2017年08月26日

私的名馬列伝 第十二話 ジャングルポケット

**★はじめに**

 今週末は、夏競馬の掉尾を飾る札幌2歳Sが行われますね。
 私が競馬を始めたころの札幌3歳Sはまだ1200m戦で、それが1800m戦に生まれ変わってからはや20年と思うと、月日の流れの早さを感じるばかりです。

 そして、1800mに昇格したばかりの数回は、まだローテーションとしての立ち位置が確立せず、結果的にその後に繋がらない事が続きましたが、その負の流れを綺麗に払拭してみせたのが、今回取り上げるジャングルポケットが勝った年の札幌3歳Sでした。
 なにしろ勝ち馬が後のダービー&JC馬で、2着も朝日杯で2着に入るも骨折で散った非業の名馬タガノテイオー、そして3着には桜花賞&秋華賞を制した名牝テイエムオーシャンがいたわけで、今年も後々そんな風に大活躍する馬が出てくればいいなと思います。

 夏の新馬と言えば短距離からスタート、という概念を覆し、2歳の夏の時期からじっくりクラシックを見据えた距離を選び、無理のないゆったりしたローテーションを組むという新機軸を明確に固着させたと言えるであろうジャングルポケットの軌跡を、今回改めて振り返ってみようと思います。
 [生涯通算成績](https://keiba.yahoo.co.jp/directory/horse/1998101786/)は13戦5勝と、やや数字的には迫力と安定感に欠ける所もありますが、しかし噛み合った時の爆発力は超一級、未だにダービーとJCを同一年度に制した唯一の馬でもあり、いかにも左回りの鬼・トニービンの仔らしいしなやかな強さと不器用さを併せ持った馬でした。

 今回もレースの馬齢は当時の表記のままとさせていただきます。

**★新馬~ラジオたんぱ杯3歳S <新たなる王道路線の開拓>**

 当時は今より遥かに北海道シリーズの1800m戦は鞍数が少なく、それ故にそこを敢えて狙って使ってくる馬が出揃う事で、ジャングルポケットの新馬戦は後々に振り返ってもかなり豪華な顔ぶれでした。
 後の朝日杯1、2着馬のメジロベイリーとタガノテイオーがいて、更に若葉Sを勝つダイイチダンヒルなどもおり、そして彼らはみんな当時向かう所敵なしのサンデーサイレンス産駒でした。

 故に人気もそちらに集中し、ジャングルポケットとて中々の血統馬でありながらも5番人気に甘んじますが、しかしレースでは逃げたメジロベイリーの番手にダイイチダンヒルと並んで追走、メジロが早々に脱落したところから直線熾烈な叩き合いとなり、ジャングルポケットは捲ってきたタガノテイオーをギリギリ退けて新馬勝ちを収めます。
 結果的にこの3頭が後続を8馬身突き放し、この距離での能力の違いを示した格好ですが、しかしこの時代の面白いところは、まだ1800m戦の新馬勝ちがあまりステータスではなかったところです。

 次走、中2週での出走になった札幌3歳Sでは、その評価が顕著に表れていたと言えます。
 このレースでは、1200m戦を連勝してきたテイエムオーシャンとマイネルカーネギーが1、2番人気となり、3番人気も1200mの新馬戦を圧勝したセンターベンセールでした。
 やっと4番人気に、折り返しの新馬戦を完勝して連闘策で望む(このローテも今だと考えづらいところですけれど)タガノテイオー、そしてジャングルポケットはまたしても5番人気の伏兵扱いだったのです。少なくとも今なら絶対にこんな人気順にはならないでしょうね。

 しかし、中2週ながら+10kgと、レースを使っての成長を見せてきたジャングルポケットは、テイエムオーシャンが刻む平均ペースを好位で楽々と追走、直線外から豪快に差し切り、レコードのおまけつきでその素質の高さを満天下に知らしめることとなります。
 上でも触れたようにここの上位3頭は本当に強い馬でしたので、その意味でも大きな価値がある勝利ですし、またここを勝ったことで、今後クラシックに向けてのローテーションを組みやすくなりました。

 次にジャングルポケット陣営が鉾先を向けたのは、3歳チャンピオンを決める朝日杯ではなく、年末阪神の[ラジオたんぱ杯3歳S](https://www.youtube.com/watch?v=jsW2ir8tUGM)でした。
 頓にサンデー全盛時代になってからは、朝日杯よりもこちらの方がクラシックに直結する活躍馬を輩出しており、1800mでデビューしたジャングルポケットにとっても、距離短縮よりは延長を選ぶのは自然な流れだったと言えるでしょう。

 そしてこのレースから、北海道の2戦で手綱を取っていた千田Jから、大レースでの勝負強さに定評のある角田Jに乗り替わります。
 この角田J×渡辺調教師×斎藤オーナーというトリオは、1995年のクラシックを席巻すると思われながら、弥生賞後の故障で引退、幻の三冠馬と呼ばれたフジキセキと全く同じチームで、今度こそこの馬でクラシックを、という意気込みを感じさせる采配ではあったと思います。

 しかしこのレースは、戦前の評判における一頭の怪物がおり、そしてレース後に、更なる怪物の出現に誰しもが瞠目させられる事となります。
 戦前の注目は、なんといってもエリカ賞をレコードで圧勝してきた外国産馬のクロフネでした。
 この世代からダービーを含むクラシック競争が、外国産馬にも頭数制限付きで門戸が開かれた事もあり、その初年度に登場した怪物、しかもクロフネというネーミングの妙もあり、圧倒的な一番人気に支持されていたのです。

 ジャングルポケットはと言えば、札幌3歳S勝ちもこの時点ではまだまだマイナーステータス、という風潮もあり、新馬を勝ったばかりのサンデー産駒アグネスタキオンより人気なく、3番人気に甘んじての出走となります。
 しかし結果的にそのタキオンの人気は過剰人気では全くなく、それはレース結果で如実に示される事となります。

 いつものように軽快に先行するクロフネに対し、タキオンとジャングルポケットは中団くらいから虎視眈々と進出の機会を伺います。
 残り800mくらいからタキオンが先に仕掛け、先頭列に並びかけるのにクロフネも呼応、ジャングルポケットもその後ろから忍び寄っていきますが、直線入り口ではすわ2頭の一騎打ちか、という気配が漂っていました。
 ですが、そこからは完全にタキオンの独壇場で、ほんの少し気合をつけただけで圧倒的な加速力・切れ味を繰り出してクロフネを置き去りにし、最後は流す余裕を見せながら後続に2馬身半の圧倒的な差をつけてみせたのです。

 その二頭のつば競り合いを後ろで見定めていたジャングルポケットも、最後の坂でしっかり伸びてクロフネは交わし去ったものの、前に行くタキオンには完全に完敗、という形になってしまいました。
 まぁ後々の観点からすると、ジャングルポケットもクロフネも瞬発力の質に秀でていたタイプではないですし、また後半が12,0-11,2-11,4とかなり加速力が問われる展開で、外目から勢いをつけていったタキオンの方が楽だった、と見做すことも出来ますが、それを差し引いてもスケール感の違いを見せつけられる内容だったでしょう。

 ともあれ、ここで苦杯を喫したものの、陣営の目標はぶれることなくクラシック、その最高峰のダービーに照準が合わせられており、その期待に応え得るだけの素質を持った馬だというのを改めて証明した一戦でもあったと言えますね。

**★共同通信杯~ダービー <宿敵なき悲願達成>**

 私の記憶が確かならば、この春のジャングルポケットのローテーションはかなり早い内からこの3戦、と明言されていたように思います。
 そしてまたこれが物議を醸すところでもあり、今でこそ共同通信杯からの直行組はかなり結果を残していますが、当時はまだ中山のトライアルを使う組でないと本番は勝てない、というのが明確にありました。
 その意味では、あくまでも大目標はダービーであり、その潜在能力を最大限に生かすためのローテーションと割り切っていたのが印象的ですし、結果的にそうやってゆったりしたローテーションで余力を残しておけたことがプラスだったと考えることは出来るでしょう。

 ともあれ、トニービン産駒として大得意の府中に初見参となったジャングルポケットは、ここは相手関係が弱かったのもあり、好位から早めに抜け出して楽に押しきる横綱相撲を見せます。

 そして迎えた[皐月賞](https://www.youtube.com/watch?v=ldSiRN6QRm0)では、再びアグネスタキオンが高い壁として立ちはだかります。
 タキオンは不良馬場の弥生賞を圧勝して未だ無敗、圧倒的1番人気に推される一方、ジャングルポケットも抜けた2番人気には支持され、けれどローテーションや脚質、血統などから、崩れるとしたらこっち、というイメージは強く持たれていました。

 実際にレースでも、ジャングルポケットは生来の不器用さを露呈する形になってしまいます。
 最内枠からまずまずのスタートを切るものの、2歩目で大きく躓き、小回り中山では致命的ともいえる、後方からの競馬を余儀なくされてしまうのです。
 それでも道中は早めに外に持ち出し、じわじわと大外を押し上げていって、先団にいるアグネスタキオンにプレッシャーをかけていきます。
 4コーナーで一気に並びかけるところまでいき、今度こその一騎打ちを予感させますが、そこまでのロスが祟ったのか、またしても瞬時に加速したタキオンに突き放され、内からしぶとく伸びてきたダンツフレームにも交わされて3着と、はじめて連対を外す結果となってしまったのです。

 まあダンツフレームも、その後ダービー2着、宝塚記念を制する名馬ですが、こちらもアーリントンCからの直行、という異例のローテで人気なく、ただ結果的には素材的に抜けた3頭が上位、その中でレースセンスに最も長けたタキオンが一枚上手だったレース、とは言えるでしょう。
 正直このレースのタキオン自体の走りはあんまり良くはなく、この後屈腱炎発症が判明して引退する事を考えれば、もう既にその予兆はあった、と言えるのかもしれません。
 翻って、王道中の王道である不良馬場の弥生賞を回避した選択が、2、3着馬にはその後の余力に繋がった、とも考えられ、ローテーションの難しさ、巡り合わせなどをしげしげと考えさせられる内容ですね。

 ともかく、[ダービー](https://www.youtube.com/watch?v=5vwZjAwRfnU)でこそ三度目の正直、ライバルにリベンジを、と意気込んだであろうジャングルポケット陣営にとって、アグネスタキオンの離脱は複雑なものがあったでしょうが、といってダービー戦線が無風であるわけもありません。
 ラジオたんぱ杯では退けたものの、その後毎日杯を圧勝、NHKマイルCも制してGⅠ馬となったクロフネが、満を持してダービーの舞台に上がってきたのです。
 いわゆるマツクニローテの嚆矢となったクロフネの脅威に対し、しかし流石にローテーションの優位もあり、ここではジャングルポケットが1番人気に支持される事になります。

 生憎の雨で重馬場開催となる中、大外から無難なスタートを切ったジャングルポケットは道中は中団やや後ろのインコースを追走、外から先に仕掛けるクロフネを追うように直線で外に持ち出し、そこから一気に持ち前の長い脚を繰り出します。
 直線半ばで先頭に立つと、後ろから追い込んできたダンツフレームを今度は楽に凌ぎ切り、堂々たる競馬でダービー馬の称号を手にする事となったのです。

 このレースに関しては、とかくタキオンがいれば、というifが付き纏いますが、少なくとも府中の2400mで重馬場なら、遜色のない競馬にはなっていたと思います。
 後で触れますが、やはりジャングルポケットは左回りでのパフォーマンスが図抜けていましたし、良馬場で仕掛けが遅い展開ですとタキオンの切れ味に屈した可能性はありますが、持続力が問われるなら最後はこちらに分があると思いたいですね。
 ともかく、おそらくは札幌3歳Sを勝った時点から思い描かれていた理想的なローテーションを全うし、幾度となくライバルの後塵を拝しつつも屈せず、最高の舞台で最高のパフォーマンスを見せたという意味で、悲願成就、という言葉を重ねるに相応しいクラシックロードだったと思います。

**★札幌記念~ジャパンカップ <覇王への引導>**

 栄えあるダービー馬となったジャングルポケットですが、そこまでゆったりしたローテーションで結果を出していたこともあったか、始動戦は秋のトライアルではなく、夏のGⅡ、札幌記念が選ばれます。
 これは当然、3歳時に連勝を決めた舞台という適性も含めての選択だったでしょうが、しかしレースではスローの流れの中で、同期の遅れてきた大物の1頭であるエアエミネムに前々からの押し切りを許し、伏兵ファイトコマンダーにも後塵を拝しての3着と、やや不甲斐無い結果に終わってしまいます。

 それでもしっかり目標通りに菊花賞に参戦し、ここでも当然1番人気に支持されますが、ここでもかなりのスローペースで動き出しが遅れ、コーナーでももたつき、遅れてきた大物その2と言えるマンハッタンカフェが内々を回って豪快に差し切る中で、最後ようやく差し込んでくるも4着と、どうしても右回りでは思うような結果が残せません。

 こんなはずではない――――陣営の想いはここで、2つの大きな決断に繋がります。
 ひとつは、今までのゆとりのあるローテーションから、やや間隔が詰まるものの、得意舞台の府中2400m戦・[ジャパンカップ](https://www.youtube.com/watch?v=9i_611LeOj4)への参戦を決めた事。
 そしてもうひとつは、クラシックロードでずっと手綱を握ってきた角田Jから、世界の名手ペリエJにスイッチを決めた事です。

 このレースには、同世代のライバルとはまた一味違う、百戦錬磨の世紀末覇王・テイエムオペラオーが磐石の構えで控えていました。
 年間グランドスラムを達成した前年に比べればその勢威はやや衰えていたものの、それでも現役屈指の底力と安定感を誇る同馬は高い壁として聳えており、舞台適性や鞍上強化などを踏まえても、人気では当然のように譲る形になっての一戦、これが文字通り手に汗握る死闘となります。

 序盤はゆったりしたペースで流れるものの、向こう正面でトゥザヴィクトリーが盛大に引っ掛かって先頭列まで押し上げていったことで一気にペースが上がり、超ロンスパの底力勝負になったのです。
 当然のように先行勢が早めに潰れる中、オペラオーは豪快に外を捲り気味に進出し、残り400mで早くも先頭に立ちます。
 やや出遅れ後方から、それをマークする位置にいたジャングルポケットも、外に持ち出して追撃態勢に入りますがその差は中々縮まりません。
 
 しかし、残り100mでも2馬身近い差があり、これは万事休すか、と思われたところからが、府中の鬼・ジャングルポケットの真骨頂でした。
 流石の早仕掛けでやや脚色の衰えたテイエムオペラオーに一完歩ずつ詰め寄り、正に最後の最後で際どく交わし去って、史上唯一無二である同一年度ダービー&JC制覇の偉業を達成したのです。

 このレースはラスト2Fが11,2-12,0で、あれだけ早めに仕掛けていきつつ坂地点で加速する余力があったオペラオーの底力は素晴らしいものがあり、あくまで個人的な評価ですが、オペラオーが一番強い競馬をしたのはこのJCだと思っています。
 しかしこのペース、全体時計と後半ラップで、最速地点では詰めきれなかったものの、ラストまで11秒台半ばの脚を持続させ差し切る芸当もまた凄まじく、このレースを見ていればこそ、良馬場でタキオンがいてもダービーは勝てた、と思えるところはありますね。

 結果的にこの世代は、JCをジャンポケ、JCダートをクロフネ、有馬をマンカフェが制したわけで、決して相手関係も弱くない中でこれだけ活躍する3歳世代というのは、その後ではジェンティル・ゴルシ世代くらいしかいなかったわけですし、総合的に見ても最強世代の一角を占めるのは間違いないでしょう。
 その中で一際に光彩を放ったのが、このジャングルポケットのJC勝利ではなかったかと私は思っています。

**★阪神大賞典~有馬記念 <運命の綾は残酷に>**

 古馬となったジャングルポケットは、まず王道である天皇賞春を目指して阪神大賞典に出走します。
 しかし、鞍上にスポットの小牧Jを迎えたここでは、阪神3000mの鬼であるナリタトップロードに楽々抜け出され、外々を回した分最後も甘くなってギリギリ2着を死守と、やはり右回りではどうにもイマイチ感がぬぐえないのは相変わらずでした。

 続く春の天皇賞では当代きっての名手・武Jにスイッチして臨むものの、スローペースからやや立ち回りで後手を踏み、菊花賞同様にインから鋭く抜け出したマンハッタンカフェを捉え切れず2着と、実力の片鱗は見せるものの結果がついてきません。
 まぁこのレースに関しては本当にこの馬の弱点を踏まえて上手く乗られている方ではありますが、それでも結局コーナーワークの下手さと、そこで加速すると終わってしまう、という難儀な特性は最後まで克服することが出来なかったと言えそうですね。
 そのあたり、抜群の器用さや切れ味が武器だったサンデーの仔、タキオンやマンカフェと相性が悪く、一本調子のクロフネには相性が良かったとも言えます。

 その後怪我が判明し休養に入ったジャングルポケットは、秋シーズンの初戦に去年制したジャパンカップを選択します。
 しかしながら、歴史を差配する神は、ジャングルポケットを再び最高の舞台である府中2400mに立たせることは許してくれませんでした。
 この年は府中の改装が重なり、秋の天皇賞・JCも中山開催となっていたのです。

 不得手の小回り、右回りのJCでは、思い切った最後方待機策から馬群を割って伸びてくるものの、前の争いにはとても加われずの5着となり、そして続く有馬記念では、逃げるタップダンスシチーを外目から早めに追撃するも、直線で相当に失速して7着と、本来の底力を全く見せることが出来ない結果に終わってしまったのです。
 結局その有馬を最後に引退する事になり、古馬になってからは1度も勝利の美酒を味わう事はありませんでした。

 とはいえ、仮に現役生活を伸ばしていたとしてどうだったか、はなんともいえません。
 改装前の府中と改装後の府中は地味にターフの質が別物になっていますし、展開的にも底力勝負になりにくくなっていて、その点ではあまりジャングルポケットタイプの馬には歓迎されないロケーションとも言えます。
 裏を返せば、あと1年生まれるのが遅かったら、史上唯一の偉業すら達成出来ていなかった公算が高いわけで、色々な意味で古武士の趣きを感じさせる、不器用な名馬だったと思います。

**★能力分析**

 結果的に府中で3戦3勝、右回りでは3歳時以降ひとつも勝てなかったわけで、単純に左回りの方がパフォーマンスが高かったのは明らかだと思います。
 ただもうひとつ言えるのは、4歳以降の右回りのレースは、この馬にとってベストのスタミナ持久力戦になったことは一度もなく、苦手な瞬発力勝負で、殊更に苦手なコーナー加速を問われて持ち味を引き出せなかった、という見方も出来る、という所です。

 一連の右回りのレースぶりを見ている限り、コーナーで外から早めに動いていった時は失速が早く、けどコーナーで動かないとポジションを下げてしまうという乗り難しさがあったろうと感じます。
 多分とにかくコーナーでの加速が苦手で、無理にギアを上げていくとそこで脚を使い切ってしまうのが、皐月賞や札幌記念などでは顕著です。
 逆にコーナーを我慢させて好走したのが春天と思いますが、あれも我慢した分のポジション差で届きませんでしたし、右回りで噛み合うコースはほとんどなかったと言えるでしょう。今なら阪神外回りならなんとか、という気はしますけどね。

 左回りでも、或いはコーナーから顕著に動いていたら甘くなったのかもしれませんが、基本的にどのレースも直線からのヨーイドンか、平均で流れて極端にコーナー加速を問われない展開だったのもあります。
 仕掛けを直線まで我慢できた時に限っては、非常に高い持続力を発揮出来たというイメージで、切れ味の質の足りなさをそこで補えたという意味でも、典型的なトニービン産駒でしたね。

 スタミナ適正はかなり高かったはずなので、菊や春天はもっと流れていれば面白かったと思うのですが、どうあれサンデー全盛・瞬発力至上の時代に生まれてしまった分、レース毎の当たり外れが大きかったのはあるのかなぁと。
 それでも現役最後の一戦以外大きく崩れなかったのは傑出した能力の賜物と言えますし、ひとつの時代を彩った印象深い名馬だと思います。

**★終わりに**

 この馬の現役時代から20年近くが経過して、ますます競馬シーンのスピード色は強くなっていると言えます。
 その意味ではこの血統が徐々に廃れていくのも時代の趨勢、とは言えますが、一方で母方の血脈に入って、しっかりとスタミナの下支えになることで良さを発揮していいるところもあります。
 トニービンの直系はサイアーラインが繋がるかどうか微妙な岐路にある、と言えますが、こういう底力に長けた血脈こそ、今後の日本競馬の発展には大切な要素とも思いますし、ジャングルポケット自体ももう一花、その直仔のオウケンブルースリやトーセンジョーダンあたりから、モーリス的な隔世遺伝での名馬が出てこないか、やはり期待したくなるところです。
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2017 8月第4週新馬戦 レース回顧(日曜編)

**★8/27(日) 新潟5R 芝1200m戦**

 日曜日の新潟芝は、ほぼ高速状態には戻っていたでしょう。
 その中での新潟では珍しいスプリントの新馬戦は、ニシノコデマリが減量の利も生かして前々から鋭く抜け出しての勝利を収めました。

 新馬っぽくばらついたスタートで、ダッシュが良かったのは外のニシノコデマリでしたが、そのすぐ内にいた2着馬のタガノヒバナの二の足が速く、こちらがハナを取り切ってニシノが番手、という形になります。
 1番人気で3着のヴェルスパーは、スタートも煽り気味で二の足もつかずにズルズルと一度後方に下がってしまい、そこから馬群の外に持ち出してじわっと進出する形でレースを進めていました。

 ラップは35,2(11,73)-35,1(11,7)=1,10,3(11,71)という推移でした。
 綺麗な平均ペースですが中盤2Fが11,7-12,0とかなり緩んでいて、そこから再加速して11,5-11,5とラストまで落としておらず、コーナーで押し上げたとしても前を捕まえるのは難しい推移だったのは確かだと思います。

 勝ったニシノコデマリは、斤量面での優位もあったでしょうが中々味のある競馬でしたね。
 スタートを決めてスッと番手で折り合い、緩みに合わせながらのレースでも直線の出し抜きにはしっかり反応し、かつこの馬自身はラスト1Fがほぼ最速になるラップでフィニッシュしていて、まだ余裕のある勝ち方だったと思います。
 距離はもうちょっとあっても、と思いますし、レースセンスの良さを生かせれば、中山など立ち回りが問われやすいところでは面白さが出てきそうなタイプですね。

 2着のタガノヒバナもそれなりの競馬ですが、この馬はラストは明確に落としているのでその点でややマイナスですし、全体時計やラップそのものに凄みはないので、こちらもポジショニングの良さを生かして今後どこまで、という感じでしょうか。

 伸びしろがありそうなのは3着のヴェルスパーで、内枠が祟った部分もあるのか本当に出足が悪く、けれど400m過ぎから馬群の外に持ち出すとしっかり加速出来ていたので、外に馬がいると怯むタイプなのかもしれません。
 コーナー地点は全体的に緩かったとはいえ、上の画像ではっきりわかるくらい外々を通してしっかり押し上げており、それでいてラストも極端には甘くなっていないので、まともならこの馬が、というのはあったと思います。距離延長と外枠で噛み合ってくれば、未勝利レベルならチャンスは理想ですね。

**★8/27(日) 小倉5R 芝2000m戦**

 小倉も日曜は回復傾向で、9Rの500万下がスローロンスパの形で2,00,1、メインも1,46,1とそこそこの時計が出ていたので、このレースの全体時計そのものはそこまでレベルが高いとは言えないでしょうか。
 
 展開は全体的にフラフラしたスタートから、最内のゼットアレースが逃げて2着のナリタブルーが番手外、3着のクリノダイヤモンドが先団の外目につけていきます。
 圧倒的な人気だったバブリーバローズは綺麗なスタートから真っ直ぐ走りつつ、序盤はゆったり中団やや後ろに構えて、前のペースが緩むところでじわりじわりとポジションを上げていく形になりました。

 ラップは36,9(12,3)-50,5(12,62)-36,2(12,07)=2,03,6(12,36)という推移でした。
 全体的には中盤が緩んでいる推移ですが、特に中盤の前半が13,2-12,8と遅く、そこからは12秒前半に入っているので、スローからノ5Fロンスパ戦、というイメージで、後半の持久力面を高く問われたレースになっているかなと思います。

 勝ったバブリーバローズは非常に落ち着いたレースぶりで、後半馬群が凝縮してじわじわと前との差を詰めつつ、勝負所でもう一段しっかり仮足を決めて一気にコーナーで先頭列、そのまま直線も楽な手応えで、軽く促す程度で押しきる完勝でした。
 この馬としては600-400m地点辺りで一気に上がっているので、ここらで11,5くらいの切れ味を引きだしていて、そこからじわっと減速気味ではありつつしっかり粘り込んだ感じでしょうか。
 あの反応の良さはクロフネの血かな、と思わせますし、そこからのしぶとさはステイらしく、そこそこ面白い勝ち方だったと感じます。

 この立ち回りですと、距離短縮でどうか、という感じはありますし、2歳戦の内は使いどころが難しそうですが、じっくり育てていけば後々2400m路線で楽しみがありそうな馬だなぁと感じましたね。

**★8/27(日) 札幌5R 芝1200m戦**

 キーンランドCでも1,09,0止まりと、相当に重い条件での1200m新馬戦は、人気のベルーガが楽に差し切りました。
 展開はトーセンスティールが逃げて、2~4着馬が2~4番手にいる形でしたが、ベルーガはモレイラJにしては珍しく明確に立ち遅れて、序盤から少しずつインからリカバーしつつ、最終的には先団の一番後ろくらいのポジションで進めていました。

 ラップは35,6(11,87)-36,0(12,0)=1,11,6(11,93)という推移でした。
 数字だけ見ると平凡に感じるかもですが、この日の札幌の馬場でならまず新馬としての水準には届いていると思いますし、勝ち馬は充分に上のクラスでもやれる素材を感じさせたと思います。
 レースの流れとしても、コーナーで一度澱んでから僅かに再加速、という形の中で、勝ち馬だけが明確にギアを上げる余力を残していた、という感じですね。

 勝ったベルーガは、かなり大きく出遅れたものの、早い地点でリカバーしており、その意味では数字以上に前半の追走力は問われたと思いますが、それでも後半の加速地点で段違いの性能を見せてきました。
 コーナー途中までインベタで、そこからノーブレーキでスムーズに外に持ち出すモレイラJらしい素晴らしい進路取りのアシストも大きかったとは思いますが、400-200m地点でおそらく11,5くらいの脚は使っていて、ラストは多少落としている計算にはなりますが、それでも小気味よいピッチ走法が最後まで崩れませんでした。

 キンシャサの仔ですので、時計勝負でない中での総合力を問われる展開は噛み合ったと思いますし、ラストの反応の良さや持続面を見ると、1400mまでは問題なく戦えるように思えます。
 軽い馬場でどこまで切れ味と持続力を高めてこられるかは未知数ですが、中々短距離路線で後傾型の面白い1頭になるかな、と思わせる走りっぷりでした。

 
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2017 8月第4週新馬戦 レース回顧(土曜編)

 今日はまたちょっと発熱してしまって辛めなので、いつも一緒にサクサクと進めさせていただきますね。
 まぁ夏競馬も終わりに近くなって、新馬戦自体も能力のある馬は秋の中央場所に備えて、って感じであまり凄みのあるレースもないので、丁度いい言えば丁度いいのです。

**★8/26(土) 新潟5R 芝1600m戦**

 土曜日の新潟は雨の影響でほぼ終日稍重馬場であり、極端に時計がかかってはいませんでしたが、それでも0,5~1秒くらいは重たくなって、特にラスト1Fで落ち込む展開は目立っていました。
 
 非常にバラバラっとしたスタートになった中で、人気の3着馬・フランケル産駒のシグナライズが外から先行、2着に来たオークス馬・シルクプリマドンナの娘であるラストプリマドンナは、やや立ち遅れたか?くらいのところから内目を縫って中団くらい、勝ったブランボヌールの全弟・エントシャイデンは明確に立ち遅れて後方外から、道中緩い地点で少しずつ押し上げて中団やや後ろ、というポジションでした。

 ラップは36,7(12,23)-24,9(12,45)-34,5(11,50)=1,36,1(12,02)という推移でした。
 新馬らしくスローではありますが、一番遅い地点でも12,5と、馬場を考えれば極端に緩んだところはなく、比較的レース全体での総合力は問われているかなぁと感じます。
 後半が12,4-11,8-10,7-12,0ですので、実質的には3F勝負で前を向いて速めにエンジンを掛けられた方が楽な形で、上位3頭はそれぞれにちゃんとスペースを作りつつのレースの中で、後半要素でもそこそこ高いものを見せてきたと言えそうです。

 勝ったエントシャイデンは大きく出遅れましたが、遅い地点でじわじわリカバーしてくる鞍上の意識もあり、しっかりコーナーから直線入り口までエンジンをふかして入ってこられ、それが600-400m地点で一際早く鋭く伸びることが出来た要因になるでしょう。
 この馬の上がりは33,6で、残り400m地点では前と1馬身もなかったので、おそらく11,1-10,5-12,0くらいでしょうか。鞍上の好プレーもあり際立った加速力を引きだせましたし、その上で切れ味の質・持続力もそこそこに高かった、と見ていいでしょう。スローとはいえこの日の馬場でラストを12,0はまずまずと思います。

 血統的にブランボヌールの下なので(折りしも今日、繁殖入りのニュースが流れてましたね)、いずれ距離的に限界は出てきそうなイメージもありますが、この日も長くいい脚は使えていましたし、世代限定の内ならマイル路線は守備範囲になってくるでしょう。
 追い出してからフラフラしていたりと、まだまだ若さは残りますが、その分奥行きも存分に残ってそうなイメージで、中々に楽しめそうな1頭だと思います。

 2着のラストプリマドンナもいい競馬でしたね。
 上位三頭の中では内枠だったのもあり、立ち回りで器用さを見せつつ、完全に前を向くのは一番遅くはなっていて、その分先にエントシャイデンに出し抜きを食らった、というイメージです。
 一度交わされてからはしぶとく粘っていて、この馬も持続面の良さはそれなりに見せてきましたし、血統的にもマイルはピッタリかな、というところで、シルクプリマドンナの最後の仔でもありますし、牝馬クラシック路線で頑張って欲しいですね。

 3着シグナライズは、追い出されてやや反応が鈍く、かつフラフラとするところもあって、まだ馬が非力で若いな、という感じでした。
 フランケルの仔ですから、こういう馬場がイマイチフィットしなかった可能性もありますし、でもこの流れで後半要素、特に加速面では殆ど良さが出なかったのは微妙で、このレースに限って言えば着差以上に上位2頭とは差があると感じます。
 まぁ藤原厩舎の馬ですから叩いて変ってくるかな、とは思いますし、前半のポジショニングの良さなどはセンスを感じさせましたので、そのあたりに期待ですかね。

**★8/26(土) 小倉5R 芝1200m戦**

 小倉も金曜の雨で芝は稍重スタート、とはいえこちらも大した影響はなく、せいぜい0,5秒くらい見ておけば充分、というところでしょうか。
 1Rの未勝利で1,08,7が出ていますし、その意味でこのレースの1,09,7はまず新馬としては可もなく不可もなく、という所だと思います。

 ラクシュミーが逃げて3着のメイショウトラマツが番手、勝ったブラウハーツは一番良いスタートから三番手の外とベストポジションを確保します。
 2着に差し込んできたラペールノアールは、スタートは悪くなかったですが二の足でやや後手を踏む感じで、道中もややおっつけながらの追走となっていました。

 ラップは34,4(11,47)-35,3(11,77)=1,09,7(11,62)という推移でした。
 一応一貫消耗戦で、新馬らしくなく緩みがない中で、一定の追走力と要所の反応は問われているかな、と思いますが、レベル的にはそこまで高い一戦ではなかったですかね。

 勝ったブラウハーツはスタートが完璧でしたし、そこからもしっかり折り合って、勝負所からもスーッと進出出来ており、非常に優等生的な競馬だったと思います。
 父エイシンアポロン、というのも渋いですが、あの馬も器用で先行力がありましたし、そういう部分で良さを受け継いでいるのかなと。
 ただ絶対的な能力的には、ラストも結構落としていますしちょっと1200m路線では、という感じですかね。もう少し距離があっても上手く競馬出来そうですし、後半勝負で良さが出てくれば面白いのですが。

 2着のラペールノアールは、ティルナノーグの全妹ということで、本質的にはもうちょい距離が欲しい、という競馬でしたね。むしろこういうタイプが阪神まで待たなかったのは不思議ではあります。
 レースでもややスピード負けする形で、コーナーも外々ロスが大きいながら、ラスト1Fだけで3馬身差を軽く詰めて、自身はほぼラップを落とさない形で走破していると思います。
 まず脚を余しているとは思うので、やはり1600mくらいで見てみたい1頭ですね。

**★8/26(土) 札幌5R ダート1700m戦**

 札幌も雨の影響があり、ダートも稍重での開催でした。
 その割に極端に時計が速い、ということはなかったのですが、未勝利で1,46,4、最終500万下で1,44,9ですので、水準よりはちょい軽いかな、くらいですね。その意味ではこのレースの1,49,7は新馬としてもやや平凡かな、とは思います。

 展開は2着に粘り込んだアビームが逃げ、勝ったコンダクトレスは2列目のイン、3着イザベルローズはその一列後ろのイン、という隊列になります。
 コーナーから外目の馬が脱落していく中で、内を上手く立ち回った3頭がラスト熾烈な叩き合いになりました。

 ラップ的には30,8(12,32)-39,1(13,03)-39,8(13,27)=1,49,7(12,89)という推移でした。
 最序盤はそこそこ速く、そこからはほぼ一貫しての減速消耗戦の様相が強いですね。後半5Fは全て13秒台のラップになっており、その点でもレベルとしては疑問符がつけられるでしょうか。
 レースとしては一定の追走力と、後半の持久力に特化した内容だと思います。

 その中でコンダクトレスは内々を器用に立ち回って、最後逃げるアビームをしっかり捕まえたレースセンスは評価出来ると思いますが、能力的にはまだ足りないですので今後の成長に期待ですね。
 2着馬も完璧なバランスでの逃げで粘り切れませんでしたし、むしろ3着イザベルローズの方がラストでかなりしっかり詰めていて、足を余した印象はあるので変ってくる余地は大きいかもしれません。
 が、流石にこのメンバーから一気にダート路線で飛躍、というイメージは持ち辛いかなと思いますね。
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2017 8月第4週海外GⅠ レース回顧part2

 今週末の海外競馬シーンは、ソングバードとレディオーレリアという名牝2頭が破れる波乱もあり、個人的にちょっとガッカリしたなぁ、というところです。
 いつものように気になったレースを拾ってみていきましょう。

**★ナンソープS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=MEyA8nABjV0)**

 というわけで、まずはヨーク開催最終日の、伝統の1000mスプリントGⅠ、やっぱり個人的な印象としてはマーシャが勝った、というより、レディオーレリアが負けた、と形容したくなるレースですね。

 開催を通じて少しずつ馬場は回復し、この日は良馬場開催だったようですが、それでも例年に比べると少し時計は掛かるコンディションだったように思えます。
 またレース映像が途中からなんですが、それだけ見てもはっきりわかるように、スタートから一気に飛び出したレディオーレリアが軽快に飛ばし、逃げ込みを図るところで、馬群の中から最後一気に群を抜く末脚で伸びてきたマーシャが襲い掛かり、最後の最後で鼻差交わした、というレース内容です。
 レディオーレリアのデットーリJは勝ったと思ってガッツポーズなんてしちゃってますが、実は差されていました、という意味でも、話題性のあるレースになってしまっています。。。

 このレースに限って言えば、後続は3馬身以上離されているので、レディオーレリアが止まったというよりは、マーシャが予想以上に強い競馬をした、と考えるべきでしょうか。
 この馬はキングズスタンドSでは3着完敗でしたが、去年のアベイユドロンシャン賞を制していたり、相対的に重い斤量のレースの方が強さを発揮するタイプになってくるのかもしれません。
 キングズスタンドSからはレディオーレリアとの斤量差も4ポンド小さくなっていましたし、それらが噛み合っての強敵撃破、というイメージですね。

 レディオーレリアも持ち前のスピード能力はしっかり見せてくれたと思いますが、この馬にとってはより軽いスピードの乗り易い馬場の方がベストだった、というのはあるかもしれません。
 負けて強し、とは思いますが、それでも負けて欲しくなかったのは本音で、次がどこになるかはわかりませんがしっかり巻き返して欲しいですね。

**★トラヴァーズS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=sWIMkpYrsr4)**

 一昨年はまさかのアメリカンファラオの敗戦があり、去年は巨星アロゲートの出現で沸いた真夏のダービー・トラヴァーズS。
 今年はクラシック戦線の力関係が猫の目のようにコロコロと変わる中で、それだけ上位に与する有力馬が多いという事でもあり、そのほとんどの馬がここに出てきて、字面だけは非常に豪華な一戦になりました。
 しかし結果として、三冠レースの勝ち馬は全て見所もなく敗れ去り、勝ち切ったのは前走で重賞初制覇を遂げたばかりの上がり馬、ウェストコーストで、改めてこの路線の象徴の激しさを思い知らされることとなっています。

 レースではそのウェストコーストが逃げてオールウェイズドリーミングが番手、そのすぐ後ろにイラップとクラウドコンピューティング、タップリットが続く展開で進み、ガンネヴェラは中団、グッドサマリタンは前走同様に序盤はついていけずに後ろからになっています。
 ラップが23,82-24,30-24,11-24,59-24,37=2,01,19という推移で、やや前傾、くらいの平均ペースであり、逃げたウェストコーストは最後まで極端にラップを落とさずかなり強い競馬を見せているといえますね。

 昨年はアロゲートが1,59,36というお化けのような時計を出しましたがあれは例外的ですし、近年で2分1秒台に入ってきたのは、一昨年アメリカンファラオをキーンアイスが差し切ったレースくらいのもので、平均ペースのパーソナルエンスンSが1,49,16だったことを踏まえても、時計面でもその内容の濃さは見せられていると言えます。
 勿論馬個々の調子などもあるでしょうが、あまり傑出した馬がいなかったクラシック路線よりも、遅れて台頭してきたこの馬の方が素材的にも能力的にも上だった、と見做すことはできるでしょう。
 無論楽に逃げられてはいたので、よりマークがきつくなる展開でどうか、少なくとも去年のアロゲートのように、間違いなく最上位と断言できるだけのものではないかもしれませんが。

 ただ鞍上スミスJにバファート調教師はアロゲートと同じ組み合わせですし、しっかり新世代のエースが台頭してきたな、というイメージは持ちやすいところで、ここまで低レベルだった3歳世代の代表格に育っていって欲しいですね。
 にしても本当に、オールウェイズドリーミングはあのフロリダダービー~ケンタッキーダービーまでの強さはどこに消えてしまったんでしょうね?ここまでズルズルと見せ場なく負けるのは本当に切ないばかりです。

**★パーソナルエンスンS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=OamMoEgoNAc)**

 レース直前に回避もあり、僅か4頭立てと寂しいメンバーになった当レースでは、逃げて粘り込みを図るソングバードを、フォーエヴァーアンブライドルドがゴール寸前で差し切り、ソングバードに生涯二つ目の黒星をつけました。
 まあ勿論この馬も、去年のBCディスタフでも1馬身ちょっとの差で3着、ステラウインドには先着した実力の馬ですので、一叩きしてのここでしっかり結果を残してきたのは驚く事ではないのですが、やはりソングバードが負けてしまったのはショックですねぇ。

 レースラップ的にも24,14-23,77-24,32-24,67-12,20=1,49,16という平均ペースで、ラスト1Fでむしろ加速しているくらいですので決して無理はしていないのですが、この馬のファンとしてはなんとももどかしい結果です。
 まあ単純に去年とは相手関係が違う、と言えばそれまででもありますし、この上がりを後ろから捲って差し切ったフォーエヴァーアンブライドルドを誉めるべきところでもありますが、どうにも古馬になっての成長を感じられないのはありますね。少なくとも牡馬と張り合ってどうこう、というレベルの馬ではなかったという事でしょう。

 とはいえそれでも牝馬戦線の最上位の一頭なのは間違いないですし、多頭数になった時にはこの馬の先行力は当然強い武器になりますので、今後も応援していきたいところですね。
 牝馬路線もこの2頭にステラ、3歳勢も去年よりレベルは高そうで、BCディスタフに全ての有力馬が駒を進めてくれれば嬉しい限りです。

**★フォアゴーS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=eoPvy-HWvEk)**

 去年のBCスプリントを勝った快速馬ドレフォングが、文字通り影も踏ませぬ逃亡劇で圧勝しました。
 今年の復帰戦のビングクロスビーSでは、スタート直後に横に飛び跳ねて騎手を振り落とし、そのままカラ馬でゴールするお茶目を発揮していましたが、このレースでは完璧にスタートダッシュを決めて悠々と一人旅、文字通りスピードの違いを見せつけた格好になります。

 ラップは22,89-22,67-23,34-12,20=1,21,12という推移で、前傾ラップではありますがアメリカのスプリント戦としては極端ではなく、BCスプリントで21,49-22,54なんて狂気的なラップで逃げた経験もあるこの馬にとっては楽走に近いものでしたでしょう。
 去年もこのサラトガの1400m戦、3歳限定のキングズビショップSを同じようなラップ推移で圧勝しており、まともに走れば現状スプリント路線ではこの馬のスピードは1枚上、というイメージですね。

 今年のキングズビショップS(なんかレース名は変わってしまったみたいですがとりあえず便宜上)は、三冠路線から路線をシフトしてきたプラクティカルジョークが惜敗続きに終止符を打つ完勝を収めましたが、こちらがよりハイペースながらも1,21,96止まりでしたし、そのあたりの比較からでも、ドレフォングのラストは抑えたままでのこの時計は圧巻だったと言えるでしょう。
 こちらもスミスJにバファート調教師の百戦錬磨コンビで、BCスプリント連覇に向けて一点の曇りもなく視界良し、という印象を与える素晴らしい逃げ切りでした。
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2017 キーンランドC・新潟2歳S レース回顧 とWASJの話もちょっと

**★キーンランドC**

 実力伯仲で大混戦模様のキーンランドCは、古豪エポワスが最後方から馬群をスルスルと縫うように上がってきて、前から粘り込みを図るソルヴェイグとナックビーナスを差し切り、悲願の重賞初制覇となりました。
 しかし夏競馬の重賞では、人気を背負っては圏外続きだったルメールJが、ここでこの人気薄で持ってくるのかぁ…………と唸るしかないですね。レースを振り返っていきましょう。

 まず馬場ですが、前日から目立った回復もなく、かなり重いコンディションだったと思います。
 今日は1200m戦が新馬しかないので、あまり明確に比較はしにくいですが、9Rの1500m戦も超ハイペースながら1,29,0まで、他のどのレースでも速いラップをまず踏めない、相当にタフな状態だったと考えていいでしょう。

 展開は、真ん中からこうスタートを決めたナックビーナスと、そとからいつものように鋭いダッシュを見せたソルヴェイグが牽制し合いながら先行争いとなり、結局枠の並びのままナックが逃げてソルヴェイグが番手外につけます。
 シュウジも好スタートでしたが、ある程度控える競馬を模索する中でじわっと下げて2列目のインを確保、その後ろにライトフェアリーとネロがいて、3歳勢のモンドキャンノ・メイソンジュニアは丁度中団くらいでレースを進めます。
 フミノムーン、ブランボヌール、ノボバカラあたりは後方で追走に苦労している感じで、エポワスもスタートは先ず先ずでしたが、自分のリズムを重視した結果道中はほぼ最後方、残り600mからじわじわとエンジンを掛けて進出していきました。

 レースラップは33,5(11,17)-35,5(11,83)=1,09,0(11,50)という推移でした。
 やはりソルヴェイグが外目からしっかりプレッシャーをかけていったのもあり、前半のペースはかなり上がって、ラップ推移も綺麗な消耗戦になっています。
 ただ結果的に前傾2秒と相当に流れても1,09,0止まりだったことを鑑みると、馬場予想自体はより重い方向に見誤っていたかな、というのはありますね。
 どうあれレース全体としては相当に高い追走力が求められていると言えますし、結果的に1、2番手と最後方にいた馬で決まった、というところからも、かなり特化的な一戦にはなっていると考えていいかなと思っています。

 しかし勝ったエポワスは、本当にここで来るか、って感じですね。ルメールJが人気薄に乗ること自体がレアケースながら、しっかり噛み合う所なら持ってくるのが名手たる所以なのかと、ちょっと去年のエリ女を思いだしましたが時すでに遅し、というやつです。
 というかダービーの時に、今後はルメールJはどんな時でも基本拾っておくべき、とか書いたくせに、ちょっと調子を落とすとすぐ忘れる鳥頭が憎いですな。。。

 この馬自身元々洋芝巧者なのは確かで、ゴリゴリの時計勝負向きでもないのでこの馬場自体は悪くなかったでしょうが、好走スポットの幅自体はそんなに広くなくて、基本的には平均くらいの走破に持ち込んだ時に良さが出るタイプなんですよね。
 例年UHB賞で好走して、人気になってここで負けるのがお約束だったのも、馬場のいい時期のUHB賞がハイペースになりにくいから、っていうのが大きくて、今年はそちらでも崩れた上に今回はハイペース必至、と見ていたので正直いの一番に消したくらいでした…………。
 しかし今日は、スタートは完璧に決めつつひとつも馬のリズムを崩さず、そしてしっかり馬場状態を見極めてフラットなバランスで走破してきて、勿論一か八か、の騎乗ではあったと思いますが、基本ある程度先行する馬でこれですから文字通り脱帽ですね。

 この馬の走破バランスは34,6-34,4と綺麗な平均で、仕掛けどころも絶妙の上に、コーナーで外を回さずにタイトに回ってきたら、インがぽっかり空いたというのも完璧に噛み合っての差し込み、ラスト1F12,2のレースラップのところ、ナックビーナスと4馬身くらいあったのを差し込んできたので、この馬自身は後半11,5前後をずっと続けてきたイメージでしょう。
 全てが上手く嵌ったのは間違いないですし、人気薄ならではの博打でもありましたが、ある程度それが予想出来るメンバー構成でもありましたので、前の争いが激化するのを尻目に、クールに自分の走りに徹してきた、正に職人芸と言っていい素晴らしい騎乗だったと思います。

 2着のソルヴェイグは、まず自分の競馬は出来た、とは言えるでしょうが、立ち回りの中でああいう形で足を掬われたのは今後のローテーションを考えると痛いですねぇ。
 スタートからの二の足はいつも通りに快調で、重い馬場でも良馬場ならやはり行きっぷりは違う、というのをしっかり見せてきました。
 逃げてしまうと微妙なタイプかは、シルクロードの結果だけでは断定は出来ないですが、理想が番手外なのも間違いないですし、その上で馬場の綺麗な所を選びつつの進出もまずは王道、という所でしょう。

 おそらく4コーナーで外目外目に持っていったのは、その馬場意識と、あと内のシュウジの手応えが悪いのを見越して、敵は外から差してくる馬と見てコーナーでのロスを作らせよう、という魂胆もあったのかなと感じます。
 実際モンドやメイソンあたりの人気していた3歳勢はその罠にはまって直線伸びあぐねていましたが、逆にインに1頭分綺麗にスペースが出来てしまって、そこからエポワスが差し込んでくるのは想定外だったのかな、って思いますね。

 この馬自身は前傾2秒でも最後までしぶとく、追走力の高さと力の要る馬場への対応力を改めて証明はしたと思います。
 正直スプリンターズSですと基本7秒前半の時計勝負にはなってくるので、勝ち切るにはよほど条件が噛み合わないと、とは思うのですが、この先行力自体はやはり魅力的ですので、まだ期待は大きく掛けていきたいところです。

 3着ナックビーナスも、時計勝負向きではないスプリンターですので、こういう馬場でなら相対的にハイペースにも対応してきましたね。
 逃げる形までは想定していなかったですけど、そのあたりは横山Jらしい思い切りでしたし、逃げるなら半端にはしない、という意思を感じるラップを作ってくれたと思います。
 この馬も高速馬場で勝ち切る武器はあまり持っていないタイプではありますが、印象としては1200mより1400mの方が高速馬場なら噛み合うはずです。基本堅実さはありますし、好走できる条件なら相手関係次第で積極的に狙っていける馬だと思いますね。

 4着フミノムーンも、エポワスほど徹底的にではないけれど後方から後半勝負型で進めて、ただこの馬は一番外を通すことになりましたし、展開的には向いたけれど進路取りの面で少し噛み合わなかった、その分圏内まで差し込めなかった感じですね。
 こちらも力の要る馬場がかなり合っていたと思いますし、人気上位勢が予想以上に馬場適性やペース適正がなくてだらしなかった分も含めての好走、と見ていいと思います。

 5着ライトフェアリーも、外々を先行したこの馬が残る=人気勢の脆さを象徴しているとは思うんですよね。
 正直消耗戦の適正が高い馬とは思っていなかったですし、それでもポジション差だけで粘り込めてしまった、というのがこのレースの特殊性を示していて、健闘ですけどじゃあ次に自己条件で確勝か、となるとそうでもない、というタイプではあると感じますね。

 モンドキャンノやメイソンジュニアは、やっぱり本質的には前傾スプリント戦向きの馬ではないと思っていますし、その上で外を回されたのも響きました。
 どちらも1400m~1600mでややゆったり入るくらいがベストの適正に思うので、この結果は度外視して次に見直す手は充分に有ると思います。
 
 ネロは逆に、この流れでダメなのはまだ状態が良くないのか、って感じです。
 馬体重も-14kgと良くない感じでしたし、立て直しにはもう少し時間がかかりそうですね。
 
 シュウジもけっきょく半端な位置でハイペースに巻き込まれる、というところで、直線向く前にもうガス欠、やる気なしって感じになっちゃってましたね。
 ちょっとこれは気性的にかなり難しくなってくる負け方ですし、といって当然逃げれば甘くなるので、もうスプリントは見切りをつけて、1400m~1600mで平均的な逃げを打つスタイルに活路を見出すしかないのでは?と思ってしまいますね。

**★新潟2歳S**

 しっかりと時計の出る良馬場にまで回復した新潟2歳Sは、超スローの流れで番手から鋭く抜け出したフロンティアが、粘るコーディエライトを競り落として無敗での重賞初制覇となりました。レースを振り返りましょう。

 馬場は多少傷みも目立ってきてはいるものの、それでもまだインが伸びる馬場でしたし、6Rの500万下1800m戦で1,46,2が出ているように、流れれば普通に高速馬場だったと思います。
 でも9Rのマイル戦なども超スローからの4F戦で前残りですし、どうしてもジョッキーの質的に札幌に上位勢が集まっている中で、しっかりコンディションを読み切れず、昨日の渋りのイメージを残しての競馬が目立っていましたね。
 このレースが傾向とは裏腹に徹底的な前残り競馬になったのもそのあたりは影響していますし、基本的に前半のポジショニングが全て、に近いので、評価の難しい一戦ではあります。

 展開は、まずフロンティアが絶好のスタートを切り、左右を見ながら少し下げて、最終的に外からハナをじんわりと奪っていったコーディエライトの番手外という絶好位を確保します。
 マイネルサイルーンも早めの競馬で2列目ポケット、その後ろにテンクウがつけ、キボウノダイチ、シンデレラメイク、ダンツセイケイなどの外枠勢が好位に取りついていきます。

 内のプレトリアとムスコローソもそこまで悪いスタートではなかったと思いますが、中団くらいで前を壁にして我慢している内に外から前に入られて、結果的にやや後方寄りにポジションを押し下げられる形になってしまいました。
 エングローサーはやや出負けして後方外目からじわっとリカバーを仕掛け、オーデットエールは新馬同様にダッシュが悪く後方からの競馬になります。

 レースラップは36,6(12,2)-25,0(12,5)-33,0(11,0)=1,34,6(11,77)という推移でした。
 前半が予想通りかなりゆったり目の流れになって馬群が凝縮していて、ただラップの底が4F目の12,7で、そこからじわっと加速しつつ後半に入っていく流れなので、最低限のイメージでの4F戦、と言えるかもしれません。
 ハーフで見ると49,3-45,3と4秒後傾の超スローバランスですし、かつ残り1000mからが12,7-12,3-11,4-10,4-11,2と、常識の範疇での段階的な加速を前が踏み切っています。
 その上でラスト1Fまで全く落とさない推移ですので、それは当然後ろからでは太刀打ちできませんし、といって中盤で捲っていく戦略は、キャリアの浅い2歳馬では取りにくいですからね。今日は前の支配のバランスがスローなりに、という意味でうわてだった、と見るべきでしょう。

 ともあれ追走面はほぼ問われず、後半で極端ではないほどの加速力と瞬発力の質、そしてラストまで落とさない持続力をバランスよく問われていて、前目につけられた上に素材でも上位だった3頭がそのまま結果に繋げた、と考えていいと思いますね。

 勝ったフロンティアは、レースセンスの良さと後半要素の確かさを改めてしっかり見せてきたと思います。
 新馬に比べれば流れたとはいえ、それでも1000m通過61,6はかなり遅いですし、その点であの位置で楽に入れたのは当然アドバンテージでした。
 かつそこから、新馬でも見せていた加速の良さと切れ味はしっかり発揮し、ラストの持続力もコーディエライト比較で正直どのくらいのレベルか、と言うとそこまで高くはない気もするんですが、それでもこのメンバーでは最上位、というのを見せてきたと言えますね。

 血統的にダイワメジャーの仔ですので、もう少し前半のスピードが問われても戦える素地はあると思います。おそらく後半要素だけでは、今後より素質馬が揃ってくる中では少し足りなくなってくると思いますので、次は平均くらいでは流れる中で、ポジショニングの良さをしっかり生かしてこられるかが見たいですし、それが可能ならばクラシック戦線でもワンチャンスは出てくる素材かな、と感じます。
 ただ2戦目で馬体がかなり減っていたのはあまりいい印象ではなかったので、あまり無理使いせずじっくりと、秋の府中の1800m戦あたりを視野に入れて欲しいかなと思います。

 2着のコーディエライトに関しては、うーん最低限かなぁ、というイメージですかね。
 一応前目にいつつ、コーナー途中からじわっと引き上げて加速補助の意識は持てているのですが、この馬の持ち味を考えるともう少しそこで一気に引き離す競馬に持ち込んでいたらどうだったかな?とは考えてしまいます。前半は折り合わせつつゆったりハナ、というのは理想的だったと思いますし、もう少し明確に4F勝負で、ラップを分散させてくれれば面白かったとは思うんですよね。

 このレースの敗因としても、やっぱり最速地点でフロンティアやテンクウには切れ負けしていた、というのがあると感じていて、ラストの粘り腰は中々見事だったのですけれど、早い地点でフロンティアには前に出られてしまって、それを挽回することが出来ませんでしたからね。
 でもこういう競馬でも強さを引きだせたのは当然収穫ですし、距離も1600mは何ら問題ない、むしろこちらの方が絶対に良いと思いますね。逆に1200m戦で下ろしたのが勿体無かったくらいです。
 
 現状最大の武器は後半要素よりは全体のスピードの持続性にあると思いますので、順調に成長すれば牝馬クラシック戦線でも楽しみはあると思います。
 ただ性能や血統的には、桜花賞よりはNHKマイル向きかもしれませんね。その辺はいかにもダイワメジャーの仔、という感じで、ここ数年はダイワメジャーはコンスタントにいい牝馬を輩出していますし、メジャエン・レーヌの流れに続く1頭になって欲しいですね。

 3着テンクウに関しては、結果的にマイネルサイルーンに前に入られて3列目になってしまったのが致命傷、というところでしょうか。
 コーナーからじわっと前が引き上げてくれたので、加速のスペース自体はあり、最速地点では一番目立つ脚色で詰めてきたのですが、上位2頭に比べるとその分逆に持続力では少し足りなかった格好ですね。
 奇しくも兄イブキと同じ3着止まりでしたが、この流れからでも鋭く動けるセンスは面白いですし、マイル路線でいいところまでいける可能性はある1頭だと感じます。

 4着エンクローザーは、これまでのキャリアが生きた部分もあるというか、コーナーで外から吹かしていった分加速の流れにも対応できたと見るべきか、ともあれ後方から外を回して差し込んできたのはそれなりに評価できるところでしょう。
 血統的にも走りも地味ですけど堅実さはありますし、おそらく持続戦ならもっと明確にラストが落ちるパターンでこそ良さが出ると思うので、阪神1800mとかで見てみたいですね。

 5着キボウノダイチもも新馬戦は地味でしたが、ここでもペース的には楽な中でポジション差を上手く生かせました。
 ただコーナーから前を向けていたのに、後半要素では上位3頭には完敗ですので、少なくとも上がり勝負では底は見せてしまっていますね。よりタイトなレース展開で良さが出てくれば、という感じです。

 期待していたプレトリアは、スタート後のポジション取りが後手後手になってしまったのが痛かったですかね。
 どうしてもテンションの高い馬だけに、出していって掛かるのは嫌だった、という中で、概ね外主導の先団になってじわじわ下げていくしかなかったのは勿体なかったです。
 ラストも明確に切れているわけでもないので、もう少し常識的な流れからの持続戦向き、というところも出ましたし、窮屈な競馬の中では仕方なかったかなと思います。素材は高いと見ているので、次の巻き返しに期待ですね。

 シンデレラメイクは、勝負出来る位置にいて全く後半要素で見せ場がなかったので、新馬同様に流れて追走を問われるタフな競馬向きなのは間違いないでしょうね。
 ムスコローソも今日はリズムの悪い競馬・位置取りでしたし、やはり前走自体着差はともかく内容には凄みはなかったので、ここまで後手後手だと崩れるのも致し方なし、というところでしょうか。

**★WASJ**

 今年は例年にない団子の大混戦で、馬場が特殊で波乱含みなのもあり、最後まで息を呑む展開が続きましたね。
 最終レースなど最後抜け出した2頭で、勝った方が優勝、というポイント推移でしたし、しかしなんだかんだで武Jは役者というべきか、ここでギブアンドテイクをあそこまで持ってきたのは痺れましたね。
 ダシルヴァJも前日の3着は完璧な競馬でしたし、ここも外から強気の競馬で、しっかりひとつでも上の着順を、という強い意思と腕の為せる業だったと思います。

 モレイラJも10Rの逃げ切りなどは流石のスタートダッシュで、充分に見せ場を作ってくれましたし、前日上位につけていた生え抜き勢の失速はやや残念な所でもありましたが、今年も大変に楽しませていただきました。
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2017 8月第4週海外GⅠ レース回顧part1 その他雑談

 とりあえず英ヨーク開催の重要なレースがふたつ行われたので、速報的に書いていこうと思います。
 ちょっといつものようにレース全部が見られる映像をまだ見つけられなかったので、そのあたりは後々差し替えるかもしれません。

**★英インターナショナルS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=AidPIzenJRg)**

 今年のヨーク開催はあいにくの雨に祟られ、このレースは稍重発表ですが、結果的に他のレースも含めて、良馬場の時より平均して4~5秒時計がかかっているように見えます。それだけ力の要る馬場になっているのは間違いないでしょう。

 レースも途中からですのでなんともですが、チャーチルが早めに抜け出すところにバーニーロイが襲い掛かり、2頭が熾烈な叩き合いに入るその外から、ワンテンポ遅れてスパートしたユリシスが、ジリジリと伸びて前を捕まえ、最後には2馬身差をつけての勝利を収めました。
 勝ち時計は2,12,11と2200m戦くらいの時計になっていて、普段は2,06~08秒くらいで走ってくるレースですので、渋ってスローからの決め脚勝負の色合いは強そうです。

 それにしてもユリシスは、ここにきて勝ち味を覚えたというか、完全に本格化しましたね。
 エクリプスSからバーニーロイに差をつけていますが、これは馬場適性の差が大きいように思えます。前走のキングジョージも渋った馬場で2着を確保していますし、純粋な切れ味勝負よりは、ガリレオ産駒らしいパワー勝負でより良さが出ているとも言えるかなと。
 ただ春先から使い詰めでしたし、凱旋門賞はまだ出走してくるか未定、というよりどちらかというとパスする可能性が高い、というコメントが出ているみたいですね。それでも前走で2400mは克服していますし、出てくれば当然侮れない1頭になりそうです。

 2着のチャーチルは、ここでバーニーロイに雪辱しつつ距離延長も克服、という事で、敗れはしたものの一定の成果は見せたと思えます。
 けどやっぱり少し時計のかかる馬場の方が強いんじゃないか、ってのは、セントジェームズパレスSとこのレースの内容からしても思うところで、つくづくサセックスSは回避しなければ良かったのに、と思ってしまうのですが。
 早め先頭からしぶとく粘り込んでいるように、基本的には前目につけて勝負したい馬ですし、マイルだと前走のようにポジショニングで足りない場合もあるので、今後は2000m路線が主戦場になりそうですね。流石にこれ以上距離を伸ばして、というのは現実的ではないですし、英愛チャンピオンSが目標になってくるでしょうか。

 3着バーニーロイは、最後力尽きての3着に距離の限界を見るか、それとも馬場の適正を見るかですが、個人的にはこういう重い馬場が合わなかったと考えたいですね。
 要所での動き出しはしっかりしていましたし、けれど良馬場で速い流れから鋭く伸びるのが一番の武器に思うので、ペースが上がっての良馬場2000m戦がベストに感じます。 
 こちらはマイル路線との両睨みらしいですが、どちらの路線でもトップクラスの力はあるので楽しみが大きいですね。以前にも書いたように、今欧州馬の中ではこの馬を一番応援しているので、今回負けてしまったのは残念ですが改めて強い馬だと感じさせる内容ではありました。

 4着クリフスオブモハーは、エクリプスSに続き上位からかなり離されてしまって、やはりこの世代の牡馬はマイル路線>2400m路線、というのはありそうです。
 同日の2400mのGⅡを、英愛ダービー惜敗のクラックスマンが独走で勝ち切りましたが、それでも相手関係もありますし、総合的に見るとこの世代の牡馬は2400m路線ではイマイチだなぁ、となりますね。フランスサイドはもっと弱そうですし、エミネントは時計の出る馬場なら2400mでも面白そうでしたけど。

**★ヨークシャーオークス [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=i0wO5VMJMt8)**

 こちらは凱旋門賞のブックメーカーオッズで一本被りになっているイネーブルが登場し、逃げてスローに落として直線突き放すだけの楽な競馬でGⅠ4連勝を達成しました。
 地味にこのヨークシャーオークスって名牝の墓場的なところもあり、記憶に新しいところではタグルーダなんかもキングジョージ勝った直後にここで負けてたりするわけですが、この馬は脚質もありますし、今のところそういう隙を一切見せませんね。

 ただ勝ち時計の2,35,79は、上で触れた前日のGⅡ戦より1秒ちょっと遅い時計ですし、またこの馬にとっては当然渋ったのも大きなプラスだったでしょう。
 良開催ならば2,27~8秒くらいの時計は出るレースですので、むしろ陣営としてはここで良馬場2400mのスピード勝負に一定の目途をつける走りをしたかった可能性はありますが、結果的に本番前に高速決着への適正がまるっきりわからないまま、となってしまいましたね。

 無論簡単に崩れる馬ではないと思いますし、ポジションも取れるので普通なら圏内には食い込んでくるかなと感じますが、やはり去年のように超高速馬場でのハイペース、とかになるとリズムが大きく狂う可能性は当然あります。
 これだけの強い馬が、年明け初戦は2000mのレースで敗れている、というのも、スピード勝負適正懐疑派にとっては付け込めるところではあり、金ねん有数の名牝であることはもはや疑いの余地はないだけに、本番近くになるまでその取り捨てに迷う1頭になりそうですね。

**★WASJ**

 明日から2日間、札幌でWASJが開催されますね。
 世界の名手が揃って非常にタイトなレースが見られるのは毎年の楽しみのひとつではありますし、今年も中々にいいジョッキーが出揃って面白いレースになりそうです。
 内容的にも、普段背負わない重い斤量に乗り替わり、コンディションも先週に引き続きタフな条件が予想され、コース形態にいい意味でも悪い意味でも慣れていない外人や地方ジョッキーの存在もあり、一筋縄ではいかない難しいレースになってくるでしょう。

 サラッと今の時点での注目馬というか簡易予想を立ててみます。

・第1戦 芝1200m戦

 ◎サルドナ…………内枠のキンカメ産駒なので昇級戦でも怖さはありそう。
 〇マイネルパラディ…………外目から前を見る位置を取れそうで、あと中野Jの気迫を買いたいところ。
 ▲クリノスイートピー…………時計のかかる条件に変わって粘りが増しそう。
 △ラホーヤビーチ…………安定した先行力と好調の近走から、それなりには走ってきそう。

・第2戦 芝2000m戦

 ◎ウインフェニックス…………去年の実績と、捲りの上手い田辺Jで休み明けでも狙い目かと。
 〇メイクアップ…………こちらも去年の実績に加え、モレイラJの立ち回りは武器になりそう。
 ▲エトルディーニュ…………3歳牡馬は古馬戦で結果出てないですが、この馬の先行力は怖いぞと。
 △ハツガツオ…………この距離で消耗戦になれば、斤量実績もありチャンスありかなと。

 余裕があれば明日も、重賞予想のついでに触れてみたいと思っています。
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2017 クローバー賞 レース回顧 その他雑談

 ちょっと今週は色々忙しかったり、体調を崩したりしていたもので余力なく、こまめに切り分けてのお茶濁し的な書き方になってしまっていますがご容赦くださいませ。

**★クローバー賞**

 日曜日の札幌で行われた2歳OP戦のクローバー賞は、一番人気のタワーオブロンドンが楽に捲り切って勝つか、と思われたところに、内から地方馬のダブルシャープが差し返すという面白い内容・結果になりました。細かく振り返っていきましょう。

 新馬回顧でも触れたように、この日の馬場はかなり重かったです。
 1Rの2歳未勝利戦が、上位2頭のぶっちぎりで1,31,3でしたので、ここの1,30,8というのはまず水準レベルには達していると考えていいでしょう。

 展開は、中目からキョウエイルフィーがまずハナを主張し、内からリープフラウミルヒもじわっと馬なりで出していって、しかしその外から地方馬のユニバーサルライトが上がってきたのもあり、被されるのを嫌って少し掛かり気味に番手外まで押し上げていきます。
 内からはモレイラJ騎乗のヴーディーズピアスがポケットをすんなりと確保、外から函館2歳S4着のデルマキセキも加わっていって、その後ろ、丁度中団あたりに勝ったダブルシャープがいました。
 2着のタワーオブロンドンはそのダブルシャープを見るような位置で枠なりに外目を追走、有力馬の中では一番後ろのポジションになりました。

 レースラップは、30,8(12,32)-24,0(12,0)-36,0(12,0)=1,30,8(12,08)という推移でした。
 スタート直後の2F目がみんな手探り、という感じで11,9とやや遅く、その分だけ全体のバランスの中では序盤が緩めになっていますが、ただそれを踏まえてみれば綺麗な平均ペース、と言えると思います。
 2F目からラストまで全てのラップが11,9~12,1と僅か0,2秒差の間に収まっており、全体的に波のないタフなレースになっていると言えます。

 追走面もそれなりに問われたと思いますし、この息の入りにくい流れの中でしっかり要所で起動力を引き出せたか、それをラストまでしぶとく使える持久力があったか、そのあたりが要素としては強く問われていると思いますし、距離以上にスタミナ適正が求められたのは間違いないと見ています。

 勝ったダブルシャープは、地味ですが強い勝ち方でしたね。
 道中は馬群の中でコースロスを最小限にしつつ、じわじわと前目に押し上げていって4コーナーでも上手く進路を外に取り切りました。
 その際に若干の接触はありましたが、戒告すら出ていないのでまず許容範囲と言えますし、ただその動きの中で外にいた馬が玉突きに外にふらついて、それが大外を通したタワーオブロンドンの脚色に多少なり影響を及ぼした部分はあるかもしれません。

 ともあれ、波の少ない流れの中でこの馬の上がりも35,8とほぼレースラップに近いものがあり、少なくとも加速力や切れ味はほほ一切問われていないと言えます。
 ですが、ラスト1Fが11,9と最速の中で、先に半馬身ほどタワーに抜け出されてからようやくエンジンがかかった、という感じで差し返したのは中々の持久力適性を見せてきたと思いますし、本質的にはもう少し長い距離で、淡々とスタミナ勝負がベスト、というイメージが持てる馬です。

 血統的にもベーカバドにタキオン肌と芝血統、母の母がレーヌデュタンって事はメジロブライトの近親でしょうから、スタミナ色が強く出るのもむべなるかな、という所ですね。
 門別の1700m戦でも、この前コスモス賞でステルヴィオを脅かしたミスマンマミーアに完勝しており、その視座からもこれくらいは走れる素地はあった、と考えられそうで、この先どういう路線を踏むかはわかりませんが、力の要る馬場でのスタミナ勝負なら今後も面白い競馬が出来そうな馬だと感じました。

 2着のタワーオブロンドンに関しては、負けて強し、という感じのレースぶりでしたし、血統的に言うならこちらはスピード色が強めなので、ここまで重くなった馬場はあまり歓迎ではなかったのかもしれません。
 スタートは普通に出て、新馬とは裏腹に枠なりに下げての競馬でもしっかり対応できていましたし、勝負所の4コーナーでの進出、反応の良さも流石で、このあたりは前走も直線で鋭く出し抜く脚を使えていましたし当然、というところでしょう。

 ただ内にいた馬が玉突き的に外に膨れてきた影響もあり、コーナー出口でかなり外を回される羽目になったのはあって、それでも直線入り口で鋭く伸びて一気に内の馬をパスしてこれは強いか、と思いきや、ラスト50mくらいでバタッと止まってしまったように見えました。
 まあラップ的に加速の範疇で、ダブルシャープが伸びているとも見做せますけれど、この馬自身はコーナー最速で12,0-11,6-12,0くらいでしょうから、加速力と一瞬の切れは高いものがあるけれど、持続面、持久力面ではそこまで秀でてはいない、と考えられそうです。
 でもこの馬のセンスの良さは後々まで武器になりますし、出来れば主導権を握れる距離・コースで、上手くバランスを取りつつ最大の武器である機動力を生かせる競馬をしていけば、上のクラスでもチャンスはある一頭に思えますね。

 3着デルマキセキは、元々1200m路線の時も距離が伸びた方が、という競馬はしていましたし、この日の馬場・ペースで外々はそれなりに辛い要件だったと思うのですが、最後まで大きく崩れなかったのはそこそこ地力はあるな、と感じさせました。
 とはいえどんな条件でも勝ち切るだけの武器が足りない感じもありますし、函館2歳の回顧でも触れたように、この決め手のなさはやっぱり最終的にはダート向きなのかな?とは感じますね。

 5着のリープフラウミルヒに関しては、そもそもなんでここ使ってきたのよ、とそこから納得がいきませんねぇ。
 この時期の若駒が、1600m⇒1200m⇒1800m⇒1500mってローテーションはいくらなんでもおかしいと思うし、2戦目とこのレースいらんよ、と言いたいですね。
 このレースに限って言えば、序盤に外から被されそうになって力んだのは痛かったでしょうし、タフな展開になったのは悪くはなかったと思うのですが、やっぱり本質的にこのくらいの距離ですと追走面で楽が出来ないから後半の良さも出ない感じです。

 血統的にもステゴで、母系にマックの血も入っての遠縁ニックス、って感じですし、明らかに晩成型ではあると思うのですが、こんな無茶な、競馬を覚えるもないようなローテーションではなんかなぁ、と。
 素材的にはかなり面白いと思っているのですが、なんとか次からは適性の距離に、適切なローテーションで出てきて欲しいものです。

**★アルマンゾル引退**

 ここからは一言コメント的な雑談をば。
 まずアルマンゾルの電撃引退は本当にびっくりしましたが、やはり感染症の影響は大きかったという事でしょう。
 実際に去年は英愛チャンピオンSであれだけ凄まじい差し脚を見せていた馬ですし、こういう終わり方は残念ですが、大事なく繁殖に上がれたことを良しとすべきでしょう。

**★エイシンバッケン大井移籍**

 プロキオンS回避の後沙汰がなかったのですが、こちらもいきなりの移籍ですね。
 ブルドックボスが南関移籍で結果を出して、交流重賞を楽に使えるようになったのを見てか、というのもありますが、この馬自身は明らかに広くて直線長いコース向きとは思うので、この判断がプラスに出るかはちょっと疑問符が付きますね。折角本格化して今後楽しみと思っていたのですが、また狙いどころの難しい馬になりそうです。
  
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2017 8月第3週新馬戦 レース回顧(日曜編)

**★8/20(日) 新潟5R 芝1600m戦**

 土曜と同じく、まずまずの高速馬場での開催となった牝馬限定の一戦は、オルフェーヴル産駒のラッキーライラックが好位追走から直線で鋭く抜け出し、追い上げるラヴァクールを楽に退けてのデビュー勝ちとなりました。

 かなりばらついたスタートになる中、ラッキーライラックは好スタートを決めて先団に入っていき、外から来る馬を見ながら少し下げて好位で進めていきます。
 2着に入ったラヴァクールもスタートは悪くなかったですが、あまり行き脚はつかずにスッと下げて中団よりやや後ろくらいから、じわじわと馬群を縫って進出する競馬を取ってきました。
 1番人気3着のデルニエリアリテも先団の後ろくらいにはいて、そこから外目を通してじわじわ押し上げる正攻法の競馬でしたね。

 ラップは36,4(12,13)-26,6(13,3)-33,4(11,13)=1,36,4(12,07)という推移でした。
 最序盤はそこそこペースが上がっていますが、その分顕著に中盤が緩くて、後半4Fが13,4-11,9-10,5-11,0と、直線に入っての強烈な二段階加速ラップになっています。
 当然こういう流れですと、前半はある程度の位置から、緩みで取りつきつつコーナーで押し上げて、直線に入るまでにしっかりエンジンをふかしていく方が有利で、デルニエはまさにそういう競馬をしていたのですが、ここに関しては純粋に後半の素材面で図抜けていた2頭がいた、という感じですね。

 勝ったラッキーライラックは着差以上に強い競馬でした。
 スタート抜群ながら馬群の中でしっかり折り合い、中盤の緩みでも特に引っかかるところは見せなかったものの、馬群が凝縮してくる流れで中々前が空かずに、直線を向いてだいぶ外に持ち出してからのスパートになります。
 前がクリアになったのが残り450m地点くらいですので、普通ですとそこからでは一気に加速するのは楽ではないはずなのですが、しかしこの馬は合図に瞬時に反応してグーンと伸びています。

 自身の推定が11,8-10,3-11,0くらいですから、最速ラップを踏むまでの加速ラグが非常に少なく、加速性能の抜群の高さと、そして質の高い瞬発力を持っていることがここから見えてきますし、その上でラストも11,0と落とさずに突き抜けています。
 厳密には2F戦に近いので、本当の意味での持続力がどうかはまだわかりませんが、それでも後半要素において全てが一級品、という可能性を感じさせる鋭さでしたし、ポジショニングの上手さなども含めて非常に楽しみな逸材ではないか、と感じさせましたね。

 2着のラヴァクールも中々に強かったですが、ここは相手が悪すぎましたね。
 スタートの割にポジションは下げたな、という感じでしたが、そこからインをタイトに回って、直線入り口ではやはりライラック同様にじわじわ外に持ち出して、きちんとスパートできたのは残り400mあたりから、とはなっていて、その点では互角の評価をしてもいいのですが、こちらは後ろから緩みで取りついている分だけ楽ではあったかな、と。
 かつ最速地点もラストの持続力もわずかながら見劣っている感じで、ダイワメジャーの仔にしては珍しい後半要素の高さとは思いましたが、それでも勝ち馬のスケールには及びませんでしたね。

 ただこの内容なら、牝馬限定でなくともすぐに勝てる素材かなとは思いますね。本質的にはもう少しポジションを意識して、全体のスピードで勝負した時にどこまで良さが出るか試して欲しいタイプです。

**★8/20(日) 小倉5R 芝1800m戦**

 日曜の小倉はやや回復傾向で、500万下の1800m戦でも1,47,0が出ており、決して悪い馬場ではありませんでした。
 その中で、こちらもオルフェーヴル産駒のレゲンダアウレアが差し切りましたが、レースレベルとしてはかなり低めの一戦かな、という印象です。

 人気の3着コンファーメントが逃げて、フルオーライトが番手、勝ったレゲンダは好位のインで2着の二ホンピロフェスタは出遅れて最後方から、という隊列でした。
 ラップは38,4(12,8)-37,8(12,6)-36,3(12,1)=1,52,5(12,5)という推移で、大雑把に見ると前半4Fが遅く、そこから5Fのロンスパ持久力戦、という感じではありますが、この馬場・ペースで一回も11秒台のラップを踏んでこないのはちょっと物足りないですし、その流れで最後方にいた馬が差し込んでくるのもうーん、という感じです。

 勝ち馬も上手くインで立ち回って、直線も不利には関係なく綺麗に最内に潜り込んでの差し切りですし、そこまでの評価は出来ないな、と思いますね。

**★8/20(日) 小倉6R 芝1200m戦**

 こちらも1000万下で1,07,5が出る馬場でありながら、勝ち時計1,11,0というのは前日のモズスーパーフレア戦に比べてもあまりに見るべきところは少ない一戦だったとは言えそうです。
 勝ったオーロスターキスが逃げて35,4(11,8)-35,6(11,87)=1,11,0(11,83)という平均ペースで押し切ったレースですし、後半もコーナーで緩んでからの2F戦で、そこでも11,7-11,7と上がり切っていないので、いかに牝馬限定とはいえメンバー構成的に楽だったのは否めませんね。

 強いて面白いな、と思ったのは、3着のアンヴァルくらいでしょうか。
 この馬は出遅れて、外からリカバーしようとしたところで被されて嫌気を見せたのかズルズル下がってしまって、道中は馬群から4馬身くらい離れた最後方、直線も大外に持ち出して、という大味な競馬でしたが、ラスト1Fはレースラップ11,7のところを4馬身くらい、軽く11,0くらいでは詰めてきていて、まともに走れるのなら能力的には圧倒的にこの馬なのかな、というのはありました。
 ただ明らかに馬群に怯むような感じもありますし、内枠とか引いたら競馬にならなさそうで、そのあたりがレース慣れで克服してくれば、という所でしょうね。

**★8/20(日) 札幌5R 芝1800m戦**

 ここは兼ねてより評判馬が出揃うと噂され、実際にラストグルーヴの仔のリシュブール、モーリス全弟のルーカス、ショウナンマイティの半弟ゴーフォザサミットなど粒揃いのメンバーでの一戦になりましたが、その中でも一際光彩を放ったのは、後方から一捲りで圧巻の押し切りを見せたルーカスでした。

 昨日も触れたように、土日の札幌の芝はかなり時計がかかっていました。
 メインの札幌記念でも2,00,4止まりですし、500万下の2000m戦も2,02,1、それに距離問わずどのレースでも、まず速いラップを踏んでこられないパワーを問われる条件だったのは間違いないと思います。

 その中での展開は、内からディープ×キンカメの良血、3着に入ったマイスターシャーレが逃げて、2着リシュブールがそのすぐ後ろ、番手をキープしていきます。
 ルーカスも好スタートでしたが、大外枠でもあったためにじわっとポジションを下げながらの競馬で、道中は後方4番手くらいでゆったり構えていました。
 先団にはマイハートビートやゴーフォザサミットも加わって、基本的にはこの前に行ったグループがそのまま雪崩れ込むところを、後ろから一頭だけルーカスが一気の捲りで捉えた、というレースになっています。

 ラップは38,2(12,73)-37,3(12,43)-35,0(11,67)=1,50,6(12,29)という推移になっています。
 見ての通りに最序盤はかなり遅く、中盤でじわっと上がるもののそこまでではなくて、ラスト5Fは12,3-12,6-11,9-11,4-11,7と二段階に加速しつつ最後まで落とさない展開であり、これだけ見ても基本的には前が有利だったのは確かです。

 そしてこの後半5F59,9は、札幌記念が60,7-59,7だったことを踏まえるとかなり優秀で、かつ全体時計も相当に高いレベルにあります。
 見た目の数字としてはインパクトはないかもしれませんが、近年の札幌1800mの新馬戦では、馬場がいい時期でも50秒台はほぼ出ていなかったですし、それを後半の3F要素だけでしっかり詰めてきているのは、上位陣が揃って高い素材・能力の持ち主であることを証明していると思いますね。
 かつ400-200m地点の11,4は、この土日全部の中距離戦で最速ラップでもあり、一定のペースからそれだけの切れ味を引き出せる部分も含めて楽しみが大きいメンバーと言えそうです。

 当然その中でも勝ったルーカスには高い評価を与えるべきですが、この勝利自体は鞍上の捲りのタイミングが抜群だったことも少なからず寄与しているとは思います。
 枠が外である限りあのポジションは致し方ないところでもありますし、その中で残り800mまではじっと我慢して、そこから前が12,3-12,6と僅かながら落としたところで、こちらは逆にスパートをかけて一気に上がっていきました。

 見た目にもあの捲りは強烈でしたが、実質的には12,6と後半の中で一番遅い地点で動いていて、ここで4馬身くらい一気に詰めているとはいえ、実質的には11,8くらいでしょう。
 そこから残り3Fを推定11,6-11,3-11,7くらいでまとめており、しっかり勢いをつけて入っていったことで、最速地点で大外を回す不利も最小限に留められていましたし、一期に先頭列を脅かしたことで、2、3着馬が逆に一気に仕掛けなくてはならない必然性を作ったのも、最後の粘り、持続力面で優位に働いたとは感じます。

 とはいえこの時期の2歳馬が、この重い馬場でラスト4Fを推定46,2で上がってくるのは凄まじいのは間違いなく、兄同様に持続力面ではかなり高いものを持っていると感じさせました。
 勿論前半のポジショニングや追走力、本質的な切れ味の高さなど、今後トップクラスで戦っていくのに証明しなくてはならない資質はありますが、それでもこのレース内容は破格で、順調に育っていくなら間違いなく重賞級にはなるだろうと予感させます。
 モーリスはスピード色が強い印象でしたが、こちらは最初からじっくり育てられている、という部分もあるのか操縦性は高そうで、その点でクラシック、という期待も当然持てますね。モーリス自身2400m級でも最上位だったのでは?というイメージを持たせつつの引退でしたし、弟がそれを証明する走りを見せてくれたら実に盛り上がるなぁと思います。

 2着のリシュブールも新馬としては十分に強い内容で、センスの良さも見せましたが、ここは相手が悪かったのと、立ち回りでやや後手になったのが響きましたね。
 スタートからスッと番手を取って、そこからやや下げて2列目と福永Jらしい完璧なポジショニングでしたが、勝負所でじわっと上がっていきたかったところに一気にルーカスが捲ってきてしまい、前に出すわけにもいかないのでそこでやや忙しなく一緒に上がっていくことになったのは誤算だったとは思います。
 それでも馬はよく反応して、コーナー出口まではしっかり抵抗していましたが、直線ではどの地点でもじわじわ離され、2着もなんとか逃げ込むマイスターシャーレをギリギリ捉えて、という形でした。

 この3着馬、というより時計的に見ればここで掲示板に入った馬は、同じ組でかち合わなければ未勝利レベルなら勝負になると思うのですが、ともあれ相手も強かった中で最低限2着を死守してきたのは今後に繋がるかな、とは思います。
 ただこの日、メインでもわかるようにかなりキンカメ馬場でしたので、そのあたりまで踏まえると、このメンバーで明確に二番手、とまでは言えないのかもしれませんね。

 3着マイスターシャーレも、ルメールJらしい支配的な逃げでしっかり走れていましたが、この段階加速の流れを先に動かれては苦しい、というのはありますし、そこは勝ち馬を称えるしかないところです。
 でも出足も道中の折り合いも、そして後半要素もそれぞれに良いものを見せてきましたし、順調に育っていけばクラシック路線に乗れる可能性は充分に秘めた素材だなと思いますね。
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2017 8月第3週新馬戦 レース回顧(土曜編)

**★8/19(土) 新潟5R 芝2000m戦**

 2000mですが内回りでのレースになったこの新馬戦は、好位追走から楽に抜け出したブービー人気のノーブルバルカンが勝ちました。

 この週の新潟の馬場は、特に変化はなく高速馬場を維持していたと思います。
 1Rの未勝利でも1,34,5が出ていますし、メインの1600万下2200m戦も、スローの展開で2,12,3とそこそこの時計でした(なのにどうして後続があんなに離れていたのか…………)ので、普通に走りやすく、内外の差もないフラットな条件だったでしょう。

 レース展開は、2着ミレフォリウムが逃げて番手にセイカメテオライト、そのすぐ後ろに勝ったノーブルバルカンが押し上げてきていました。
 3着ワセダインブルーは中団よりは前目で、一番人気のブリスフルデイズは内枠から好ダッシュを決めるものの少し下げて、、スローペースの中先団の最内を確保していました。

 レースラップは37,6(12,53)-51,2(12,8)-35,2(11,73)=2,04,0(12,4)という推移でした。
 序盤・中盤共にゆったりスローで流れて、3コーナーから徐々に加速するものの一気には上がり切らず、結局ラスト3Fが12,0-11,6-11,6という直線勝負で、その中で後方から特に鋭さやスケール感を見せられた馬もおらず、前につけた馬がそのまま押し切るやや凡庸な内容ではあったと思います。

 勝ったノーブルバルカンは、スタートから出足良く前に取りつけましたが、減量の恩恵もあったでしょう。
 道中の折り合いはスムーズで、要所でも段階的な加速にしっかり反応して直線入り口で先頭、そこから2F戦での切れ味や持続面で決して非凡とは言えない数字ですが、まずはセンスの良さを見せて勝ち切ったと言えそうです。
 流石に相手が強くなってどうこう、というメンバーでもなかった感じはありますが、サムソンの仔らしくしぶとい成長力を見せてくれれば、と思います。

 あと3着のワセダインブルーは、4コーナーですこし窮屈になって外目に出しつつ下がるところがありつつ、ラスト1Fは中々鋭さを見せてきましたので、レースレベル的な部分はともかく、スムーズならもう少し、という印象は受けましたね。

**★8/19(土) 新潟6R 芝1400m戦**

 こちらのレースは、平均の流れを好位につけた一番人気のマイティーワークスが、直線で鋭く抜け出して盤石の競馬でデビュー勝ちを飾りました。

 好スタートを決めた2着カイトセブンが逃げて、その外にルアナ、トニーハピネスあたりが追走し、マイティーワークスはその後ろ、馬群の真ん中でじっと我慢する競馬となります。
 3着に差し込んできたアイスフィヨルドは中団のインあたりで、全体的に人気薄の馬ばかり上位に来たレースなのですが、流れ自体は比較的普通だったなと思います。

 ラップは35,3(11,77)-11,9-35,6(11,83)=1,22,8(11,82)という推移でした。
 ほぼ平均的な流れと言っていいですし、コーナーでも極端には澱まず淡々と流れて、直線の加速度も控えめな中で、勝った馬はしっかり前目から一脚を残す競馬を見せてきたと言えそうです。
 コーナーでも緩いラップとはいえ外目に持ち出しながらの追走で、けど最速地点でスッと前に取り付けており、この反応の良さはいかにも総合力があるキンシャサの仔らしいところかなと思いますね。
 ラストもしぶとく11,9でまとめていますし、血統的にも1400mがベスト、という感じですが、若い内は1200~1600mあたりまで対処できそうですし、センスはあるので今後の進境に期待という所ですね。

**★8/19(土) 小倉5R 芝1200m戦**

 このレースは、人気に推されたマル外の2頭がそのスピード性能を遺憾なく発揮して、熾烈な一騎打ちの末にモズスーパーフレアに軍配が上がりました。
 この日の小倉の馬場は少しだけ時計がかかってきたイメージで、最終の500万下がほぼ消耗戦の流れで1,08,5だったことを踏まえると、明確に緩みがあったこのレースでの1,08,5は破格のスピード・能力の証明と言っていいと思います。

 逃げたのはミンミンレジーナで、モズスーパーフレアが外から積極的に出していって番手を確保、2着に差し込んできたジャスパープリンスは序盤は先団やや後ろで構え、ラスト600mあたりからじわっと進出して前を追い掛けていく形になっています。
 ラップは34,0(11,33)-34,5(11,5)=1,08,5(11,41)という推移でした。
 極端に上がり切っているわけではなく、かつラスト3Fが11,6-11,1-11,8と、逃げ馬が早々と潰れたのでわかりにくいですが実はコーナーで一旦緩み、そこからこのクラスでは極めて質の高い再加速を見せています。
 その点コーナーで取りついてきたジャスパープリンスの方が噛み合った競馬はしていますが、勝ち馬もこのラップを自身で踏んでしっかり反応できていますので、これは短距離路線でかなり楽しめる2頭になってくるかも、と思わせる総合力でした。

 バーニングぺスカ戦の上位2頭も強かったですが、馬場補正も含めて考えるとこちらの方が総合的には質の高い競馬をしていて、敢えて言えばこのレースは絶対的にはペースが上がり切っていないので、より速い流れに巻き込まれたとき、この日と同じように要所で加速する余力を持てるかは一応の課題になるでしょう。内枠で揉まれたときの懸念もあるとは言えます。
 とはいえ現状はケチのつけようのない内容ですし、特に勝ち馬は小倉2歳Sに出てくれば楽しみが大きいですね。2着馬も出られれば楽しみですけど流石に間に合わないでしょうしねぇ。

**★8/19(土) 札幌5R 芝1500m戦**

 牝馬限定の一戦は、人気馬2頭の一騎打ちとなり、ディープ産駒のダノングレースが、ミスエルテの半妹のミカリーニョを最後内からしぶとく差し切ってデビュー勝ちを収めました。

 この土日の札幌の馬場はかなり重く、全体的に時計がかかっていました。
 10Rの1800m戦が流れ切って1,48,9、最終の1500m戦も出し切る展開で1,29,2止まりですので、ラスト1F最速と余力を持って入れているこのレースでの1,30,5は、見た目以上に良い時計だと思っています。実際3着以下はかなり離されましたからね。

 レース展開は、内枠の伏兵が好スタートから飛ばしていき、3着のドラゴンハートが好位集団の外目にいて、2着ミカリーニョはその後ろ、丁度中団くらいでレースを進めていきます。
 ダノングレースはやや出負けしておっつけながら内目を追走、丁度ミカリーニョをマークするような位置取りになり、4着イルーシヴグレイスはスタートからおっつけ通しながらも行きっぷりが悪く更に後方、という隊列になっていました。

 ラップは30,0(12,0)-24,2(12,1)-36,3(12,1)=1,30,5(12,08)という推移でした。
 流れとしては綺麗な平均ペースで、道中のラップも波が少なく淡々と12秒ちょっと、を刻んでおり、一定の追走力は問われる中で、コーナーで緩んだところでしっかり押し上げてくる機動力と、そこからの加速力、切れ味がそこそこ高いレベルで平均的に問われた、上位2頭としては後半勝負の総合力戦と言えそうです。

 勝ったダノングレースはスタートこそ悪かったものの、インからじわっとリカバーして中団の後ろでレースを進め、コーナーでも前との差を詰めつつしっかり加速できるスペースは残したまま、タイトにコーナーを回ってきます。
 直線では先にミカリーニョが抜けだしますが、その内側に潜り込んでからしっかりと持続力を引き出してきた格好で、前も11,8と止まっていない中で1,5馬身差をきっちり差し込んできたのは強い競馬だったと思います。

 通したところの差を考えるとミカリーニョとはこの条件では互角、という印象ですが、こちらは序盤についていけなかった部分と、推定11,8-11,5-11,5くらいの上がりから、広いコースで持続力を生かす競馬がより噛み合いそうです。
 時計的にも優秀だと思いますし、素材としてはかなり確かと思いますので、今後の活躍が楽しみになる1頭ですね。赤松賞とかサフラン賞とか強い競馬が出来そうです。

 2着のミカリーニョもセンスあるいい競馬でしたね。
 ハーツの仔ですのでこの距離がどうか、と思いましたが、ミスエルテの下でもありスピード色が意外と強く、コーナーでもスーッと動いて自分から勝ちに行く強い競馬が出来ていました。
 この内容でしたらマイル前後のスピード勝負にも対応してきそうですし、この日は勝ち馬にうまくインを掬われましたが、能力とセンスは確かなのですぐに勝ち上がれると思います。
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2017 8月第3週海外GⅠなど レース回顧

 今週は世界チャンピオンの2頭が出走してきて、海外競馬シーンも非常に盛り上がりを見せていましたね。
 今週の海外は週中にも楽しみなレースがありますので(英国際Sとか)、2分割でまずは週末の注目レースを拾っていきたいと思います。

**★パシフィッククラシック [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=qSdsL90tjdc)**

 前走復帰戦で大差負けを喫し、世界中に逆ベクトルで衝撃を与えたアロゲートの復帰第二戦、夏のメインターゲットとなるパシフィッククラシックが開催されました。
 ここ4年の勝ち馬を見ても、ゲームオンデュード、シェアドビリーフ、ビホルダー、カリフォルニアクロームと、その年のチャンピオン級が出てきてしっかり結果を残しているレースであり、アロゲートにとっても本来なら勝つか負けるかより、勝ち方そのものを問われる舞台になる筈でした。

 しかし前走の魂が抜けたような敗戦で、燃え尽きたのでは?という懐疑論も広く膾炙したことで、流石に1番人気にはなったものの、前走敗れたアクセラレートと、この4歳シーズン無敗の上がり馬コレクテッドとの人気差もそこまでなく、実質的にもこの3頭の争いと目されていました。
 レース内容もその戦前の期待通りに三強のマッチレースに近いものになったのですが、しかしそこでも目立っていたのは、かつての勇姿とは程遠いアロゲートの走り、だったように思えます。

 まずスタートを綺麗に決めたコレクテッドが先行して、アクセラレートがそれを追い掛けていく中で、やはり少しもっさりしたスタートのアロゲートでしたが、前走のように後方ままだけは避けないと、という鞍上の気合もあったか、押されて押されてなんとか三番手の外に食らいついていきます。
 元々跳びが大きく、スピードに乗るまでちょっと時間がかかるタイプではありましたが、それでもリズムを掴んでしまえば速い流れでも追走に苦慮する馬ではなかったはずですが、この日のアロゲートもやはり本来の姿とは遠く、道中ずぅっと促され続けながらも前との差をほとんどつめられていませんでした。

 レースラップ自体は23,76-23.43-23.87-24,21-25,43=2,00,70となっていて、アメリカらしく前傾戦ですが極端に速い、という事は決してありませんでした。
 勝ち時計自体も近年の中では一番悪く、ペガサスワールドカップあたりに比べれば1200m通過で1,5秒近く遅いので、これで追走に汲々、というのはあまりに切ないものがあります。

 前が減速に入っている4コーナーでもズブさを見せて、少し内に寄れ加減にもなり前との差は中々詰められません。
 直線に入って、逃げたコレクテッドが突き放しにかかり、アクセラレートがバテたところでようやくじわじわと差を詰め出しますが時既に遅し、逃げ込むコレクテッドを半馬身捕まえられずに連敗、ということになってしまいました。
 レース内容的に、コレクテッドが図抜けて強かったという事はまずなく(もちろんここにきての充実度は素晴らしいとは思いますが)、やはりあのドバイの無茶苦茶なレースぶりで、身体的にも精神的にもダメージを受けている感じですし、馬自身が狡くなっている感じもあります。古馬になって益々ズブくなッたゴールドシップみたいなイメージでしょうか。

 流石にこの内容ですと、連覇がかかるBCクラシックでも厳しさは出てきます。
 強いて言えばコレクテッドもガンランナーも1800mがべストっぽいところはありますが、それでも今回コレクテッドには負けていますし、精神面さえ走る方向に向けば大分違うとは思いますが(ストライドも小さくなっている気はするのでなんともですけど)、予断を許さない、という雰囲気ははっきり出てしまっていますね…………。

**★アラバマS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=vdh2pBDMy7Q)**

 こちらはニューヨーク牝馬三冠の最終戦で、以前の記事で現体系になって初の三冠達成をアベルタスマンに期待、と書いたのですが、事情までは調べられないもののアベルタスマン自体が出走していないというちょっと肩透かしなことになっています。

 ただ、アベルタスマンがいないここなら、という感じで、CCAオークスで最後まで食らいついていたエレートが、好位追走から楽に抜け出して圧勝し、改めてアベルタスマンの強さを浮き彫りにしてくれる結果にもなっていますね。
 展開的にもかなりのハイペースになっていて、時計面も優秀であり、この日のこのパフォーマンスだとアベルタスマンがいても勝てなかったっぽい気もしますが、ともあれまた面白い三歳牝馬が出てきたな、というところですね。この三歳の二強と、古馬牝馬二強のソングバード・ステラウインドとの激突が待ち遠しいです。

**★ウォーウィックS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=NRJq9IDiruc)**

 GⅡではありますが、今日一番紹介したいのはこのレースで、かのウィンクスの春シーズン(南半球なので)復帰戦でした。
 結果的に連勝を18に伸ばす見事な勝利を収めたのですが、珍しくその内容としては薄氷、けれどそれだけに逆にこの馬の恐ろしい強さを浮き彫りにしてくれたレース内容になっています。

 映像を見て貰えばはっきりわかるように、普段ゲートがとびきり速い、というほどではないにせよ、無難には出ていたウィンクスが、この日は明確に3馬身ほど立ち遅れてのスタートになり、場内や実況もどよめいています。
 道中もそのまま馬群の最後方でじっと待機し、4コーナーから大外に回しますが、前との差はかなりあり直線半ばでは万事休すか?と思わせるところから、普段通りの強烈なピッチ回転での追い込みを見せて、逃げ粘る馬をきっちり差し切ってみせました。

 レースぶりとしても派手ですが、ラップ的に見ると信じられないほどの差し脚を披露していることが浮き彫りになります。
 珍しくこのレースは通過ラップが画面に出ていますので、それとゴール地点での走破タイムを信用するとして計算しますと、このレースのラップは37,65-11,46-32,76という極端な後傾ラップになっています。
 テンが14秒台と極端に遅いので、その辺はおそらく計測方法が違うのだろうと思うのですが、それを差し引いても超スローで、残り1000mが11,73-11,46-11,12-10,50-11,12となっていて、ラスト2F目まで延々加速ラップを踏んだ挙句に直線入り口で究極的な切れ味を問われ、ラストも落としていません。ふつうこんなレース展開で、後ろから外を回して差し切るとか有り得ない、という感じで、しかしそれを易々とやってのけてしまうのがウィンクスという馬の稀代の名牝たるところです。

 ウィンクス自身は残り600mから外に出してスパートしていて、その時点で前との差は5馬身くらいはありました。
 かつ直線入り口の最速地点では、流石に一気に差を詰め切れてはおらず、そのあたりから逆算するとこの馬のラスト3Fは11,0-10,4-10,6くらいかな、と思います。下手すると32秒を切っているかもしれなくて、コーナーのあるコースでこの差し脚は異次元にも程があります。
 加速力の高さもさることながら、瞬発力の質と持続力も桁違いで、これだけ連勝を続けていてもまだ能力の底が知れない、と言えるほどの圧倒的なパフォーマンスでした。

 この馬は馬場が重くなったり、極端な前傾になっての消耗戦でもべらぼうに強いわけで、なのにその真逆と言っていい後半の極限の切れ味勝負でも誰より鋭く走れるとか、文字通りどんな展開でも馬場でも負けない、歴史的にも稀有で、近代競馬なら尚更に有り得ないレベルのチャンピオンと言っていいでしょう。
 少なくともまともな状態なら、世界中のどこでも1600~2000mのカテゴリで負けないんじゃないかと思わせる、そんなレースぶりでした。それだけに国内専念は返す返す残念ですが、もうこの馬にはこのまま引退まで負け知らずに駆け続けて欲しいですね。
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2017 北九州記念・札幌記念 レース回顧

 久しぶりに全国的に好天に恵まれた週末でしたが、重賞は両方ともに大波乱の決着、夏競馬の恐ろしさ、一筋縄でいかなさをまざまざと思い知らされる結果でしたね。

**★北九州記念**

 こちらは、夏は牝馬、夏の上がり馬の格言を地で行くように、3連勝中だったダイアナヘイローが番手から早め先頭で押し切る強い競馬を見せました。

 この日の馬場は、前日よりすこし回復したかな?という感じもありましたが、全体的には時計は掛かりはじめてはいたと思います。
 9Rの1000万下条件が、32,9-34,6と流れ切ったレースで1,07,5と好時計を出してきていて、この時点で予想より軽いかな、と思いましたが、このレースも32,8-34,7=1,07,5に留まりました。
 後で細かく見ますが、ざっくり大掴みに言えば、小倉1200mらしい2秒近い前傾戦になった中で、このレースに関しては追走力の面で足りない馬の方が多かった結果として、相対的に浮上してきた馬がいた、というイメージでいいかなと思っています。

 レース展開は、やはりというべきかアクティブミノルが内から積極的に出していきました。
 これに内からアルティマブラッドとダイアナヘイローが絡んでいって、内からオウノミチ、ファインニードルあたりもまずまずのスタートから好位に取りつきます。
 外からはラインスピリット、ナリタスターワンあたりが先団の後ろ、ラヴァーズポイントも内からその列に加わっていって、スタートで少し煽ったキングハートはリカバーしつつ丁度中団くらいでレースを進めていました。

 ラップは32,8(10,93)-34,7(11,63)=1,07,5(11,25)という推移でした。
 条件戦と同様にかなりの前傾ラップですが、このレースは後半3Fが11,5-11,2-12,0と、これでも上がり切ってはおらずに一旦コーナーで緩んでいて、このコーナー地点で外からフラットに取り付けた馬が結果的に上位を占めています。
 結果論的には、インにいた馬はこの緩みに付き合わされ、かつ追走も強く問われた中で再加速する余力を持ちにくかったですし、中団より後ろの馬は緩んだ、といっても最低限の為に外から楽に押し上げられるほどでもなかったと言えそうです。

 その分好位からしっかり前を向けて、追走力面で優位性を少しでも持てていた馬が前目からしっかり粘り込んだ、というイメージですし、レースレベルとしてはかなり微妙かな、とは思っています。

 勝ったダイアナヘイローに関しては、本当にこの使い詰めの中でもしっかり調子を維持して偉い馬ですね。
 時計的に言えば佐世保Sから2kg減でこの馬の数字では走れているといえますし、かつレース全体がしっかり流れたのもプラスだったと思います。
 ある程度内外離れていたとはいえ、外から好ダッシュを決めてしっかりアクティブミノルにプレッシャーをかけ続けていたことを踏まえれば、これは本当に相手関係も踏まえて絶妙のバランスにコントロールしてきたなと思います。意思を感じる見事な騎乗でした。

 条件戦でも上がり切ったレースの方がパフォーマンス自体は良かったですし、かつこのレースは最低限一息は入れるポイントを作れていて、そこからスムーズに前を追い掛ける理想的な内容でもありました。
 ただ絶対的な意味で前傾型のスプリンターがいなかったメンバー構成ですので、この勝ち方をそのまま鵜呑みにするのは危険ですし、流石に一気にスプリンターズSで通用、とまでは言えないパフォーマンスレベルとは思っています。
 でも馬自身はまだ4歳ですし、成長力のありそうな血統ですので、この先前傾型のスプリンターとしてより育ってくれば楽しみは大いにあるなぁと感じますね。

 2着のナリタスターワンに関しては、上手く流れが噛み合ったのと、動き出しのタイミングが絶妙でしたね。
 スタートはしっかり決めてフラットな感じで先団やや後ろにつけ、コーナーで少し凝縮するところで待たずに外目に出してじわっと押し上げていった選択が、結果的に最後まで粘り込む主因になっていると思います。
 幸Jは前述の9Rでも、2番手からこの馬と同じような前傾1秒くらいのバランスで押し切っていて、流れた時の仕掛けのタイミングとこの日の馬場傾向をしっかり掴んでいたなと感じますね。

 馬自身もCBC賞はかなりのハイからしっかり差し込む脚を使えていて、ダート戦の結果などからも前傾戦への適正は見えましたし、ただそこまで流れない想定でしたのでちょっと考えたけど印を回さなかったんですよね。
 やはりメンバー構成的に流れにくいか、と思っても、コースロケーションに引っ張られる場合もありますし、今回はダイアナヘイローの積極性を甘く見積もったのが全体的な敗因にはなってきますね。このくらい流れる想定で決め打ちするなら、上位2頭は高く評価して差し支えない馬だったとは言えるんですけどね。

 ただ3着のラインスピリットは、前傾予想なら尚更に押さえられないいなぁ、という感じで、今までの傾向からしてもかなりびっくりの好走です。
 基本時計面に限界はある馬で、かつ1200mですと平均くらいで一番持ち味が生きるタイプでしたので、この前傾戦でスムーズに競馬出来たとはいえ、ここまで嵌り切るとはちょっと思いませんでした。

 裏を返すと、この馬が3着に粘り込めるくらい後続の差し馬がだらしなかった、という見方も出来るとは思いますが、この馬も狙い時が本当に難しい馬ですね。

 4着キングハートは、どうしても前傾ラップだと甘くなるのはあるので、その点では酌量の余地はあると思います。
 ただスタートが煽り気味で、バランスを崩してから慌ててリカバーで脚を使ったり、外々を焦り気味に押し上げたりと、鞍上の乗り方にしてもあまり褒められた感じはなく、前走ハイペースの流れで差し込めたのは、上手く内々を通せてスムーズに進められたから、とはなってしまうようですね。
 この馬の武器は平均~スローでの後半の爆発力にありますので、本質的にこのレース向きではないと承知で、でも今年の構成ならと狙ったのもあるので、ちょっと安直だったかなと反省はしつつ、馬自身は苦手な展開の中でも最低限は戦えるようになっていますし、噛み合えば重賞のひとつふたつは確実に取れる馬とは思っています。

 5着ファインニードルも、ここまで流れてしまうと追走で苦しかったのは有ると思いますし、ミノルの後ろで少し待たされた分も弾けきれなかった事に影響はあるかな、とう感じです。
 アドマイヤムーン産駒ってやはりイメージ的に超高速馬場巧者のイメージはあるので、その点少し時計が掛かり出して前傾度が高くなる展開ですと味が出ないのかなと、嵌る時は強い勝ち方が出来ますが、OPに入るとそのスポットはちょっと狭いのかな、とも感じるもやっとした内容でしたね。まだ若いですし、もう一皮むけてくれば、と思いますが。


**★札幌記念**

 北都最大の格を誇り、近年は天皇賞秋との関連性も高い伝統の一戦・札幌記念ですが、今年はGⅠ好走馬を尻目に、人気薄のサクラアンプルールが一気の捲り差しで勝ち切り、2着にも重賞好走実績すらなかったナリタハリケーンが突っ込んできての大波乱となりました。レースを振り返りましょう。

 昨日に引き続き、札幌の馬場はかなり重かったと思います。
 9Rの500万下戦が61,9-60,2とややスローとはいえ後半も上がり切らずに2,02,1で、クローバー賞なども平均で流れて1,30,8、最終の1200m戦でも1,09,9止まりとあって、このレースの2,00,4はまぁ想定の範囲内、というイメージです。
 全体的に速いラップを踏みにくい馬場てもありましたし、その意味でいずれ詳しく回顧しますが、今日の新馬戦の1,50,6、ラスト3F35,0はかなり優秀だと見ていいです。

 ともあれ、そういうパワーの優先度が高い馬場での一戦でしたが、展開はまず予想通りにロードヴァンドールが押してハナを主張していきます。
 これに最初に絡んでいったのが好スタートを決めたサウンズオブアースでしたが、流石にスッと下げてポケットのポジションを確保、タマモベストプレイも前目につけて、そとからはマイネルミラノが上がっていって番手外、エアスピネルもそれをコーナーあたりからじわっと追い掛ける形で4番手くらいを取り切ります。
 ヤマカツエースは五分のスタートを切り、最初から外目に持ち出しつつ中団外でいつでも動けるポジション、サクラアンプルールは枠なりに最内を通しつつ中団でそのすぐ後ろにナリタハリケーンがいました。

 マウントロブソンはスタート直後に左右から挟まれるようなところもあり出負け、後方からの競馬を余儀なくされます。
 ツクバアズマオーやアングライフェンも今日は後ろからの競馬になりました。

 ラップは35,4(11,8)-49,3(12,32)-35,7(11,9)=2,00,4(12,04)という推移でした。
 三分割で見るとやや中盤が緩めの平均ペース、という感じですが、ハーフで取ると60,7-59,7とややスローで、後半5Fのロンスパ持久力戦の様相が強いです。
 細かく言えば、4・5Fだけが13,0-12,3とかなり緩いのですが、ただ番手のミラノ以降はこの地点で既に前との差を詰めていて、ロード以外に関しては字面以上に息の入れにくい流れだった、とも言えるのではないでしょうか。

 結果的に馬場の重さも含め、レース全体でスタミナ適正が強めに問われましたし、縦の位置取り以上に横の位置取りのロスがじわじわとボディーブローのように影響する流れだったかなと感じています。
 それを反映するように、1、2、4着馬までが道中はインベタを選択していましたし、馬群全体はそんなに大きく離れても、凝縮し切ってもいませんでしたので、実質的にはかなりのスローで入れて、勝負所からスムーズに加速しつつ外に出せた上位2頭はかなり噛み合った、とは言えそうです。逆に前目外々にいたヤマカツあたりは着順以上に強い競馬はしていると考えていいでしょうね。

 勝ったサクラアンプルールに関しては、昨日から蛯名Jがいぶし銀の活躍を見せていましたし、展開や枠も完璧に噛み合ったといえますね。
 基本的にOPクラスでの好走歴がスローから切れ味を活かせるパターンに限定されていましたので、淡々と流れて切れ味の質はまず問われない札幌でどうかな?と懐疑的だったのですが、結果的に強い競馬を見せてきたと思います。

 この馬自身はハーフで推定61,4-59,0とかなり後傾ラップで入れており、その点はまずこの馬の持ち味を引き出す上ではプラスでした。
 かつ勝負所の3~4コーナー中間から、上手くブレーキを踏まない形で無理なく外に持ち出せましたし、その過程での一瞬の加速力は流石のものを見せていて、前目からじわじわと押し上げていたエアやヤマカツを瞬時に交わし去ったのには驚きましたね。
 早く抜け出した分だけ最後は少し甘くなりましたが、結果的にこういう少し時計のかかる馬場もマッチしていたのかなと思います。なんだかんだで上位がキンカメ×サンデーばっかりですし、キンカメのパワーが生きる条件だったのは間違いないでしょう。

 これまでも前半無理し過ぎたり、スムーズさを欠くと惨敗する脆さはあったのですが、型に嵌れば強い、というのを見せましたし、本質的には切れ味を問われた方が強いと思っていますので、秋天でも内枠を引けたならワンチャンスはあるかもしれませんね。

 2着ナリタハリケーンにも参りました、としか言いようがないです。
 敢えて言えば、巴賞で後半勝負でコーナーからいい動きが出来ており、かつラストの持久力/持続力面での食い込みも確かなものがあったので、今回パワー寄りの馬場でゆったりコースロスなく入れて、仕掛けを我慢しつつスムーズにコース取りも出来た(サクラが前にいてスパッと抜けてくれましたからね)、そのあたりが噛み合ったのは間違いありません。
 とはいえこのメンバーでここまでの競馬が出来るとは流石に微塵も考えなかったですし、予想以上に内を通した分のプラス面が大きかったのはあれ驚きでしたね。

 流石に軽い芝でどうこう、と言える部分はまだないのでなんともですし、年齢的にもここから上積みを見るのは難しいでしょうが、時計のかかる条件でならもうひとつくらい穴を開けてくる可能性は考えておきたいと思わせるほど、最後の差し込みには迫力があったと感じます。

 3着ヤマカツエースは、枠と人気を踏まえると仕方ない競馬ではあるかな、と思います。
 結果的に内枠の馬が内を通して勝ち切ったレースだけに、そのあたりで裏目のところはあるにせよ、人気馬で動けずに終わるのは当然避けたいですから、あの序盤の位置取りは責められない、むしろよく頑張ったと言えるでしょう。
 ただそうやって位置を取るのに脚を使いましたし、前にスピネルがいてそれをマークする形でじわっと早めに動く事にもなって、道中ずっと外々で息が入らない中での一貫戦だと、この馬にとってベストの展開ではなかった、というのはあるでしょうね。

 近走はどうしてもスローから持続力勝負で良さが出ていましたし、過去の札幌記念もある程度のペースを早めに動いていって甘くなっていて、本質的に良馬場での持久力戦向きではないのかなと思います。
 有馬などは位置取りの差やコース取りもあってでしたし、横の位置取りのバイアスが結構大きめに出る展開の中では頑張っていて、持続力特化戦になりやすい天皇賞秋に向けては、悲観する負け方ではなかったと言えるでしょうね。

 4着サウンズオブアースも流石実力馬、という所は見せました。
 思いの外スタートが決まって、結果的に3列目のインというかなりいいポジションを取れたのですが、ここまで一貫して息の入らない展開の中では、後半型の持ち味が生かし切れなかった部分もあり、コース取りとしても結果的にサクラがスッと外から動いてきたことで、直線で少し待たされるところもあり、最後の差はそのあたりでしょう。
 基本的にポン駆けは効くタイプですから、2000mでこういう流れだとこのくらい、とも言えますが、まだ能力落ちはないでしょうし、秋の大目標に向けては悪くない一戦だったと思います。

 5着エアスピネルも、外枠はスムーズに前に入っていけてプラスだと思いましたが、結果的にずっと外々、というのはヤマカツほどではないにせよ響いた面はありそうです。
 このペースなら追走面での余裕はあったはずですが、マイルからの距離延長で完全にリラックスして、ともいかなかったのか、本来は動き出しでもっと反応の良さを見せる馬ですが、コーナーでもかなりじんわりした動きになっていて、直線を向いてももう余力を残していない感じでした。

 全体的にロンスパの流れで少しずつ足を削がれた感もあり、この距離ですともう少し軽い馬場のほうが良かったなと感じます。
 ラストが甘くなるのはいつも通りですが、ただ形としては悪くはなかった上で、よりロスの大きい競馬をしたヤマカツに完敗、となると、2000m路線でもGⅠ戦線でどうこう、という目途は立てにくいかなぁと言うしかないですね。
 キンカメの仔って成長力があるタイプが多いですけど、この馬はデビューからほとんど馬体重の変動がないタイプで、そのあたりも物足りなさに繋がってきていますし、秋の路線選択は難しいところですね。マイルチャンピオンシップはそこそこ合う条件とは思うのですが、結局こういうタイプはひとつはっきり成長がないと善戦マンで終ってしまうんですかねぇ…………。
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2017 8月第2週海外GⅠなど レース回顧

**★アーリントンミリオン [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=idStftYM3T4)**

 真夏の芝の祭典、アーリントン開催の目玉レースのアーリントンミリオンは、ビーチパトロールが先行策からしぶとく押し切り、丁度1年ぶりのGⅠ勝利を飾りました。

 レース映像を見るとわかるのですけど、このコースの2000mってスタートして直後にコーナーなんですね。
 そのせいで明らかに外枠の馬のポジショニングに不利が生じているコースには見えますし、けれど勝ち馬はそこそこ外目の枠から思い切って出していったのが功を奏している感はありますね。
 相手関係としては、欧州のGⅠ戦線では勝ち切れないドーヴィルや、イスパーン賞を勝ったメクタールあたりですが、レースセンスと地の利を生かしての上手いレースぶりでした。
 この馬自身、前年のこのコースでの3歳限定戦のセクレタリアトSを勝って以来、ずっと2~4着と善戦はするも勝ち切れないレースが続いていましたので、これをきっかけに出来れば、というのはありそうです。

 ただレースとしてはかなりスローの展開で、62-60,5くらいのバランスで、かつラスト2Fが最速なので仕掛けも早くなく、すぐ下で触れるセクレタリアトSに比べてもレースレベルとしては微妙かな、とは感じます。
 ドーヴィルはドーヴィルで、ポケットから上手く捌いてきたものの伸び切れず去年に続いての3着で、相変わらず勝ち味に遅いですし、全体的にパッとしない印象は強いです。

 札幌記念と被るところはあるとはいえ、この距離得意で先行力がある馬なら充分勝ち負けできそうなレースですし、馬場もそんなに重くはないので、たまにはここに遠征計画立てる馬が出てきても、とも感じますけどね。
 随分昔にオグリキャップが遠征計画立てて取りやめたことがあったと思いますけど、マイル~2000mが主戦場のスピードのあるGⅡクラスの馬ならまず通用するはずです。

**★セクレタリアトS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=HfoDvJaXteU)**

 こちらの3歳限定2000m戦は、オスカーパフォーマンスが他の馬より重い斤量を背負いつつ圧巻のパフォーマンスで押しきりました。
 頭数が少なかったので楽、というのもありますが、欧州からの遠征馬、パリ大賞典の2着馬パーミアンが全く勝負にもなりませんでしたし、時計的にもアーリントンミリオンと同斤量で、ペースも後半ラップも上回ってきているので、明確にこちらの方が強いと感じます。

 この馬自身、2歳時はBCジュベナイルターフで、欧州マイル路線の物差し馬的なランカスターボマーや、こないだダート初挑戦でクラシックホースを一蹴してみせたグッドサマリタンあたりに楽に勝ち切っており、シーズン序盤こそ不調だったものの、前走ベルモントでのベルモントダービーも勝ってここもあっさり突き抜け連勝と、現状のアメリカ中距離路線の芝馬では実力・実績ともに申し分ない最右翼と言えるでしょう。

 マイルのスピード勝負も強い馬だけに、2400mのターフを選ぶのか1600mのマイルに行くのかわかりませんが、今年のBCにおいて芝路線の地元の期待を強く集める馬になるでしょうし、今後も注目しておきたいですね。

**★ジャック・ル・マロワ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=hXAhbWs_X70)**

 かつてタイキシャトルが勝った真夏のフランス伝統のマイル戦ですが、今年は6頭立て、かつ3歳馬が5頭とやや興ざめなメンバーでの戦いになりました。
 まぁもっとも、今の欧州マイル路線に関しては、古馬で強いと言えるのはリブチェスターくらいしかいないのは確かなんですけどね。

 1番人気は前走ジャンプラ賞を勝ったサンダースノーで、けれどそれなりに各路線で底を見せていないメンバーが揃い、人気も割れていたようです。
 レースではそのサンダースノーが逃げて超スローに落とし、それを後続がピッタリマークしていく展開になります。
 ラップ的には前半600mが40,68、そこからの2Fが23,54で、ラスト3Fが10,94-11,04-12,31で1,38,51となっていて、ラスト1000mからの2段階加速的な形で、ラスト3Fは切れ味と持続力を強く問われた特化的なレースかなと思います。

 残り200mまではしっかりサンダースノーが出し抜いて勝ち切るか、と思わせましたが、ラスト1Fで甘くなったところを英2000ギニー3着馬のアルウケアと伏兵インズオブコートが強襲し、最後は大接戦の中アルウケアが鼻差抜け出しての勝利となりました。
 まぁ内容的にはかなりスローからですので、全体的なマイル戦としての総合力は問われていなくて微妙なところもありますけど、総じて言えるのはこのレースもそうながら、大体今年は3歳牡馬はイギリス>フランスの構図が明確なのかなと、この一戦の結果からも想像は出来ますね。

 とはいえこの馬もサンダースノーも安定して走ってはくるので、今後も展開が噛み合えば、強い相手とでもそれなりには戦える素地はありそうです。
 

**★ギヨーム・ド・ルナーノ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=54eG1e62wj8)**

 ここはGⅡなんですが、仏2冠馬のブラムトが出てきたので拾っておきましょう。
 凱旋門賞でも有力視されている馬でしたが、これまでのレースぶりでもゲートが課題で、ここでも大きく出遅れる失態を演じ、結果英ダービー4着馬のエミネントに大きく離されての5着と、不甲斐無い結果に終わってしまいました。

 ただレース自体はそこそこレベルが高そうで、序盤からそれなりに流れて綺麗な縦一列の展開、前半62,97から、24,21-11,48-11,51-12,09=2,02,26という好時計を、エミネントは逃げてそのまま押し切る強い競馬でマークしてきました。
 レースぶりとしてはハイランドリールみたいでとても強かったのですが、この馬とて英国のGⅠ戦線では掲示板止まりの善戦マンでしたので、この意味でもやはりイギリスのほうが全体的に強そう、というのを裏付けてくるのかなと。
 今度英国際Sにバーニーロイとチャーチルが出てくるようですけど、2000m近辺ならバーニーロイが一番3歳牡馬の中では強いかな、と贔屓目抜きに思います。

 ただこのエミネントも、こういう思い切った競馬で開眼してきたところもありそうですし、またフランケルの仔ですので、そこそこ時計が出る良馬場に向いていた、というのもありそうです。
 ブラムトとしても、ある程度コーナーからペースが上がって後半の持続力勝負、という中で、あの位置から押し上げるのは至難ですし、休み明けで擁護できるところもありますが、やはりスタートは改善されておらず、距離適性的にも疑問符がつく中で、凱旋門賞よりは2000m路線を選びそうな感じもありますね。
 相手関係的にも、古馬や英国の3歳勢と当たったら苦しいところはありそうです。

**★ゴントー・ビロン賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=_y6458x-l20)**

 そして同日のGⅢ戦で、去年欧州の2000m路線を席巻したアルマンゾルがようやく復帰してきたのですけれど、こちらも往時の鋭い差し足は見る影もなく最下位5着同着に敗れてしまいました。
 
 しかしこのレース、本当に上のレースと同じ日?ってくらい、メンバーの走路も違えば時計も平凡、前半1400m1,30,31の超スローながら上がりも35,80と平凡で、それなのにある程度のポジションから内目に潜って、全くいい脚を引き出せずに惨敗というのはうーん、って感じです。
 元々英愛チャンピオンSも渋った馬場でハイペース、というところから、ハイペースの差し馬的な要素はあったと思うのですけど、それにしたって走らなさすぎで、やはりウイルス感染症などの影響が尾を引いているのか、という感じですね。
 流石にこの有様ですとすぐに立て直して、というのも難しそうですし、実際にブラムトとアルマンゾルはブックメーカーの凱旋門賞人気が一気に急落したようですね。現状イネーブル一強扱いですが、あの馬もまだ良馬場時計勝負の2400mは未知数だけに、今年はかなり混沌とした情勢がレース直前まで続きそうです。
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2017 ブリーダーズゴールドカップ レース回顧

 お盆の交流重賞三連戦の末尾を飾るブリーダーズゴールドカップは、二番手から積極的にレースを進めたマイティティーが、圧倒的な一番人気のクイーンマンボの追撃を辛くもしのぎ切って、嬉しい重賞初制覇となりました。レースを振り返りましょう。

 馬場状態は重ですが、それでも全体的に時計は掛かっていて、後半のレースでもハロン12,5を軽く超えてくるレースばかりでしたので、それだけパワーを問われる条件なのは間違いなかったでしょう。
 これは余談ですけど、この日の1200m戦の一番時計が、3Rの2歳新馬戦のアンジュキッスの1,14,2で、このレースは2着まで大差、そこから3着までも大差、なんてとんでもなレースになってますので、これはかなり強い馬かもしれませんね。エーデルワイス賞に出てきたらチャンスが充分に有りそうな走りぶりでした。

 ともあれそういう特殊なコンディションの中で、展開は内からビービーバーレルがかなり勢いよく出していき、それに外からマイティティーが追いかけていくという形で、この2頭がちょっと予想外に大きく後続を引き離してハイペースを演出していきます。
 クイーンマンボは普通に出て、外から三番手に入ってきたタイニーダンサーの後ろあたり、3、4着に食い込んだオージャイトとスルターナ、地元期待のジュエルクイーンはそれをマークする位置で進めていて、1000m通過地点では前と後ろで6~7馬身の差がついていましたね。

 レースラップは細かくは出ませんのでなんともですが、勝ち時計が2,08,4(12,84)で、上がり3Fが40,6(13,53)なので、最初の1400mは87,8(12,54)という計算になります。
 当然前半は前の2頭がかなり飛ばして逃げていたのでハイペースには間違いないのですが、後続も残り1000m付近からは前を追い掛けて、残り600m通過時点ではマイティティーとクイーンマンボの差はもう1馬身程度でしたので、どの地点で足を使ったかはともかくとしても、全体的に前傾の流れで、ラストは明確にズブズブの消耗戦になっていると言えるでしょう。

 1000-600m地点でもう前のペースはかなり落ちていたかもしれませんが、それでもこれだけの流れを追走して、かつロンスパ気味に押し上げる形は牝馬戦らしからぬ、このレースの傾向ともちょっと違う、かなりタフなレースになっていて、それなりに高いパワーを要する追走力と、潜在的なスタミナ・持久力を特化的に求められたレースになっていると思います。

 そしてここでマイティティーが勝ち切るところまで来るとは流石に驚きでしたね。
 勿論潜在能力は高く評価している馬で、この相手ならきちんと走ればこれくらいやれて不思議ない馬ではありましたが、にしても近走が不甲斐無い競馬続きだったので、こうまでガラリ一変を強気に狙い難かったのはあります。対抗も考えたんだけどなぁ。

 好走要因として、まずは距離延長が噛み合ったのはあると思います。
 去年の好調時も、明らかに一番強かったのは1900mの愛宕特別であり、相対的に前半ゆったりめのスピードで入っていくことで、後半のしぶとさを遺憾なく発揮できる、という面が元々あったのを、今回は上手く引き出せたのではないか、と思います。
 ただそれでも今まではハイペースになると厳しいタイプと思っていたんですが、ここまで距離があって馬場が重いと、絶対的な平均速度の低下でそのあたりを補えた可能性もあるでしょう。

 あと、この馬は基本的に被されるのが苦手というのもありそうで、前走なども休み明けで息が出来ていなかったのはあれ、距離が足りなくて追走で一杯になりかかったところを一気にジンソクにこられて気持ちが切れた感じでした。
 冬の交流重賞もそんな雰囲気はありましたし、今回は全体のペースを引き上げることで、対クイーンマンボでアドバンテージを上手く作りつつ、ギリギリ外から被されない距離感を保ってスパートできていて、それがラスト1Fまでしぶとく粘り込めた要因なのかなと思います。
 それに、本質的に夏に調子を上げるタイプなのかも、とも思えて、様々な要因が綺麗に噛み合っての一気の復活劇、という感じですね。

 正直好走スポット自体はあまり広くない感じですが、今日のイメージからすると逃げに拘るよりは横の位置取り、被されない位置で速い流れを主導して、かつ自分から動いていく競馬がベストなんだろうと感じます。
 1800mだと微妙に短いし、相手も強くなるところでの難しさは感じますが、やはり素材としては牝馬ダート路線なら充分最上位で戦える力はあると再認識しましたし、噛み合いそうな条件なら積極的に狙っていきたいですね。

 2着のクイーンマンボは、正直もっと落ち着いた流れになると思っていたので、そこが誤算ではありました。
 兵庫CSでもバランス的にハイで、なし崩しに足を使わされる展開の中で最後甘くなったように、持久力面ではそこまで凄みはなく、前走のように前半ゆったり入ることで後半の鋭さを引き出すのが本質だと思っていますので、このラップ推移からすると、まぁ負けてしまったのもわからないではない、とは感じます。
 とはいえ流石にここは勝ち切って欲しかったですし、展開に注文がつくところも結構ある、追走面でも絶対的な部分でも相対的にも無理できないのは見えてきたので、このあたりでのもう一段の成長は欲しいですね。
 少なくとも大井のダート1800mあたりで、前が速い流れになったらかなり甘くなりそうな印象で、そういう展開ならアンジュデジールの方が強いかなぁと改めて思いました。

 3着オージャイトは福永Jらしくタイトに経済コースを回ってきて、前につらい流れに上手く噛み合わせてという感じで、このあたりのそつのなさは流石ですね。昨日は佐賀で乗っていたのにご苦労様です。
 とはいえ馬自身はやはり1000万下の馬ですから、かなり噛み合ってこの着差は決定的ですし、メンバーが揃う所ではまだどうにもならないでしょうね。

 4着スルターナも同様に、流石に今の牝馬交流重賞でも、もう少し地力をつけたいところです。ただこちらの方が多分レースの内容や距離延長ねタフな馬場で噛み合っていないので、1800mの大井・レディスプレリュードあたりでちょっと見てみたい気持ちはありますね。
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2017 8月第2週新馬戦など レース回顧(日曜編)

**★8/13(日) 新潟5R 芝1600m戦**

 少し雨の影響が残った新潟芝コースでの新馬戦は、シンボリクリスエス産駒の伏兵クレバーバードが番手から楽に抜け出して快勝しました。
 しかしこの土日は、この馬のみならず清水厩舎の2歳馬が良く走りましたね。その他にも重賞ウィナーになったカシアスもいますし、やはり厩舎に強い看板馬がいると、その相乗効果で全体が底上げされるというのはあるのでしょうか。

 ともあれ、時計水準としては良馬場だけど多少重いイメージで、関屋記念の内容などから考えても0,5秒くらいの馬場差は見てもいいのかなと感じます。
 ややバラっとしたスタートの中、一番いいくらいの出足だったクレバーバードは、内からアイスフェアリーを行かせて楽に番手外を確保します。
 その外に2着のブラックジルベルトが入って、ポケットには内から人気薄の3着マイネルテンプスが押し上げてきました。
 人気の4着パクスアメリカーナは、外枠もあり序盤は好位の外目で前の馬を見る形、他の人気どころではククルカンあたりは明確に出遅れて後ろからの競馬となっていましたね。
 
 ラップは37,5(12,5)-25,8(12,9)-33,7(11,23)=1,37,0(12,12)という推移になっていました。
 馬場の影響もあったとはいえ、隊列がすぐに決まってペースはてんで上がらず、序盤・中盤共にかなり遅い、新馬戦らしい流れからの後半3F勝負になっています。
 ラスト4Fが12,6-11,4-10,6-11,7と、コーナーでは上がり切らずに直線向いてからの加速勝負になっていて、その分基本的には外目から前をずっと向けていた馬が有利だったとは思います。無論能力差もあるでしょうが、結果的に上位は外目の枠で外を回した馬ばかりですからね。
 ともかくこの馬場の中で加速力と瞬発力はそこそこ問われていて、かなりスローでしたので持続面では大分楽だったとは思います。序盤のポジショニングセンスと機動性がそのまま結果に反映しているかなって感じですね。

 勝ったクレバーバードは、名前の通り非常に賢そうな馬ですね。
 スタートセンスも抜群で、番手につけての折り合いもバッチリ、コーナー出口あたりからじわっと引き上げて早めに先頭に立つと、後半要素でも総合的に非凡なものを見せて後続を全く寄せ付けない完封勝利でした。
 ボリクリの仔なので、少しでも渋った馬場になったのも向いたところはあるかもですし、ペースは極端にスローですので、ペースが引き上がってこのポジショニングの良さが噛み合ってくるかは未知数ですが、先々面白い一頭に化けるかもしれない、という雰囲気を持っていたと思います。

 2着のブラックジルベルトも、勝ち馬に対しては枠の差で一頭分外ではありましたし、要所の反応で少しズブさを見せていました。
 最後の1Fの伸びはこちらの方が優秀で、ノヴェリストの仔っぽいしぶとさ、アデイインザライフの下らしい持続面での良さの片鱗は見せましたが、このレースでは価値馬のセンスに完敗でしたね。
 この日はスローだったので、楽に押し上げる形でポジションを確保できましたが、ペースが上がったり揉まれたりするとちょっと不安がありそうで、どちらかと言えば1800mの方が楽に競馬が出来るタイプではないかと思います。

 3着のマイネルテンプスも、エントリーチケットの下らしい堅実さを感じさせる走りでしたね。
 上位勢ではこの馬だけがインで待たされる格好ではありましたが、クレバーバードが早めに動いて抜け出してくれたのでスペース自体は楽に確保できましたし、流石にそこからどの地点でも上位を脅かす脚は使えませんでしたが、外差し勢の食い込みを凌ぎ切ったのは一定の評価が出来るかなと考えます。
 こういう器用な立ち回りが出来るなら、コーナーでペースが引き上がる展開で良さが出てきそうですし、地味なので次もあまり人気はしないかもですが、そんなに大崩れするイメージは持ちにくい馬ですね。

 4着パクスアメリカーナは、とりあえず帝国建設の第一歩に躓いた、というところでしょうか。
 ホエールキャプチャの下なので、ある程度俊敏さや早熟性もあるかなと思いましたけど、レースを見た限りではまだ動きももっさりしていますし、反応が鈍くて要所で置かれ、内に刺さったりと若さも見せているので、これからの馬、って印象です。

 この馬も含め、外を回して掲示板争いだった馬は、素材的には面白いかもですが、このコースですとポジショニングの面でプラスアルファがないと、ペース次第では脆い事になる可能性も秘めているので、その辺は展開踏まえつつ注意が必要ですかね。

**★8/13(日) 新潟6R ダート1800m戦**

 去年はあのエピカリスが勝ったレースで、今年も萩原厩舎から大物誕生を予感させる一頭・ルヴァンスレーヴが破天荒な競馬で勝ち上がりましたね。
 先週もそうですが、新潟のダートは例年よりちょっと重めで、この日も稍重と、少し渋りが残ってやっと標準的、というくらいだったかなと思います。
 2Rの未勝利戦が明確に出し切る消耗競馬で1,55,8でしたので、2歳の新馬としては1,54,8は相当の水準にあると言えるでしょう。

 展開は、まず珍名馬ラジオタイソウが朝一番だけ張り切るがごとくにハナを取り、その直後に2着のビックスモーキーがつけていきます。
 人気のルヴァンスレーヴに3着ゴライアスは揃って出遅れ、特にルヴァンスレーヴは確実に3~4馬身はスタートで置かれてから、大外に持ち出しじわじわとリカバーする形で進めていきます。
 2コーナーから向こう正面でガクンとペースが落ちたところで、外からルヴァンスレーヴが、ドバイワールドカップのヴィクトワールピサみたいな捲りで一気に先頭列に押し上げ、それにゴライアスもついていって、逆にビックスモーキーはその動きに合わせず少し待つ形でレース後半に入っていきましたね。

 ラップは37,8(12,6)-38,5(12,83)-38,5(12,83)=1,54,8(12,76)という推移でした。
 序盤に加速する分を除けば全体のバランスは平均ペースですが、スタートから3,4F目が13秒台後半とかなり落ち込んでいて、そこで勝ち馬と3着馬はフラットに押し上げることに成功していて、そこからは平均的に12秒後半を刻み続けるロンスパ持久力戦になっていますね。
 少なくとも3コーナー過ぎから押し上げる形で入っていくのは無茶という流れですし、最初から前にいたビックスモーキーに、向こう正面で前に取りついたルヴァンスレーヴとゴライアスは理に適った競馬をしていて、かつ明らかにこの3頭は能力が抜けていた、と言えそうです。

 当然その中でも勝ったルヴァンスレーヴは破格で、このペースであれだけ向こう正面から長い足を使いつつ、急角度の4コーナーで一旦緩んだペースを自力で12,9-12,6と加速させており、それだけの余力があることがまず驚きでしたね。
 ラストも13,0とほとんど落とさずに突き抜けていて、この馬以外は確実に前傾消耗戦になっているのに、1頭だけ追走面でも機動力でも余裕があり過ぎました。これは本当に、スタート以外は文句のつけようのない強い競馬だったと思います。

 こちらもボリクリの仔ですが、やはり芝ダート問わずパワーが求められる時の方が強い印象はあって、この先よりスピードを問われてどうかはなんともですが、まず順調なら2歳ダート路線の主役になってくる馬でしょう。本当に楽しみですね。

 2着のビックスモーキーは、有力馬が動く中でしっかり溜めを効かせて我慢が出来ており、コーナーでもムリせず入っていった分、自身は消耗ラップでも、ルヴァンスレーヴを負かしに行ったゴライアスを食えたのかな、と感じます。
 スケール感ではゴライアスのほうが、とも思いますが、レースぶりは一番堅実でしたし、ゴライアスがいない組み合わせの未勝利なら確勝級でしょうね。

 3着ゴライアスもルヴァンスレーヴの競馬に付き合う形で最後はガス欠になったものの、この時期の新馬としては充分に強い競馬でした。
 ライジングリーズンの下らしい反応の良さは見せていましたし、こちらも先々が楽しみになる一頭ではありますね。

**★8/13(日) 小倉1R 芝1200m未勝利戦**

 このレースはアサクサゲンキが33,6-35,2とハイペースの流れで後続を千切り、1,08,8の好時計で勝利してきました。
 フェニックス賞でジュンドリームがなにもなかったのでその辺判断が難しいですが、この馬としては緩んで再加速の度合いを強く問われるよりは、アメリカ血統らしくガンガン飛ばして粘り込む方が強そうですし、小倉2歳に出てきて、ローテーション的にあまり注目されないならば、穴馬として覚えておいてもいいかもしれないとは思いますね。

**★8/13(日) 小倉5R 芝1200m戦**

 こちらは開催も進んでやや小粒なメンバー構成の中、異色のフサイチセブン産駒・スーサンドンがミドルペースに持ち込みスイスイと逃げ切りました。

 ラップは35,5(11,83)-34,6(11,53)=1,10,1(11,68)と正直かなり遅く、その分後半で11,6-11,3-11,7と綺麗に加速を決めて出し抜いていますが、その幅にも強烈さはないのでなんとも、ですね。
 スタートからの動きは良かったですが、ペースは遅い中での相対的なものですし、むしろこの競馬内容からすればもう少し距離があった方がいいのかなと感じます。
 スーサンジョイの下で、フサイチセブンもゴリゴリのアメリカ血統ですし、いずれはダート短距離で、というイメージが強く、少なくとも芝1200mの前傾スプリント勝負に合うかは難しいところですね。

**★8/13(日) 札幌5R 芝1800m戦**

 ここはデビュー前から評判を集めていた、バウンスシャッセの下のハーツクライ産駒・フラットレーが、外からほぼ馬なりで楽に前を飲み込み、噂に違わぬ大物ぶりをアピールしました。
 この日の札幌の馬場は、前の日よりは少しは回復していたと思います。
 9Rの500万下が平均で1,50,2、10RのHTB賞が62,5-59,6のロンスパ持久力戦で2,02,1でしたので、大体1,5秒くらいは時計がかかっているイメージでしょうか。

 しかし、敢えてひとつ記事枠埋めて書くほどでもないのでここで書きますが、ディアドラがこんなところで復帰してくるとは、って感じで、しかしラヴィエベールを外から正攻法で捻じ伏せたのは52kgとはいえ流石のパフォーマンスでした。
 本当にどんな競馬でも対応してきますし、スピード勝負も強いので、秋華賞は穴馬(になってくれるか、この勝利で微妙なところですが)として期待しているのですが、強いて言うと復帰して-12kgってのは嫌ですね。その意味では次のレース自体は少し懐疑的になりたくなります。

 閑話休題、新馬の話に戻りましょう。
 レース展開は、内から伏兵2頭が飛び出して逃げる中、外から2着に入ったマツカゼが三番手に進出、フラットレーも最序盤はそれに付き合う形を見せましたが、すぐにスッと下げて中団の外目、いつでも動けるポジションをキープします。
 3着ラティーノヒート、4着チェルヴァは、やや内目の枠が祟って出足も一歩、その分リカバーする余地が少なく中団やや後ろのインというポジションでレースを進めていくことになりました。

 ラップは36,6(12,2)-38,1(12,7)-36,6(12,2)=1,52,3(12,48)という推移でした。
 バランス的には綺麗な平均、中盤に新馬らしい中緩みがはっきりあって、そこからじわっと加速しつつの後半の持久力勝負ですが、他の馬がペースを引き上げる余力がなかったのに対し、直線だけの競馬で突き抜けたフラットレーだけラスト1F11,9とスピードアップしていて、そのあたりを見ても比較的総合力・素材面が問われる中で文字通り物が違うレースをしてきたのは確かだと思います。

 フラットレーは血統的に、この馬場に対する適応力もあったでしょうが、レースぶりはまるでレイエンダの焼き直しのような楽走でしたね。
 序盤はゆったり目に入って折り合いにも難しさはなさそうでしたし、一応淡々と一貫したペースで流れている中でも、大外を回して楽に前に取りつき、直線も軽く促す程度であっさり粘り込むマツカゼを捉えてきました。
 自身のラスト3Fは12,2-11,8-11,8くらいかな、というところで、実質的にはコーナー大外ですのでこっちが最速かもですが、それでも直線はまだまだ余力充分、より距離が長いレースの予行演習的な走りでしたし、こういう馬場では強いのは確実に分かりました。

 一方で当然軽い馬場での追走面や加速力の質などは未知数ですので、改めて秋の府中で真価を問いたいところですね。
 ハーツの仔の割にこの時期にここまで完成度が高いのは本当に珍しいと思いますし、順調に育っていけばダービー、という言葉を意識できる素材なのは間違いないと思います。

 2着のマツカゼも悪くない競馬で、平均気味の流れを前目から追走し、コーナーでは早々と先頭に躍り出て粘り込む、正攻法の競馬で挑みましたが、ここは流石に相手が悪かったと言えるでしょう。
 機動力面やポジショニングの良さは今後も武器になりそうで、馬場悪化しても走れたのも含めて、次はかなり期待値の高いことにはなるでしょうね。アメリカ血統でパワーは十二分にありそうなので、いずれ芝で頭打ちならダートでも、という感はあり、芝ですとこの日みたいに早めに仕掛けて、あまり切れ味勝負にしないなどの工夫がいるタイプかもしれないと思います。

 チェルヴァはキンカメの仔でビッシュの下ですけど、あの走りの感じですと良馬場でこそ、という感覚はありますね。
 距離的にももう少し短め、マイルあたりがベストの気はしますし、牝馬同士なら巻き返してくるでしょう。
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2017 サマーチャンピオン レース回顧

 アドミラブルの復帰予定来年秋ってなんですかぁ~~、と悲しみに包まれつつ、サマーチャンピオンのレース回顧に移りましょう。
 画面で見ている限りは分かりづらいですが、表記は不良でそこそこ時計の出るコンディションだった当レースは、好位から直線でしぶとく抜け出したラインシュナイダーが、タムロミラクルの追い込みをギリギリ凌いで、1600万での勝ち切れなさが嘘のように重賞制覇にあっさり辿り着きました。レースを振り返ります。

 展開は、外からウインムートが好スタートを決めて、一気にハナに立つ積極策に出ました。
 内のグレイスフルリープは出足鈍く、マサヤもそれほど積極的ではない中、予想外の出足の良さを見せたのは中目の枠の古豪レーザーバレットで、この馬が番手外を取り切ります。
 そして一歩目が遅かったラインシュナイダーもそこからリカバーしてレーザーバレットの外三番手を確保し、その後ろにグレイスフルリープが入っていって、タムロミラクルは最序盤はゆったり馬群の中団あたりで前の動きを睨む格好でレースを進めていましたね。

 レースラップは37,4(12,47)-12,4-36,3(12,1)=1,26,1(12,3)という推移でした。
 見ている限りではそこそこ流れているのかな、と思ったのですが、実はかなりスローの展開だったようですね。全体時計が不良馬場の割にはそこまででもないのもその点で納得できますし、ある程度後半勝負の色合いが強い中で、コーナーでの機動力と一瞬の決め脚が結果に直結した感じがしています。

 勝ったラインシュナイダーは、序盤の攻防でやや後手に回って外々になった時点で苦しいか、と思ったのですが、緩いペースにも助けられ、上手くコーナーで外からじわじわとエンジンを掛けて、この馬の武器である機動力と安定感をフルに引き出してきましたね。
 レーザーバレットが早めに潰れてくれたのも良かったとは思いますが、それでもこの競馬で外から捻じ伏せて、追い込みも凌いでいるのですから中々に強く、或いは中央以上に地方の深い砂、急コーナーの適正が高かったのかな、とも感じさせる走りでした。
 今回は斤量的にも一番恵まれていましたし、元々勝ち味に遅いタイプですので、今後も大崩れはしないけど、という感じにはなると思いますが、まずは適性のある交流ドサ回りで着々と力をつけていって欲しいですね。

 2着のタムロミラクルも、やっぱり前半ゆったり入れるパターンなら1400mでも後半勝負で強さを引き出せますね。
 序盤は上手く馬群の中でリズムを守って、向こう正面から一気に仕掛けてコーナーでも勢いを殺さず長い脚を使ってきました。
 流石に最後までその鋭さを引き出しきれなかったのはありますが、距離適性の幅はそれなりに広げてきて、かつ決め脚比べになればチャンスが出てくるのはあらためて証明しました。
 こういうタイプの天敵は、前半からガンガン飛ばしてスピードで押し切るタイプになるわけで、このレースに限って言えば、そういう競馬をすれば一番強かったはずのウインムートが溜め逃げをしてくれたのもプラスに働いたと思います。

 3着ウインムートは、上でも書きましたがまずペースを落とし過ぎた部分はあると思います。
 ダートスタートも何ら問題なく、外枠から楽にハナを取り切れていて、この時点では楽勝するかな、と感じたのですが、向こう正面からびっしりレーザーとラインに貼りつかれ、中々出し抜くことも出来ずに目標にされる苦しい競馬になりました。
 どうしても内目で閉じ込められている分だけスピードにも乗せにくい、という形で、外から惰性で伸びてきた2頭には太刀打ちできず、地力は見せたもののこの3着は、昨日のサイタに似て歯痒いものがある内容ですね。

 どうしてもサンプルが中京戦しかないわけですが、あのレースはかなりしっかり前傾ラップで組み立てつつも、そこから確実にもう一足加速する余力を残していたわけで、こういう後傾戦で同じだけの良さが出るとは限らなかったのはあります。
 結果的に前半緩め過ぎたことで、後ろの馬にかなり楽に取りつかせてしまっていますし、この馬自身も小回り適正や深い砂、コーナー加速性能などは上位2頭に比べると足りなかった、とも言えるでしょう。

 このあたりはどうしても初めての競馬場で適性ペースがわからないホワイトJ、という部分が弱みになったと思いますし、そこを百戦錬磨の武Jにうまく利用された感じはあります。
 馬自身はあれだけスタートがいいので、地方小回りでもある程度しっかりペースを作る意識を持って入っていければ、充分に高いレベルでも戦える素地はあると思っていますので、次に期待ですね。

 4着レーザーバレットは、出足の鋭さには驚かされましたが、しかしこのペースでも追走一杯になってしまうあたり、基本的にはこういう形の競馬は噛み合いにくく、能力自体も下降線で斤量も辛かった、と見做していいでしょう。
 どちらかと言えば後半勝負の機動力面で負けた、という考え方も出来ますので、この馬の得意なややハイからの自身平均での粘り差し、という形が嵌ればまだやれるかもしれませんが、圏内まで食い込むための好走のスポットは大分狭くなってきているとは感じますね。



 
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2017 8月第2週新馬戦など レース回顧(土曜編)

**★8/12(土) 新潟5R 芝1800m戦**

 このレースでは、フランケル×ウオッカという豪儀な配合のタニノフランケル(けど命名が安直過ぎませんかね。。。)が人気を集めましたが、それを外から正攻法で、人気薄のタートルボウル産駒・サクステッドが差し切り初勝利を飾りました。

 この日の新潟の芝はほぼ終日稍重でしたが、時計自体はそこそこは出ていました。
 1Rの2歳未勝利戦がややスローでの1,48,8、10Rの牝馬限定1000万下三面川特別もやはりややスローで1,46,1でしたので、馬場水準としては午前中の方が、というのを差し引いても0,5秒程度かな、とは思います。

 レース展開は、まず注目のタニノフランケルが、衆目を引くロケットスタートを決めて1馬身リード、そのままスピードに乗って内に切れ込み、ハナを取ってペースをコントロールしていきます。
 それをやはりいいスタートだったサクステッドと、間からブルベアが追いかけ、そこに出遅れ気味のスタートだったヴォウジラールやミッキーパパイアが押し上げてきて、最終的にブルベアがハナ、ミッキーが番手外につけ、タニノフランケルは少し下げて2列目ポケットで我慢する形になります。
 外からの出入りが激しかったものの、サクステッドは折り合いを欠くこともなく淡々と2列目の外につけて、進出の機会を伺っていました。

 ラップは36,5(12,17)-38,1(12,7)-33,9(11,3)=1,48,5(12,06)という推移でした。
 新馬戦の割には序盤は入れ替わりがあったりでそこそこ流れ、その分中盤で顕著に中緩みしていて、後半は加速力面を強く伴う3F戦になっています。
 このレースは新潟外回りで3F戦になった時のわかりやすい傾向通りの結果になっているなと思っていまして、後半4Fが12,9-11,4-10,6-11,9という推移の中、緩い4コーナーで早めに外から押し上げたサクステッドが、ポケットで追い出しを待たされたタニノフランケルを凌いでいます。
 
 例えば上で触れたレッドアヴァンセの勝った三面川特別は、後半が12,3-11,7-11,3-10,6-11,8という推移になっていて、ラスト3Fのラップはこの新馬と似通っていますが、800-600m地点で既に加速してそこそこ速いラップを踏んでいます。
 こうなると、前にスペースが出来て勢いをつけやすい内を立ち回った馬が、外を回してロスを作った馬より優位になりやすいですが、逆にコーナーで遅いラップ、直線向いてから一気に加速、ですと、内でブレーキしながら待たされた馬よりは、外から早めにエンジンを掛けた馬が強い、この辺りはほぼ新潟外回りの普遍的なパターンになりつつあると感じますので、覚えておいて損はないと思います。
 裏を返せば、そのパターンを覆して勝てるような馬、或いは噛み合っているのに負けた馬の次の取捨なども見極めやすいですし、その観点で言えばタニノフランケルは決して悲観的な負け方ではなかった、と言えるでしょう。

 もっとも、勝ったサクステッドが思った以上に強かったのは間違いないと思います。
 スタートからのポジショニングも折り合いも良くて、中盤からの緩みにも苦も無く対応できていて、非常に操縦性が高い優等生タイプです。
 その上しっかり残り800mから外を回して一気に進出、この合図に対する機敏さも中々ですし、このコーナーの立ち回りだけで、タニノフランケルと2馬身差くらいあったのを、逆に1,5馬身差つけるくらいまで広げていて、能力が互角ならこの立ち回りの差で勝負あり、だったと言えるでしょう。

 ラスト3Fも最速10,6はこの日の馬場を踏まえれば中々優秀ですし、かつラスト1Fを11,9と、12秒を切る時計でまとめてきたのも中々の持続力ではないかと感じます。
 レースセンスもいいし、素材としても面白く、未勝利の時計を後半要素だけで楽々上回ってきていますし、これは楽しみな1頭になるかも、と思いましたね。
 血統的にはタートルボウル×タキオンで中々地味、兄弟も走っていないので先を見据えてどうかはなんともですけれど、どういう競馬になっても大崩れするタイプには感じませんし、次も非常に楽しみです。距離はこのくらいがべストに感じました。

 2着のタニノフランケルもいい競馬はしています。
 この大型に出やすい血統で、デムーロJでもあったのにあのロケットスタートは目を瞠るものがありましたし、そこからのコントロールもしっかり出来ていました。
 敗因としてはポケットからの動き出しが遅れたことに尽きると思いますし、実質ラスト3Fではこちらの方が上、というのでもわかるように、持っている能力自体は互角だと感じます。むしろこちらの方が待たされていた分、加速力や瞬発力要素では上かも、というのはありますね。

 まだ馬体は余裕がありそうでしたし、叩いてガラッと変わってくれば面白い馬になっていくと思います。
 フランケルの仔だけに、こういう少し渋った馬場もプラスではなかったでしょうし、次は良馬場で外から出し切る競馬でどこまでやれるか、その潜在能力をしっかり見せて欲しいですね。

 3着ヴォウジラールは、そんなに緩くないところでリカバーしてからブレーキ、と、やや前半ちぐはぐな形になっていますが、それでも外から勢いをつけられる態勢には入っていましたし、それでラスト3Fどの地点でも上位2頭には少しずつ足りていないので、絶対能力的には、とは感じます。
 この日は出負けもありましたし、成長力のある血統ですので、レースレベルも考えれば未勝利クラスならチャンスは充分に有ると思いますが、それ以上となると競馬の内容や身体的な面でもう一回り強さが欲しいですね。

 むしろ4着のオウケンムーンが面白い競馬でした。
 スタートはまず五分に出ていたと思うのですが、外主導の流れでどんどんポジションが後ろになってしまい、勝負所でも中々外に出せずに直線入り口ではやや離された最後方、と絶望的なポジションでしたが、そこから猛然と伸びてきました。
 最速地点でこそそんなに詰めてはいませんが、ラスト1Fは上位2頭に対しても2~3馬身差くらいは詰めてきていて、この馬の上がりは11,4-10,6-11,4くらいでしょうか。いかにもトニービン血統らしい、中々いい持続力を見せていたので、直線の長い左回りコースで、もう少し序盤の立ち回りで恵まれればすぐにチャンスは回ってくると思います。

**★8/12(土) 小倉5R ダート1000m戦**

 このレースでは、逃げ込みを図ったペガッソを最後猛然と詰めたヒロシゲゴールドが差し切りました。
 この日の小倉のダートはかなり重くて、未勝利1000m戦でも上位2頭ぶっちぎりで59,8止まり、メインの1700mも1,45,2でしたので、その点でこの1,01,1はそこまで遅くはないと感じます。
 展開は外目の馬が好スタート、枠の差を利してペガッソがハナを取り、一貫消耗戦に持ち込んで外の馬を振り切ったところを、インを上手く立ち回ったヒロシゲとクインズが急襲、という形でしたね。

 ラップ的には23,6(11,8)-12,3-25,2(12,6)=1,01,1(12,22)と綺麗な減速戦ですし、そんなに内外の差はなかったとは思いますが、それなりにタフなレースだったのは確かでしょうし、距離適性的にも本質的にはもうちょっとあっても、という馬の方が走りやすかったかもしれません。
 
 ヒロシゲゴールドは4枠からインベタで少し離れた中団前、と、自分のリズムを守れる絶好位でしたし、直線も外の馬がばらけていく中でスムーズに進路を確保できました。
 前でペガッソがちょっと色々あったとはいえ、ラスト自身は加速ラップで差し込んでいると思えるので、もう少し距離があっても対応できるでしょうし、時計も悪くないので500万レベルなら、とは思いますね。

 ペガッソは軽快に逃げて、しぶとくマークされつつも直線で振り切るまでは良かったですが、少し苦しがって(?)外に逃避するところで手綱を緩めてしまい、結果的に差し込まれる事案になりました。
 まあ騎乗停止判断となっているので油断騎乗なのは確かでしょうが、でも新馬でああいう危うい挙動を見せられた後に、すぐしっかり追うのが怖いというのもわからないではないですし、そこで少し迷って外を見たら一気に来ていて、それで慌てて追い出したという形自体の心証が悪かったのかなと。
 ダート戦はスタートが命のところもありますし、次に必ず勝てるとも言い切れないくらいの力差の中でのこの負けは痛いのは確かでしょうが、馬のセンスは悪くないと感じましたので何とか次、綺麗に巻き返して欲しいですね。

 3着クインズカトレアは減量の恩恵がありつつダッシュはつかず、ラストも進路取りにややもたつくところがあったので勿体ない競馬ではありました。
 この感じですと1000m戦では安定しない感じはありますし、こちらも距離延長の方がいいかな、という気はしています。

**★8/12(土) 札幌1R ダート1700m戦**

 ここは芝から転戦してきたサージュミノルとハヤブサレジェンドの一騎打ちになり、枠の差を利して逃げたサージュがギリギリ粘り込んで、2歳レコードでの勝利になりました。
 全体のバランスとしてはややハイですが、ラスト3Fで12,7-12,4-12,8と加速する余力を残しており、ラスト1Fもそんなに落としていないので、後続が千切れるのも納得の強いパフォーマンスでしたね。

 全体時計の1,44,9も優秀で、当日この後雨が降り続いて不良まで行きますが、他の500万下戦で1,44,0を切ってきたのは、ケタ違いに千切ってきたケルティックソードだけですので、その点でも評価出来ます。
 しかしここでは負けたとはいえ、ハヤブサの馬はこないだのマカオーも含めて、やけに北海道シリーズの1700mで強い競馬を見せますね。
 さしあたりそのマカオーとこの2頭、それに日曜の新潟1800mでぶっちぎってきたルヴァンスあたりは、今後のダート中距離路線でかなりいいところまでいける器ではないかと思います。

**★8/12(土) 札幌5R 芝1500m戦**

 重馬場で行われた牝馬限定の一戦は、一貫した波の少ない平均ペースの中で、好位追走したハイヒールがしぶとく抜け出し初勝利を飾りました。

 馬場は全体的に2~3秒くらいかかる状況でしたので、時計的にはまず水準くらいだと思います。
 展開は外主導の流れ、4着マイラティーシャが逃げて番手に大外の2着馬サヤカチャン、その後ろにハイヒールがつけて、最後3着に食い込んできたネオヴォイスが内目からリカバーして先団、という形で、馬場にしてはそこそこ流れる中、この先行勢がそのまま雪崩れ込む結果になりました。

 ラップは30,2(12,07)-24,3(12,15)-37,0(12,33)=1,32,5(12,18)という推移でした。
 見ての通りにややハイ気味の平均ペース、ラスト1Fだけはかなり消耗して12,7ですが、それ以外は淡々と12,0~4の間を刻んでいて、タフな馬場での追走力と持久力面を強く問われています。

 勝ったハイヒールはその中で、勝負所から外を通して最後までしぶとく伸び切り押し切っていて、持久力と底力をそれなりに感じさせる内容でした。
 血統的にはホマレボシなので、良馬場でも良さが出そうな感じもありますが、このレースではその辺全く問われていないのでそれは今後の課題ですね。ある程度の追走力は見せているので、1400m~1600mあたりで楽しめそうです。

 
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2017 クラスターC レース回顧

 思った以上に雨が降り、程よく湿った超高速馬場での開催になったクラスターカップは、地方移籍2戦目のブルドックボスが、地元期待のラブバレットを最後際どく差し切り、去年2着の雪辱を果たす初重賞制覇となりました。レースを振り返りましょう。

 馬場は最初の時点でダートは重、このレースの時点では稍重まで回復したものの、逆にスピードは非常に出やすい馬場になっていたと思います。
 他のレースでも前日より軒並み1~2秒速い時計が出ていましたし、それならばこの1,08,8という超高速レコード決着も頷ける所です。

 レース展開は、典型的な逃げ馬がいない中で、序盤はみんながやや探り探り、という形で入っていきます。
 外からラブバレットは好スタートでしたが、一気に逃げの形はとらずに内の出方を窺っていて、そしてカミノがやや出負けした事でハナを切る馬がどれか、と一瞬牽制し合う格好になります。
 その間隙をつくというか、それならばと思い切って、出足はやや遅かったものの二の足を効かせたサイタスリーレッドがここでハナに立つ選択をし、それを奇貨としたラブバレットがスーッとついていって絶好の番手外を取り切ります。

 ブルドックボスも出足は今一歩でしたが、しっかり押してリカバーし狙い通りの2列目ポケットを確保したのに対し、ショコラブランはやはり二の足でサイタに前に入られてしまい、なんとか2列目の中目までは押し上げるものの、やや入りでスムーズさを欠いたところはありました。
 その後ろにキクノとタイセイがつけて、その後ろは大きく離れる、交流重賞らしい分断された競馬となりました。

 ラップは上がり時計しか出ないのでなんともですが、一応バランスとしては34,4-34,4と綺麗な平均ペースで、そしておそらく600-400m地点のコーナーで結構ペースが上がって、ラストは少し消耗、という形ではないかなと感じます。あくまで見た感じですけど、後半は11,3-11,3-11,8くらいのイメージですね。
 超高速馬場ですのでこれでも平均ペースではあり、それでも絶対的なスピード能力は強く問われた事と、最速地点での立ち回りや瞬発力の質はポイントになったと思います。どうあれ前にいなければどうにもならないレースではありましたし、最序盤の立ち回りが色々と明暗を分けた感じは強いですね。

 勝ったブルドックボスは、まぁ去年の結果を踏まえるなら順当勝ち、という部分はあるとは思います。
 本質的にこういう後傾で走れて、加速力や瞬発力も応分に問われる流れがべスト、という馬ですし、枠も良かったので序盤からそんなに無理せず好ポジションを取れました。
 4コーナーではペースが上がっていたとは思いますが、ショコラが機動力の鈍さを見せてやや遅れたところで、すかさず外に出して追撃したのは中々の好判断で、馬自身はそこでも極端に置かれる事はなかったですし、直線でも最後までしっかり持続力を見せて、粘るラブバレットをきっちり差し切ってきました。

 今回は-16kgと、明らかにここが目標、という感じでの究極仕上げでもあったのかなと感じますし、南関移籍すると大抵の馬は下降線になりがちですけど、そこは流石に地方トップの小久保厩舎の面目躍如、というべきでしょうか。
 馬自身はやっぱり時計が出る馬場の方がいいでしょうし、今の大井でのJBCは馬場的にどうかな?と思う向きもないではないですが、上手くバランスを取って入ってくれば後半要素は非常にいいものを持っているので楽しみはあります。1200mで斤量差が適正なら、スアデラとの差は詰められるはずですしね。

 2着のラブバレットも地元の誇りを胸に、番手マークから早めの競馬で良い内容でしたが、ブルドックボスの決め手が一枚上でしたね。
 外枠から内の出足を見る形でそっと入っていき、サイタスリーレッドが逃げてくれたのでそれを目標にする絶好の形が取れました。
 これが前が弱いカミノだったりすると、実質的には目標にされる格好ですし、といってカミノとサイタが両方前に行って2頭分外、というのも良くなかったと思うので、その点で序盤の攻防は恵まれたところはあると思います。

 この馬自身は34,5-34,3と綺麗な平均ペースで入れていて、かつ後半要素を高めてきたあたり、去年よりは更に力をつけているのが見て取れますね。
 自分からサイタを潰しに行って競り勝ったのは大きいですし、これからも1200m路線なら中央馬相手でもかなり面白い馬になっていくと思います。JBCにもぜひ遠征してきて欲しいですね。
 ただ本質的にはこの馬も軽い馬場の方が強いとは思っていますし、今回は交流重賞制覇の千載一遇のチャンスだっただけに、本当に惜しかったなぁと思います。

 3着サイタスリーレッドは、まず逃げる形になったのがやや誤算ではあったとは感じます。
 まあ立ち回りとして、少なくともショコラより後ろで外々、という形が嫌だったのはわかりますし、本当はラブやカミノあたりが出していくのについていってマーク、という形を狙っていたのかと思いますが、ラブバレットが慎重な入り方をしてきたことで、押し出される形ではじめてのハナ、ということになってしまいました。
 その上で道中もびっしりラブバレットにマークされる形でしたし、それでもコーナーから積極的に引き上げて、人気に見合う強気の競馬は出来ていました。
 ただ流石にこの形だと苦しさはありますし、流石にいきなりこの高速決着で、切れ味勝負に対応するのも難しく、直線どの地点でも少しずつ見劣った感じでの3着でしたね。

 それでもショコラブランに差されなかった辺り、やはり強さは本物だな、と感じますし、距離の融通も効きますので、今後が楽しみな一頭である事には変わりありません。
 左回りも特に問題なくこなせていたと思いますし、流石に今年のJBCは無理でしょうが、しっかり実績を積んで来年あたりにはトップクラスに台頭してきて欲しい馬ですね。

 4着ショコラブランは、やっぱり時計勝負の後半勝負だと、ポジショニング&要所の反応の差で少し見劣ってしまうなぁ、というのが如実に出たとは思います。
 スタートは先ず先ずですが、やはりサイタの方が速くてその後ろから、コーナーでペースが上がったところでややついていけず、直線でエンジンがかかってからの走りは流石、とは言えるのですが、それでも後半要素で決定的な武器はない分差し込めなかったな、と。
 この馬の場合は確実に時計がかかる1200m戦の方が合いますし、JBCに出られるなら、ペースが上がった上で、コーナーから早めに押し上げる形を取れればワンチャンスはあるタイプだと思います。
 もっとも一番噛み合うのはカペラSだと思うので、そこに出てきたら全力で狙いたいですね。
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2017 コスモス賞・フェニックス賞 レース回顧

**★コスモス賞**

 篠突く雨が降りしきる中での一戦となったコスモス賞は、圧倒的な人気を集めたロードカナロア産駒のステルヴィオが後方からじわじわと捲って、最後地方馬に際どく詰め寄られるも凌ぎ切ってデビュー2連勝を飾りました。レースを振り返ってみましょう。

 この日の札幌の芝コースは終日雨の影響が大きく、かなりタフな条件になっていたと思います。
 最終の500万下2000m戦が、35,7-50,4-37,1とやや前掛かりで仕掛けも早く、ラスト13,1とかなり消耗する流れで2,03,4でしたので、良馬場状態からは普通に2~3秒は時計を要するコンディションだったと考えて良さそうです。

 レース展開は、総じて外枠の馬の方が出足が良く(雨の影響で内側が荒れてきていたからでしょうか)、福島で新馬勝ちをしてきたスターリバーが逃げ、外から函館~札幌1800m戦で善戦を繰り返してきたソングオブローランが番手に取りついていきます。
 その後ろにヴィオトポスやパワースピネルがつけ、人気のステルヴィオは好スタートを切ったもののやや行き足が悪く、鞍上も無理せず中団よりやや後ろまで下げる格好でレースを進めていきます。
 その外に3着に入ったハッピーグリンがいて、最後鋭く追い込んで2着になったミスマンマミーアは内枠から後方インでじっと脚を溜めていました。

 ラップは36,9(12,3)-38,1(12,7)-36,3(12,1)=1,51,3(12,37)という推移でした。
 全体的にはややスロー、というくらいで、この時期の2歳戦としては馬場状況もあってか流れている方だと思います。
 5F目で13,2とやや緩いラップを踏んだものの、ここで後方にいた馬がフラットに取りついて馬群が凝縮し、ヴィオトポスやハッピーグリンが外から早めに押し上げる選択をしたことで、ラスト4Fは12秒そこそこのラップを続ける4Fロンスパ持久力戦の様相を呈しています。

 レース全体とのバランスで言えばテンはそんなに遅くありませんし、前に行った馬はそれなりにこの馬場なりの力を要する追走力が問われたでしょう。基本的には緩みで取りついてその勢いで押し上げた後続勢にやや有利な展開になっているとは思いますね。
 その上で後半はラストまでほぼ落とさない12,2-12,1-11,9-12,3という推移ですので、上位は持久力戦での底力をそれなりにしっかり見せてきた、と思ってもいいと考えます。

 勝ったステルヴィオは、上手く流れに噛み合わせたのもありますが、まず強い競馬ではあったと思います。
 血統的に距離延長、しかも渋った馬場はどうか、と思ったのですが、元々キンカメは渋馬場強い口ですし、カナロアもスピードとパワーを兼備した馬でしたから、ここでもそれなりにはこなしてきたと言えそうです。
 ただ初戦はマイルの流れでもっと楽に追走できていたとは思いますし、このレースは道中かなり促す場面も見受けられましたので、本質的には良馬場の方がいい、とは感じました。

 展開としては、先に目標になる馬がいて、その後ろを回ってきたとはいえコーナーではほぼ外々、その中で自身の推定は12,0-11,7-12,1くらいと、しっかりコーナーでの機動力と一足、そこからの持久力も見せてはいて、馬場状態を考えれば1,51,3は悪くない時計です。
 ラスト地方馬に差し込まれたので印象的には案外かもですが、あれはどちらかと言うと2着馬も中々に強い、と見立てた方がいいとは思いますし、ある程度本質的な部分でのスタミナ面の裏付けも感じられました。
 無論軽い馬場のスピード一貫戦でまたどうか、というのはありますけれど、イメージ的には若駒の内なら2000mまではこなせそうな印象を持ちましたし、次も楽しみが大きいですね。

 2着のミスマンマミーアも、最後はステルヴィオ比較で2馬身差くらいを一気に詰めており、中々見所のある競馬でした。
 血統的にギムレット×サンデーですから、芝を走る素地もあれば、こういう馬場で強いのも頷ける面はあり、かつ道中後方インでじっと脚を溜められ、コーナーでも半ばまで動かず、最短距離を通しつつスムーズに勢いをつけながら外に出せていて、その点では1、3着馬以上に恵まれた立ち回りでした。
 それでもラスト推定11,7とほぼペースを落とさず差し込んできたのは、高い馬場適性とスタミナを感じさせるもので、距離は最低限このくらいあったほうが、というタイプになるのでしょう。

 勿論良馬場で切れ味を問われてどうか、という点はあるにせよ、このレースの中でステルヴィオは強敵でしたし、全体時計も古馬500万下と五分かそれ以上の内容ですので、中央に移籍してもそこそこ戦える感じはあります。
 札幌2歳Sにも遠征してくるなら、また枠や展開次第ではチャンスもありそうだなと、マークはしておきたいですね。

 3着のハッピーグリンも、中々強い競馬でした。
 緩みで取りついた勢いを生かしたとはいえ、12,2-12,1地点で外から一気に先頭列までスムーズに捲っていけましたし、馬場適性と機動力は中々のものがあったと思います。
 流石に早めに動いた分ラストは甘くなってしまいましたが、それでもさほど負けていないですし、むしろ良馬場で切れ味が問われても対応できそう、という意味ではこちらの方かも、と思いました。
 まぁこういう競馬は嵌らない時は嵌らないので、このレースだけではなんともですが、この馬もローエングリン×アグネスタキオンと中々の血統ですし、良馬場での走りも見てみたくなる馬でしたね。


**★フェニックス賞**

 多少週中の雨の影響もあり、少しばかり重くなった馬場でのスプリント戦は、ダート上がりの伏兵ゴールドクイーンが大外からハナを取り切り、そのまま脚色衰えずに押し切って、芝でも強いところを見せつけました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場はちょっと読み辛いところもあり、10Rなどはかなりペースが上がったとはいえ2000m戦で1,58,7が出ていました。
 ただ1Rの九州産2歳未勝利で、連闘使いの2、3着馬が、似たようなレースバランスで時計を0,8ほど落としていて、午後は回復傾向だったのもあるかもしれませんが、それでも先週の完全な良馬場に比べると0,5秒くらいは時計がかかっていたと見做してもいいかな、とは思います。

 展開は、外から好スタートを切ったゴールドクイーンが、内のジュンドリーム、中目のレグルドールにもゆずらず果敢にハナを主張し、この2頭がスッと引く形ですんなり隊列は決まります。
 その直後くらいに人気のアイアンクローがつけ、内からはイイコトズクシがリカバーして中団前目、ナムラバンザイはやや出負けして中団の外、連闘策のサイエンはダッシュが効かず、逃げた新馬と裏腹に後ろから2頭目の苦しい競馬になりました。

 ラップは34,1(11,37)-35,5(11,83)=1,09,6(11,6)という推移でした。
 上で書いたように、それまでの週とは多少馬場差があると思っていまして、バランス的にもはっきりハイペースで、直線やや加速はしていいるもののほぼ消耗戦に近い流れの中で、少なくともレースレベルとしてはバーニングぺスカ戦よりは下かな、とは思います。
 全体としては高めの追走力が問われましたし、そこから差すのであればしっかり切れ味を引き出せる素地もないと、というところで、ついていった馬の中にそこまでのスプリント適正のある馬がいなかったので逃げ切りを許した、というイメージですね。

 勿論勝ったゴールドクイーンは素晴らしいレースぶりではありました。
 初芝で大外枠と楽ではなかったはずですが、とにかくスタートのセンスと、そして二の足の速さが見事でしたね。
 前半の2F22,6は、バーニングぺスカ戦が22,4とあれも中々でしたが、馬場差を踏まえれば互角の鋭さで、そこではっきり単騎を確立できたことで、3・4F目で少しペースを落とすことに成功します。

 直線もその余力の分11,8-11,6-12,1と僅かながら加速ラップを踏み、ラストもガクンとは落とさず踏ん張っていて、追走面での素材の高さと、要所での機動力をある程度イメージできるいい走りだったと思います。
 絶対的には流れ切っていないので、そうなった時にどうか、小倉2歳Sを見据えるならそこがポイントでしょうが、新馬は番手でも競馬出来ていますし、よりペースが上がって良さが出る可能性も残していますので、出てくれば当然注目すべき1頭になると感じました。

 2着のレグルドールは、初戦に比べて一気に行きっぷりが良くなりましたね。
 新馬はおっつけおっつけで自身35,9のテン3Fでしたが、ここは34,3-35,5というハイバランスで楽にポジションが取れており、馬が競馬を覚えた感じはあります。
 ただ前半に急がせた分、前走で見せた後半要素の鋭さはやや削がれた格好で、馬場差を考えれば1,5秒近く時計は詰めてきてるので優秀ではありますけれど、それでも最上位メンバーにはちょっと足りない、というところは露呈してしまったかなとは思いますね。

 3着アイアンクローは、新馬戦でも触れましたが基本的に1200mの馬ではないと思います。
 この馬は34,5-35,3というバランスですが、追い掛けた分新馬でゆったり入っての鋭さが引き出せていませんし、エンジンのかかりもやや遅くラストもジリジリ、ですので、1400~1600mで総合的なスピードを活かす競馬の方が噛み合うと改めて感じました。

 4着サイエンは、地味に面白い競馬をしているなぁ、とは感じます。
 こんな小柄な牝馬を連闘使いとはこれ如何に、という感じもあるんですけど、それもあってかこの日はダッシュが良くなく、後方からの競馬を余儀なくされました。
 ただ新馬も2Fまでは23,1と平凡で、競り合いながらペースを上げていっての先頭でしたし、22,6のテンで、かつ3kg増を考えれば妥当な行き脚だったのかもしれません。このあたり特に、最序盤の加速面においての減量の恩恵を強く感じるところですね。

 そして道中も押し上げるタイミングがなくほぼ最後方列で直線に向いてきますが、入り口で外に持ち出すとラスト1Fで猛然と伸び、2着争いを脅かす勢いで突っ込んできたものの、惜しい4着という結果でした。
 この馬自身は35,0-34,9とフラットな走破で、時計自体も新馬より0,5秒落としてはいますが、馬場差と斤量を考えれば、新馬より上の内容ではあるとは思っていて、かつ前半楽に入ったことでラスト1Fは11,5くらいの鋭さを引き出せました。
 この感じですとこの馬ももう少し距離があっても、と思いましたし、特にダッシュがそこまで効かないなら今後1200m戦ではポジションに苦労しそうですから、1400m戦、りんどう賞とかその辺に出てきたらチャンスはありそうな気がします。

 
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2017 エルムS・関屋記念 レース回顧

**★エルムS**

 高速決着連発のダートでの一戦は、ポケットから綺麗に立ち回ったロンドンタウンが、強敵テイエムジンソクを見事に差し切って嬉しいJRA重賞初勝利を飾りました。レースを振り返っていきましょう。

 早い段階で雨は上がっていましたが、それでも前日の影響は大きく終日ダートは重馬場で、水も浮いてはおらずある意味では一番走りやすい馬場になっていたのではないか、と感じます。
 7Rや最終でも速いペースを踏んでもラストで落ち込まずに1,42,6~7が楽に出ていましたが、それでもこの1,40,9というレコードは中々に速いとは思いますし、序盤のポジショニングの差が大きく明暗を分けた印象があります。

 展開は、内からスタートを完璧に決めたドリームキラリがハナを楽に取り切りました。
 復帰して初心に返ったかのような積極的な騎乗を見せ、好調だった三浦Jとはいえ、ここでこうまで綺麗にダッシュをつけてくるかと、マリーンSの出足の悪さはなんだったのかと思いますが、どうやら初ブリンカーだったみたいですね。基本こういう部分で、まともな新聞買わないで、ホームページだけで予想する片手落ちぶりが露呈するわけです。。。それでも目覚ましい変わりっぷりでしたけどね。
 
 ともあれ、そのドリームキラリを目掛けてまずテイエムが番手を取り、その外に伏兵タマモホルンがつけて、前に行くと目していたモンドクラッセとクリノスターオーは全くついていくことが出来ずに好位列の外という死にポジションに入ってしまいましたね。
 こういう馬場ですのでみんなが前目を狙ってくる、という想定はしていたつもりですし、札幌のコーナーまでの短さも含めて、それでもこの二頭の出足の良さならと考えたのですが、ちょっとそこが甘かったかなと反省ですね。この時点で色々難しかったです。

 そして、外目の馬が前に入ってこなかった(こられなかった)恩恵を与ったのが、内枠のロンドンタウンやコスモカナディアンだったと思います。
 私の想定ですと、ロンドンタウンも出足が良くなっているとはいえ、ここでスッと2列目ポケットが取れるほど、とは思ってませんでしたし、コスモもそれに合わせてリカバーしつつ3列目インが取れて、この時点でやられたなぁと思いました。
 オヤコダカもややスタートからの攻防で後手を踏んだ格好で、リッカルドより後ろになってしまったのは痛かったなと思いますし、ピオネロは当然ポジションは取れずに中団より後ろで外々、となってしまったので、この時点でまず厳しいだろうという感覚で見ていました。
 ショウナンは逆に腹を括って最後方待機と、平安Sのクリソライトみたいなことをしていましたね。

 ラップは29,2(11,68)-35,8(11,93)-35,9(11,97)=1,40,9(11,86)という推移でした。
 ポジション争いのスタート直後でそこそこ速くなるのは当然で、けれどそこからも緩みはなく淡々と流れており、やや前傾気味の平均ペースの範疇で進んでいると思います。
 4F目で12,3と一瞬だけ緩んだものの、そこからテイエムがある程度強気に前を追い掛けた事もあり、後半5Fは11,9-11,6-11,7-11,8-12,4と速いラップを連続していて、ダート戦として見れば珍しく持続力戦の様相すら見せていると言えます。

 特に最速地点が800-600m地点、3コーナーの入り口辺りからで、コーナー丸々がかなり速いラップを踏んでいますので、ここで後ろから押し上げるのは難しく、ましてや外々を通らされれば論外、というくらい後ろの馬には厳しい流れです。
 実際、インベタを貫いたロンドンが勝ってドリームキラリが3着逃げ粘り、3列目のインにいたコスモが4着で、最後方からコーナー出口までインベタで回ってきたショウナンが5着に差し込んでいるレースですので、縦のポジショニングに加えて、横のポジショニングの差もかなり大きく出た、総合スピードを強く問われるレースだったなと感じています。

 勝ったロンドンタウンは、ずっと素質を評価していた馬だけにここでの抜けは悔しいなぁ、というのはあるのですけど、今日はスタートを完璧に決めての好調岩田J(後半4連勝ですもんね)の作戦がピタリ嵌ったな、と思います。
 こういう軽い馬場は、武蔵野Sが完全にスピード負け、という感じでしたのでどうかな?と思っていたのですが、この斤量でも予想以上に軽快に対応してきましたし、もしかすると脚抜きのいい馬場の方がパフォーマンスが良いタイプなのかもしれません。
 またペース自体も極端な淀みがなくて、機動力面で少し足りないこの馬にとって自力で加速していくプロセスがなかったのもプラスで、ラストの粘り腰は確かなものがあるので、12,4と前が落としたところを見逃さず、しっかり差し込んできましたね。

 こうしてみると結構好走ステージの幅が広くなってきたなぁ、とも感じますし、今日は展開利が大きすぎた部分のあるのでまるっと鵜呑みには出来ないですが、この秋の更なる飛躍に期待したくなりますね。
 この感じなら、いまならマイルでも、と思いますし、年末のチャンピオンズカップ、年明けのフェブラリーまで楽しみが出てくる走りだったと思います。ミツバと並ぶカネヒキリ産駒の代表馬として頑張って欲しいものです。

 2着のテイエムジンソクは、無難な競馬は出来ていると思いますけど、ここまで時計が出る馬場でですと、やっぱり相対的に前傾戦で良さが出てきた中でのアドバンテージは少し減衰させられていたな、とは感じます。
 また、コーナーから持続力水準でのロングスパート戦になる中で、持久力水準ならラストまでほとんど落とさない馬ですが、今回は12,4と結構止まっているのはあって、本質的には後半勝負の土俵だと準オープンで僅差レベルだった、というのが出てしまったかなと考えます。

 ただこの負け方で評価を落とす必要は全くないと思いますし、1800mあたりのタフな馬場でしっかり前傾1,5~2秒くらいのペースを作れるなら、最上位メンバー相手でも戦える素地はあると思います。
 まぁこの夏は使い詰めでしたし、しっかり賞金を稼がないと本番出られるか?ってのもありそうですが、せめて一息入れて前哨戦でしっかり結果を出してくれれば、チャンピオンズカップはチャンスが十分ある馬だと見ています。

 3着ドリームキラリは、やはり逃げてこそというのはありますし、ブリンカー効果も大きかったみたいですね。
 良馬場のハイペースですとオーバーペースになりがちな馬だっただけに、この馬場で淡々とややハイペース、くらいで進められたのは良かったですし、前走の止まり方などを見ても、距離はこのくらいがべストなのかなと思います。
 今日の出足がいつもできるかはなんともですが、軽い馬場であれば安定して走ってくる素質はありそうですし、枠の並びがどうかな?と思って印を打たなかったですけれど、人馬ともにちょっと甘く見過ぎてごめんなさい、というところです。

 4着コスモカナディアンも展開の恩恵を完璧に受けていますし、その上で一列後ろというポジション差も響きましたが、こちらはもっと本質的に1700mは忙しい、というのはあると思います。
 前半余力を残しては入れれば、もう少し後半しぶとく立ち回れる馬だとは思っていますので、あの位置でも追走で削がれたと感じていますし、OPクラスなら1800mでもちょっと流れると厳しいかな、というのは、ローテが酷かったとはいえマーチSからも見て取れます。
 とりあえずシリウスSを使って来たら全力で狙い目にはなると思いますかね。


**★関屋記念**

 真夏の高速マイル決戦・関屋記念は、溜息が漏れるほどの華麗な好スタートからハナを奪ったマルターズアポジーが、まんまと自分のペースに持ち込んでそのまま押し切って、改めて型に嵌った時の強さを見せつけました。レースを振り返りましょう。

 今日も午前中は断続的に雨が降っていたようですが、それでも馬場への影響は限定的ではあり、少しだけ渋ったかな、くらいで、午前中の早い内に良馬場に戻っていましたし、10Rも再加速戦で1,20,4と時計も出ていました。
 その中でややスローからの1,32,2は想定通りの時計でしたし、展開的にも大体読んだ通り、だったくせに、勝ち馬はすっぽ抜けて本命は殿とかつくづく予想が下手過ぎて懺悔の言葉もありませんね。。。
 まぁぁ強いて言えば、ウインガニオンの位置でアポジーが踏んだラップ位になる、と思っていたので、その分より展開的には前有利にシフトした、ともいえるかなと、そのあたりは改めて触れていきます。

 展開は本当に完璧なスタートダッシュを決めたアポジーがなんなくハナを取り切りました。
 今日はダノンリバティも好スタートで先頭列を窺いますが、外からウインガニオンとマイネルハニーの番手狙い勢が押し上げてきましたので、少し下げてポケットに入り込むという立ち回りを見せてきました。
 その後ろに3歳馬オールザゴーが内田Jというのもあってか果敢な先行策、ヤングマンパワーにロサギガンティアあたりまでが先団を形成していきます。

 ロードクエストは、一歩目は出遅れたものの積極的にリカバーをかけて中団やや後ろまで進出、ダノンプラチナも同様に体一つは出遅れたものの、最内を利して後方5~6番手までは取り戻して、その列にブラックムーンとメートルダールもいました。
 ウキヨノカゼはそれより後ろで構える格好で、縦に長い隊列で進んでいきます。

 ラップは35,2(11,73)-22,7(11,35)-34,3(11,43)=1,32,2(11,52)という推移でした。
 あれだけすんなり隊列が決まったこともあり、序盤は速そうで速くなく、実質的にはラスト1000mからのロングスパート戦の様相がかなり濃いです。
 実際レースラップバランスで中盤2Fが最速であり、新潟の場合この地点が丸々急コーナー、ということになります。
 そしてアポジーがこれを刻み切っていて、当然ウインガニオンもその流れについていってはいますので、それより後ろの馬もコーナーで足を溜める選択は許されない、ということになります。

 このあたりが4F戦と3F戦で、実は仕掛けが速い方が前有利、と考える由縁で、しかも今日はそれを5F戦にまで拡大してきましたので、後方外々、という位置取りになった馬には殊更に辛い展開だったのは間違いありません。
 せめてこれでペースバランスが前掛かりなら前も辛いですが、ハーフで取ると46,6-45,6と1秒のスローですので、これでは当然前に行った馬の上位独占も当たり前、と個人的にはすごく腑に落ちる結果になっています。

 レースラップ的にも後半は11,3-11,1-11,0-12,2とじわじわ加速はしつつ、本来もっと絶対的な加速度を問われる400-200m地点でほとんど速い脚が問われていません。
 これもまた、切れ味はないけど持続力はそこそこ高いアポジーやガニオンの勝ちパターンであり、差し馬で台頭できたのは、まず追走面で余裕がある馬という前提の上、ここでしっかり切れ味を引き出せるか、或いは立ち回りで楽をしたかのどちらかしかいない、私の感覚では非常にわかりやすいレースになったなという印象ですね。

 とはいえ、前走あれだけ絡まれての大敗から、ここまでガラッとマルターズアポジーが復権してくるとは…………というのははっきり反省点ですね。逃げ馬なんだから負ける時は大敗と相場は決まっていますし、ここ2走は2000mが微妙に長い面も見せていたわけで、距離短縮で良さが出る可能性は頭に入れておくべきでした。
 結果的に番手勢が外枠で、前に取りつくのに脚を使った分積極的につついてくるまで来なかったのもプラスでしたし、ガニオンにしてもおそらく敵は後ろ、という意識が今日はちょっと強かった、そのあたりが上手く噛み合っての好走だったのは確かです。

 ただレースの構成としても完璧なのは間違いなく、特に残り1000mからはっきり引き上げて、ポジション差をリカバーさせず、後続になし崩しに足を使わせる強気な展開に持ち込んだのは、この馬の長所をしっかりわかっている継続騎乗の強みだなぁとあらためて思いました。
 まともなペースだと最速地点で切れ負けもしそう、と思っていて、実際11,0と新潟外回りとしては平凡なトップスピードではあるのですけど、それをそこまでのポジション差で決定的な敗着要因にはさせなかった時点で見事だったと言えます。

 この走りと、小倉大賞典を見る限り、今は1600m~1800mで中盤からしっかりペースを引き上げる展開が一番噛み合いそうですね。マイルですと前傾になった時にどこまで幅があるかまだ不安点もありますが、マイルチャンピオンシップでもスッと位置を取って、掟破りの坂の上りから仕掛けるくらいの戦略を組み立ててくれば面白さはあるかも、と感じましたね。
 香港マイルも条件や相手関係的にかなり面白いと思いますので、そこまで視野に入れつつ頑張って欲しいところです。

 2着のウインガニオンも自分の競馬は大体出来ていますが、結果的に相手を間違えた面もあるかな、とは思います。
 自身は推定47,2-45,2と2秒の後傾バランスで、このくらいがこの馬の勝ちパターンと言えばそうですが、流石にもう少し前半の幅に余裕はあると思うので、その点では序盤に番手まで押し上げた時点で前との差を詰め切らなかったのが結果的には致命傷になりましたね。ここは本来有利な外枠が仇、という見立てでいいと考えます。
 
 実際コーナーからはアポジーの主導で、自分でやりたい競馬をよりスケール大きくやってくれているので、その点では当然この馬も好走はしてきますし、それでも瞬発力の質は平凡な分、どの地点でも詰め切ることは出来ませんでしたね。
 とはいえこの馬もマイルで安定した強さを見せられるようになっていますし、アポジーよりも馬場や展開に注文がつかない部分もあると思うので、秋が楽しみな1頭になります。もっとも去年も夏馬で終ってしまったので、そこがどうなるかは走ってみないとですけど、自分の型を作れる限りは今年はそこまで一気に崩れない、とは思うんですけどね。

 3着ダノンリバティとしては、ポジションを取れたまでは良かったですが、もう少し追走面での良さを問われた方が噛み合ったのかな、とは思います。
 去年はこの馬自身で46,2-45,6とほぼ平均気味に走破しているのが、今年は47,5-44,9くらいの勘定ですので、結果的に後半要素に決定的な武器がないのはガニオンと同じで、ポジション差のままジリジリ、となってしまったのは惜しいところです。
 スタートの良さを生かしてアポジーについていく競馬をしていれば勝ちまであったとは思うだけに、少し安全策というか、ポジションで満足して流れに対しての積極性を持ち切れなかったのかなとは感じましたね。でもやはり新潟は安定して走りますし、叩いて上昇するタイプですので、どこかで重賞を勝つチャンスはあると思います。

 4着ヤングマンパワーも、高速馬場のスローロンスパは得意ですが、ややバランスが後ろにかかり過ぎた、という事になるでしょうか。
 結果的にこの馬も最序盤ですけれど、外からガニオンとハニーがくる中で難しさもあったでしょうし、結果的に枠なりで外目を通る羽目になったのも、前の馬に対してはディスアドバンテージではあったと思います。
 内容としては得意な形なら崩れない、というのを改めて示したと思いますし、去年は例外的でしたが本来は淀のマイルは噛み合う流れになりやすいと思うので、特にここの1、2着が意識的にレースを作るならそれに乗っていって、という形でチャンスは見出せる1頭だと感じますね。

 5着ダノンプラチナは、どうしてもこの流れで再序盤のポジション差は大きく響きますし、最内を上手く使った事と、切れ味の質で多少なりリカバーした事が噛み合って差し込んできましたが、それでもこの流れですとこれが精一杯なのかなとも感じます。
 馬体も+12kgでまだ緩そうでしたし、使い込めない馬なのでなんともですが、パンとしてくればまだマイル現役最強レベルの潜在能力は見限りたくないなとは思っています。

 6着ロードクエストも先ず先ず頑張りましたが、どうしたって一歩目でロスがある馬で、かつ序盤でリカバーでも脚を使い、コーナーから外々を追い掛けては、持ち味の持続力を十全に引き出すのは流石に辛いでしょう。
 むしろここまで良く追い込んだ、という流れではあると思いますが、今だともう1600mはやや短いかもですね。一度ワンターンの1800mを使ってみて欲しいなと思います。

 ブラックムーンやメートルダールはこのペースでもやはり追走で削がれますし、外外から勝負するしかないのでこの惨敗も仕方ないと思います。
 特にメートルダールは、絶対に本質的にマイルの馬ではなく、追走面の甘さも確認できました。
 実際この二頭より後ろにいたウキヨノカゼは、追走面の担保がありますので最後まで伸びていましたし、切れ味も引き出せていて、そことの差で見れば決定的に足りていないのは分かると思います。まぁウキヨノカゼに関しては、もう少し前に入って欲しかったんですけどねー。
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注目馬:キセキ

 先週土曜の信濃川特別を好時計で圧勝し、一躍秋競馬の注目馬となった感のあるキセキについて、ここまでの戦績からその能力・適正分析をしてみようと思います。
 春の時点でも毎日杯でクラシック上位組といい勝負をしていたり、素質の一端ははっきり見せていたと思いますが、晩成型のルーラーシップ産駒でもあり、そこから一息入れての連勝の内容は圧巻でした。

 まず休み明け初戦となった中京の500万下2000m戦を見ていきましょう。
 この時期の中京は明確に超高速馬場で、レースラップが36,1-48,2-34,8=1,59,1となっています。
 ハーフで取ると60,7-58,4と2秒以上の後傾ラップになっており、ただラスト6Fが全て11秒台後半と、明確に切れ味が問われる展開ではなく、スローからのロンスパ戦の様相が強くなっていました。
 
 その中でこの馬は、道中はゆったり折り合いに専念して後方2番手を追走し、残り800mあたりからじわっと動き出しています。
 コーナー出口で先頭列と5馬身差くらいまで詰めてきて、そこから400-200地点で2馬身ほど、ラスト200mで一気に3馬身差を詰めて突き抜ける、という、この馬自身で言えば62,2-56,9くらいの超後継ラップで最後までいい脚を維持してきました。
 勿論相手関係的には楽でしたが、前目の馬とは全く別の競馬で楽に勝ち切っていて、自身のラスト3Fは11,0-11,1-11,1くらいでまとめていると考えられます。
 ここでひとつポイントは、坂の上り地点ではそこまで明確に詰め切れておらず、ラストまでしっかり持続力を引き出してきた、という点で、これは後々適正分析の中で拾っていきます。

 続いて信濃川特別ですが、ここもかなりの高速馬場の中、先団がかなり飛ばして馬群が大きく前後に分かれてのレースになります。
 レースラップは34,9-47,6-34,4で、ハーフで見ると58,2-58,7、中盤の1000-600m地点で12秒台に入っており、後ろから押し上げる方が楽な流れだったとは思います。
 大体1000m地点で後続馬群の先頭列のブラックプラチナムあたりで1秒差くらいに見えますので、キセキの位置ですと59,9-57,0くらいではないかと見ていて、ここでは自身ハロン12秒を切る流れに乗って、かつしっかり後半要素を引き出してきたことが伺えます。

 レースのラスト3Fが11,9-10,6-11,9ですが、キセキは残り800mあたりから前に取りついて、直線に入ってからじわじわ進路を外に出しつつ、ブレーキを踏むことなくっかりエンジンをかけ切れています。
 そして600-400m地点で4馬身、400-200地点でも4馬身近くは詰めて、残り200m地点では既にほぼ先頭列にいましたので、この馬の上がり3Fは推定11,1-9,9-11,9くらいではないかと感じます。
 画面でもはっきりわかるくらい、レースラップ10,6地点でスパッと切れており、瞬発力の質の高さを見せつけていますが、その分ラストの持続力面は少し落としているのは見て取れます。

 さしあたりこの2レースの中で傾向を抽出していくと、まず高速馬場は大の得意で、追走力面でハロン12のラインはクリアできる、その上で後半要素の持続力と瞬発力の質はかなり非凡、と考えられます。
 加速力に関しては2レースとも外外から早めに動きだしているのもあり、確実に動けるタイプか、と言われると微妙なところはあり、このあたりを過去のレースの内容も含めて考えていきましょう。

 まず瞬発力の質に関しては、新馬戦や毎日杯が顕著で、阪神外回りという600-400m地点の下りで勢いに乗せていくコースレイアウトも上手く生かして、直線入り口から鋭い脚を使えています。
 半面ラストの坂地点での持続力は今一歩で、毎日杯でもアルアインやサトノアーサーの持続力には足りていないのがはっきり見て取れます。
 信濃川特別も、最速地点での切れ味の差は顕著に素晴らしいものがありましたが、ペース差はあれどラストはほぼ馬なりとはいえ多少止まっているのは確かです。

 逆に持続力要素を強く感じさせるのは、上で触れた中京の500万下戦と、5着に敗れたセントポーリア賞です。
 どちらのレースも、坂地点であまり鋭さは見せられておらず、その代わりにラスト1Fでの失速度も低くて、ここから考えられるのは、坂加速自体は苦手で、けれどその分坂を登り切ってからもう一回エンジンを掛けられる、その結果として本当に良い脚を使えるのは1F、という見立てが可能ではないかと思っています。
 そしてセントポーリア賞の敗因は、その坂地点が10,8と最速ラップを踏んでいて、そこで置かれている事にあると感じており、このレースでも外から早めに動く形は作れていてこれなので、瞬発力の質自体は持っているけれど、坂地点で自力加速で引き出すのはあまり得意ではない、と考えられますね。

 そして、すみれSではかなり馬場が重い中、後半のロンスパ持久力戦で、外々を回したとはいえ全くどの地点でも目立つ脚は使えていませんでした。
 これを距離と取るか馬場と取るかですが、個人的には馬場と、あとコース形態の条件の方が比重は大きいと考えます。
 阪神でも内回りですので、下り地点がコーナーであり、そこでスッと反応できなかったところもあるのと、後はやはり持続力要素を問われる高速馬場で後半型のラップ戦でこそ、という面はあるのだと思います。

 結論的に言えば、軽い馬場でなら距離はもう少し持つと感じます。
 コメントからすると、神戸新聞杯から始動して、その後の路線はその内容次第、という感じのようですが、阪神外回り2400mはゆったり入りやすいコースでもあり、かなり噛み合うと思いますね。
 当面の壁はダービー馬レイデオロになるでしょうが、レイデオロよりは確実に切れ味はあると思うので、そのあたりを上手く生かせればチャンスは大きいでしょう。

 一定の追走力も見せているので、2000m~2400mが主戦場、それより短いと前半の展開待ち、という感はありますが、府中の場合はレースラップがコーナー出口、600-400m地点最速で、坂地点での加速が問われず惰性で入っていける展開でないと噛み合わないかな、と思います。京都外回りも坂を使えるのでそこそこマッチするコースですが、あのコースは外を回すと大概苦しくなるのでその辺でどうか、ですね。
 現時点でも噛み合う条件なら重賞クラスの力はありそうですし、まだ伸びしろはありそうですので、今後もその適性の幅をどこまで広げてくるか、しっかり見極めていきたいですね。
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2017 8月第1週海外GⅠ レース回顧part2

**★ホイットニーS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=L5Q3bBqtNqc)**

 このレースでは、トップハンデながら圧倒的な一番人気に推されたガンランナーが、後続を楽に突き放してGⅠ連勝を飾りました。

 外枠からのスタートで、序盤は内の伏兵に先頭を譲っての番手外の競馬になりましたが、レースラップが23,89-24,42とアメリカとしてはかなりスローの入りで、それに付き合っていられないとばかりに向こう正面から動いて先頭に立ちます。
 残り1000mからのラップが23,06-23,98-12,34となっていて、ロングスパート戦の様相が強いですが、それでもラストまで極端に落とさず後続を全く寄せ付けない強い競馬を見せてきました。
 
 最後は前走サバーバンSで見事な追い込み勝ちを決めたキーンアイスに5馬身近い差をつけていましたし、展開的にはキーンアイスに絶好とも言える流れでこれは、本当にドバイあたりから格段に強くなってきたなぁという印象です。
 現状アロゲートが本領を取り戻せるのか微妙な中で、暫定的にアメリカ古馬のトップホースになったと言っても過言でない素晴らしい内容ですし、スピード色が強いのでべストは1800mでしょうが、今なら2000mで、やや精彩を欠いているアロゲート相手なら太刀打ちできるビジョンが見えてきた、という感じですね。

**★テストS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=4rUTMZ2aPrE)**

 去年の2歳戦では、BCJFで好走したり、アベルタスマンと僅差の競馬をしてきたアメリカンギャルですが、今年は適性を考慮してか短距離路線にシフトし、復帰戦を制しての2走目がこの牝馬限定1400mのGⅠ、テストSになりました。
 外枠からスッと出るも、他の馬もかなり速くて先団の外目を追走していたアメリカンギャルは、直線入り口で早くも先頭に立ち、そのまま突き放して押しきる強い競馬を見せてきました。

 このレースはラップがえげつなくて、前半4Fが44,53(11,13)に対し、後半3Fが37,73(12,58)という超々前傾戦で、前に行った馬が悉くバテる中で、この馬だけが楽に抜けてきたのはインパクトがありました。
 これなら確実にスプリント戦でも対応できるスピードはあると感じますし、今後が楽しみな一頭ですね。

**★モーリス・ド・ギース賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=bbrDHLy9PWM)**

 このレースは、これまでGⅠでは、ジュライカップの3着などはあれ勝ち鞍はなかった伏兵のブランドが、中団から力強く差し切って見事な勝利を収めました。
 一方一番人気に推されたカラヴァッジョは、後方から伸び脚を欠き6着と、前走ジュライカップに続いて物足りない競馬になってしまいましたね。

 レースはペースメーカーらしい馬がぐんぐん飛ばして、かなりのハイペースで進んでいきます。
 最初の300mが18,84で、そこからの2Fが21,09と凄まじく速く、そこから11,13-11,97-12,58と一気にペースを落とす、かなりの消耗戦になっていると見立てられます。

 その中で外枠から上手く中団に潜り込んだブランドは、勝負所でもまだ手応えに余裕があり残り200mあたりで一気に抜け出し先頭、伏兵馬が差し込んでくるのを余裕で凌ぎ切るという内容で、追走面で良さが出るタイプだったのかな、というのを思わせますね。
 一方カラヴァッジョはスタートから流れに乗り切れず、早い段階で手が動くも反応は鈍くて、速い流れに対応し切れていない感じは今回も強く出ています。
 残り200mあたりで進路が狭くなる不利もありましたが、その影響は限定的ですし、その時点で勝ち負けになる位置まで上げられていなかった事も含めると、やはり距離的にはもう少し欲しい馬なのではないか、というイメージが強いですね。

 ただ欧州って古馬戦になると、1400mの大きいレースがかなり少なくなる(凱旋門賞デーのフォレ賞くらい?)印象ですので、微妙に適鞍がない感じですね。流石にマイルだとちょっと長そうですし、素材的にもやや底を見せた感はあるので、そこからどう巻き返してくるかは注目です。
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2017 8月第1週新馬戦ほか レース回顧(日曜編)

**★8/6(日) 新潟1R 芝1600m未勝利戦**

 土曜に引き続き高速馬場の新潟での未勝利戦は、トゥザフロンティア戦で人気薄ながら3着に食い込んだダンツセイケイが、スッとハナを取り切ってそのまま押し切る競馬を見せてきました。
 2着のピースユニヴァースも、新馬戦は大きな不利があっての3着から、今回も楽に好位に取りつくセンスの良さを見せ、レース内容にもしっかり進展をみせてきましたが、ここは勝ち馬の立ち回りが上でしたね。

 ラップは37,0-24,2-34,3=1,35,5という推移で、勝ち時計的に特筆するほどではないのですが、敢えて取り上げたのはこのレースが昨日書いた加速力戦のポジショニングの罠と合わせていいモデルケースになるかな、と思ったのもあります。
 新潟外回りはご存知のように直線が657mもある広大なコースで、つまり4コーナー出口は800-600m地点にあることになります。
 ですので、あくまでメカニズムとしては、ですが、このコーナー出口地点でのラップが緩いと、後続が勢いをつけて押し上げながら直線に入っていきやすく、とりわけこの800-600m地点から600-400m地点での加速度が高くなった場合に、直線まで待って動く先行馬に対し、先に勢いをつけている外の差し馬の優位性は結構馬鹿にならない、と考えています。

 裏を返すと、逃げ先行馬はこのコーナー出口地点で一段階ペースを引き上げることで、押し上げてくる馬にはやや急なコーナーの形状によるロスを与えられ、ついてこなかった馬にはポジション差を作れるとも言えます。
 近年の新潟外回りの、先行馬の勝ちパターンのひとつとして、序盤はスロー⇒コーナーから一段階目の仕掛け⇒そこで作ったポジション差で、本仕掛けを400-200mの最速地点まで待てる⇒加速性能を生かしてそのまま押し切るというのは結構顕著にあり、特に最速地点で切れ味の差で負けるタイプにはこの型が良く嵌ります。

 このレースのダンツセイケイも、後半5Fが12,5-11,7-11,5-10,7-12,1という競馬をしていて、残り800mから明確にペースを引き上げて後続に足を使わせ、その分最速地点の絶対速度は低めですが、それでもポジション差でしっかりリードを守り切って押し切る、という競馬が出来ています。
 これは、先行していたとはいえ2頭分外から押し上げたピースユニヴァースに対してはアドバンテージになっていると思いますし、馬自身の素材もあるでしょうが、新潟マイルのを先行馬で勝つ上でのお手本のようなラップではあったなと感じたのですね。

 ちなみに今週の関屋記念でも、ウインガニオンやマイネルハニー、ヤングマンパワーあたりはゆったり入って早めに動き、後半要素を分散させて勝負したいタイプとは思っていますので、この辺りの馬の支配が嵌るようであれば差し・追い込み勢は苦しくなるはずで、そのあたりも含めて注目してもらえればな、と思います。

**★8/6(日) 新潟5R 芝1800m戦**

 このレースはただ一頭の牝馬ながら1番人気に推されたオルフェーヴル産駒のロックディスタウンが、直線進路を探しながらの競馬で悠々と差し切りデビュー勝ちを飾りました。

 内枠の3頭がはっきり出遅れる中で、外からマヤノフロスティが逃げて、スッと番手に3着のシャルドネゴールドがつけていきます。
 その内から2着のタイムフライヤーも2列目に押し上げて、その後ろに勝ったロックディスタウンと4着のブリリアントデイズ、という隊列で、かなりのスローの中馬群は一団となって進んでいきました。

 ラップは37,8(12,6)-39,8(13,27)-32,8(10,93)=1,50,4(12,27)という推移でした。
 新馬戦らしい超々スローで中盤の緩みも大きく、土曜日のマイル新馬戦と同様に直線までは助走しているようなものではありました。
 後半推移は12,8-11,2-10,5-11,1となっていて、直線向いてから一気に1,6秒も速くなる加速力戦であり、最速地点は10,5なのでそこまで速くないですが、その分ラストも11,1と落としていなくて、瞬発力の質よりは持続力面が強く問われたラップ推移だろうと思います。

 ちなみに上で触れた、後ろから押し上げる馬がいれば差し有利の展開でもありますが、ここでは人気馬がほぼ先団に居ましたし、伏兵の中で後ろからそういう競馬が出来る素材はいませんでしたね。どの道流石にスロー過ぎて、ラストまでラップを落としていないので、ポジション差もかなり結果に影響するところはあったとは思いますが。
 
 ともあれその流れの中で、勝ったロックディスタウンは非常に大人びた競馬を見せてきました。
 スタートも綺麗に出て、そのまま馬群の真ん中で超スローの流れでもしっかり折り合い、直線向いての加速展開にも、前の列の後ろでしっかり楽に対応してきます。
 直線残り200mあたりでようやく外に持ち出せて、そこから追い出すとしっかり反応し、先頭列との2馬身差を一瞬で詰めて着差以上に楽な手応えで差し切ってみせました。

 この馬自身のラスト3Fは大体11,2-10,5-10,8くらいで、ほぼ3F10秒台に近い脚を使ってきています。
 最速地点で動いていないので、瞬発力の質が高いのかはまだ未知数ではありますが、少なくともこのラップで置かれていない以上一定の対応は出来るはずですし、なによりこのラストまで伸び続けた持続力には魅力がありますね。
 姉にステイゴールド産駒のキャットコインとワンプレスアウェイがいて、キャットコインは速い流れで、ワンプレスはスローからの持続戦で良さを見せており、似たような血統のこの馬は、まず持続戦での強さを見せてきたと言えそうです。

 この上で追走面でも余裕を見せてくれば、姉2頭のハイブリッド的な素材として面白さが増してきますし、スタートセンスなどはかなり良さそうなので今後も注目の1頭になってきそうですね。
 前半からのスピード勝負にも対応できる素地はあると思いますので、府中や阪神などの広いコースならマイルでも対応してくるのではないでしょうか。勿論新潟2歳Sに出てきても面白さはあると思います。

 2着のタイムフライヤーも、上手く好位を取って、直線は残り200mくらいまで馬群を割れずに待つ形でしたが、前が空いてからは外のロックディスタウンとそこまで遜色がない切れ味で差し込んできましたね。
 二の脚の速さはこれからも武器になってくるでしょうし、ただ前が空いてから伸び出すまでのちょっとのラグが気になる感じで、極端な加速力戦はあまり噛み合わないタイプの可能性もあります。
 ラストの伸びは確かでしたし、この馬の場合は前目からロンスパ気味に分散される方が走りやすいのではないかという印象を受けましたね。

 ハーツの仔ですので、ペースが上がって案外、という可能性も当然懸念はされます。
 今のところはワンターンの1800m以上で、スローロンスパの形が一番期待値が高いとは思いますね。

 3着のシャルドネゴールドは逆に、コーナーから前を向けて早めに抜け出す形から2頭に差し込まれていますので、機動力面ではともかく持続力面は今一歩、瞬発力の質もそこまで高くはない、というイメージでしょうか。
 血統的にももう少し力の要る馬場のほうが、というイメージもありますし、タフな流れになってくれば見直したい一頭ですが、スローからの後半要素ではちょっと足りないのかな、とは感じさせる負け方でした。

**★8/6(日) 小倉5R 芝1800m戦**

 このレースはスローロンスパの流れの中で、好位の内目につけたバゴ産駒のキボウノダイチが、外から捲ってきたテイエムリボーとの一騎打ちを制して勝ち上がりました。
 
 序盤は伏兵陣がレースを引っ張る中、キボウノダイチは内枠からスッと出たなりに馬群の中で好位、逆に2着のテイエムリボーはやや出負けし、リカバーしようとしたところで前が壁になりかかって少し下げ、そこからじわっとリカバーするという、多少ロスの大きい形での入りになっていて、結果的にラストの差もひとつここでのポジション取りの差が出たかな、と感じさせます。
 
 ラップは38,0(12,67)-37,0(12,33)-36,0(12,0)=1,51,0(12,33)という推移でした。
 新馬戦らしく序盤はスローで、後半5Fで12秒前後のラップを刻み続けるロンスパ持久力戦になっており、あまり機動力や切れ味は問われず、スタミナ色が強めのレースになっていると思います。実際上位2頭もバゴにスペシャルウィークと、もっと距離が伸びてもやれそうな馬でしたしね。

 勝ったキボウノダイチは好位から器用に立ち回って、コーナー出口でスッと外目に進路を見出します。
 その時点で先に外から動いたテイエムリボーが体半分くらい抜け出していましたが、それを内からジリジリと追い詰め、最後はもう一度詰め寄られるのを凌ぐ形で勝ち切ってきました。このあたりこの日のメインの、タツゴウゲキとサンマルティンの立ち回りにも似たものがあり、まだ馬場がいいだけに内目を通す方が有利なのはあったと思います。
 正直ラップ的にはかなり平凡な一戦ですが、後々もう少し距離を伸ばして面白い競馬が出来るタイプになるかも?というところですね。

 2着のテイエムリボーも勝ちに等しい走りでしたが、結果的にスタート直後のポジショニングの悪さと、そこから道中外々、一応最速ラップの地点で強引に捲り切ったところなども含めて、やや噛み合わなかった分の負けかな、と思います。
 騎乗停止明けの小牧J、という部分で、やや慎重に入り過ぎたところも、不利の起こらない形で勝ちに行ったというイメージもあり、馬自身は追われての反応も良かったので、もう少しそつなく立ち回れば次もチャンスはありそうかな、と感じました。

**★8/6(日) 小倉6R 芝1200m戦**

 牝馬限定の1200m戦は、スタートから先手を取ったサイエンが、あまり才媛らしくはないしぶとい走りで後続を突き放し完勝しました。

 展開はサイエンが逃げて、人気の3着ラガーデリケートがぴったりとマーク、2着に差し込んできたピーナツは中団から、という隊列になります。
 ラップは34,1(11,7)-35,3(11,77)=1,09,4(11,57)という推移でした。
 バランス的にも一貫減速消耗戦になっていて、悪くはない数字ですが、前日のバーニングぺスカ戦に比べると前半、後半要素共にかなり見劣りするので、その点で特筆出来る事はないかなとは思います。

 ただ、勝ったサイエンは道中ずっとラガーに真横に並ばれて、雁行状態でのレースを強いられており、それでいながら直線楽に内から突き放す競馬が出来ているのは、中々に精神的にタフな印象を持ちます。
 これでしたら馬群の中に入っても問題なく競馬は出来そうですし、相手なりにパフォーマンスを上げてくる可能性も見出せますので、一概に時計差だけで侮れない馬かもしれない、とは感じましたね。
 富田Jも1Rの斜行降着の汚名を多少なり雪ぐ果敢なレースぶりだったと思いますし、このコンビで小倉2歳に参戦してくれればちょっと面白いなとは思います。

 2着以降の馬は大きく離されていますし、今後昨日の1200m戦で負けた馬とかも未勝利に回ってくると考えると、ちょっとこの距離では厳しい競馬になるかもしれませんね。

**★8/6(日) 札幌1R 芝1500m未勝利戦**

 このレースは、府中1400mのプレトリア戦で4着だったファストアプローチが、外から豪快に捲って差し切り、圧勝で勝ち上がりました。
 スタート直後は外枠もあり中団に構えたファストアプローチですが、ペースが29,6-23,7-36,0とそこそこ前傾で流れる中、コーナーからじわっと進出して直線入り口では既に先頭、ラストは12,4とそこそこ落としたものの好時計の1,29,3をマークしてきました。

 血統的に明確な欧州血統で、洋芝代わりとペースが流れた事、そして早めの仕掛けで足を出し切れたことが噛み合っての圧勝とは思いますし、この流れで追走面で削がれるところはなかったようですので、距離適性はマイルまでではあるのかな、という印象です。
 プレトリア戦は掲示板に乗った馬がその後も未勝利勝ち上がり、連対を果たしている中々のハイレベル戦だったと見做せますし、その中ではまず順当勝ちでしょう。
 
 新馬のようにスローになって、かつ前が壁で動き出しが遅れるパターンですと持ち味は出ない馬、というのがこのレースからもはっきりしましたし、今のところはややタフな馬場での1400~1600mが合うでしょうね。札幌2歳の1800mまでいくと、後半要素や持久力面を問われる可能性が強くなってくるのでちょっとやってみないと、という感じです。

**★8/6(日) 札幌5R 芝1800m戦**

 こちらのレースは、ワークフォース産駒のペプチドオーキッドが、番手から楽に抜け出し完勝しました。
 展開は、スタートから外枠主導の流れになり、大外のアドマイヤテンプウが一気にハナを奪って、その直後にペプチド、2着に入ったオルフェ産駒のトップヴォイスと続き、淡々とした流れで進んでいきます。

 ラップは37,2(12,4)-38,7(12,9)-35,2(11,73)=1,51,1(12,35)という推移でした。
 13秒台のラップこそないものの、中盤の緩みはかなり顕著で新馬戦らしい流れ、後半4Fで12,9-12,2-11,3-11,7と、かなり大きな二段階加速が問われていて、前目からしっかり動けた番手、三番手の馬がそのまま1、2着なのも当然かな、という流れですね。

 その中で勝ったペプチドオーキッドは、不利な外枠からスタートセンスの良さを見せて上手く好位に取りつけましたし、要所からの機動力と切れ味の質もそこそこのものを見せてきたと言えます。
 血統的にスローは噛み合ったと思いますし、ワークフォースの仔もペースが上がってあまり良さが出る感じがないので、この先上のクラスで戦うには現状の武器だけでは心許ない感じもありますが、母方の血統のスピード色がしっかり出てくれば面白さはありそうです。

 2着のトップヴォイスとしては、序盤の立ち回りの差で負けたというべきか、純粋に内外逆ならわからなかったとは思うので、少なくともそういう小さな不利を覆すほどの素材ではなかったとは言えそうです。
 動き出しの反応も良かったですが、逆にラスト1Fでは離され気味ですので、こういう加速を伴う形よりは、ロンスパで持久力戦の方が合いそうな印象は持ちました。少なくとも次もスローで、楽に勝ち上がれるかとなると、相手関係にもよるでしょうが微妙かなという気はしています。
 血統的にもトップカミングの下で、後々はもう少し長い距離で噛み合ってくるタイプと思いますね。

<以下追記>

**★8/6(日) 新潟6R 芝1400m戦**

 うっかりこのレースの存在そのものをスルーしてしまっていましたので、今更ながらサラッと書いておきます。
 展開はカタナが内から鋭い出足で先手を取り、その外に勝ったニシノウララがつけて、2着に差し込んできた圧倒的人気のアーモンドアイは出足が良くなく中団より後ろからのレースを強いられます。

 ラップは36,6(12,2)-12,1-35,0(11,67)=1,23,7(11,95)という推移で、序盤からかなり緩く、仕掛けもラスト2F地点からという形で、番手につけたニシノウララが12,1-11,4-11,5でまとめてくると後ろの馬では中々厳しい、というレースでしたね。

 勝ち馬は序盤のポジショニングの上手さやコーナーでの機動力など、器用な競馬を見せてきたとは思いますが、馬場的に時計面は評価しにくいレベルですので、血統的にももう少しペースが上がった時に戦えるかがポイントになりそうです。

 逆に2着のアーモンドアイはスタートも良くなく、二の足もつかなくて道中もずっと促されっぱなしで、カナロアの仔だけに短距離から、という意識だったのかもですが、素材的には明らかに外回りマイルの方が合いそうでしたね。
 コーナーでも外に持ち出し切れず馬群を縫って上がっていく形になりましたし、残り400mで前と5馬身くらいのところを2馬身までは詰めていますので、推定は12,1-11,1-11,1くらいでしょうか。確実に脚は余した格好ですし、一定の持続力と切れ味は見せてきたので、マイルか1800mでなら確勝級ではないかと感じます。

 ここまで見ている限り、カナロアの仔はスピード自体はありますが、スプリント特化、というイメージの仔は少なく、総合力勝負が得意な印象ですね。
 今週はコスモス賞にステルヴィオが出てきますし、マイル以上の距離でどのくらい良さが出るのか注目したいところです。 
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2017 8月第1週新馬戦ほか レース回顧(土曜編)

 今年の夏は世界水泳⇒世界陸上のコンボで激しく寝不足になりがちですねぇ。
 私は昔から、球技より単純にスピードを競うような競技の方が好きなのもあり、どうしても世界クラスの戦いだと観戦したくなってしまいます。

 特に陸上の中~長距離トラックなどは、道中の駆け引きが競馬に似たものもあって面白いですよね。
 今回も10000mのファラーの早仕掛けからのもう一伸びは圧巻だった一方、女子1500mではディババがいいところなかったり、常に勝ち続けるのは大変なんだなぁと改めて思いつつ、明日早朝の800mと400m決勝も楽しみです。まぁ800mに関しては、今年は近年ずっと応援していたルディシャが欠場しているのでそこは残念なんですけどね。
 バンニーキルクも今回は200mとのダブルエントリーですし、MJの偉大なる世界記録を破った去年のリオほど全てを燃やし尽くすハイペース先行は出来ないかも、というところで、こちらも新鋭が出てきているようで楽しみです。

 とまぁ余談はさておき、本職の競馬の方もしっかり見ていきませんとね、という事で、今日は土曜日の、ダリア賞以外の2歳戦を振り返っていきます。

**★8/5(土) 新潟1R 芝1800m未勝利戦**

 高速状態の新潟の芝ですが、このレースはジナンボー戦で5着だったロジャージーニアスが、叩き二戦目の上積みでしっかり完勝してきました。
 内枠の伏兵がレースを引っ張っていく中で、やや立ち遅れたロジャージーニアスは、徐々に内目に進路を取りつつリカバーしていき、その過程で向こう正面では少し引っ掛かり気味でしたが、コーナーでは落ち着いて2列目ポケットまで押し上げてきました。
 2着に突っ込んできたオルフェーヴル産駒のモカチョウサンは、新馬戦以上にスタートダッシュがつかず最後方からで、残り800m付近から大外を回してじわっと進出してくる形でしたね。

 ラップは36,7-36,8-34,6=1,48,1と、ややスローながら常識的な流れで、時計もこの時期の2歳馬としてはまずまずだと感じます。
 前半4Fが50,7とかなりスローで、後半5F58,8とロンスパ気味の競馬であり、多少折り合いを欠きながらもペースの遅い地点で早めに押し上げたロジャーのほうが、立ち回りの良さでモカの素材を上回ってきたレース、という感じですね。

 後半のラップは11,8-10,7-12,1とある程度加速は問われたものの、新潟外回りですのでこのくらいの加速度はむしろ小さいくらいで、最速地点までインでじっと我慢できたロジャージーニアスは、ラスト1Fまで余力を残して進められましたし、リカバーが綺麗に嵌った分もあるので素材的にはもうひとつかもですが、中々面白い競馬でした。

 対照的にモカチョウサンは出足が本当に悪く、二の脚でもあまり取りつけていなくて、新潟外回りでこれですとちょっと序盤の足りなさは問題ですね。
 ただレース後半は、12,1-12,1とコーナーからやや加速する中で、大外を通して差を詰めている上、最速地点でも勢いをつけてきた分もあり、思った以上にスパッと切れる脚を使えていました。
 流石にラストは息切れして、持続力面での圧倒的な素材感は見せられなかったですが、もう少し序盤の立ち回りで器用さが出てくればチャンスは巡ってくるかなとは感じますね。

**★8/5(土) 新潟2R 芝1000m未勝利戦**

 ここは藤田Jのフローラルシトラスが素晴らしいスタートから一気の逃げ切りを見せました。
 新馬戦も出足は良かったですが、この日も本当にポンッと好発し、3番枠だったのにあれよあれよという間に外埒まで取り付けていて、この出足の鋭さ、スタートセンスは人馬ともに注目に値するものでしたね。
 ラップ的には22,4-10,9-22,6=55,9と、馬場を考えるとさほどレベル的には高くない、とは思うのですが、このコンビで可憐な名前の牝馬、ということで、今後も軽い馬場の1200m戦あたりなら、上手くレースを支配出来ればチャンスは出てくるかなとは思いますし、活躍してくれれば人気も出て面白いだろうなぁ、と。

**★8/5(土) 新潟5R 芝1600m戦**

 このレースは新馬戦らしい超スローペースになり、後方に構えていたウラヌスチャームが極限的な上がりを繰り出して一気に差し切る競馬を見せてきました。

 展開はミフラーブが内枠からポンッと出て逃げを打ち、少し出負けした人気の3着ノーブルカリナンが二の足で二番手まで押し上げて、その外に4着のパイオニアバイオが控えます。
 2着に入ったカーボナードはまずまずの出足から枠なりに中団の外目、勝ったウラヌスチャームは最内枠から明確に出負けし、ダッシュもつかずに最後方からという形で、スローペースらしく馬群がギュッと凝縮していましたね。

 ラップは38,8(12,93)-26,6(13,3)-32,8(10,93)=1,38,2(12,37)という推移で、1000m通過が65,4と、ほぼ最後の直線までは助走をしているようなペースでした。
 後半4Fが13,0-11,6-10,1-11,1という流れで、最速地点の10,1は凄まじく速いのと同時に、残り800mから2Fでほぼ1,5秒ずつ加速しており、流石に加速しやすい新潟外回りでも、本質的なギアを上げる性能の高さと、最大瞬間の瞬発力の質は強く問われているでしょうし、加えて持続力もそれなりには、という順番で、いずれにせよ後半要素の勝負に特化しています。
 ここまで加速度が高いと、実は前にいて仕掛けを待っているより、遅い地点で外からじわっと押し上げながら入っていった方が優位、という考え方もあり、結果的に後方からの外差し2頭で決まったのはそのあたりも影響していると思いますね。

 勝ったノーブルカリナンは、序盤こそ拙いレース運びでしたが、馬格のある牝馬の割に、中盤から外に出しての機動力は中々のものがありましたね。
 ルーラーシップの仔ってこういう段階的な加速戦でじっくり脚を乗せていく競馬が上手い、という印象はあって、この馬自身はおそらくラスト3Fを11,2-9,9-10,9くらいで乗り切っているように見えます。
 13,0の地点で動き出しを意識出来た分、直線入り口での伸びは鋭かったですし、流石に最速地点で一気に詰めてはいませんが、それでも推定9秒台の脚は中々引き出せるものではないですね。
 かつラストも10,9とそこまで一気に落とさずまとめていて、競り合いを制した根性も含めて、後半要素だけは面白いものを見せてきたと言えるでしょう。

 ですが当然前半要素は、このペースでも前に取りつけない不器用さを露呈していますし、本質的にはもう少し距離は欲しいでしょうね。
 一先ずワンターンの1800m戦あたりで見てみたい馬ですし、そこで常識的に流れた時に後半要素を引き出せるなら本物でしょうが、まだこの時点ではなんとも言えませんね。

 2着のカーボナードも勝ち馬と文脈的には同じような競馬をしていて、僅かに切れ味と持続力で足りなかったという感じでしょうか。
 この馬も直線入り口からの切れ味は中々でしたし、この日は出たなりでしたが、ディープの仔ならもう少し前半が流れても対処できる幅は勝ち馬より広いでしょう。
 少なくとも普通に流れての新潟戦ならまず未勝利は勝てると思いますし、先々まで楽しめる素材だと思います。ちょっとここはレースが特化的になり過ぎたと感じます。

 3着のノーブルカリナンに関しては、新馬戦だけにスッと前々につけるポジショニングの良さを見せてきたのはいいのですが、ドスローに合わせ過ぎて、後半の加速力と持続力面で噛み合わなかった、という感じです。

 加速性能ってものも中々厄介で、スッと動ける動けない、という馬の身体の使い方や精神的な反応の良さとはまた別口に、あまりにも一気に加速し過ぎるとそこでエネルギーを使い過ぎてしまうイメージはあります。
 基本的には徐々にペースアップしていく方が負担が少ないですし、最高速にも無理なく乗せやすいとは思っていて、この場合前目でレースラップそのもので走っている方が、後ろから多少なり加速の幅を少なく押し上げてきた馬よりも逆に辛い、というパターンになっているのではないかと思いますね。これだけスローですと、仕掛けを待ち過ぎるのも考え物というべきでしょうか。

 血統的にはディープにノーブルジュエリーと、いかにもスピード色が強そうな配合ですし、出足自体は悪くないですので、1400~1600mでポンと出て、常識的な流れに乗っていく競馬の方が強さを発揮できると思います。
 母親も嵌った時の圧倒的な強さと、ダメな時の脆さの幅が広いタイプでしたので、安易に逃げる競馬を覚えさせると先々が難しい、という判断はあったかもですが、少なくとも後半要素、急加速から持続力を引き出すという点に関しては良さが見られなかったので、次にどの距離を選ぶか、どういう競馬をしてくるかは見所になると思います。
 素材的にはこちらも未勝利は楽に勝てる印象ですね。

**★8/5(土) 小倉2R 芝1800m未勝利戦**

 土曜の小倉も懸念された台風の影響はほぼなく、500万下の2000m戦が1,59,5と、常識的なレベルでの高速馬場だったと思います。
 その中でここの未勝利は、ワグネリアン戦の上位馬が登場して注目されていましたが、勝ったのはヴァイザー戦でハイペースをしぶとく差し込んできたルーラーシップ産駒のタガノスカイハイでした。

 展開は、まず内枠からタガノスカイハイが好スタートを決めてハナを取り、そのすぐ外に2着のシゲルホウレンソウがつけます。
 三番手には外から3着のタガノバルバトスがつけ、2列目のポケットには人気の一角ミーティアトレイル、そのすぐ後ろにキタサンタイドーがつける形になりました。
 1番人気のスヴァルナは、はっきり3馬身くらいの出遅れから、外々を回して最初のコーナーまでにリカバーし、その後もずっと中団馬群の外目でレースを進めていくことになります。

 ラップは35,8-36,3-36,9=1,49,0という推移で、前傾ラップで中盤も緩まない、そこそこタフな消耗戦になっています。
 馬場はかなり良かったのでこの時計面は今一つ足りないかな、とは思いますし、結果だけで見るとこれまでのレースである程度ハイペースに耐性のあった馬がしっかり上位に食い込んでいる感じで、レース全体の競馬になった時の適正の差、というものをとても良く理解させてくれる流れ・レースになっていると思います。

 勝ったタガノスカイハイは、新馬戦もかなりの激流から最後の消耗地点で減速を抑えてしぶとく伸びてきましたし、ここでもしっかり厳しい流れを先導して、シゲルにマークを受けつつそれを最後まで凌ぎ切るいい競馬を見せてきました。
 新馬に比べると序盤のポジショニングは格段に楽そうでしたし、イメージとしてはもう少し距離を伸ばしてもやれそうな感じはあります。
 もっともその場合、後半要素を問われてどうかはまだ未知数ですし、しっかり騎手がレース全体の勝負になるようレースメイクをきちんと意識する必要はあるでしょうが、この時期にこういう勝ち方をするタイプはそんなに多くないので、持ち味を常に生かす競馬が出来れば次も楽しみはあると思います。

 2着のシゲルホウレンソウは逆に、新馬ではスローからの切れ味勝負でやや見劣ったとはいえ一定の結果は出せていて、その上で今回の流れをピタッと追走してそれなりの結果に繋げてきたので、好走の幅がそこそこ広いなと思いますし、どんな展開でも安定して走ってきそうです。
 逆に言うと明確な武器は今のところ見出せないので、どんな流れでも器用貧乏、善戦マンになる可能性もありますが、名前のおかしみ以上に走ってくる馬かもしれないのでちょっと先を見ておきたいですかね。

 キタサンタイドーは、新馬が超超ドスローの後だけにこのペースへの対応が鍵でしたが、そつなくこなしてきたな、というイメージです。
 馬群の中からでも競馬が出来ましたし、このレースは最後狭い所に入ってしまって追えずに5着、ではありましたが、次回スムーズな競馬が出来るならチャンスは大きいでしょう。このペースに対処できたなら、もう少し積極的にレースメイクしていける目途も立ちましたしね。

 逆にスヴァルナは、出遅れからラップの速い2F目で焦ってリカバー、という動き方、かつ全体的に速い流れで道中ずっと外々という位置取りが相当に無茶ではあったと思います。
 新馬戦も上位2頭とは大きく水を開けられたとはいえ、後半要素を問われて悪くない競馬はしていましたが、ここは前半要素の方がより強く問われる対極的なレースになりましたので、その中でこの強引な形では厳しかったでしょう。
 血統的にも力の要る馬場でゆったり、という方が噛み合いそうなイメージではあり、リカバーの二の足自体は速かったので、ある程度前目からスローにコントロールされた流れなら巻き返してくるでしょうが、小回りの1800mですと忙しくなるパターンも結構多いので難しいところですね。

**★8/5(土) 小倉5R 芝1200m戦**

 このレースは、スタートから快調に飛ばしたバーニングぺスカが、番手追走のラブカンプーの追撃を辛くも退け、好時計での新馬勝ちとなりました。
 展開もそのまま、バーニングが逃げてラブカンプーが追いかける、それ以外の馬はほぼついていけない、というわかりやすいスピード勝負になっていて、ラップも33,5(11,17)-35,2(11,73)=1,08,7(11,45)と、一貫減速ラップの前傾戦になっています。

 勝ったバーニングぺスカは、スタートセンスと加速力、後半の粘り腰まで含めて、本当に素晴らしいスピード能力を見せてきたなと思います。
 当日のメインの1000万下が33,2-34,1で1,07,3ですから、前半要素だけならほぼ互角ですし、テンの1Fも11,9は新馬レベルでは中々お目にかかれない数字です。
 去年の小倉2歳Sが、結果的に桜花賞馬に登り詰めるレーヌミノルのぶっちぎりで1,08,0でしたがこれはむしろ例外的で、大体は1分8秒中盤から後半に収束していきますので、最終週との馬場差はあれ、この時点でのスピード能力として、上位2頭は充分に勝負になる担保があると見做せますね。

 特にこういう前傾戦でスタートセンスの良さを見せているので、それは確実なアドバンテージになりますし、後は極端に絡まれたり、或いは枠の並びで外枠となり、番手からの競馬でもリズムを崩さずにいけるか、そのあたりが勝ち馬の方は課題になってくるでしょう。
 血統的にもパイロにダイワメジャーと、いかにも早熟の短距離血統ですので、フェニックス賞や小倉2歳は稼ぎ所になると思いますし、そこそこに信頼度は高いのではないかなと感じる走りでした。

 2着のラブカンプーも強い競馬をしていますね。
 自身は33,8-34,9というバランスで、かつ上がりの0,3の差はほぼラスト1Fで詰めていますので、ハイペースからでもしっかり脚を引き出せる強みは見せてきました。
 ポジショニングの面でも馬の後ろ、外から来る馬がいてもしっかり自分のリズムで進められましたし、2歳Sで乱ペースになった中、内枠でじっと我慢するような競馬が噛み合えば、勝ち馬を逆転できる素地はあるかなと思います。未勝利レベルならまず負けないでしょう。

 血統からはショウナンカンプにマイネルラヴと、スプリントGⅠの勝ち馬の血を引き継いでいて、かつサンデーの血が全く入っていないんですね。
 兄のキングハートはここ最近力をつけてきた後半型のスプリンターですが、この馬はより血統的にはスピード型、バランス型かな、というイメージで見れますし、勝ち馬よりは将来の伸びしろはあるかも、という感じですね。
 もっとも、愛を背負っているのに寒風吹きすさぶとはこれ如何に、なんて思ったりもしますが。父名から取るにしてもなんで伸ばし棒つけたんでしょうね?あ、愛の力で完封、って方でしょうか?

**★8/5(土) 札幌5R 芝1200m戦**

 土曜の札幌も引き続き高速馬場ではあり、最終の1000万下1200mが34,2-34,1=1,08,3という時計での決着でした。
 そういう馬場の中でのこのレースは、サフランブーケが好スタートから逃げを打ち、それを番手でファストライフが追走して、それ以外の後続は追走で手一杯という、小倉の新馬戦と似たような構図のレースになりました。

 ラップは34,9(11,63)-35,0(11,67)=1,09,9(11,65)という推移で、綺麗な平均ペースですが、新馬戦らしくはなくコーナーで全く緩みがない、微差程度ではあれ一貫消耗戦、という形になっています。
 中央場所以外では屈指のコーナーの長さがある札幌だけに、函館戦ほどコーナーで緩まない傾向はありますけれど、それでも新馬で淡々と11秒前半を4F並べてくる形は珍しく、平均ペースながらもスピード色はかなり強い内容と見ています。

 ここも1000万下との比較で言えば悪くはない時計で、勝ち馬はスタートセンスも良く、最後もしぶとく粘り込めているのでもう少しペースが上がっても対応出来るのではないかな、と感じます。
 血統的にはスターリングローズにカーネギーとかなり渋く、そんなにスピード色豊か、というイメージでもないのですが、レースぶりは1200mがベスト、という感じでしたし、関西馬でもあるので勝機を求めるなら小倉2歳Sの舞台の方が合うは合うでしょう。上記のバーニングぺスカ戦の2頭と比較しても、そこまで大きく遜色はない競馬は出来ていると思いましたね。

 2着のファストライフは、このペースを追走こそ出来たものの、ラストは勝ち馬以上に失速している感があり、ややオーバーペースだった可能性はあります。
 こちらの血統はスーパーホーネットにチチカステナンゴとまた渋いのですが、そこからももう少し距離の融通は効きそうなイメージで、時計のかかる馬場は合うと思うので、このまま札幌で1500m戦を使ってみたら面白いのではないか、と感じますね。流石に1800mまでいくとちょっとやってみないと、ですが。
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2017 ダリア賞 レース回顧

 ちょいと本日は時間がありませんで、サクッとこのOPレースだけの回顧にさせていただきます。
 明日明後日で新馬などの回顧は書けると思います。

 ダリア賞は歴代の勝ち馬を見ても正直あまりパッとしないレースではありますが、今年は人気のタイセイプライドが、新馬に続いてセンスある競馬で勝ち切ってきて、中々に先が楽しめそうな雰囲気はあります。
 当日の新潟の馬場は当然高速条件でした。
 ひとつ後の2000m千で1,56,9がでていますし、最終の古馬500万下マイル戦も46,7-46,1=1,32,8の好時計決着で、その中でこのレースの1,22,4はまずこの時期の2歳馬としては標準レベルはクリアしている、という感じでしょうか。

 展開は、外からポーンと素晴らしいスタートを切ったのが2着に粘り込んだシャインカメリアでした。
 その内からニシノベースマン、フィルハーモニーなどの人気馬が追いかけていって、圧倒的1番人気のタイセイプライドは一歩目はやや遅かったものの、そこから外枠を利しての二の足の鋭さで楽に先団に取りつき、最終的には離れた二番手をしっかり確保します。
 スプリングマンは新馬や未勝利の出足からもうちょっと前に行けるかと思いましたが、ここではやや道中下げ気味になり、おっつけながら外目をじわじわと盛り返していく、という格好でしたね。

 レースラップは35,1(11,7)-12,0-35,3(11,77)=1,22,4(11,77)という推移になっていました。
 最序盤の12,9がやや遅い感はあるものの、そこからはしっかりスピードに乗ってのレースになっていて、全体的に綺麗な平均ペースで道中も極端に緩んではいません。
 その分レース全体の仕掛けは明確に遅く、ラスト3Fが12,0-11,2-12,1というラップになっていて、コーナー出口から直線入りにかけての加速度合いがかなり高いです。
 なので、ここでの加速性能と瞬発力の質の差が一番結果に大きく反映していると思いますし、加えて最低限の追走力も問われているかな、と考えます。全体的にはスピード型向けの、1400m戦らしい流れになっているかなと感じますね。

 勝ったタイセイプライドは、新馬に引き続きポジショニングの良さと加速力の鋭さをはっきり見せてきました。
 残り600mからそこそこ前との差を詰め出しており、残り200m地点で前とほぼ半馬身差から抜け出していますので、推定でこの馬の上がり3Fラップは11,6-11,1-12,0くらいではないでしょうか。
 明確にスパッと切れたわけではないですが、しっかり段階的に加速していく中で持ち味を引き出せていますが、ラスト1Fはちょっと落とし気味ではあり、新馬戦と比べると前半のペース差が影響したのかな?というイメージは持てます。

 内容として強い競馬なのは確かですが、距離短縮にせよ延長にせよ、この2戦とは違った質が問われると思いますし、特に新潟外回りになりますと持続力が高い馬がラストしっかり食い込める舞台なので、現状このセンスの良さだけでどこまで勝負になるかは難しいところです。
 前半が流れた中でやや後半要素を削がれている感じからすると、距離短縮も完璧に噛み合うかは微妙なラインで、血統的にはヨハネスブルグで短距離色を強くイメージしますが、素材的にはマイル近辺、かつ小回りの方が適性は高い気はしています。
 相手関係的にもここは楽だったと思いますので、次が確実に試金石になってくるでしょうね。新潟2歳Sで人気を背負うようだと、あまり強気には狙いたくはないかな、というのが現状の率直な所感ではあります。

 2着のシャインカメリアは、特に機を衒ったところのない正攻法の逃げで、しっかり結果に繋げてきましたね。
 元々そこそこハイレベルだと思っていたパッセ戦の2着馬でもありますし、距離を伸ばして淡々とスピードを活かしつつ、要所でしっかり0,8の自力加速を見せていて、この辺りは逃げ馬として面白い適性です。
 ただ自身のラップでラストは12,4とかなり大きく落としており、持続力面ではほとんど評価できない数字かな、とは思いますので、基本的には前半要素で勝負したい馬ではないかな、と思います。

 イメージ的にはもうちょっと前傾でもしっかり脚を残せそうなタイプかなと思いますし、スタートのセンスの良さは抜群ですので、それを生かして短距離路線で活躍して欲しいですね。
 距離延長はこれ以上はあまりプラスにはならないかな、と感じます。

 逆に3着ニシノベースマンは、はっきり距離が足りなかったのではないかなとは思います。
 スタートは近走の中では一番良く出ていましたし、枠なりに前目につけてそつのない競馬は出来ていましたが、このペースですと少し後半要素を削がれてしまったところはあるかな、という直線の走りでした。
 あとこの馬は一気の加速はそこまで得意ではなさそうで、このレースも11,2の地点で外から前を向けているのに突き放されており、新馬からすると持続戦自体は対応できるはずなので、やはりペースとラップの波かな、と感じますね。

 前走の未勝利は後方から長く平均的に速い脚を使って突き抜ける競馬でしたし、出られるかどうかはともかく、適性的にはまだ新潟2歳Sのマイルの方が、とは思います。
 その上でしっかり前半足を温存すれば、確実に400-200m地点が10秒台に入ってくるコースレイアウトの中で切れ味と持続力を高めてこられるのか、過去2戦からすると48-46くらいのマイル戦なら対処できそうなイメージはあるので、タイセイプライドを逆転できる余地はある馬だと思っているのですけどね。

 5着スプリングマンは、この日はちぐはぐな競馬でしたね。
 スタートはそんなに悪くないと思ったのですが、そとの2頭が行き脚良く前に入っていったこともあり、序盤でやや後手を踏む格好で、道中もそのまま外々から早めに進出していく形になりました。
 新馬のレースぶりなどからも、ポジションを取っての一足が持ち味に感じますので、今回はその特性を生かし切れない展開に嵌り込んでしまいましたし、淀みない中で外々、というのも地味にロスだったと思います。
 素材的にはもう少し戦える馬だと思っていたので残念でしたが、この感じですと距離はもうちょっとあったほうがいいかもしれませんね。
 
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2017 小倉記念・レパードS レース回顧

**★小倉記念**

 思っていた以上に台風がジリ脚で、晴れ間ものぞく中でのレースとなった小倉記念は、デムーロJ落馬負傷で急遽乗り替わりとなったタツゴウゲキが、内ポケットからしぶとく伸びて、最後の最後で先に抜け出したサンマルティンを捉え、重賞初制覇を飾りました。レースを振り返っていきましょう。

 午前中などに多少雨は降ったようですが、結果的にほとんど降雨はなく良馬場のまま、となれば昨日同様にかなり高速馬場状態でのレースになりましたね。
 個人的な予想としてはやや渋って、その分みんなが慎重に入っていってのややスロー、という想定でしたのでその時点でどうにもならない感じでしたが、ともかく展開も、メンバー構成以上にこのレース自体の特色が強く出た格好になっていると思います。

 スタートは内のタツゴウゲキ、ヴォージュ、ストロングタイタンあたりが良く、しかしそれを制するように、外からじわじわと行き脚をつけたバンドワゴンがコーナーまでの長い直線をフルに使ってハナを取り切ります。
 このあたりは和田Jらしい思い切りのある騎乗で、それをヴォージュとストロングタイタンが早めに追走、タツゴウゲキはその2頭を見るように内ポケットで虎視眈々と進めます。
 スピリッツミノルやフェルメッツァの内枠勢が中団やや前で、サンマルティンはいつものようにかかり気味ながら中団の外目でなんとか宥める格好、このレース得意のべルーフは、いつものように出足つかずに後ろから、という競馬になりました。

 ラップは34,4(11,47)-47,3(11,82)-35,9(11,97)=1,57,6(11,76)という推移でした。
 流石にこのメンバー構成でここまで流れるのもちょっと想定外で、ですが和田Jが逃げ候補の馬に乗っている、という点をしっかり意識すれば十分有り得る構図ではありました。でも天気にせよ展開にせよこのレースは特に読み辛かったですね。
 そのバンドワゴンの逃げを、すぐ後ろでヴォージュとストロングタイタンが強気につついていったこともあり、中盤に入っても12,3-11,6-11,5-11,9と、一瞬だけ緩んだもののすぐにペースが上がっていて、およそ6Fベースのロンスパ持久力戦になっていると思います。

 当然ながらかなりハイペースですので、序盤の追走力に裏付けがない馬は厳しかったですし、コーナーで速い脚はほぼ問われていないので、基本的には一貫した持久力要素が一番強く問われていたのではと感じます。
 後ろから外を捲ってきたサンマルティンやべルーフあたりは、ペースが緩み始めたところで上手く機動力を生かしていて、そこそこ展開は噛み合ったのかなというイメージはありますが、しかし本当に小倉はハービンジャー産駒の庭ですねぇ。やや期待を裏切った感のある初年度産駒が、今5歳になって晩成の血を咲かせてきているとも考えられますし、このあたりは中々面白いところです。

 勝ったタツゴウゲキは、軽斤量で内枠、という利点をフルに生かした好騎乗で、乗り替わりで少し人気を落としていましたが、結果的にあの位置で、無理に勝ちに行かずに流れに合わせたのが最後の伸びに繋がったのかなとも感じます。
 基本的にそこそこ追走面で余裕のある馬ですし、2列目ポケットは絶好位を取れたなぁ、と見ていましたが、コーナーで垂れてくるバンドワゴンを捌くのに少しロスがあり、外から捲ったサンマルティンに先に抜け出されてしまいました。
 
 でもこの馬自身はいい脚は長くはない、というタイプですので、こういう一貫持久戦でロスなく回ってこれたのは大きなプラスで、その上少し待たされて結果的に仕掛けを遅らせられたのも良かったのでは、と感じます。
 無論スムーズだったらもっと楽に勝てていた可能性はありますけれど、どうあれこのハイペースの中からでもしっかりもう一足使ってこられる追走力は中々の武器になりそうですし、今後も小回りコースの重賞なら面白さはあるのでは、と思いますね。

 2着のサンマルティンに関しては、正直こういうハイペース持久力戦で走ってくるとは露とも思っていませんでしたし、仮に馬場が完璧に分かっているレース開始直前に予想したとしても印は打たない馬でしたので、本当にごめんなさい、という感じですね。
 どうしてもこれまでの好走が超スローからの持続力戦に特化しており、渋った時や流れた時にほとんど走っていなかったのですけれど、高速馬場なら流れても対応出来るのか、と驚かされました。

 勿論この流れでも掛かり気味になる馬ですから前進気勢が強いのは確かで、でもこういうタイプは得てして流れた時に気のままに出していくとラストが甘くなると思っていたのですが、今日はしっかり残り600mから外を鋭く捲り上げて直線入り口でもう先頭に立っており、追走面での担保を2レベル位一気に上げてきた感があります。
 これもハービンの庭ならではの走りかもしれませんし、流石に最後は甘くなったところを斤量差で差し込まれましたが、こういう流れでも闘えるのであれば、今後の展望は大きく開けてくると思いますね。実に強い競馬でしたが、これで勝てないあたりなんというか、関西圏の戸崎Jらしいなぁ、とも思ってしまいますけどね。。。

 3着のフェルメッツァも、ある程度前々で流れに乗っており、追走面での優位をしっかり生かしつつの雪崩れ込みではあったと思います。
 ただそれなりに正攻法で動く中でラストははっきり消耗していますし、こういう展開そのものは向くけれど、もう少し馬場自体は時計がかかったほうがいいのではないか、と感じますね。

 4着ベルーフも、もともと例年このレースで好走しているように、ハービンの仔にしては追走力があり、けれどポジショニングが最悪なのでどうしても届き切らない、というのは今年も顕著でした。
 かつ、コーナーで前が遅くなったところでの機動力は流石でしたが、直線向いて前が減速ラップを踏むところでこそ良さが出るタイプと思っていたのに、今日はフェルメッツァとの差し比べで見劣る格好になり、このあたりやはり近走の調子の悪さが戻り切ってはいなかったんだろうと思います。
 正直これを復活の兆しと見るかは微妙なところで、個人的には平均的に下降線の中で、このレースだけは適正面で走ってきた、と感じていますし、次に半端に人気するようなら疑ってかかりたいかな、とは思います。

 5着カフジプリンスは、良馬場の時計勝負でここまで食い込めたのは成長の証かもしれません。
 元々スピード勝負の舞台では全く追走力が足りずの馬でしたが、逆にここまで流れ切ってしまうと後半の加速要素なども必要ないのでかえって対処できるのかもしれません。
 といってどうしてもポジションは後ろになりますし、そこから伸びずバテず、という程度ではあるので、この距離で、ですともっと時計がかかるコンディションでないと、頑張ってもここまで、とは思いますけれどもね。

 ヴォージュとストロングタイタンに関しては、どちらも追走力面で怪しい馬なのに強気過ぎ、という結果だったとは思っています。
 勿論馬場も良かったですし、この二頭ともにスロー過ぎる流れは嫌だったでしょうが、あれだけバンドワゴンが遮二無二行ってくれたなら、もう少しバランスを取って前半入って欲しかったなぁ、とは感じましたね。
 基本的に二頭とも、スロー気味に入ってそこからロンスパ、という展開で一番良さが出る馬ですので、この息の入らない流れではやむを得ない負け方かなと思います。
 個人的にヴォージュは前回も今回も本命打ったように、型に嵌った時の強さはかなり評価してますし、ストロングタイタンも同様に素質は高い馬だと思っていますので、この負けで次に適正条件でも人気が落ちるようなら、とは思いますけどね。


**★レパードS**

 真夏の3歳ダートチャンピオン決定戦・レパードSは、内々を綺麗に立ち回ったローズプリンスダムが、最後の直線で外に持ち出して一気に差し切り勝ち、人馬ともに嬉しい重賞初制覇となりました。レースを振り返りましょう。

 まず馬場なんですが、前日チェックを出来なかった関係で例年通りの標準馬場、としておいたところ、なんか今週は急に全体的に重くなっていたようで、他のレースでも相当に時計がかかっていましたね。
 古馬500万戦で35,9-39,4-38,6=1,53,9という時計ですので、予想よりは1秒以上重かったかな、という感じですし、そういう力の要る馬場で良さが出てきた馬、というのもいたと思います。実際今日のダート戦、このレースも最終も大荒れですしねぇ、夏競馬難し過ぎです。。。

 展開は、まずサルサディオーネが抜群のスタートから一気にハナを取り切りました。
 内の馬ではタガノグルナはやや出負け、タガノカトレアとエピカリスはまずまずのスタートで、タガノがスーッと前に出していって2列目外を取りに行くところで、エピカリスが少し待つ形になりました。
 そこに外からノーブルサターンが絡んできて、上手くエピカリスを馬群の中に閉じ込める形でレースが進んでいくことになります。

 内からリカバーしたタガノグルナがポケットで、その一列後ろにローズプリンスダム、中断やや前目にシゲルコングと外海にテンザワールド、向こう正面でイブキとタガノディグオもポジションを上げてきて、前の集団は一塊になり、それを見る位置でブライトンロックやハルクンノテソーロが追走していました。

 ラップは36,1(12,03)-38,4(12,8)-38,4(12,8)=1,52,9(12,55)という推移でした。
 新潟の1800m戦らしくある程度前掛かりの競馬ではあり、かつ向こう正面で押し上げる馬などもいて、残り1000m地点から12,5とペースが上がり、そこからずっと12秒後半を刻むロンスパ気味の持久力戦になっています。
 息が入るポイントがほぼないレースですので、道中の立ち回り、特に内外の差は結構大きかったと思いますし、ペースが上がったところで押し上げてきた後続には尚更、と言えます。コーナーでも緩んでいない分、結果的に内目を通した馬が上位なのも頷ける所ではあります。
 無論追走面でも高い資質を問われていて、道中の立ち回りと持久力を主に問われたレースではあるかなと思います。にしても、本当にこの世代のダート路線は猫の目でさっぱり力関係が見えてきませんね…………。

 勝ったローズプリンスダムは、内枠を上手く利しての再序盤のポジショニングと、勝負所で一呼吸待ってからのスムーズな外への持ち出しが完璧なタイミングで噛み合った、とは思います。
 勿論馬自身に地力がないと辛いペースではありましたし、こういう時計のかかる馬場も合っていたと思いますが、淡々と波の少ない流れをじっと我慢した事で、自身ではラスト1Fで一番いい脚を使ってくるような形で走破出来ました。

 エピカリスがまともなレースをしていたら、というのは付き纏うので、レベル的にはちょっと懐疑的にならざるを得ないですけれど、追走力は高く、ポジショニングは枠次第ではあれ、なし崩しに足を使う展開でなければ面白さがある馬です。
 正直前走が不満だったんですけど、あれは距離もあったのかなと思いますし、府中マイルの走りも一回見てみたいですね。

 2着のサルサディオーネは、前走確かに圧巻の逃げ切りだったとはいえ、先行馬が揃ったここでこうまで楽にハナを取り切れるとはちょっと予想外でしたね。
 ペース自体も決して逃げ馬には楽なものではなかったと思いますが、自分のリズムで内々を通せたことでアドバンテージを作れましたし、直線でも僅かながらしっかり加速ラップを踏んで、高いハイペース適正と地力を見せた内容だったと思います。
 この馬も今後牝馬ダート路線で面白い存在になりそうで、今年の牝馬はクイーンマンボにアンジュデジール、それにこの馬と、中々に逸材が出揃いましたね。秋の古馬との対決が楽しみです。

 3着エピカリスに関しては、今日は状態面もあったでしょうが、非常に厳しいマークに合ったのも確かでなんとも難しいところです。
 スタートも悪くはなかったですが、とびきりいい、というほどではなく、そこから様子見的にじわっと出していく中でやや後手に回り、馬群の中に閉じ込められてしまったのはまず一つ目の誤算だったでしょう。
 しかもそこから、基本的にずっと外にノーブルサターンが張り付いていて、下げて外に持ち出そうにもテンザワールドが塞いでいて、と、傍から見ている限り外に出すチャンスを道中一回も作らせてもらえなかったなぁと思います。

 コーナーでも前と外で上手くブロックされて、強引に持ち出すスペースもなく、伸びずバテずの前に合わせている内に外から抜け出され、ようやく残り100mくらいで進路確保するものの時すでに遅し、不完全燃焼極まりない競馬にはなってしまいました。
 馬自身の適正としては、追走力は非常に高いものがあり、機動力にも優れているので、このペースは丁度いいくらいだったとは思いますし、早めに動ける展開ならこの出来でも完勝していたのではないかとは思うのですが、かなり発汗もありましたしなんとも言えませんね。

 少なくともまともに競馬に参加させてもらえなかったのは確かで、実力面での評価を下げる必要はないのですけれど、このレースを取りこぼしたことで賞金的な面で色々不備が出てくるのが痛いですね。
 順調に行けば古馬トップクラスとも充分互角に戦える素材だと思いますので、しっかり立て直して無理なく、それでいて結果を残せるローテーションを選択していくしかないでしょう。武蔵野Sあたりに滑り込めて、優先出走権が取れればいいんですけどもね。

 4着ブライトンロックも上手く後ろで足を溜められましたし、コーナーでも無理をしなかった分ラストの伸び脚につながっていて、これ自体はあまり評価できるものでもないかなと。
 むしろ5着のノーブルサターンは、道中ずっと外々で、近走は逃げる形で結果を出してきた馬でもあり、これで大崩れしなかったのは評価してもいいかなと感じます。いつも人気はしないタイプですが、条件が噛み合えば大駆け出来る素地はありますね。

 タガノディグオあたりは向こう正面で動かざるを得ない馬ですし、しかしここまで一貫した消耗戦になると、外々から取り付くのは厳しかったと言えますね。
 もう少し軽い馬場を想定していたので、その中でならメリハリのあるラップになり、上手く押し上げられると期待していたのですが、ペース的にも1800mハイペースはやや忙しい、という可能性は高く、ちょっと安易な評価だったかなと。馬体もかなり減らしていて、使い詰めの影響もあったでしょうし、改めて見直せる馬だとは思います。

 テンザワールドもこの緩みのない流れでだと追走に苦慮していましたし、今日は枠が悪かったですね。
 内枠で馬群の中からでも競馬出来る馬ですし、距離はもう少し、スローか中緩みで息が入るコースでこそ、という気がします。阪神2000mか京都1900mなら全力で狙えるタイプではないでしょうか。
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2017 8月第1週海外GⅠ レース回顧

 うーん、ジューヌエコールも怪我で一頓挫ですか…………。楽しみにしてる馬の故障が多くて切ないですねぇ。
 そのあたりはともかく、今日は海外GⅠの残りです。7月末のレースもありますが、便宜上8月で括ってしまっていますがご了承ください。

**★ロートシルト賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=tdZ1z0UuOZg)**

 3歳馬と古馬が対決する牝馬限定のマイル戦、ロートシルト賞は、3歳マイル路線ではどうしてもウインターに勝てなかったものの、前走ファルマスSで古馬相手に完勝してきたローリーポリーが、ここでもしぶとさを見せてGⅠ2連勝を飾りました。

 スタートから勢いよく飛び出し、2つに割れた集団の一方の先頭を走るのはローリーポリーで、一番人気で去年の勝ち馬ケマーは中団くらいからそれを見る格好になります。
 ラップが38,73-23,39-11,21-11,14-11,98=1,36,45という推移ですので、見るからに前半3Fがドスローで、そこから5Fのロングスパート戦と、欧州の直線らしい競馬になっていますね。ほぼ600m地点から最高速を踏んでいますので、スローロンスパでの持続戦の様相が強く出ていて、ラストはやや消耗気味ではあります。

 前半遅い分前目につけていた方が有利な面はあったとはいえ、ローリーポリーは各馬にマークされる形で入れ替わりに競りかけられながらも、直線垂れそうで垂れずに最後までしぶとく粘り通しているのは中々のパフォーマンスだなと感じました。
 後述するようにウインターが10F路線でも結果を出してきた中で、オブライエン厩舎の牝馬マイル路線はこの馬が引っ張っていく、という事になるのかなとは思いますし、今年の3歳マイル路線のレベルの高さを示す見事なGⅠ連勝だったと思います。

**★サセックスS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=bHoOtgESSTQ)**

 こちらはイギリスの伝統的なマイル戦で、今年はリブチェスターとチャーチルの対決が目玉となっていました。
 しかし前日からの大雨で馬場が一気に悪化し、チャーチルが直前でスクラッチしたために、やや見所を欠くレースになってしまいましたね。
 個人的な印象としては、チャーチルって馬場が悪い方が強いんじゃない?って感もあるので、出来れば出てきて欲しかったんですけどね。

 人気は圧倒的にリブチェスターで、それに去年のマイル路線でトップの一角を担っていたゼルザルが、地元で一叩きしてこのレースに照準を合わせてきていてこれが2番人気、いつもリブチェスターには勝てないライトニングスピアーと、3歳勢代表になったランカスターボマーが続いていました。

 レースではリブチェスターがいつものように好スタート、ランカスターボマーと並んで集団を引っ張っていきます。
 例年よりも7~8秒は時計のかかる悪馬場の中、最後の直線まで淡々と進んだレースですが、直線向いてランカスターボマーは早めに脱落し、ライトニングスピアーにゼルザル、そして伏兵のヒアーカムズフェンが一気に伸びてきて、一瞬伸びを欠いたリブチェスターは4番手まで下がります。
 しかし仕掛けが速かったせいか、ライトニングスピアーとゼルザルは残り100mくらいでピタッと止まり、リプチェスターが盛り返してくるものの、この馬場を味方につけて快走を見せたヒアーカムズフェンを捉え切れず、、惜しくもGⅠ3連勝とはなりませんでした。

 流石にこれだけの馬場ですと純粋な能力勝負、とも言い難いですし、実際勝ち馬は今まで重賞すら勝っていない馬ですので、その中でも崩れなかったリブチェスターの強さは評価していいのではないか、と思いますね。

**★ナッソーS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=rBdIOrymjUQ)**

 去年は先日惜しまれつつ引退が発表された名牝マインディングが勝った、牝馬限定のほぼ2000m戦ですね。
 このレースもグッドウッド開催ですので、前日の雨が残り例年よりは5秒くらい重い馬場で、プリティポリーSの勝ち馬ネズワーなどをはじめ、有力馬の回避がそこそこあり、やや寂しいメンバー構成となってしまいました。

 1番人気は3歳牝馬マイル路線完全制覇の偉業を成し遂げ、ここで距離延長に挑戦してきたウインターで、その他シャンブラ賞の勝ち馬のソーベツや、1000ギニー2着のハイランドジアなど、3歳勢が比較的人気になっていましたね。
 レースもその3歳勢3騎が引っ張る形となり、直線を向いて逃げたソーベツが押し切りを図るところにウインターが襲い掛かり、マイル戦程鋭く、とまではいかなかったものの、じりじりと伸びて地力の差を見せつけるような勝ちっぷりを見せてくれました。
 2着にはミドルトンSを制していた古馬の伏兵、ブロンドミーが最後に飛び込み、ソーベツは3着という結果でした。

 レースレベル自体はなんとも言えませんが、ウインターは本当にタフで素晴らしい馬ですね。
 去年のマインディングのローテーションも大概でしたが、この馬も既に今年5戦目でGⅠ4連勝と調子を維持しており、かつマイルから2000mまで対応出来る能力を見せてきました。
 これで秋のローテーション選択にも幅が広がりますし、オブライエン厩舎は手駒が多過ぎるくらいですので色々と使い分けも出てくるでしょうが、この馬が紛れもなく大将格、という形になってくるのではないかと感じる、安定した強さでした。
posted by clover at 04:27| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

私的名馬列伝 第十一話 ロードカナロア

**★はじめに**

 今年の顕彰馬選考において、ロードカナロアは僅か4票基準値に届かず、またしても僅差の落選の憂き目にあいました。
 どうしてもスプリント路線は高く評価されにくい、という事と、唯一カテゴリーを超えてのGⅠ勝利となった安田記念がいわくつきになってしまった事が折り重なって、とは思いますが、個人的にはこの馬が選ばれないならもはや永久にスプリンターの顕彰馬は出てこない、と感じていますし、この馬の偉大さをもう一度つぶさに見つめて欲しいなと。
 また、今年からは新種牡馬としても快調なスタートを切っている同馬の事績を、今改めて振り返ってみることで、その適性や成長力がどのようなものだったかを見ていくのは、今後産駒の傾向をイメージする上でも意味があることと思い、今回の列伝で取り上げることにしました。

 [生涯通算成績](https://keiba.yahoo.co.jp/directory/horse/2008103552/)は19戦13勝2着5回3着1回、僅かなミスが致命傷になる電撃スプリント戦を主戦場にしていながら、生涯複勝率100%はあまりにも偉大な数字であり、それだけこの馬の安定感と強さが突出していたことを示しています。
 この馬はまだ普通にJRAホームページでレース映像は見られますので、香港の2戦以外は特にリンクは貼りませんが、レースぶりや数字の面から読み取れるこの馬の成長や変化を細かく見ていくことで、その真骨頂がどこにあったか、をしっかり考えていきたいと思います。

**★新馬~葵S <天性のスピードを持て余しつつ>**

 後にこれだけの名馬となる馬としては珍しく、そのデビュー戦は冬の裏開催・小倉の1200m戦が舞台でした。
 その現役生活を通してほとんど崩れるところのなかったスタートダッシュの鋭さはこの時点から健在で、内枠から楽にハナを奪い取ったロードカナロアは、直線ほぼ追うところなく後続を楽に突き放し、1,08,4の好時計であっさり新馬勝ちをおさめます。

 しかし、年明けて2戦目に選んだ1600mのOP戦・ジュニアカップでは、不利な外枠からのスタートで下げる競馬を試みようとしますが、スピードを抑えることが出来ない若さを露呈して、スタートから600m地点辺りで早くも先頭に立ってしまいます。
 そこからは一応落ち着きを見せてレースをコントロールし、しっかりコーナー出口で加速力を見せて後続を出し抜くものの、坂で甘くなったところで、外から勢いをつけてきたデルマドゥルガーに差し切られてしまいます。
 そして、3戦目に選んだ1400mの500万下戦でも、スローの逃げに持ち込んで勝ちパターンか、というところで、嵌ると強かったラトルスネークの鬼脚に遭い、ここでも2着ともどかしい競馬になってしまいました。

 ただ、2、3戦目で距離延長を試したことで、馬が精神的に大人になったのか、暫しの休養を挟んでの仕切り直しの一戦、小倉の500万下特別のドラキナ賞では、逃げこそしたものの新馬の時とは打って変わってしっかり平均ペースに持ち込み、息を入れて後半に加速する大人びた競馬が出来るようになっていました。
 続く葵Sでも、はじめて番手からの競馬になったもののムキになることもなく、スローの流れからしっかり切れ味を引き出して完勝し、3歳路線のスプリンターとしてはトップクラスの資質にあることを改めて示したのでした。

**★京洛S~高松宮記念 <怒涛の快進撃、はじめての壁>**

 春先の一連のレースから秋の飛躍が期待されたロードカナロアでしたが、秋の復帰戦は11月末の京洛Sまでずれ込みます。
 しかしここで+10kgとはっきり馬体の成長を見せたロードカナロアは、レースぶりでも完全に一皮むけた強さを発揮します。

 高速馬場ながらかなりスローに流れたこのレースで、京都1200m戦の鬼門の外枠を引いたロードカナロアは、はじめて中団外目からのレースを強いられます。
 けれども、レースの上がりが33,4という前有利の展開の中で、外から楽に取りつき、圧倒的な瞬発力と持続力を見せつけてあっさりと差し切ってみせたのです。
 レースラップラスト1Fが11,0のところを、明らかに10,5前後の脚で突き抜けたレースぶりは、天性のスピードをレース後半に爆発させることでより凄みが出ることを証明した一戦でした。

 初重賞挑戦となった京阪杯でも、その勢いは全く止まりません。
 同じように後傾ラップのレースの中で、内枠からスッと先行してコーナー出口で外目に誘導、直線半ばで楽に突き抜けて完勝し、文句なしの新星誕生を堂々アピールし、年明けて斤量面の優位がなくなったシルクロードSでも、中団から外目を通して突き抜ける判を押したような優等生のレースぶりで圧勝してみせました。

 そうして迎えたのが、初GⅠ挑戦となる高松宮記念でした。
 この年の中京は改装直後で非常に馬場が重たく、また初めての左回り、相手関係も僚馬にして前年のスプリントチャンピオンであるカレンチャンを筆頭に錚々たるメンバーが揃っていましたが、それでもロードカナロアは絶対的な安定感と素質を買われて、このレースでも一番人気に支持されます。
 最内から絶好のスタートを切ったロードカナロアは、外から出していく馬を見つつ2列目ポケットの絶好位を確保し、すぐ前にカレンチャンを見ながらレースを進めることになります。
 しかしここでは、流石にメンバーが強い中で前も簡単には垂れてくれず、外に出すスペースを見つけられないまま窮屈な最内から追撃、というはじめての形になって、持ち前の切れ味は影を潜め、前で押し切りを図るカレンチャンを捉え切れず、パワータイプの差し馬のサンカルロにも差し切られての3着と、結果的に生涯唯一の連対を外す力負けを喫したのです。

 流石に一気呵成に頂点を極める、とはいきませんでしたが、それでもトップとの差は小さく、今後の成長次第ではトップスプリンターになるだろう、という印象は残しつつも、しかしここからしばらく、ロードカナロアは雌伏の時期を過ごすことになります。

**★函館スプリントS~セントウルS <最高のスタイルを求めて>**

 次走、確勝を期して選んだ函館スプリントSは、しかし小回りコースの難しさを思い知らされる結果が待ち構えていました。
 最内枠から好スタートを切り、外の行きたい馬を行かせて先団のインに構えたものの、コーナーでペースが緩み、しかし前が壁で動けない中、先に外から押し上げ、直線早々に抜け出したドリームバレンチノを捉え切れずの2着と、またしても歯痒い結果になってしまったのです。

 このレースの敗戦により、それまで主戦だった福永Jが降板となり、新味を求めて当時絶好調だった岩田Jにスイッチとなります。
 そうして迎えたセントウルSですが、はじめての騎乗で積極的に前を追い掛ける競馬をする中、坂地点で少し鈍ったところをインから鋭く伸びたエピセアロームに差し切られ、冬場の快進撃が嘘のように勝ち切れない馬、成長力が頭打ちなのでは、という烙印が押されかかってしまいます。

 しかしこうして改めて様々なパターンでの走りを経験する中で、馬自身がスプリント戦のベストのバランスを体得していったところもあり、また新たな鞍上となった岩田Jも、この一戦で敗れはしたもののこの馬の特性をしっかり掴んだようで、それらが噛み合った結果、「世界の」という間投詞がつくまでになったロードカナロアの本領が発揮されていくことになります。

**★スプリンターズS~香港スプリント <世界最速の称号>**

 迎えたスプリンターズSでは、デビューからこれまでずっと守り続けてきた一番人気の座を、はじめてカレンチャンに譲ることになります。
 セントウルSでカレンチャンは撃破していたものの、あちらは典型的な叩き良化型で、前年のスプリンターズS勝ち馬でもあり、一方で詰めが甘く坂コースでは特にイマイチぶりを発揮してしまうロードカナロアは、頭まで来るか半信半疑、というイメージがこのレースでは反映した、と見ていいでしょう。

 超がつくほどの高速馬場での開催となったこのレースで、しかしロードカナロアは今までにないレースぶりを見せます。
 外枠からスタートは綺麗に決めて先頭列に顔を覗かせるものの、2F目のダッシュ地点で前を全く追わずにしっかり脚を溜める選択をし、その結果として後方4番手というかつてない位置取りからの競馬となります。
 けれど、結果的にはかなりのハイペースの中で、このポジショニングはこれしかない、という素晴らしい正着手でした。

 後で詳述しますが、基本的にロードカナロアという馬は後半勝負型のスプリンターであり、前半のペースが相対的に速くなるほど後半要素が甘くなる傾向がはっきり出ていました。
 なので当時の私は、確実に前傾になるこのレース向きではないと判断していたのですが、この位置取りのおかげで、この流れでも自身33,3-33,4と綺麗な平均ペースで入っていくことが出来たのです。

 高松宮記念と同様に、すぐ前にカレンチャンを目標にして入っていけたのも良かったですし、結果的にじっくり溜めて仕掛けを遅らせた分、直線入り口からスパッと鋭く本来の切れ味を発揮出来て、苦手な坂地点も惰性で伸び切って、見事に初GⅠ制覇を成し遂げたのです。
 これはあの位置より少し前でも後ろでも負けていた、と思える絶妙のバランスと仕掛けであり、後半型の本領をしっかり引き出した好騎乗でした。

 かくして、充実の4歳秋に遂に国内チャンピオンに君臨する事になったロードカナロアは、その余勢を駆って[香港スプリント](https://www.youtube.com/watch?v=O13gDNX6u4g)に挑むことになります。
 この時まで、香港国際レースはマイル・カップ・ヴァーズそれぞれ日本から遠征して勝った馬がいましたが、スプリント路線の層が厚い香港において、どうしてもその牙城を崩せなかったのがこのレースでした。
 しかしこの年は、ロードカナロアとカレンチャンという最強の布陣での挑戦となり、戦前の期待感も高い中、それを更に凌駕するパフォーマンスを見せてくれます。

 ここでも綺麗なスタートを決めたロードカナロアは、4番手の外目を楽な手応えで追走し、直線を向いて粘る先行馬を一気に飲み込み、最後までその末脚は衰えないままに突き抜けて、あっけないほどあっさり、鉄壁だった香港スプリント路線に大きな風穴を空けてみせたのです。
 この年のメンバーはしっかり香港トップスプリンターが揃っていましたし、その中でのこのパフォーマンスは、スプリントの部門でこの馬が世界最強クラスの能力を持っている確かな証明となったのです。
 もっとも当時、オーストラリアに無敗の最強スプリンターブラックキャビアがいましたし、レーティング的にはあちらの評価の方が断然高かったわけで、贅沢を言えばこの二頭の直接対決がどこかで見たかったなぁ、という想いは今でもあります。少なくとも香港の舞台なら互角に戦えたと思うんですけどね。

**★阪急杯~安田記念 <新たなる挑戦>**

 前年一気にスプリントの頂点を極めたロードカナロアは、この充実の5歳春の目標を距離延長に定めます。
 その試金石として選ばれたのは1400mの阪急杯で、ここでは好スタートからスッと下げるいつもの優等生の競馬で、直線半ばで抜け出すものの坂ではやはり少し甘く、それでもマジンプロスパー以下の追撃を抑え込んで、堂々たる貫禄の勝利を収めます。

 そして、まずは去年取り損ねたタイトルを、と矛先を向けた高松宮記念でも、珍しくややスタートで後手を踏むもののスッとリカバーして中団、レース自体がハクサンムーンの平均逃げで支配される中、しかし後傾型のレースになればこの馬に取ってもお誂え向きでした。
 自身34,9-33,2というバランスで、勝負所の坂地点でこそそこまで鋭さは見せられなかったものの、ラスト1Fでチャンピオンらしい力強い伸びを見せて完勝、改めてスプリント路線に敵なしを誇示する格好になります。

 そこからロードカナロア陣営が標的に選んだのは、一気に2F距離延長しての安田記念でした。
 この年は明確なマイルのチャンピオンホースが不在でもあり、この馬のように短距離路線からだったり、ショウナンマイティのように中距離路線からだったりと、多彩なメンバーが揃っての興味深い一戦になりましたが、結果はやや後味の悪いものでもありました。

 いつものように好スタートのロードカナロアは、折り合いピタリと中団につけて進出の機会を伺います。
 シルポートの逃げでペースがそこそこ速くなる中、しかしこの馬自身は推定47,5-45,0くらいの後傾ラップでコーナーからじわっと進出、直線入り口でスッと切れ味を発揮して一気に前に並びかけますが、そこから坂の頂上手前で大きく外によれ、外から追撃してきたダノンシャークの進路をカットしてしまいます。
 その後ろから伸びてきていたショウナンマイティもやや進路変更を余儀なくされる中、坂上で体勢を立て直したロードカナロアはしぶとく粘り込み、ショウナンマイティの鋭い差し込みを辛うじて退け、スプリントとマイル、両カテゴリーにおいて最強であることを示しました。

 どうしても進路妨害があったので印象は悪いですが、カナロア自身がこの後傾ラップで1,31,5という歴代でも五指に入る好時計で走破したのは間違いない事実であり、パトロールを見る限りダノンはともかくマイティに極端な不利はなかったように感じます。
 ダノンは基本的には持続力面ではやや甘い馬でしたし、あくまで個人的な印象ですけれど、真っ直ぐ走っていたとしてもギリギリマイティの追撃は凌げていたのではないかな、と当時も思いましたし、今見てもその印象が覆るほどではないですね。

**★セントウルS~香港スプリント <適性の壁を超えて>**

 春の激戦を無敗で潜り抜けたロードカナロアの秋シーズンの初戦は、去年同様セントウルSとなりました。
 しかしここでは、開幕週の馬場を利して綺麗な平均ペースで逃げるハクサンムーンを好位から捉え切れず、去年のこのレース以来1年ぶりの敗戦を喫してしまいます。

 この時期のハクサンが強くなっていたのは確かですが、このレースは平均ペースで、カナロア自身では34,1-33,4と得意の後傾で入れており、それで負けたのは少し不甲斐無い印象がありました。
 春の激戦のダメージが大きかったのか、後々を見据えて楽な仕上げだったのか、ともかくこの敗戦で、それまでの絶対的な印象が少しばかり薄れ、改めて本来適正面ではプラスでない中山のスプリンターズSの走りが注目される事になります。

 しかしそんな外野の懸念を余所に、この2度目のスプリンターズSでロードカナロアが見せたパフォーマンスは、ある意味でスプリンターとしての完成形を思わせるものでした。
 レースは当然のように快速ハクサンムーンが飛ばしに飛ばし、前哨戦と違って明確に前傾ラップになる中で、2度おなじ馬に負けるわけにはいかないカナロアも早めに追走、中団より前でレースを進めていきます。

 この馬自身、このレースは33,4-33,8と明確に前傾ラップを踏む中で、軽快に逃げるハクサンに対して坂の手前で2馬身近い差があり、これまでの適正からすると捕まえきれないのでは?と思うに充分な差でした。
 しかしここでは、今までになく坂地点での減速度を抑え込み、正にチャンピオンの意地、という感じで遮二無二外から捻じ伏せる競馬を見せ、馬場差もあるので時計的には前年より遅いものの、前半から勝ちに行って勝ち切った、という意味で個人的にははっきり前年より強いパフォーマンスを見せた、と感じた一戦でした。

 かくして鬼門の舞台をはじめてスプリント戦の王道・正攻法で捻じ伏せたロードカナロアにとって、全ての適正面でプラスに転じる[香港スプリント](https://www.youtube.com/watch?v=4aKfX4cRbHY)の舞台の方が余程楽だったのでしょう。
 ここでも好スタートから楽に好位をキープし、相手関係も前年に比べて骨っぽさがなく、ペースもゆったり流れる中で、直線外から次元の違う瞬発力を繰り出し、あっという間に突き抜けて5馬身差の楽勝、引退の花道を歴史的偉業で飾ったのでした。

**★能力分析**

 前回アグネスワールドの列伝を書いた時、あの時代はまだほとんどのスプリント戦が前傾ラップだった、と触れましたし、あの時期の最強スプリンターである事には疑いがないサクラバクシンオーを筆頭に、チャンピオン級は基本前半型のスプリンターでした。
 しかし2000年代半ばくらいから、馬場の改善やレース傾向の変化によって、後半型のスプリンター、という新たなカテゴリーに属するチャンピオンがチラホラ現れるようになってきて、その嚆矢がデュランダルだとするならば、ロードカナロアはその後半型の最高傑作、と言っていい馬だと思っています。

 後半型のスプリンターというのは、今だとシュウジなどその典型的な馬ですが、走らせようと思えば前半ハイペースで飛ばせるけれど、そうすると後半要素の良さが消えてしまうので、結果的にペースを窺いながらの位置取りの調整や乗り役の判断力が問われる、難しいタイプのスプリンターとは言えます。
 また後半型は得てして前半から飛ばす時計勝負に弱いところがありますが、ロードカナロアはその競争生活の中で、ひとつひとつ自分の弱点をクリアしていき、元々それなり以上に高かった完成度を最終的に至高の域に高めた名馬、と考えられます。

 3歳春までのこの馬は、やや走りに力みがあって、新馬戦が象徴するように前半からスピードを活かして飛ばすレースをしてしまいがちでした。
 けれど葵Sあたりから、そのスピードをしっかりコントロールして走る術を身につけると同時に、後半型にシフトする事でより爆発的な瞬発力と持続力を引き出し、結果的に時計勝負にも対応出来る素地を作ってきたと言えます。
 京洛Sの35,3-32,7という走破バランスが示すように、前半ゆったり入るほど切れ味が増すので、総合的な時計勝負にはその質の差で対処してくる強みを3歳秋の時点で完成させていて、しかしこの時点では、相対的な視点での前傾ラップ戦ではまだ脆さがある、と見做せました。

 最初の高松宮記念の敗戦は、色々初物尽くしだったことも少しずつ影響はあったでしょうが、一番のポイントはやはり重たい馬場で相対的に前傾ラップを問われた事にあるのかな、と思っています。
 その後の函館スプリントや、セントウルSに関しても、位置取りやペースを見た時に、最後で甘さが出ているのはペースで削がれている面がある、と考えられます。
 あと、これもあくまで若干、相対的に見れば、というレベルですが、この馬は坂があまり得意ではなかったと思っていて、実際2度の宮記念共に坂地点ではあまり脚色が良くなく、安田記念でもその傾向はありました。

 阪神でラスト甘くなるのも坂の影響はあったでしょうし、1回目のスプリンターズSは位置取りをかなり後ろにする事で、思い切った後半勝負にシフトし、その惰性をしっかり使えた、という面もあって、本当の意味で前傾戦と坂での踏ん張りを克服してきたのは最後の最後、2回目のスプリンターズSだったのだろう、と考えています。
 その意味で非常に学習能力の高い馬であり、得意な展開なら当然確実に伸びてくる、そうでない場合最初は苦労するけれど、何度か経験を踏まえてそれをしっかり根性で克服してくる、そういう賢さと精神面の強靭さがあればこその安定感・強さだったと思います。

 香港スプリント連覇はおそらく空前絶後の偉業ですが、しかしこの馬の適正にとって、香港の舞台は非常に噛み合っていたのは間違いありません。
 まず平坦コースで、基本的にハイペースにはならず、直線もそこそこ長いので仕掛けも早くなりにくいため、おそらく京都コースと並んでこの馬にとっては庭、と呼ぶべき条件だったと感じます。

 その上で2年のレース内容を比較して見ると、1年目が23,80-21,75-22,94という推移で、大体日本の計測より序盤1秒は遅く出ると見做すと、ほぼ平均ペースで中盤が速く、それなりにラスト減速する流れになっています。
 対して2年目は、23,89-22,47-21,88と、前年よりも序盤・中盤共に緩やかで、ラスト2Fが最速というラップを踏んでいます。

 そう考えると、1年目は直線序盤でやや伸びあぐねるものの、ラストまでしぶとく底力を見せて勝ち切ったのに対し、2年目は明確に後傾ラップを踏んでじっくり脚を溜めた分、直線入り口で最大の武器である瞬発力の質を引き出せている、と考えられます。
 勝ち時計そのものも2年目の方がスローペースにも拘らず速く、勿論馬場差が全くないとは言えないですが(他の3レースも2013年の方が時計は速いので)、それを差し引いても、この馬にはペースが遅くなってもそれを補う武器があり、時計勝負にどんな形からでも対応出来る馬だという証左になると思いますね。

 ともかく、今後香港スプリントを目指す場合は、後傾型スプリンターであるかどうか、が重要な要素になってくると思います。
 かつ後半の爆発力がある馬ならなお良く、これまでに当レースでカナロア以外で唯一善戦出来たのが、やはり後半型の名牝であるストレイトガールだったことを思えば納得していただけるかな、と。まぁその意味では、去年のレッドファルクスが凡走したのだけは解せないのですけどね。
 また後半型のスプリンターは、今は高速府中マイルとのリンクも強い事が証明されてきていますが、そういう今までは常識外と思われていたカテゴリーを開拓し、このやり方でもトップに立てる、と示したのがこの馬の最大の功績と言えるのではないでしょうか。

**★終わりに**

 以上、ざっくりとですがその事績を振り返ってみて、この馬の成長力は肉体面以上に精神面に依拠していたのではないか、という想いは強くなりますし、そういう賢さもそれなりに遺伝する要素だとは思っていますので、間違いなく今後種牡馬としても大成すると感じています。
 まぁサンデーの肌馬につけ放題、という明確なアドバンテージもありますし、クラシックディスタンスまでこなす馬が出てくるかはともかく、コンスタントに短距離~マイルで強い馬を輩出してくるのではないかと思いますね。

 この馬自身非常に道中ロスのない走りができるタイプですし、得意の後傾バランスであれば2000mくらいまでこなせた可能性も感じます。
 とにかく基本的には息の入らない消耗戦の様相が強いスプリント路線にあって、しっかり前半足を溜め、息を入れて後半の爆発力に繋げるという競馬が出来たのも、本質的な潜在スピード能力が傑出していた故とは思いますし、もっと色んな舞台でその走りが見てみたかったな、と今にして物足りなく思わせるほど、品格に溢れているのに底の知れない素晴らしい名馬でしたね。
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2017 7月第5週新馬戦 レース回顧(日曜編)

 今日はアドミラブル故障のニュースでだいぶテンションが下がってしまいましたが、昨日に引き続き日曜日の新馬戦を見ていきましょう。

**★7/30(日) 新潟5R 芝1600m戦**

 土曜と同じくらいの高速馬場状態の中でのマイル新馬戦は、最後方からじわじわ押し上げた一番人気のオーデットエールがしぶとく差し切りデビュー勝ちを飾りました。

 展開は伏兵の2頭が逃げて、2着に入ったディアサルファーは一番いいくらいのスタートでしたが、周りの動きを見つつ少し下げて二列目の真ん中、その内のポケットには3着のハピネスメーカーが入ってきました。
 オーデットエールはスタートもイマイチ、そこからのダッシュもつかずになんと最後方になってしまい、そこからもある程度促しつつの追走で、全体としてスローの流れの中でポジショニング面では明確に不安を見せていた、という感じですね。

 ラップは36,5(12,17)-24,8(12,4)-34,8(11,6)=1,36,1(12,02)という推移でした。
 極端ではないもののスローで中盤もゆったり、新潟外回りらしく400-200m地点で10秒台の切れ味を問われるもののそこまでラップ差は大きくなく、ラストまで11秒台でまとめてきていて、瞬発力の質よりは持続力面の方が強く出ているレースかな、とは思います。
 ペースがこうですので当然序盤のポジショニングは大切でしたし、結果的に勝ち馬だけ違うレースをしてきた、という見方が出来ると考えます。

 オーデットエールは600m通過時点で10馬身くらい後方を追走していて、そこから中盤の緩い流れを外から捲り上げており、一頭だけ超スローからの5F戦、という競馬をしていますね。
 上がりから逆算すれば中盤2Fで1秒くらいは詰めている感じですし、残り1000mから12秒を切るか切らないかくらいの脚で上がってきて、その上で直線もそこそこ切れ味と持続力を見せてきました。
 かつまともに追い出してからはずっと内に凭れるような感じもあり、それを修正している区間が一番長かったと思いますので、まだまだ遊び半分で素質だけで勝った印象ですね。

 血統的にもハーツの仔で、少なくともマイルの距離でより追走力が問われては厳しいイメージは顕著ですし、一先ずは1800m~2000mまで距離を伸ばしてどこまでやれるか、新潟で最速地点10,9はそんなに速くなく、そこで出色の脚を見せているわけではないので、安定して上位には来るけど勝ち切れない、というタイプになりそうなイメージはあるんですけどね。

 2着のディアサルファーは逆にかなり器用な競馬をしてきたなと思います。
 スタートは抜群でしたし、そこから下げて馬群の中でしっかりコントロール、後半要素も目立つところはなかったですが、加速、切れ味、持続面でそつなく良さを出してきて、マイルへの適正が高そうな走りでした。
 血統的にもローエングリンの仔で、もう少しペースが上がっても対応出来る、むしろその方が持ち味が生きるタイプには思えるので、未勝利レベルならいずれ勝ち上がってこられると感じましたね。

**★7/30(日) 新潟6R 芝1400m戦**

 こちらの牝馬限定戦は、ルリハリという中々に雅な名前をつけられたダノンシャンティの仔が、ポケットから少し待たされつつも最後鋭く抜け出して初勝利を収めました。

 展開は、やや外目の馬のスタートがいい中で、2着のドリームジャンボは外目から3番手、ルリハリは馬群の中、2列目のポケットに入り、その後ろに3着のべリンダがつけていました。
 ラップは35,8(11,93)-12,5-35,0(11,67)=1,23,3(11,9)という推移でした。
 新馬らしく1000m通過まではかなり緩く、ラスト2Fだけの勝負になっていて、内回りですので4コーナーから直線を向くあたりで12,2-11,1と一気にペースアップ、ここでの加速力面が一番強く問われていて、ラストも11,7とそこまで落ちてはいないので、多少は持続力も、という感じでしょうか。

 勝ったルリハリはスタートもまずまずでしっかり馬の後ろで我慢できていましたし、直線は前の馬がやや壁になるところもあり、残り250mくらいで外に持ち出すまではしっかり追えませんでしたが、そこから先に抜け出したドリームジャンボを捕まえる時の一瞬の脚は鋭かったですね。
 おそらくラスト2Fが11,1-11,4くらいで、前が空いてからの反応も良かったですし、本質的にはもう少し流れて仕掛けが遅くなるレースで持ち味が生きそうなタイプです。
 相手関係も楽だったとは思うのですが、この加速性能は中々面白いなと思いましたので、次もちょっと注目して見てみたいですね。

 2着のドリームジャンボは逆に完璧なエスコートでラスト甘くなっており、血統的に見ても距離不足なのかなぁとは思います。
 外枠から好スタートで、コーナーではまだ緩い中しっかり外から前を向けましたし、その分加速地点で楽に抜け出してきました。
 ただそれでラストの落ち込みはちょっと甘いとは思いますし、ベーカバドにオースと、露骨に欧州2400m血統でもあるので、もう少し長い距離での持久力戦、とかのほうが本質的には噛み合いそうです。切れ味を問われるとすぐ甘くなる以上、新潟向きではないかなと思いますね。

**★7/30(日) 小倉5R 芝1200m戦**

 この日の小倉も常識的な高速馬場で、1Rのジュンドリームはスピード適正の高い馬ですが、それが1,09,2で走破してきました。その中でこの日の新馬2Rはどちらもレベル的には物足りなかったですね。
 このレースは特に九州産馬限定戦ですので、34,6(11,53)-37,0(12,33)=1,11,6(11,97)という推移で、ペースが流れたにも拘らず後半の落ち込みが大きい、低レベルな一戦になってしまっています。

 勝ったコウエイユキチャンはスタート良く外から前に取りついてそのまま押し切る、センスは感じる競馬ですが、流石に後半ラップに見所はなく、今後ひまわり賞以外で好走できる条件は早々ないだろうなぁ、とは感じちゃいますね。
 かつひまわり賞にしても、6Rのレグルドールが出てくればまず勝ち目はないのでなんとも、という感じで、今日は新馬6Rもあるのでここはサラッと手抜きさせていただきます。。。

**★7/30(日) 小倉6R 芝1200m戦**

 こちらも結果的にかなり低調なメンバーで、土曜日のシトリカ戦に比べても内容はちょっと薄いかな、とは思います。
 ラップは35,0(11,67)-35,7(11,9)=1,10,7(11,78)という推移で、一貫減速戦になるかな、というところを、ラスト勝ち馬のレグルドールが突き抜けたことで加速ラップになっており、特に先行勢に味のないレースではありました。

 ただ、勝ったレグルドールは好スタートから、ややペースに戸惑う感じでおっつけ通しながらも追走には少し苦慮、けれどコーナー出口あたりでエンジンが勝かかってからは、中々小気味いいフットワークで楽に抜け出してきます。
 この馬自身は35,9-34,8とかなり後傾ラップで、ラストも11,5くらいでまとめていると思いますので、もう少し距離があった方がいい感じですね。ひまわり賞ならともかく、少なくとも1200mのスピード勝負では分が悪いと思います。
 持続性能がそこそこ高そうですし、阪神の1400mあたりで見てみたい馬ですね。

**★7/30(日) 札幌5R 芝1800m戦**

 この日の新馬でもっとも注目を集めたであろう、今年のダービー馬の全弟となるレイエンダの初戦でしたが、その血統的魅力からの期待感を裏切らない、鮮烈なデビュー勝ちを飾りました。

 札幌の馬場も高速のままでしたので、勝ち時計自体は評価しづらいですが、レース全体として明らかにスケール感が違う競馬になりましたね。
 展開は、最内から3着のハルキスターが逃げ、2着のラソワドールはやや出負けしたもののリカバーしてポケット付近、それ以外は大体枠順なりの隊列になり、中盤で4着カヴァロディーオが後ろから捲って先頭に立つも流れには大きく影響を与えず、という感じでしたね。
 
 ラップは37,6(12,53)-38,5(12,83)-35,3(11,77)=1,51,2(12,36)という推移でした。
 新馬戦らしく序盤・中盤共にスローで、ラスト4Fが13,0-12,3-11,6-11,4と、コーナー地点でそれなりの加速度を段階的に踏みつつラスト2F切れ味勝負、ラスト200mが最速という特殊な流れでした。
 当然前目にいる馬が優位ですが、内で動けない馬よりは外から緩い地点で押し上げた方が楽、という展開でもあるとは言えますね。

 勝ったレイエンダはほとんど調教的な走りでしたね。
 スタートからある程度気負いは見せつつ、枠順もあり最後方まで下げてしっかり折り合いに専念、カヴァロの動き出しに釣られるようなところもありつつ、じわっと前の流れに取りついて、正味足を使ったのはラスト2Fだけ、という競馬でした。
 しかしこの加速ラップの中で、4コーナー出口から大外を回して前に取りつく脚はかなり鋭く、ラスト1Fも推定11,2という切れ味を引き出していて、はっきり言って2000~2400m想定の競馬をした上での、底を全く見せない楽勝、というイメージですね。

 無論追走面は全く問われていないレースですのでその点今後の課題にはなりますが、キンカメは追走面で苦労する馬が少ないイメージですし、レイデオロもそこは最低限クリアできていたので、この馬も過大に不安視する必要はないでしょう。
 その上で個人的には兄より機動力と切れ味の質は上のように思えます。
 レイデオロは中山戦などで、一瞬の動き出しでちょっともたつくところもあり、ダービーでもポジショニングの押し上げが素晴らしかったものの要所での切れ味はスワーヴリチャードに見劣っていて、強いとは思いますが脆さもありそう、と未だに思っていますけれど、こちらはラップ的に見れば反応の良さは顕著で、むしろキンカメらしい馬だなあと感じます。

 その点逆に距離不安が出やすい感じもありますが、3歳同士の2400mまではこなしてくるでしょうし、2歳の内はもう少しポジショニングで優位を作れないか試してみたり、競馬の幅を広げていきつつじっくり育てて欲しいなと感じます。
 能力的に、後半要素はかなり質が高いとこの一戦だけでも証明しましたし、前評判通り無事ならクラシック路線に乗ってくる1頭になるのではないかと思いますね。強かったです。

 2着のラソドワールは、結果的に内枠が仇というか、コーナーで余力があっても前の動きに制限されてスペースを作れなかった分、外から押し上げたレイエンダに抵抗する隙がなかったですね。
 前が空いてからのラスト1Fはしっかり切れ味を引き出せており、血統的に将来どういう路線を踏むかはわかりませんが、この反応の良さならもう少し短い距離でも戦えそうな印象はあるかな、というところですね。

**★7/30(日) 札幌6R ダート1700m戦**

 こちらはハヤブサマカオーが最内枠からダッシュ良くハナを取り切り、後はマイペースでスイスイと進めて、楽々後続を振り切っての大楽勝でした。
 ラップは30,1(12,04)-38,4(12,8)-38,8(12,93)=1,47,3(12,65)という推移でした。
 同日3歳未勝利で1,47,2、1000万下で1,45,4ですので、新馬の時計としてはかなり優秀ですし、かつそれを全く追うところなしで出しているので今後の伸びしろもかなり期待できます。

 全くの馬なりでもほとんど終盤のラップは落としていませんし、如何にもアメリカ血統らしく前傾からの持久力戦はピッタリ噛み合うのかな、という感じで、将来を嘱望されつつ急死したハヤブサナンデダロの後継、或いはそれ以上になれそうな強さと奥深さは感じましたね。
 勿論厳しいレースになってどうか、というのはありますが、スタートダッシュも良く緩急も自在、という印象でしたので、余程乱ペースにならなければ崩れないかなと感じましたし、北海道2歳優駿あたりに出てくるなら当然有力馬になってくるでしょう。

 血統的に早枯れの可能性もないとは言えませんので、ダートの一線級と伍していくには馬体面の成長は欲しいな、と思いますけれど、ダート路線でとても面白い馬が出てきたなと感じさせるには十分なパフォーマンスでしたね。
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2017 7月第5週新馬戦ほか レース回顧(土曜編)

 今週から舞台が新潟・小倉・札幌に移り、益々盛夏真っ盛り、という雰囲気になってきましたね。
 新馬戦もかなりの数が組まれるようになってきたので追い掛けるのが大変ですが、後々の名馬を見逃さないように頑張ってウォッチングを続けていきましょう、というところで、まず今日は土曜日のレースを振り返ります。

**★7/29(土) 新潟5R 芝1400m戦**

 新潟の芝は、多少週中の雨の影響もあって、例年ほど明確に超高速、という感じではなかったでしょうが、それでもペース次第でしっかり時計は出る絶好のコンディションだったでしょう。
 このレースは、内主導のスローペースになる中で、やや煽り気味のスタートながらしっかりリカバーして好位につけたルッジェーロが、圧倒的な人気に応えて直線鋭く抜け出して勝利を収めました。

 逃げたのは3着のセイウンクールガイで、外の馬がほとんど前に取りついてこなかったのもあり、じわっとマイペースでの逃げになります。
 先団には伏兵の内枠二頭がいて、その外にルッジェーロ、2着に差し込んできたバットオールソーもスタートはかなり悪かったものの、外の馬の消極的な出方にも助けられてじわっとリカバーして先団の後ろに取りつくことが出来ました。

 ラップは36,9(12,3)-12,7-35,7(11,9)=1,25,3(12,19)という推移でした。
 とにかく1000m通過までが非常に緩く、そこから12,6-11,6-11,5とゴールまで加速ラップを踏んでおり、明らかにスローで仕掛けも遅い、先行有利な流れであったのは間違いありません。
 その中で角度のきついコーナーの立ち上がりからの1秒の加速、それをラストまで持続する能力面はそれなりに問われたものの、このレースだけではどうにも上位勢も真価は問えない部分が大きすぎるなぁ、という印象です。

 勝ったルッジェーロは今週好調だった戸崎Jらしいそつのない競馬で、好位からしっかりコーナーでも前を向けていましたし、加速地点でもじわっと差は詰めていて、かつラストもしっかり加速ラップで終えてきました。
 おそらくこの馬自身は12,5-11,5-11,3くらいで、エンジンがかかったところがゴール、という感じで、走りのバランス的にはもう少し距離延長も、というイメージは持てます。
 キンシャサの仔は1400mの平均~後傾戦が一番噛み合う印象もありますので過信は出来ないですが、素材としてはまだまだ底を見せていませんし、常識的に流れたところでパフォーマンスを上げてこられるかは注目ですね。

 2着のバットオールソーも器用さはあまりなさそうですが、ラスト1Fの切れ味は勝ち馬を凌駕するものがありました。
 こちらのほうがより距離が伸びて面白いのかな、とも感じますが、いずれにせよ追走面での担保は薄いので、そのあたりをクリアしてくれば後半要素は中々面白い、という域に留まりますね。

**★7/29(土) 小倉5R 芝1200m戦**

 小倉の新馬開幕戦は、快速ヨハネスブルグ産駒のシトリカが好スタートから上手くペースをコントロールして楽々逃げ切りを決めました。
 小倉の馬場は常識的に高速馬場、という感じで、未勝利が前傾で1,09,5、1000万下が1,07,7ですので、このレースの1,10,1をレベルが高い、とはお世辞にも言えませんが、内容としてはそこそこ面白いところがあったなと思います。

 好スタートだったのは4着のセイウンデルレイに2着のエイシンテースティでしたが、内からまずまずの出足だったシトリカが枠の差を利してハナを取り切り、その後ろのポケットに3着のロンスが入り込んできて、その4頭の先団から後ろはやや追走でいっぱい、という感じの展開でしたね。
 ラップは35,4(11,8)-34,7(11,57)=1,10,1(11,68)という推移でした。
 中盤の2Fを11,8-11,9とかなりゆったりコントロールしてきたあたり、天性の快速馬という感じではなかったですが、そこからしっかりコーナーで11,4と加速して、それをラストまで落とさず走破してきたのは中々だったと思います。

 勝ったシトリカはしかし、アイビスサマーダッシュの当日にサチノスィーティーの仔が勝つ、という部分でも趣がありましたし、血統的に見ても1200~1400mまでというイメージではありますが、ここでは非常に大人びたレースぶりだったと思います。
 これが前半流れたり、前に馬を置いてどうか、というのは当然新馬なので出てきますが、イメージ的にはポジションで崩れるタイプでもないと思いますし、追走面で良さが出てくれば短距離路線で後々面白さは出てくるかもなぁ、という印象でした。

 2着のエイシンテースティは逆に、新馬だけに無理に勝ちに行かず、しっかりレースを教える感じでしたね。
 コーナーから11,4-11,4とそこそこ速くなる流れで2頭分外、というのはそれなりのロスでしたでしょうし、それでも最後はじわっと差を詰めているので、能力の裏付けはそれなりに見せたと思います。
 スタートセンスがいいのでもう少し前傾になってもポジショニングの面では対応できそうですし、夏の小倉の内に勝ち上がってはきそうですね。

**★7/29(土) 札幌1R 芝1800m未勝利戦**

 ここは、前走なんで1200mに使ったし?と感じたリープフラウミルヒが、距離延長でしっかり主導権を取り、淡々とした流れから一気の加速力で勝負をつけたレースになっています。
 札幌の馬場はこの日のメインの1800m戦が1,46,1だったようにかなり高速ではありましたが、それでもこの時期の2歳馬が37,4-36,7-35,3という加速展開で1,49,4を出してきたのは中々ですし、3F目から8F目まで5F連続加速ラップ、というのも、本質的に良質なスタミナ面の担保を感じさせます。

 その上でコーナーから後ろを引き離しての11,3、という切れ味も中々でしたし、持続力は高いものを持っているディバインブリーズの追撃を最後も全く寄せ付けない格好でしたので、やはり本領はこのくらいの距離から、というイメージを強くする一戦でした。
 この要所の加速力は、日曜のアエロリットもそうですがいかにもクロフネの血筋らしいところでもあり、下限マイルまでは戦える馬だと思うので、これは地味ですが結構楽しみがあると思います。

 ディバインブリーズもいい馬なんですけど、勝ち味に遅いですね。
 ただこの日は馬群の中で競馬出来ましたし、コーナーで加速する流れで多少不器用さは見せたものの地力はしっかり見せてきました。この日は相手も悪かったと思いますし、次はそろそろ順番かな、とは思います。

**★7/29(土) 札幌5R 芝1500m戦**

 札幌ならではの1500mという特殊距離での新馬戦は、ロードカナロア産駒が大挙出走してくる中で、持ち込み馬のタワーオブロンドンが楽々逃げ切りその素質をアピールしました。
 展開は4着のマイウェイアムールが好スタート、それにタワーオブロンドンが絡んでいって雁行状態となり、その後ろに人気の3着メジェールスーが虎視眈々、という形で構えていました。
 ラスト2着に突っ込んできたキルロードは、煽り気味のスタートから全くダッシュがつかず、道中は後方2番手と厳しい追走になりましたね。

 ラップは30,4(12,13)-24,7(12,35)-35,3(11,67)=1,30,4(12,05)という推移でした。
 時計的にはそこまででもなく、レース全体もややスローからの2F戦、という様相ですが、道中極端に緩んだところはなく、最低限の追走力は問われた上で、12,5-11,3-11,5というラストのコーナー急加速への対応力と、そこからの持続力がそれなりに問われた格好ですね。

 勝ったタワーオブロンドンは普通にいい競馬だったなと思います。
 しっかりコーナーで機動力を見せて引き放せていましたし、その上でラスト1Fもほとんど落とさずに走破出来ており、序盤の小足の使い方の上手さといい、血統的なイメージ以上に器用さを見せてきたと感じます。
 父レイヴンズパスはオールウェザー時代のBCクラシックを高速時計で勝っていたりと、適正面で幅広いものを見せていた馬ですし、それを母父ダラカニという重厚さが上手く支えていて、距離の融通はそれなりに効きそうなイメージです。
 現状はマイル戦線になるのかな、とは思いますが、スピード面で頭打ちになってきたら距離延長も試して欲しい馬ですね。この加速力は長い距離でも武器になると思います。

 2着のキルロードは、カナロア×バクシンオーなんていう超速血統のはずが、序盤の出足の悪さはかなりのものでしたね。。。
 道中もかなりおっつけ通しで、一応残り600mから外々を回して進出、最速地点で一番外とロスの多い競馬ながら最後までじわじわと伸びてはきていて、個体的に見るなら明らかにもっと距離が欲しい感じはあります。
 これだけ外を通してこの脚なら持続面はそこそこ高いと思えますし、序盤の位置取りに進展があれば勝ち上がりのチャンスも出てくるのかなと。北海道開催ならまず1800mを使って見るべきだと思います。

 3着のメジェールスーに関しては、福永Jらしい正攻法の競馬でしたが、加速力でやや劣ったのは確かで、こちらはよりスピード色が強い競馬になったほうがプラスだと感じます。
 距離短縮も視野に入れつつ、最終的には1400m前後が合いそうなタイプですね。
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2017 コルゲートオプティクホワイトS レース回顧

 今週はめぼしい海外GⅠレースが少なく(後は英セントレジャーくらいでしょうか)、かつ週中に交流重賞もあって書きたい記事が多いので、ウィンクス20連勝達成のこのレースだけ軽く拾っておきます。

 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=CZVgpZUlXBc)はこちらです。

 ところでこのレース、映像を見ていただくと、あれっ?レース名違くない?ってなります。
 どうやら去年くらいからレース名が変わったっぽいんですけれど、元のレース名で映像を上げてくださっている方が多いみたいで、正直私の調査能力では正式にはどっちが正しいの?っていうのは判断できないんですけども、こちらの映像の方がラップタイムがついていたので採用させていただきました。

 ともあれ、先月に復帰してから中一週続きで3戦目と、去年以上にハードなローテーションをこなすウィンクス(去年はこのレースが復帰2戦目でした)。
 しかし馬自身は頗る元気というか、レースを積み重ねるごとに一瞬の反応の良さや、持ち前のピッチ走法の鋭さが増しているようで、まぁそれだけタフな馬でなければ20連勝、のべ2年半負けなし、なんて偉業は出来ないのでしょうけどもね。

 レースでは最内枠からふわっと馬任せのスタートで、前半は無理せず後方3番手、前後に馬のいないゆったりしたポジションでレースを進めていきます。
 ラップが計時をそのまま拾う限り、36,46-22,37-34,82=1,33,65となっていて、前半600mが緩めで、そこから11秒台前半を4F続けるスローロンスパの持続力戦になっています。
 この前の関屋記念とかこんな感じのラップでしたけど、こういうラップで後ろから差すのは本当は楽ではないのに、相変わらずいとも簡単に突き抜けてしまいますね。

 ラスト3Fが11,35-11,15-12,32となるはずですが、残り600mからじわっと進出して、400m地点では大外、先頭とはまだ4馬身くらいはあったのに、残り200m地点でもうほぼ先頭に立っており、間違いなく10,5前後の切れ味で突き抜けてきています。
 ラストは結構落としていますが、まぁ前2走ほどのスローではない展開ですし、ロンスパの中では当然で、かつウィンクス自身はラスト150mくらいで勝ちを確信して無理に追っていないので、文字通り余裕・貫禄の勝利と言えるでしょうね。

 去年はここから2000m路線に進んで、更に着差を広げる圧勝続きでしたし、今年もライバルになり得る馬の台頭もなさそうで、このまま連勝街道を驀進する公算が非常に高いですね。
 仮にあと2戦勝ったとして22連勝、オーストラリアの場合繁殖シーズンは今時分ですから、そこで引退ではなく来年の春も走って引退になるんでょうかね?
 そうなればブラックキャビアの連勝記録に届く、或いは凌駕する可能性もあり、流石にもう海外遠征の可能性は薄そうですけど、まだまだ全く衰えも感じないですし楽しみは膨らむばかりです。
posted by clover at 04:27| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする