2017年09月14日

2017 フォワ賞・コリアカップ・コリアスプリント レース回顧

 今週は海外各地で大きなレースが目白押しでしたので、回顧記事はざっくり二分割させていただき、差し当たっては日本馬が走ったレースのみ優先的に取り上げてみようかと思います。

**★フォワ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=yhYflxbnKTg)**

 まずは、日本の競馬ファンにとっては残念な結果となってしまったフォワ賞から見ていきましょう。

 この日のシャンティイの馬場はかなりの重馬場で、週中に馬場が荒らされた、なんてニュースもあったように、見た目綺麗に感じますが、走らせてみると砂埃や土塊が舞い散るタフな馬場になっていたと思います。
 映像から見ての引用ですが、このレースが1400m-1000mのバランスで91,45-64,41というややスローのバランスで2,35,86でした。

 ちなみにヴェルメイユ賞が超ハイペースで86,04-66,86=2,32,90、ニエユ賞が逆に超スローで94,45-63,33=2,37,78なので、日本の重馬場表記よりもかなり時計がかかる状況に思えます。
 去年の凱旋門賞が超ハイペースとはいえ2,23,64ですから、メンバーレベルを考えても馬場差6~7秒は見込めるのではないでしょうか。

 レース展開は、サトノの2頭が好スタートを決めて、ノブレスに先導役を預けてダイヤモンドが2番手から、という形になります。
 スタートしてしばらくは、ダイヤモンドがかなり行きたがっているようにも見えますし、この辺はいかにも休み明け、阪神大賞典もこんな感じでしたのでこの馬のいつもの雰囲気とは言えます。
 その後ろにチンギスシークレットがつけて、他3頭もつかず離れず、少頭数らしく逃げたノブレス以外はほぼ一団となってレースが進んでいきました。
 大体1400m通過時点で1秒くらい前が離していて、そこから直線向くまでにじわじわと差を縮める格好であり、後続の5頭はこの馬場なりにじわっと加速しての5Fロンスパ持久力戦になっているのかな、と感じます。

 直線向いてサトノダイヤモンドが一旦先頭に立つも手応えはかなり怪しく、すぐ外にいたチンギスシークレットが楽に抜け出し、それを目標に外からタリスマニックとクロスオブスターズが差し込んできて、残り200mでは完全に脚が止まったダイヤモンドが4着、ノブレスは最下位6着、という結果になってしまいました。
 ラスト3Fは12,39-12,24-12,66と、直線半ばである程度加速しつつも最後はやや減速気味、という形で、特に加速面や切れ味は問われず、ストレートにスタミナと馬場適性に特化した一戦だったと思いますね。

 チンギスシークレットはいかにも重厚なドイツの馬、という走りで、こういう馬場自体は得意でしたでしょうし、抜け出してからもしぶとく粘り込んでいて中々に強い競馬でした。
 最後交わされたものの、タリスマニックがここまで要所で鋭い脚を使ってきたのも馬場適性の賜物でしょうし、本来ならシルヴァーウェイヴには勝てないレベルなのが逆転している所からも、特殊条件だったのが伺えます。

 クロスオブスターズは距離延長でどうかな?と思いましたが、この走りを見る限りしっかり本格化して、3歳時の様に最後ばったり止まるような形にはならなそうですね。
 こちらは良馬場の方がいい走りができるタイプでしょうから、本番で馬場が軽くなるならワンチャンスあるとしてこの馬、かなとは思います。
 重馬場ですと当然イネイブルが破壊的に強いですし、同日ニエユ賞を勝ったクラックスマンも未だ本番出否未定とはいえ、ペースが違うにしても上がり3Fを12,2-11,8-12,1くらいでまとめており、重馬場適性は非常に高いと感じますので、斤量が重くなる古馬勢が太刀打ちできるようには感じません。

 サトノダイヤモンドに関しては、こういう極端に重い馬場はからっきし駄目、というのがわかった、とは言えますね。
 道中も何度ものめるシーンが見受けられましたし、休み明けでこのタフなレースを無理に頑張ることなく負けたのは、ある意味ではプラスに考えられなくもないです。
 ただやはりシャンティイの坂適性があるのか、って部分ではちょっと微妙かな、という直線序盤の反応でもありましたし、良馬場ならガラッと変わってくる、と楽観視できる内容でもなかったのは確かです。

 元々馬群の中で競馬をしたことが殆どない馬ですが、本番で良馬場ですと、去年の凱旋門賞でマカヒキが外々回されて惨敗したように、枠の並びと横のポジショニングがかなり重要になってきます。
 当然多頭数にもなりますし、今日の様にノブレスを上手く風よけに出来るとも限らなくて、仮に内枠を引けたとしても、自分から馬群を割ってくる頑張りを見せてくれるか、そのあたりも含めて決してノーチャンスには思いませんが、斤量も含め超えるべき課題は多い、大きいというのが改めてわかった一戦でしたね。

 ただ本当に今年のメンバーはかなり小粒ではあると思いますし、イネイブルも良馬場時計勝負で隙が出る可能性は充分にあります。
 馬場が渋ったら潔く諦めるしかなさそうですので、まずはレース前のコンディションなど人事を尽くした上で、馬場と枠に天命が宿るのを期待するしかないですかね。

**★コリアカップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=XgMd69ZtNLE)**

 去年も日本馬2頭で圧倒的なワンツーでしたが、今年もまるっきりそれの焼き直し、みたいなレースにはなりました。
 ただ岩田Jのコメントにもあったように去年よりも馬場が軽かったようで、このレースもスプリントもレコード決着で、レースラップ的にもなるほどクリソライトが負けるわ、とはっきりわかる内容になっていました。

 展開は見ての通り、ロンドンタウンが好発から一気にハナを取り切り、出足の鈍さを見せたクリソライトがじわっと追いかけて2番手の外、という隊列になります。
 クリソライトが逃げて自分のペースで、となるとロンドンタウンにはやや苦しいか、と戦前は予想していたのですが、思った以上にこの馬の出足が更に鋭くなっているのと、馬場が軽かったことを見切っての思い切りが功を奏した格好ですね。

 ラップは38,1(12,7)-35,3(11,77)-37,3(12,43)=1,50,7(12,30)という推移でした。
 コース形態的にコーナーが急で向こう正面が長いイメージでしたが、ラップから見てもそれは顕著で、2コーナー過ぎまではかなりゆったり入っていますが向こう正面で11,8-11,7-11,8とえげつなくペースアップ、その後12,7-12,2-12,4と、一度コーナーで減速してから直線また加速するという上下動の大きい推移で、基本スピード勝負&加速戦に向かないクリソライトには辛い展開でしたね。

 実際去年のほうが1200m通過は速く、しかし上がり3Fが13,2-12,8-13,5という強烈な消耗戦になっていたのに対し、今年は序盤かなりのスローからの6Fロンスパ戦スピード勝負、結果的に勝ち時計で1,6も上回ってきていて、エルムSの結果・内容を踏まえてもロンドンタウンにより適性が噛み合った馬場だったのでしょう。
 その上で向こう正面からしっかり引き上げて、クリソに自分のリズムを作らせなかった岩田Jの隠れた好騎乗(失礼ながら土曜のディアドラとは打って変わって。。。)だったと思います。

 それにしてもロンドンタウンはかなり強くなってきていますね。
 ここも自分の形、得意なペースに持ち込めた(前半からハイだと苦しいのは平安Sを見ても明らかですので)とはいえ圧勝、ポジショニングもどんどんうまくなってきていますし、ダート中距離路線でトップクラスの一角に入ってきた、と見做しても良さそうです。
 元々佐賀記念の前から素材的にはかなりのもの、と思っていただけに、今年の躍進は嬉しい限りですし、チャンピオンズカップも今の先行力があるならチャンスは出てくるんじゃないでしょうかね。

 クリソライトもスピードコースの1800mではちょっと距離が足りない、という所はありますし、その中で精一杯自分の競馬は出来ていると思います。どうしても出足が悪くて最序盤から主導権を取れない分、去年の様に序盤から流れてくれればいいですけど、そうでないと勝ち切るまでは難しいタイプですしね。
 JBCは流石に間隔的に微妙かもですが、年末大賞典あたりは馬場も重くなるでしょうし楽しみです。

**★コリアスプリント [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=iZEuNCEe0SY)**

 こちらも伏兵扱いだったグレイスフルリープが、二番手から直線半ばで堂々と抜け出す横綱相撲で勝ち切り、改めて日本競馬の総合的なレベルの高さを見せつけた格好です。このクラスの馬で勝ててしまうのですから、来年以降は遠征希望する陣営も増えそうですね。距離的には香港よりも近いくらいなわけですし。

 展開はやはり大外の逃げ馬が速く、好スタートを決めたグレイスフルリープの前を横切るように先頭に立ちます。
 しかし前をカットされても怯まず、果敢に番手外を取りに行ったのが、スムーズに走るのが何より大事なグレイスフルリープには大きなプラスで、ペースも速い中、外からのプレッシャーを全く受けずに直線まで進めることが出来ました。

 ラップは34,2(11,4)-36,5(12,17)=1,10,7(11,78)という推移で、一貫減速消耗戦、ラスト1Fは13,1とかなり落としています。
 素直な印象としては、グレイスフルリープという馬の特性面からするとこれは地味にオーバーペースではあり、だから最後はかなりばったり止まっているのですが、それでも差し込んでこられる相手がいなかった、というだけかなぁ、とは感じています。
 ちなみに去年のラップが34,3-37,1=1,11,4で、それでもラスト1Fは13,0であり、去年の方が確実に馬場が重かったことを踏まえると、相手に恵まれたのは間違いないでしょう。

 今年の香港馬は、去年の勝ち馬の様にドバイ実績などもない芝馬でしたし、2着のパワーブレイドも韓国三冠馬の意地は見せましたがやはり1200mのスピード勝負に対する適応・経験値が足りていなかった感じで、この馬がもう少し短距離慣れしていたら危なかったかもしれません。

 とはいえ勝ちは勝ち、馬の気質を踏まえて気分良く走らせたことで、タフな前傾戦でも結果を残せたあたりは序盤の立ち回りが素晴らしかったと総括できます。
 流石に来年からはもう少しライバルも強力になってくるかもですが(草刈り場、的なところもありますからね)、先行力がある馬を連れていけば安定して好勝負には持ち込んでくれそうなイメージですね。
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2017 セントウルS・京成杯オータムハンデ レース回顧

**★セントウルS**

 今日は昨日よりだいぶ気温が上がり、夏の残滓をより強く感じる中での一戦となったセントウルS、青々と輝くターフの上をトップで駆け抜けたのは、このコースに実績のある1番人気のファインニードルでした。レースを振り返っていきましょう。

 阪神の馬場は、昨日に引き続き絶好の高速馬場を維持していましたね。
 一応東西共に昨日のレース後に散水はしたようですが、こちらはその影響も限定的ではあったと思います。
 今日の阪神は超スローのレースばかりなのでサンプルにはしづらいですが、超スローの西宮Sの後半ラップが11,7-10,8-10,5-11,5と中々にえげつない数字にはなっていて、どこからでもぞんぶんに脚を生かせる条件ではあったろうと感じます。

 展開は、やはり外からフィドゥーシアがスーッと進出してハナを取り切りました。
 好スタートを決めたファインニードルは、無理に抵抗せず少し下げてポケットに入り込み、その外にラヴァーズポイントが上がっていって番手外で積極的にレースを進めていきます。
 その後ろにアルティマブラッド、アドマイヤゴットなどが続いて先団を形成、ここから少し離れた中団にミッキーラブソング、ラインミーティア、スノードラゴンなどがいました。
 そこからもう一列後ろの外目に、久々でやはり少し煽り気味のスタートになったダンスディレクターがおり、メラグラーナもスタートは五分だったものの二の足でスッと置いていかれて後方の内目、というポジションになりましたね。

 ラップは33,8(11,27)-33,7(11,23)=1,07,5(11,25)という推移でした。
 我ながら珍しく馬場読みとペースだけは東西完璧だったというか、それでも予想はかすりもしないのでお話にならないのですけれど(笑)、ともあれ前半流れているようでも比較的ゆったり目で、特に淀みはなく再加速こそなかったですが、後半も11,1-11,1-11,5とラストまでそんなに落としていません。

 なので正直このペースでフィドゥーシアやラヴァーズポイントがなんもなかったのは解せないなぁ、という所はあるのですが、この時計でも全然馬場的には出し切れておらず、後傾型の馬が持ち前の切れ味を存分に発揮できる水準で前半は楽だった、と考えられそうではあります。
 先団に入っていかなければ追走面ではかなり楽なレースですし、前で総合力を発揮する馬がいくらか崩れたのに乗じて、立ち回りや切れ味で光るものがある差し馬が台頭してきた、というイメージですね。

 勝ったファインニードルは、こちらは文句なくイメージ通りの競馬をしてくれたと思います。
 スタートが決まったのも良かったですし、やはり阪神で平均からやや後傾くらいでゆったり入って、要所の一足をしっかり生かしてくる競馬はプラスでしたね。
 この馬自身は34,1-33,4のバランスですし、無理なく前に目標を置いて、コーナーで緩んではいないのでそこで内々なのも楽でしたし、直線も早めに抜け出しての完勝でした。

 タイプ的に前走同様前傾戦で強みが増すタイプではないと思っていますので、余勢を駆ってのスプリンターズS、となると簡単ではない、とは感じますが、やはりアドマイヤムーンの仔は超高速馬場巧者でもありますので、スプリンターズS週まで今の中山の馬場が維持されるようならちょっと面白いかもしれませんね。

 しかし2着がラインミーティアとは…………。後付けで考えるならなるほどアリだったか、と思えるところもあるのですが、流石にこれまでの戦績で1200m実績がなさ過ぎて拾えませんでした。
 ただ馬自身は7歳にして意気軒昂ですし、1000直が合う=後傾型の競馬は合う、というメカニズムはありますので、インベタで差してくる穴馬が1頭はいるだろう、と踏んでいただけに痛恨ですね。

 隊列的にも前と少し分断される形の中で、エアポケットのような中団のインという絶好位で、自身34,7-33,0と楽なバランスで入れていて、かつ直線向くところでも内のスペースががっぽりと、これ以上なくお膳立てが整ったところならこのくらいは、という印象です。
 純粋に差し馬の資質・素材としては当然3・4着馬の方が上だろうとは思いますし、流石に3匹目の泥鰌はいないでしょうけれど、それでもこの2着でサマースプリントチャンピオンもエポワスから逆転で奪取、という事になったでしょうし、西田Jとしても1000直だけじゃない、と意地を見せた格好ですね。

 3着ダンスディレクターは、この馬の競馬は出来ましたし、この絶好の馬場で自分の末脚は出し切れているとは思います。
 出負けこそしたものの外枠の分リカバーは楽で、このあたりの立ち回りの優位性が最後の3着争いでも生きてきたとは思いますが、骨折明けでもしっかり能力落ちはない事を示してきました。
 この馬は35,1-32,6と更に極端なバランスで、流石にここまで後傾ですと時計勝負の面も出てくる中では物理的に届かない、というのはあるでしょうね。元々1200mは時計面に限界がある馬ですし、自分の競馬に徹した上での好走、と言っていいと思います。

 ただ、またこれでスプリンターズS穴人気するかもですが、そこそこ時計の出る良馬場でなら一銭もいらない、とは思っています。
 中山で先頭列が平均くらいまで落ち着く可能性は相当に低いですし、コーナー加速が得意な馬でもないわけで、そこそこ時計のかかっていた去年もなにもなかった以上、少し渋るくらいの恩恵がない限りは拾うつもりはないですね。

 4着メラグラーナに関しては、今日はやっぱり枠が良くなかったですね。
 どうしても下げて下げての競馬で位置取りが後手後手になりましたし、コーナーから直線の進路取りなどは中々緻密で、ラストもしっかりこの馬らしい切れ味は発揮していて善戦したと思いますが、このコースのメカニズムではこれが限界でしょう。
 この馬も今のところは時計面の限界を感じるところが多いですが、ダンスディレクターよりは追走面で少し無理が効くイメージはありまして、叩き2走目の中山で、外目の枠からそこそこのポジションが取れるようなら、こちらはワンチャンスはあっても、と思います。

 正直フィドゥーシアがこの競馬でここまで脆かったのは意外です。
 勿論前傾になり過ぎると駄目とは思いますが、勝ち時計から見れば綺麗な平均、外目からすんなり入れていて、直線入り口くらいではこのままファインニードルとワンツーだろうと思ったんですけどねぇ。

 強いて言えばやはり直線競馬が続いた後で、単調な形での逃げで息がいれられなかったのが響いたか、コーナーのあるコースで明確に逃げの形を取ったのが合わなかったか、使い詰めというわけでもないので難しいところです。
 素材的にはどこかで重賞制覇できる馬、とは思うので、改めて京都1200mあたりは期待できそうな気がします。流石にまだスプリンターズSだと家賃が高そうですけどね。

**★京成杯オータムハンデ**

 大混戦の下馬評だったハンデ重賞・京成杯オータムハンデは、グランシルクが今までの善戦マンぶりが嘘のような鮮やかな差し切りを見せ、同時にサマーマイルチャンピオンの座も獲得しました。レースを振り返っていきましょう。

 昨日の馬場予想で超高速馬場と見立てたのですが、午前中のレースは比較的時計がかかっていました。
 それで週末情報見たら散水、と書かれていたので、きっとたんまり撒いたんだろうなぁ、と思ったものの、それでも今日は夏が出戻ってきたかのような陽気、午後には完全に乾いて、このレース時点では超高速馬場に戻っていたと考えていいと思います。

 9Rの木更津特別が47,3-46,0=1,33,3で、昨日の焼き直しの様にラスト3Fが11,6-11,3-11,3とラップが落ちない状況では、かなり流れたように思えるこのレースでもまだ完全には流れ切っていなかった、というイメージで見ていいですし、それでも前に行けば一定の追走力は必要で、後半勝負でも超高速馬場での持続力適性はかなり高く問われたのではないかと考えます。

 逃げたのはやはりマルターズアポジーでしたが、テンが12,5と、この馬にしてはすんなりハナ、とまでいかなかったのは斤量面もあるでしょう。
 ボンセルヴィーソはすぐに控えてポケット、ウインフルブルームが積極的に追いかけ、外からマイネルアウラートも前目に入っていって、ブラックスピネル、ロサギガンティア、オールザゴーあたりも強気に前に取りついていきました。
 馬群はかなり縦長になって、その後ろの中団グループにダノンリバティ、ダイワリベラル、そしてグランシルクが虎視眈々と構え、そのやや後ろ内目にガリバルディ、ウキヨノカゼとトーセンデュークあたりが後方待機策を取る中、レースは緩みなく淡々と、アポジーの強気のレースメイクで展開していくことになります。

 レースラップは34,6(11,53)-22,5(11,25)-34,5(11,5)=1,31,6(11,43)という推移でした。
 全体的には綺麗な平均ペースで流れていて、ハーフで取っても45,8-45,8なのですが、このレースのポイントは中盤2Fのえげつない速さです。
 レースバランス的にも明確に中盤で最速ラップを刻んでいて、これは純粋に道中では全く息が入らなかった事を示しており、特に序盤で足を使って前に取りついた馬には、平均でもかなり苦しい展開だったのは間違いありません。実質アポジー以外の先行馬は全滅ですからね。
 イメージ的には関屋記念はスローからの5Fロンスパでしたが、このレースは消耗戦寄り、どちらかと言うなら小倉大賞典的な競馬をしていて、ただそれでも超高速馬場の為にまだペースを引き上げ切れておらず、追走面をクリア出来た中団以降の馬に切れ味と持続力を遺憾なく発揮させることになってしまった、と考えられますね。

 ともあれ、馬場が特殊条件だったのはあるにせよ、レース自体はかなり底力を問われる内容になっていますし、コーナーで緩みも少ないので、通したところの差も少し影響はあったはずで、そのあたりを補正しながら評価の序列を見極めておきたいですね。

 勝ったグランシルクに関しては、昨日の予想の時点でも超高速馬場巧者の可能性は高いと示唆しておきながら、印的に半端な扱いをしてしまったのが悔やまれますねぇ。
 古い話ですが相模湖特別の勝ち方が本当に素晴らしくて、この馬は高速馬場で足を溜めて後傾型にシフトすれば、持続力面で一段上の性能を見せてくれるのではないか、とずっと思っていたんですよね。
 OPに上がってからは、実質的に超高速馬場、という条件には恵まれていなくて、中山戦でも去年の秋とか、冬場のレース、春のダービー卿も稍重でしたし、その意味ではOPに上がってここではじめて本領を披瀝できる条件に出会えた、とも思えます。

 今回は枠も良かったのである程度スムーズにポジションも真ん中あたりを取れましたし、その上で最低限の追走力は問われても削がれないのはこの馬の良さのひとつではあります。
 このレースでも推定46,9-44,7くらいのバランスで走破しており、時計勝負の中で常識的な後傾バランスを踏むことで、後半の爆発力を一段上のステージに上げてきたのは間違いないと言えるでしょう。

 レースラップが11,5-11,6-11,4と、この馬が突き抜けたことで最後加速する数字になっていますが、この馬自身は残り200m地点でまだ2馬身弱はあったので、推定で11,3-11,0-11,1くらいになるでしょうか。
 コーナー地点では大外に持ち出しながらも切れ味で明確に勝って捲り切ってこれていますし、実質的にはそこが最速ラップながら、こういう馬場ならそれをラストまで落とさずに維持できる、それが普通の馬場の時にあと一歩足りなかったのとは打って変わっての好走の実質的な要因だと踏んでいます。

 馬のイメージ的にはアレですね、サトノアラジンと似てるかなって思います。
 綺麗な高速馬場で、時計勝負で後傾型の競馬をすればGⅠ級、というのがこのレースでははっきり見えたと思いますし、今までの堅実さも踏まえれば、今後大きい舞台で噛み合う馬場が来るなら強めに狙ってみたいな、と感じさせる凄みがある走りでした。

 2着のガリバルディにしても、こういう綺麗な馬場での持続力勝負は得意な方ではありましたし、枠も良く、コーナーまでしっかり内目で我慢した事で、最後までいい脚を維持できたのだろうと思います。
 立ち回り的には明らかにグランシルクの方がロスの多い競馬になっているのに、直線入り口でサーっと突き放されていますので、内容的には完敗ですけど、この馬も舞台が整えばまだ十分重賞クラスで戦えるところを見せたとは言えますね。

 3着ダノンリバティも、結果的に外枠であまり前に行けなかった事と、高速馬場で実質かなり後傾バランスで走破出来たことが去年とは逆に上手く噛み合った、と見ていいでしょう。
 それでも道中は外々でしたし、自分から動いて勝負に出て、ですので、このレースに関してはガリバルディよりは強い競馬をしていると考えたいです。
 ただ切れ味の質・持続力面では共にグランシルクには完敗でしたし、この馬も時計勝負の舞台でバランスをしっかり意識すれば、重賞に手が届いてもいいとは思うんですけどもどかしいですね。

 4着マルターズアポジーは非常に強い競馬でした。
 展開で強調したように、テンが遅いわけでもないながら中盤を全く緩めず、むしろ加速していくというのは中々の離れ業ですし、そういうワンペース型の競馬でもそこそこ戦えるというのは、今後改めてこの馬に絡んだら潰される、というイメージを持たせる上でもいい負け方だったと思います。
 今日の場合はこのペースでも平均、と、物理的にハイに持ち込むのが厳しい超高速馬場でしたので、後続の脚を全てなし崩しに、とはいかなかったですし、グランシルクが超高速馬場で圧倒的にパフォーマンスを上げてきたのもありますので、これは責められない敗戦だと感じますね。

 でもこの馬の強みは、ある程度時計のかかる馬場でもこういう芸当が出来る、という事で、もしも今年、去年くらいマイルチャンピオンシップの時期の淀が重くなっていたなら、これはかなり面白いんではないか、と思わせる内容でした。
 時計面ではこのくらいが限界、というのもあるでしょうから、ハイに振れても32秒後半くらい、という現実的な馬場での一発は期待したいですし、香港マイルもかなり合うと思うので狙ってみて欲しいですかね。

 ボンセルヴィーソやブラックスピネルに関しては、ハイペース自体は適応できるけれど、ここまで息の入らない、淀みのない流れだと厳しいんだな、というのが改めて見て取れましたかね。
 正直ここまでアポジーがやってのけるか半信半疑だったのもあり、馬場も踏まえれば先行勢は楽かな、と見たのですが、そこは大きな過ちでした。高速馬場だからこそ辛いペース、というのもありますし、レース傾向的にも差しが強い、というのはあるわけで、ちょっと安易に比重を寄せ過ぎたと反省です。 
 まあどちらも自分の形に入っていければここまで崩れるとは思わないので、改めて次も期待はしたいですけどね。

 さて、これを書いている間に韓国では続々快挙の報が飛び込んできていますね。
 勿論近い内にしっかり回顧するつもりですが、一先ずはグレイスフルリープ、ロンドンタウンの両馬御見事でした。
 この勢いが深夜のサトノダイヤモンド&ノブレスに繋がって欲しいですね。
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2017 紫苑S レース回顧

 夏の名残は残しつつも、風の爽やかさが秋近し、を告げるような陽気の中で行われた、秋華賞トライアルの紫苑Sは、外を回すロスをものともせずにディアドラが力強く差し切り、春に示した実力に陰りのないことを証明して、堂々本番に向かう事となりました。レースを振り返っていきましょう。

 まず馬場ですが、これは正直大外れでしたね…………。
 全体時計そのものはあまり出ていないのでわかりにくいところはありますし、今日の芝のレースは非常に偏った条件ばかりでまともな古馬の条件戦が全然なかったので尚更ですが、少なくともここ2年くらいのイメージとは違い、普通に超高速馬場だと思います。
 なぜそう考えるかと言えば、今日の芝レース、ほぼ全てがラスト1F最速ラップを踏んでいて、全く出し切っていない状況だからです。

 そこそこ流れて1,34,4の好時計だった2Rの未勝利戦でもラスト3Fは11,9-11,6-11,5という推移ですし、新馬戦は超スローから11,4-11,3-11,2、アスター賞も超スローから11,6-11,1-11,0と、全くラップが落ちず、直線でかなり高い切れ味を問われる展開ばかりでした。
 レースレベルが?なスーパー未勝利でも11,6-11,3-11,4と辛うじて減速したくらい、この紫苑Sも例に漏れず11,5-11,4-11,4と最後までラップが上がり続ける展開であり、最終の1200m戦がどうか後で見たら追記しますが、とにかく騎手のイメージ以上に馬場は絶対的に軽い、と断じていいでしょう。
(追記:最終もやっぱり11,4-11,2-11,4とほぼ前が落とさず平均ペースの逃げ切り圧勝でしたね。流石に明日は騎手の意識も変わってくるとは思いますが。)

 多分平均で流れていれば、この紫苑Sのレベルでも1,58,5くらいは楽々出てしまう馬場だと考えますし、そうなるとバランス的には当然スローによりやすく、かつ時計勝負で切れ味も問われるのは必然でした。
 まあ後付けで書くとなんとも不甲斐無い話なのでアレですけど、こういう馬場とわかっていればホウオウやマナローラの代わりにポールとカリビアンに印回すわ~、と、正直帰宅してレース結果見た段階で思いましたし、1コーナーでミッシングリンクが一気にペースを落としたのが目に見えてわかって尚更に、でしたね。

 裏を返せば、よくそれでディアドラが勝ち切ってくれたなと、個人的にはそれだけが救いではあります。
 まぁ開幕週の土曜ですので仕方ない面もありますし、この馬場読みをなんとか明日の結果に繋げたいところですね。

 ともあれ、レース展開はミッシングリンクが外連なく逃げの一手で先頭に立ち、それを内からジッバーレーン、中目からプリンセスルーラー、外からナムラムラサキとシーズララバイあたりが追いかけて2列目を形成していきます。
 好スタートだったカリビアンゴールドはその1列後ろの内目をしっかり取れて、その更に内にブラックオニキス、外にサロニカがいて、ポールヴァンドルはその内側、丁度カリビアンゴールドを見る位置で追走していました。

 ディアドラも五分のスタートからリズム重視で少し下げて中団の後ろ、いつでも動ける外目のポジションを確保し、その同じ列のインにライジングリーズンが構え、ルヴォワールはディアドラを見る位置、やはり出足が良くなかったホウオウパフュームは更にその後ろという並びで、スロー故に馬群が一塊になっての道中、という感じでした。
 仕掛けも向こう正面から一気にスイッチが入る感じではなくじわじわと、3コーナーから11秒台には入ってくるものの上がり切らずに、そこからはかなり切れ味と持続力が強く問われる展開になっています。

 ラップ推移でみてもそれは明らかで、36,0(12,0)-49,5(12,37)-34,3(11,43)=1,59,8(11,98)という流れ、テンはそこそこ流れてはいますが中盤、特に中盤の前半が遅く、ハーフで見ると61,3-58,5と、3秒近い後傾ラップになっています。
 後半が12,3-11,9-11,5-11,4-11,4という流れで、極端な加速力は問われていないものの、3コーナーからコーナー全体でじわじわとペースが引き上げられており、当然ながらここでの立ち回り、横のポジショニングは大きな影響がありました。

 外を回せば回すだけ実質的な速度は高くなりますし、そのままラストまで落とさない展開なので、持続力面で相当にいいものがないと外から差し込むのは難しかったと見ていいと思います。
 実際に2~5着馬は全て、横のポジションで内から2頭目までにいて、3~4コーナーでも内目をタイトに回ってきた馬なので、はっきり着差以上にディアドラが凄みのある競馬を見せてくれたといっても過言ではないでしょう。

 しかし本当にディアドラという馬の好走スポットの広さとタフさには頭が下がりますね。
 前走減っていた体重も+12kgとしっかり戻してきて、レースに入っても外枠の分当然立ち回りで大分損を被る格好にはなっています。
 向こう正面から少しずつ動いているのもあり、レースラップから逆算しても実質的なバランスは超々スロー、おそらく後半5Fを57,5くらいでまとめてきており、それをずっと外々で、というのは相当の持続力です。

 かつ4コーナーでは大外を通した分流石に差を詰め切れず、残り200mでも前と3馬身近くの差はありましたので、この馬自身の上がりから見るとラスト3Fは11,5-11,4-10,9くらいになってくるのかな、と思います。
 無論実質的には、4コーナーでサロニカが膨らんで余計に外を通した部分も含めて、かなり400-200m地点でも鋭い脚を使っていると思いますが、それでも自身はラスト1F最速で突っ込んでくる余力があったのは見事の一言です。

 裏を返せばそれだけ時計が出やすい馬場だった、とも言えますが、元々追走力も高いレベルで備えている馬ですので、超高速馬場になりやすい秋華賞の舞台を鑑みる上でも非常に楽しみな走りを見せてくれたと言えそうです。
 ただ、勝利ジョッキーインタビューでは、アナウンサーは当然次も乗るもの、くらいの感じで喋ってましたけど、岩田Jってファンディーナの方に乗るんじゃないのかしら?と。実際歯切れも良くはなかったですし、この馬も非常に強いのは確かですので、身体が二つ欲しいところかもしれませんね。

 2着カリビアンゴールドは、距離延長で淡々と流れて、かつややタフな馬場だと距離適性などで苦しいかな、と思っていたのですが、思った以上の高速馬場とスローの展開を上手く味方につけて、しっかり最後まで切れ味を引きだしてきましたね。
 やや外目の枠ながら、1コーナーでインに潜り込んだコース取りは良かったですし、やや掛かり気味にも見えましたけどポジショニングとしては最高でした。
 コーナーでは外枠の馬が先に仕掛けるのをワンテンポ待って、外の馬が脱落する完璧なタイミングで前のスペースを確保できましたし、これで負けたら仕方ない、というくらいのレースだったと思います。正直着差以上にディアドラとの力差は大きいですし、こちらは秋華賞で関西初遠征ともなりますから、ここの力関係を覆すのは相当に難しいだろうな、とは考えます。

 3着ポールヴァンドルも同様に、思ったよりポジションが後ろだった分もあるにせよ、コーナーでは上手く内目を通しつつ、直線入り口でスッとロスなく外に出せていて、このあたりの立ち回りが最後まで鋭さを維持できた要因にはなっているでしょう。
 ただラスト1Fでは、あれだけロスがあったディアドラに見劣っている所からも、やはり素材面では強調し辛いのかな、とは思います。特に秋華賞はそこそこ流れて時計勝負になりやすいですし、余程絶好の内枠とか引けない限りはちょっと苦しいかなと感じる負け方でした。

 4着ブラックオニキスは、2~3着馬より内を回っていた分は楽、けれど仕掛けのタイミングを上手く作れなくて立ち回りで負けたところと、純粋に持続力・切れ味の面で足りなかった、その両面があるでしょう。
 オークスでもそこそこ走ったように、このくらいの距離でゆったり入れればそんなに崩れるタイプでもない感じで、それまでは距離が足りなかった、と見做せるのをもうひとつここで裏付けてきたかなと思います。
 この馬なりに馬体を増やして成長も見て取れますし、基本人気しにくいタイプですがレースセンスは高いので、2200~2400mくらいの条件戦で面白さはあると思いますね。

 5着ライジングリーズンも、馬の個性的にこういう溜める競馬しか出来ないというのはありますし、この流れで後半速い脚を問われる中では善戦した、と思います。
 ただやっぱりこの馬も立ち回りは内々、ですし、持続面では強調できるほどではないのですよね。
 この馬の場合は流れた方が強い、という所もありますし、コースが合うかはともかく秋華賞でタフな流れになれば、2年前のクイーンズリングみたいな競馬が出来る可能性はある、とは思いますが、やはりあの舞台で走ってくるにはかなり狭い好走要因を潜り抜けないと、という感じはありますかね。

 ルヴォワールやサロニカなんかは逆に、ずっと外々でディアドラには完敗とはいえ素質の一端は見せた、と言える内容でしたし、次でガラッと良くなる可能性を踏まえれば楽しみな負け方だったと思います。
 ホウオウパフュームも春よりは良くなっていたとは思いますが、やはり究極的な切れ味や持続力は低く、もう少しタフな馬場か、距離伸ばしてタフな展開待ち、という事は変わりないかな、というレースぶりでした。
 ミッシングリンクはこれだけ前半落とせたなら、向こう正面からもう少し強気に仕掛けていって欲しかったなぁ。他の馬にも余力がある展開だとどうしても切れ味と持続力では足りないですからねぇ。でもこの馬場に即座にアジャストするのは難しいと思いますし仕方ないですかね。
posted by clover at 09:16| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする