。

 2番手にいたサンリヴァルが残り800mあたりからジワリと前に取りついていますので、後続勢はより早く動き出しを問われる格好にはなっていますし、その上でコーナー地点で11,7-11,1とそこそこ速いラップを踏んでいて、ここでの横の立ち回りもそれなりに影響したはずです。
 大枠としては段階加速からの直線入り口最速の瞬発力勝負であり、かなりの器用さが問われていて、かつ外々を回した馬は早い段階で持続力を問われて辛くなるという、いかにも中山マイスターの田辺Jが主導した戦略的なラップ構成ではあると思いますね。

 勝ったサンリヴァルは、当然そのトリッキーな流れの中で、しっかり器用に段階加速していくセンスと、そして直線での切れ味・持続力を新馬に続いて高いレベルで見せてきたと言えそうです。
 ファストアプローチとは1kg差がありましたし、向こうを1頭分とはいえ外に回させての競馬で、上手くアドバンテージを作っていたとは思うので、この流れの中での力差はほぼ互角に感じますが、それでもこのレースセンスの高さは評価出来ます。
 ラストもしっかり追い出しに俊敏に反応できていましたし、ポジショニングもまずまず上手ですので、後半勝負では簡単に崩れない強さを感じました。

 ただ勿論、新馬もこのレースも追走面ではほとんど高いレベルのものは問われておらず、流れた時にどこまで対応できるか、というのは未知数になります。
 ルーラーシップの仔は、平均的に見て後傾型の方が多く、かつそこからじわじわと段階的に脚を使ってくるのが得意、という馬が多いイメージですので、今回はレース構造としてもそこに上手く当て嵌まっていて、いい馬だとは思いますが違った展開でこの器用さが引き出せるかはあまり楽観視しないほうがいいかもしれません。
 次は府中の1800m戦か、京都2歳Sあたりがターゲットになってくるのかなと思いますが、どちらにせよ楽しみはある馬ですね。

 2着ファストアプローチも、札幌2歳Sであれだけいい走りをした後にここに使ってくるのは意外でしたが、藤沢厩舎でもありますから、よほど調子がいいのでしょうね。
 ここはレースの流れに乗ってしっかり走れていましたし、最後も食らいついてはいましたが、本質的にはこういう後半の切れ味勝負向きではないかもしれません。

 新馬から距離延長でポジショニングが良くなり、それに伴って成績も安定してきていますが、未勝利勝ちの時は結構なハイペースを中団で追走して突き抜ける競馬も出来ており、追走力そのものは結構持っていると思っています。
 なのでこの時期の中山よりは、年末の重くなった中山の方がチャンスは大きそうですし、去年の様に一貫して波のない持久力戦になれば、GⅠ昇格初年度のホープフルSでも面白い存在になってきそうです。

 3着スターフィールドもそつのない競馬で、コーナーでもインを通してしっかり走れていますが、このレースに関してはポジショニング野差がそのまま響きましたし、それを覆すほどのスケール感はなかったという所でしょう。
 距離はこのくらいあったほうが走りやすそうですし、最速地点での反応自体は悪くなかったので、府中2000mの百日草特別あたりでおもしろさはありそうです。

 4着トゥザフロンティアに関しては、前走がああいう荒削りな競馬で、まずこの日はスムーズに走る、という部分も課題でしたでしょうし、其の点は進展があったと思います。
 道中も折り合っていましたし、変に仕掛けてから口向きが悪くなるところも感じなかったのでそこはいいですが、レース自体は位置取りの差、外を回された分のロスが諸に出てしまいましたね。

 新馬でも最速地点の加速でもたつくところはあり、この日の段階加速の流れの中で、ずっと促しっぱなしだったのも、その辺の器用さの足りなさを伺わせますし、そうやって早めに仕掛けたことで、最速地点のコーナーで外々を押し上げる辛い形になってしまいました。
 その分だけ最後の持続力が引きだし切れなかったとは思いますし、少なくとも3着馬とは通したところの差が出たと見ています。

 ロードカナロア産駒で、距離自体は乗り方次第でなんとかなる範疇とは思うのですが、この馬の場合はインから立ち回れる器用さ、みたいなのはなさそうですし、難しさはありそうです。
 むしろもっと淡々と流れて、要所で加速を問われにくい展開の方が合うと思いますが、そうなるとより本質的なスタミナも問われますし、最終的にはマイルあたりに収束していきそうでしょうか。
 追走力がどこまであるか、ポジションを上手く取れるようになるか、その辺で更なる進境が見られれば上でも、と思いますが、現状の完成度ですとまだ心許ない感じですね。
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2017 9月第3・4週海外GⅠなど レース回顧

**★英セントレジャー [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=LWaP7Y6D_E8)**

 先週紹介しそびれましたが、勝ち馬のカプリが凱旋門賞に出てくるかも、ということなので改めて取り上げておこうと思います。
 レース自体はオブライエン厩舎のペースメーカーがかなり序盤引き離して逃げて、カプリはそれを4~5番手の絶好位で追いかけ、残り400mで先行勢を飲み込み一気に先頭に立ちます。

 そこからは内のストラディバリウスもかなりしぶとく、更に外からクリスタルオーシャンも飛んできて激戦になりましたが、この馬の良さは愛ダービーでも見せたように、馬体が並べばそこからがしぶといところです。
 持ち前のスタミナを遺憾なく発揮して、ゴール前は逆に僅かながら引き離すようにゴール、着差は小さいものの力の差を感じさせる強いパフォーマンスだったと思います。

 近年は御存じの通り競馬発祥の地英国でも長距離路線の衰退は著しく、このレースの勝ち馬からそのまま凱旋門賞で勝負になるような馬はまず出てこない、というのが定説だったのですが、去年のレースを見ている限りあながち馬鹿には出来ないな、と感じます。
 というのも、皆様の記憶にもまだ鮮烈であるように、去年の凱旋門賞は超ハイペースで展開し、オブライエン厩舎のワンツースリーという衝撃決着でしたが、その一角を担ったのが、この距離ではいかにも足りない、と思われていたオーダーオブセントジョージだったからです。

 この辺は凱旋門展望記事でももう少し詳しく触れるつもりですが、今年もスタミナに長けていて、かつ先行力のある馬を何頭も配して、厳しいタフな流れの中にイネイブルを巻き込んで揉み潰してしまおう、という戦略性が見え隠れしていますし、そういうレースが構成されたときにこの馬のスタミナ、勝負根性は侮れない武器になるかもしれません。

 愛ダービーでは、凱旋門賞回避を決めたクラックスマンを撃破していますが、あの時はまだクラックスマンが本領を発揮出来る逃げ先行策に開眼していなかったのもあり、素材的にはあちらの方が少し上かな、とは思っています。
 それでもこのレースの巧さが武器になれば、と思いますし、誰が乗って、どういう戦略を用いてくるのか、非常に楽しみが膨らみますね。

**★ペンシルヴァニアダービー [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=-drSOh9tD7w)**

 今年からGⅠに昇格したようですが、一昨年の勝ち馬がフロステッド、去年がコレクトとガンランナーのワンツーという事で、GⅠにふさわしいメンバーが出揃う、3歳世代のBCに向けての最終ステップの位置づけになってきていますね。

 そして今年は、トラヴァースSでまたしてもバファート厩舎から彗星のように出現した新生・ウェストコーストが、ハイペースの流れをものともせずに直線で楽々突き放し圧勝してみせました。
 スタートをしっかり決めたウェストコーストは楽に番手外をキープし、そして向こう正面で逃げ馬がペースを落とそうとするのを許さず、すかさず前をつついて一貫したタフな展開を主導していきます。

 それをマークするように人気のタイムラインやアイリッシュウォークライなどがつけていましたが、どちらも前を追いかけ過ぎたのかコーナーで一杯になってしまい、直線では早めに抜け出したウェストコーストの独壇場になります。
 最後に捲り気味に追い込んできたトラヴァースS3着馬のイラップに7馬身以上の差をつける大楽勝でした。

 このレースはハンデ戦でもあり、ウェストコーストは他馬に対して2~7ポンド重い負担重量で走ってもいましたので、その意味でも内容には凄みがありますし、間違いなくBCクラシックで、アロゲートとコレクテッドに続くバファート厩舎第三の矢となってくるでしょう。
 BCクラシックにはガンランナーという強敵もいますし、或いはコレクテッドとウェストコーストという非常に先行力の高い2頭でガンランナーを厳しい流れに巻き込んで、それをアロゲートが差してくる、なんていう厩舎戦術も有り得るかもしれませんね。

 今年のアメリカ3歳牡馬世代は、去年にも増してクラシック路線を走った馬が低調ですが、それでもこうしてきちんと新星が出てくるのがアメリカと言う国の競馬スケール・懐の深さに感じますね。本当に先が楽しみな1頭です。

**★コティリオンS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=X8ZNEgs8FCg)**

 こちらは去年ソングバードが楽勝した、3歳牝馬限定のGⅠになります。BCディスタフの前哨戦、という趣ですね。
 理由までは調べていないのでわかりませんが、ニューヨーク三冠の最終戦アラバマSを回避していたアベルタスマンが登場して、圧倒的な人気に推されていましたが、ここでは斤量差もあり、アラバマSで2着だったイッティズウェルに苦杯を喫する事となりました。

 レースでは3着に入ったロックダウンが逃げて、それをイッティズウェルが番手で追いかける形になり、こちらも極端ではないながら淡々と速い流れを刻んでいきます。
 いつもながらにスタートダッシュは鈍く後方からになったアベルタスマンは、いつものように向こう正面から進出を開始、インをスルスルと縫うように上がってきて3コーナーまでにほぼ先頭列に取りついてきます。
 そのまま直線に入り、前の2頭が叩き合いを演じる中で、それを少し下がった位置でじっと見ていたイッティズウェルが外から一気に伸びて、並ぶ間もなく交わし去っての初GⅠ制覇となりました。

 レースラップ的な観点からすると、向こう正面の地点ではまだハロン12を切るくらいの速い流れが形成されており、そこから3~4コーナーで一気にハロン12,7くらいにまで落ち込んでいます。
 基本的にはアメリカらしい一貫した減速戦、という様相の中で、すっかり道中の捲りが板についてきたアベルタスマンではありますが、この日に関してはまだペースが厳しい地点で一気に足を使ってしまったため、最後の粘り腰に少し影響したのかな、とは感じます。やはりこのあたりは、すんなり先行できる馬の方が楽、というのはありますからね。

 ただそういう展開の綾や、斤量差2ポンドを差し置いても、このレースではイッティズウェルには完敗でした。
 休み明けで次が大目標、という事もあるでしょうが、イッティズウェルにしてもアラバマSではイラートに5馬身差の完敗、CCAオークスでそのイラートはギリギリ撃破しているアベルタスマンとはいえ、このあたりの3歳牝馬路線の力関係はちょっと混沌としてきましたね。

 また当然ながら、路線が悉く整備されていることで、本番のディスタフまでに古馬と対決する馬が少なく、力関係の見極めも難しいところです。
 ソングバードこそ引退してしまったものの、ステラウインドやフォーエヴァーアンブライドルドは強敵ですし、アベルタスマン自身はどうしても脚質的な面での不利を抱えていますから、そのあたりも含めて本番がどうなるか、こちらも非常に楽しみですね。

**★ベレスフォードS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=wrpcrVZNhzk)**

 こちらはおまけの、アイルランドの2歳GⅡ戦です。
 ただ去年の勝ち馬は上記セントレジャーを勝ったカプリで、21世紀で屈指の名馬であるシーザスターズ、ドバイでジェンティルドンナを破った事でも日本人にお馴染みなセントニコラスアビーなども勝ち馬に名を連ねていて、中々の出世レースでもあります。

 そして勝ったのは、ディープインパクト産駒のサクソンウォリアーでした。
 5頭立てのレースで、勝ち時計が1,45,76とマイル戦とは思えない数字なので、晴れてはいますが相当に馬場は重かったはずです。
 その中で2列目のインコースを追走したサクソンウォリアーは、直線で内から鋭く抜け出すと、そのまま後続を寄せ付けずに押し切る強い競馬を見せました。

 フォワ賞の週にセプテンバーが負けたことにも触れて、ディープインパクトの仔は欧州の重馬場適性に疑問符、と書きましたが、この馬はかなり高いレベルでそれを克服してきたことで、今後の展望が大きく広がったように思えます。
 血統的に母父ガリレオなのがいいのかな、とも思いますが、セプテンバーとて母の系統はサドラーズウェルズですし、ディンヒルの血が入っているのも同様なので、そこは馬それぞれ、という事でしょうか。
 このレースの勝ち馬は一様に、その後クラシック路線の長いところで活躍を見せていますので、今から来春が楽しみですね。
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2017 スプリンターズS プレビュー

**★はじめに**

 いよいよ秋シーズンのGⅠ開幕戦、スプリンターズSとなりました。
 ジューヌエコールの回避は個人的に凄く残念ですが、それでも近年のスプリントGⅠ勝ち馬が3頭出揃い、伏兵陣も面白い素材が揃っていて、今年も大激戦になりそうな予感がします。

 プレビュー記事を書くのがすごく久々の感覚なので、そのあたりリハビリ補正しながらになりますが、先週・先々週とトライアルレースがあって、気分的にも盛り上がってきたところでの一戦ですので、頑張って書いていきたいところです。
 今週は凱旋門賞展望などもやりたいですし、勿論回顧も、更に交流重賞まであるのでてんやわんやになりそうですが、この忙しさもGⅠシーズンの醍醐味というところですね。


**★レース傾向分析**

 コースは中山1200m、このコースはスタート直後から下り坂が続き、非常にテンのスピードが乗りやすいコース形態になります。
 なので春の電撃スプリントGⅠである高松宮記念よりも更に顕著に前傾ラップになりやすく、過去10年の平均ラップは33,2-34,6=1,07,8となっています。
 例外的に一昨年のレースだけ平均ペースになりましたが、基本的には前がしっかり飛ばしていって、コーナーでも緩みは少なく、区間ごとの減速幅はそこまで大きくないとはいえ、一貫した減速戦になるのが基本パターン、と考えて良さそうです。

 ただ近年は、極端に前半から飛ばしていく典型的な逃げ馬が少なくなっているのもありますし、前後半のバランスが小さめに収束する傾向も見え隠れしています。
 エアレーション馬場になってからは、開幕週よりも踏み固められた最終週の方が時計が出やすい、という時もあるので、前日の馬場コンディションには注意を払いたいですね。

 昨日までの馬場なら大体1,07,5前後は出るかな、というイメージで今のところは考えていて、そうなるとレース平均よりも前傾の幅は小さめ、その分ラスト1Fも前がしっかり踏ん張るイメージになってきます。
 過去上位に食い込んだ馬の脚質としても、当たり前と言えばそうですがほとんどが逃げ・先行馬で、まずデュランダルのような強烈な追い込みで勝ち切るのは至難の業です。
 基本的にはスッと好位を取れて、かつ要所でしっかり反応できる、追走力と機動力を兼ね備えた馬が強いレースだと思っています。


**★有力馬所感**

・レッドファルクス

 去年の覇者であり、その後の香港では崩れたものの、春シーズンも高松宮記念3着、京王杯1着、安田記念3着と高いレベルで安定した走りを見せてきました。
 去年もこのレースをCBC賞からのぶっつけで制しており、ローテーションの面では不安はありません。高速馬場ですと後半の持続力を増してくるタイプですので、今のコンディションが維持されるならば、今年も有力候補の一頭にはなってくるでしょう。

 ただし、去年は33,4-34,2と前後半の幅こそ少ないものの、ほぼ一貫した消耗ラップの中で、ラスト1Fでかなりラップが落ちるところをズドンと差し切る内容でした。
 馬のタイプ的にも、一瞬の切れ足が鋭い、という事はなく、とにかく後半3~4F11秒前後の長くいい脚を維持する事に長けていますので、レースに入ってのスムーズさ、仕掛けの意識は大切になってきます。

 その点で常に早めに動いて出し切る積極性があるデムーロJとのコンビはベストマッチ、という所はありますし、極端ではない程度の外枠から中団やや後ろくらいで競馬が出来るなら、最後の差し脚は確実なものがあるので、レース傾向からはやや外れる脚質ですけれど軽視は出来ないと思います。
 動き出しが難しい内枠だったり、あと前後半のバランスがフラットに寄りやすい、1,07,0前後まで時計が出る高速馬場ですと、ちょっと狙いを下げたいですね。現状は1200mよりは1400mベストのイメージです。

・セイウンコウセイ

 函館スプリントSこそ、シュウジが作り出す超ハイペースに真っ向勝負を挑んで失速してしまったものの、今まで見せていなかった前傾ラップへの耐性面をある程度見せてきて、経験を積めたのはここに向けていい材料だったと思っています。
 基本的にスタートが上手く、二の足も速くて安定して先行列に取りつける優位性がありますし、ペースが流れてもしっかりコーナーから動いていける器用さ、坂も苦にしないパワーを兼ね備えていて、馬場が渋っても全く問題ないので、現状では軸馬としてもっとも信頼を置きやすい1頭になるのかな、と見ています。この馬を負かせるとしたら、という観点で序列を考えていくのが、正解への近道かなと感じますね。

 春シーズンはかなり使い詰めの中でもしっかり調子を上げて、高松宮記念は渋った馬場で33,8-34,9とやや前掛かりの展開を好位から楽に突き抜けました。
 勿論馬場適性もあったでしょうが、他の上位勢がインを通していたのに対し、こちらは外々から正攻法で押しきっていて、見た目以上にその価値は高いと思っています。

 函館スプリントSのイマイチっぷりからして、間隔を空けていきなり好走してくるタイプなのかは何とも言えませんが、血統的にアドマイヤムーンの仔なので高速決着もそこまで苦にしないでしょう。
 前走ほど前傾になり過ぎると厳しいかもしれませんが、1~1,5秒程度の常識的な前傾戦ならこなしてくると感じますし、内外極端な枠を引かない限りは重い印を打つ候補の1頭になりますね。

・ビックアーサー

 能力面ではトップクラスなのは間違いありませんが、今年はすこぶる順調さを欠いて、去年の香港以来の一戦という事で流石に全幅の信頼は置きにくいですね。

 適性としては前傾~平均までで高いパフォーマンスを発揮してくる馬で、自身スローバランスで入ると後半の甘さがあるので、基本的に流れてくれるこの舞台は合っている筈です。
 去年は前哨戦の逃げが上手く行き過ぎての本番での消極策が裏目に出てのどん詰まり、全く競馬になりませんでしたが、あの流れでスムーズに捌けていたなら当然上位に食い込んできたと思っています。

 今年はメンバー構成的に絶対に逃げる、という馬がおらず、序盤は探り探りになる可能性も高いので、個人的には休み明けでもあり、今年こそ半端な真似はせずに堂々ハイペースで逃げてどこまで粘れるか、というレースをしてみて欲しいなとは思っています。
 出足そのものはこのレベルに入ってくるとあまりいい方ではなく、去年もあっさりソルヴェイグに前を塞がれてしまったのがその後後手後手に回る大きな要因となりましたので、ある程度自由度のある外目の枠が欲しいですね。
 それで内から強気に引っ張る馬がいれば好位でいいですし、内の馬が消極的で好位の外、雁行状態になりそうなら思い切って出していく、そんな風に肝を据えた序盤の入り方が出来れば、決して実力では見劣らないと思います。

 とりあえず一週前調教はラスト1Fがかなり甘く、まだまだ本調子は遠いのかな?と基本調教をあまり重視しない私でも思ったくらいですので、直前の気配と枠は取捨の面でより重要になってくると考えます。

・ファインニードル

 相手関係が楽だったとはいえ、このレースに比較的直結しやすい前哨戦のセントウルSは完勝でした。
 この馬も序盤の立ち回りは比較的うまく、またコーナリングが得意でインからでも瞬時に反応できるのが強みでもあって、かつセイウンコウセイと同様にアドマイヤムーン産駒ですので高速決着はお手の物です。
 北九州記念の微妙な反応からしても、あまり前傾になり過ぎない方がいい、というイメージではあり、その点通常レベルの馬場ですと少し足りない気はしますが、1,07,0くらいまで時計が出そうな条件なら俄然怖さが増してくると見ています。

 この馬は出来る限り内枠が欲しいと思いますし、自身平均バランスくらいで後半の一瞬の鋭さを上手く引き出せれば、このメンバーでも上位に食い込んでくる可能性はあるでしょう。
 逆に渋ったり、かなり馬場が重かったりしたら軽視してもいいのかな、と考えています。

・ダイアナヘイロー

 この春から夏にかけて4連勝、好位の競馬が板についてから一気に成長を見せてきました。
 この馬自身はある程度前掛かりになったほうがパフォーマンスが高いタイプで、北九州記念も32,8-34,7という2秒近いハイペースを番手追走して、直線で早めに抜け出す横綱相撲で完勝しており、流れた時には決して侮れない1頭になってきそうです。

 その観点で言うと、この馬は超高速化はあまり歓迎ではなく、少し時計がかかる馬場、7秒後半くらいで前傾度が高くなった方がチャンスは広がると感じます。
 形としては逃げても競馬が出来ますし、序盤の戦略の幅は広いですので、夏の上がり馬の勢いがどこまで通じるか楽しみではあります。
 ただ首尾よく得意の前傾戦になったとしても、ビックアーサーやセイウンコウセイはかなり手強いと思いますし、印は回しても連下までかな、と今のところは考えています。

・ソルヴェイグ

 賞金的には全然足りていないですが、多分去年のこのレースのレーティングで出られるはずです。
 この馬も前傾戦には実績があり、後半勝負ですとやや脆いので、出来れば少し馬場が重くなってほしいクチだと思います。
 時計勝負になると後半の持続力面で甘さが出ると思いますが、去年くらいの常識的な前傾戦で好位を取れれば当然面白い1頭です。

 スタートが良過ぎるくらいいい馬ですが、逃げてどうか、というのはまだ正直分からない所で、出来ればなにかが行ってくれて、それを壁にして好位のポケットあたりが理想になってくるでしょう。
 実力的にはこのメンバーでも引けは取らないと思っていますし、去年3着時の田辺Jを確保しているようですので、真ん中から内目の枠を引ければ楽しみは広がってくると思います。

・レッツゴードンキ

 今年は高松宮記念で2着と、スプリント路線で一定の結果を残してきました。
 ただこの時は馬場適性がかなり問われたのと、自身は後方から後傾バランスで差し込んできており、引っ掛かる馬、というイメージよりは前半に無理の効かないタイプだと思っています。

 高速馬場自体も去年の高松宮記念から一定はこなしてくるでしょうが、どうしてもこのメンバーでいい位置取りは望めないと思いますし、よほどガクンとラスト1Fで落ち込むような展開ではないと簡単ではないでしょう。
 差し馬の中ではどうしたってレッドファルクスよりは序列が下がりますし、内枠を引いて岩田J乾坤一擲のイン差しが嵌れば、というくらい、今のところは印を回さない公算が高そうです。

・ダンスディレクター

 骨折明けのセントウルSでは後方から持ち前の鋭い切れ味を見せて3着と、まずまずの結果を残してきました。
 ただスプリンターとしては絶対的な時計面に限界がある馬、とは思っていて、かつこの馬自身極端な後傾ラップでないと後半の爆発力が引き出せない、というのは、この舞台においては弱味になってしまうと個人的には考えています。

 シルクロードS連覇もおおよそ2秒近い後傾ラップですし、セントウルSも上がり時計を見てわかる通り、この馬にとって走りやすいペースになってくれたのが良かったのは否めません。
 コーナーが急で直線も短い中山ですと、脚の使いどころがより難しいタイプですし、実際去年は常識的なレベルでの前傾戦で全く競馬になっておらず、今年も叩き2戦目の上積みを考えても厳しい、と思っています。

 チャンスがあるとすれば少し渋って、8秒そこそこの決着になる馬場でペースも極端な前傾にならない、くらいの狭いスポットが必要だと感じますし、前日の馬場次第ですが今のところはこちらも軽視する方向でいます。

・メラグラーナ

 この馬もダンスディレクターと似たところはあり、今のところまだ絶対的な時計面での裏付けがないのが弱みになります。
 ただダンスディレクターよりは基本ポジションが取れそうなことと、この馬自身後傾バランスで破壊力を増すタイプですが、高速馬場で前後半がフラットに近くなれば、位置取り次第で時計面は詰めてくる余地があるかな、とは見ています。

 オーシャンSあたりでも自身34,3で入ってまずまずの脚は使えていますし、この馬の場合後半要素は一瞬の切れが素晴らしいタイプですので、外目からしっかりエンジンを掛けつつ進められれば、ポジション差の不利を補える武器はあると思います。
 外目の枠や馬場、出来ればコーナーで少し緩む、といったような展開の助けがないと勝ち切るまでは難しいと思いますが、噛み合えば上位進出のチャンスはあると思っています。

・ブリザード

 今年は香港馬の参戦もあり、その意味でも面白さはありますね。
 サイレントウィットネスは香港でも最強クラスでしたが、ウルトラファンタジーのような本国ではバリバリのトップクラスとは言い難い馬でも楽々勝ち切った事もあり、スプリントレベルの高さは折り紙付きなだけに軽視は禁物、とはなるでしょう。

 ただこの馬自身の素材としては、基本的に1200mは短いと思っています。
 去年の香港三冠レースではそこそこ健闘するものの、最終戦で距離の限界を露呈し、そこからスプリント路線に舵を切り替えましたが、今のところ高いレベルでの実績はあまりありません。

 一番好走したのが2月のクイーンズシルバージュビリーCで、ここでは現時点の香港最強マイラー(ラッパードラゴンがああいう悲しい事になったのもありますが)であるヘレンパラゴンや、衰えたとはいえまだまだ健在ぶりを見せつけるエイブルフレンドなどと接戦に持ち込めていますが、このレースは1400m戦でした。

 1200m戦ですと、春のスプリントCでは着順こそ降着などの影響もあり3着でしたが着差は5馬身近く、その後の春シーズンのスプリント路線の最強馬決定戦・チェアマンズスプリントでは後方から外々を回され、まるでいいところなく最下位惨敗でした。
 このレースも着差としては上位から5馬身くらいと、今の香港スプリンター最強クラスからはそのくらいの差がある、という位置づけでいいでしょうし、流石にこの馬にあっさり上位進出を許すようでは日本のスプリントレベルも大概、ということになってしまいます。

 脚質的にもスプリント戦ですとほぼ後ろからの競馬になってしまっていますし、個人的には香港ブランドを加味しても軽視して構わない、と考えています。

・キングハート

 賞金的に出られるか微妙なラインですが、出走出来れば面白い1頭です。
 この馬は性能的にレッドファルクスとよく似ていて、とにかく後ろからゆったり入って長くいい脚を引き出してくるのが持ち味となり、かつ高速決着が得意でもあります。
 レッドファルクスに対して勝るところがあるとすればエンジンのかかりの良さ、要所の反応の鋭さで、ある程度外目の枠から中団くらいのポジションが取れて、超高速馬場でフラットに近いバランスになってくれば、中山で外々を回す形でも怖さは出てくるタイプではないかと思っています。

 中谷Jが騎乗停止中で、かつ私が今これを書くのに参考として見ているサンスポの登録データですと北村宏Jになっていますが、こちらも昨日のルージュバック案件で騎乗停止、それで果たして誰が乗るのか?という部分でも気になりますね。
 個人的にはこういう馬で横山Jとか見てみたいんですけど、他ではシュウジやナックビーナス想定になっていますし、それ以外の上位騎手はほぼ乗り役が決まっているのでどうなるでしょうね?このあたりは出馬が確定して、出られたときに考えればいい話ですけど、出走叶えばワンチャンスはある馬だと踏んでいます。 


**★思い出のスプリンターズS**

 やはりオールドなファンとしては、スプリンターズSと言えば[サクラバクシンオー](https://www.youtube.com/watch?v=Y1Yy9x86Uh8)の引退レースが一番印象深いですね。
 強烈な逃げ馬が揃って凄まじいハイペースになる中、好スタートから一旦控えて好位、要所で持ったままの手応えで上がってきて、坂下から仕掛けるとグーンと突き放す恐ろしいまでの強い競馬で、時計面ではこれより速いレースもありますけれど、一番強いレース、となるとこれじゃないかと今でも思います。
 とにかくスプリンターとして完成された馬でしたし、どんな時でも崩れない安定感があって安心して見ていられた馬ですね。

 あとやはり、[サイレントウィットネス](https://www.youtube.com/watch?v=4OEOHW1e6ow)が好位から突き抜けた一戦も印象深いです。
 香港史上に残るデビューからの17連勝、その後距離延長で苦杯を舐めたもののチャンピオンズマイル・安田記念と強いレースを見せてきたところからのスプリンターズSで、正に天性のスプリンターの本領発揮、という強い内容でした。
 このレースのデュランダルもかなり凄まじい競馬で追い詰めてはいるのですが、どうしてもスプリント路線だと、どんな速いペースでも苦にしない真のスプリンターが先行した時には、差し・追い込み馬ではどうあっても敵わない、というイメージを鮮烈に植え付けてくれる一戦でしたね。

 結果的に二度の遠征が堪えたのか、サイレントウィットネスにとってこれが生涯最後の勝利となってしまったのは残念なところですが、このレースまでは本当に香港史上最強のスプリンターの名に恥じない強さだったと思います。

  
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2017 神戸新聞杯・オールカマー レース回顧

**★神戸新聞杯**

 好メンバーが揃って注目の一戦となった神戸新聞杯は、ダービー馬のレイデオロが好位から楽に抜け出す横綱相撲で完勝し、貫禄を見せつけました。
 先週のトライアル戦が揃って上がり馬の台頭劇となった中で、このレースは1~4着まで人気通りと順当に収まりましたが、1、2着馬は早々に菊に向かわない事を宣言しているので、菊花賞の前哨戦としてはなんとも難しい結果になったとも言えそうです。レースを振り返っていきましょう。

 今日の阪神の馬場は、ちょっと外回りと内回りで時計のかかり方が違うイメージもありましたが、外回りに関しては文句なく高速馬場だったと言えそうです。
 500万下のマイル戦が45,9-46,8=1,32,7、1000万下のマイル戦が47,5-45,4=1,32,9と、全く真逆のペースでもそれぞれ32秒台を出してきていますし、非常に走りやすいコンディションだったのではないでしょうか。

 レース展開は、まず大方の予想通りに、一歩目から鋭く抜け出したアダムバローズが先手を主張します。
 それを追いかけると目されたマイスタイルはそこまでスタートが良くなく、内から好発を決めたダンビュライトが注文通りに少しずつ外に持ち出してすんなりと番手外を確保します。
 そして驚いたのが、サトノアーサーとレイデオロが好スタートから先行列に無理なく入ってこられたことでしたね。

 サトノアーサーはまだダービーでもそれなりに位置は取れていたのですが、レイデオロは今までまずもっさりとしかスタートが切れていなかったので、ここですんなり先行策を取れたのは素晴らしかったと思います。
 ルメールJもインタビューでスタートが良過ぎてびっくりした、なんて本音を漏らしていましたが、まるで皐月賞の敗戦と、ダービーの捲りからの押し切りという一連の流れの中で、馬自身が勝つために必要なポジションを学習したのか、とすら思わせる出足の良さでした。この辺りの身体的だけでなく、精神的な学習能力の高さもこの馬の強みですね。
 1コーナーでマイスタイルが外から押し上げていくところで少しハミを噛むところもありましたが、それ以降は落ち着いて4番手を追走と、この時点で下克上を狙う各馬に取っては非常に難しい状況になった、と言えそうです。

 話を戻して、サトノアーサーもすんなり内目から5番手でレイデオロをマークするポジションを確保し、その内にベストアプローチ、そのやや後ろの外目にカデナがいました。
 キセキは今回も二の足で少し遅れを取り、ベストアプローチの後ろ、中団よりはやや後ろくらいの位置でじっくり構え、外枠で前に取り付けなかったアドマイヤウィナーもそのあたりの列で外目から進出の機会を伺っていました。
 全体的に春は序盤のポジショニングが悪かった有力馬が、しっかり成長を見せて前目、の意識を持てていたのが印象的でしたね。

 ラップは37,1(12,37)-36,8(12,27)-36,4(12,13)-34,5(11,5)=2,24,6(12,05)という推移でした。
 前後半、で見れば大体3秒くらいスローの後傾ラップですが、第二ブロックのあたりからはずっと前が淡々と12,1~4の波のないラップを刻んでおり、道中に動いて後ろからポジションを上げる、というのはリスキーな展開にもなっていました。

 その分序盤のポジション差は影響があったと思いますし、後半5Fが12,2-11,9-11,3-11,4-11,8という、4コーナー出口の下り地点最速の王道的な持続力勝負になっています。
 ラップ的に極端な部分は全くないですし、性能的に言えば総合力が大きく問われたのかな、と思いますが、もっと純粋に底力、絶対能力がはっきり出たレースと見ても差し支えはないと思います。

 ともあれレイデオロは見事な競馬でした。
 まず勝因としては当然いいポジションを楽に確保できたことがあげられますし、道中の折り合いもスムーズで、相変わらずレースに入っての操縦性の良さは群を抜いている、と感じさせましたね。
 直線も4コーナーからじわっと取り付いていき、残り400mから追い出してしっかり突き抜ける王者の競馬でした。

 細かく見ていくと、コーナー出口の地点で1馬身、そこから坂手前まででもう1馬身くらい詰めて、残り200mではほぼ先頭、というポジションでしたので、この馬のラスト3Fは11,2-11,1-11,8くらいではないかと思います。
 ダービーでも機動力の良さは見せていましたし、このレースでは下り坂も補助になるのでそのあたりはニュートラルに入って、追い出してからもしっかり反応して前との差を詰めていました。
 ただここはダービー同様、切れ味の質面ではさほどでもなく、この馬の良さが一番出たのはラスト1Fの持続力だと思います。

 全体時計からしても、後半5Fが58,6という観点からも、阪神コースのこの距離でラストを11秒台でまとめてくるのは中々の難事であり、けれどそれを易々とやってのけて、この残り200m地点では後続のどの馬の脚色にも全く見劣らない堂々たるものでした。
 こういうタイプは残り200mまでで先頭に立ってしまう方がいいのでしょうし、切れ味の差で一気に来られると隙が出来る、という感はあるので、程よく流れるレースで前目に入って、というのがベストの挙動なのかなと思います。

 今日は本当に序盤からラストまで内容の濃いレースが出来ていて、決してダービーが鞍上の腕だけではなかったとしっかり証明してくれました。
 更にこのスタートが安定して繰り出せるようになれば、JCなどでもキタサンマークで持続力を生かす競馬はかなり噛み合ってきそうで、これは本当に前途を明るくする素晴らしい勝利だったと思います。

 2着のキセキも、この夏の充実度が本物だと証明する強い2着でしたね。
 どうしてもスタートで遅れてしまう中、道中はじっと後方インで脚を溜める作戦に出ましたが、第2集団の先頭にいたサトノアーサーが道中で少し息を入れて、前との差を大きくしてしまったのも、結果的に動けないポジションだったこの馬には厳しかったと思います。

 それでもコーナーからデムーロJらしくタイトにインを通しつつしっかりエンジンはふかしていって、400-200m地点ではレイデオロを凌駕する切れ味を発揮し一気に2番手まで上がってきましたが、そこからのレイデオロの粘り腰には太刀打ちできませんでした。
 結果的にもう少し外目の枠で、早めに外から押し上げる形がとれていたらどうだったか、というのもありますけれど、ポジショニングの面含めてまだレイデオロとは完成度の差が出た感はありますね。
 ただ本当に素材は素晴らしいので、この先確実に重賞のひとつふたつは取れる馬だと改めて思いました。

 3着サトノアーサーも進境は見せましたが、それでもまだ何か足りない、という印象は強いですね。
 基本的にはスローからの持続力戦がベストの馬ですので、この流れ、展開は願ってもない、と言っても良かったと思いますし、ある程度いいポジションは取りつつも、実質超スローくらいのバランスで入っていけたのも、この馬の末脚を生かすにはお誂え向きだったと思います。
 けれど勝負所からの反応はあまり良くなく、直線向いてもじわじわと伸びてはくるものの、どの地点でもレイデオロの脚色を上回るところはなくて、最後はむしろ離されるような形での3着でした。

 この結果を字面だけで見てしまえば、やっぱり少し距離が長いのかな?というイメージになりますね。
 今日は位置取りもエンジンの掛け方も満点に近かったと思いますし、得意のはずの阪神コースでダービーよりも脚を使えていないのは、このタフなコースでのスタミナ面に原因を置くか、それとも序盤急かし過ぎると良さが出ないタイプなのか、どうあれ菊花賞で狙いたくなる走りではなかったです。
 まだ追い出してからのフットワークも安定感があまりなく、馬群を割っての競馬が出来そうな感も少ないので、内枠を引けて好位から競馬が出来たとしても、余程スムーズに外に出せない限りは甘くなりそうなイメージですね。

 4着ダンビュライトは難しいところですが、このペースでの持続力勝負だと甘くなるのか、というイメージが一番強いでしょうか。
 皐月賞があのラップで外々からしぶとかったので、このくらいの持続力戦ならこなしてくるイメージで見ていましたが、最速地点で切れ負けするのはともかく、ラスト1Fであそこまでズルズル下がるのは意外で、本質的にはもっと全体スピードが問われた方がいいのかもしれません。
 権利が取れなかったので本番は賞金的に厳しそうですし、改めて自己条件から出直し、ということになりそうですが、こういうタイプは中々勝ち切れないでしょうから、また重賞のステージまで上がってくるのにちょっと苦労しそうな気はしますね。

 5着アドマイヤウィナーは、結果的に外枠で、前が淡々と流れて取り付く余裕がなかったのが響きましたね。
 最後はしっかり食い込んできていて、持続力面はそれなりのものを見せましたが、どうしてもこの馬も器用さに欠けるために、勝負所で勝負になる位置を取れない弱みはあります。
 こちらも能力自体はいいものを持っていると思いますが、自己条件でも勝ち切る為のスポットはあまり広くはないので難しそうですね。阪神3000mとかすごく合いそうな気がするので、その時期までにせめて準オープンくらいまでに上がれていればいいのですが。

 6着ベストアプローチは、直線やや狭いところに入ってしまったのもありますが、それを置いても反応と伸び脚は一息でしたね。
 展開としてはこの馬にもかなり向いていた、とは思うのですが、アドマイヤウィナーに逆転されているところからもスムーズさを欠いた事、後は状態面でもまだ緩さはあったかもしれません。
 最速地点の反応でキセキにはっきり見劣ってもいましたし、このレースに関しては力負けの側面も強いでしょう。
 ただ今回は立ち回りに進境は見せましたし、この馬は賞金的に菊は出られるので、いい枠を引ければ坂の下りからロンスパになりやすい展開は面白いと見ています。 

**★オールカマー**

 秋の飛躍に向けて勢いをつけたい馬が出揃っての混戦模様だったオールカマーは、先行策から内をついて鋭く抜け出したルージュバックが勝利しました。レースを振り返りましょう。

 中山の芝は、イメージほど一気に回復はしなかった印象ですね。
 勿論良に戻って常識的な高速馬場だとは思いますが、超スローだった芙蓉Sあたりでもラストは11,1-11,5と少し落とす形、10Rの1600m戦も47,2-46,4とややスローで淡々と流れて、やはりラストは少し落としています。
 速いラップを踏む余地は充分に有るものの、しっかり持続力も強く問われるレベルの馬場だったと考えておきたいですね。

 レース展開は、まず絶好のスタートだったのがルージュバックでした。
 この馬がすぐに内に進路を取り前目につけていって、その外からディサイファがジワリと進出、それを制するようにマイネルミラノが押し上げてハナを取る、という序盤の攻防になりました。
 グランアルマダは少し立ち遅れて後ろからになり、その先行争いにステファノスも積極的に加わっていって、予想よりもルージュとステファノスの2頭は強気の競馬を試みてきたと思います。

 その先行争いに外からマイネルディーンとトルークマクトも加わっていって、その後ろ、丁度中団のやや外目にタンタアレグリアがいました。
 その外にカフジプリンスがいて、内目からアルバートとショウナンバッハ、デニムアンドルビーとモンドインテロは更にその後ろにいて、最後方に大きく出遅れたブラックバゴ、という隊列でした。

 ラップは37,7(12,57)-25,4(12,7)-35,9(11,97)-34,8(11,6)=2,13,8(12,20)という推移でした。
 前半1000mまでは超をつけていいレベルのスローで展開し、向こう正面からじわっと一段階目の加速、そしていかにもマイネルミラノらしく、残り800mの3コーナー地点から一気にペースを引き上げて後続を出し抜く戦法を取ってきました。

 後半5Fが12,1-11,3-11,2-11,6-12,0という推移で、明確に800-400m地点のコーナー部分が最速ラップになっています。
 そこである程度ミラノがリードを作っていますので、後ろの馬が丸々このラップに乗っかっていたかは微妙ですが、少なくともコーナーでかなり加速を問われて、そこから長く持続力を求められており、この地点の横の位置関係、立ち回りの精度は結構問われていると思います。
 その上でラストまでしっかり脚を残す持続力、一定の切れ足の質面も当然問われたでしょうし、内容としてはちょっとトリッキーな一戦ではあると感じています。

 勝ったルージュバックは、こういう前半ゆったりからの瞬発力・持続力戦では崩れないですね。
 外から立ち回ってしっかりエンジンを掛けた方がいい馬なのは間違いないのですが、今日の場合はミラノがコーナーから一気にペースを上げてくれて、必然的に早い段階から加速を問われる事になったのが、この馬の特性には上手く噛み合ったと見ています。
 4コーナーでディサイファの内外どちらに進路を取るか迷った感じもあり、そこでスムーズに外から押し上げてきたステファノスに一旦前に出られるものの、ラスト1Fは流石の切れ味を見せて差し返してみせました。

 残り200m地点で前と3馬身くらいはありましたので、この馬の後半は11,2-11,3-11,4くらいかなと感じます。
 若干立ち回りで拙いところはあっても、そこまでにしっかり勢いをつけ切れていたので大きなロスにはなりませんでしたし、後半の持続力でステファノスを捻じ伏せてきたのは強い内容だと見ていいでしょう。

 この後はエリ女が目標のようですが、今日のようなポジショニングが出来るならチャンスは十分あると思います。
 京都の外回り2200mのエリ女は、大抵スローからのラスト4F勝負、事によっては去年の様に3F勝負になりやすいので、やや外目の枠から先行して、下り坂で勢いをつけて直線に入っていけるのはいい条件ですし、相手関係もまだはっきりはわからないですけど、GⅠを取るラストチャンス、と言ってもいいでしょうね。

 2着のステファノスも、休み明けは走らない馬としては底力で格好をつけてきた、と言えるでしょう。
 大阪杯あたりからそこそこ先行できるようになり、安田記念で速い流れも経験したからか、今日はスタートも二の足もかなり良く、楽に先行集団についていけたのは、前哨戦の内容としては大きな収穫だと思います。
 無論ペースはかなりスローでしたので、その点では楽だったでしょうが、それでもコーナーから強烈な持続力が問われる中、またラップが落ちていないコーナー中間から積極的に押し上げていく王道の競馬で、最後までしぶとさを見せてきました。

 ラストでルージュに差し切られたのは純粋な切れ味の差と、あと少しとは言え内外の差が出たかな、と思いますし、本質的に2200mはちょっと長い、というタイプでもありますので、負けはしたものの悲観するべき内容ではなかったと思います。
 前哨戦である程度結果を出してしまった事で逆に本番どうなのか、というのはありますが、府中の2000mはこの馬にとってどう考えてもベスト条件なのには間違いがないので、非常に楽しみです。
 なんとか今年くらいは内目の枠を引いて欲しいですし、近走の出足から、中団より前で競馬が出来るようなら充分に勝ち負けに絡んでこられるはずです。

 3着タンタアレグリアは、こちらも相当に強い競馬を見せてくれました。
 AJCCの内容から休み明けは苦にしないと思いましたが、ただAJCCはかなりペースが流れての持久力戦で、かつ最内を完璧に立ち回ってのものでした。
 今回はそれと真逆に近い超スローからの持続力特化戦に近い内容になっていて、過去に速い上がりがないこの馬が外から押し上げる形でどこまで、と思っていましたが、この展開でも想像以上に強さを発揮してきましたね。

 この馬はステファノスよりも更に外目を回して進出していますし、それでいてラストまでほぼ落とさず前に肉薄してきています。
 元々ステイヤー色が強い馬だけにスロー展開は良かったと思いますが、ここまで長く切れる脚を使えるようになったのは成長の証で、これは本当に順調に使えるようになればかなり楽しみになってきます。
 ベスト条件は2400m以上、だとは思いますので、JC・有馬記念や来年の春天などに順調に駒を進めてくれば当然警戒したい1頭です。今日も競馬の内容としては一番強かったと言ってもいいくらいだと思います。

 4着マイネルミラノは、久々にこの馬らしさを発揮出来ましたね。
 今日は超スローでかつ後ろからつつかれない単騎逃げとかなり恵まれましたし、その上でこの馬が一番得意とするコーナーからのスパートを敢行して、一瞬は逃げ切るか?と思わせる内容でした。

 総合的に見るとややスローにし過ぎて、コーナーからあれだけ加速していっても後続がまだ直線で余力を持ててしまっていた、という見立ては出来ますが、一昨年のオールカマーではある程度ペースを作っていって失速が早くもあり、距離適性としてもギリギリのところで巧くバランスを取った、とは言えるかもしれません。
 ただ本当に絶好調なら、直線半ばまでは速いラップを踏んでこられる馬ではあって、存外減速に入るのが早かったことも含めて、夏の不調がまだ尾を引いているところはあったかもしれませんね。でも型に嵌ればまだまだ強さを発揮できるところは示したと思います。

 5着ショウナンバッハは、立ち回りと展開がバッチリ嵌ったものの、それでも上位の牙城は高かったですね。
 五分のスタートから中団やや後ろのインと、この馬にとってはべストに近いポジションを取れましたし、有力馬が外を回して隊列が間延びする中、しっかりワンテンポ遅らせて内目をスルスルと上がってきたのはベテラン柴田善Jらしい冷静な好判断だったと思います。
 ラップ的にもコーナーでかなり加速しているわけで、そこをインベタで通してきた分余力は残せましたし、直線もスムーズにタンタアレグリアの外に出せました。

 そこからラスト1Fの脚はタンタをも凌いで一番だったと思いますが、流石にポジション差は大きかったですし、上位3頭はこの展開・休み明けの条件の中で予想以上にきっちり能力を引き出せていました。
 そうなると底力では劣るこの馬ではちょっと足りなかった、というのも納得ですし、でもこういうスローから切れ味と持続力を存分に生かせる展開なら、まだ嵌ればチャンスを見出せる馬ではあると感じさせるいい走りでしたね。

※追記

 普通のレース映像ですとちょっと見えにくかったんですけれど、ルージュバックが4コーナーでフラフラしてたのは斜行事案だったんですね。
 その直前のディサイファの動きが誘発した部分も無いとは言えないですが、やっぱりあれはちょっと強引過ぎた上に、最終的にインに潜る形を取ったんですから余計な動きだったことにはなりそうです。
 直接被害を受けたマイネルディーンは当然として、タンタもその分余計に外を回され、アルバートも相当ロスを作っていますので、その点後味の悪い競馬にはなってしまいましたね。 
posted by clover at 09:16| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017 9月第3週新馬戦など レース回顧(月曜編)

**★9/18(月) 中山5R 芝1200m戦**

 月曜日の中山の芝は、台風による降雨の影響以上に、台風一過による晴天と気温の上昇の影響が大きく、非常に回復が早かったようです。
 その為に騎手の馬場状態に対する意識にズレが大きく出ていて、なんと当日の芝のレースは全てラスト1Fで最速ラップを踏んでいるという極端な条件になりました。
 実質的にはその前の週の日曜くらいの超高速状態にあったと思いますので、すこぶる速いラップをラストに踏んできたとしても、少し疑って見ておきたい部分はある日、というイメージですね。

 そんな中でのスプリントの新馬戦は、1番人気のロードカナロア産駒・アンフィトリテが外から豪快に差し切りデビュー勝ちを収めました。
 レース展開は、かなりばらついたスタートになる中でミコサンがハナを切り、それを外から2着のイランカラプテ、3着のサンタガールあたりが追いかけていきます。
 中目からアリババ、マウントレーニアもその先団グループに加わっていき、アンフィトリテもまずまずのスタートでしたが、外の馬を行かせて先行集団の一番後ろでじっと構える格好になりました。

 ラップは35,1(11,7)-34,7(11,57)=1,09,8(11,63)という推移でした。
 字面は平均ペースくらいに見えますが、後半3Fは11,7-11,7-11,3と、この日の傾向通りに坂地点最速で、実質的にはかなりスローからの直線切れ味特化勝負、という様相ではないかと思います。

 その中でアンフィトリテと道中もインで中々動けず、4コーナーから外目に持ち出して進出するものの、直線入り口では前と3馬身くらいの差がある中々苦しい立ち回りでした。
 しかしコーナーをしっかりブレーキを踏まずにスムーズに回ってこれた事で、エンジンがかかると坂地点で一気に加速し、楽々前を捉えて突き抜ける強い競馬を見せてきました。

 この馬のラップはおそらく11,7-11,6-10,9くらいで、確実に坂地点では10秒台の切れ味を引き出していると思います。
 全体としても35,6-34,2とかなりスローバランスで入って、かつまだ出し切っていない脚の使い方ですので、実質的に1200mよりはもうちょっと長い距離の方が適性は高そうに思います。

 カナロア産駒の傾向としてもゴリゴリのスプリント戦では苦戦するイメージは強いですし、この馬も二の足はそんなに速くなく、楽々追走できている感じでもなかったので、府中で1400m、サフラン賞あたりを使って来たらかなり噛み合うのではないかと感じますね。
 ラストの10秒台の切れ味は中々ですが、実質この1Fだけのスパート、という様相でもあるので、セントライト記念のミッキースワローと同じく、これが長く脚を求められたときに同じだけ切れるか、となると、そこは甘く考えない方がいいかな、とは思いますが、素材としては奥行きを感じる、楽しみな1頭ですね。

 2着以降の馬は、実質スロー気味の展開で、先行して楽に流れに乗れていてもそこから加速する余力がなかった、という見立てになってしまいますので、ちょっと次にすぐ勝ち負け、というレベルは難しいかもしれません。

**★9/18(月) 阪神1R ダート1400m未勝利戦**

 日曜に引き続き、そこそこ時計の出るダートでのレースは、新潟の新馬で4着だったディライトプロミスが、距離延長とペースアップを味方に楽々突き抜けました。
 新馬戦はコーナーから直線に向けての極限的な加速力特化戦で無抵抗でしたが、こういう一貫消耗戦になってアメリカ血統らしい良さが出てきたと言えます。

 この時期ですので1,25,8もまずまず優秀ですが、ラスト1Fが13,5と完全に脚を出し切っての内容ですので、素材としては前日ラストを落とさず楽に突き抜けて1,26,0だったレディバードの方を上には見ておきたいです。
 でもこの馬もタフな流れになればまだ強くなりそうですし、その点で次走どういう競馬をしてくるか楽しみです。

**★9/18(月) 阪神2R 芝2000m未勝利戦**

 月曜の芝コースは、日曜のレース後にまとまった雨が降ったこともあり、土曜くらいの馬場水準、だいたい中距離なら1,5秒前後時計は掛かっていたと思います。

 そんな条件でのこのレースは、注目の良血馬タニノフランケルが、好スタートから持ったままで逃げ切る圧巻のパフォーマンスを披露しました。
 まぁ当然相手関係はそこまでタフではなく、2着のウォーターパルフェはそこそこいい馬ですけれど、これを全く寄せ付けなかったのはそれなりに評価していいと思います。
 
 ラップ的には38,1-51,4-35,2=2,04,7という超スローに近い推移ですし、ラスト3Fも12,4-11,2-11,6とほぼ2Fの瞬発力・加速力勝負でした。
 なので底力はほとんど問われていませんが、タニノフランケルは新馬に続き要所で、軽く促しただけでスッと反応する機動力をしっかり見せていて、これは大型馬としては中々の武器です。
 持続面も新馬でそこそこいいものを見せていましたし、ここは持ったままでしたのでなんとも言えませんが、スタートセンスも相変わらず抜群で、中々面白い馬になっていきそうな雰囲気は充分に有ります。

 新馬にしても回顧で触れたようにコーナーの立ち回りの差で負けただけでしたし、4着だったオウケンムーンが強い競馬で未勝利を勝ち上がってもいて、レースレベル自体もかなり高かったと見ています。
 次はアイビーステークスらしいですが、今日は坂でも極端に落とさず楽に駆けていましたし、前目からしっかり加速力を生かす競馬が出来れば充分勝ち負けに加わってこられる素材でしょう。

**★9/18(月) 阪神5R 芝1600m戦**

 牝馬限定の一戦は、最後方外からエイシンフラッシュ産駒のボウルズが直線一気に差し切りました。
 レース展開は、まず1番人気の4着グアンが好スタートを切って先頭を伺いますが、それを外から制してオルボンディールが逃げます。
 グアンは番手に下げて、その内から2着ウスベニノキミが進出して先団を形成します。

 3着のメサルティムは出足一歩で後方馬群のちょうど真ん中くらい、ボウルズもスタートは悪く、また少し馬を前に置いて口向きの悪いところを見せたりもして、道中は最後方で様子を見ながら進めていくことになります。

 ラップは38,4(12,8)-25,7(12,85)-34,2(11,4)=1,38,3(12,38)という推移でした。
 馬場に対してまだ手探りのところもあったでしょうし、新馬らしいかなりのスローで展開、その上で仕掛けどころも遅めで、ラスト3Fが12,0-10,8-11,4となり、直線を向いてからの加速力と瞬発力を強く問われた内容になっています。

 日曜の1800m戦と比べて見るとわかりやすいですが、あちらはコーナー出口になる600-400m地点で最速ラップを踏んでいて、そこで外を回した馬の方が辛い展開でした。
 逆にここでは、まだコーナー地点が12,0と緩く、その為にコーナーで動かないで直線一気に加速を問われた組よりも、外から早めにエンジンを掛けて押し上げた組の方が走りやすかった、というところが結果にも出ているかなと思います。

 勝ったボウルズは、実にエイシンフラッシュ産駒らしい加速力と瞬発力の質を見せてきたなぁと思います。
 この流れで最後方ですから実質超スローバランスで入っていますが、そこから外目を押し上げての加速性能が非常に高く、かつ残り400m地点では前と3馬身近くあったのを、残り200mまでに半馬身くらいにまで詰め寄っていて、レースラップが10,8なのでこの馬は10,3~4くらいの切れ味を引き出していると考えられます。

 もちろんこれは、コーナー地点で下りを利用し、しっかり加速扶助が出来ていた分のメリットを生かしたとも言えますが、それでも質の面ではかなりレベルの高い脚で、この点では既に一級品と言ってもいいでしょう。
 勿論エイシンフラッシュ自身がそうだったように、ペースが上がってしまうとその良さを引き出せなくなるパターンはありますので、もう一回常識的な流れの中でどれだけの切れ味を引き出せるかは見てみたいですけれど、こういうタイプはスローの差し馬として頭数が少ない時や、確実にペースが落ち着きそうなときにいきなり爆発的な脚を使ってこられる素地がありますので、注目するに値する1頭かなと思いますね。

 2着のウスベニノキミも、コーナー地点がポケットで前が壁、大分待たされての追い出しだったことを考えれば加速性能は悪くないですし、またラスト200m、坂に差し掛かってからグイッと伸びて、おそらくこの馬は12,0-10,8-11,2くらいでフィニッシュしていると思います。
 その点で勝ち馬よりも持続力面では面白さはあるかも、と感じましたし、こっちもエイシンフラッシュ産駒ですのでペースが上がってどうか、とは思いますが、スローペースになりやすい未勝利レベルにおいては、この器用さと後半の素材面は強みになると感じるので、近々勝ち上がれると思いますね。

 3着メサルティムも後方から上手く押し上げてスピードに乗せて直線を向けたものの、ややそこでスムーズさを欠く場面もあり、それでもラスト1Fは2着馬と同じくらいにしっかり脚を使えていました。
 ブリランテの仔ですので、こちらはもう少しペースが上がってもと思いますし、この持続力はまずまず武器になってくるかなと感じます。
 一方最速地点の反応はイマイチでしたので、やはりもうちょっと一貫ペース向きかもしれませんね。

 4着グアンも後半要素でちょっとだらしない形になりました。
 オルフェーヴル産駒ですのであまりこういう瞬時の機動力とかを問われると脆い面もあるのかなと思いますし、スタートセンスは素晴らしかったので、もうちょっと流れるレースで長くいい脚を引き出せるかどうか、その辺に活路を見出したいでしょうか。

**★9/18(月) 阪神6R ダート1800m戦**

 ダート中距離の新馬戦は、ゴールドアリュール産駒のサクラアリュールが好位から抜け出し快勝しました。
 まずスタートを決めた最内のアウトバーンが逃げて、その番手に内から4着のサンライズハニーがつけます。
 その外に勝ったサクラアリュールがいて、更に外、好位列雁行状態の一番外に3着のイグレットがいました。
 2着に突っ込んでくるショームは、スタート後に少しバランスを崩すようなところもあり無理せず後方からじっくり、前の動きを見つつ押し上げていく形を取ります。

 ラップは38,5(12,83)-38,9(12,97)-37,5(12,5)=1,55,1(12,79)という推移でした。
 全体的にはややスローペースで、ただ午後の500万下戦がハイペースで1,53,3までですので、全体時計としてはこの時期の新馬の割には悪くない、と感じます。
 特にこのペースとはいえ、ラスト3Fは12,8-12,3-12,4としっかり加速し、ラストも落とさない推移になっていて、上位陣はそこそこ次に同じ条件でもチャンスがあるのではないかと思いましたね。

 勝ったサクラアリュールは、いかにも新馬の福永Jらしいそつのない完璧な立ち回りで、直線もややふらつくところはあれど、最後まで鋭く脚を伸ばしての完勝でした。
 形としてはテンよし中よし終いよし、という感じで、後はペースが上がった時に同じくらい楽にポジションを取れるか、要所での機動力を引き出せるかによっては、上の条件でも勝負になる下地はあるかなと思いますね。

 2着のショームは、ある意味で勝ち馬よりもスケールは感じさせる内容でした。
 序盤色々あって後ろからゆっくりの競馬でしたが、残り800mあたりからじわっと前に取りついていって、長くいい脚を使ってきたと思います。
 ラスト200mでも2馬身半くらい差があったのを3/4馬身まで詰めていますし、コーナー地点でもスムーズに押し上げられていますので、およそラスト3Fは12,5-12,0-12,0くらいでしょうか。
 結果論的にもう少し早めに動いていれば捕らえられたかも、というくらい、最後までそこを見せない伸び脚でしたし、ダート水準での切れ味もしっかり見せてきました。

 スタートが安定して、もう少し前目のポジションが取れるようなら、次は充分チャンスはあるでしょうし、しっかり早めに動いて出し切る競馬を心がけて欲しい馬ですね。

 3着イグレットは、まぁいかにもこの血統だなぁ、という不器用さを感じさせる内容でしたね。
 スタートと二の足は先ず先ず良く、枠なりの競馬で好位の外々、という競馬になり、多少はロスもあったでしょうが、それ以上に直線入り口加速地点での反応の悪さが目立ちました。
 サクラアリュールが先んじて抜け出すのについていけずに一旦寄れたりもしてかなり置かれてしまいますが、ラスト1Fは地味にジリジリと盛り返していて、典型的にエンジンのかかりが遅いタイプですね。

 血統面でももっと前半流れた方がプラスになるでしょうし、素材的にはまだ底を見せた格好ではないので、或いは自分から逃げてペースを作る競馬をしてみてもいいかもしれません。
 よりタフな馬場やタフなペースで見直したい1頭です。
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2017 フォワ賞・コリアカップ・コリアスプリント レース回顧

 今週は海外各地で大きなレースが目白押しでしたので、回顧記事はざっくり二分割させていただき、差し当たっては日本馬が走ったレースのみ優先的に取り上げてみようかと思います。

**★フォワ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=yhYflxbnKTg)**

 まずは、日本の競馬ファンにとっては残念な結果となってしまったフォワ賞から見ていきましょう。

 この日のシャンティイの馬場はかなりの重馬場で、週中に馬場が荒らされた、なんてニュースもあったように、見た目綺麗に感じますが、走らせてみると砂埃や土塊が舞い散るタフな馬場になっていたと思います。
 映像から見ての引用ですが、このレースが1400m-1000mのバランスで91,45-64,41というややスローのバランスで2,35,86でした。

 ちなみにヴェルメイユ賞が超ハイペースで86,04-66,86=2,32,90、ニエユ賞が逆に超スローで94,45-63,33=2,37,78なので、日本の重馬場表記よりもかなり時計がかかる状況に思えます。
 去年の凱旋門賞が超ハイペースとはいえ2,23,64ですから、メンバーレベルを考えても馬場差6~7秒は見込めるのではないでしょうか。

 レース展開は、サトノの2頭が好スタートを決めて、ノブレスに先導役を預けてダイヤモンドが2番手から、という形になります。
 スタートしてしばらくは、ダイヤモンドがかなり行きたがっているようにも見えますし、この辺はいかにも休み明け、阪神大賞典もこんな感じでしたのでこの馬のいつもの雰囲気とは言えます。
 その後ろにチンギスシークレットがつけて、他3頭もつかず離れず、少頭数らしく逃げたノブレス以外はほぼ一団となってレースが進んでいきました。
 大体1400m通過時点で1秒くらい前が離していて、そこから直線向くまでにじわじわと差を縮める格好であり、後続の5頭はこの馬場なりにじわっと加速しての5Fロンスパ持久力戦になっているのかな、と感じます。

 直線向いてサトノダイヤモンドが一旦先頭に立つも手応えはかなり怪しく、すぐ外にいたチンギスシークレットが楽に抜け出し、それを目標に外からタリスマニックとクロスオブスターズが差し込んできて、残り200mでは完全に脚が止まったダイヤモンドが4着、ノブレスは最下位6着、という結果になってしまいました。
 ラスト3Fは12,39-12,24-12,66と、直線半ばである程度加速しつつも最後はやや減速気味、という形で、特に加速面や切れ味は問われず、ストレートにスタミナと馬場適性に特化した一戦だったと思いますね。

 チンギスシークレットはいかにも重厚なドイツの馬、という走りで、こういう馬場自体は得意でしたでしょうし、抜け出してからもしぶとく粘り込んでいて中々に強い競馬でした。
 最後交わされたものの、タリスマニックがここまで要所で鋭い脚を使ってきたのも馬場適性の賜物でしょうし、本来ならシルヴァーウェイヴには勝てないレベルなのが逆転している所からも、特殊条件だったのが伺えます。

 クロスオブスターズは距離延長でどうかな?と思いましたが、この走りを見る限りしっかり本格化して、3歳時の様に最後ばったり止まるような形にはならなそうですね。
 こちらは良馬場の方がいい走りができるタイプでしょうから、本番で馬場が軽くなるならワンチャンスあるとしてこの馬、かなとは思います。
 重馬場ですと当然イネイブルが破壊的に強いですし、同日ニエユ賞を勝ったクラックスマンも未だ本番出否未定とはいえ、ペースが違うにしても上がり3Fを12,2-11,8-12,1くらいでまとめており、重馬場適性は非常に高いと感じますので、斤量が重くなる古馬勢が太刀打ちできるようには感じません。

 サトノダイヤモンドに関しては、こういう極端に重い馬場はからっきし駄目、というのがわかった、とは言えますね。
 道中も何度ものめるシーンが見受けられましたし、休み明けでこのタフなレースを無理に頑張ることなく負けたのは、ある意味ではプラスに考えられなくもないです。
 ただやはりシャンティイの坂適性があるのか、って部分ではちょっと微妙かな、という直線序盤の反応でもありましたし、良馬場ならガラッと変わってくる、と楽観視できる内容でもなかったのは確かです。

 元々馬群の中で競馬をしたことが殆どない馬ですが、本番で良馬場ですと、去年の凱旋門賞でマカヒキが外々回されて惨敗したように、枠の並びと横のポジショニングがかなり重要になってきます。
 当然多頭数にもなりますし、今日の様にノブレスを上手く風よけに出来るとも限らなくて、仮に内枠を引けたとしても、自分から馬群を割ってくる頑張りを見せてくれるか、そのあたりも含めて決してノーチャンスには思いませんが、斤量も含め超えるべき課題は多い、大きいというのが改めてわかった一戦でしたね。

 ただ本当に今年のメンバーはかなり小粒ではあると思いますし、イネイブルも良馬場時計勝負で隙が出る可能性は充分にあります。
 馬場が渋ったら潔く諦めるしかなさそうですので、まずはレース前のコンディションなど人事を尽くした上で、馬場と枠に天命が宿るのを期待するしかないですかね。

**★コリアカップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=XgMd69ZtNLE)**

 去年も日本馬2頭で圧倒的なワンツーでしたが、今年もまるっきりそれの焼き直し、みたいなレースにはなりました。
 ただ岩田Jのコメントにもあったように去年よりも馬場が軽かったようで、このレースもスプリントもレコード決着で、レースラップ的にもなるほどクリソライトが負けるわ、とはっきりわかる内容になっていました。

 展開は見ての通り、ロンドンタウンが好発から一気にハナを取り切り、出足の鈍さを見せたクリソライトがじわっと追いかけて2番手の外、という隊列になります。
 クリソライトが逃げて自分のペースで、となるとロンドンタウンにはやや苦しいか、と戦前は予想していたのですが、思った以上にこの馬の出足が更に鋭くなっているのと、馬場が軽かったことを見切っての思い切りが功を奏した格好ですね。

 ラップは38,1(12,7)-35,3(11,77)-37,3(12,43)=1,50,7(12,30)という推移でした。
 コース形態的にコーナーが急で向こう正面が長いイメージでしたが、ラップから見てもそれは顕著で、2コーナー過ぎまではかなりゆったり入っていますが向こう正面で11,8-11,7-11,8とえげつなくペースアップ、その後12,7-12,2-12,4と、一度コーナーで減速してから直線また加速するという上下動の大きい推移で、基本スピード勝負&加速戦に向かないクリソライトには辛い展開でしたね。

 実際去年のほうが1200m通過は速く、しかし上がり3Fが13,2-12,8-13,5という強烈な消耗戦になっていたのに対し、今年は序盤かなりのスローからの6Fロンスパ戦スピード勝負、結果的に勝ち時計で1,6も上回ってきていて、エルムSの結果・内容を踏まえてもロンドンタウンにより適性が噛み合った馬場だったのでしょう。
 その上で向こう正面からしっかり引き上げて、クリソに自分のリズムを作らせなかった岩田Jの隠れた好騎乗(失礼ながら土曜のディアドラとは打って変わって。。。)だったと思います。

 それにしてもロンドンタウンはかなり強くなってきていますね。
 ここも自分の形、得意なペースに持ち込めた(前半からハイだと苦しいのは平安Sを見ても明らかですので)とはいえ圧勝、ポジショニングもどんどんうまくなってきていますし、ダート中距離路線でトップクラスの一角に入ってきた、と見做しても良さそうです。
 元々佐賀記念の前から素材的にはかなりのもの、と思っていただけに、今年の躍進は嬉しい限りですし、チャンピオンズカップも今の先行力があるならチャンスは出てくるんじゃないでしょうかね。

 クリソライトもスピードコースの1800mではちょっと距離が足りない、という所はありますし、その中で精一杯自分の競馬は出来ていると思います。どうしても出足が悪くて最序盤から主導権を取れない分、去年の様に序盤から流れてくれればいいですけど、そうでないと勝ち切るまでは難しいタイプですしね。
 JBCは流石に間隔的に微妙かもですが、年末大賞典あたりは馬場も重くなるでしょうし楽しみです。

**★コリアスプリント [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=iZEuNCEe0SY)**

 こちらも伏兵扱いだったグレイスフルリープが、二番手から直線半ばで堂々と抜け出す横綱相撲で勝ち切り、改めて日本競馬の総合的なレベルの高さを見せつけた格好です。このクラスの馬で勝ててしまうのですから、来年以降は遠征希望する陣営も増えそうですね。距離的には香港よりも近いくらいなわけですし。

 展開はやはり大外の逃げ馬が速く、好スタートを決めたグレイスフルリープの前を横切るように先頭に立ちます。
 しかし前をカットされても怯まず、果敢に番手外を取りに行ったのが、スムーズに走るのが何より大事なグレイスフルリープには大きなプラスで、ペースも速い中、外からのプレッシャーを全く受けずに直線まで進めることが出来ました。

 ラップは34,2(11,4)-36,5(12,17)=1,10,7(11,78)という推移で、一貫減速消耗戦、ラスト1Fは13,1とかなり落としています。
 素直な印象としては、グレイスフルリープという馬の特性面からするとこれは地味にオーバーペースではあり、だから最後はかなりばったり止まっているのですが、それでも差し込んでこられる相手がいなかった、というだけかなぁ、とは感じています。
 ちなみに去年のラップが34,3-37,1=1,11,4で、それでもラスト1Fは13,0であり、去年の方が確実に馬場が重かったことを踏まえると、相手に恵まれたのは間違いないでしょう。

 今年の香港馬は、去年の勝ち馬の様にドバイ実績などもない芝馬でしたし、2着のパワーブレイドも韓国三冠馬の意地は見せましたがやはり1200mのスピード勝負に対する適応・経験値が足りていなかった感じで、この馬がもう少し短距離慣れしていたら危なかったかもしれません。

 とはいえ勝ちは勝ち、馬の気質を踏まえて気分良く走らせたことで、タフな前傾戦でも結果を残せたあたりは序盤の立ち回りが素晴らしかったと総括できます。
 流石に来年からはもう少しライバルも強力になってくるかもですが(草刈り場、的なところもありますからね)、先行力がある馬を連れていけば安定して好勝負には持ち込んでくれそうなイメージですね。
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2017 セントウルS・京成杯オータムハンデ レース回顧

**★セントウルS**

 今日は昨日よりだいぶ気温が上がり、夏の残滓をより強く感じる中での一戦となったセントウルS、青々と輝くターフの上をトップで駆け抜けたのは、このコースに実績のある1番人気のファインニードルでした。レースを振り返っていきましょう。

 阪神の馬場は、昨日に引き続き絶好の高速馬場を維持していましたね。
 一応東西共に昨日のレース後に散水はしたようですが、こちらはその影響も限定的ではあったと思います。
 今日の阪神は超スローのレースばかりなのでサンプルにはしづらいですが、超スローの西宮Sの後半ラップが11,7-10,8-10,5-11,5と中々にえげつない数字にはなっていて、どこからでもぞんぶんに脚を生かせる条件ではあったろうと感じます。

 展開は、やはり外からフィドゥーシアがスーッと進出してハナを取り切りました。
 好スタートを決めたファインニードルは、無理に抵抗せず少し下げてポケットに入り込み、その外にラヴァーズポイントが上がっていって番手外で積極的にレースを進めていきます。
 その後ろにアルティマブラッド、アドマイヤゴットなどが続いて先団を形成、ここから少し離れた中団にミッキーラブソング、ラインミーティア、スノードラゴンなどがいました。
 そこからもう一列後ろの外目に、久々でやはり少し煽り気味のスタートになったダンスディレクターがおり、メラグラーナもスタートは五分だったものの二の足でスッと置いていかれて後方の内目、というポジションになりましたね。

 ラップは33,8(11,27)-33,7(11,23)=1,07,5(11,25)という推移でした。
 我ながら珍しく馬場読みとペースだけは東西完璧だったというか、それでも予想はかすりもしないのでお話にならないのですけれど(笑)、ともあれ前半流れているようでも比較的ゆったり目で、特に淀みはなく再加速こそなかったですが、後半も11,1-11,1-11,5とラストまでそんなに落としていません。

 なので正直このペースでフィドゥーシアやラヴァーズポイントがなんもなかったのは解せないなぁ、という所はあるのですが、この時計でも全然馬場的には出し切れておらず、後傾型の馬が持ち前の切れ味を存分に発揮できる水準で前半は楽だった、と考えられそうではあります。
 先団に入っていかなければ追走面ではかなり楽なレースですし、前で総合力を発揮する馬がいくらか崩れたのに乗じて、立ち回りや切れ味で光るものがある差し馬が台頭してきた、というイメージですね。

 勝ったファインニードルは、こちらは文句なくイメージ通りの競馬をしてくれたと思います。
 スタートが決まったのも良かったですし、やはり阪神で平均からやや後傾くらいでゆったり入って、要所の一足をしっかり生かしてくる競馬はプラスでしたね。
 この馬自身は34,1-33,4のバランスですし、無理なく前に目標を置いて、コーナーで緩んではいないのでそこで内々なのも楽でしたし、直線も早めに抜け出しての完勝でした。

 タイプ的に前走同様前傾戦で強みが増すタイプではないと思っていますので、余勢を駆ってのスプリンターズS、となると簡単ではない、とは感じますが、やはりアドマイヤムーンの仔は超高速馬場巧者でもありますので、スプリンターズS週まで今の中山の馬場が維持されるようならちょっと面白いかもしれませんね。

 しかし2着がラインミーティアとは…………。後付けで考えるならなるほどアリだったか、と思えるところもあるのですが、流石にこれまでの戦績で1200m実績がなさ過ぎて拾えませんでした。
 ただ馬自身は7歳にして意気軒昂ですし、1000直が合う=後傾型の競馬は合う、というメカニズムはありますので、インベタで差してくる穴馬が1頭はいるだろう、と踏んでいただけに痛恨ですね。

 隊列的にも前と少し分断される形の中で、エアポケットのような中団のインという絶好位で、自身34,7-33,0と楽なバランスで入れていて、かつ直線向くところでも内のスペースががっぽりと、これ以上なくお膳立てが整ったところならこのくらいは、という印象です。
 純粋に差し馬の資質・素材としては当然3・4着馬の方が上だろうとは思いますし、流石に3匹目の泥鰌はいないでしょうけれど、それでもこの2着でサマースプリントチャンピオンもエポワスから逆転で奪取、という事になったでしょうし、西田Jとしても1000直だけじゃない、と意地を見せた格好ですね。

 3着ダンスディレクターは、この馬の競馬は出来ましたし、この絶好の馬場で自分の末脚は出し切れているとは思います。
 出負けこそしたものの外枠の分リカバーは楽で、このあたりの立ち回りの優位性が最後の3着争いでも生きてきたとは思いますが、骨折明けでもしっかり能力落ちはない事を示してきました。
 この馬は35,1-32,6と更に極端なバランスで、流石にここまで後傾ですと時計勝負の面も出てくる中では物理的に届かない、というのはあるでしょうね。元々1200mは時計面に限界がある馬ですし、自分の競馬に徹した上での好走、と言っていいと思います。

 ただ、またこれでスプリンターズS穴人気するかもですが、そこそこ時計の出る良馬場でなら一銭もいらない、とは思っています。
 中山で先頭列が平均くらいまで落ち着く可能性は相当に低いですし、コーナー加速が得意な馬でもないわけで、そこそこ時計のかかっていた去年もなにもなかった以上、少し渋るくらいの恩恵がない限りは拾うつもりはないですね。

 4着メラグラーナに関しては、今日はやっぱり枠が良くなかったですね。
 どうしても下げて下げての競馬で位置取りが後手後手になりましたし、コーナーから直線の進路取りなどは中々緻密で、ラストもしっかりこの馬らしい切れ味は発揮していて善戦したと思いますが、このコースのメカニズムではこれが限界でしょう。
 この馬も今のところは時計面の限界を感じるところが多いですが、ダンスディレクターよりは追走面で少し無理が効くイメージはありまして、叩き2走目の中山で、外目の枠からそこそこのポジションが取れるようなら、こちらはワンチャンスはあっても、と思います。

 正直フィドゥーシアがこの競馬でここまで脆かったのは意外です。
 勿論前傾になり過ぎると駄目とは思いますが、勝ち時計から見れば綺麗な平均、外目からすんなり入れていて、直線入り口くらいではこのままファインニードルとワンツーだろうと思ったんですけどねぇ。

 強いて言えばやはり直線競馬が続いた後で、単調な形での逃げで息がいれられなかったのが響いたか、コーナーのあるコースで明確に逃げの形を取ったのが合わなかったか、使い詰めというわけでもないので難しいところです。
 素材的にはどこかで重賞制覇できる馬、とは思うので、改めて京都1200mあたりは期待できそうな気がします。流石にまだスプリンターズSだと家賃が高そうですけどね。

**★京成杯オータムハンデ**

 大混戦の下馬評だったハンデ重賞・京成杯オータムハンデは、グランシルクが今までの善戦マンぶりが嘘のような鮮やかな差し切りを見せ、同時にサマーマイルチャンピオンの座も獲得しました。レースを振り返っていきましょう。

 昨日の馬場予想で超高速馬場と見立てたのですが、午前中のレースは比較的時計がかかっていました。
 それで週末情報見たら散水、と書かれていたので、きっとたんまり撒いたんだろうなぁ、と思ったものの、それでも今日は夏が出戻ってきたかのような陽気、午後には完全に乾いて、このレース時点では超高速馬場に戻っていたと考えていいと思います。

 9Rの木更津特別が47,3-46,0=1,33,3で、昨日の焼き直しの様にラスト3Fが11,6-11,3-11,3とラップが落ちない状況では、かなり流れたように思えるこのレースでもまだ完全には流れ切っていなかった、というイメージで見ていいですし、それでも前に行けば一定の追走力は必要で、後半勝負でも超高速馬場での持続力適性はかなり高く問われたのではないかと考えます。

 逃げたのはやはりマルターズアポジーでしたが、テンが12,5と、この馬にしてはすんなりハナ、とまでいかなかったのは斤量面もあるでしょう。
 ボンセルヴィーソはすぐに控えてポケット、ウインフルブルームが積極的に追いかけ、外からマイネルアウラートも前目に入っていって、ブラックスピネル、ロサギガンティア、オールザゴーあたりも強気に前に取りついていきました。
 馬群はかなり縦長になって、その後ろの中団グループにダノンリバティ、ダイワリベラル、そしてグランシルクが虎視眈々と構え、そのやや後ろ内目にガリバルディ、ウキヨノカゼとトーセンデュークあたりが後方待機策を取る中、レースは緩みなく淡々と、アポジーの強気のレースメイクで展開していくことになります。

 レースラップは34,6(11,53)-22,5(11,25)-34,5(11,5)=1,31,6(11,43)という推移でした。
 全体的には綺麗な平均ペースで流れていて、ハーフで取っても45,8-45,8なのですが、このレースのポイントは中盤2Fのえげつない速さです。
 レースバランス的にも明確に中盤で最速ラップを刻んでいて、これは純粋に道中では全く息が入らなかった事を示しており、特に序盤で足を使って前に取りついた馬には、平均でもかなり苦しい展開だったのは間違いありません。実質アポジー以外の先行馬は全滅ですからね。
 イメージ的には関屋記念はスローからの5Fロンスパでしたが、このレースは消耗戦寄り、どちらかと言うなら小倉大賞典的な競馬をしていて、ただそれでも超高速馬場の為にまだペースを引き上げ切れておらず、追走面をクリア出来た中団以降の馬に切れ味と持続力を遺憾なく発揮させることになってしまった、と考えられますね。

 ともあれ、馬場が特殊条件だったのはあるにせよ、レース自体はかなり底力を問われる内容になっていますし、コーナーで緩みも少ないので、通したところの差も少し影響はあったはずで、そのあたりを補正しながら評価の序列を見極めておきたいですね。

 勝ったグランシルクに関しては、昨日の予想の時点でも超高速馬場巧者の可能性は高いと示唆しておきながら、印的に半端な扱いをしてしまったのが悔やまれますねぇ。
 古い話ですが相模湖特別の勝ち方が本当に素晴らしくて、この馬は高速馬場で足を溜めて後傾型にシフトすれば、持続力面で一段上の性能を見せてくれるのではないか、とずっと思っていたんですよね。
 OPに上がってからは、実質的に超高速馬場、という条件には恵まれていなくて、中山戦でも去年の秋とか、冬場のレース、春のダービー卿も稍重でしたし、その意味ではOPに上がってここではじめて本領を披瀝できる条件に出会えた、とも思えます。

 今回は枠も良かったのである程度スムーズにポジションも真ん中あたりを取れましたし、その上で最低限の追走力は問われても削がれないのはこの馬の良さのひとつではあります。
 このレースでも推定46,9-44,7くらいのバランスで走破しており、時計勝負の中で常識的な後傾バランスを踏むことで、後半の爆発力を一段上のステージに上げてきたのは間違いないと言えるでしょう。

 レースラップが11,5-11,6-11,4と、この馬が突き抜けたことで最後加速する数字になっていますが、この馬自身は残り200m地点でまだ2馬身弱はあったので、推定で11,3-11,0-11,1くらいになるでしょうか。
 コーナー地点では大外に持ち出しながらも切れ味で明確に勝って捲り切ってこれていますし、実質的にはそこが最速ラップながら、こういう馬場ならそれをラストまで落とさずに維持できる、それが普通の馬場の時にあと一歩足りなかったのとは打って変わっての好走の実質的な要因だと踏んでいます。

 馬のイメージ的にはアレですね、サトノアラジンと似てるかなって思います。
 綺麗な高速馬場で、時計勝負で後傾型の競馬をすればGⅠ級、というのがこのレースでははっきり見えたと思いますし、今までの堅実さも踏まえれば、今後大きい舞台で噛み合う馬場が来るなら強めに狙ってみたいな、と感じさせる凄みがある走りでした。

 2着のガリバルディにしても、こういう綺麗な馬場での持続力勝負は得意な方ではありましたし、枠も良く、コーナーまでしっかり内目で我慢した事で、最後までいい脚を維持できたのだろうと思います。
 立ち回り的には明らかにグランシルクの方がロスの多い競馬になっているのに、直線入り口でサーっと突き放されていますので、内容的には完敗ですけど、この馬も舞台が整えばまだ十分重賞クラスで戦えるところを見せたとは言えますね。

 3着ダノンリバティも、結果的に外枠であまり前に行けなかった事と、高速馬場で実質かなり後傾バランスで走破出来たことが去年とは逆に上手く噛み合った、と見ていいでしょう。
 それでも道中は外々でしたし、自分から動いて勝負に出て、ですので、このレースに関してはガリバルディよりは強い競馬をしていると考えたいです。
 ただ切れ味の質・持続力面では共にグランシルクには完敗でしたし、この馬も時計勝負の舞台でバランスをしっかり意識すれば、重賞に手が届いてもいいとは思うんですけどもどかしいですね。

 4着マルターズアポジーは非常に強い競馬でした。
 展開で強調したように、テンが遅いわけでもないながら中盤を全く緩めず、むしろ加速していくというのは中々の離れ業ですし、そういうワンペース型の競馬でもそこそこ戦えるというのは、今後改めてこの馬に絡んだら潰される、というイメージを持たせる上でもいい負け方だったと思います。
 今日の場合はこのペースでも平均、と、物理的にハイに持ち込むのが厳しい超高速馬場でしたので、後続の脚を全てなし崩しに、とはいかなかったですし、グランシルクが超高速馬場で圧倒的にパフォーマンスを上げてきたのもありますので、これは責められない敗戦だと感じますね。

 でもこの馬の強みは、ある程度時計のかかる馬場でもこういう芸当が出来る、という事で、もしも今年、去年くらいマイルチャンピオンシップの時期の淀が重くなっていたなら、これはかなり面白いんではないか、と思わせる内容でした。
 時計面ではこのくらいが限界、というのもあるでしょうから、ハイに振れても32秒後半くらい、という現実的な馬場での一発は期待したいですし、香港マイルもかなり合うと思うので狙ってみて欲しいですかね。

 ボンセルヴィーソやブラックスピネルに関しては、ハイペース自体は適応できるけれど、ここまで息の入らない、淀みのない流れだと厳しいんだな、というのが改めて見て取れましたかね。
 正直ここまでアポジーがやってのけるか半信半疑だったのもあり、馬場も踏まえれば先行勢は楽かな、と見たのですが、そこは大きな過ちでした。高速馬場だからこそ辛いペース、というのもありますし、レース傾向的にも差しが強い、というのはあるわけで、ちょっと安易に比重を寄せ過ぎたと反省です。 
 まあどちらも自分の形に入っていければここまで崩れるとは思わないので、改めて次も期待はしたいですけどね。

 さて、これを書いている間に韓国では続々快挙の報が飛び込んできていますね。
 勿論近い内にしっかり回顧するつもりですが、一先ずはグレイスフルリープ、ロンドンタウンの両馬御見事でした。
 この勢いが深夜のサトノダイヤモンド&ノブレスに繋がって欲しいですね。
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2017 紫苑S レース回顧

 夏の名残は残しつつも、風の爽やかさが秋近し、を告げるような陽気の中で行われた、秋華賞トライアルの紫苑Sは、外を回すロスをものともせずにディアドラが力強く差し切り、春に示した実力に陰りのないことを証明して、堂々本番に向かう事となりました。レースを振り返っていきましょう。

 まず馬場ですが、これは正直大外れでしたね…………。
 全体時計そのものはあまり出ていないのでわかりにくいところはありますし、今日の芝のレースは非常に偏った条件ばかりでまともな古馬の条件戦が全然なかったので尚更ですが、少なくともここ2年くらいのイメージとは違い、普通に超高速馬場だと思います。
 なぜそう考えるかと言えば、今日の芝レース、ほぼ全てがラスト1F最速ラップを踏んでいて、全く出し切っていない状況だからです。

 そこそこ流れて1,34,4の好時計だった2Rの未勝利戦でもラスト3Fは11,9-11,6-11,5という推移ですし、新馬戦は超スローから11,4-11,3-11,2、アスター賞も超スローから11,6-11,1-11,0と、全くラップが落ちず、直線でかなり高い切れ味を問われる展開ばかりでした。
 レースレベルが?なスーパー未勝利でも11,6-11,3-11,4と辛うじて減速したくらい、この紫苑Sも例に漏れず11,5-11,4-11,4と最後までラップが上がり続ける展開であり、最終の1200m戦がどうか後で見たら追記しますが、とにかく騎手のイメージ以上に馬場は絶対的に軽い、と断じていいでしょう。
(追記:最終もやっぱり11,4-11,2-11,4とほぼ前が落とさず平均ペースの逃げ切り圧勝でしたね。流石に明日は騎手の意識も変わってくるとは思いますが。)

 多分平均で流れていれば、この紫苑Sのレベルでも1,58,5くらいは楽々出てしまう馬場だと考えますし、そうなるとバランス的には当然スローによりやすく、かつ時計勝負で切れ味も問われるのは必然でした。
 まあ後付けで書くとなんとも不甲斐無い話なのでアレですけど、こういう馬場とわかっていればホウオウやマナローラの代わりにポールとカリビアンに印回すわ~、と、正直帰宅してレース結果見た段階で思いましたし、1コーナーでミッシングリンクが一気にペースを落としたのが目に見えてわかって尚更に、でしたね。

 裏を返せば、よくそれでディアドラが勝ち切ってくれたなと、個人的にはそれだけが救いではあります。
 まぁ開幕週の土曜ですので仕方ない面もありますし、この馬場読みをなんとか明日の結果に繋げたいところですね。

 ともあれ、レース展開はミッシングリンクが外連なく逃げの一手で先頭に立ち、それを内からジッバーレーン、中目からプリンセスルーラー、外からナムラムラサキとシーズララバイあたりが追いかけて2列目を形成していきます。
 好スタートだったカリビアンゴールドはその1列後ろの内目をしっかり取れて、その更に内にブラックオニキス、外にサロニカがいて、ポールヴァンドルはその内側、丁度カリビアンゴールドを見る位置で追走していました。

 ディアドラも五分のスタートからリズム重視で少し下げて中団の後ろ、いつでも動ける外目のポジションを確保し、その同じ列のインにライジングリーズンが構え、ルヴォワールはディアドラを見る位置、やはり出足が良くなかったホウオウパフュームは更にその後ろという並びで、スロー故に馬群が一塊になっての道中、という感じでした。
 仕掛けも向こう正面から一気にスイッチが入る感じではなくじわじわと、3コーナーから11秒台には入ってくるものの上がり切らずに、そこからはかなり切れ味と持続力が強く問われる展開になっています。

 ラップ推移でみてもそれは明らかで、36,0(12,0)-49,5(12,37)-34,3(11,43)=1,59,8(11,98)という流れ、テンはそこそこ流れてはいますが中盤、特に中盤の前半が遅く、ハーフで見ると61,3-58,5と、3秒近い後傾ラップになっています。
 後半が12,3-11,9-11,5-11,4-11,4という流れで、極端な加速力は問われていないものの、3コーナーからコーナー全体でじわじわとペースが引き上げられており、当然ながらここでの立ち回り、横のポジショニングは大きな影響がありました。

 外を回せば回すだけ実質的な速度は高くなりますし、そのままラストまで落とさない展開なので、持続力面で相当にいいものがないと外から差し込むのは難しかったと見ていいと思います。
 実際に2~5着馬は全て、横のポジションで内から2頭目までにいて、3~4コーナーでも内目をタイトに回ってきた馬なので、はっきり着差以上にディアドラが凄みのある競馬を見せてくれたといっても過言ではないでしょう。

 しかし本当にディアドラという馬の好走スポットの広さとタフさには頭が下がりますね。
 前走減っていた体重も+12kgとしっかり戻してきて、レースに入っても外枠の分当然立ち回りで大分損を被る格好にはなっています。
 向こう正面から少しずつ動いているのもあり、レースラップから逆算しても実質的なバランスは超々スロー、おそらく後半5Fを57,5くらいでまとめてきており、それをずっと外々で、というのは相当の持続力です。

 かつ4コーナーでは大外を通した分流石に差を詰め切れず、残り200mでも前と3馬身近くの差はありましたので、この馬自身の上がりから見るとラスト3Fは11,5-11,4-10,9くらいになってくるのかな、と思います。
 無論実質的には、4コーナーでサロニカが膨らんで余計に外を通した部分も含めて、かなり400-200m地点でも鋭い脚を使っていると思いますが、それでも自身はラスト1F最速で突っ込んでくる余力があったのは見事の一言です。

 裏を返せばそれだけ時計が出やすい馬場だった、とも言えますが、元々追走力も高いレベルで備えている馬ですので、超高速馬場になりやすい秋華賞の舞台を鑑みる上でも非常に楽しみな走りを見せてくれたと言えそうです。
 ただ、勝利ジョッキーインタビューでは、アナウンサーは当然次も乗るもの、くらいの感じで喋ってましたけど、岩田Jってファンディーナの方に乗るんじゃないのかしら?と。実際歯切れも良くはなかったですし、この馬も非常に強いのは確かですので、身体が二つ欲しいところかもしれませんね。

 2着カリビアンゴールドは、距離延長で淡々と流れて、かつややタフな馬場だと距離適性などで苦しいかな、と思っていたのですが、思った以上の高速馬場とスローの展開を上手く味方につけて、しっかり最後まで切れ味を引きだしてきましたね。
 やや外目の枠ながら、1コーナーでインに潜り込んだコース取りは良かったですし、やや掛かり気味にも見えましたけどポジショニングとしては最高でした。
 コーナーでは外枠の馬が先に仕掛けるのをワンテンポ待って、外の馬が脱落する完璧なタイミングで前のスペースを確保できましたし、これで負けたら仕方ない、というくらいのレースだったと思います。正直着差以上にディアドラとの力差は大きいですし、こちらは秋華賞で関西初遠征ともなりますから、ここの力関係を覆すのは相当に難しいだろうな、とは考えます。

 3着ポールヴァンドルも同様に、思ったよりポジションが後ろだった分もあるにせよ、コーナーでは上手く内目を通しつつ、直線入り口でスッとロスなく外に出せていて、このあたりの立ち回りが最後まで鋭さを維持できた要因にはなっているでしょう。
 ただラスト1Fでは、あれだけロスがあったディアドラに見劣っている所からも、やはり素材面では強調し辛いのかな、とは思います。特に秋華賞はそこそこ流れて時計勝負になりやすいですし、余程絶好の内枠とか引けない限りはちょっと苦しいかなと感じる負け方でした。

 4着ブラックオニキスは、2~3着馬より内を回っていた分は楽、けれど仕掛けのタイミングを上手く作れなくて立ち回りで負けたところと、純粋に持続力・切れ味の面で足りなかった、その両面があるでしょう。
 オークスでもそこそこ走ったように、このくらいの距離でゆったり入れればそんなに崩れるタイプでもない感じで、それまでは距離が足りなかった、と見做せるのをもうひとつここで裏付けてきたかなと思います。
 この馬なりに馬体を増やして成長も見て取れますし、基本人気しにくいタイプですがレースセンスは高いので、2200~2400mくらいの条件戦で面白さはあると思いますね。

 5着ライジングリーズンも、馬の個性的にこういう溜める競馬しか出来ないというのはありますし、この流れで後半速い脚を問われる中では善戦した、と思います。
 ただやっぱりこの馬も立ち回りは内々、ですし、持続面では強調できるほどではないのですよね。
 この馬の場合は流れた方が強い、という所もありますし、コースが合うかはともかく秋華賞でタフな流れになれば、2年前のクイーンズリングみたいな競馬が出来る可能性はある、とは思いますが、やはりあの舞台で走ってくるにはかなり狭い好走要因を潜り抜けないと、という感じはありますかね。

 ルヴォワールやサロニカなんかは逆に、ずっと外々でディアドラには完敗とはいえ素質の一端は見せた、と言える内容でしたし、次でガラッと良くなる可能性を踏まえれば楽しみな負け方だったと思います。
 ホウオウパフュームも春よりは良くなっていたとは思いますが、やはり究極的な切れ味や持続力は低く、もう少しタフな馬場か、距離伸ばしてタフな展開待ち、という事は変わりないかな、というレースぶりでした。
 ミッシングリンクはこれだけ前半落とせたなら、向こう正面からもう少し強気に仕掛けていって欲しかったなぁ。他の馬にも余力がある展開だとどうしても切れ味と持続力では足りないですからねぇ。でもこの馬場に即座にアジャストするのは難しいと思いますし仕方ないですかね。
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2017 9月第1週海外G1などレース回顧 その他雑談

**★ウッドワードS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=cpeLFit0tFE)**

 ガンランナー、盤石の圧勝、といったところでしょうか。
 BCクラシックに向けての主要な前哨戦のひとつ、伝統のウッドワードSは、2番手から早めに抜け出したガンランナーが後続に10馬身以上の差をつけ好時計で勝利し、パシフィッククラシックで連敗を喫したアロゲートに対し、BCクラシックで雪辱を果たすべく、その鋭利な牙をこれでもかと誇示してみせた格好です。

 相手関係的にはドバイで千切ったネオシリックあたりが人気の楽なメンバーでしたが、それでもこの勝ち方は圧巻です。
 ラップ的にも凄みがあり、23,20-23,36-23,89-24,33-12,65と、綺麗な減速戦ではありますが後半も極端に落とさず、このレースがサラトガ開催になってからのレースレコードで駆けてきました。
 こういう競馬が出来る限り、もう1Fの延長が大きなブレーキになるとはちょっと考えにくいですし、現状は明らかにアロゲートよりも確実に前目で走れるので、かなり有力視していいのではないかと感じますね。
 今年は3歳世代が猫の目打線でかなり低調でもありますし、パシフィッククラシックの上位勢とこの馬が主軸の、去年ほどのワクワク感はあまりない一戦になるかもですがそれでも楽しみです。

**★チェルムズフォードS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=gKp54pVokDo)**

 今週のオーストラリア競馬は、トーセンスターダムが3着に入ったGⅠレースなどもあったのですがその辺は地味ですので、GⅡですがいつものウィンクスのレースの方を。まあレース名の読みがこれで正しいのか、いつも以上に自信がありませんが(笑)。

 今回はスタートをきちんと決めたウィンクスですが、先行馬がかなり離して逃げている中で、道中は並び順では中団くらいの位置でじっくりと構えています。
 レース映像だけ見ているとかなり前のペースが速いのか、と感じますが、実のところこれかなりのスローだったらしく、ウィンクス自身は前走に引き続き、かなり無茶な後傾ラップでの持続力特化戦で強烈に差し込んできた、という格好になるようです。

 正直前走にしても4コーナーでの位置取りは絶望的に思えましたし、このレースもコーナー回る時点では2番手集団の一角で前とは6~7馬身差とかなり冷や冷やではありますが、しかしこれを楽々差し切ってしまうのがウィンクスの恐ろしさ。
 実際に3着馬とは、残り300mではほぼ並んでいるのにそこから5馬身近く差をつけていますし、この強烈に過ぎる持続力は本当に神かがっています。

 近走は着差自体は小さいですが、それでも普通なら勝ち切れない展開で勝っており、改めてその凄みを見せつけているなぁと。
 元々距離が伸びて、かつペースが上がったほうがより強い馬ではありますし、おそらくあとひとつ叩いてコックスプレート、というローテーションでしょうが、今のところは故障以外でこの馬が負ける姿を想像し辛いですね。本当にいつもそのレースぶりには感動の一言です。

**★ソングバード引退**

 だそうです。
 前走の負けから巻き返して欲しい、と書きましたが、その後骨折が発覚して、という経緯のようですね。
 今年に入って復帰も遅れ気味、内容もイマイチでしたし、或いは元から足元にモヤモヤがあるのを、だましだまし使ってきたところもあるのかもしれません。

 去年の春過ぎくらいからずっと応援してきた馬ですし、本当に走りのリズムやフォームが綺麗な馬で大好きだったので、引退は非常に寂しいですがこれも競馬の常、仕方ないですね。
 繁殖でもその素軽いフットワークを受け継ぐ仔を出して欲しいですが、アメリカって日本や欧州ほど、活躍した牝馬の子供が活躍する、って話を聞かないんですよねぇ。ゼニヤッタの仔とか全然話題にも出てきませんしね。

**★今週末の海外競馬シーン**

 先週はあまり目立ったレースがなかったので短めの記事になりましたが、来週は世界各地で楽しみなレースが目白押しになります。
 日本人としてはやはりまず注目なのは、凱旋門前哨戦ウィークの、フォワ賞に出走するサトノ2騎、となるでしょうし、同日ニエユ賞やヴェルメイユ賞などのライバルの動向も気になるところです。

 アイルランドでも、この国最大の競馬イベント、愛チャンピオンズデイがあり、むしろ凱旋門賞の強敵はこちらから、というパターンも多いのでやはり注目、更には韓国国際レースにクリソライトなどの参戦もあり、本当にワクワクしますね。
 余裕があればプレビュー記事なども書けたらと思いますし、当然回顧もしっかり進めていきたいところです。国内も本場に戻って、土日重賞があるのでまた忙しくなりますねぇ。
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2017 小倉2歳S・新潟記念 レース回顧

**★小倉2歳S**

 去年の勝ち馬レーヌミノルは桜花賞馬にまで駆け上がっており、今年もそれに匹敵するスケール感のある馬が出現するか見物だった小倉2歳Sですが、好位の外から早めに抜け出したアサクサゲンキが押し切っての勝利でした。うん、とりあえずやっぱり騎手って大事だよなぁと改めて思わされた一戦です。。。

 馬場状態は昨日とほぼ変わらず、少し内側が荒れてきてはいるもののそこそこ時計の出る馬場ではあったと思います。
 1Rの2歳未勝利戦が、上位2頭は抜けて強いとはいえ34,0-35,0=1,09,0、8Rの500万下も33,6-34,7=1,08,3ですので、このレースの1,09,1は正直かなり物足りない数字ではありますね。

 展開は、内から二の足を効かせたフローラルシトラスがやはり逃げを打ち、それをすぐ隣のオーロスターキス、外からモズスーパーフレアが追いかける展開になります。
 その外からこちらも好スタートだったアサクサゲンキは、前のモズをしっかり目標にする形で三番手の外をキープし、ジュンドリーム、ルリハリあたりがそこに加わっていくところ、少しダッシュが効かなかったアイアンクローがリカバーしてこの集団に取りつく形になりました。

 その後ろに、スタートは良かったものの二の足で少し下げる格好になったヴァイザーと、スタートで後手を踏みリカバーしつつのバーニングぺスカがいて、出負けしたイイコトズクシやペイシャルアスは後方内々からじわっとリカバーしていく形でしたね。
 全体的にごちゃっとした、2歳馬らしい込み合ったレースでしたし、内の馬場もそこまで良くはなかったと思うので、外目からスムーズに流れに乗れた馬が楽だったとは思います。

 ラップは33,3(11,1)-35,8(11,93)=1,09,1(11,52)という推移でした。
 テンの2Fが22,0と相当に速く、それに人気のモズスーパーフレアが積極的に絡んでいったことで、予想以上に展開は前掛かりになった印象で、後半は11,6-12,0-12,2と、コーナーから減速している綺麗な消耗戦なので、基本的には追走面での素材をかなり特化的に問われたレースになっているのではないかと思います。
 ご存知の通り、基本的にはこういう波のない一貫減速戦がスプリント戦では一番時計が出やすい展開でもありますので、ラップで補正してみると1Rとの差はかなり大きく、それだけこの頭数の中でスムーズにレースを進めるのが難しい、という証左でもありますが、一方で前傾戦でより良さを発揮してくる馬はあまりおらず、追走面に裏付けがあった馬が粘り込んだ、というイメージですね。

 勝ったアサクサゲンキは、都合この夏4戦目で上積みがあったとは思いませんが、前走で見せた一貫前傾消耗戦への適正を、今回も外枠からスムーズに、フルに生かし切ったな、という感じです。このあたりのバランスの組み立て方は流石の武J、というところですね。
 スタートも完璧に決めて、かつモズが前に行ってくれたのでこれを目標につかず離れず、ペースを落とさせずに入っていくことが出来ましたし、コーナーでモズのあおりを受けてやや外に膨れたものの許容範囲、直線はしっかり粘り腰を発揮して、自分の時計通りには走ってきた、というところでしょう。

 正直ジュンドリーム戦のようなパターンであっさり出し抜かれるように、後半要素での良さはあまりないタイプですので、今後も好走パターンはブンブン飛ばして粘るのみ、とはなりそうで、あまり将来性を感じさせる勝ち方、時計ではないのは確かです。この世代からは降級がなくなるので、これで一生OP馬が確定しましたしねぇ。
 それでも自分の形に持ち込んで、他の馬を削げる形でなら強さを発揮できるタイプですので、同系色の強敵がいない場面なら、という限定的なスポットを上手く拾っていければ、でしょうね。
 新馬の内容からいずれダートを試してみても、ですし、中山や小倉で狙えるタイプになるとは思います。

 2着アイアンクローは正直かなりの自信度で消していたのですが、この時期の2歳馬の経験値の大切さを思い知らされる結果でしたね。
 新馬が強い勝ち方ながら完全後傾戦で、その時点で1200m向きではないと思っており、実際に前走1秒ちょいの前傾の流れに乗っていって味がなかったので、よりペースが上がるここではもっと無理だろうと高をくくってしまいました。
 ですが実際のレースでは、ペースが速いところでしっかりリカバーを掛けつつ前についていって、最後までしぶとく粘り込んでおり、逆にここまで流れ切ってしまえば素材と経験値で何とか我慢できたのかなぁという印象です。

 多分能力的にはこのメンバーでは1、2を争う馬だとは思っているので、この走りで次に距離延長で嫌われるようなところがあるなら、むしろ狙ってみたいと思わせますね。
 まぁ良くも悪くもこの経験から折り合い面に不備が出ると難しいところですが、マイルくらいでも後半勝負でチャンスを作れるくらいの馬ではあると個人的には思っています。今回は能力面で来られてしまったな、という推測です。

 3着バーニングぺスカも、素材的にはいい馬なんだけど乗り方がなぁ…………とはなりましたね。やっぱり武Jがこっちに乗らないなりのなにかはあったのでしょうか。
 ただ上記1R未勝利戦も、ラブカンプーは改めて強い2着でしたし、あのレースの質の高さは間違いなかったと言えます。
 でも今日ははっきり出負け気味になって、リカバーしたくても微妙に前が壁で頭を上げながらの追走と、かなりロスの大きい競馬になっていました。
 馬自身はそれでも最後までしっかり走れていて、前傾戦への適正の高さははっきり見せていたのでこのくらいは当然、とは思うのですが、やはりもう少しスムーズに前目を取れていたら、と惜しまれますね。

 4着ヴァイザーも、ペース自体は対応してきたとはいえ、やっぱりちょっと1200mは短いのかなぁと感じさせました。
 スタートは良かったですがこのテンの速さについていけない格好でしたし、枠も真ん中だったせいでスムーズに動けず、直線向いても外の馬と接触したりとバーニングぺスカ同様にかなりスムーズさを欠いてはいたと思います。
 最後は地力で突っ込んできましたし、基本的には流れるタフなレース向きなんでしょうけれど、距離は1400m~1600mあたりで、ある程度自分でペースを作っていく形が今のところはベストかな、と感じました。

 7着モズスーパーフレアに関しては、松若J、若いなぁ…………とまず思わざるを得ませんね。いや実際に若いんですけれど。。。
 まぁこの枠でスタートは決めたい、揉まれたくないという気持ちはわかるのですが、それでもあそこまで積極的に出していってどうか、というのは、前走も再加速戦の中でその機動力が最大の武器、というのを見せていた中では未知数であり、正直位置取りを見た瞬間に嫌な感じはありました。
 イメージ的にはアサクサゲンキを行かせてその後ろでスペースを作る感じを期待していたのですが、ガラッと立場が逆になってしまいましたし、この流れを無闇に追い掛け過ぎたのもちょっと馬の力を過信し過ぎていたのではないかと思います。

 もちろんこの時期の2歳馬で、前傾戦でより良さが出る可能性もないわけではないので、半端に馬群に揉まれて負けるよりはまだ、とは思いますが、前走のイメージを大切にするならもう少しじわっと入る選択は取れなかったか、素材面でそこまでの馬がいない組み合わせでもありましたし、勿体ない競馬になったとは思います。
 この馬自身はここまでの前傾戦は駄目、となるなら、はっきり距離は伸ばした方がいいですね。
 まずは1400~1600mで、前を取りつつコントロールする意識で、後半の良さを引きだしてどこまでやれるか、次走あらためて注目したい1頭です。


**★新潟記念**

 こちらはタツゴウゲキが夏の勢いそのままに、2番手から力強く押しきってサマー2000シリーズのチャンピオンの座を獲得しました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場状態は、やはり少し内側が傷み始めて通すところや巧拙は問われた印象ですが、未勝利2000mが2,00,7で、内回りとはいえ500万下1400m戦が1,21,3ですので、まだギリギリ高速状態、くらいではあったと思います。
 その中では1,57,9はまずまずの時計だと思いますし、ラップ的にも綺麗に流れて、どの馬でも力を出せるフェアなレースになったのではないかと感じますね。

 展開は、まず内からタツゴウゲキが素晴らしいスタートを決めてハナを伺いますが、外からじわっとウインガナドルが来たのでそちらに譲って番手外に持ち出しある程度積極的にプレッシャーをかけていきます。
 その後ろに、内からこれも積極的にカフジプリンスが出していって3番手、それを見る形でソールインパクトとアストラエンブレムがいて、マイネルフロストはいつもより消極的にその2頭のやや後ろを追走していました。
 その後ろ、内目からロイカバードとハッピーモーメント、ロッカフラベイビーもこのグループの後ろくらいにいて、やや出負けしたルミナスウォリアーとフルーキーが後方寄り、トーセンバジルとラストインパクトはほぼ最後方に近い位置でレースを進めていきました。

 ラップは35,2(11,73)-48,1(12,03)-34,6(11,53)=1,57,9(11,79)という推移でした。
 思ったよりタツゴウゲキが積極的だったことで前半のペースが上がり、けれど中盤も一番遅いラップが12,3と極端に緩む事はなく、息を入れにくい淡々とした平均ペース、と考えていいと思います。
 後半も12,3-12,0-11,4-11,2-12,0と、じわっとですがコーナー出口から引き上げられて速い脚が分散させられ、その分新潟外回りにしては最速地点の加速度が低く、切れ味よりは持続力面をより強く問われる展開になっています。

 後ろからでも一定の追走力は問われるペースでしたし、やっぱり余程持続力か切れ味の質がないと一気に差し込める展開ではなかったとは思います。内を上手く立ち回っても、インが伸びにくい馬場にもなっていて、先行馬がコーナーでも変に落とさず入っていったことで、平均だけど前残り、という面白い結果になっているなと感じますね。
 なので基本的には序盤のポジショニングが成否を握ったところはありますし、その上で高い総合力を問われた一戦、と考えたいです。

 勝ったタツゴウゲキは、予想以上の積極性が功を奏した格好ですね。
 ここ2走のようにハイペースでも一脚は使えるし、垂水Sのようにスローペースの持続戦でも一定やれる、元々好走スポットが広い馬ですので、今回はその間の平均ペースからの持続力戦でもしっかり結果を出してきました。
 ただハイペースの時ほど他の馬を削げる部分は少ないですし、高いレベルで見れば後半要素だけでは勝ち負けまでは危ういかな、という印象ですので、それを補う形でポジション、仕掛けともに早め早めにしていったのはファインプレーだったと思います。

 おそらく切れ味の質の面では、アストラ比較でもちょっと足りない感じですから、そこをコーナーワークでフォローできたのが最大の勝因かなと思います。ラスト12,0でまとめてくる持続力は流石ですし、重賞勝った直後で55kgは結果的には恵まれた部分もあるかなと。
 流石に夏これだけ使って秋にお釣りはないでしょうが、地味ながらしっかり成長力を見せてきていますし、今後もGⅢレベルならコンスタントに活躍してくれるのではないかと思います。

 2着のアストラエンブレムは、うーんまぁ色々判断が難しい形ではありますね。
 とりあえずマイルくらいですと、流れてしまうと追走で怪しかった馬ですので、この距離でなら平均で前目からでも自分の一足は引き出せた、というのは評価していいポイントだと思います。
 ただ本質的には切れ味より持続力面が武器の馬とは思っていて、その割にこの展開でラスト1Fはやや失速気味、カフジプリンスにも食い込まれている、というのを見ると、やはり距離は少し長いのかな、とも感じました。

 今日のレースは比較的長距離色が強くなったのもありますし、よりスローに振れれば2000mでも、という感覚もありますけれど、やはり今のベストはワンターンの1800mになりそうですね。
 でも重賞未勝利馬の割にかなりハンデも背負わされて、初の2000mでも崩れない堅実さは流石ですし、どこかでもう一つ殻を破る走りが出来ればより高いステージでも、と期待したくなる馬なんですよね。

 3着のカフジプリンスは、ちょっと拾おうか悩んだ経緯があるので結構痛恨ですねぇ。
 2000m自体がベストのタイプではないのですが、ただ新潟外回りはポジションを取る気なら取りやすいコースですし、基本的に反応がすこぶる鈍いだけで後半の脚はそこそこ持っているタイプだったので、やっぱりこういうロンスパ気味の展開になると踏んでいたならチャンスはあったか、という印象です。

 もちろんこういう馬ですのでしっかり前につけられたのが何より良かったですし、馬も追走面で少し平均だと怪しいかな、と思っていましたがそこは克服してきて、この馬なりに地道に成長している感はあります。
 どうしても最速地点の反応で置かれてしまいますが、11,2で留まってくれたおかげで勝負圏内に踏みとどまれましたし、そこからラスト100mでの粘り込みはこの馬の真骨頂、という感じでしたね。
 今後もとにかくブレーキを踏まずに前目前目で、という競馬を試みて欲しいですし、距離自体はペースが上がり切らなければ長距離までカバーできるタイプと思っていますので、そのあたりに活路を見出していって欲しいかなと思います。

 4着ウインガナドルは、世代レベル的に辛いかなと思ったのですがかなり頑張りましたね。
 ここも津村Jらしく淡々と流してコーナーも緩めず、しっかり先行馬としてやるべきことはやった、というところで、それでも平均ですと後続は切れ味を引き出せる余力はあるので、そこの切れ味・反応の差でタツゴウゲキに見劣ってしまっていました。
 タツゴウゲキ自体もアストラには見劣っていて、けどアストラも究極の切れ味比べで一線級、というタイプでもないので、今回は切れ味の質の面で良さがある馬が少なく、或いはいてもこのペースの追走できちんと削げた、と考えていいでしょう。

 ともあれ、この流れでも切れ負けするならもう少しペースを上げるか、或いは重たい馬場や小回りで、という事にはなってきそうですね。
 血統的には距離は持つはずですし、淡々と菊で逃げられるならそれはそれで面白そうで、今回の好走で見えた弱点をしっかりフォロー出来るバランスを考えていって欲しいです。

 5着フルーキーは、後ろからの馬では最先着となり、やはり持続力面では流石、という所を見せましたが、内が伸びにくい馬場にもそがれた部分はあるでしょうし、どうしてももうひとつ噛み合わないなぁ、という感じです。
 まぁコーナーで上がりはじめているので、外を回すロスはやや大きいですし、実際トーセンバジルあたりは外々で伸び切れていないわけで、立ち回りとしてはこの馬なりの最善だったとは思います。
 まだ色々噛み合えばGⅢなら圏内まで、は警戒したい馬ですね。

 そしてマイネルフロストはなぜあの位置からなんでしょうね…………?
 普通にタツゴウゲキのすぐ後ろにいれば勝ち負けだったと思いますし、直線もはっきり切れ負けですから、状態面に不安があったのか、スムーズに前に出していけるだけのタイミングは普通にあっただけにちょっと消化不良の内容でしたねぇ。

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2017 札幌2歳S レース回顧

 北海道開催の掉尾を飾る札幌2歳Sは、オルフェーヴル産駒の1番人気、ロックディスタウンが好位からジリっと抜け出し、粘るファストアプローチや捲り差しに決め打ったダブルシャープの追撃を退けて見事に無傷での重賞制覇となりました。レースを振り返っていきましょう。

 おそらく全く雨は降っていない札幌の馬場ですが、それでも予想よりも更に重かったかも?というくらいに時計は掛かっていましたね。
 8Rの500万下2000m戦が61,9-60,6=2,02,5、10Rの1200mが34,3-34,8=1,09,1までで、どちらも上位がかなり突き放している格好ですので、時計もかかるし馬場適性も覿面に問われる、そんなイメージでいいと思います。
 このレースの1,51,4も、この状況下では水準クラスは出ているかなと思いますし、少なくともパワーの要る馬場での化け物的なスタミナ馬、2014年のブライトエンブレムみたいな馬はいなかった中で、素直に立ち回りのそつのなさが結果に直結している格好ではあります。

 展開は、外からサージュミノルが予想通りハナを取り切りますが、それに対して内の馬はほぼ出足が鈍く、サージュについていく形ですぐ外のマツカゼ、ファストアプローチが楽に2、3番手を取り切れたのはちょっと意外でしたね。
 ロックディスタウンもまずまずのスタートから、外の動きを見てある程度出していくアクションを見せ、その分1コーナーの入りで頭を上げるシーンも見受けられましたが、すぐにファストアプローチの後ろで落ち着き、好位の外目といつでも動き出せる最高の位置を確保します。

 内からはロジャージーニアスがポケットに入り、その後ろにコスモインザハートとヴィオトポス、シスターフラッグはその後ろで、スタートでやや出足の効かなかったカレンシリエージョもこのグループ、馬群の真っ只中と苦しい位置になります。
 ミスマンマミーアも出足は悪く後方の内目、クリノクーリングも二の足でスーッと下がってしまい一時は最後方、そこから軽くリカバーしてカレンをマークするような位置取りとなり、ダブルシャープは注文を付ける形で最後方からの競馬を選択します。

 ラップは37,2(12,4)-37,6(12,53)-36,6(12,2)=1,51,4(12,37)という推移でした。
 多少バランス的には中盤が緩めですけれど、ラップ的には一番遅い地点でも12,6と顕著には緩んでおらず、淡々としていながらこの馬場ですと息は入れにくい流れ、とも言えそうです。
 それなりには流れた分仕掛け自体はかなり遅く、後半が12,4-12,3-11,9-12,4という推移、このペースを追走して尚しっかり加速できる余力、コーナーでの機動力をそこそこ問われて、でも全体的には持久力勝負の色合いはかなり強いと考えられます。

 やはりこういう速いラップを踏まない展開ですと、道中楽に自分のリズムで走れたかはポイントになりますし、ごちゃつくコーナーでもスムーズに加速するスペースを作れていたか、の差は大きいでしょう。
 その点序盤のポジショニングセンスの差もかなり出ましたし、結果的に展開も外主導になって、外枠の馬の方が総じて走りやすかったのはあるのかな、と思います。

 とはいえ、勝ったロックディスタウンのパフォーマンスは素晴らしいの一言ですね。
 この馬の場合は新馬がまるっきり適性の違うドスローで包まれる展開からの瞬発力&持続力戦で、一転この重い馬場で常識的には流れるのを前目外目で追走しつつ、しっかり前走でも見せていた反応の良さは引き出すことが出来ました。
 素材的にこういう馬場でのタフネス勝負がもってこい、という感じではないと思うのですが、それでも勝ち切ったのは純粋に能力の差とも思えますし、こういう競馬が出来るなら、牝馬同士のマイル戦なら充分追走面でも対処できるんじゃないかな、というイメージを持ちました。

 見た目以上に器用さはある馬と思いますし、それでいて切れ味勝負でもタフな展開でも対応してくるので、当然距離延長もマイナスにはならないでしょうし、春のクラシック2冠に向けてひとつ物差しになる1頭ではないかな、と思います。
 オルフェーヴル産駒もこっちかぁ、という所ですが、今日はルメールJの馬場読み、位置取りも抜群に冴えていましたし、この時点でクラシック当確の賞金を積めたのは大きいと思うので、このまま順調に成長していって欲しいですね。

 2着のファストアプローチは、枠的にもっと半端な位置になるかな、と思って、外から自分で動く形だと前走のラストも止まり気味ではあったので厳しいか、と見ていましたが、前半の積極性が流石でしたね。
 近くの2頭がこぞって前に行ってくれたのも僥倖でしたし、しっかり出していっても折り合いはピタリとついて、鞍上の支持に従順に走れるいい馬だなと思います。
 ただこの流れでもコーナーで一足使って、そこからの持続面では甘いところはありましたし、基本的にはマイル近辺でもう少し追走力を問われつつ、の方が、最上位クラスでは安定して走ってくるイメージはやっぱりありますね。当然血統的に洋芝得意、という部分もありそうですし、切れ味を問われてやれるかは未知数なのでそのあたりは留意しておきたいです。

 3着のダブルシャープは随分と大味な競馬になりましたが、上がりダントツで突っ込んできたのは能力の証明ではあるかなと。
 スタートはそんなに悪くなく見えたのですが、あそこまで意識的に下げる形になるとはちょっと思っていなくて、ごちゃつかずにこの馬の脚を引きだすのみ、という意思は感じられるポジショニングでした。
 実際残り700m過ぎくらい、他の馬よりワンテンポ早く捲りをかけて、それに即座に反応して一気に上がっていく脚は素晴らしく、この馬のラップとしては多分11,6-11,6-12,1くらいを使ってきていると思いますが、この馬場でこれだけの加速力を引きだすのはパワーある証拠ですね。

 ファストアプローチが老獪に外目を回したことで、その外にいたロックに釣られてかなり大外を通す羽目になりましたし、その中でもラスト1Fでまだジリっと対ロックでも差を詰めていたのはかなりの持久力と思えます。
 距離延長は確実にプラスだったと思いますし、もっと長い距離でタフな展開になったほうがよりチャンスがありそうなタイプです。
 究極的な切れ味でどうか、は当然出てきますけど、あれだけ反応良く動けたならこの辺りの距離ならどんな馬場でもある程度は戦えそうで、この後どういう道を選ぶか興味津々ですね。

 4着シスターフラッグは、岩田Jらしく道中内目に拘りつつ、上位の馬がコーナーで外に出してくれた分もあってすんなり進路は確保、ただじりじりとしか伸びずに圏内争いには絡めず、でした。
 特に不利なくスムーズな走りで、5着のコスモ同様ロスなく進出してこれなので、この条件では少し上位と差があった、と見ていいでしょうね。このラップ推移ですと内々を立ち回れたのはプラス要素にはなっていたはずですし、この馬は改めて軽い馬場でどうか、そこで進展があればと思いますが、現状まだ色々足りないのは確かと思います。

 6着クリノクーリングは、思った以上にポジショニングではっきり負けてしまって、そこからある程度リカバーという意識はあったものの、動くタイミングを計っている内に外からダブルが動き、それについていったディバインにも蓋をされ、コーナー出口で最後方まで下がってしまったのはまぁ致命傷でした。
 ラスト進路を確保してからはじりじり来ているだけに、ダブルくらいのタイミングで強気に先に動けていたら圏内くらいはあったかな、とも思いますが、このあたりはダブルの石川Jの腹を括った立ち回りに対し、無難に終始してしまったツケ、というイメージですね。
 こういう馬場自体は得意なはずだけに、逆に中央場所で切れ味を問われてどうかはイメージ的にはちょっと微妙なのですが、素質はあると思うので上手く適正に噛み合わせていって欲しいですね。
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2017 アスター賞 9月第2週新馬戦など レース回顧(土曜編)

**★9/9(土) 中山9R アスター賞(芝1600m)**

 いよいよ秋になって500万下の特別戦が登場してきます。
 暫くは特別戦と新馬未勝利ごった煮で回顧記事を出していこうと思いますので、レース名表記もこんな感じで統一していこうかなと。
 色々ごちゃ混ぜになって見にくい部分などあるやもしれませんがご容赦くださいませ。

 さて、中山の土曜の馬場ですが、ここ2年の傾向から騎手の意識としてもそれなりに重い馬場、と考えていたところに、予想外の超高速馬場だった結果として、極端にペースが遅く仕掛けも遅いレースが連発した、というのが特徴的でした。
 日曜の京成杯オータムハンデを見てもわかる通り、ペースが上がれば時計は出る馬場で、実際そこまでレベルの高いメンバー構成ではなかった2Rの未勝利戦が47,2-47,2と平均ペースで1,34,4を出しています。
 なので一連のレースも、全体時計としての評価は難しく、後半要素での見極めが重点になってくる感じですね。

 ともあれこのアスター賞では、最内のソイルトゥザソウルが好スタートを決めて先頭を窺うのを、外から新潟のマイル戦を勝ち上がったクレバーバード、福島1800m戦で強い勝ち方をしたノームコアが追いかけ、結局この2頭が先頭2番手、ソイルトゥザソウルが2列目のポケットと言う位置取りになります。
 トッカータとマイティ―ワークスがその後ろに続き、人気になっていたルッジェーロははっきりと立ち遅れて後方から、緩いペースに恵まれて楽に馬群の後方に取りつきながらレースを進めていきます。

 ラップは36,9(12,3)-24,5(12,25)-33,7(11,23)=1,35,1(11,89)という推移でした。
 最初の1000mが61,4と相当に遅く、そこからじわっと引き上がってはいくものの、後半4Fが12,3-11,6-11,1-11,0と、ゴールまで継続して加速していく数字になっています。
 これは明らかに軽い馬場の中で全馬が全く足を出し切れておらず、ようやくエンジンがかかったのがゴール前、と言っても過言のない推移ではあり、それでも一定の加速力と切れ味の質、最低限の持続力は問われていて、切れ味の低い馬、坂加速適性が乏しい馬には苦しかったレースだったと思います。

 勝ったノームコアは、結果的に道中の位置取りが功を奏した形ですけれど、こういうドスローの流れで勝ち切れるタイプなのかは半信半疑でしたので、その意味では好走スポットの幅を広げてきた面白い勝ちっぷりだったとは思います。
 スタートがとびきり速い、というほどではないですが、五分に出てしっかり先行策、クレバーバードがスーッと出していってくれたので、それをずっと目標に折り合いをつけられたのも良かっただろうと感じます。

 仕掛けどころの3コーナー過ぎから軽く促すくらいで反応できていましたし、極端な加速は問われていませんがコーナーでの加速をそつなくこなしてきてはいるのかな、と。
 直線入り口でクレバーバードをパスして先頭に立ち、その勢いのまま坂でも減速せず押し切ったので、おそらくレースの上がり時計とこの馬のラスト3Fは同じくらいで、坂加速性能と持続力、切れ味の質も平均的に兼ね備えているいい馬ですね。
 新馬戦はかなりペースが上がったところからの再加速、持久力の高さを見せていましたし、血統面からは珍しい印象を受けたのですが、このレースではスローからの切れ味勝負、というハービンらしい勝ち方が出来ており、ポジショニングが上手な上である程度追走面でも耐性があるのは心強いですね。

 ただ2、3着馬にラスト1Fで詰められているのはあって、その意味でより高いレベルでの切れ味の質は足りない可能性が高く、距離もマイルで流れてしまうとポジショニングで甘くなる可能性がありますので、1800~2000mのややスロー、くらいが一番強い競馬が出来そうなイメージです。
 牝馬ですので2歳戦の内は阪神JFが目標になるでしょうが、関東馬でもあるので府中の1800m、或いは中山2000mを視野に入れても面白い馬かもしれませんね。

 2着のソイルトゥザソウルは、新馬戦がスピード負け、未勝利は1200m戦を後ろから入って後半の良さを引きだしてきたので、ここでの距離延長とスローペースの中でポジションが取れたのは噛み合ったな、と思います。
 一応コーナーからペースが上がる中で最内を立ち回れたのは、3着馬に対してはアドバンテージでしたし、最後交わされそうなところからもうひと踏ん張りしたのもそのあたりの差でしょう。
 後半要素はまずまずいいものを持っていそうな感触ですので、一先ずは1400~1600mを主戦場にしていくのが良さそうですね。

 3着ルッジェーロは、新馬戦の時計が全体的にも上がり的にもパッとしなかったのでどうか、と思っていましたが、ある程度まともに脚を引きだす形で素材面での良さは感じさせました。
 ただこの日は明確に出遅れてポジショニングで後手を踏んだのが致命傷でしたし、11,6-11,1のコーナーで外々になったのも楽ではなかったでしょう。
 それでも最後は推定10,8くらいの脚は使えていて、これは坂加速性能としては中々のものですので、府中の400-200m最速ラップになった時とかに噛み合いやすい能力だとは思います。
 こちらも血統的には短いところをイメージしますが、個体的には1800mを一度くらいは試してみても面白いかも?とは感じますね。

 4着クレバーバードは新馬戦で見せた反応の良さが鳴りを潜めていましたね。
 逃げる形で延々プレッシャーをかけられたのが良くなかったのかもですが、直線入り口でも坂地点でも前の3頭の脚色にははっきり見劣っていて、切れ味の質という面ではイマイチなのかもしれません。新潟外でもあのペースで最速10,6ですから、あのコースは最低0,5は下駄を履かせておかないと、という認識もあるので妥当かも、と。
 出足のいい馬ですし、血統的には明らかにワンペースの方が合いそうなタイプですので、逃げるにしても一度ペースを引き上げる競馬は試してみて欲しいんですけどね。あともう少し力の要る馬場の方がプラスかもしれません。

**★9/9(土) 中山5R 新馬戦(芝2000m)**

 このレースは、ジェンティルドンナ世代のオークス3着馬・アイスフォーリスの全弟であるバレリオが、荒削りながら素質を感じさせる競馬で勝ち上がりました。
 
 逃げたのは2着ニシノマメフクで、それを外から4着パワフルテソーロが追いかけて番手、3着のハービーナはやや出足で見劣って丁度中団のインでレースを進めていきます。
 勝ったバレリオは二歩目がすごく遅くて一瞬3~4馬身前から離されてしまうものの、前半のペースが遅かったのが幸いして1コーナーまでと向こう正面で少しずつリカバーして中団のやや後ろくらいには取りついてきていました。

 ラップは39,3(13,1)-52,3(13,07)-33,9(11,3)=2,05,5(12,55)という推移でした。
 新馬にしても異様に遅く、馬場を考えれば尚更で、ハーフで見ると66,8-58,7と後半が8秒も速い、完全なラスト5F勝負になっています。
 後半は12,6-12,2-11,4-11,3-11,2という流れで、その前の13秒台連発の流れから向こう正面で1秒ほど加速、そして~4コーナー中間からまた1秒くらい一気にペースアップする二段階の加速戦になっていて、後ろの馬にコーナーの押し上げで脚を消費させる田辺Jらしい立ち回りだったと思いますね。

 その上でラストまで落としてはいないので、機動力や加速力に加えて切れ味の質、持続力も等分には問われたレース内容であり、前目から前を向けていた馬が当然一番有利な展開でした。

 その中で、勝ったバレリオだけは一段上の素材を見せてきたと言えそうです。
 出遅れのリカバー自体は、それで足を無駄に使う、なんてレベルのペースではなかったので気にしなくていいと思いますが、この後半の推移の中で外目から長く脚を使い押し切ったのは強かったと思います。
 特にコーナーでの加速が良く、実質4頭分くらい外を通しながらも直線入り口ではもう先頭に立っていて、ペースがペースなので過大には評価出来ないものの、あれが現実的な流れの中で使えるなら大きな武器になると感じます。

 この馬の場合実質的には400-200m地点最速で、そこからラップを落とさず坂を登り切った感じで、持続面での良さもそこそこ見せており、ステイの仔らしいしぶとい脚の使い方だったと思いますね。
 ただ勿論今回のスタートの悪さは、ペースが上がるところでは致命傷になりますし、上のクラスで戦うにはそこでレース慣れを見せてこないと厳しい、とは感じますが、それでも次は注目すべき一頭ですね。

 2着のニシノマメフクはほとんど戦略的な勝利、というイメージで、馬個体の能力としてはどうだろう?とも思います。
 勿論いい意味で未知数、とは言えますが、ひとつわかるのは直線入り口の11,3のところでややもたつき、けれどラスト1Fはしぶとく抵抗して差し返してきている、この感じからも溜めて溜めて切れ味勝負では分が良くはない馬ですね。
 特に一瞬の切れは物足りなく、持続面ではまずまずですが、それでもこのレーススタイルを踏襲していくなら、現実的にペースを引き上げつつ、前半ややスローからのロングスパートで長くいい脚をしっかり分散して発揮させてあげる、そんなイメージでなら強い競馬が出来そうな気もします。

 3着ハービーナは直線入り口で前がびっしり壁になって外に持ち出すロスがありましたから、レースの流れの中ではどうしようもなかったかなと思います。
 それでいてラスト1Fの脚が出色、という印象でもなかったので、ちょっと評価が難しいです。スタートもそこまで、でしたし、総合的なスケールアップが課題、という感じでしょうか。
 
**★9/9(土) 阪神3R 未勝利戦(芝1800m)**

 この日の阪神の馬場も、野分特別で35,0-35,9-34,4とややスローの流れで1,45,3の好時計が出ており、開幕週らしい綺麗で走りやすい馬場だったのは間違いありません。
 その中での未勝利戦は、新馬戦はタフな馬場と展開で良さが出なかったエイシンフラッシュ産駒のシースプラッシュが、高速馬場と持続力を問われる展開でガラリ一変を見せてきました。

 逃げたのはサイタターフキングで、それをタイセイトレイルが追いかけ、序盤は2頭がやや後続を離していく展開になります。
 3番手に2着のクリノダイヤモンド、3着のルリジオンが並んで入ってきて、ややスタートで立ち遅れたシースプラッシュはその後ろから、じわっとリカバーして中団馬群の後ろでじっくり構える競馬を選択しました。

 ラップが35,6-36,7-35,1という常識的な平均~ややスローくらいの流れで、これまた常識的な中緩みがあるものの極端にラップが落ちない中で、後続はじわじわと前に取りついて勝負所に入っていく格好になります。
 後ろが追い付いてきたことで、残り600mの下り地点から前が一気にスパートし、結果的にラスト3Fは11,2-11,6-12,3と減速展開になっていて、この時期の2歳戦にしては極めて珍しく、持続力が一番高く問われたそこそこタフなレースになっていると感じますね。
 当然最低限の追走力も必要でしたし、加速自体は下りを上手く利用できる地点ですのでそこまで高く求められていないと思いますけれど、そこで一気に最速の脚を問われてからの持続力面で、明確に上位2頭と後続の差が出た形ですね。

 勝ったシースプラッシュは、出負けこそあったもののこの流れの中でもさほど追走には苦慮せず、馬群の動きに合わせてしっかり動けています。
 最速地点は上手く前の馬を壁にしながら無理せず、直線入り口で外目に出してスッと反応、ここでいい脚を持続させて前を捕まえており、この馬の推移としては11,2-11,2-12,2くらいではないかと思います。
 切れ味の質としてはさほどではないですが、持続面は中々高く、馬場が軽いとはいえこの時期に1,47,4は中々の全体時計で、この流れの持続力特化戦でラストを12,2でまとめたのは強い競馬でした。

 この感じはいかにも綺麗な馬場で激変、というところですし、ゆったり入って後半勝負にかけられるワンターンの1800mはかなり噛み合ったのでしょうね。この勝ち方なら一つ上でも楽に通用すると思います。

 2着のクリノダイヤモンドも、小倉戦はやや重い馬場で切れ味を問われないスタミナ勝負でしたが、ここでスピードと持続力を問われて良さが出た感じです。
 まあ2歳、特に未勝利戦でこういう展開は少ないので、次が確勝級か、と言われると、展開次第では微妙、とは思うのですが(メルヴィンカズマみたいに中々勝ち切れない可能性もありそうです)、出し切る競馬での素材面の高さははっきり見せてきましたので、上の方に上がってきて底力勝負になった時に面白さが出るタイプ、と記憶しておきたいところです。

**★9/9(土) 阪神5R 新馬戦(芝1600m)**

 こちらはミッキーアイルの全妹、スターリーステージが圧倒的な人気を集めていましたが、勝ったのはビリーヴの仔・ジャンダルムでした。
 逃げたのは内からストリ、番手にはナムラルビーがつけて、好スタートのジャンダルムはその外、好位の三番手でレースを進めていきます。
 3着スターリーステージもスタートは良かったですが、兄ほど二の足で勢いがつかず丁度中団、馬群の真ん中での追走になり、それをブロックするような位置に2着に入ったロードラナキラがいましたね。
 サンライズの2騎は枠なりにじんわりと出して後方待機、とはいえ馬群は密集しており、最後方まで7~8馬身という隊列で淡々とレースが進んでいきます。

 ラップは38,0(12,67)-25,5(12,75)-33,8(11,27)=1,37,3(12,16)という推移でした。
 まぁ新馬戦なのでこんなもん、と言えばそうですが、1000m通過が63,5と超スローで、そこからの仕掛けも遅く3F特化の切れ味勝負の様相が色濃いです。
 後半が12,6-11,3-10,9-11,6という推移ですので、下り坂地点とはいえ1,3秒の加速で自力での加速性能もそれなりには必要でしたし、そこから最速10,9で、切れ味の質を強く問われました。
 この推移ですと持続力はそこまで強くは問われておらず、機動力と切れ味に比重を置いた評価になりますね。

 勝ったジャンダルムは、4コーナーで頭を上げる気の悪さを少しだけ見せましたが、それ以外は新馬としては万全の競馬でしたね。
 いいスタートからスッと好位に取りつき、折り合いもちゃんとついて、仕掛けどころでも楽に反応して動いていけましたし、直線向いて楽に前を捕まえ抜け出した脚色は中々のものでした。
 ラストも11,6とそこまで落とさず、軽快な脚色を保っていましたし、もう少し持続力が問われる展開でも戦えそうです。

 血統的にキトゥンズジョイはアメリカの芝系種牡馬チャンピオンであり、距離適性も幅広く出していますので、ビリーヴの仔とはいえ距離の融通は今までの産駒よりはつくのかな、という印象です。
 それでも2000mまで、というイメージの、スピード色強い走りではありますし、最終的にはマイル前後が主戦場になっていきそうな感触で、後はスタートから流れる競馬で良さが出てくればより磐石、将来性高く楽しみな一頭ですね。

 2着のロードラナキラもいい競馬で、結果的に枠の差によるポジション差が響いた部分もありますが、ラスト100mは逆にじわっと離されている感もありましたので、素材としては少し見劣ったのかな?というイメージです。
 ただやはりカナロアの仔はこうしして後半勝負の方が味が出る馬が多いな、と改めて感じますし、レースセンスも良さそうですから、強敵がいない所では堅実に勝ち上がってくれるのではないでしょうか。

 3着スターリーステージに関しては、新馬としてはきつい競馬になった部分があるのと、やはり血統的なイメージ・弱点がそのまま出ているのかな、と感じさせました。
 枠の並び的にどうしても揉まれるところでしたし、二の足がそこまで鋭くなかったのでその分も響きましたね。
 それでもじんわりと馬群を縫って勝負所では上がってきていたのですけど、わかりやすく最速地点の10,9のところで少し置かれ、そこから11,6のところで巻き返してくるも決定的ではない、というあたり、やっぱり切れ味の質面では兄同様足りないのではないか、と感じさせました。

 まあミッキーアイルも新馬戦はドスローを番手競馬で挑み切れ負けして2着、次の未勝利から速いペースでの逃げに開眼して連勝、という成績でしたし、ひとつ使って馬の精神的な前向きさや勢いは違ってくるかなとは思いますね。
 ただ福永J、ってあたり、この先も兄の様にスピードに任せた競馬はさせたくない、しっかり好位で折り合える優等生の競馬を、と陣営が考えていそうな雰囲気はヒシヒシとします。ミッキーアイルにしても古馬になってから控える競馬を試そうとして散々だったように、基本音無調教師って逃げ馬にするの嫌いなんでしょうからね。

 この馬自身は兄ほど前半のスピードに秀でている、というイメージはこの一戦では感じなかったので、改めて次にどういう競馬を模索し、どんな結果を出してくるか、素材は間違いないだろうというのはラストの盛り返しでも見て取れたので楽しみです。
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2017 9月第3週新馬戦など レース回顧(日曜編)

**★9/17(日) 中山5R 芝1600m戦**

 日曜日の中山は、台風による風雨の影響を受けて終日稍重~重馬場でした。
 時計的にもそれに見合う水準となっていて、2Rの2歳未勝利戦が47,9-48,7=1,36,6、9Rの500万下2000m戦が62,1-61,5=2,03,6という推移でした。
 ペース如何に関わらず、どのレースでもほぼ速いラップを踏んでくる事はなく、全体的に月曜に比べれば2~3秒は時計を要するタフな馬場だったのではないでしょうか。

 そんな条件で行われたこの牝馬限定の新馬戦ですが、雨で煙った印象を一気に吹き飛ばすような強烈な差し脚で、ディープ産駒のトーセンブレスが勝ち上がってきました。

 レース展開は、内枠の馬が概ねいいスタート切る中で、スッとセイウンミツコが先頭に立ちます。
 それを追いかけて外からショウナンアーデンとマオノキャッツアイ、そして1番人気の2着プリモシーンは、少し控えて2列目ポケットに入り込み、前とのスペースを上手く作りながら進めていきます。
 やや煽り気味のスタートとなった3着のヒメベニザクラはほぼ中団でレースを進め、そして勝ったトーセンブレスはそれより更に大きく立ち遅れ、二の脚も効かずに道中はほぼ最後方、という位置取りになります。

 ラップは37,0(12,33)-24,8(12,4)-35,7(11,9)=1,37,5(12,25)という推移でした。
 新馬戦らしくスタートからそこまで忙しくはならなかったものの、それでも馬場を考えればそれなりには流れています。
 ラスト3Fは12,1-12,0-11,6という流れで、ラップ的にも波は小さく、勝負所でも前が一気に仕掛けていく感じではありません。
 ラストは勝ち馬が突き抜けた分速くなっていますが、2着馬基準で見ればこの地点が11,9くらいになるはずですので、淡々と一定のペースから最後一脚を使ってくるという、基本的には総合力が問われたレースだと見ています。

 しかし、勝ったトーセンブレスは全く別物の競馬をしてきましたね。
 スタートから馬群にすらついていけずにポツンと離れた後方で、残り800m過ぎからようやく行き脚が良くなって一気に取り付く形になっています。
 この800-600m地点も12,3と決してレース全体の流れからすれば緩んではおらず、上がり3Fが特筆されますが、実質的に4Fでも相当に長く鋭い足を使っている見做せます。
 あまりにレースラップと乖離しているのでざっくりとしか出せませんが、ラスト200m地点では前と2馬身ちょっとでしたので、そこから逆算して大体ラスト4Fが11,8-11,5-11,3-11,2くらいではないか、と思います。

 なので全体のバランスとしては51,7-45,8くらいの超後傾バランスで走破しており、かつラスト1Fが最速でピッチも全然衰えていませんでしたので、後半要素での素材は一級品であることは間違いないと感じます。
 また、他の芝のレースでの上がり最速が、1200m戦ですら34,7だったことを踏まえると、このパワーを要する馬場で切れ味を引き出す性能が一際に優れていた、と言えるのではないでしょうか。

 勿論パンパンの良馬場で、相対的に切れ味を引き上げてこられるのかはまだわかりませんし、ここまで前半ついていけないと、高いレベルに入ると不安は大きくなっていきます。
 そのあたりが改善される事を前提に、距離はもっと長くてもいいと思いますし、小回りコースよりは広いコースの方がこの機動力と持続力は高く生かせると感じます。
 まずアルテミスSあたりなら、しっかり出し切る形を作れれば好勝負出来る素材だと感じますし、順調に成長していけばクラシック路線に乗ってくる馬になってくれるでしょう。

 馬名や馬主、そして鞍上や鋭い差し脚には、去年の2歳戦で輝きを放った異才・ブレスジャーニーを彷彿とさせるところもあり、今度こそこの馬でクラシックの勝利を、と柴田善Jは大きな手応えを得た一戦ではなかったでしょうか。
 まぁブレスジャーニーも菊花賞ぶっつけ参戦するらしいので、そちらでもチャンスはあるのですけど、流石に常識的には厳しいですからね。

 2着プリモシーンも、新馬戦としては満点に近い、戸崎Jらしいそつのない競馬を見せてくれたのですが、流石に勝ち馬にあれだけの鬼脚を使われてはお手上げでしたね。
 スタートも上手く、そこからしっかり下げて馬群の中でもしっかり折り合えていましたし、直線前が空いてからの反応も鋭く、この馬が勝ったとしてもラスト1Fが最速、というくらいの推移ですから、充分に強い競馬はしていると思います。

 スケール感では圧倒されてしまいましたが、このレースセンスの良さは当然今後も武器になりますし、未勝利レベルなら順当な上積みがあればすぐにチャンスは回ってくるでしょう。
 純粋に勝つだけなら中山の方が相性はいいかもですが、流石に最終週でも中一週ですから、常識的には次走は府中になる筈です。
 改めて広く綺麗な良馬場の府中で、どれくらいパフォーマンスを上げてこられるか注目したいですね。

 3着ヒメベニザクラは、スタートこそ悪かったものの行き脚はついて中団と、トーセンブレスよりは常識的な競馬が出来ており、その上でコーナーもスムーズに外から進出してこられました。
 その直後にトーセンブレスがいて、この馬にはラスト200m地点で並んだところから楽に4馬身くらい離されてしまい、内からしぶとく伸びたプリモシーンにも伸び負けしていて、坂で鈍ったイメージはあります。
 素材的にも上位2頭とはかなり差があるかな、という印象ですし、血統的には高速馬場に代わって伸びしろがあれば、と思いますが、現状は少し足りない感触でしょうか。

**★9/17(日) 阪神1R ダート1400m未勝利戦**

 こちらは中京のダート新馬戦で強い競馬の2着だったレディバードが順当勝ちを収めました。
 この日のダートは重でしたので、時計面では強調できるほどではないのですが、新馬と同じく素晴らしいスタートを決め、そこからスッと下げて馬群の中でもしっかり競馬が出来た事、そしてラスト1Fもラップを落とさず余裕綽々で突き抜けたあたりから、まだまだ奥行きを感じさせる内容でした。

 あの新馬戦は3着馬もすぐに未勝利戦を圧勝していますし、4着のアサクサゲンキは芝路線に回って小倉2歳Sを勝ったほどで、多彩な素質馬が揃った一戦だったと言えます。
 その意味で勝ち馬の次走も注目したいですし、当然このレディバードも、ダート短距離路線では上位に食い込んでくる1頭になるのではないかと目しています。

**★9/17(日) 阪神5R 芝1800m戦**

 日曜日の阪神は、予想より台風による降雨が少なく、午前中こそ稍重でしたが、土曜に比べればかなり軽い馬場でのレースになりました。
 とはいえ、500万下の1800m戦が超スローで1,47,3、平均で流れたローズSが1,45,5ですので、ほぼ常識的な範疇での高速馬場ではあり、かつ湿りは残っていたのでその点での適性も多少は出たと思います。

 レース展開は、スタートから勝ったリュクスポケットがハナを切り、2番手に2着のメガリージョンがつけます。
 その外に5着のレノヴァール、内から3着のガールズバンドあたりが前目につけて、それを見る位置に1番人気のダノンチェリーがいました。
 それをマークするように外目に4着のデクレアラーがいて、その後ろにシャンデリアスピンなどが追走、新馬戦としては珍しく、ペースもそこそこ流れている中で馬群がギュッとひとかたまりになって進んでいきます。

 ラップは36,4(12,13)-36,5(12,17)-34,8(11,6)=1,47,7(11,97)という推移でした。
 まだ多少雨の影響が残っていたことを踏まえれば、新馬としては序盤からのペースも速く、中盤の緩みもほとんどない上に、ラスト3Fは11,3-11,4-12,1と、微差ながら600-400m地点のコーナー出口が最速という、しっかり追走も問われた上での典型的な持続力戦になっています。
 正直こういう高い総合力と底力が問われる展開はまず新馬では見受けられず、また勝ち時計の1,47,7もかなりの水準で、少なくとも2歳戦のこの時期で超高速馬場でもないのにこの時計は中々見られず、普通に1秒以内の着差で走破してきた馬は次にチャンスがある、と思える高レベルの一戦でした。

 その中で勝ったリュクスポケットは、いかにもダイワメジャーの仔らしい総合スピードとパワーを存分に生かして、最後も素晴らしい粘り腰を見せていましたね。
 スタートからの出足も良く、そこから淡々とややスローくらいにコントロールした上で、2着馬の仕掛けに呼応してコーナーから動く強気のレースを展開してきました。

 血統的にもおそらく後半特化での持続力戦になると切れ負けしたり、或いは前半楽をした後傾タイプの強烈な持続力に差し込まれるパターンは考えられるだけに、この速めの流れに持ち込んだのは結果的にファインプレーだったと思います。
 コーナーから引き上げたことで、特に外目を回した馬の脚を削ぐことに成功していますし、馬場の恩恵もあったかもしれませんが、これは見た目以上に強い競馬は出来ていると考えます。

 ただ、だからと言って次も、とならないのが競馬の難しいところで、特にこういうタイプは前後半のバランスを丁寧に組み立てていかないと、とは思います。
 無論パンパンの良馬場での切れ味勝負でもっと強い可能性もあるので一概には言えませんが、やはり追走力を生かした方が強みはあると思えますし、一度常識的なスローペースに合わせてダメだったら、改めて強気の競馬にシフトする、くらいの柔軟なコントロールが出来るか、乗り役の腕・ペース判断能力が問われる馬かなぁ、とは思いますね。

 2着のメガリージョンもほぼ勝ちに等しい内容ではありました。
 文脈としては勝ち馬と同等の良さを秘めている、となりますが、こちらもじゃあ次の未勝利は確勝か、と問われた場合、変にスローペースに合わせてしまうと甘くなる危険性はまだありますね。
 血統的にも乾きかけの馬場での強さに定評のあるキンカメに、バクシンオー肌で1400m重賞の勝ち馬のサンクスノートですからスピード色は強く、その辺がレース内容と噛み合った可能性は高いです。

 どちらかと言えばこの馬は、距離を短くした方が安定して強い気もしますが、それでもレース内容は本当に強かったので次は当然注目ですね。それこそアドマイヤアルバあたりと当たらない限りは、スムーズなレースが出来ればなんとかなると思うのですが。

 3着ガールズバンドも、馬群の中内目でコーナーを立ち回ったことで、外目の馬に対するアドバンテージは持てたのではないかと思います。
 それでも前の2頭には脚色で完敗ですし、直線フラフラしてまだ完成度が低いところも見せていますので、使っての変わり身がどれくらい出てくるか、ディープの牝馬ですからさしあたりこのペースを克服できたのは今後の武器になりますし、こちらもマイル戦で見てみたいですね。

 4着デクレアラーも着差以上に強い競馬はしていると思います。
 道中ずっと外目だったのはこの流れ、後半の展開の中ではシビアでしたし、それでいてコーナーから押し上げる正攻法ですので、流石に持続力で甘くなるのは仕方ないと考えます。
 それでもラスト1Fはしぶとく粘って、3着馬とそこまで遜色ない脚色を見せていました。

 血統的にもソルヴェイグ・ドロウアカードの全弟と筋は通っていますし、姉2頭はそれぞれ微妙に適性が違うので難しいところもありますが、この馬自身は今のところはマイルから1800mがベター、という感触ですね。
 もうちょっと立ち回りが楽な枠を引けて、ペースが上がっても対応できる素地はありますので、次も相手次第ではあれ、順当にチャンスはある馬だと思います。
 
 
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2017 9月第3週新馬戦など レース回顧(土曜編)

 先週は3日間開催でしたので、そのまま土・日・月と3日分に分けて2歳戦回顧をあげていこうと思います。
 今週は土曜重賞もないですし、列伝の準備などもしていないので、恐縮ですが少し楽をさせていただきます。

**★9/16(土) 中山5R 芝1800m戦**

 先週の中山の馬場傾向はかなり掴み辛くて、イメージとしては土曜がやや高速、日曜が文字通りの重馬場、そして月曜が実質的には超高速馬場、という感じでした。
 この日は古馬500万下マイル戦が、綺麗な消耗戦で1,33,3でしたので、勿論流れれば時計は出ますけど、極端ではなかったと思っています。
 メインの2000m戦も、ゲッカコウがかなりのスローにコントロールしての4F戦で、それでもラスト3Fは11,3-11,3-11,6と極端に速いラップになっていません。その前の週や月曜がラスト1F11,0などを連発していたことを踏まえれば、穏当なレベルでの高速馬場だと考えたいです。

 レース展開は、内枠の馬のスタートが良く、コーナーまでが短い1800m戦でもあり、そのまま内の4頭が先行していきます。
 その中で逃げたのは勝ったスピアーノ、1番人気のマイネルファンロンは好位の外目でじっくり構え、いつでも前を捕まえられる、という位置でゆったりした流れに乗って進めていきます。

 レースラップは37,8(12,6)-37,3(12,43)-35,2(11,73)=1,50,3(12,26)という推移でした。
 新馬戦らしく序盤をゆったり入って、向こう正面から少し加速するものの極端ではなく、コーナー中間からの3F戦、という様相です。
 ラスト3Fが11,9-11,6-11,7という推移で、少し時計がかかっていた日、とはいえラップ自体に特筆するところもなく、レース展開も逃げた馬がそのまま押し切り、そのすぐ後ろの好意につけていた1番人気の馬が差し込んできて2着ですので、内容としては凡戦に近いかな、と思います。

 スピアーノはヴィクトワールピサの仔ですので、こういう少し重さが残る馬場でのロンスパ気味の展開に噛み合ったと思います。
 ただこのラップで切れ味を高いレベルでは引き出せなかったですし、母方の血統的に距離延長で良さが出るかも微妙で、ひとつ上手くバランスを取って勝ち切ったはいいものの、上では苦労するかな、と感じますね。ここを使っての変わり身があれば、と思いますが。

 2着のマイネルファンロンに関しては、スタートから押して押して好位を何とか取っていますし、血統的にももう少し距離があったほうが楽ではないか、と感じさせました。
 ペース的にはかなりスローで、追走面では無理のない流れでも、特に後半要素で勝ち馬同様決定的な武器は感じませんでしたし、中山でしたら2200mくらいのほうが合いそうですね。
 この日は内枠だった分良かったですけど、外枠で1800mでしたらまずポジションは後ろになりますし、そういう条件で後半要素だけで勝ち切れるほどの素材には感じませんでした。長い距離ならチャンスは広がると思います。

**★9/16(土) 中山6R ダート1200m戦**

 ここは圧倒的な人気に推されたメイショウヒサカタが、まずまずのスタートから押してハナを取り、そのまま直線坂でグンと突き放して楽勝しました。
 ですがペース的には35,4(11,8)-38,0(12,67)=1,13,4(12,23)と、前半、後半ともに目立つものではありません。

 この日のダート戦はそこそこ時計が出ており、1Rの2歳未勝利戦でも34,2-38,5=1,12,7、午後の500万下は33,4-37,8=1,11,2でしたので、特にテンの入りでかなり恵まれた組み合わせではあったと思えます。
 勿論一つ使って良くなってくる可能性はありますし、最後まで極端にラップを落とし切らず粘り込んだ脚色は評価出来ますが、次は逃げないでもどこまで競馬出来るか、というところは問われるでしょうし、距離も1400mくらい合ったほうが楽かもしれませんね。

**★9/16(土) 阪神2R 芝1800m未勝利戦**

 このレースは昨日の野路菊S回顧でも散々触れたのですが、もう一度軽く振り返っておきます。
 この日の阪神は終日雨に祟られていて、だいたい1,5秒くらいは時計のかかる馬場でしたが、それでも土台がいい分ゆったり入れば切れ味を引き出せる条件でもありました。

 その中でこのレースは、新馬で強い相手の2着をしてきた2頭のマッチレースとなり、最後はタイムフライヤーがグイッと伸びて前目から押しきる格好になりました。
 全体時計は遅いですが、後半ラップの33,3はかなり優秀で、流石にワグネリアンやクリノクーニングあたりと比べると多少分が悪いものの、それでも充分上の条件で通用する素地のあるレースぶりだったと思います。

 しかしアドマイヤアルバは本当に対戦運がないですね。この馬自身も常にいい競馬、強い競馬は出来ているだけにもどかしいですが、流石に次は確勝級と思いたいです。

**★9/16(土) 阪神5R 芝1400m戦**

 このレースは、好スタートから終始レースの主導権を握っていたハゼルがそのまま押し切りデビュー勝ちを収めました。

 スタート時点で他より1~2馬身は前に出ている綺麗なダッシュをきめたハゼルですが、最内のメテオラシチーがじわっと競りかけてきたので一旦下げる形を取ります。
 しかしすぐに前がペースを落とし過ぎたのを見越して、600m過ぎからほぼ並走状態でレースを引っ張ります。
 その後ろに4着クォーターバック、3着ニシノプログレスなどがつけて、2着に食い込んだピカバはやや出負け気味のスタートから内目をリカバーして中団のイン、というポジションでした。

 ラップは36,8(12,27)-11,9-35,2(11,73)=1,23,9(11,92)という推移でした。
 前半3Fがかなり遅いのは、とりわけ3F目の12,6が遅いからで、一旦先頭を譲ったハゼルが、その淀みに合わせず自分のリズムで入っていったのは間違いなく正解だったと思います。
 そこからはずっとハゼルのペースで、淡々と11秒後半を刻み続ける形であり、やや馬場がタフだったとはいえ数字的には平凡ですが、スタートからの前進気勢の良さと、しっかり最後まで落とさずに押し切った持続力は中々で、いかにもダイワメジャーの仔らしいパワーと総合的なスピード能力を感じさせます。

 より高速馬場で切れ味を求められてどうかは未知数ですが、この馬にしても前半ここまで緩い流れではそこまで本質的な良さが出たとは思えませんし、スピード型の適性を上手く広げていく形になれば、上でも面白さは出てくる存在かな、とは思いました。

 2着のピカバは、結果的にやや距離が足りない、と感じさせる内容でしたね。
 スタートもあまり上手くはなく、序盤緩い地点でリカバー出来たのは良かったですがそれでも中団、そこからインの苦しいところとは言えスッと反応する感じでもなく、最後の1Fで明確に差を2馬身ほど詰めてくる競馬でした。
 そこから逆算するとこの馬は間違いなくラスト1F最速、11,3くらいで上がってきていますし、やや脚を余した格好ではあって、阪神でしたら外回りの1600mか1800mで見てみたい走りでした。

 トーセンホマレボシ産駒は、月曜のセントライト記念でミッキースワローが切れ味勝負で突き抜けたように、自身同様に高速巧者を多く出すイメージですし、距離も融通が利くと思うので、良馬場のもう少し直線が長い舞台なら、より面白い競馬は出来そうです。
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2017 9月第2週新馬戦 レース回顧(日曜編)

**★9/10(日) 中山4R ダート1800m**

 中山での最初のダート新馬戦は、やや低調なメンバーで人気も拮抗する中、スマートファルコン産駒のスペースファルコンが好スタートからそのまま逃げ切りました。
 ダート自体は、秋の中山らしくそこまで重い印象ではなくて、500万下牝馬限定戦が平均気味の流れで1,55,1ですので、このレースの1,57,2はかなり前傾ラップであったことを踏まえても、そこまでレベルは高くないでしょうか。

 展開はスペースファルコンが逃げて、そこにスッと人気の一角3着サムライブルーが取りついていきます。
 その外からロードゲイルやアストロローグが追走して先団を形成、少し離れたところに2番人気のテンワールドレイナがいました。
 最後の最後に2着に飛び込んできた人気薄のミックベンハーは、スタートからやや出足が悪く押して押して、それでも後方のインという苦しいポジションでした。

 ラップは37,2(12,4)-39,9(13,3)-40,1(13,37)=1,57,2(13,02)という推移でした。
 テンがそこそこ速いものの、そこからはラスト6F全て13秒台という単調な流れで、一応直線入り口で再加速するラップではあるものの、全体的に物足りなさは感じるレースですね。
 内容自体も逃げ番手の2頭がそのまま雪崩れ込みそうなところに、最後1頭だけ圧巻の脚勢(といっても自身12,8くらいでしょうけど)で突っ込んできたミックベンハーがいてくれたので盛り上がった、というイメージです。この馬はスマートボーイにスパイキュールとか、あまりに渋いダート血統で、この人気もむべなるかな、ですけれど、コース取りの絶妙さ含めて良く持ってきたとは思います。

**★9/10(日) 中山5R 芝1600m戦**

 このレースは、人気のネイビーアッシュが好位から抜け出すところを、伏兵のウインディマンシュが綺麗に差し切りました。
 この日の中山の馬場は、京成杯を規準にすると超高速なのですが、午前中はまだ散水の影響がそこそこ残っていて、その分は差し引いてみておいてもいいかな、とは思います。
 ただそれでもこのレースもラスト2Fが最速、かつ11,8-11,7と目立つラップではないので、内容的には低調だとは感じますね。

 展開は総じて外の馬の方がスタートがいい感じで、伏兵が前の方に外から入っていって内目の馬は少しポジションを下げ気味、その中でやはり外目の枠だった2着ネイビーアッシュが中団の前、ウインディマンシュがそれを見るあたりの位置取りで、3着のコスモレリアはスタートもイマイチでしたが枠の並び的に一度下げる形になって後ろからでした。
 ラップは36,4(12,13)-24,9(12,45)-35,7(11,9)=1,37,0(12,17)という推移でした。
 バランス的に極端にスローではないですが、その分全体の仕掛けが遅くてほぼ2F直線勝負、コーナーでもペースが上がっていないので、内で我慢させられるよりは、外から早めに押し上げていけた馬の方がはっきり有利な展開ではあったと思います。

 その流れの中で、ネイビーアッシュが先に動いてくれたのでウインディマンシュはその後ろをピッタリマークするようにコーナーもタイト気味に回ってこれて、直線で少しだけ外に出して進路を確保してからは、しっかり坂地点で伸びて前を捕まえました。
 残り200mで2馬身はあったので、おそらくこの馬のラスト3Fは12,0-11,6-11,3くらいと思えます。
 確実にまだ出し切ってない推移の中で、しっかり坂での加速力と切れ味を見せたのは一定の評価が出来ますが、馬場差も掴み辛いので例えば前日のノームコア戦あたりと比較して、上のレベルで即通用か?となると厳しい感じはします。

 父がタイムパラドックスという事でイメージ的にはダートも?ですけど、小柄な牝馬ですし母系は芝血統で、父の父はブライアンズタイムなのですからロベルトのクロスが効いており、ややタフな芝での爆発力を引き出せる可能性は秘めているのかな?と。
 距離的にはもう少しあってもと思いますし、次にどういうレースが出来るのかはちょっと楽しみですね。

 2着のネイビーアッシュは一番スムーズな競馬をしてこれなので、今日は力負けではあるでしょう。
 コーナーでしっかり前を捕まえているので、この馬としては最速は400-200m地点かな?という印象で、そこから坂での加速性能や、或いは純粋な持続面でちょっと足りないものは見せてしまったので、もう少し前半要素で詰めてこられれば、と思いますし、キンカメの仔ですからそれが噛み合う可能背も高いと思います。
 レースセンスはいい馬ですので、もう少し流れるマイル戦で見てみたいですね。

**★9/10(日) 阪神5R 芝2000m** 

 こちらのレースは、ロイカバードの全弟であるシルヴァンシャーが、大きな出遅れをものともせず大外から豪快に差し切り、素質馬らしいデビュー勝ちを飾りました。
 阪神は前日に引き続き良質な高速馬場でしたので、全体時計としての評価は難しいレースですが、後半要素の中で色々と面白いものを見せてきてくれたとは感じます。

 展開は、3着に粘ったケイティクレバーが逃げ、2番人気2着のオルフェーヴル産駒ムーンレイカーは丁度中団くらい、そしてシルヴァンシャーはスタート直後にトモを落とすような格好で大きく立ち遅れ、中々二の足もつかず離れた後方からとなってしまいます。
 ただ序盤からペースが落ち着てくれたので、コーナー過ぎあたりでようやく馬群の最後方に取りつき、そこからもデムーロJらしいじわっとした押し上げで前に進出していく格好になりました。

 ラップは37,4(12,47)-52,1(13,03)-34,6(11,53)=2,04,1(12,41)という推移でした。
 中距離の新馬戦らしく序盤からスロー、中盤で更に緩んで、後半も本仕掛けは遅くラスト2Fの切れ味勝負になっています。
 後半が12,8-12,4-12,1-11,2-11,3という推移で、コーナー地点でも上がり切ってはいないので外から押し上げるのにさほど苦労はなかったでしょう。
 4コーナー出口から直線入り口にかけて加速力もそこそこ問われる中で、最後は素材の差が見える内容だったのかなと思います。

 勝ったシルヴァンシャーは、勝ったものの色々と課題の多い内容ではありましたね。
 やはりあのスタートと二の足は今後を考えると改善してこないと、となりますし、コーナーも5頭分くらい外を回したとはいえスッと反応できていた感じでもなく、兄同様に不器用な印象はあります。
 それでもスローの中から後半勝負で持続面はまずまずいいものを見せてきましたし、自身11,9-11,2-11,0くらいのラスト1F最速で上がってきたのは素質の賜物でしょうか。

 ロイカバードもペースが上がると甘くなる傾向の強い馬ですし、この馬も前半のポジショニングや追走面が高いレベルでは課題になってくると感じますが、順調に成長していけば重賞路線を賑わす馬になってくれそうですね。

 2着のムーンレイカーは、少しコーナーで前が壁になって待たされる部分もありましたが、直線入り口では内目に進路を確保していました。
 ただそこでレース全体の加速の中で鋭くは反応できず、その分外ぶん回しとはいえ勢いをつけてきたシルヴァンシャーに少し見劣ってしまいましたね。
 ラスト1Fは遜色ない足を使えていると思いますし、この馬もあまり器用さは感じませんが、もっと出し切る競馬、タフな競馬になって良さが出る可能性は感じる内容でした。

 ケイティクレバーもこれだけスローとはいえ、自分で直線スッと加速して一瞬出し抜けていましたし、ハービンの仔らしいタイプですね。
 現状はゆったり入って良さを出す方が合うとは思いますが、流石に持続力や切れ味の質ではさほど優位性を見せられなかったので、前半の入りのバランスが大切になってくるタイプかなと思います。

**★9/10(日) 阪神6R 芝1400m** 

 こちらはオルフェーヴルの全妹となるデルニエオールが、荒々しい競馬ながらも勝ち切って、偉大なる兄たちに続く足跡の一歩目を順調に刻みました。
 にしても名前の由来が最後の金、ってかっこいいですね。そして池江厩舎は土日の阪神の新馬全勝と、これまた流石の層の厚さでした。

 展開は、綺麗に2列に分かれたようなスタートから比較的伏兵勢が先行、その真ん中くらいに2着のビエナミントがいて、その後ろに3着のホウオウサンドラ、そして抑えきれない手応えのデルニエオールがつけていました。
 ラップは35,7(11,9)-12,4-35,1(11,7)=1,23,2(11,89)という推移でした。
 新馬としてはまずまず流れた方ですが、中盤でかなり中緩みしており、後半4Fが12,4-12,2-11,3-11,6とほぼ2F勝負で、最序盤のペースアップに関わらずゆったり入って、緩みで外から楽に押し上げてきた1、3着馬にとってはいい展開だったと思います。

 勝ったデルニエオールは、いかにもオルフェの妹、という感じの、馬体以上に大きく見せるフットワークと、ブレーキを外したらすぐにガツンと行ってしまいそうな危うさが同居していますね。まぁそれくらい覇気があったほうが走る血統とは思いますが。
 レース内容的には、残り600mからブレーキを外すだけでスッと反応して進出していきますが、それが12,2の地点で取りつくのは楽だったでしょう。
 そこで上手く勢いをつけて入っていけたので、コーナーですんなり前を飲み込み直線入り口ではほぼ先頭、自身は11,8-11,2-11,6くらいの上がりの推移ではないかと思います。

 最速地点では地味にホウオウに詰められているように、切れ味の質ではちょっと甘い感じもありましたが、外から迫られて楽にもう一伸びした底力と持続面での良さは流石、という感じで、ここから順調に成長していけば中々に面白い馬になりそうな予感はさせる走りでしたね。
 時計面ではそこまで強調できないので、すぐに上で楽に通用とまでは思いませんし、気性はともかく個体性能としてはもう少し距離が欲しい感じなので難しい、とは感じますけれど、なんとか軌道に乗ってきて欲しい馬です。

 2着のビエナミントは、競馬の内容としては勝ち馬に互角くらいの強さは感じました。
 テンの3Fはそこそこ流れた中で、序盤からそこに入り込んでいってコントロール、かつそこから中緩みに合わせる形で、直線入り口まで前が壁だったために、流れに噛み合った走りとはなっていませんでした。
 それでも直線進路が出来てから割と鋭く反応できていましたし、ラスト1Fもしぶとく持続力を引きだして内から食い下がっていて、ポジショニングの上手さや後半要素の総合力などを踏まえれば結構面白い競馬は出来ています。
 ノヴェリストの仔ですのでもう少し距離があっても楽しめそうですし、牝馬同士ならすぐに勝ち上がれるのではないか、と感じる走りでしたね。

 3着ホウオウサンドラのほうが、レースとしては展開にしっかり噛み合った走りが出来ていて、けどラストはジリッと離されて完敗ではあるので、素材面でも性能面でもちょっと難しさはあると思います。
 こういうタイプは阪神でも外回りの方がいいと思いますね。器用さがより問われたときはあまり信頼できないタイプかな、と思いますし、内容としては2着馬を高く評価したいレースでした。 
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2017 オーバルスプリント レース回顧

 多彩な路線からメンバーが集まった、秋のJBCスプリントに向けての大事な一戦・オーバルスプリントは、素質馬サイタスリーレッドが好スタートから逃げて押し切り、嬉しい初重賞制覇を為し遂げました。レースを振り返っていきましょう。

 本日の浦和の馬場は稍重表記で、条件戦レベルの比較では昨日と時計水準的にはさほど変化なく、少なくとも時計が出やすい馬場とまでは言えなかったと思います。その中での1,25,1は隠れた好時計ではないでしょうか。

 レース展開は、好スタートを決めたサイタスリーレッドが二の足も鋭く、周りを窺うこともなくすんなりハナを奪い切ります。
 リエノテソーロも好スタートでしたが、序盤のダッシュでサイタスリーレッドに見劣り、外からモンドクラッセやワイドエクセレントが強気に入ってくる中で、少しポジションを下げてから外に出す競馬になります。
 ブルドックボスは一歩目で少し出負けするもののしっかりリカバーして2列目ポケットは確保し、レーザーバレットもスタートはすごく良かったですが、そこから前につけられるほどのダッシュはなく、例年通りに序盤は中団のイン、そこから向こう正面でじわじわとリカバーしていく競馬になりました。

 ラップは35,5(11,83)-12,8-36,6(12,2)=1,25,1(12,14)という推移でした。
 前後半のバランスとしては1秒前後のややハイペース、という趣ですが、今年の特徴は向こう正面入り口からの800-600m地点が12,8と極めて遅く、そこで押し上げてくる馬がいなかったことでしょう。
 4F-3Fのバランスで見ると、平均ラップも12,07-12,2とほぼフラットに近くなってきますし、また12,8からコーナーに入る地点で11,5と一気に加速を伴っていて、非常にトリッキーな競馬になっています。

 結果的に1~4着馬が向こう正面~3・4コーナーでほぼインベタで回ってきているように、強烈な加速力を問われる中で外々を通すロスが大きい競馬になっていると思います。
 好時計ですが決して出し切ってのものではなく、これは逃げたサイタスリーレッドの戸崎Jが、馬の素材を絶妙に引き出してきた騎乗だったかなと感じました。

 そのサイタスリーレッドは、前走逃げて負けているので今回はどの位置で競馬をするのか注目でしたが、ほぼ迷いなくハナを取り切ってきましたね。
 馬自身も逃げが二回目という事で戸惑いも少なかったでしょうし、ペースも決して遅くはないですが、中盤で上手く一息を入れることで、この馬の武器である後半の機動力と持久力をしっかりと引きだせたと感じます。

 結果的に前走は絶対的な数字で前半が34,4と少し速過ぎたきらいもあり、高速馬場で強い馬、という認識でしたが、こういう馬場でもしっかり自分のリズムを保てればパフォーマンスが落ちない、というのが見て取れたのは、今後に向けての大きな収穫になってくると思います。
 実際にレースラップでラスト3Fを11,5-12,6-12,5と、最後僅かながら加速ラップで締めているあたり、まだ余力を伺わせますので、距離は1400mのほうがむしろベターなのかもしれません。
 1,25,1はレースレコードですし、文句なく強かったと思います。戸崎Jもこのレース4連覇と、流石に勝ち方を熟知していますね。人馬ともに迷いなく、呼吸の合ったいい競馬でした。

 今の交流重賞短距離路線は出走枠が激戦区ですので、この勝利で確実にJBCスプリント本番に出られるのかははっきりわからないですけれど、大井の1200mはコーナーで緩んでの再加速戦になりやすい舞台ですので、この馬の適性としてはかなりマッチしてくると思います。
 ただ前半強気に入り過ぎて、ハイバランスになると危うい感じはあるので、そこは注意が必要でしょう。むしろ適性的には、敢えて府中1600mを使ってみるのも面白いかもしれません。
 当然相手関係も強くなっていきますが、それでも今日のパフォーマンスを引き出せれば勝負になっていい馬だと感じますし、この路線の新王者候補に名乗りを上げるレースだった、と見ていいでしょう。

 2着のレーザーバレットは、流石のコース適性、というべきでしょうか。
 スタートは良かったものの、そこから無理には前につけずに序盤は中団のインでゆったり入り、そして向こう正面で12,8と緩んだところでしっかりポジションを押し上げて3列目のインに潜り込んでおり、このあたりの動きは流れにうまく噛み合ったと思います。

 3コーナーからの加速では一瞬置かれるものの、それでも小回りのコーナリングは上手ですし、前にいたブルドックボスが外に出してくれたおかげで苦も無くインベタのままコーナー出口でスルスルと差を詰めてきました。
 流石に直線は、サイタスリーレッドがもう一度加速してくるのに為す術もなく、ではありますが、3年目にしてベストの時計を更新していますし、9歳にしてなお意気軒昂、本当にこの舞台は水が合うのでしょうね。

 通したところや序盤の立ち回りなど、岩田Jらしいロスのない競馬が綺麗に噛み合いましたし、サイタには完敗でしたけど強い2着だと思います。
 ただこれで調子が上がってきた、と考えられるかは難しいところで、最高の条件に最高の展開が重なっての好走ですので、次に人気になるようなら、条件次第でもありますが基本的には疑ってかかりたい、とは思っています。

 3着ブルドックポスも悪くない競馬でしたが、この距離・馬場で正攻法、かつ斤量面でもアドバンテージがないとさすがに楽ではありませんでしたね。
 結果から見て南関としては馬場も軽い方でしたし、ペースバランスもこの馬は淀みに合わせて動いているので実質的には平均くらい、そのあたりはこの馬の適性に噛み合っていると思います。
 4コーナーから外に出すのも前走を踏襲する形で悪くはないですが、どうしても軽い馬場ほどの鋭い脚は使えないですし、距離もちょっと長い、と言う印象は改めて感じました。

 JBCスプリントに向けて、としては、ある程度馬場が軽くなってくれることと、全体のペースが極端に前掛かりにならない事を条件に、内枠でタイトに回ってこられればワンチャンス、くらいのイメージでしょうか。
 とはいえ南関の水にも慣れて、馬場に適応してくれば面白さはありますし、まだ地方代表、というイメージは持ちにくい馬ですけどしっかり活躍していって欲しいですね。

 4着リアライズリンクスは、近走の調子の良さをしっかり引き出せた、とも言えますが、レーザーバレットとの着差的に見れば例年通りでもあり、かつコーナーでしっかりインベタして回してきた騎乗の妙が嵌った部分も大きいでしょう。
 流石にこのレベルになると序盤でいい位置を取れないのはありますし、これが精一杯ではあるでしょうが、こちらも7歳にしてまだまだ力の衰えはないところを見せています。
 今後も的場Jとの熟年コンビで、南関重賞を湧かせていって欲しいですね。

 5着リエノテソーロは、結果的にこのレベルでの重い馬場では力が足りなかった、と見ていい負け方だったと思います。
 無論スタート直後にやや挟まれるようになって位置取りを悪くし、外目のポジションになってしまったのもマイナスでしたし、そこからレースの淀みに外目で合わせてしまったのも良くはありませんでした。
 結果論的には、向こう正面で緩んだ時にさきたま杯のホワイトフーガみたいに捲っていってしまった方がまだ健闘の余地はあったでしょうが、斤量と着差からすれば純粋に力が足りなかったのでしょう。

 ここ2戦の内容からして、この馬は芝の方が良さそうですね。
 ダートですとNHKマイルCで見せた機動力が影を潜めてしまっていますし、ペース的にもある程度ゆったり入って良さが出るタイプなのかと、アネモネSの結果を踏まえても感じるところはあります。
 路線的に色々と迷走して難しくなってしまっていますが、ターコイズSとか、京都牝馬Sとかは結構噛み合いそうですので、そのあたりからしっかり立て直す方針の方が良さそうに思います。
 単なる早熟馬ではないところを、しっかり今後の内容で見せてきて欲しいですね。

 モンドクラッセは展開以前に状態面が良くなかった感じはありますね。
 あと気性的に今年はもう番手からの競馬でも我慢が出来なくなっている感じもあるので、ちょっと立て直すのが難しそうだな、と感じました。
 展開的には平均気味からのコーナー加速であそこまで抵抗できないのは意外でしたし、活路を見出すとしたら確実に逃げられるコースで、平均からのロンスパ、という自分の形に徹することが出来る舞台で、と考えます。それ以外ではちょっと食指を伸ばしにくくなりましたね。
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2017 野路菊S レース回顧

 先週は三日間開催で振り返るべきレースも多かったですが、まずは大器と評判のワグネリアンが、噂に違わぬ素晴らしい差し脚で圧勝した野路菊Sをしっかり振り返っていきましょう。

 土曜日の阪神の馬場は、朝から断続的に雨が降り続いている状況で、午前中が稍重、午後は重まで馬場状態が悪化していました。
 ですが土台の馬場がかなりの高速馬場でもあったので、その悪化も極端ではなく、多少巧拙が問われる点はあったにせよ、ペース如何では速い脚も充分に繰り出せる程度の重馬場だったとは思います。

 午前中の2歳未勝利1800m戦が38,1-38,8-33,4=1,50,3で、午後10Rの1000万下1400m戦が34,4-11,7-35,5=1,21,6という推移でしたので、イメージとしては中距離で1,5~2秒くらいの馬場差と見込んでいいのではないでしょうか。

 スタートは、クリノクーニング、ニシノベースマン、テイエムリボーあたりがあまり好スタートではありませんでした。
 逆にいいスタートを決めたのがシンデレラメイクで、この馬がそのまま一気に押して外からハナを取り切り、2番手にも大外のスワーヴポルトスがじわっと上がっていきます。
 内からナムラアッパレとミッキーマインドが3、4番手につけて、その後ろ、丁度中団の位置にディロスがいました。
 その内側にリカバーしてきたニシノベースマンがいて、人気のワグネリアンはディロスをマークするように後方3番手を悠然と進んでいきます。
 後方にテイエムリボーとクリノクーニングがいて、馬群は比較的縦長になり、とりわけまえの2頭が後続を離し気味になっていました。

 ラップは36,9(12,3)-37,9(12,63)-34,5(11,5)=1,49,3(12,16)という推移になっていました。
 かなり前が飛ばしているように見えますが、先頭列でも実質的にはかなりのスローペースで、3番手以降は当然のように超スローの領域に入る流れだったと思います。
 後半ラップが12,1-11,5-11,4-11,6ですが、後続は大体残り600mから動き出していますので、ほぼ確実にスローからの3F勝負、坂の下りから一気にペースが上がっての持続力特化戦の様相が強いと感じます。

 勝ったワグネリアンは、新馬戦で見せた上がり3F32,6の豪脚が眉唾ではない事を、このすこし湿って重くなった馬場でも充分以上に証明したと思います。
 この馬の通過ではおそらく1000m64秒を超えているので、67秒台だった新馬よりマシとはいえ、これでも追走面ではまだ全然常識的なレベルには達しておらず、そこを評価するのは現状では難しいところです。

 しかし逆に後半要素の確かさは前走同様、むしろそれ以上のスケール感をはっきり見せてきたと言えるでしょう。
 この馬も他の馬の動き出しに合わせて残り600m手前くらいからの進出に見えましたし、残り400m地点で前と5馬身くらい、残り200m地点では2馬身くらいと目視出来ますので、そこから上がりを推定すれば11,2-10,8-11,0くらいではないか、と思います。
 新馬戦も最速地点で目に見えてスパッと切れる、というところはありませんでしたが、3F続けて速いラップを踏んでくる持続力は素晴らしいものを見せており、このレースでも最後の坂地点でほぼ減速せずに楽々突き抜けて見せました。

 この日の馬場を踏まえれば時計面としてもそこそこ優秀でしょう。
 上で触れた2歳未勝利戦は、1着タイムフライヤーで2着がアドマイヤアルバでした。
 この2頭がこれまでに敗れた馬は、ロックディスタウンにフロンティア、アマルフィコーストと全て重賞及びOP勝ち馬であり、この2頭が野路菊Sよりもスローだった新馬戦で上がり33,3までですので、後半要素のスケールはそこの比較からでも優に重賞級なのは疑いの余地はないでしょう。

 勿論ペースが上がって削がれる可能性はあり、新馬含めて似たようなメカニズムのレースで強さを見せていますので、これで全幅の信頼を置ける、とまでは言えません。
 次走予定に挙げられている東京スポーツ杯でしたら、それなりに流れて仕掛けが遅れての坂地点最速ラップが顕著になった時とかは、ポジションが楽に取れるタイプでもなさそうですのでやや不安を残しますし、ホープフルSにしても、年末特有の重い馬場での持久力戦、小回りでのコーナー加速にはまだ課題が残るでしょう。
 それでも見た目のスケール感は本当に素晴らしいものがありますし、直線の長いコースならまず不発に終わるイメージを持ちにくい強烈な持続力を持っていますので、今後も大注目の1頭になるでしょうね。

 2着のディロスもそつのないいい競馬でしたが、最期は完全にスケール負け、というイメージですね。
 この馬もまだ前半の追走面では担保が足りないですし、後半もラスト1Fでワグネリアンに3馬身近く離されているように、持続力面でも、一瞬の切れ味でもトップクラスには少し足りない、という事にはなるでしょう。

 スタートセンスは良さそうですし、ペースが上がっても前受出来て、その上で血統的なタフさを上手く生かす競馬にフィットしてくれば面白いでしょうが、現状ではまだOPクラスでですとワンパンチ足りない、ということになりそうです。
 でもここで上がりの速い競馬に一定対応できたのは収穫でしょうし、ホープフルS向きの馬、って雰囲気はあるので、上手く賞金を加算しつつ余裕を持ったローテーションで使っていければチャンスは出てくるかも、と思いますね。

 3着シンデレラメイクに関して言えば、これでもまだペースを全然引き上げ切れていなかった、という考え方が出来るのかなとは思います。
 新潟2歳Sもそうですが、このレースも後半3Fの持続力勝負で明らかにラスト1Fは甘くなっており、溜めて後半勝負よりはワンペース、平均からややハイくらいのペースで後続の足を削ぐタフな競馬に持ち込む方が、新馬の内容からしても噛み合うのでしょう。

 丁度翌日のローズSのカワキタエンカみたいなレースメイクが出来れば面白い、とは感じますし、それでも3着に粘り込めたあたりから、距離延長は決してマイナスにならないと思います。
 特にこの時期の2歳馬でしたら、ハイペースに対する適性が低い、もしくは未知数の馬のほうがほとんどですので、どこかでひとつ、タフな展開で押し切れれば賞金的に楽になってきますし、こういうタイプは貴重ですので、楽に先手を取ってレースメイクできる距離で上手く使っていって欲しいですね。

 4着クリノクーニングに関しては、札幌から中1週と言う強行軍で、状態面にも不安はあったのかなとは思います。
 また前走同様にスタートは悪く、二の足も良くないので自然と後方の位置取りになってしまいましたし、鞍上も無理はさせずに直線だけの競馬に徹した、というところはありそうです。
 ただ結果的に見ると、上がりだけならワグネリアンを凌駕して最速、ラスト1Fの脚もほぼ互角でしたので、もう少しペースが緩い内にポジションアップできていれば、と勿体なく感じる負け方ではありました。

 この馬もまだ追走面での信頼度は高くはないですが、それでも新馬の内容からある程度流れても対応は出来る筈で、切れ味勝負でも戦える、と判明した上で、もっと早めにしっかり動かしていく意識を持てれば、OPクラスでもチャンスは出てくる素材ではないかと改めて思いました。
 この不器用さ故に多頭数になると難しいでしょうし、頭数が揃わない2歳戦の内にどこかでしっかり賞金を加算していければと。ダービー路線で面白さがありそうですね。

 5着テイエムリボーも、地味なタイプですが様々な展開に適応してくる中々いい馬だと思います。
 この日は出遅れが響いたのもありますし、あの位置からでも末脚の破壊力、スケール感ではワグネリアン・クリノクーニングには譲るものの、それでもラスト1Fはしっかり伸びていて底力を感じさせました。

 何気に新馬負けしたキボウノダイチも新潟2歳S5着、未勝利で破ったウォーターパルフェも、月曜日の未勝利戦でタニノフランケルに食下がっており、それなりに強い相手と戦ってきた経験が生きているのかなと感じます。
 もう少しスタートが安定して欲しいですが、持久力戦と持続力戦、どちらでも後半勝負でそこそこ高いパフォーマンスを見せているので、噛み合えば上位にも肉薄できるレベルにはある馬かなと思いますね。

 スワーヴポルトスやミッキーマインドあたりは完全に持続力勝負の土俵で足りなかったですが、新馬の相手関係から見ても妥当なのかな、とは思います。
 上で触れた2Rで走ったロードマドリードは、ミッキーマインドと新馬でクビ差でしたが、このレースでは前と5馬身差つけられましたし、その辺も比較からしても順当な力関係で、となれば今後は展開や距離など、別の要素が問われる中でどこまで良さを引き出していけるか、色々と模索していって欲しいですね。
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2017 セントライト記念 レース回顧

 台風一過が夏の名残を呼び戻して、朝から素晴らしい晴天に恵まれた中山でのセントライト記念は、アルアインをピッタリマークしたミッキースワローが直線坂で素晴らしい切れ味を発揮して突き抜け、春にあと一歩届かなかった大舞台への切符を堂々手にしました。レースを振り返っていきましょう。

 とりあえず予想としては、二日連続で台風にしてやられた感が満載ですねぇ。
 確かに早朝家を出た時点で風は凄かったものの雨はすっかり止んでいて、そして日中どんどん気温が上がっていったものですから、ある程度は回復しちゃうかな、と思っていましたがまたしても良…………。
 帰宅して9Rのハナズレジェンドーフローレスマジック戦の結果を見て、上がり3F11,6-11,3-11,0って出ていた時点でクリンチャー、無理だな…………、と半ば諦めました。。。

 どうしても昨日までの意識が騎手にもあるので前掛かりにはなりにくかった一日でしたが、結果的に午後はもうほとんど先週同様くらいにまで回復していたのではないかと思えます。
 その9Rも全く出し切れていない状況で1,48,4ですし、完全に前残り、切れ味特化勝負を誘発する条件が整ってしまっていましたね。

 レース展開は、真ん中からサンデームーティエが好スタートを切ってスッとハナに立ち、そして外から意外な出足の良さを見せたスティッフェリオが二番手に上がっていきます。
 内のクリンチャーはスタートから出鞭を入れ、押して押してポジションを強引に取りに行き、なんとか閉じ込められる事だけは避けられての3番手、そしてその後ろにいつも通りの好スタート、好ダッシュを見せたアルアインがぴったりマーク、絶好のポジションでレースを進めていきます。

 内からはサトノクロニクルがコーナーワークでポジションを上げて2列目のポケットを確保し、プラチナヴォイスがアルアインをマークする位置、そしてスタートはちょっと出負けしたミッキースワローも、ラップの遅い地点で内からスルスルと盛り返してきて、最終的にはアルアインの半馬身後ろのインでじっと機を窺う格好になりました。

 ラップは35,8(11,93)-26,0(13,0)-36,9(12,3)-34,0(11,33)=2,12,7(12,06)という推移でした。
 最序盤こそある程度流れているものの、1コーナーを回ってからガクンとペースが落ちての超スロー、そして向こう正面に入って少し加速するものの、馬場条件からすればそれでも全く上がり切っておらず、結果的に4F目の13,1からゴールまで7F連続で加速していく展開になりました。

 ラスト5Fが12,1-12,0-11,7-11,3-11,0ですので、明確な二段階の加速戦と言うよりは、じわじわとペースを上げてのロングスパート気味、ただし本来はもっと手前に来るはずの最速地点がゴール前に来ていて、実際のところ仕掛けが凄く遅いラスト2Fの瞬発力特化勝負、と言っても過言ではなさそうな数字です。
 当然こんなラップで後ろの馬が届くはずはありませんし、前目にいても瞬発力の質の高さと一瞬の反応、機動力の高さを持ち合わせていないと厳しい部分はあったでしょう。

 勝ったミッキースワローは、色々噛み合った部分と、馬自身の成長を合わせて感じることが出来ましたね。
 後はやっぱり鞍上強化もあったでしょうか。昨日のカワキタエンカに続いて、横山Jが立て続けに熟練の凄みを見せてくれたと思います。

 この馬はどうしても前走を見ての出負けが怖かったのですが、案の定今日も少し遅れてのスタートで、1コーナーを回る地点では中団よりやや後ろくらいでした。
 しかしそこからラップが遅いところでスルスルと馬群を縫って先団の後ろ、アルアインの懐に潜り込むようなポジションを取り切ったのが妙手でした。
 インタビューでちょっとズルして、なんてコメント出してましたけど、あのポジションを取るのに目に見えない駆け引きを駆使したのか、それとも単純に前がペースを落としてくれたので、スタートのロスを楽に取り戻せた、という意味だったのか、どちらにせよペースと馬場が見えていればこその見事なフォローだったと思います。

 丁度その位置を取ったくらいからはある程度前も流れてくれたので、無理に抑える必要もなく流れに乗っていけたのは僥倖でしたし、コーナーもアルアインの斜め後ろ、インでなるべくタイトに回って、直線での切れ味に賭けたのも上手く噛み合った要因でした。
 元々ひめさゆり賞での回顧で、コーナーでの機動力と切れ味の高さ、持続力は非凡と触れたこともあり、素材面はかなり評価していて、良馬場なら当然台頭してくる馬だと思っていました(前走は本当に残念な騎乗でしたしね…………)。
 ただ京都新聞杯の内容からも、持続面ですごく長い脚は使えない印象もありましたので、結果的に2F戦、そして切れ味を存分に引き出せる馬場になったことで、アルアインを楽に破ることが出来たのだと考えます。

 この馬はラスト11,5-11,1-10,8くらいだと思いますし、これでも全然出し切ってはいない展開で、アルアインとは切れ味の差(と坂加速適性)で局所的に勝っただけではあり、総合力でまだ上回ったと判断するのは早計でしょう。
 京都3000mは坂の下りからの4F戦になって、あまり機動力と一瞬の切れが問われにくい条件でもありますが、枠の有利不利がはっきりしているコースでもありますから、首尾よく内枠を引けて、スタートも決めて3列目のインくらいに入れるなら、この動き出しの良さは武器になりそうですね。

 2着のアルアインに関しては、一先ず格好はつけた、とは言えますが、流れに合わせ過ぎた部分はあるでしょうね。
 元々短い距離からおろしているように、追走面とポジショニングは常に武器になる馬ですので、この結果的にかなりのスローで、仕掛けも遅い展開に合わせて、後半の切れ味勝負になってしまったのは、適性面ではプラスとは言えなかったと思います。
 毎日杯でも皐月賞でも、後半要素で一番味があるのは持続力というのははっきり見せていて、速いラップを踏んでからの粘り腰を活かしたい馬だけに、実質ラスト1Fが勝負所、というパターンで切れ負けしたのは仕方ないと感じます。

 馬自身は成長しているし、相変わらず悠然としていてコントロールも効きやすいいい馬だなぁ、と思いますが、今日は馬場意識の中での噛み合わせが少し悪かったですね。
 京都3000mが合う馬かは難しいですが、ただ世代戦の内で、ポジショニングは凄く上手な馬ですので、ある程度まともな枠を引けて、3~4番手で流れに乗って進めていければ、ラストも持続力はそれなりに問われるパターンが濃厚ですし、ミッキーよりは依然軸としての信頼度は高い方ではないか、と思いますけれどもね。

 3着サトノクロニクルは、前に行かなきゃどうしようない馬場、というのを見越してしっかり出していったのはプラスでしたが、この枠ですとどうしてもスッと外に出す、というわけにはいきません。
 コーナーでの機動力があまり良くない馬、というのはデムーロJもわかっていたようで、先行勢の中で誰よりも早く動き出す意識は見せてくれたのですが、でもこの位置ですとどうしても前の動きに合わせる必要がありましたし、外からスッと自分のリズムで押し上げた組に対してのアドバンテージは作れませんでした。

 一連のレースを見てもこちらも持続力が武器でスパッと切れる馬ではないですから、動き出しでも後手に回らざるを得なかった以上この結果はやむを得ないでしょう。
 むしろ良馬場だともうちょっと危ういかな、と思っていたので、この展開の中ではスタートからの位置取り含めて、なんとか権利はもぎ取ったわけですし、健闘したと見做したいですね。

 でもアルアインはまだともかく、この馬こそは阪神2400mに出して欲しかったなぁ…………。サトノアーサーもいるから使い分けの意識なんでしょうけどもね。
 本番に関しては、最近ポジショニングは良くなってきているので、真ん中くらいの枠から前目に入れて、かつ全体の仕掛けが速くなって後半ラップの波が少なくなるパターンなら、という感じでしょうか。堅実ではありますがズバリと嵌る好走スポット自体は狭いタイプですので、重い印では狙いたくはないですかね。

 4着スティッフェリオは、思いの外好スタートでいい位置を取れたのはいいですが、前でスローにコントロールし過ぎて、持ち味の長くいい脚を引きだせなかった、というよりはっきり切れ負けしてしまいましたね。
 レースメイクに関しては前の3頭すべてに責任はあると思いますし、ただこういう馬場条件ですので中々引き上げていく勇気は持ちにくかったのはわかります。
 それでもこのタイプの馬なら、せめて向こう正面からもっと一気にあげていく、くらいのギャンブルを打たないと、好位に鎮座している有力馬の末脚は防げないでしょうからねぇ。もう少し渋りが残ってくれれば良かったんですけど、ちょっと勿体ないレースでした。

 5着プラチナヴォイスは、どうしても序盤の折り合いや横のポジションに難しさのある馬ですし、それをクリアしつつアルアインマークに徹するのはまぁ正解だったとは思います。
 ただ本来もっとコーナー地点でグッと動けるタイプかなと思っていたんですが、意外と反応できませんでしたし、直線向いてもスパッと動ける感じはなく、ジリジリともどかしい差し脚になってしまっていました。
 休み明けもあったでしょうが、こちらもやはりワンペース向きかな、というのはありますし、賞金的にも苦しいでしょうから、改めて適距離の自己条件から頑張って欲しいですね。

 9着クリンチャーに関しては、まぁそりゃそうでしょうよ、という負け方でしたね。
 一応一縷の期待は持って見ていて、スタートから出鞭を入れてなんとしてでも先行する!という意志を見せた時はちょっと期待しましたが、1コーナーで前がクリアなポジションを何とか確保したところで、ガクンとペースが落ちたのに合わせてしまった時点でハイ終了~、という気分になりました。刹那だけ期待させといて落とすあたり、やっぱりなんだかなぁ、馬自身は強いはずなのになぁ…………ともどかしさが募ります。

 勿論この土台が超高速の馬場で、ここまで回復してしまえばこの馬にとって簡単ではなかったとは思いますが、皐月賞では59-59くらいの平均ペースの中でしぶとさを生かせていました。
 後半一気に乾いてきているのは明白でしたし、1コーナーでポジションを取って満足ではなく、そこから更に淡々とした流れに持ち込んで後続に足を使わせる意識がないと、こういうタイプの馬の底力は生かせません。

 仕掛け自体も3~4コーナー中間からと常識的過ぎる感じで、結果的にラスト2F22,3というスプリント戦では、最大速度面では確実に劣るこの馬で勝負になる筈はなかったですね。
 勿論今日は馬体も重かったですけれど、結果的に上がり3Fだけ見ると皐月賞と全く同じ、というあたりで、高速馬場での上がり勝負に対する限界ははっきり露呈していますし、せめてそうならないような意志を、スタート直後だけでなく道中、仕掛けどころでも感じさせるレースをしてくれないかなぁ、と。

 ただこれで賞金的に微妙ではあれ、菊花賞に出られるなら絶対に人気はなくなりそうなので、その点では楽しみはあるんですけどね。
 適度な外枠(といっても大外とかは嫌ですけれど)からじわっと出していって逃げ番手、そして中盤下手に緩め過ぎず淡々と刻んでの、上がりが極端に出ない4F戦に出来るならチャンスは大いにある馬とは思う…………のですけど、ダービーに続いてこれを見せられちゃうと、流石に押さえくらいにしか出来ないなぁと。
 正直こういう馬こそ、横山Jとか武Jとか、ペースをしっかり作れる百戦錬磨のベテランとのコンビで見てみたいと思わざるを得ない、あまりに切ない直線の切れ負けっぷりでした。
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2017 ローズS レース回顧

 牝馬三冠最終戦の秋華賞トライアル・ローズSは、春の有力馬を上がり馬ラビットランが大外一気の差し切りで蹴散らし、新たな女王候補へと名乗りを上げました。レースを振り返っていきましょう。

 …………とりあえず、今日はちゃんと開催できたのだろうか?と気を揉みながら帰ってきて、おっ、ちゃんとやってる、ってところまでは良かったんですが、馬場状態を見てみたら…………良!?と思わず二度見してしまう事に。台風さんと雨雲さん空気読み過ぎでしょうこれ。。。
 予報でも終日雨だったから重馬場は全く疑っていなかったので、その点予想の根幹からまるっきり大外れという事で、まぁこれは仕方ないと割り切るしかないですね。それに当然ながら、良馬場前提で予想したとしてもこれはほぼ間違いなく当たらないです(笑)。

 ともかくそんな、女心と秋の空、という慣用句がつらつら頭に浮かぶ馬場状態とレース結果でしたが、実際の馬場コンディションとしてもほぼ綺麗な良馬場に近かったと言えそうです。
 一応午前中は稍重スタートでしたが、ややスローくらいで流れた1800m新馬戦が1,47,7の好時計、超スローだった500万下でも1,47,3が出ていましたので、そこそこ流れたこのレースの1,45,5は驚くほどではない、とは感じます。

 レース展開は、これは大方の予想通りカワキタエンカが淡々と逃げて、それをヤマカツグレースが外から追いかける形になりました。
 序盤は少し2頭が離して逃げて、その離れた3番手にブラックスピーチとカラクレナイ、その後ろに桜花賞馬レーヌミノルと一番人気のファンディーナがじっくり構えていて、内からはモズカッチャン、それら有力勢をマークする位置にメイショウオワラとミスパンテールがいました。
 その後ろ、内目にリスグラシューがいて、外を通してラビットラン、ミリッサは更にその後ろでじっくり構えて末脚勝負に賭け、メイズオプオナー、ハローユニコーンあたりが最後方列、かなり縦長でレースは進んでいきます。

 ラップは34,6(11,53)-36,0(12,0)-34,9(11,63)=1,45,5(11,72)という推移でした。
 バランス的には中盤少し緩めたものの決して極端ではなく、ほぼ淡々と流れた平均ペース、と言えます。
 ただしそれは一番前、カワキタエンカの位置での話で、1000m通過時点で3番手グループは4~5馬身は離れた位置にいましたので、ある程度追走も問われつつ、ややスローからの後半の持続力勝負、という様相が強く出ています。

 後半4Fが12,0-11,6-11,3-12,0という推移で、実はカワキタエンカにとっては後続の押し上げを待って、直線半ば400-200m地点が最速、仕掛けを遅らせることが出来ています。
 翻って4コーナー中間あたりから一気に動いた先行勢は、ある程度追走も問われ、かつコーナーで長く速い脚を求められて最後ガス欠、そこに後方で追走にさほど苦慮せず脚を溜めてきた差し馬勢が一気に襲い掛かってきた、というイメージですね。
 勿論それでも後半の持続力はかなり高いレベルで問われたと思いますし、勝ち時計もかなり優秀でしたので、全体のレースレベルも結構高いと思います。

 そして勝ったラビットランは、前走の切れ味がフロックではない事を見事に証明してみせましたね。
 ダート戦でペースが上がってイマイチ、のイメージでしたので、重い馬場で流れたら苦しいかな、と見て印は回せませんでしたが、良馬場でスローバランスで入っていけたことで良さがしっかり出し切れたなぁと感じます。

 この馬自身はスパッと切れる感じではないですが、残り200mで前と4馬身くらいはあったので、ラスト3Fは推定11,2-11,0-11,3くらいでしょうか。
 ラスト1Fの脚勢は素晴らしいものがありましたし、なにより上位に来た差し馬の中で、この馬だけずっとコーナーも外々を通していたことを踏まえれば、着差以上に強いパフォーマンスだったとも言えます。

 ただ見ての通り瞬時にエンジンがかかるタイプでもなく、機動力が高いとも見えないので、むしろ逆に外からノンブレーキで動いていけたのが噛み合った、というのもあるとは思いますし、更に距離が伸びて、ある程度器用な脚を問われやすい京都2000m戦で同じような持続力を引き出せるか、は、現状では半信半疑、というイメージでいます。
 素材としては確実に直線が長いコース向きですし、今日もこの馬自身1000m60秒前後では通過して、しっかり後半要素を削がれずに引きだせていることから、1800~2000mがベスト条件には感じますね。前走含めて坂でも鈍る感じは全くなかったですし、秋華賞より秋天で見たいくらいです。

 2着のカワキタエンカは、実に横山Jらしい上手い逃げ粘りでしたね。
 この馬自身は前半多少無理しても後半の脚は引きだせるタイプですし、けれどどうあれ長い脚は持っていないので、使いどころが難しいタイプではありました。
 それを踏まえてここでは、前半1000mをしっかり速めのラップを踏んでポジション差を作り、コーナー下り坂地点で本仕掛けをせずに済むようにバランスを取った上で、しっかり直線で出し抜く脚を使えており、良馬場条件においてのこの馬の良さを最大限に引き出してきたと思います。

 思いの外有力馬に追走面で余裕がない馬が多かったのもありましたし、いざ本番でどうか、となると、同型のアエロリットが相当に強い、とは思っているので(むしろ横山J的には、この馬に権利を取らせてハイペースの先導役に仕立てたかったのでは?とか穿ってしまいますね)、流石に簡単ではないでしょう。
 ただ自分のリズムで行ければピタッと止まる馬ではないですし、前々で厳しいペースを作り、後続の脚を削ぐ形での粘り込みは警戒できる馬です。馬場も不問ですし楽しみですね。

 3着のリスグラシューは、春の既存勢力の中で唯一気を吐いた、とは言えるのですが、改めてこの馬の弱点が克服できてないなぁ、と感じさせる内容でもありました。
 スタートはまずまずだったものの、中目の枠で外主導、という展開ではどうしてもポジションをじりじり下げる形になってしまいますし、それでいて要所でスッと動けず後手を踏んでしまうのも辛いところです。

 内々でスペースを作りにくかったのもあれ、道中ではむしろこっちが前にいたくらいのラビットランに4コーナーでは差をつけられていて、このあたりの反応の差は顕著に出たな、と感じます。
 勿論要所の手応えが悪くても、最後ラップが落ちればしっかり伸びてくる馬ではありますが、通したところを考えてもラビットランには完敗、そしてラビットラン以上に京都2000m向きの器用さは足りないので、本番は厳しい競馬になると思います。

 強いて言えば内枠を引けて中団くらいで我慢、かつペースが流れて、馬群全体がそれに着いていく形になれば、要所での加速が問われにくくなるのでワンチャンスあるかな、と。
 今日のレース内容を見る限り、ファンディーナとモズカッチャンは追走面でかなり脆い感じはありますので、流れる競馬にある程度押してでもついていく、桜花賞みたいな強気の競馬は必須だと思いますね。

 4着ミリッサは、春に続いてあと一歩権利に届かずでした。
 本番賞金的には足りるのかどうか、今年の3歳牝馬は結構1000万下勝ちもいるのでちょっとわからないところですけれど、その意味では痛恨でしたね。残り200mで前のオワラを捌けずにややブレーキを踏んだのが致命傷でした。

 バランスとしては当然この馬もスローで入っている上、コーナー出口までほぼインベタしていたので、持続力を引きだしてきたとはいえこちらもラビットランにはスケールではっきり見劣っていますし、自分からレースを作れる馬ではないので、序列としては出られても低くはなっちゃいますね。
 リスグラシューほどには追走面での余裕もないでしょうし、こちらも広いコース向きですので、無理せず自己条件からでいいとは思うのですが。

 5着メイショウオワラも悪くない競馬でしたが、結果的には後半の持続力性能、素材の差は出てしまったかなと感じます。
 強い馬をマークする形でそれらは負かせることが出来ていますし、この馬自身はむしろ少しは渋ってくれた方が良かったのでしょう。ここまで高速馬場ではっきり切れ味を問われてしまうと、前走のようにポジション差を作れる位置取りでない限りは厳しい、と思います。

 6着ファンディーナは、やはりこの馬、良馬場での追走面に余裕がないな、というのが率直なところです。
 今日に関しては調教も緩く、馬体も+22kgで見るからに太目残りではあり、それをラストの息切れの原因を判断する人は多そうですけど、私はもっと単純に、このペースの追走だと後半要素を十全に引き出せない、と考えたいですね。
 
 実際負け方が皐月賞とほぼ同じで、レース全体は平均ペースで、この馬はややスローくらいのバランスから、4コーナーで早めに勝負しに行く形を取っています。
 フラワーCが驚愕だったように、この馬の加速性能ってのはとびきりで、だからこういうコーナーでペースが上がる展開でも手応えは楽に進出してこられるのですが、しかし実際のところここまで追走が問われての持続力はかなり甘いんだと思います。
 この馬の位置からですと、明らかに600-400m地点で11,3くらいの脚は使っていて、直線400-200m地点でもカワキタ比較で互角の脚色でしたのでやはり11,3、するとラストの1Fが12,3とかなり失速している勘定になります。

 皐月賞も残り200mまでは粘っていたのが坂でばったり、でしたし、フラワーCも馬なりとはいえ坂で減速していたので、坂そのものが苦手な可能性もありますが、それを抜きにしても止まり方としてはかなりくっきりしていて、やはり持続面での足りなさ、をイメージしておきたいです。
 本命にしたのも単純に馬場が悪くなって絶対的なペースが楽になるのと、持続力を問われないだろうから、それならこの枠でもあり、というところでしたので、良でそこそこ流れてしまえばこの負け方は納得のいくところです。

 正直秋華賞の舞台もあまり合うとは思っていなくて、特にアエロリットやカワキタエンカのような、ペースを引き上げて良さが出るタイプは天敵とも言えます。
 ましてアエロリットはペース判断に長ける横山Jですから、本番で温いペースにしてくるとは思えず、となるとこの馬としてはその流れに乗ってしまっては確実に分が悪いでしょう。
 スタートセンスがかなりいいので前に行きたくなる馬ですが、この馬の場合はむしろ一度完全な後半勝負に徹する、くらいの方が強さが引き出せる気がしていますし、けどそれは秋華賞のコースロケーションでやるべきものでもないですので、個人的には次は印は軽くするつもりです。

 7着モズカッチャンも、オークスは本当に展開が嵌り切ったところもありましたし、あとなんだかんだで一連のレース全てスローばかりだったのもあります。
 今日はある程度前目で流れに乗っていきましたし、極端に器用さが問われる展開でもない中で要所からの反応が鈍く、最後も脚色一杯、というのは、春シーズンの持続力面の良さを踏まえて考えると、やはりペースに削がれた、と考えたいですね。
 そうなるとこの馬も本番では暗雲が漂いますし、叩いての前進や、枠の恩恵があってどこまで、とはなりそうですね。

 9着レーヌミノルは、この馬場でこの展開ならヤマカツグレースの位置にいないと駄目ですよね。
 この馬はメンバーでも屈指の追走面の強さを誇っていますし、折り合いもつけられるタイプですが、後半勝負、特に持続力戦はめっきり弱く、カワキタエンカのように前半でリードを作って仕掛けを遅らせる展開がベストの馬のはずで、あの位置にいた時点で無理だろう、とは思いました。
 正直距離がダメ、って事はない、すくなくとも世代戦の内なら2000mまでは耐えられる気はしますし、秋華賞で開き直って、カワキタエンカやアエロリットが紡ぐ淡々とした速い流れに乗っていく競馬が出来ればかなりチャンスはある馬だと思うんですけどね。実際にどういう路線を選ぶかも含めて注目です。
  
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私的名馬列伝 第十三話 ダイワスカーレット

**★はじめに**

 今週は東西で秋華賞と菊花賞のトライアルレースが行われます。まあ台風の機嫌次第で順延もありそうなんですが。
 特にローズSは、春のクラシック上位組と夏の上がり馬が一堂に会しての見所のあるレースになりそうでしたが、アドマイヤミヤビの回避は本当に残念で、改めてクラシックを皆勤する事の難しさを感じさせます。

 今回列伝として取り上げるのは、そのローズSの勝ち馬の中でも歴代屈指の実力馬であるダイワスカーレットです。
 [生涯通算成績](https://keiba.yahoo.co.jp/directory/horse/2004103198/)は12戦8勝2着4回、制したGⅠは4つと非の打ちどころのないもので、牡馬に比べて体調や精神面の管理が難しいとされる牝馬としては本当に異端の安定感を誇る稀代の名牝でした。

 加えて同期に宿命のライバルであるウオッカがいたことで、数多のドラマ性のあるレース、近年屈指の名勝負を輩出し、そして牝馬の時代を切り拓いたという視座でも非常にエポックな立ち位置にいる馬です。
 個人的には桜花賞前あたりからずっとダイワスカーレット派でしたけれど、それでもここまで強くなるとは流石に思っていなかったですし、やや体質が弱く怪我に泣かされた部分もありますが、本当にどのレースも強い競馬を見せてくれていて印象深い1頭です。

 ライバルとの比較も私なりの能力分析で紐解いてみたいと思いますが、まずはその輝かしい蹄跡をサラッと振り返っていきましょう。

**★新馬~桜花賞 <類稀なる才能、類稀なる好敵手>**

 皐月賞などGⅠを5勝したダイワメジャーの半妹であり、サンデー後継馬として大きな期待を背負っていたアグネスタキオンの娘として生を受けたダイワスカーレットは、生まれた時からその才能を嘱望される存在でした。

 デビューは秋も深まった11月中旬、京都2000mの新馬戦で、牡馬との混合レースにも拘らず圧倒的な一番人気に支持されます。
 レースも好スタートから楽に二番手をキープ、前半65,5の超スローペースにも動じず、向こう正面から自分で動いていってそのまま後続を完封する、圧巻のレースぶりでデビューを飾りました。
 この新馬戦は後半5Fのラップが全て11秒台を刻んでいるという極めて優秀なもので、後々の、どこまで行ってもバテない素晴らしい持久力と、非常に完成されたレースセンスを同時に垣間見せた一戦と言えそうです。

 続く2戦目には、後々の桜花賞戦線を睨んで距離短縮、年末の中京2歳S・1800m戦が選ばれました。
 ここでも内枠から楽に2列目ポケットをキープし、直線で楽に抜け出して、同じくタキオン産駒の評判馬・アドマイヤオーラを楽に退けて2連勝を飾ります。
 このレースでは、後半4Fが12,7-11,5-11,0-11,3という推移で、極めて高い加速力と切れ味の質、持続力を問われる中で、その全てを高いレベルで兼ね備えていることを実証し、この時点で完成度が素晴らしいという評判は高まっていました。

 しかしその後、重賞に舞台を移しての2戦では足踏みすることになります。
 年明けのシンザン記念では、更に距離が短くなる中、逃げた馬から大きく離れた3番手の位置取りとなり、結果的にややスローに落とし過ぎて、中京2歳Sでは完封したアドマイヤオーラに切れ味の差で交わされ、はじめての敗戦を喫してしまいます。

 そして、次走のチューリップ賞では、宿命のライバルとの初対決が待っていました。
 この前年に阪神競馬場は改装したのですが、その初年度の2歳GⅠ・阪神JFを1,33,1という猛時計で完勝し、年明け初戦のエルフィンSも持ったまま快勝、この時点で既に歴代最強クラスの名牝とすら囁かれていたウオッカも、当然のようにこの王道トライアルに駒を進めてきたのです。

 果たしてレースはこの2頭の一騎打ちになりました。
 逃げてややスローにレースを支配し、4コーナーからじわっと引き放しにかかるダイワスカーレットに対し、唸る勢いでコーナーを捲ってきたウオッカが並びかけ、直線半ばで切れ味に勝るウオッカがクビほど抜け出します。
 ダイワスカーレットもそこからしぶとく抵抗するものの、最後までその差をひっくり返すことは出来ず2着、しかし後続は6馬身離しており、改めてこの2頭の素質が図抜けていることは明白でした。

 ただレース後の評価としては、着差は小さいながらどこまでいっても覆らない、という意見が大勢を占めていました。
 しかし、ダイワスカーレットの鞍上である安藤Jにとっては、あくまでトライアル、相手の脚を図る為の一戦でのこの結果から、本番での手応えを大いに掴んでいたようです。

 かくして迎えた、牝馬にとっての最大の勲章であるクラシック第一弾の[桜花賞](https://www.youtube.com/watch?v=KmcPm__NSss)を、ダイワスカーレットはやや離された3番人気で迎える事となります。
 これは前走の内容からウオッカとの差は大きいと思われていたこと、そして阪神JFでウオッカのクビ差2着に食下がり、フィリーズレビューも快勝してきたアストンマーチャンもいたためで、下馬評としては3強、しかし人気からすればウオッカの1強、という戦前の様相でした。
 またこのレースでダイワスカーレットは大外18番枠を引いており、前年までの圧倒的外枠不利なイメージが少なからずまだ投影されていたのかもしれません。

 その大外から、普段よりやや立ち遅れたスタートになったダイワスカーレットですが、すぐ内にいたアストンマーチャンが抑えきれない手応えで上がっていくのに便乗してじわじわと前目に進出、最終的には3番手の外で、ライバルウオッカの動向を注視しながらレースをコントロールしていきます。
 1000m通過が59,8とややスローで流れる中で、前走と違いあまり早めに動くことなくじっくり構えてウオッカの押し上げを待ち、直線入り口で遠心力を利用して軽く外に膨れることで、ウオッカの勢いを少し削いでから一気にスパートをかけます。

 この手口はギリギリアンフェアでない妨害作戦として、安藤Jはよく用いていた戦術であり、実際戒告すら貰ってはいないのですが、それでもタイミングを吟味して使えば非常に効果的だという事を、図らずもこのレースは実証しています。
 それはチューリップ賞とのラスト3Fの推移の違いを見ると明らかです。
 
 チューリップ賞では、4コーナーからスムーズにペースを上げて11,1-11,0-11,8というレースラップで上がっており、かつ内ぴったりを回ってウオッカの押し上げをスムーズに許しているため、持続力と切れ味の差がはっきり結果に反映しました。
 しかし桜花賞では11,6-10,6-11,7という推移で、コーナーではまだペースを上げ切らず、そこで外から勢いをつけて上がってきたウオッカの脚をコーナーワークで上手く削ぎ、かつそこから一気に1,1秒の加速ラップを踏むことで、疑似的に出し抜く形を作り出しているんですね。

 実際のレースでも、その最速地点で出し抜きつつ、馬体を併せてきたウオッカに対しもう一度ギリギリバランスを崩させる程度の幅寄せをして、二度その勢いを削いだ事で決定的な差を作り出しています。
 まあこの辺ズルいと言えばズルいですが、ルールには抵触しない中で、ダイワスカーレットの後半要素の最大の武器である加速力を完璧に生かし切った戦術の妙は本当に見事の一言だったと思います。
 逆に言えば、少なくともマイルの舞台でウオッカを退けるには、それくらいの戦略性が必要だったという事でしょう。新生阪神の舞台で、枠の並びやコースロケーションを見事に逆手に取ったところも含めて、これは騎手の腕で勝ったレースだと私は考えています。

 なにはともあれ勝ちは勝ち、見事に牝馬クラシック第一弾を制したダイワスカーレットは、続いて当然のように牝馬二冠を目指しオークスに向かいます。
 ライバルのウオッカが果敢にダービー挑戦を決めたことで圧倒的な人気が予想されましたが、好事魔多し、直前の熱発で回避を余儀なくされ、そしてウオッカが華々しくダービーを圧勝してみせたことで、改めて牝馬路線の中での立ち位置は主役から脇役、或いはヒール役へと押しのけられていく、そんな構図がこの年の牝馬戦線にはありました。


**★ローズS~有馬記念 <ゴーイングマイウェイ、その落とし穴>**

 オークスこそ無念の回避となったものの、夏を順調に越したダイワスカーレットは、王道トライアルのローズSで復帰します。
 宿命のライバル不在のここは当然のように一番人気に推されて軽快に逃げ、直線でオークス2着のベッラレイアに肉薄されるものの、それでも最後まで抜かせる雰囲気のない着差以上の強さで、その実力に陰りなしをアピールします。

 そして牝馬三冠最終章の[秋華賞](https://www.youtube.com/watch?v=K2udO-nl2CA)、ここで三度、ウオッカとの対決が実現します。
 ウオッカはダービーの後宝塚記念に挑戦したものの、重馬場に足を取られて惨敗しそれ以来の一戦でしたが、それでもダービー馬の威光は重く、今回も僅差ながら人気はウオッカに譲り、ベッラレイアを含めて新たに3強、という人気を形成していました。

 しかし京都内回り2000mという、器用さが何より生きる舞台では、ダイワスカーレットの完成度、自在性はより輝きを増すばかりでした。
 好スタートを切ったものの、内から果敢に逃げる馬がいたために二番手で控え、自身の位置ではややスローにしっかりレースをコントロールして進め、そしてコーナー中間から早めに進出して、押し上げる後続の脚を削ぎつつ直線入り口で堂々先頭に立ちます。
 ウオッカも流石の底力を見せ、後方から大外を一気に捲って襲い掛かってくるものの、流石にポジショニングの差と通したコースの差は如何ともしがたく、そのままダイワスカーレットが押しきり二冠を達成、ウオッカは伏兵レインダンスも捉え切れずに3着と苦渋を舐める事となります。

 けれどここは休み明けで、適正でも噛み合わない小回りコースでもあり、続く京都2200m、外回りで行われる[エリザベス女王杯](https://www.youtube.com/watch?v=lMPYY2JiCFY)こそが、本当の意味で2頭が決着をつけるに相応しい舞台、と目されていました。
 しかし残念ながら、ここではウオッカの方が直前に感冒で取り消しとなり、歴戦の古馬牝馬を相手にダイワスカーレットが圧倒的な一番人気を背負ってレースに臨むことになります。

 とはいえダイワスカーレットにとってやることはひとつ、とばかりに、このレースでもスムーズなスタートから楽に先手を奪い、遅すぎない程度のゆったりしたスローに支配、坂の下りからスパートする教科書通りの競馬を繰り出します。
 直線では馬場の荒れた内側を避けて堂々と馬場中央に進出、ここでもお家芸的な遠心力カットでフサイチパンドラの勢いを削ぎつつ、自身はラストまでしっかり脚を残して押し切り、世代を超えてもウオッカさえいなければ牝馬に敵なし、という衆目一致の印象を観客に披露しました。

 そうなれば当然次は、牡馬との対決が視野に入ってきます。
 ライバルがダービー馬、ということもあり、その名声を上回るべく年末の[有馬記念](https://www.youtube.com/watch?v=0d4jAyUUhiQ)にウオッカ共々出走することになったダイワスカーレットですが、ここでは破竹の勢いを思いがけぬ展開の中で挫かれる事となります。

 稍重と少し時計のかかる馬場でのレースとなる中、ここでも好スタートを決め、外から遮二無二逃げるチョウサンの番手外でじっくり構えたダイワスカーレットは、勝負所の4コーナーでチラッと安藤Jが外の動きを見て、いつものようにライバルの勢いを上手く削げる位置取りを、と思ったのか、あるいは単純に内の馬場が悪いと判断したのか、コーナーでやや外に膨れながら直線に入ってきます。
 しかしそこで、2列目ポケットにいた中山巧者のマツリダゴッホが、ダイワスカーレットが作ったインのスペースを巧みに活かしコーナーワークで一気に先頭に躍り出て、いつもと逆に出し抜きを食らったダイワスカーレットは、最後までその差を縮めることが出来ず2着と口惜しい結果に終わります。

 このレース自体はかなり馬場が重く、それでいて後半の仕掛けも向こう正面からのロンスパとなっていて、かつ直線入り口で12,2-11,7-12,5と明確に加速もしているので、後ろからの馬には相当厳しい流れでした。
 ですがこの時のマツリダゴッホは伏兵中の伏兵でしたし、常にウオッカが最大のライバルであったこの馬としては、敵は外にいるもの、というイメージを固着化させてしまっているのも仕方なかったのかもしれません。
 もしもこのレース、ダイワがインを開けずにタイトに回ってきていたら…………と感じるところはあり、このレースのマツリダゴッホが強かったのは事実ですが、或いは空前絶後の牝馬による有馬記念連覇の可能性もあったのでは?と今でも感じさせますね。

 とは言え、並み居るGⅠ馬を退けての有馬記念の2着は堂々たる成績で、結局ダービー以外は無冠に終わったウオッカを退け、この年の最優秀三歳牝馬に選ばれました。
 どんなコースでも展開でも結果を出す安定感と底力は、古馬になって益々輝きを増すものと感じさせたのですが、しかしダイワスカーレットの古馬シーズンは一筋縄ではいかないものとなります。

**★大阪杯~有馬記念 <完璧なる逃亡者の矜持>**

 年明けすぐの頃には、ドバイ遠征の可能性なども示唆されていたダイワスカーレットですが、調教中に外傷を負うなどのアクシデントもあり、復帰は春の産経大阪杯までずれ込みます。
 ここでは56kgの斤量を背負いながらも、綺麗な平均ペースからのロングスパートで牡馬勢を楽に完封し、改めてその強さを示しますが、しかしそこでまた一頓挫があり、結局春シーズンはこの一戦だけしか使うことが出来ませんでした。

 復帰までもあまり順調にはいかず、結局大一番・[天皇賞・秋](https://www.youtube.com/watch?v=UaZ_lj2MBdI)にずれ込む事となります。
 そしてこのレースでは、ウオッカとの通算5度目の対決が待っていました。
 ドバイ遠征こそ結果が出なかったものの、春に安田記念を制し、毎日王冠を叩いて万全の体勢で挑むウオッカに対し、今度はこちらが休み明けで、逃げ馬には不利な府中2000m戦でしたが、ここでもダイワスカーレットは、その底力を如何なく発揮し、結果として歴史に残る名勝負を演出する事となります。

 いつものように好スタートを決めて逃げるものの、流石に休み明けでもあり少し気負ったところが見えて、かつ道中結果的にウオッカのラビット的な立ち回りとなったトーセンキャプテンに絡まれることで、いつもよりペースを上手くコントロールできず、2F目から9F目まで延々11秒台のラップを刻み続けるタフな展開になります。
 それを中団から追いかけ、直線半ばで満を持して追い出すウオッカ、それと馬体を合わせて伸びてくる年下の変則二冠馬のディープスカイ、坂上地点では明らかにこの2頭の勢いが上で、ダイワスカーレットは万事休す、ここで連対記録も途切れたか、と誰しもに思わせました。

 しかししかし、ここからの粘り腰は驚異的なものでした。
 インから懸命の鞭に応えてじわじわと差し返し、ゴール板前ではカメラの角度もありますが、差し返したのでは?と思わせる脚色で駆け抜けて見せたのです。
 長い長い写真判定の結果、僅か2cm差でウオッカに軍配が上がったものの、改めてこの2頭の規格外の凄みを満天下に示す、非常に迫力のあるレースだったと言えるでしょう。

 まぁあくまで個人的な評価で言うなら、このレースはダイワスカーレットもウオッカも万全のレースは出来ていない、とは思っています。
 ダイワスカーレットは言うまでもなく休み明けで、自分の得意のラップバランスには持ち込めないレースでしたし、ウオッカも外枠の分本質的にはもっとポジションを取りたい流れの中で我慢を強いられていて、後続との着差が小さいのもそのあたりに原因はあると思います。
 無論ディープスカイやカンパニーも強い馬ですので一概には言えませんが、ドラマ性のあるレース、という視座ではこれ以上なかったものの、2頭にとってのそれぞれのベストレースであるか、と言われれば違うというのが私の見解です。

 そのあたりの検証は能力分析でも少し触れるつもりですが、個人的な評価でのウオッカのベストレースは5歳時のJCで、そしてダイワスカーレットにとってのベストレースは、引退レースともなった最後の[有馬記念](https://www.youtube.com/watch?v=byffPMG2Me8)でしょう。
 秋の天皇賞からじっくり間隔を開けて調整されたダイワスカーレットは、中山2500m戦では不利な外枠を引くものの、それをものともしない素晴らしいスタートダッシュで楽々ハナを取り切り、軽快に飛ばしていきます。

 最初の1000mを1分を切るハイペースで進めてポジション差を作り、1~2コーナーで緩めてしっかり息を入れたのち、向こう正面で後続の仕掛けを待たずにロングスパートを敢行します。
 当然他の馬もそれを指を銜えて見てはおらず、入れ代わり立ち代わり押し上げてくるものの、逆に前目につけた馬、早めにコーナーでスパートしてきた馬を全て潰してしまい、最後は直線で漁夫の利を得て突っこんできたアドマイヤモナークの追撃も楽に振り切り、去年勝ち損ねた借りをしっかりと返す会心のレースを披露してみせたのです。

 本当にこのレースは、中山の2500mを逃げ切る上でお手本のようなラップであり、かつ前半1000mも後半1000mも60秒を切る素晴らしいラップを刻んでいて、本当の底力がない馬では決して乗り切れない凄味のある内容でした。
 順調に使い込めない中でもこれだけの成績を残し、そしてこの時点ではウオッカ共々翌年の現役生活続行を明言していたので、再びの名勝負が見られるものとファンは大いに期待したのですが、残念ながらその夢は叶いませんでした。

 年明けにダートのフェブラリーSを使ってからドバイワールドカップへ、という壮大なプランがたてられていたダイワスカーレットですが、三度故障が発覚し、繁殖シーズン前という事もあって惜しまれながらの引退となったのです。

**★能力分析**

 この馬に関しては、卓越したレースセンスで、常に自分に有利な状況にレースをコントロール出来るのが最大の強みでした。
 今でいえばキタサンブラックもそうですが、ペースが遅ければ自分で逃げるし、速い流れになりそうなら控えて自分のリズムを守る、それで決して崩れない馬と言うのは、鞍上がしっかりペースバランスを守って操縦出来る限りは簡単には負かせられないんですよね。

 常にライバルとして比較され続けてきたウオッカとダイワスカーレットですが、実のところこの2頭は競走馬としての資質、最大の武器は全く別のところにあったと思っています。

 ウオッカはVM、秋天、JCの勝ったレースと負けたレースを引き比べるだけでも顕著に分かるように、ペースが上がれば上がるほどに強かった馬です。
 とにかく追走面で余裕があり、マイルの激流でも削がれることなく切れ味を披露出来た反面、後半勝負の色が濃くなると、持続力面でやや甘くなる傾向がはっきり見えています。
 ダービーは例外的にドスローで勝ち切っていますが、あそこは純粋に後半の持続力・瞬発力勝負で強敵がいなかった事もありますし、本来は速い流れでしっかりポジションを取り、その上で仕掛けを待って抜け出すのがベストの馬で、その意味で最後のJCは完璧な流れと立ち回りでした。

 そういう馬に対して、ダイワスカーレットのようなコントロールタイプは天敵、と言っても過言ではない存在なんですよね。
 ダイワスカーレット自体は実のところ、追走面ではウオッカの足元にも及ばなかった可能性はあります。
 実質的にハイペースを走ったことがないので、実際やってみたらどうだったかはわかりませんが、それでも例の休み明けの秋天ですら58,7-58,5と平均ペースではあり、敢えてそれ以上ペースを引き上げる必要のない、それだけ自在性と精神的な安定感がある馬だったのは間違いありません。

 だから多分、古馬になってのペースが上がりやすいマイル戦だったら、どのコースでもウオッカの方が安定して上に来たと思います。
 でも2000m以上であれば、基本的に前目でダイワスカーレットが平均からややスローにコントロールしてしまうので、そうなるとウオッカの最大の持ち味は削がれてしまう事になり、結局のところべストパフォーマンスが噛み合う2頭ではなかった、とも思うんですよね。

 ダイワスカーレットの場合、有馬の舞台で強かったように、どちらかと言えば軽い馬場での切れ味勝負より、重い馬場での持久力戦に真骨頂があったように感じています。
 高速馬場の時はバランスの取り方が難しいところもありますし、器用さが武器になる馬ですので、大箱よりは小回りコースの方が安定して強かったとも思います。その点も、府中でこその馬だったウオッカとは正反対ですね。

 結局この馬のレースの大半がややスローからのロンスパ戦、という傾向にあり、この馬にとっては仕掛けを遅らせて罠を張り巡らせた桜花賞の方が例外、とも言えそうで、でもレース数を使っていない分完全にこうだと見極められるほどの傾向は明快でなく、まだ奥があったのでは?と底を見せないまま引退してしまったイメージは強いですね。

**★終わりに**

 改めてその足跡を振り返ってみても、これほどに安定感があり牡馬にも伍せる強い牝馬はもう出てこないのでは?と思うほど、この戦績の美しさは卓越しています。
 あのブエナビスタでさえ、現役最後は時折崩れるレースも見せましたし、ダイワスカーレットとしては逆に弱点を研究される前に勝ち抜けた、という見方も出来ますけど、それを差し引いても素晴らしい、の一言に尽きます。

 現役生活で底力を使いつくしてしまったのか、ダイワスカーレットもウオッカも今のところ繁殖成績が振るわないのは切ないところでもありますが、そこまで足並みが揃うのもこの2頭の因縁の深さを物語っているようで趣深いです。
 90年代にもエアグルーヴという金字塔的な牝馬がいましたけれど、そこで培われた牝馬の時代への移行が停滞しかかっていたところに、この2頭が問答無用でこじ開けていった印象は強く、この先何十年経っても語り継がれていくべき馬ですので、こうして自分なりの評価を書き記しておけたのは嬉しい事です。
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2017 9月第2週海外GⅠ レース回顧part2

 今週は本当に面白いレースがGⅠだけでもごっちゃりとありました。
 この他にもアイリッシュセントレジャーとか、ニエユ賞とかもいいレースだったのですが、ちょっと触れている余裕がなさそうです。
 ともあれサクサクっと回顧していきましょう。

**★スプリントカップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ED69CXq981w)**

 このレースだけ全部入りの動画を見つけられなかったのでゴール前だけですが、並み居る古馬を相手に3歳馬のハリーエンジェルが強気の先行策から圧巻の押し切りを見せています。

 馬場がヘビィ表記ですのでかなり重かったはずですが、その割に時計は悪くなく、後続が千切られた事も含めて、こういうタフな馬場に対する適性が高かったのかな、と思います。
 ただ折よく昨日netkeibaの合田さんの記事を読んでいて、ハリーエンジェルの父ダークエンジェルは良馬場でこその種牡馬だ、なんて触れられていましたので、或いはそれだけこの馬の能力が突出している、という事かもしれませんね。

 デビューから2着と1着を交互に続けてきて、コモンウェルスカップではカラヴァッジオに敗れたものの、今にして思えばやはりあのレースはペースが遅かったし、その割に位置取りが悪かったんだろうと思います。
 前走ジュライカップからより先行策にシフトしてしっかり連勝と結果を残してきましたし、2戦続けて古馬勢の有力どころは撃破しましたので、今後はこの馬が中心になってスプリント路線は進んでいくのでしょう。
 今のところ1000mと1200mで棲み分けがなされていますが、どこかでレディオーレリアとも激突して欲しいですね。英チャンピオンズディで可能性があるでしょうかね?

**★アイリッシュチャンピオンS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=RhG3fNFh9x4)**

 登録のあった強敵が概ね回避して、結果的に2000m路線2戦目のチャーチルが圧倒的な1番人気、前走フランスで好時計の逃げ切り勝ちを見せたエミネントが2番人気と、やや小粒なメンバー構成になりました。

 レースはエミネントが前走同様に逃げてそこそこペースを引き上げて進め、チャーチルはその後ろ、2列目ポケットあたりで折り合いをつけつつ進んでいき、直線では前2頭の間を割って伸びようとしますが脚色は良くなく、その間に外目からムーンライトマジックに進路を閉じられてしまいます。
 エミネントも前目でしぶとく粘りますが、この馬とムーンライトマジックの競り合いを尻目に、レース序盤は後方でじっくり脚を溜めていたデコレ-テッドナイトが、伏兵の上がり馬ポエッツワードと共に一気に伸びてくるという、なんか去年のリプレイを見ているようなレース展開になりました。

 結果的に外から伸びた2頭で決着し、デコレ-テッドナイトはこれでタタソールズゴールドCに続いてGⅠ2勝目、近走はやや不甲斐ない結果でしたが、よほどアイルランドの水が合うのでしょうか?
 ポエッツワードも展開が嵌った感はあれどこのメンバー相手の善戦は立派ですし、逃げたエミネントも3着に粘って素質の一端は見せました。
 とはいえ、どうしてもフランケル産駒は欧州でのGⅠを勝てませんねぇ。ニエユ賞勝ちのクラックスマンも凱旋門賞は僚馬イネイブルに任せて回避の方向のようですし。

 チャーチルは確かに最後は進路がなくて全く追っていませんが、脚があれば進路がなくなる前に抜け出してこられたはずで、やはりこの距離でタフな馬場、前傾戦となるとスタミナ面に不安が出てくるのかな、と感じさせます。
 次は英チャンピオンズディでしょうが、マイルのクイーンエリザベスSに向かう方が賢明に思いますね。まぁこっちも相手はかなり骨っぽいでしょうが。

**★メイトロンS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=3SAD12CXVz8)**

 牝馬限定のマイル戦は、GⅠ4連勝と破竹の勢いだったウィンターが、人気薄のハイドランジアに差し切られるという波乱がありました。

 ウィンターはいつも通りに好スタートから2列目のインでじっくり構え、直線を向いて満を持して追い出しますが、いつものような迫力のある伸び脚を見せられません。
 その後ろを追走していたハイドランジアが最後じわじわと追い詰めて、壮絶な叩き合いの末に頭差先着して、嬉しい初GⅠ制覇となりました。

 元々ハイドランジアも素質は評価されていた馬で、1000ギニートライアルではウィンターを破り、本番でも上位人気に支持されていましたが、それ以来ウィンターとずっと同じレースに出て4連敗、かつどれも完敗でしたので、ここで勝ち切る競馬をしてくるとは流石に思いませんでしたね。

 ウィンターの方がここまで重い馬場が良くなかった可能性、歴戦の疲れもあったかもですが、やはり競馬は分からない、という感じです。
 強いて言えばハイドランジアはアイルランドでのレースで安定しているので、輸送が苦手なタイプなのかもしれませんね。
 まぁ敗れたとはいえウィンターも強い競馬はしていますし、評価が下がる負け方ではなかったと思います。
 

**★ムーラン・ド・ロンシャン賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=4_ODZFXScPM)**

 フォワ賞などと同日の、かなり重い馬場で行われた一戦は、リブチェスターが貫禄の勝利を修めました。それにしても愛チャンピオンのデコレ-テッドナイトといい、本当にドバイターフ勢の躍進が著しい年ですよね。これでヴィブロスが国内でコロコロ負けないとも限らないのが競馬の不思議なところですけれど。。。

 ともあれいつものように好スタートから番手外と磐石の位置を取り切ったリブチェスターは、重馬場とはいえかなりのスロー展開の中残り600mからスパート、ラスト3Fを11,8-11,8-12,3くらいでまとめて、外から一瞬鋭い脚を見せたターリーフを着差以上の強い競馬で退けて見せました。
 ターリーフはジャックルマロワ賞5着ですが、あのレースはかなりスローからの瞬発力・持続力特化戦でしたし、馬場が重くなっての機動力・持久力勝負で持ち味が生きてきたのかな、というイメージです。

 まぁ相手関係がかなり軟弱でしたので特に語るところはなく、この馬の出るレースに限って有力3歳勢が出てこないのでややマイル路線は盛り上がらないんですよね。
 次はクイーンエリザベスSかな、と思うのですが、ここくらいは強い相手が出揃って欲しいですね。チャーチルやバーニーロイ、サンダースノーや、或いはウィンターも回ってくる可能性はあるかなと思いますし楽しみです。
 

**★ヴェルメイユ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=O3jVn-Id24g)**

 牝馬限定の2400m、凱旋門賞の前哨戦のひとつとなるヴェルメイユ賞ですが、セブンズヘヴンが回避した事でこちらも少し盛り上がりに欠けるメンバーになりました。

 レースはフォワ賞の項でも触れたように超ハイペースで展開し、ラスト3Fが39秒くらいかかる強烈な消耗戦の中、重い馬場を得意としていたバティールが中団から一気に抜け出し、ジャーニーの追撃を楽々振り切ってGⅠ初制覇を飾りました。
 去年の勝ち馬レフトハンドも3着に食い込みましたが、この馬はこういう馬場があまり合わないタイプですし、またレースも4コーナーでかなり大きな交錯があったりと中々に難しいレースになりましたね。

 勝ったバティールに関しては、この消耗戦の流れでは極めて強い競馬が出来ましたし、本番でもタフな馬場、或いは去年くらいのハイペースになれば、とちょっと感じたのですが、どうやらこの馬も本番は回避の意向を示しているようですね。
 どうにもこのまま回避馬が意向を覆さない限り、ますますイネイブル1強の様相を呈する、かなり小粒なメンバーでの一戦になりそうで、それはそれで純粋にサトノダイヤモンドに勝って欲しい、と願う意味ではいい事なんでしょうけど、強い馬が激突するレースが見たい、という視座ではやや物足りない一戦になりそうな印象です。

**★モイグレアスタッドS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ivq0eHtOXcY)**

 こちらはおまけで、アイルランドの2歳GⅠ戦です。
 近年の勝ち馬にスカイランターンやマインディング、上位馬にファウンドやハイドランジアなんかがいて、牝馬マイル路線の出世レースのひとつとなっていますが、今年は重たい馬場の中で、オブライエン厩舎×ガリレオ産駒というお馴染みの構成であるハッピリーとマジカル(揃って随分とキュートな名前ですね)が叩き合い1、2着となりました。

 なんでこんな地味なレースを取り上げたかというと、3着のセプテンバーが同じくオブライエン厩舎のディープインパクト産駒で、英オークスの有力馬として取り沙汰されているからですね。
 ギニーでなくオークスの有力馬と見做されているあたりからも、1400mが短いと思われているのは確かでしょうが、ここでは先行して追い出されてからジリジリと離される完敗であり、フォワ賞のサトノダイヤモンドとセットで、やはりディープの仔は欧州の悪馬場への適性が低いのでは?と思わせる結果でした。
 まあまだまだ先のある馬ですし、良馬場なら巻き返してくると思うので次も注目ですね。
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2017 9月第1週新馬戦・すずらん賞など レース回顧(日曜編)

**★すずらん賞**

 日曜札幌の2歳OP戦、1200mのすずらん賞は、地方からの刺客リュウノユキナが中団から長く外を捲るいい脚を使って力強く差し切りました。レースを振り返りましょう。

 日曜の札幌もかなり時計は掛かっていて、2歳未勝利で34,9-37,1=1,12,0、7Rの500万下で34,7-35,9=1,10,6ですので、このレースの1,10,8はまずまずいい時計ではないかと思います。
 
 展開は外からトランプが好スタートから逃げて、オジョーノキセキ、ディーエスソアラー、サフランブーケあたりが先団に取りついていきます。
 リュウノユキナはいいスタートでしたが序盤はダッシュがやや鈍く後方から、しかし速い地点で押して押してリカバーし中団くらいまでには上がってきていました。
 コスモス賞3着で人気を集めたハッピーグリンも、出足は鈍かったものの内目からリカバーして先団の後ろ、人気のウインジェルベーラは、函館2歳Sの時のような出足は見られず、ちょっと頭を上げながら中団外目を追走して、2着に差し込んできたモルトアレグロも最初は後方、リュウノユキナを追いかけるように早めに動いて前に取りついていきます。

 ラップは34,2(11,4)-36,6(12,2)=1,10,8(11,8)という推移でした。
 かなり前が飛ばして前傾度の高いレースになっていますし、その分コーナーあたりから前は一気に減速していて、後半4Fは11,4-12,1-12,4-12,1という、ラスト1Fで再加速する流れになっています。
 前半はある程度フラットに入って、緩みで押し上げた方が楽な競馬だったのは間違いありませんが、それでも上位に来た馬はラストまでほぼラップを落とさず突き抜けており、この重い馬場への適正の高さと持久力の高さを感じさせる内容でしたね。

 リュウノユキナは、門別のレースでもそこまで内容的に光るものがなかった分この人気も仕方ないでしょうが、レースぶりは圧倒的でした。
 ダッシュ力こそやや足りなかったものの、まだペースが落ちていない3F目あたりから外目をじわじわと押し上げて、コーナーでも延々大外を回しながら楽に前に取りつき、それでいて直線ラスト1Fは推定11,8くらいで楽に突き抜けてきました。
 後半はかなりフラットに脚を使って、かつまだ出し切っていない感もあるので、重い芝ならもう少し距離があってもいいタイプに感じますね。とはいえ軽いところでどうかは未知数ですし、内容的にはダートよりは芝の方が、という感じもありますが、もう少し色々な条件で見てみたいなぁと思います。

 2着のモルトアレグロも、流石スパイツタウンの仔というべきか、万能ぶりを感じさせる走りでしたが、ダートのデビュー戦も含めてもう少し距離はあっても良さそうです。
 このレースもテンは全くついていけませんでしたし、このペースで削がれず食い込んでくるのは中々ですが、スピードで押しきるタイプではないかなと感じました。
 実力的にもリエノテソーロレベルに、というのは中々難しいところですが、色んな条件を試してみて、何が一番噛み合うのか探っていくことで良さが生きてきそうなタイプですね。軽い芝なら1400mくらいが合う気がします。

 3着ハッピーグリンはコスモス賞に続いての好走ですが、ここでは距離が足りなかったし、リカバーした分追走で削がれてラストの持ち味を引き出しきれなかったと見たいですね。
 芝適正はかなり高いと思いますが、この馬も重い芝でこそ、というイメージは強いのでなんともです。

**★9/3(日) 新潟1R 芝1600m未勝利戦**

 このレースは、新馬戦で究極の上がり勝負で惜しくも2着に屈したカーボナードが、2戦目の変わり身を見せて先団から楽に抜け出して初勝利を収めました。
 
 展開はイセベルが外から逃げて、内枠の馬がこぞっていいスタートで出していく中で、カーボナードも初戦の行き足の悪さが嘘のようにスッと前につけられ、馬場のいい外目に誘導しながら番手外を取り切ります。
 2着に差し込んできたランウェイデビューははっきり出遅れて後方外からじわじわリカバー、3着のダンシングチコは五分にスタートは決めるものの、内と外から先行勢が殺到する中で相対的に位置を下げて中団、という並びになりました。

 ラップは36,1-25,2-34,0=1,35,3で、序盤は常識的には流れて、中盤でそこそこ緩んでからの、段階的な加速を伴う3F戦、という新潟外回りらしいレースです。
 とはいえ、この日の馬場はそこまで高速決着する条件でもなかったですし、前目からしっかり勢いを乗せていけたとはいえ、ラストを11,7でまとめて後続を千切ってきたのは中々強い競馬だったと言えますね。
 血統的にも奥がありそうですし、阪神外回りなどで見てみたい馬です。

 2着のランウェイデビューも、相変わらず後ろからではあるものの、じっくり構えて後半勝負で切れ味と持続力は上げてきており、この感じですともう少し距離を伸ばしてみたいですね。中山よりは府中の1800mくらいで試して欲しいかなと感じます。

**★9/3(日) 新潟5R 芝1800m戦**

 新潟の芝での夏最後の新馬戦は、ルーラーシップ産駒のサンリヴァルが好位から抜け出し、キングスヴァリューとナラトゥリスの追撃を凌いでデビュー勝ちを収めました。

 展開は内からバゲットリストが積極的にハナ、それを最内のアメリカンツイストが追いかけて、サンリヴァルはそれを少し離れた三番手のインで見る格好で進めます。
 キングスヴァリューはまずまずのスタートから枠なりに中団の外、ナラトゥリスは出遅れて内目からじわっとリカバーしつつ後方寄りでレースを進めていました。

 ラップは37,1(12,37)-39,2(13,07)-33,8(11,27)=1,50,1(12,23)という推移でした。
 序盤もゆったりですが中盤が特に遅く、しかしこれでも前2頭はそこそこ離れていたので、サンリヴァルの位置ではよりスローだったでしょう。
 後半の推移が12,8-11,8-10,6-11,4となっていて、段階的に加速しつつラストまで落とさない流れですが、この12,8のところでサンリヴァルとプロトスターは並んで上がっていっており、その仕掛けに合わせて後続も動いているので、加速面では上位に来た馬はスムーズに入れている、と感じます。
 直線は切れ味の質と高い持続力が問われましたし、交錯などもありましたが上位3頭は中々に味のある競馬を見せたとは思います。

 勝ったサンリヴァルは、結果的にポジショニングが良かったのと、そこから包まれるのを嫌って早めに外に持ち出して動いたのが見事でしたね。
 直線の交錯で過怠金を取られていますが、あれはプロトスターの方も内に寄れている感じもあり、ちょっと判断が難しいところです。あの後勢いががくんと落ちているのでブレーキにはなっているでしょうが、勝敗には関係ないイメージですかね。

 ともあれこの馬としてはコーナーから早めに動いて直線は残り400mで先頭、そこから中々の持続力は見せてきたと言えます。
 2、3着馬のほうがラスト1Fはいい脚でしたが、ポジショニングなどの総合力で考えれば遜色ないと思いますし、ウメノファイバーの孫でルーラーシップの仔、となるといかにも府中向き、って感覚がありますね。
 内容的に楽に上で通用、というレベルではないかもですが、順調に成長すれば楽しみな一頭です。

 キングスヴァリューも外目から早めに動いてしっかり脚を出し切ってきましたし、ナラトゥリスもコーナーで上手く外目にスムーズに出せていたので、出負け以外では特にマイナス点はなく、いい競馬ですが内容的には完敗、ではあるのでしょう。
 ただ2頭ともいい持続力を見せてラストは差を詰めていますので、直線長いコースでの決め脚比べになれば当然チャンスが広がる、という見立ては出来ると思います。

**★9/3(日) 新潟6R ダート1200m戦**

 白毛一族のハウナニが人気を集めていましたが、勝ったのは逃げた外国産馬のセイウンスパイでした。
 展開はセイウンが逃げ、外からソングオブファイアが番手、その後ろにハウナニとカクカクシカジーカ、ディライトプロミスと人気馬が先団を占め、そのまま順番もほぼ変わらず雪崩れ込んだ単調な一戦ではあります。

 ただラップ的には中々奇怪で、37,0(12,33)-37,3(12,43)=1,14,3(12,38)という推移ですが、中盤が12,6-13,4と極めて遅く、そこから11,8-12,1と、都合1,6もの急加速が問われています。
 新潟ダートはコース形態的にどうしてもコーナーで一度緩むのは必然ですが、それにしても緩み過ぎで、直線向いての加速性能がほぼ全て、という特殊なレースになっているのかなと感じます。
 時計的にも3歳未勝利戦が1,13,0ですので極めて平凡ですし、色々と評価が難しいところです。

 まあ勝ったセイウンスパイは素晴らしい加速力を持っているとは言えますし、2着馬にもついてこられましたがそれを凌いでいるので根性もありそうです。
 この内容ですと、もっと流れた時に前に取りつけるのか、消耗戦でどうかなどは全く分からないのですが、競馬の内容的にはもう少し距離が伸びて、ためを効かせるレースになった時に良さが出るかも、と覚えておきたいところです。
 おそらくソングオブファイアあたりは中山1200mの未勝利に出てきそうですが、この舞台は逆にかなり流れやすいので、この結果だけ見て過信は禁物かなとは思いますけどね。

 ハウナニに関してはコーナリングがかなり不器用で、そこからの加速についていけなかった印象です。
 レースを見てもラスト1Fだけならほぼ離されておらず、この感じですとスタートから波のないタフなレースの方が合いそうですね。まあカナロアの仔ですから、芝を試してみるのもアリでしょうが、この感じですと芝でも切れ味勝負では多分分が悪いと感じます。
 ダート1400mでややハイくらいで逃げる、或いは番手くらいの競馬でどこまでやれるかですね。

**★9/3(日) 小倉1R 芝1200m未勝利戦**

 小倉2歳S回顧でも散々引き合いに出しましたが、2戦目でしっかり競馬を覚えてきたアンヴァルが、番手から逃げた強敵ラブカンプーを楽に捉えて勝利しました。
 ラップも34,0-35,0=1,09,0と、前傾ですが極端ではなく、直線もわずかながら加速していて、内容的に1200m特化の競馬ではないですね。初戦は本当に競馬になっていなかっただけに、ここでしっかり被せられないように細心の注意を払いながらの立ち回りは見事でした。

 距離伸ばしても悪くないですが、被された時にどういう反応をするかはまだ怖さがあるので、今のところは前目外目、或いは逃げを志向していくのが良さそうですね。
 素材面ではかなり面白いと思うので、次が楽しみです。
 ラブカンプーも2戦続けて相手が悪かったですが、次はまともなら勝てるでしょう。

**★9/3(日) 小倉5R 芝1800m戦**

 小倉最後の新馬戦もまた中々にトリッキーな流れになりましたが、番手につけて押し切りを狙う圧倒的人気のレッドヴァールを、外からマンハッタンカフェ産駒のメイショウテッコンが力強く差し切りました。

 展開はノーブルスピリットが逃げて、番手にレッドヴェールがつけ、そしてスッと隊列が決まったことでかなりのスローペース、逃げているのにノーブルが頭を上げているくらいの流れになります。
 メイショウテッコンもまずまずのスタートから外目に誘導し、前の人気馬をマークするような位置で進めていました。

 ラップは39,0(13,0)-37,1(12,37)-35,0(11,67)=1,50,1(12,23)という推移でした。
 とにかくべらぼうに最序盤が遅くて、そこからたまらんとばかりにレッドヴェールがある程度突っついていく形で、なんと3F目の13,3から、ラスト1Fの11,4まで7F連続で加速ラップを踏むという中々に特殊な展開になっています。
 当然全体としてはかなりのスローですので後半は前も余力があり、でもじわじわペースは上がっているので一気に仕掛ける馬もおらず、結果的に11,9-11,7-11,4という上位は余力を残した中での差し比べになりました。
 この流れですと馬群でブレーキを踏まされたら厳しいですし、外から動く方が楽ですが、でもそれなりの持続力は必要なので、そういう競馬で上位2頭は強かったと見ていいでしょう。

 メイショウテッコンは減量の恩恵も多少はあるでしょうが、コーナー出口あたりからしっかり勢いをつけて入っていけましたし、それでもこの馬でも11,8-11,4-11,4くらいではあるので、前が待ち過ぎ、という方が正しいとは思います。
 前の加速に先んじて動けた分レッドを出し抜けましたし、素材面では正直どちらが、とも言いづらいですが、こういうロンスパ気味の競馬で長い脚を使ってくるのはステイヤーらしさが強く出ていると思いますので、血統的にもそこそこ長いところで楽しみがありそうですね。

 2着のレッドヴェールは、前のノーブルスピリットも人気馬だっただけにやや仕掛けを待ち過ぎたきらいはあり、追い出しを待った分余力をしっかり残していたメイショウに食われた感じですね。
 この内容ですと実のところ追走力も加速力も持続力もあまり明確には測れないので、実際どのくらいの器かもわからないのですが、レースセンスは髙そうなので改めて中央場所で注目したいところです。
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2017 9月第1週新馬戦など レース回顧(土曜編)

**★9/2(土) 新潟2R 芝2000m未勝利戦**

 このレースでは、新馬戦では立ち遅れ、進路取りが非常に拙く、最後の末脚だけで見せ場を作ってきたオウケンムーンが、2戦目の変わり身で上手く先手を取り、前々から押し切ってのレコード勝ちでした。奇しくも新潟記念で4着と好走したウインガナドルが、以前のレコードホルダーだったんですね。

 この日の新潟の馬場は常識的に高速馬場、という趣で、ペースがそれなりに上がれば時計も出る印象でしたので、レコード自体は極端に驚くほどでもないでしょう。それでも勝ち馬は強かったです。

 レース内容としては、オウケンムーンは今回もスタートそのものはあんまり上手くなかったですけど、そこからコーナーの入り口までにしっかりリカバーして道中は3番手の外につけてきました。
 ラップも35,9-50,5-35,4と、そこまで序盤が遅くない中で、前走のイメージとは一転の出足の良さを見せており、叩かれて馬の意識がガラリと変わったと言えそうです。

 ポジションさえ取れてしまえば素材的にはモノが違う、とばかりに、強気に4コーナー中間くらいから仕掛けていって直線手前でもう先頭、ラスト200mは後続を千切るだけ、という圧巻の競馬でした。
 ラップを見てもそこそこ中緩みが大きく、時計勝負向きではない中で、後半5Fはほぼラストまで加速ラップを踏みつつ、ラスト1Fも全く数字を落としてこなかった持久力の高さは中々で、レコード勝ち、後続を千切るのも頷ける、決してフロックではない内容です。

 まだスタートそのものは上手くないので、出来るならコーナーまでゆったり入れるコースが合っているでしょうが、前走はほぼラスト3Fだけの競馬でそこそこ切れ味と持続力も見せていて、この日は持久力水準のラップで底を見せてこなかったので、かなりの器ではないかとちょっと思っています。
 ポジショニングで後手を踏まずに、後半勝負で強気に動いていく競馬なら、府中1800mあたりでも戦えるでしょうし、年末の時計がかかる馬場なら中山2000m戦も悪くはないでしょう。
 この前丁度ジャングルポケットの列伝を書いたばかりなので、オウケンブルースリの仔がこうして活躍してくれるのは嬉しいですし、ちょっと不器用そうなところはありますが、軌道に乗れば重賞でも楽しめる1頭ではないかと見ています。

**★9/2(土) 新潟5R 芝1400m戦**

 こちらは速い流れになる中で、ロードカナロア産駒×短距離王国安田厩舎ブランドで圧倒的人気のダノンスマッシュを、最後の最後外からランスマンが交わしてデビュー勝ちとなりました。

 展開は、新馬戦特有のばらついたスタートから、外枠のケルースとアルベルティーヌが先行策、そこに二の足を効かせた内枠のエスターテとダノンスマッシュが絡んでいって、中々隊列が決まらずにコーナーに入ってもなお4頭が雁行状態、ペースが落ち着かないままに進んでいきます。
 ランスマンは五分のスタートから枠なりに下げて丁度中団の外目につけ、4コーナー半ばから外目を押し上げて進出する正攻法の立ち回りでしたね。

 ラップは34,8(11,6)-11,7-36,5(12,17)=1,23,0(11,86)という推移でした。
 この時期の新馬戦としては珍しく、2F目からゴールまで延々と減速し続ける一貫消耗戦で、レース全体としてまずまず高い追走力は必要でしたし、そこからしっかりもうひと踏ん張りできる底力が問われた一戦だったと言えます。
 時計的に1,23,0は、馬場を踏まえればまずまず、ただペース的にはもう少し出ても、とは思うので、前傾戦で後々光るものを見せていく、という視座ではまだちょっと物足りないかもしれません。

 勝ったランスマンは、ポジションが非常に良く、自身は丁度平均バランスくらいで走破出来ています。
 かつ外を回したとはいえ、コーナーで前は減速気味になっていたのでそこまでのロスではなかったはずですし、ブレーキを踏むこともなくしっかりこの条件での全力を出し切れた、と見ていいでしょう。
 ダイワメジャーにクロフネなので、こういうタフな展開よりはもう少し器用さを問われてもいいところはありそうですし、ペース次第ですがもう少しポジションが取れるようになれば、反応の良さで上でもそこそこ通用するかな、というイメージは持てますね。

 2着のダノンスマッシュは、勝負に勝ってレースに負けた、的なところはありますね。少なくとも人気には恥じない、このレースで一番強い競馬を見せたのは間違いないと思います。
 序盤から4頭雁行の真ん中で息を入れるところもなかったでしょうし、ペースも全く緩まない中で、それでも3着馬あたりはラスト100mでしっかり突き放しているし、こういうハイペースへの高い適性は見せたと言えるでしょう。
 それでも勝ち切るまで行かなかったのは、ランスマンの総合力が中々に高かったのもありますし、この馬も前傾戦よりはもう少しコントロールした方がいいのでは、という印象もあります。

 ロードカナロア産駒ですが、ここまでの産駒のイメージは父と似ていて、比較的1200mの前傾スピード勝負とかだと脆い場面が多く、平均的な適正は1400~1600mの平均からややスローなのかな、とは見ています。
 カナロアはその辺最後は絶対能力で克服してきましたけど、このペースでラストはそれなりに甘くなっている以上、この馬も類型的なパターンのほうが噛み合う余地は高そうで、京都の1400mとかバッチリ合いそうなイメージですね。
 素材としては未勝利は楽にクリアできるレベルとは思います。

**★9/2(土) 小倉2R 芝2000m未勝利戦**

 こちらはロックディスタウンが勝った新馬戦で3、5着だったシャルドネゴールドとウォルビスベイの一騎打ちとなり、ラストまでしぶとく伸び切ったシャルドネゴールドが勝ち切りました。
 牽強付会的なところはありますが、やはりこの2頭で後続を8馬身も千切った内容からも、あの新馬のレベルの高さは明らかだったわけで、そこをロックの勝利のイメージに上手く繋げられた人はそこそこいたのではと思わせます。

 この日の小倉は決してすごく軽い馬場ではなく、同じ2000m戦でも3歳未勝利が2,00,8、1000万下が1,59,8ですので、時計面の2,01,2も優秀、かつラスト2Fが11,8-11,8と、まだ出し切っていない数字の中でですから、この2頭は上に進んでも楽しみがあると思います。
 勝ち負けは枠の差、通したところの差もありますし、2頭ともに向こう正面から仕掛けて長くいい脚を使っているので、新馬戦とは違う適性を見せており、その点でも楽しみが広がると思いますね。

**★9/2(土) 札幌2R 芝2000m未勝利戦**

 こちらは時計的には地味な一戦ですが、後方から楽に捲り切ってノーステッキで突き抜けたマイハートビートの強さが際立ちました。
 この馬は例の、札幌1800mの新馬戦屈指の好メンバーになったルーカス戦の4着馬ですし、馬場状態が違ってどうか、というのもありましたが、ここでは素質の違いを見せつけた格好になりますね。

 勝ち時計の2,05,2は前半からかなりスローですのでまぁ、というところですし、最終の1000万下2000m戦も2,03,3止まりで、勝ち馬のトリコロールブルー(+32kg!!)の上がりも36,1止まりですから、手綱を最後絞って36,3で軽々と突き抜けてきたこの馬の持久力性能はかなり高いと思えます。
 まあ切れ味を問われた新馬で案外でしたし、本場に戻ってどうか、適性の幅という視座では、他場の2000m戦で勝ち上がってきた面々に比べれば心許ないですが、素材的にはかなり面白い1頭になりそうです。

**★9/2(土) 札幌5R 芝1500m戦**

 北海道シリーズラストの新馬戦は、スズカ血統の集大成的なスズカフェラリーが、後方から外々を捲り切って直線も楽に突き抜ける、中々にスケール感を感じさせる勝ち方を見せてきました。

 展開は、内からクルーズヴォイスが逃げて、外枠の馬がその外に取りつき、人気のサトノアレスの半弟、オルフェーヴル産駒のサトノテラスが好位集団のやや後ろ、外目の絶好位をキープします。
 スズカフェラリーはやや立ち遅れてダッシュも効かず後方から、2着のアンブロジオも上手くポジションが取れずに中目の枠から下げ気味の苦しい競馬になります。

 ラップは32,2(12,44)-24,9(12,45)-35,8(11,93)=1,32,9(12,19)という推移でした。
 全体的には馬場の影響もあってかなりスローで、かつレース全体の仕掛けどころも遅く、結果的にラスト3Fが12,3-11,9-11,6とゴールまで加速し続ける展開になっています。
 ただラスト1Fは勝ち馬が千切ってきたからで、3着馬基準で見れば12,2くらいに落としているので、純粋にあまり追走力が問われなかった中で、後半勝負、特に持久力面の素材でスズカが図抜けて強かった、と見てもいいのではないかと思います。

 勝ったスズカフェラリーは3コーナー過ぎから上手く外目を通してブレーキを踏まず進出出来ていますし、前にサトノテラスという絶好の目標があったのも好都合でした。
 サトノテラスが思ったよりだらしなかった部分もあるでしょうが、楽にコーナーで外から捲り切ってみせた脚は素晴らしかったですし、ラスト1F最速、この馬場で11,6はかなりいいラップですので、素材的にはまだまだ底知れない所があります。
 血統的にはスズカフェニックスの仔で短距離色が強いですが、走りからするともう少し距離があっても、と思いますし、当然速い流れ、切れ味勝負など未知数の要素は数多ありますが、一度阪神外回り1600mあたりで出し切ってどこまでやれるか、底を見てみたい馬ですね。

 2着のアンブロジオは、スズカフェラリーが捲り上がっていくときに一緒に動きたかったですが、外が壁になっていて、前にもサトノがいてややブレーキ気味、直線も馬場の悪い内目を突くしかないという、ややスムーズさを欠いた競馬でした。
 それでもラスト100mで一気に伸びてサトノを交わしていますし、スムーズならもっと楽に2着でしたでしょうから、叩いての変わり身に期待したいですね。

 3着のサトノテラスは、この日冴え渡っていたルメールJの絶好の位置取り、仕掛けでしたが、あれでラストがあそこまで甘くなるのはちょっと物足りなかったですね。
 血統的にもオルフェに代わって持久力面は増してくるかと思いきや、兄同様いい脚は一瞬のみ、重い馬場は得意でない、というイメージを露呈してしまいました。
 まあサトノアレスも未勝利で中々勝てず、でも馬場と展開が噛み合ったところでとんとん拍子、でもありましたし、大型馬でもありますから、ここを使って本場での巻き返しには注目したいところです。
posted by clover at 09:16| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする