2017年09月14日

2017 スプリンターズS プレビュー

**★はじめに**

 いよいよ秋シーズンのGⅠ開幕戦、スプリンターズSとなりました。
 ジューヌエコールの回避は個人的に凄く残念ですが、それでも近年のスプリントGⅠ勝ち馬が3頭出揃い、伏兵陣も面白い素材が揃っていて、今年も大激戦になりそうな予感がします。

 プレビュー記事を書くのがすごく久々の感覚なので、そのあたりリハビリ補正しながらになりますが、先週・先々週とトライアルレースがあって、気分的にも盛り上がってきたところでの一戦ですので、頑張って書いていきたいところです。
 今週は凱旋門賞展望などもやりたいですし、勿論回顧も、更に交流重賞まであるのでてんやわんやになりそうですが、この忙しさもGⅠシーズンの醍醐味というところですね。


**★レース傾向分析**

 コースは中山1200m、このコースはスタート直後から下り坂が続き、非常にテンのスピードが乗りやすいコース形態になります。
 なので春の電撃スプリントGⅠである高松宮記念よりも更に顕著に前傾ラップになりやすく、過去10年の平均ラップは33,2-34,6=1,07,8となっています。
 例外的に一昨年のレースだけ平均ペースになりましたが、基本的には前がしっかり飛ばしていって、コーナーでも緩みは少なく、区間ごとの減速幅はそこまで大きくないとはいえ、一貫した減速戦になるのが基本パターン、と考えて良さそうです。

 ただ近年は、極端に前半から飛ばしていく典型的な逃げ馬が少なくなっているのもありますし、前後半のバランスが小さめに収束する傾向も見え隠れしています。
 エアレーション馬場になってからは、開幕週よりも踏み固められた最終週の方が時計が出やすい、という時もあるので、前日の馬場コンディションには注意を払いたいですね。

 昨日までの馬場なら大体1,07,5前後は出るかな、というイメージで今のところは考えていて、そうなるとレース平均よりも前傾の幅は小さめ、その分ラスト1Fも前がしっかり踏ん張るイメージになってきます。
 過去上位に食い込んだ馬の脚質としても、当たり前と言えばそうですがほとんどが逃げ・先行馬で、まずデュランダルのような強烈な追い込みで勝ち切るのは至難の業です。
 基本的にはスッと好位を取れて、かつ要所でしっかり反応できる、追走力と機動力を兼ね備えた馬が強いレースだと思っています。


**★有力馬所感**

・レッドファルクス

 去年の覇者であり、その後の香港では崩れたものの、春シーズンも高松宮記念3着、京王杯1着、安田記念3着と高いレベルで安定した走りを見せてきました。
 去年もこのレースをCBC賞からのぶっつけで制しており、ローテーションの面では不安はありません。高速馬場ですと後半の持続力を増してくるタイプですので、今のコンディションが維持されるならば、今年も有力候補の一頭にはなってくるでしょう。

 ただし、去年は33,4-34,2と前後半の幅こそ少ないものの、ほぼ一貫した消耗ラップの中で、ラスト1Fでかなりラップが落ちるところをズドンと差し切る内容でした。
 馬のタイプ的にも、一瞬の切れ足が鋭い、という事はなく、とにかく後半3~4F11秒前後の長くいい脚を維持する事に長けていますので、レースに入ってのスムーズさ、仕掛けの意識は大切になってきます。

 その点で常に早めに動いて出し切る積極性があるデムーロJとのコンビはベストマッチ、という所はありますし、極端ではない程度の外枠から中団やや後ろくらいで競馬が出来るなら、最後の差し脚は確実なものがあるので、レース傾向からはやや外れる脚質ですけれど軽視は出来ないと思います。
 動き出しが難しい内枠だったり、あと前後半のバランスがフラットに寄りやすい、1,07,0前後まで時計が出る高速馬場ですと、ちょっと狙いを下げたいですね。現状は1200mよりは1400mベストのイメージです。

・セイウンコウセイ

 函館スプリントSこそ、シュウジが作り出す超ハイペースに真っ向勝負を挑んで失速してしまったものの、今まで見せていなかった前傾ラップへの耐性面をある程度見せてきて、経験を積めたのはここに向けていい材料だったと思っています。
 基本的にスタートが上手く、二の足も速くて安定して先行列に取りつける優位性がありますし、ペースが流れてもしっかりコーナーから動いていける器用さ、坂も苦にしないパワーを兼ね備えていて、馬場が渋っても全く問題ないので、現状では軸馬としてもっとも信頼を置きやすい1頭になるのかな、と見ています。この馬を負かせるとしたら、という観点で序列を考えていくのが、正解への近道かなと感じますね。

 春シーズンはかなり使い詰めの中でもしっかり調子を上げて、高松宮記念は渋った馬場で33,8-34,9とやや前掛かりの展開を好位から楽に突き抜けました。
 勿論馬場適性もあったでしょうが、他の上位勢がインを通していたのに対し、こちらは外々から正攻法で押しきっていて、見た目以上にその価値は高いと思っています。

 函館スプリントSのイマイチっぷりからして、間隔を空けていきなり好走してくるタイプなのかは何とも言えませんが、血統的にアドマイヤムーンの仔なので高速決着もそこまで苦にしないでしょう。
 前走ほど前傾になり過ぎると厳しいかもしれませんが、1~1,5秒程度の常識的な前傾戦ならこなしてくると感じますし、内外極端な枠を引かない限りは重い印を打つ候補の1頭になりますね。

・ビックアーサー

 能力面ではトップクラスなのは間違いありませんが、今年はすこぶる順調さを欠いて、去年の香港以来の一戦という事で流石に全幅の信頼は置きにくいですね。

 適性としては前傾~平均までで高いパフォーマンスを発揮してくる馬で、自身スローバランスで入ると後半の甘さがあるので、基本的に流れてくれるこの舞台は合っている筈です。
 去年は前哨戦の逃げが上手く行き過ぎての本番での消極策が裏目に出てのどん詰まり、全く競馬になりませんでしたが、あの流れでスムーズに捌けていたなら当然上位に食い込んできたと思っています。

 今年はメンバー構成的に絶対に逃げる、という馬がおらず、序盤は探り探りになる可能性も高いので、個人的には休み明けでもあり、今年こそ半端な真似はせずに堂々ハイペースで逃げてどこまで粘れるか、というレースをしてみて欲しいなとは思っています。
 出足そのものはこのレベルに入ってくるとあまりいい方ではなく、去年もあっさりソルヴェイグに前を塞がれてしまったのがその後後手後手に回る大きな要因となりましたので、ある程度自由度のある外目の枠が欲しいですね。
 それで内から強気に引っ張る馬がいれば好位でいいですし、内の馬が消極的で好位の外、雁行状態になりそうなら思い切って出していく、そんな風に肝を据えた序盤の入り方が出来れば、決して実力では見劣らないと思います。

 とりあえず一週前調教はラスト1Fがかなり甘く、まだまだ本調子は遠いのかな?と基本調教をあまり重視しない私でも思ったくらいですので、直前の気配と枠は取捨の面でより重要になってくると考えます。

・ファインニードル

 相手関係が楽だったとはいえ、このレースに比較的直結しやすい前哨戦のセントウルSは完勝でした。
 この馬も序盤の立ち回りは比較的うまく、またコーナリングが得意でインからでも瞬時に反応できるのが強みでもあって、かつセイウンコウセイと同様にアドマイヤムーン産駒ですので高速決着はお手の物です。
 北九州記念の微妙な反応からしても、あまり前傾になり過ぎない方がいい、というイメージではあり、その点通常レベルの馬場ですと少し足りない気はしますが、1,07,0くらいまで時計が出そうな条件なら俄然怖さが増してくると見ています。

 この馬は出来る限り内枠が欲しいと思いますし、自身平均バランスくらいで後半の一瞬の鋭さを上手く引き出せれば、このメンバーでも上位に食い込んでくる可能性はあるでしょう。
 逆に渋ったり、かなり馬場が重かったりしたら軽視してもいいのかな、と考えています。

・ダイアナヘイロー

 この春から夏にかけて4連勝、好位の競馬が板についてから一気に成長を見せてきました。
 この馬自身はある程度前掛かりになったほうがパフォーマンスが高いタイプで、北九州記念も32,8-34,7という2秒近いハイペースを番手追走して、直線で早めに抜け出す横綱相撲で完勝しており、流れた時には決して侮れない1頭になってきそうです。

 その観点で言うと、この馬は超高速化はあまり歓迎ではなく、少し時計がかかる馬場、7秒後半くらいで前傾度が高くなった方がチャンスは広がると感じます。
 形としては逃げても競馬が出来ますし、序盤の戦略の幅は広いですので、夏の上がり馬の勢いがどこまで通じるか楽しみではあります。
 ただ首尾よく得意の前傾戦になったとしても、ビックアーサーやセイウンコウセイはかなり手強いと思いますし、印は回しても連下までかな、と今のところは考えています。

・ソルヴェイグ

 賞金的には全然足りていないですが、多分去年のこのレースのレーティングで出られるはずです。
 この馬も前傾戦には実績があり、後半勝負ですとやや脆いので、出来れば少し馬場が重くなってほしいクチだと思います。
 時計勝負になると後半の持続力面で甘さが出ると思いますが、去年くらいの常識的な前傾戦で好位を取れれば当然面白い1頭です。

 スタートが良過ぎるくらいいい馬ですが、逃げてどうか、というのはまだ正直分からない所で、出来ればなにかが行ってくれて、それを壁にして好位のポケットあたりが理想になってくるでしょう。
 実力的にはこのメンバーでも引けは取らないと思っていますし、去年3着時の田辺Jを確保しているようですので、真ん中から内目の枠を引ければ楽しみは広がってくると思います。

・レッツゴードンキ

 今年は高松宮記念で2着と、スプリント路線で一定の結果を残してきました。
 ただこの時は馬場適性がかなり問われたのと、自身は後方から後傾バランスで差し込んできており、引っ掛かる馬、というイメージよりは前半に無理の効かないタイプだと思っています。

 高速馬場自体も去年の高松宮記念から一定はこなしてくるでしょうが、どうしてもこのメンバーでいい位置取りは望めないと思いますし、よほどガクンとラスト1Fで落ち込むような展開ではないと簡単ではないでしょう。
 差し馬の中ではどうしたってレッドファルクスよりは序列が下がりますし、内枠を引いて岩田J乾坤一擲のイン差しが嵌れば、というくらい、今のところは印を回さない公算が高そうです。

・ダンスディレクター

 骨折明けのセントウルSでは後方から持ち前の鋭い切れ味を見せて3着と、まずまずの結果を残してきました。
 ただスプリンターとしては絶対的な時計面に限界がある馬、とは思っていて、かつこの馬自身極端な後傾ラップでないと後半の爆発力が引き出せない、というのは、この舞台においては弱味になってしまうと個人的には考えています。

 シルクロードS連覇もおおよそ2秒近い後傾ラップですし、セントウルSも上がり時計を見てわかる通り、この馬にとって走りやすいペースになってくれたのが良かったのは否めません。
 コーナーが急で直線も短い中山ですと、脚の使いどころがより難しいタイプですし、実際去年は常識的なレベルでの前傾戦で全く競馬になっておらず、今年も叩き2戦目の上積みを考えても厳しい、と思っています。

 チャンスがあるとすれば少し渋って、8秒そこそこの決着になる馬場でペースも極端な前傾にならない、くらいの狭いスポットが必要だと感じますし、前日の馬場次第ですが今のところはこちらも軽視する方向でいます。

・メラグラーナ

 この馬もダンスディレクターと似たところはあり、今のところまだ絶対的な時計面での裏付けがないのが弱みになります。
 ただダンスディレクターよりは基本ポジションが取れそうなことと、この馬自身後傾バランスで破壊力を増すタイプですが、高速馬場で前後半がフラットに近くなれば、位置取り次第で時計面は詰めてくる余地があるかな、とは見ています。

 オーシャンSあたりでも自身34,3で入ってまずまずの脚は使えていますし、この馬の場合後半要素は一瞬の切れが素晴らしいタイプですので、外目からしっかりエンジンを掛けつつ進められれば、ポジション差の不利を補える武器はあると思います。
 外目の枠や馬場、出来ればコーナーで少し緩む、といったような展開の助けがないと勝ち切るまでは難しいと思いますが、噛み合えば上位進出のチャンスはあると思っています。

・ブリザード

 今年は香港馬の参戦もあり、その意味でも面白さはありますね。
 サイレントウィットネスは香港でも最強クラスでしたが、ウルトラファンタジーのような本国ではバリバリのトップクラスとは言い難い馬でも楽々勝ち切った事もあり、スプリントレベルの高さは折り紙付きなだけに軽視は禁物、とはなるでしょう。

 ただこの馬自身の素材としては、基本的に1200mは短いと思っています。
 去年の香港三冠レースではそこそこ健闘するものの、最終戦で距離の限界を露呈し、そこからスプリント路線に舵を切り替えましたが、今のところ高いレベルでの実績はあまりありません。

 一番好走したのが2月のクイーンズシルバージュビリーCで、ここでは現時点の香港最強マイラー(ラッパードラゴンがああいう悲しい事になったのもありますが)であるヘレンパラゴンや、衰えたとはいえまだまだ健在ぶりを見せつけるエイブルフレンドなどと接戦に持ち込めていますが、このレースは1400m戦でした。

 1200m戦ですと、春のスプリントCでは着順こそ降着などの影響もあり3着でしたが着差は5馬身近く、その後の春シーズンのスプリント路線の最強馬決定戦・チェアマンズスプリントでは後方から外々を回され、まるでいいところなく最下位惨敗でした。
 このレースも着差としては上位から5馬身くらいと、今の香港スプリンター最強クラスからはそのくらいの差がある、という位置づけでいいでしょうし、流石にこの馬にあっさり上位進出を許すようでは日本のスプリントレベルも大概、ということになってしまいます。

 脚質的にもスプリント戦ですとほぼ後ろからの競馬になってしまっていますし、個人的には香港ブランドを加味しても軽視して構わない、と考えています。

・キングハート

 賞金的に出られるか微妙なラインですが、出走出来れば面白い1頭です。
 この馬は性能的にレッドファルクスとよく似ていて、とにかく後ろからゆったり入って長くいい脚を引き出してくるのが持ち味となり、かつ高速決着が得意でもあります。
 レッドファルクスに対して勝るところがあるとすればエンジンのかかりの良さ、要所の反応の鋭さで、ある程度外目の枠から中団くらいのポジションが取れて、超高速馬場でフラットに近いバランスになってくれば、中山で外々を回す形でも怖さは出てくるタイプではないかと思っています。

 中谷Jが騎乗停止中で、かつ私が今これを書くのに参考として見ているサンスポの登録データですと北村宏Jになっていますが、こちらも昨日のルージュバック案件で騎乗停止、それで果たして誰が乗るのか?という部分でも気になりますね。
 個人的にはこういう馬で横山Jとか見てみたいんですけど、他ではシュウジやナックビーナス想定になっていますし、それ以外の上位騎手はほぼ乗り役が決まっているのでどうなるでしょうね?このあたりは出馬が確定して、出られたときに考えればいい話ですけど、出走叶えばワンチャンスはある馬だと踏んでいます。 


**★思い出のスプリンターズS**

 やはりオールドなファンとしては、スプリンターズSと言えば[サクラバクシンオー](https://www.youtube.com/watch?v=Y1Yy9x86Uh8)の引退レースが一番印象深いですね。
 強烈な逃げ馬が揃って凄まじいハイペースになる中、好スタートから一旦控えて好位、要所で持ったままの手応えで上がってきて、坂下から仕掛けるとグーンと突き放す恐ろしいまでの強い競馬で、時計面ではこれより速いレースもありますけれど、一番強いレース、となるとこれじゃないかと今でも思います。
 とにかくスプリンターとして完成された馬でしたし、どんな時でも崩れない安定感があって安心して見ていられた馬ですね。

 あとやはり、[サイレントウィットネス](https://www.youtube.com/watch?v=4OEOHW1e6ow)が好位から突き抜けた一戦も印象深いです。
 香港史上に残るデビューからの17連勝、その後距離延長で苦杯を舐めたもののチャンピオンズマイル・安田記念と強いレースを見せてきたところからのスプリンターズSで、正に天性のスプリンターの本領発揮、という強い内容でした。
 このレースのデュランダルもかなり凄まじい競馬で追い詰めてはいるのですが、どうしてもスプリント路線だと、どんな速いペースでも苦にしない真のスプリンターが先行した時には、差し・追い込み馬ではどうあっても敵わない、というイメージを鮮烈に植え付けてくれる一戦でしたね。

 結果的に二度の遠征が堪えたのか、サイレントウィットネスにとってこれが生涯最後の勝利となってしまったのは残念なところですが、このレースまでは本当に香港史上最強のスプリンターの名に恥じない強さだったと思います。

  
posted by clover at 09:16| Comment(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017 神戸新聞杯・オールカマー レース回顧

**★神戸新聞杯**

 好メンバーが揃って注目の一戦となった神戸新聞杯は、ダービー馬のレイデオロが好位から楽に抜け出す横綱相撲で完勝し、貫禄を見せつけました。
 先週のトライアル戦が揃って上がり馬の台頭劇となった中で、このレースは1~4着まで人気通りと順当に収まりましたが、1、2着馬は早々に菊に向かわない事を宣言しているので、菊花賞の前哨戦としてはなんとも難しい結果になったとも言えそうです。レースを振り返っていきましょう。

 今日の阪神の馬場は、ちょっと外回りと内回りで時計のかかり方が違うイメージもありましたが、外回りに関しては文句なく高速馬場だったと言えそうです。
 500万下のマイル戦が45,9-46,8=1,32,7、1000万下のマイル戦が47,5-45,4=1,32,9と、全く真逆のペースでもそれぞれ32秒台を出してきていますし、非常に走りやすいコンディションだったのではないでしょうか。

 レース展開は、まず大方の予想通りに、一歩目から鋭く抜け出したアダムバローズが先手を主張します。
 それを追いかけると目されたマイスタイルはそこまでスタートが良くなく、内から好発を決めたダンビュライトが注文通りに少しずつ外に持ち出してすんなりと番手外を確保します。
 そして驚いたのが、サトノアーサーとレイデオロが好スタートから先行列に無理なく入ってこられたことでしたね。

 サトノアーサーはまだダービーでもそれなりに位置は取れていたのですが、レイデオロは今までまずもっさりとしかスタートが切れていなかったので、ここですんなり先行策を取れたのは素晴らしかったと思います。
 ルメールJもインタビューでスタートが良過ぎてびっくりした、なんて本音を漏らしていましたが、まるで皐月賞の敗戦と、ダービーの捲りからの押し切りという一連の流れの中で、馬自身が勝つために必要なポジションを学習したのか、とすら思わせる出足の良さでした。この辺りの身体的だけでなく、精神的な学習能力の高さもこの馬の強みですね。
 1コーナーでマイスタイルが外から押し上げていくところで少しハミを噛むところもありましたが、それ以降は落ち着いて4番手を追走と、この時点で下克上を狙う各馬に取っては非常に難しい状況になった、と言えそうです。

 話を戻して、サトノアーサーもすんなり内目から5番手でレイデオロをマークするポジションを確保し、その内にベストアプローチ、そのやや後ろの外目にカデナがいました。
 キセキは今回も二の足で少し遅れを取り、ベストアプローチの後ろ、中団よりはやや後ろくらいの位置でじっくり構え、外枠で前に取り付けなかったアドマイヤウィナーもそのあたりの列で外目から進出の機会を伺っていました。
 全体的に春は序盤のポジショニングが悪かった有力馬が、しっかり成長を見せて前目、の意識を持てていたのが印象的でしたね。

 ラップは37,1(12,37)-36,8(12,27)-36,4(12,13)-34,5(11,5)=2,24,6(12,05)という推移でした。
 前後半、で見れば大体3秒くらいスローの後傾ラップですが、第二ブロックのあたりからはずっと前が淡々と12,1~4の波のないラップを刻んでおり、道中に動いて後ろからポジションを上げる、というのはリスキーな展開にもなっていました。

 その分序盤のポジション差は影響があったと思いますし、後半5Fが12,2-11,9-11,3-11,4-11,8という、4コーナー出口の下り地点最速の王道的な持続力勝負になっています。
 ラップ的に極端な部分は全くないですし、性能的に言えば総合力が大きく問われたのかな、と思いますが、もっと純粋に底力、絶対能力がはっきり出たレースと見ても差し支えはないと思います。

 ともあれレイデオロは見事な競馬でした。
 まず勝因としては当然いいポジションを楽に確保できたことがあげられますし、道中の折り合いもスムーズで、相変わらずレースに入っての操縦性の良さは群を抜いている、と感じさせましたね。
 直線も4コーナーからじわっと取り付いていき、残り400mから追い出してしっかり突き抜ける王者の競馬でした。

 細かく見ていくと、コーナー出口の地点で1馬身、そこから坂手前まででもう1馬身くらい詰めて、残り200mではほぼ先頭、というポジションでしたので、この馬のラスト3Fは11,2-11,1-11,8くらいではないかと思います。
 ダービーでも機動力の良さは見せていましたし、このレースでは下り坂も補助になるのでそのあたりはニュートラルに入って、追い出してからもしっかり反応して前との差を詰めていました。
 ただここはダービー同様、切れ味の質面ではさほどでもなく、この馬の良さが一番出たのはラスト1Fの持続力だと思います。

 全体時計からしても、後半5Fが58,6という観点からも、阪神コースのこの距離でラストを11秒台でまとめてくるのは中々の難事であり、けれどそれを易々とやってのけて、この残り200m地点では後続のどの馬の脚色にも全く見劣らない堂々たるものでした。
 こういうタイプは残り200mまでで先頭に立ってしまう方がいいのでしょうし、切れ味の差で一気に来られると隙が出来る、という感はあるので、程よく流れるレースで前目に入って、というのがベストの挙動なのかなと思います。

 今日は本当に序盤からラストまで内容の濃いレースが出来ていて、決してダービーが鞍上の腕だけではなかったとしっかり証明してくれました。
 更にこのスタートが安定して繰り出せるようになれば、JCなどでもキタサンマークで持続力を生かす競馬はかなり噛み合ってきそうで、これは本当に前途を明るくする素晴らしい勝利だったと思います。

 2着のキセキも、この夏の充実度が本物だと証明する強い2着でしたね。
 どうしてもスタートで遅れてしまう中、道中はじっと後方インで脚を溜める作戦に出ましたが、第2集団の先頭にいたサトノアーサーが道中で少し息を入れて、前との差を大きくしてしまったのも、結果的に動けないポジションだったこの馬には厳しかったと思います。

 それでもコーナーからデムーロJらしくタイトにインを通しつつしっかりエンジンはふかしていって、400-200m地点ではレイデオロを凌駕する切れ味を発揮し一気に2番手まで上がってきましたが、そこからのレイデオロの粘り腰には太刀打ちできませんでした。
 結果的にもう少し外目の枠で、早めに外から押し上げる形がとれていたらどうだったか、というのもありますけれど、ポジショニングの面含めてまだレイデオロとは完成度の差が出た感はありますね。
 ただ本当に素材は素晴らしいので、この先確実に重賞のひとつふたつは取れる馬だと改めて思いました。

 3着サトノアーサーも進境は見せましたが、それでもまだ何か足りない、という印象は強いですね。
 基本的にはスローからの持続力戦がベストの馬ですので、この流れ、展開は願ってもない、と言っても良かったと思いますし、ある程度いいポジションは取りつつも、実質超スローくらいのバランスで入っていけたのも、この馬の末脚を生かすにはお誂え向きだったと思います。
 けれど勝負所からの反応はあまり良くなく、直線向いてもじわじわと伸びてはくるものの、どの地点でもレイデオロの脚色を上回るところはなくて、最後はむしろ離されるような形での3着でした。

 この結果を字面だけで見てしまえば、やっぱり少し距離が長いのかな?というイメージになりますね。
 今日は位置取りもエンジンの掛け方も満点に近かったと思いますし、得意のはずの阪神コースでダービーよりも脚を使えていないのは、このタフなコースでのスタミナ面に原因を置くか、それとも序盤急かし過ぎると良さが出ないタイプなのか、どうあれ菊花賞で狙いたくなる走りではなかったです。
 まだ追い出してからのフットワークも安定感があまりなく、馬群を割っての競馬が出来そうな感も少ないので、内枠を引けて好位から競馬が出来たとしても、余程スムーズに外に出せない限りは甘くなりそうなイメージですね。

 4着ダンビュライトは難しいところですが、このペースでの持続力勝負だと甘くなるのか、というイメージが一番強いでしょうか。
 皐月賞があのラップで外々からしぶとかったので、このくらいの持続力戦ならこなしてくるイメージで見ていましたが、最速地点で切れ負けするのはともかく、ラスト1Fであそこまでズルズル下がるのは意外で、本質的にはもっと全体スピードが問われた方がいいのかもしれません。
 権利が取れなかったので本番は賞金的に厳しそうですし、改めて自己条件から出直し、ということになりそうですが、こういうタイプは中々勝ち切れないでしょうから、また重賞のステージまで上がってくるのにちょっと苦労しそうな気はしますね。

 5着アドマイヤウィナーは、結果的に外枠で、前が淡々と流れて取り付く余裕がなかったのが響きましたね。
 最後はしっかり食い込んできていて、持続力面はそれなりのものを見せましたが、どうしてもこの馬も器用さに欠けるために、勝負所で勝負になる位置を取れない弱みはあります。
 こちらも能力自体はいいものを持っていると思いますが、自己条件でも勝ち切る為のスポットはあまり広くはないので難しそうですね。阪神3000mとかすごく合いそうな気がするので、その時期までにせめて準オープンくらいまでに上がれていればいいのですが。

 6着ベストアプローチは、直線やや狭いところに入ってしまったのもありますが、それを置いても反応と伸び脚は一息でしたね。
 展開としてはこの馬にもかなり向いていた、とは思うのですが、アドマイヤウィナーに逆転されているところからもスムーズさを欠いた事、後は状態面でもまだ緩さはあったかもしれません。
 最速地点の反応でキセキにはっきり見劣ってもいましたし、このレースに関しては力負けの側面も強いでしょう。
 ただ今回は立ち回りに進境は見せましたし、この馬は賞金的に菊は出られるので、いい枠を引ければ坂の下りからロンスパになりやすい展開は面白いと見ています。 

**★オールカマー**

 秋の飛躍に向けて勢いをつけたい馬が出揃っての混戦模様だったオールカマーは、先行策から内をついて鋭く抜け出したルージュバックが勝利しました。レースを振り返りましょう。

 中山の芝は、イメージほど一気に回復はしなかった印象ですね。
 勿論良に戻って常識的な高速馬場だとは思いますが、超スローだった芙蓉Sあたりでもラストは11,1-11,5と少し落とす形、10Rの1600m戦も47,2-46,4とややスローで淡々と流れて、やはりラストは少し落としています。
 速いラップを踏む余地は充分に有るものの、しっかり持続力も強く問われるレベルの馬場だったと考えておきたいですね。

 レース展開は、まず絶好のスタートだったのがルージュバックでした。
 この馬がすぐに内に進路を取り前目につけていって、その外からディサイファがジワリと進出、それを制するようにマイネルミラノが押し上げてハナを取る、という序盤の攻防になりました。
 グランアルマダは少し立ち遅れて後ろからになり、その先行争いにステファノスも積極的に加わっていって、予想よりもルージュとステファノスの2頭は強気の競馬を試みてきたと思います。

 その先行争いに外からマイネルディーンとトルークマクトも加わっていって、その後ろ、丁度中団のやや外目にタンタアレグリアがいました。
 その外にカフジプリンスがいて、内目からアルバートとショウナンバッハ、デニムアンドルビーとモンドインテロは更にその後ろにいて、最後方に大きく出遅れたブラックバゴ、という隊列でした。

 ラップは37,7(12,57)-25,4(12,7)-35,9(11,97)-34,8(11,6)=2,13,8(12,20)という推移でした。
 前半1000mまでは超をつけていいレベルのスローで展開し、向こう正面からじわっと一段階目の加速、そしていかにもマイネルミラノらしく、残り800mの3コーナー地点から一気にペースを引き上げて後続を出し抜く戦法を取ってきました。

 後半5Fが12,1-11,3-11,2-11,6-12,0という推移で、明確に800-400m地点のコーナー部分が最速ラップになっています。
 そこである程度ミラノがリードを作っていますので、後ろの馬が丸々このラップに乗っかっていたかは微妙ですが、少なくともコーナーでかなり加速を問われて、そこから長く持続力を求められており、この地点の横の位置関係、立ち回りの精度は結構問われていると思います。
 その上でラストまでしっかり脚を残す持続力、一定の切れ足の質面も当然問われたでしょうし、内容としてはちょっとトリッキーな一戦ではあると感じています。

 勝ったルージュバックは、こういう前半ゆったりからの瞬発力・持続力戦では崩れないですね。
 外から立ち回ってしっかりエンジンを掛けた方がいい馬なのは間違いないのですが、今日の場合はミラノがコーナーから一気にペースを上げてくれて、必然的に早い段階から加速を問われる事になったのが、この馬の特性には上手く噛み合ったと見ています。
 4コーナーでディサイファの内外どちらに進路を取るか迷った感じもあり、そこでスムーズに外から押し上げてきたステファノスに一旦前に出られるものの、ラスト1Fは流石の切れ味を見せて差し返してみせました。

 残り200m地点で前と3馬身くらいはありましたので、この馬の後半は11,2-11,3-11,4くらいかなと感じます。
 若干立ち回りで拙いところはあっても、そこまでにしっかり勢いをつけ切れていたので大きなロスにはなりませんでしたし、後半の持続力でステファノスを捻じ伏せてきたのは強い内容だと見ていいでしょう。

 この後はエリ女が目標のようですが、今日のようなポジショニングが出来るならチャンスは十分あると思います。
 京都の外回り2200mのエリ女は、大抵スローからのラスト4F勝負、事によっては去年の様に3F勝負になりやすいので、やや外目の枠から先行して、下り坂で勢いをつけて直線に入っていけるのはいい条件ですし、相手関係もまだはっきりはわからないですけど、GⅠを取るラストチャンス、と言ってもいいでしょうね。

 2着のステファノスも、休み明けは走らない馬としては底力で格好をつけてきた、と言えるでしょう。
 大阪杯あたりからそこそこ先行できるようになり、安田記念で速い流れも経験したからか、今日はスタートも二の足もかなり良く、楽に先行集団についていけたのは、前哨戦の内容としては大きな収穫だと思います。
 無論ペースはかなりスローでしたので、その点では楽だったでしょうが、それでもコーナーから強烈な持続力が問われる中、またラップが落ちていないコーナー中間から積極的に押し上げていく王道の競馬で、最後までしぶとさを見せてきました。

 ラストでルージュに差し切られたのは純粋な切れ味の差と、あと少しとは言え内外の差が出たかな、と思いますし、本質的に2200mはちょっと長い、というタイプでもありますので、負けはしたものの悲観するべき内容ではなかったと思います。
 前哨戦である程度結果を出してしまった事で逆に本番どうなのか、というのはありますが、府中の2000mはこの馬にとってどう考えてもベスト条件なのには間違いがないので、非常に楽しみです。
 なんとか今年くらいは内目の枠を引いて欲しいですし、近走の出足から、中団より前で競馬が出来るようなら充分に勝ち負けに絡んでこられるはずです。

 3着タンタアレグリアは、こちらも相当に強い競馬を見せてくれました。
 AJCCの内容から休み明けは苦にしないと思いましたが、ただAJCCはかなりペースが流れての持久力戦で、かつ最内を完璧に立ち回ってのものでした。
 今回はそれと真逆に近い超スローからの持続力特化戦に近い内容になっていて、過去に速い上がりがないこの馬が外から押し上げる形でどこまで、と思っていましたが、この展開でも想像以上に強さを発揮してきましたね。

 この馬はステファノスよりも更に外目を回して進出していますし、それでいてラストまでほぼ落とさず前に肉薄してきています。
 元々ステイヤー色が強い馬だけにスロー展開は良かったと思いますが、ここまで長く切れる脚を使えるようになったのは成長の証で、これは本当に順調に使えるようになればかなり楽しみになってきます。
 ベスト条件は2400m以上、だとは思いますので、JC・有馬記念や来年の春天などに順調に駒を進めてくれば当然警戒したい1頭です。今日も競馬の内容としては一番強かったと言ってもいいくらいだと思います。

 4着マイネルミラノは、久々にこの馬らしさを発揮出来ましたね。
 今日は超スローでかつ後ろからつつかれない単騎逃げとかなり恵まれましたし、その上でこの馬が一番得意とするコーナーからのスパートを敢行して、一瞬は逃げ切るか?と思わせる内容でした。

 総合的に見るとややスローにし過ぎて、コーナーからあれだけ加速していっても後続がまだ直線で余力を持ててしまっていた、という見立ては出来ますが、一昨年のオールカマーではある程度ペースを作っていって失速が早くもあり、距離適性としてもギリギリのところで巧くバランスを取った、とは言えるかもしれません。
 ただ本当に絶好調なら、直線半ばまでは速いラップを踏んでこられる馬ではあって、存外減速に入るのが早かったことも含めて、夏の不調がまだ尾を引いているところはあったかもしれませんね。でも型に嵌ればまだまだ強さを発揮できるところは示したと思います。

 5着ショウナンバッハは、立ち回りと展開がバッチリ嵌ったものの、それでも上位の牙城は高かったですね。
 五分のスタートから中団やや後ろのインと、この馬にとってはべストに近いポジションを取れましたし、有力馬が外を回して隊列が間延びする中、しっかりワンテンポ遅らせて内目をスルスルと上がってきたのはベテラン柴田善Jらしい冷静な好判断だったと思います。
 ラップ的にもコーナーでかなり加速しているわけで、そこをインベタで通してきた分余力は残せましたし、直線もスムーズにタンタアレグリアの外に出せました。

 そこからラスト1Fの脚はタンタをも凌いで一番だったと思いますが、流石にポジション差は大きかったですし、上位3頭はこの展開・休み明けの条件の中で予想以上にきっちり能力を引き出せていました。
 そうなると底力では劣るこの馬ではちょっと足りなかった、というのも納得ですし、でもこういうスローから切れ味と持続力を存分に生かせる展開なら、まだ嵌ればチャンスを見出せる馬ではあると感じさせるいい走りでしたね。

※追記

 普通のレース映像ですとちょっと見えにくかったんですけれど、ルージュバックが4コーナーでフラフラしてたのは斜行事案だったんですね。
 その直前のディサイファの動きが誘発した部分も無いとは言えないですが、やっぱりあれはちょっと強引過ぎた上に、最終的にインに潜る形を取ったんですから余計な動きだったことにはなりそうです。
 直接被害を受けたマイネルディーンは当然として、タンタもその分余計に外を回され、アルバートも相当ロスを作っていますので、その点後味の悪い競馬にはなってしまいましたね。 
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2017 9月第3週新馬戦など レース回顧(月曜編)

**★9/18(月) 中山5R 芝1200m戦**

 月曜日の中山の芝は、台風による降雨の影響以上に、台風一過による晴天と気温の上昇の影響が大きく、非常に回復が早かったようです。
 その為に騎手の馬場状態に対する意識にズレが大きく出ていて、なんと当日の芝のレースは全てラスト1Fで最速ラップを踏んでいるという極端な条件になりました。
 実質的にはその前の週の日曜くらいの超高速状態にあったと思いますので、すこぶる速いラップをラストに踏んできたとしても、少し疑って見ておきたい部分はある日、というイメージですね。

 そんな中でのスプリントの新馬戦は、1番人気のロードカナロア産駒・アンフィトリテが外から豪快に差し切りデビュー勝ちを収めました。
 レース展開は、かなりばらついたスタートになる中でミコサンがハナを切り、それを外から2着のイランカラプテ、3着のサンタガールあたりが追いかけていきます。
 中目からアリババ、マウントレーニアもその先団グループに加わっていき、アンフィトリテもまずまずのスタートでしたが、外の馬を行かせて先行集団の一番後ろでじっと構える格好になりました。

 ラップは35,1(11,7)-34,7(11,57)=1,09,8(11,63)という推移でした。
 字面は平均ペースくらいに見えますが、後半3Fは11,7-11,7-11,3と、この日の傾向通りに坂地点最速で、実質的にはかなりスローからの直線切れ味特化勝負、という様相ではないかと思います。

 その中でアンフィトリテと道中もインで中々動けず、4コーナーから外目に持ち出して進出するものの、直線入り口では前と3馬身くらいの差がある中々苦しい立ち回りでした。
 しかしコーナーをしっかりブレーキを踏まずにスムーズに回ってこれた事で、エンジンがかかると坂地点で一気に加速し、楽々前を捉えて突き抜ける強い競馬を見せてきました。

 この馬のラップはおそらく11,7-11,6-10,9くらいで、確実に坂地点では10秒台の切れ味を引き出していると思います。
 全体としても35,6-34,2とかなりスローバランスで入って、かつまだ出し切っていない脚の使い方ですので、実質的に1200mよりはもうちょっと長い距離の方が適性は高そうに思います。

 カナロア産駒の傾向としてもゴリゴリのスプリント戦では苦戦するイメージは強いですし、この馬も二の足はそんなに速くなく、楽々追走できている感じでもなかったので、府中で1400m、サフラン賞あたりを使って来たらかなり噛み合うのではないかと感じますね。
 ラストの10秒台の切れ味は中々ですが、実質この1Fだけのスパート、という様相でもあるので、セントライト記念のミッキースワローと同じく、これが長く脚を求められたときに同じだけ切れるか、となると、そこは甘く考えない方がいいかな、とは思いますが、素材としては奥行きを感じる、楽しみな1頭ですね。

 2着以降の馬は、実質スロー気味の展開で、先行して楽に流れに乗れていてもそこから加速する余力がなかった、という見立てになってしまいますので、ちょっと次にすぐ勝ち負け、というレベルは難しいかもしれません。

**★9/18(月) 阪神1R ダート1400m未勝利戦**

 日曜に引き続き、そこそこ時計の出るダートでのレースは、新潟の新馬で4着だったディライトプロミスが、距離延長とペースアップを味方に楽々突き抜けました。
 新馬戦はコーナーから直線に向けての極限的な加速力特化戦で無抵抗でしたが、こういう一貫消耗戦になってアメリカ血統らしい良さが出てきたと言えます。

 この時期ですので1,25,8もまずまず優秀ですが、ラスト1Fが13,5と完全に脚を出し切っての内容ですので、素材としては前日ラストを落とさず楽に突き抜けて1,26,0だったレディバードの方を上には見ておきたいです。
 でもこの馬もタフな流れになればまだ強くなりそうですし、その点で次走どういう競馬をしてくるか楽しみです。

**★9/18(月) 阪神2R 芝2000m未勝利戦**

 月曜の芝コースは、日曜のレース後にまとまった雨が降ったこともあり、土曜くらいの馬場水準、だいたい中距離なら1,5秒前後時計は掛かっていたと思います。

 そんな条件でのこのレースは、注目の良血馬タニノフランケルが、好スタートから持ったままで逃げ切る圧巻のパフォーマンスを披露しました。
 まぁ当然相手関係はそこまでタフではなく、2着のウォーターパルフェはそこそこいい馬ですけれど、これを全く寄せ付けなかったのはそれなりに評価していいと思います。
 
 ラップ的には38,1-51,4-35,2=2,04,7という超スローに近い推移ですし、ラスト3Fも12,4-11,2-11,6とほぼ2Fの瞬発力・加速力勝負でした。
 なので底力はほとんど問われていませんが、タニノフランケルは新馬に続き要所で、軽く促しただけでスッと反応する機動力をしっかり見せていて、これは大型馬としては中々の武器です。
 持続面も新馬でそこそこいいものを見せていましたし、ここは持ったままでしたのでなんとも言えませんが、スタートセンスも相変わらず抜群で、中々面白い馬になっていきそうな雰囲気は充分に有ります。

 新馬にしても回顧で触れたようにコーナーの立ち回りの差で負けただけでしたし、4着だったオウケンムーンが強い競馬で未勝利を勝ち上がってもいて、レースレベル自体もかなり高かったと見ています。
 次はアイビーステークスらしいですが、今日は坂でも極端に落とさず楽に駆けていましたし、前目からしっかり加速力を生かす競馬が出来れば充分勝ち負けに加わってこられる素材でしょう。

**★9/18(月) 阪神5R 芝1600m戦**

 牝馬限定の一戦は、最後方外からエイシンフラッシュ産駒のボウルズが直線一気に差し切りました。
 レース展開は、まず1番人気の4着グアンが好スタートを切って先頭を伺いますが、それを外から制してオルボンディールが逃げます。
 グアンは番手に下げて、その内から2着ウスベニノキミが進出して先団を形成します。

 3着のメサルティムは出足一歩で後方馬群のちょうど真ん中くらい、ボウルズもスタートは悪く、また少し馬を前に置いて口向きの悪いところを見せたりもして、道中は最後方で様子を見ながら進めていくことになります。

 ラップは38,4(12,8)-25,7(12,85)-34,2(11,4)=1,38,3(12,38)という推移でした。
 馬場に対してまだ手探りのところもあったでしょうし、新馬らしいかなりのスローで展開、その上で仕掛けどころも遅めで、ラスト3Fが12,0-10,8-11,4となり、直線を向いてからの加速力と瞬発力を強く問われた内容になっています。

 日曜の1800m戦と比べて見るとわかりやすいですが、あちらはコーナー出口になる600-400m地点で最速ラップを踏んでいて、そこで外を回した馬の方が辛い展開でした。
 逆にここでは、まだコーナー地点が12,0と緩く、その為にコーナーで動かないで直線一気に加速を問われた組よりも、外から早めにエンジンを掛けて押し上げた組の方が走りやすかった、というところが結果にも出ているかなと思います。

 勝ったボウルズは、実にエイシンフラッシュ産駒らしい加速力と瞬発力の質を見せてきたなぁと思います。
 この流れで最後方ですから実質超スローバランスで入っていますが、そこから外目を押し上げての加速性能が非常に高く、かつ残り400m地点では前と3馬身近くあったのを、残り200mまでに半馬身くらいにまで詰め寄っていて、レースラップが10,8なのでこの馬は10,3~4くらいの切れ味を引き出していると考えられます。

 もちろんこれは、コーナー地点で下りを利用し、しっかり加速扶助が出来ていた分のメリットを生かしたとも言えますが、それでも質の面ではかなりレベルの高い脚で、この点では既に一級品と言ってもいいでしょう。
 勿論エイシンフラッシュ自身がそうだったように、ペースが上がってしまうとその良さを引き出せなくなるパターンはありますので、もう一回常識的な流れの中でどれだけの切れ味を引き出せるかは見てみたいですけれど、こういうタイプはスローの差し馬として頭数が少ない時や、確実にペースが落ち着きそうなときにいきなり爆発的な脚を使ってこられる素地がありますので、注目するに値する1頭かなと思いますね。

 2着のウスベニノキミも、コーナー地点がポケットで前が壁、大分待たされての追い出しだったことを考えれば加速性能は悪くないですし、またラスト200m、坂に差し掛かってからグイッと伸びて、おそらくこの馬は12,0-10,8-11,2くらいでフィニッシュしていると思います。
 その点で勝ち馬よりも持続力面では面白さはあるかも、と感じましたし、こっちもエイシンフラッシュ産駒ですのでペースが上がってどうか、とは思いますが、スローペースになりやすい未勝利レベルにおいては、この器用さと後半の素材面は強みになると感じるので、近々勝ち上がれると思いますね。

 3着メサルティムも後方から上手く押し上げてスピードに乗せて直線を向けたものの、ややそこでスムーズさを欠く場面もあり、それでもラスト1Fは2着馬と同じくらいにしっかり脚を使えていました。
 ブリランテの仔ですので、こちらはもう少しペースが上がってもと思いますし、この持続力はまずまず武器になってくるかなと感じます。
 一方最速地点の反応はイマイチでしたので、やはりもうちょっと一貫ペース向きかもしれませんね。

 4着グアンも後半要素でちょっとだらしない形になりました。
 オルフェーヴル産駒ですのであまりこういう瞬時の機動力とかを問われると脆い面もあるのかなと思いますし、スタートセンスは素晴らしかったので、もうちょっと流れるレースで長くいい脚を引き出せるかどうか、その辺に活路を見出したいでしょうか。

**★9/18(月) 阪神6R ダート1800m戦**

 ダート中距離の新馬戦は、ゴールドアリュール産駒のサクラアリュールが好位から抜け出し快勝しました。
 まずスタートを決めた最内のアウトバーンが逃げて、その番手に内から4着のサンライズハニーがつけます。
 その外に勝ったサクラアリュールがいて、更に外、好位列雁行状態の一番外に3着のイグレットがいました。
 2着に突っ込んでくるショームは、スタート後に少しバランスを崩すようなところもあり無理せず後方からじっくり、前の動きを見つつ押し上げていく形を取ります。

 ラップは38,5(12,83)-38,9(12,97)-37,5(12,5)=1,55,1(12,79)という推移でした。
 全体的にはややスローペースで、ただ午後の500万下戦がハイペースで1,53,3までですので、全体時計としてはこの時期の新馬の割には悪くない、と感じます。
 特にこのペースとはいえ、ラスト3Fは12,8-12,3-12,4としっかり加速し、ラストも落とさない推移になっていて、上位陣はそこそこ次に同じ条件でもチャンスがあるのではないかと思いましたね。

 勝ったサクラアリュールは、いかにも新馬の福永Jらしいそつのない完璧な立ち回りで、直線もややふらつくところはあれど、最後まで鋭く脚を伸ばしての完勝でした。
 形としてはテンよし中よし終いよし、という感じで、後はペースが上がった時に同じくらい楽にポジションを取れるか、要所での機動力を引き出せるかによっては、上の条件でも勝負になる下地はあるかなと思いますね。

 2着のショームは、ある意味で勝ち馬よりもスケールは感じさせる内容でした。
 序盤色々あって後ろからゆっくりの競馬でしたが、残り800mあたりからじわっと前に取りついていって、長くいい脚を使ってきたと思います。
 ラスト200mでも2馬身半くらい差があったのを3/4馬身まで詰めていますし、コーナー地点でもスムーズに押し上げられていますので、およそラスト3Fは12,5-12,0-12,0くらいでしょうか。
 結果論的にもう少し早めに動いていれば捕らえられたかも、というくらい、最後までそこを見せない伸び脚でしたし、ダート水準での切れ味もしっかり見せてきました。

 スタートが安定して、もう少し前目のポジションが取れるようなら、次は充分チャンスはあるでしょうし、しっかり早めに動いて出し切る競馬を心がけて欲しい馬ですね。

 3着イグレットは、まぁいかにもこの血統だなぁ、という不器用さを感じさせる内容でしたね。
 スタートと二の足は先ず先ず良く、枠なりの競馬で好位の外々、という競馬になり、多少はロスもあったでしょうが、それ以上に直線入り口加速地点での反応の悪さが目立ちました。
 サクラアリュールが先んじて抜け出すのについていけずに一旦寄れたりもしてかなり置かれてしまいますが、ラスト1Fは地味にジリジリと盛り返していて、典型的にエンジンのかかりが遅いタイプですね。

 血統面でももっと前半流れた方がプラスになるでしょうし、素材的にはまだ底を見せた格好ではないので、或いは自分から逃げてペースを作る競馬をしてみてもいいかもしれません。
 よりタフな馬場やタフなペースで見直したい1頭です。
posted by clover at 09:16| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする