2017年09月14日

2017 9月第4週新馬戦など レース回顧(土曜編)

**★9/23(土) 中山5R 芝1600m戦**

 このレースでは、圧倒的な人気に推されたロードカナロア産駒のグランドピルエットが、人気に応えてセンスあふれる競馬で完勝しました。

 土曜の中山の馬場は、週中の雨の影響で終日稍重でした。
 メインのセプテンバーSが33,5-34,5=1,08,0で、流れればそこそこ時計が出る馬場ではありましたが、それでもマイル以上の距離では、日曜に比べて1秒くらいの馬場差を見込んでも良いと思います。

 スタートは相当にばらけましたが、その中から好ダッシュを決めたのが3着に逃げ粘ったキングドンドルマでした。
 それを外から4着マイネルオフショアが追いかけ、内からは5着のジュンパッションがポケットに潜り込んでいって、まずまずのスタートを決めたグランドピルエットはその二頭の間で少し挟まれるような感じもあり、無理せず一列下げて前の動きを見ながらのレースになります。
 
 出遅れた馬が非常に多かったので、その中ではあまり目立ちませんでしたが、地味に2着のクリッパーも出負けしていて、道中は中団のインくらいを追走、徐々に押し上げて、外目に持ち出していく人気のグランドピルエットの真後ろをマークするような格好になります。

 ラップは37,3(12,37)-24,2(12,1)-35,3(11,77)=1,36,8(12,10)という推移でした。
 序盤はゆったり入っていますが、比較的中盤が緩くなく、仕掛けどころも600-400m地点のコーナー中間から加速していて、新馬としては馬場も含めて結構タフな競馬になっていると思います。
 どちらかと言えば序盤のポジショニングが大切で、そこから長く脚を使える性能が問われており、マイルよりちょっと長い距離での適性を求められている感じもありますね。
 全体時計も馬場の割に優秀で、この上位陣はそこそこ強いと見ています。

 勝ったグランドピルエットは、その中でも1頭だけ余裕綽々、と言った磐石のレースぶりでしたね。
 スタートも良く、しかし行きたい馬を行かせてスッと下げて馬群の中できっちり折り合い、勝負所から外に持ち出してコーナーからスーッと加速、直線入り口から坂下で楽に抜け出して、最後はクリッパーに少し詰められるもののもはや勝負が決した後、という形でしたので、素材的にも最上位なのは間違いないと思います。
 最速地点の11,5のところでスパッと抜けてきたように瞬時の反応と切れ味が特に見所があり、ポジショニングの巧さも含めてマイル前後の距離で持ち味が存分に生きる競馬でした。

 血統的にカナロアの仔はトゥザフロンティアがああいう負け方をして、実際に距離が伸びてどうかはまだまだ未知数ですけれど、この馬は母の血統的にはもう少し持っても、とは思います。まあザレマ自身はマイラーだったので難しいところでもありますが。
 この日はかなり楽に勝った、という印象ですし、もう少し流れても対応してくると思うので、次のレースがとても楽しみですね。

 2着クリッパーも素材では引けを取らないと思いますが、ここは完成度の差、レースに入っての器用さが出たと見ています。
 スタートもイマイチで中団からを余儀なくされましたし、そこからグランドピルエットマークの形で押し上げていったのは良かったですけれど、最速地点でグランドピルエットにはあっさり離されてしまいました。
 ラスト200mでは逆に2馬身差を3/4馬身差まで詰めており、持続力ではこちらの方が、とも思わせましたが、どうあれ加速力と切れ味の面では、この距離この流れではあまり良さを感じなかったですね。

 なので結論的にはもう少し距離が欲しい、と感じましたし、府中の1800mか2000mで伸び伸び走らせて、どれくらい後半要素を高めてくるか、まず素材的には好勝負出来ると思いますが、伸びしろを期待したいところです。


**★9/23(土) 阪神3R 芝1800m未勝利戦**

 高速馬場状況の中、このレースではマイスターシャーレとムーンレイカーの一騎打ちになり、最後はしぶとくマイスターシャーレが追いすがるムーンレイカーを振り切って勝利を収めました。

 35,7-38,0-34,5という中緩みからの3F戦を、ともに中団から運んだ2頭は、直線で早々に抜け出してきます。
 レースラップが後半11,5-11,6-11,4ですが、残り200mでは完全に2頭が抜け出していたので、勝ち馬で11,1-11,1-11,4、2着馬が11,1-10,9-11,4という感じでしょうか。一瞬の切れ味はムーンの方に分があったと思いますが、持続力では互角か、ややマイスターシャーレに軍配が上がったという形です。

 マイスターシャーレは例の札幌開催の目玉だったルーカスの新馬戦の3着馬でもあり、また明日の記事で取り上げる中山の未勝利でも5着ゴーフォザサミットが強い競馬で勝ち上がっています。
 4着馬も既に勝ち上がっていて、やはりあのレースはレベルが高かったのだなぁと改めて感じると共に、この馬自身は前走こそ重い馬場で逃げて粘る形でしたが、今回は馬群の中でじっくり脚を溜めて、後半要素を飛躍的に伸ばしてきたと思えます。
 全体時計もこの時期の2歳馬としては優秀ですし、先々まで楽しめる素材だと思いますね。

 ムーンレイカーも敗れはしたものの、新馬にしろここにしろ相手がちょっと悪かった、というだけで、間違いなく強い競馬は出来ていますね。
 新馬の時は内回りの2F瞬発力特化戦のようなところがあり、そこでコーナー出口まで前が壁で勢いをつけられなかった分、外から捲ってきたシルヴァンシャーに切れ負けした、というイメージでしたが、今回しっかり出し切る形になってより良さが出てきたと思います。
 この馬の上がり33,4は当日の芝レースの中で断然最速でしたし、今後も広いコースで足を使い切る形ならすぐに勝ち上がれるでしょう。

**★9/23(土) 阪神5R 芝1200m戦**

 こちらはアドマイヤマックス産駒のトンボイが好スタートから楽々逃げ切りました。
 ただこのレースは、いくら新馬とはいえスプリント戦にあるまじきスローペースで、ラップが36,8(12,27)-34,1(11,37)=1,10,9(11,82)となっています。
 かつ後半も11,5-11,3-11,3と仕掛けが遅く、ラストまで失速しない単調な展開であり、その中での逃げ切りはそれはそうだろう、という感じですね。

 2着馬以降も好位にいた馬で占められていて、この圧倒的不利な展開の中で後ろから目立つ脚を使って、という馬もいなかったので、内容としては凡戦だと思います。

 ただトンボイ自身のレースセンスはかなり良さそうで、スタートも上手いですし、追走面で問題がなければ上でもそこそこやれる素地はありそうには感じました。
 どうあれこのレースだけでは全く資質が掴み切れない、というところはありますし、常識的に流れたところで良さが出てくる馬もそこそこいるでしょうが、素材面で光るものを感じる馬は見当たらなかったので軽く締めさせて頂きます。
 
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2017 ききょうS・芙蓉S レース回顧

**★ききょうS**

 阪神1400mで行われた2歳のOPクラスの一戦は、圧倒的な人気に推されたタワーオブロンドンが後方から豪快に突き抜けて圧勝しました。レースを振り返っていきましょう。

 阪神の馬場は、土日通じて基本的に良好な高速馬場を保っていたと思います。
 2歳の未勝利戦が1,35,9に1,48,2とまずまずの時計で、古馬1000万下の1800m戦が1,46,4でしたから、このレースの1,21,7は可もなく不可もなく、かなり流れたことを加味すればちょっと時計面では微妙かも?とは見ています。

 展開は、綺麗に一線に揃ったスタートから、まず内のバーニングぺスカが先頭を窺っていきます。
 それを外から気合をつけて、離れたところからジュンドリームが交わしていって、後ろを大きく引き離す逃げを打ち、バーニングぺスカが二番手におさまります。
 その後ろにアイアンクローとフランシスコダイゴがつけ、丁度中団にリンガラポップスとイイコトズクシ、その後ろにスーサンドンとアントルシャがいて、大外枠からまずまずのスタートだったタワーオブロンドンは一度下げ、内に潜って後方二番手、というレースプランになりました。
 最後方に大きく離されてテイエムスグレモン、全体的にハイペースらしい縦長の展開になりましたね。

 ラップは33,5(11,17)-11,7-36,5(12,17)=1,21,7(11,67)という推移でした。
 ジュンドリームが注文を付けて一気にペースを引き上げたことで、阪神内回り1400mでは時々起こる超のつくハイペースになりました。
 すこし離れたバーニングぺスカの位置でも前傾2秒近いハイペースですし、丁度タワーオブロンドンの位置でややハイ寄りの平均、という感じで、兎にも角にも追走力が大きく問われ、そこからの持久力も求められたレースだったと思います。

 その中で、勝ったタワーオブロンドンは強い競馬ではあったと思います。
 スタートは良かったものの無理せず馬任せで後ろから、とはいかにもルメールJらしい静かな入りで、道中は上手くインに潜ってコースロスを防ぎつつ、徐々に外に持ち出していくあたりも巧みでしたね。

 他の馬がこの激流の中で促しつつの追走になる中、この馬はほぼ馬任せでスムーズに流れに乗っていましたし、勝負所からの進出も実にスムーズでした。
 レースラップとこの馬の動きからして、後半4Fはずっと11,7~11,8くらいの脚を続けてきたのではないか、という見立てで、追走面ではかなりの裏付けになるのと、そこから持続力水準に入らない、高速持久力戦に対する高い適性を見せてきたのではないかと思います。

 新馬戦が中緩みからの2F瞬発力特化戦で完勝し、クローバー賞はややスローで中盤息の入らない流れで外から押し上げる競馬で惜敗、このあたりからしても、この馬はスローで入った時の後半要素にはちょっと限界があるタイプかもしれません。
 勿論ダブルシャープは札幌2歳Sでもあの無茶な競馬で3着ですから、相手が悪かったとも言えますが、このレースを見る限りは前半要素が問われてよりしぶとさが生きてきた、というイメージは持てますね。

 ただ時計面での1,21,7はそこまで評価出来なくて、馬場状態が違うとはいえ、夏前のヴァイザーの新馬戦でも超ハイで1,21,9が出ていますし、あの馬がここにいれば際どい勝負にはなっていたんじゃないか、と思います。
 ともあれ、これで少なくとも3歳春までのマイルGⅠレベルまでの追走力の担保は確実、と思わせますし、後はもっと高速馬場、時計の速い決着になった時に、もう一段加速するギアがあるかどうか、それ次第ではマイル戦線の主役に躍り出てもおかしくはないと感じます。
 ただ新馬とクローバー賞の印象からは、最高速を早めに踏んでしまうと甘くなる印象はあるので、阪神外回りの朝日杯は適性的に微妙かもしれませんね。

 2着のバーニングぺスカは、あらためてハイペース適正の高さを示した、と言えそうです。
 結局この流れで、斤量が重いとはいえアイアンクローは崩れていて、あのレースは追走力特化戦の割に色々と序列が謎だったんですよね。
 この馬やヴァイザーがもっとスムーズだったらその辺は逆転していたのだろうと改めて思いましたし、しかしこの馬自身に限って言えば、1400mでもちょっと長い純正スプリンターなのかな、と感じる走りでした。

 勿論自身の位置で34,0程度のラップを踏んでも崩れないところは見事ですが、流石に最後もう一段加速する余力はなかったですし、小倉2歳でも後ろから後半要素であまり光るところがありませんでした。
 それを踏まえると現状は一貫ペースの短距離戦こそが、と思うので、次に500万の1400m戦とか、マイル戦に出てきて人気になるなら疑って見てもいいタイプだと思います。
 逆に京都1200mなら、まず格好はつけてくると思いますね。

 3着イイコトズクシも、小倉2歳Sに続いてしぶとく伸びて3着を確保してきましたが、タワーは勿論バーニングにも完敗、という内容ですので強気にはなれません。
 少なくとも新馬勝ちは自身後傾で入ってじわっと伸びた格好ですし、この馬に関しては距離延長に活路は見出せる余地はあるかもですが、スケール感はあまりないので堅実だけど勝ち負けには加われない、というタイプになりそうなイメージですね。
 前傾戦への適性もそこまで高くない、と見受けられますので、ペースが落ち着きやすい京都になってどこまでやれるか、と思います。

 5着アイアンクローは、小倉2歳Sで成長を見せたか、と思ったのですが、あのレースは相手関係や展開に恵まれた面が大きくて、基本的にはこちらもハイペース向きではない、というのを露呈したのだと思います。
 勿論ローテの厳しさや斤量面など擁護する余地はありますし、この馬も一度マイルくらいでゆったりした流れを前受して、新馬で見せた加速力と持続力を生かしてどこまでやれるか試して欲しいですね。


**★芙蓉S**

 近年中山2000m戦に生まれ変わり、冬のホープフルSに向けての前哨戦のひとつに位置付けられた芙蓉Sは、新潟の新馬で強い勝ち方を見せたサンリヴァルが、札幌2歳S2着のファストアプローチの追撃を振り切りデビュー2連勝を飾りました。レースを振り返っていきましょう。

 日曜日の中山の馬場は、極端なスローも多かったのでわかりにくいですが、ほぼ水準的な高速馬場だったと考えていいと思います。
 10Rの1000万下マイル戦が47,2-46,4=1,33,6ですので、流れればそれなりに、スローなら切れ味も問われるという印象でした。
 前日までの渋りの影響のイメージもあるのか、騎手の馬場意識もやや下がり目でしたので、オールカマーは流石にどうか、と思うにしても、2歳戦のここが超スローになるのはまあ必定に近いところですね。

 レース展開は、内から好スタートを決めたコスモイグナーツがハナを主張します。
 ファストアプローチも好スタートを決めて先行列に加わっていきますが、サンリヴァルも枠の差を利して半馬身ほどの遅れを徐々に挽回ねコーナーワークの中でファストアプローチより前に出て2番手を確保し、ファストアプローチが3番手でレースが進んでいきます。
 人気のトゥザフロンティアはまずまずのスタートから枠なりに中団外、それに並ぶ位置にスターフィールドがいて、道中は出入りもなく淡々とした流れになりました。

 ラップは38,0(12,67)-51,3(12,82)-34,3(11,43)=2,03,6(12,36)という推移で、序盤も中盤も緩い後半勝負の様相が強い一戦です。
 ハーフで見ると63,9-59,7と4秒以上のスローですが、後半のラップが12,9-12,5-11,7-11,1-11,5と綺麗な階段加速になっていて、その時点でのポジション差を一気に後半に塗り替えるのは難しい展開でもありました。

 2番手にいたサンリヴァルが残り800mあたりからジワリと前に取りついていますので、後続勢はより早く動き出しを問われる格好にはなっていますし、その上でコーナー地点で11,7-11,1とそこそこ速いラップを踏んでいて、ここでの横の立ち回りもそれなりに影響したはずです。
 大枠としては段階加速からの直線入り口最速の瞬発力勝負であり、かなりの器用さが問われていて、かつ外々を回した馬は早い段階で持続力を問われて辛くなるという、いかにも中山マイスターの田辺Jが主導した戦略的なラップ構成ではあると思いますね。

 勝ったサンリヴァルは、当然そのトリッキーな流れの中で、しっかり器用に段階加速していくセンスと、そして直線での切れ味・持続力を新馬に続いて高いレベルで見せてきたと言えそうです。
 ファストアプローチとは1kg差がありましたし、向こうを1頭分とはいえ外に回させての競馬で、上手くアドバンテージを作っていたとは思うので、この流れの中での力差はほぼ互角に感じますが、それでもこのレースセンスの高さは評価出来ます。
 ラストもしっかり追い出しに俊敏に反応できていましたし、ポジショニングもまずまず上手ですので、後半勝負では簡単に崩れない強さを感じました。

 ただ勿論、新馬もこのレースも追走面ではほとんど高いレベルのものは問われておらず、流れた時にどこまで対応できるか、というのは未知数になります。
 ルーラーシップの仔は、平均的に見て後傾型の方が多く、かつそこからじわじわと段階的に脚を使ってくるのが得意、という馬が多いイメージですので、今回はレース構造としてもそこに上手く当て嵌まっていて、いい馬だとは思いますが違った展開でこの器用さが引き出せるかはあまり楽観視しないほうがいいかもしれません。
 次は府中の1800m戦か、京都2歳Sあたりがターゲットになってくるのかなと思いますが、どちらにせよ楽しみはある馬ですね。

 2着ファストアプローチも、札幌2歳Sであれだけいい走りをした後にここに使ってくるのは意外でしたが、藤沢厩舎でもありますから、よほど調子がいいのでしょうね。
 ここはレースの流れに乗ってしっかり走れていましたし、最後も食らいついてはいましたが、本質的にはこういう後半の切れ味勝負向きではないかもしれません。

 新馬から距離延長でポジショニングが良くなり、それに伴って成績も安定してきていますが、未勝利勝ちの時は結構なハイペースを中団で追走して突き抜ける競馬も出来ており、追走力そのものは結構持っていると思っています。
 なのでこの時期の中山よりは、年末の重くなった中山の方がチャンスは大きそうですし、去年の様に一貫して波のない持久力戦になれば、GⅠ昇格初年度のホープフルSでも面白い存在になってきそうです。

 3着スターフィールドもそつのない競馬で、コーナーでもインを通してしっかり走れていますが、このレースに関してはポジショニング野差がそのまま響きましたし、それを覆すほどのスケール感はなかったという所でしょう。
 距離はこのくらいあったほうが走りやすそうですし、最速地点での反応自体は悪くなかったので、府中2000mの百日草特別あたりでおもしろさはありそうです。

 4着トゥザフロンティアに関しては、前走がああいう荒削りな競馬で、まずこの日はスムーズに走る、という部分も課題でしたでしょうし、其の点は進展があったと思います。
 道中も折り合っていましたし、変に仕掛けてから口向きが悪くなるところも感じなかったのでそこはいいですが、レース自体は位置取りの差、外を回された分のロスが諸に出てしまいましたね。

 新馬でも最速地点の加速でもたつくところはあり、この日の段階加速の流れの中で、ずっと促しっぱなしだったのも、その辺の器用さの足りなさを伺わせますし、そうやって早めに仕掛けたことで、最速地点のコーナーで外々を押し上げる辛い形になってしまいました。
 その分だけ最後の持続力が引きだし切れなかったとは思いますし、少なくとも3着馬とは通したところの差が出たと見ています。

 ロードカナロア産駒で、距離自体は乗り方次第でなんとかなる範疇とは思うのですが、この馬の場合はインから立ち回れる器用さ、みたいなのはなさそうですし、難しさはありそうです。
 むしろもっと淡々と流れて、要所で加速を問われにくい展開の方が合うと思いますが、そうなるとより本質的なスタミナも問われますし、最終的にはマイルあたりに収束していきそうでしょうか。
 追走力がどこまであるか、ポジションを上手く取れるようになるか、その辺で更なる進境が見られれば上でも、と思いますが、現状の完成度ですとまだ心許ない感じですね。
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2017 9月第3・4週海外GⅠなど レース回顧

**★英セントレジャー [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=LWaP7Y6D_E8)**

 先週紹介しそびれましたが、勝ち馬のカプリが凱旋門賞に出てくるかも、ということなので改めて取り上げておこうと思います。
 レース自体はオブライエン厩舎のペースメーカーがかなり序盤引き離して逃げて、カプリはそれを4~5番手の絶好位で追いかけ、残り400mで先行勢を飲み込み一気に先頭に立ちます。

 そこからは内のストラディバリウスもかなりしぶとく、更に外からクリスタルオーシャンも飛んできて激戦になりましたが、この馬の良さは愛ダービーでも見せたように、馬体が並べばそこからがしぶといところです。
 持ち前のスタミナを遺憾なく発揮して、ゴール前は逆に僅かながら引き離すようにゴール、着差は小さいものの力の差を感じさせる強いパフォーマンスだったと思います。

 近年は御存じの通り競馬発祥の地英国でも長距離路線の衰退は著しく、このレースの勝ち馬からそのまま凱旋門賞で勝負になるような馬はまず出てこない、というのが定説だったのですが、去年のレースを見ている限りあながち馬鹿には出来ないな、と感じます。
 というのも、皆様の記憶にもまだ鮮烈であるように、去年の凱旋門賞は超ハイペースで展開し、オブライエン厩舎のワンツースリーという衝撃決着でしたが、その一角を担ったのが、この距離ではいかにも足りない、と思われていたオーダーオブセントジョージだったからです。

 この辺は凱旋門展望記事でももう少し詳しく触れるつもりですが、今年もスタミナに長けていて、かつ先行力のある馬を何頭も配して、厳しいタフな流れの中にイネイブルを巻き込んで揉み潰してしまおう、という戦略性が見え隠れしていますし、そういうレースが構成されたときにこの馬のスタミナ、勝負根性は侮れない武器になるかもしれません。

 愛ダービーでは、凱旋門賞回避を決めたクラックスマンを撃破していますが、あの時はまだクラックスマンが本領を発揮出来る逃げ先行策に開眼していなかったのもあり、素材的にはあちらの方が少し上かな、とは思っています。
 それでもこのレースの巧さが武器になれば、と思いますし、誰が乗って、どういう戦略を用いてくるのか、非常に楽しみが膨らみますね。

**★ペンシルヴァニアダービー [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=-drSOh9tD7w)**

 今年からGⅠに昇格したようですが、一昨年の勝ち馬がフロステッド、去年がコレクトとガンランナーのワンツーという事で、GⅠにふさわしいメンバーが出揃う、3歳世代のBCに向けての最終ステップの位置づけになってきていますね。

 そして今年は、トラヴァースSでまたしてもバファート厩舎から彗星のように出現した新生・ウェストコーストが、ハイペースの流れをものともせずに直線で楽々突き放し圧勝してみせました。
 スタートをしっかり決めたウェストコーストは楽に番手外をキープし、そして向こう正面で逃げ馬がペースを落とそうとするのを許さず、すかさず前をつついて一貫したタフな展開を主導していきます。

 それをマークするように人気のタイムラインやアイリッシュウォークライなどがつけていましたが、どちらも前を追いかけ過ぎたのかコーナーで一杯になってしまい、直線では早めに抜け出したウェストコーストの独壇場になります。
 最後に捲り気味に追い込んできたトラヴァースS3着馬のイラップに7馬身以上の差をつける大楽勝でした。

 このレースはハンデ戦でもあり、ウェストコーストは他馬に対して2~7ポンド重い負担重量で走ってもいましたので、その意味でも内容には凄みがありますし、間違いなくBCクラシックで、アロゲートとコレクテッドに続くバファート厩舎第三の矢となってくるでしょう。
 BCクラシックにはガンランナーという強敵もいますし、或いはコレクテッドとウェストコーストという非常に先行力の高い2頭でガンランナーを厳しい流れに巻き込んで、それをアロゲートが差してくる、なんていう厩舎戦術も有り得るかもしれませんね。

 今年のアメリカ3歳牡馬世代は、去年にも増してクラシック路線を走った馬が低調ですが、それでもこうしてきちんと新星が出てくるのがアメリカと言う国の競馬スケール・懐の深さに感じますね。本当に先が楽しみな1頭です。

**★コティリオンS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=X8ZNEgs8FCg)**

 こちらは去年ソングバードが楽勝した、3歳牝馬限定のGⅠになります。BCディスタフの前哨戦、という趣ですね。
 理由までは調べていないのでわかりませんが、ニューヨーク三冠の最終戦アラバマSを回避していたアベルタスマンが登場して、圧倒的な人気に推されていましたが、ここでは斤量差もあり、アラバマSで2着だったイッティズウェルに苦杯を喫する事となりました。

 レースでは3着に入ったロックダウンが逃げて、それをイッティズウェルが番手で追いかける形になり、こちらも極端ではないながら淡々と速い流れを刻んでいきます。
 いつもながらにスタートダッシュは鈍く後方からになったアベルタスマンは、いつものように向こう正面から進出を開始、インをスルスルと縫うように上がってきて3コーナーまでにほぼ先頭列に取りついてきます。
 そのまま直線に入り、前の2頭が叩き合いを演じる中で、それを少し下がった位置でじっと見ていたイッティズウェルが外から一気に伸びて、並ぶ間もなく交わし去っての初GⅠ制覇となりました。

 レースラップ的な観点からすると、向こう正面の地点ではまだハロン12を切るくらいの速い流れが形成されており、そこから3~4コーナーで一気にハロン12,7くらいにまで落ち込んでいます。
 基本的にはアメリカらしい一貫した減速戦、という様相の中で、すっかり道中の捲りが板についてきたアベルタスマンではありますが、この日に関してはまだペースが厳しい地点で一気に足を使ってしまったため、最後の粘り腰に少し影響したのかな、とは感じます。やはりこのあたりは、すんなり先行できる馬の方が楽、というのはありますからね。

 ただそういう展開の綾や、斤量差2ポンドを差し置いても、このレースではイッティズウェルには完敗でした。
 休み明けで次が大目標、という事もあるでしょうが、イッティズウェルにしてもアラバマSではイラートに5馬身差の完敗、CCAオークスでそのイラートはギリギリ撃破しているアベルタスマンとはいえ、このあたりの3歳牝馬路線の力関係はちょっと混沌としてきましたね。

 また当然ながら、路線が悉く整備されていることで、本番のディスタフまでに古馬と対決する馬が少なく、力関係の見極めも難しいところです。
 ソングバードこそ引退してしまったものの、ステラウインドやフォーエヴァーアンブライドルドは強敵ですし、アベルタスマン自身はどうしても脚質的な面での不利を抱えていますから、そのあたりも含めて本番がどうなるか、こちらも非常に楽しみですね。

**★ベレスフォードS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=wrpcrVZNhzk)**

 こちらはおまけの、アイルランドの2歳GⅡ戦です。
 ただ去年の勝ち馬は上記セントレジャーを勝ったカプリで、21世紀で屈指の名馬であるシーザスターズ、ドバイでジェンティルドンナを破った事でも日本人にお馴染みなセントニコラスアビーなども勝ち馬に名を連ねていて、中々の出世レースでもあります。

 そして勝ったのは、ディープインパクト産駒のサクソンウォリアーでした。
 5頭立てのレースで、勝ち時計が1,45,76とマイル戦とは思えない数字なので、晴れてはいますが相当に馬場は重かったはずです。
 その中で2列目のインコースを追走したサクソンウォリアーは、直線で内から鋭く抜け出すと、そのまま後続を寄せ付けずに押し切る強い競馬を見せました。

 フォワ賞の週にセプテンバーが負けたことにも触れて、ディープインパクトの仔は欧州の重馬場適性に疑問符、と書きましたが、この馬はかなり高いレベルでそれを克服してきたことで、今後の展望が大きく広がったように思えます。
 血統的に母父ガリレオなのがいいのかな、とも思いますが、セプテンバーとて母の系統はサドラーズウェルズですし、ディンヒルの血が入っているのも同様なので、そこは馬それぞれ、という事でしょうか。
 このレースの勝ち馬は一様に、その後クラシック路線の長いところで活躍を見せていますので、今から来春が楽しみですね。
posted by clover at 09:16| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする