2017年08月26日

2017 8月第3週海外GⅠなど レース回顧

 今週は世界チャンピオンの2頭が出走してきて、海外競馬シーンも非常に盛り上がりを見せていましたね。
 今週の海外は週中にも楽しみなレースがありますので(英国際Sとか)、2分割でまずは週末の注目レースを拾っていきたいと思います。

**★パシフィッククラシック [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=qSdsL90tjdc)**

 前走復帰戦で大差負けを喫し、世界中に逆ベクトルで衝撃を与えたアロゲートの復帰第二戦、夏のメインターゲットとなるパシフィッククラシックが開催されました。
 ここ4年の勝ち馬を見ても、ゲームオンデュード、シェアドビリーフ、ビホルダー、カリフォルニアクロームと、その年のチャンピオン級が出てきてしっかり結果を残しているレースであり、アロゲートにとっても本来なら勝つか負けるかより、勝ち方そのものを問われる舞台になる筈でした。

 しかし前走の魂が抜けたような敗戦で、燃え尽きたのでは?という懐疑論も広く膾炙したことで、流石に1番人気にはなったものの、前走敗れたアクセラレートと、この4歳シーズン無敗の上がり馬コレクテッドとの人気差もそこまでなく、実質的にもこの3頭の争いと目されていました。
 レース内容もその戦前の期待通りに三強のマッチレースに近いものになったのですが、しかしそこでも目立っていたのは、かつての勇姿とは程遠いアロゲートの走り、だったように思えます。

 まずスタートを綺麗に決めたコレクテッドが先行して、アクセラレートがそれを追い掛けていく中で、やはり少しもっさりしたスタートのアロゲートでしたが、前走のように後方ままだけは避けないと、という鞍上の気合もあったか、押されて押されてなんとか三番手の外に食らいついていきます。
 元々跳びが大きく、スピードに乗るまでちょっと時間がかかるタイプではありましたが、それでもリズムを掴んでしまえば速い流れでも追走に苦慮する馬ではなかったはずですが、この日のアロゲートもやはり本来の姿とは遠く、道中ずぅっと促され続けながらも前との差をほとんどつめられていませんでした。

 レースラップ自体は23,76-23.43-23.87-24,21-25,43=2,00,70となっていて、アメリカらしく前傾戦ですが極端に速い、という事は決してありませんでした。
 勝ち時計自体も近年の中では一番悪く、ペガサスワールドカップあたりに比べれば1200m通過で1,5秒近く遅いので、これで追走に汲々、というのはあまりに切ないものがあります。

 前が減速に入っている4コーナーでもズブさを見せて、少し内に寄れ加減にもなり前との差は中々詰められません。
 直線に入って、逃げたコレクテッドが突き放しにかかり、アクセラレートがバテたところでようやくじわじわと差を詰め出しますが時既に遅し、逃げ込むコレクテッドを半馬身捕まえられずに連敗、ということになってしまいました。
 レース内容的に、コレクテッドが図抜けて強かったという事はまずなく(もちろんここにきての充実度は素晴らしいとは思いますが)、やはりあのドバイの無茶苦茶なレースぶりで、身体的にも精神的にもダメージを受けている感じですし、馬自身が狡くなっている感じもあります。古馬になって益々ズブくなッたゴールドシップみたいなイメージでしょうか。

 流石にこの内容ですと、連覇がかかるBCクラシックでも厳しさは出てきます。
 強いて言えばコレクテッドもガンランナーも1800mがべストっぽいところはありますが、それでも今回コレクテッドには負けていますし、精神面さえ走る方向に向けば大分違うとは思いますが(ストライドも小さくなっている気はするのでなんともですけど)、予断を許さない、という雰囲気ははっきり出てしまっていますね…………。

**★アラバマS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=vdh2pBDMy7Q)**

 こちらはニューヨーク牝馬三冠の最終戦で、以前の記事で現体系になって初の三冠達成をアベルタスマンに期待、と書いたのですが、事情までは調べられないもののアベルタスマン自体が出走していないというちょっと肩透かしなことになっています。

 ただ、アベルタスマンがいないここなら、という感じで、CCAオークスで最後まで食らいついていたエレートが、好位追走から楽に抜け出して圧勝し、改めてアベルタスマンの強さを浮き彫りにしてくれる結果にもなっていますね。
 展開的にもかなりのハイペースになっていて、時計面も優秀であり、この日のこのパフォーマンスだとアベルタスマンがいても勝てなかったっぽい気もしますが、ともあれまた面白い三歳牝馬が出てきたな、というところですね。この三歳の二強と、古馬牝馬二強のソングバード・ステラウインドとの激突が待ち遠しいです。

**★ウォーウィックS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=NRJq9IDiruc)**

 GⅡではありますが、今日一番紹介したいのはこのレースで、かのウィンクスの春シーズン(南半球なので)復帰戦でした。
 結果的に連勝を18に伸ばす見事な勝利を収めたのですが、珍しくその内容としては薄氷、けれどそれだけに逆にこの馬の恐ろしい強さを浮き彫りにしてくれたレース内容になっています。

 映像を見て貰えばはっきりわかるように、普段ゲートがとびきり速い、というほどではないにせよ、無難には出ていたウィンクスが、この日は明確に3馬身ほど立ち遅れてのスタートになり、場内や実況もどよめいています。
 道中もそのまま馬群の最後方でじっと待機し、4コーナーから大外に回しますが、前との差はかなりあり直線半ばでは万事休すか?と思わせるところから、普段通りの強烈なピッチ回転での追い込みを見せて、逃げ粘る馬をきっちり差し切ってみせました。

 レースぶりとしても派手ですが、ラップ的に見ると信じられないほどの差し脚を披露していることが浮き彫りになります。
 珍しくこのレースは通過ラップが画面に出ていますので、それとゴール地点での走破タイムを信用するとして計算しますと、このレースのラップは37,65-11,46-32,76という極端な後傾ラップになっています。
 テンが14秒台と極端に遅いので、その辺はおそらく計測方法が違うのだろうと思うのですが、それを差し引いても超スローで、残り1000mが11,73-11,46-11,12-10,50-11,12となっていて、ラスト2F目まで延々加速ラップを踏んだ挙句に直線入り口で究極的な切れ味を問われ、ラストも落としていません。ふつうこんなレース展開で、後ろから外を回して差し切るとか有り得ない、という感じで、しかしそれを易々とやってのけてしまうのがウィンクスという馬の稀代の名牝たるところです。

 ウィンクス自身は残り600mから外に出してスパートしていて、その時点で前との差は5馬身くらいはありました。
 かつ直線入り口の最速地点では、流石に一気に差を詰め切れてはおらず、そのあたりから逆算するとこの馬のラスト3Fは11,0-10,4-10,6くらいかな、と思います。下手すると32秒を切っているかもしれなくて、コーナーのあるコースでこの差し脚は異次元にも程があります。
 加速力の高さもさることながら、瞬発力の質と持続力も桁違いで、これだけ連勝を続けていてもまだ能力の底が知れない、と言えるほどの圧倒的なパフォーマンスでした。

 この馬は馬場が重くなったり、極端な前傾になっての消耗戦でもべらぼうに強いわけで、なのにその真逆と言っていい後半の極限の切れ味勝負でも誰より鋭く走れるとか、文字通りどんな展開でも馬場でも負けない、歴史的にも稀有で、近代競馬なら尚更に有り得ないレベルのチャンピオンと言っていいでしょう。
 少なくともまともな状態なら、世界中のどこでも1600~2000mのカテゴリで負けないんじゃないかと思わせる、そんなレースぶりでした。それだけに国内専念は返す返す残念ですが、もうこの馬にはこのまま引退まで負け知らずに駆け続けて欲しいですね。
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2017 北九州記念・札幌記念 レース回顧

 久しぶりに全国的に好天に恵まれた週末でしたが、重賞は両方ともに大波乱の決着、夏競馬の恐ろしさ、一筋縄でいかなさをまざまざと思い知らされる結果でしたね。

**★北九州記念**

 こちらは、夏は牝馬、夏の上がり馬の格言を地で行くように、3連勝中だったダイアナヘイローが番手から早め先頭で押し切る強い競馬を見せました。

 この日の馬場は、前日よりすこし回復したかな?という感じもありましたが、全体的には時計は掛かりはじめてはいたと思います。
 9Rの1000万下条件が、32,9-34,6と流れ切ったレースで1,07,5と好時計を出してきていて、この時点で予想より軽いかな、と思いましたが、このレースも32,8-34,7=1,07,5に留まりました。
 後で細かく見ますが、ざっくり大掴みに言えば、小倉1200mらしい2秒近い前傾戦になった中で、このレースに関しては追走力の面で足りない馬の方が多かった結果として、相対的に浮上してきた馬がいた、というイメージでいいかなと思っています。

 レース展開は、やはりというべきかアクティブミノルが内から積極的に出していきました。
 これに内からアルティマブラッドとダイアナヘイローが絡んでいって、内からオウノミチ、ファインニードルあたりもまずまずのスタートから好位に取りつきます。
 外からはラインスピリット、ナリタスターワンあたりが先団の後ろ、ラヴァーズポイントも内からその列に加わっていって、スタートで少し煽ったキングハートはリカバーしつつ丁度中団くらいでレースを進めていました。

 ラップは32,8(10,93)-34,7(11,63)=1,07,5(11,25)という推移でした。
 条件戦と同様にかなりの前傾ラップですが、このレースは後半3Fが11,5-11,2-12,0と、これでも上がり切ってはおらずに一旦コーナーで緩んでいて、このコーナー地点で外からフラットに取り付けた馬が結果的に上位を占めています。
 結果論的には、インにいた馬はこの緩みに付き合わされ、かつ追走も強く問われた中で再加速する余力を持ちにくかったですし、中団より後ろの馬は緩んだ、といっても最低限の為に外から楽に押し上げられるほどでもなかったと言えそうです。

 その分好位からしっかり前を向けて、追走力面で優位性を少しでも持てていた馬が前目からしっかり粘り込んだ、というイメージですし、レースレベルとしてはかなり微妙かな、とは思っています。

 勝ったダイアナヘイローに関しては、本当にこの使い詰めの中でもしっかり調子を維持して偉い馬ですね。
 時計的に言えば佐世保Sから2kg減でこの馬の数字では走れているといえますし、かつレース全体がしっかり流れたのもプラスだったと思います。
 ある程度内外離れていたとはいえ、外から好ダッシュを決めてしっかりアクティブミノルにプレッシャーをかけ続けていたことを踏まえれば、これは本当に相手関係も踏まえて絶妙のバランスにコントロールしてきたなと思います。意思を感じる見事な騎乗でした。

 条件戦でも上がり切ったレースの方がパフォーマンス自体は良かったですし、かつこのレースは最低限一息は入れるポイントを作れていて、そこからスムーズに前を追い掛ける理想的な内容でもありました。
 ただ絶対的な意味で前傾型のスプリンターがいなかったメンバー構成ですので、この勝ち方をそのまま鵜呑みにするのは危険ですし、流石に一気にスプリンターズSで通用、とまでは言えないパフォーマンスレベルとは思っています。
 でも馬自身はまだ4歳ですし、成長力のありそうな血統ですので、この先前傾型のスプリンターとしてより育ってくれば楽しみは大いにあるなぁと感じますね。

 2着のナリタスターワンに関しては、上手く流れが噛み合ったのと、動き出しのタイミングが絶妙でしたね。
 スタートはしっかり決めてフラットな感じで先団やや後ろにつけ、コーナーで少し凝縮するところで待たずに外目に出してじわっと押し上げていった選択が、結果的に最後まで粘り込む主因になっていると思います。
 幸Jは前述の9Rでも、2番手からこの馬と同じような前傾1秒くらいのバランスで押し切っていて、流れた時の仕掛けのタイミングとこの日の馬場傾向をしっかり掴んでいたなと感じますね。

 馬自身もCBC賞はかなりのハイからしっかり差し込む脚を使えていて、ダート戦の結果などからも前傾戦への適正は見えましたし、ただそこまで流れない想定でしたのでちょっと考えたけど印を回さなかったんですよね。
 やはりメンバー構成的に流れにくいか、と思っても、コースロケーションに引っ張られる場合もありますし、今回はダイアナヘイローの積極性を甘く見積もったのが全体的な敗因にはなってきますね。このくらい流れる想定で決め打ちするなら、上位2頭は高く評価して差し支えない馬だったとは言えるんですけどね。

 ただ3着のラインスピリットは、前傾予想なら尚更に押さえられないいなぁ、という感じで、今までの傾向からしてもかなりびっくりの好走です。
 基本時計面に限界はある馬で、かつ1200mですと平均くらいで一番持ち味が生きるタイプでしたので、この前傾戦でスムーズに競馬出来たとはいえ、ここまで嵌り切るとはちょっと思いませんでした。

 裏を返すと、この馬が3着に粘り込めるくらい後続の差し馬がだらしなかった、という見方も出来るとは思いますが、この馬も狙い時が本当に難しい馬ですね。

 4着キングハートは、どうしても前傾ラップだと甘くなるのはあるので、その点では酌量の余地はあると思います。
 ただスタートが煽り気味で、バランスを崩してから慌ててリカバーで脚を使ったり、外々を焦り気味に押し上げたりと、鞍上の乗り方にしてもあまり褒められた感じはなく、前走ハイペースの流れで差し込めたのは、上手く内々を通せてスムーズに進められたから、とはなってしまうようですね。
 この馬の武器は平均~スローでの後半の爆発力にありますので、本質的にこのレース向きではないと承知で、でも今年の構成ならと狙ったのもあるので、ちょっと安直だったかなと反省はしつつ、馬自身は苦手な展開の中でも最低限は戦えるようになっていますし、噛み合えば重賞のひとつふたつは確実に取れる馬とは思っています。

 5着ファインニードルも、ここまで流れてしまうと追走で苦しかったのは有ると思いますし、ミノルの後ろで少し待たされた分も弾けきれなかった事に影響はあるかな、とう感じです。
 アドマイヤムーン産駒ってやはりイメージ的に超高速馬場巧者のイメージはあるので、その点少し時計が掛かり出して前傾度が高くなる展開ですと味が出ないのかなと、嵌る時は強い勝ち方が出来ますが、OPに入るとそのスポットはちょっと狭いのかな、とも感じるもやっとした内容でしたね。まだ若いですし、もう一皮むけてくれば、と思いますが。


**★札幌記念**

 北都最大の格を誇り、近年は天皇賞秋との関連性も高い伝統の一戦・札幌記念ですが、今年はGⅠ好走馬を尻目に、人気薄のサクラアンプルールが一気の捲り差しで勝ち切り、2着にも重賞好走実績すらなかったナリタハリケーンが突っ込んできての大波乱となりました。レースを振り返りましょう。

 昨日に引き続き、札幌の馬場はかなり重かったと思います。
 9Rの500万下戦が61,9-60,2とややスローとはいえ後半も上がり切らずに2,02,1で、クローバー賞なども平均で流れて1,30,8、最終の1200m戦でも1,09,9止まりとあって、このレースの2,00,4はまぁ想定の範囲内、というイメージです。
 全体的に速いラップを踏みにくい馬場てもありましたし、その意味でいずれ詳しく回顧しますが、今日の新馬戦の1,50,6、ラスト3F35,0はかなり優秀だと見ていいです。

 ともあれ、そういうパワーの優先度が高い馬場での一戦でしたが、展開はまず予想通りにロードヴァンドールが押してハナを主張していきます。
 これに最初に絡んでいったのが好スタートを決めたサウンズオブアースでしたが、流石にスッと下げてポケットのポジションを確保、タマモベストプレイも前目につけて、そとからはマイネルミラノが上がっていって番手外、エアスピネルもそれをコーナーあたりからじわっと追い掛ける形で4番手くらいを取り切ります。
 ヤマカツエースは五分のスタートを切り、最初から外目に持ち出しつつ中団外でいつでも動けるポジション、サクラアンプルールは枠なりに最内を通しつつ中団でそのすぐ後ろにナリタハリケーンがいました。

 マウントロブソンはスタート直後に左右から挟まれるようなところもあり出負け、後方からの競馬を余儀なくされます。
 ツクバアズマオーやアングライフェンも今日は後ろからの競馬になりました。

 ラップは35,4(11,8)-49,3(12,32)-35,7(11,9)=2,00,4(12,04)という推移でした。
 三分割で見るとやや中盤が緩めの平均ペース、という感じですが、ハーフで取ると60,7-59,7とややスローで、後半5Fのロンスパ持久力戦の様相が強いです。
 細かく言えば、4・5Fだけが13,0-12,3とかなり緩いのですが、ただ番手のミラノ以降はこの地点で既に前との差を詰めていて、ロード以外に関しては字面以上に息の入れにくい流れだった、とも言えるのではないでしょうか。

 結果的に馬場の重さも含め、レース全体でスタミナ適正が強めに問われましたし、縦の位置取り以上に横の位置取りのロスがじわじわとボディーブローのように影響する流れだったかなと感じています。
 それを反映するように、1、2、4着馬までが道中はインベタを選択していましたし、馬群全体はそんなに大きく離れても、凝縮し切ってもいませんでしたので、実質的にはかなりのスローで入れて、勝負所からスムーズに加速しつつ外に出せた上位2頭はかなり噛み合った、とは言えそうです。逆に前目外々にいたヤマカツあたりは着順以上に強い競馬はしていると考えていいでしょうね。

 勝ったサクラアンプルールに関しては、昨日から蛯名Jがいぶし銀の活躍を見せていましたし、展開や枠も完璧に噛み合ったといえますね。
 基本的にOPクラスでの好走歴がスローから切れ味を活かせるパターンに限定されていましたので、淡々と流れて切れ味の質はまず問われない札幌でどうかな?と懐疑的だったのですが、結果的に強い競馬を見せてきたと思います。

 この馬自身はハーフで推定61,4-59,0とかなり後傾ラップで入れており、その点はまずこの馬の持ち味を引き出す上ではプラスでした。
 かつ勝負所の3~4コーナー中間から、上手くブレーキを踏まない形で無理なく外に持ち出せましたし、その過程での一瞬の加速力は流石のものを見せていて、前目からじわじわと押し上げていたエアやヤマカツを瞬時に交わし去ったのには驚きましたね。
 早く抜け出した分だけ最後は少し甘くなりましたが、結果的にこういう少し時計のかかる馬場もマッチしていたのかなと思います。なんだかんだで上位がキンカメ×サンデーばっかりですし、キンカメのパワーが生きる条件だったのは間違いないでしょう。

 これまでも前半無理し過ぎたり、スムーズさを欠くと惨敗する脆さはあったのですが、型に嵌れば強い、というのを見せましたし、本質的には切れ味を問われた方が強いと思っていますので、秋天でも内枠を引けたならワンチャンスはあるかもしれませんね。

 2着ナリタハリケーンにも参りました、としか言いようがないです。
 敢えて言えば、巴賞で後半勝負でコーナーからいい動きが出来ており、かつラストの持久力/持続力面での食い込みも確かなものがあったので、今回パワー寄りの馬場でゆったりコースロスなく入れて、仕掛けを我慢しつつスムーズにコース取りも出来た(サクラが前にいてスパッと抜けてくれましたからね)、そのあたりが噛み合ったのは間違いありません。
 とはいえこのメンバーでここまでの競馬が出来るとは流石に微塵も考えなかったですし、予想以上に内を通した分のプラス面が大きかったのはあれ驚きでしたね。

 流石に軽い芝でどうこう、と言える部分はまだないのでなんともですし、年齢的にもここから上積みを見るのは難しいでしょうが、時計のかかる条件でならもうひとつくらい穴を開けてくる可能性は考えておきたいと思わせるほど、最後の差し込みには迫力があったと感じます。

 3着ヤマカツエースは、枠と人気を踏まえると仕方ない競馬ではあるかな、と思います。
 結果的に内枠の馬が内を通して勝ち切ったレースだけに、そのあたりで裏目のところはあるにせよ、人気馬で動けずに終わるのは当然避けたいですから、あの序盤の位置取りは責められない、むしろよく頑張ったと言えるでしょう。
 ただそうやって位置を取るのに脚を使いましたし、前にスピネルがいてそれをマークする形でじわっと早めに動く事にもなって、道中ずっと外々で息が入らない中での一貫戦だと、この馬にとってベストの展開ではなかった、というのはあるでしょうね。

 近走はどうしてもスローから持続力勝負で良さが出ていましたし、過去の札幌記念もある程度のペースを早めに動いていって甘くなっていて、本質的に良馬場での持久力戦向きではないのかなと思います。
 有馬などは位置取りの差やコース取りもあってでしたし、横の位置取りのバイアスが結構大きめに出る展開の中では頑張っていて、持続力特化戦になりやすい天皇賞秋に向けては、悲観する負け方ではなかったと言えるでしょうね。

 4着サウンズオブアースも流石実力馬、という所は見せました。
 思いの外スタートが決まって、結果的に3列目のインというかなりいいポジションを取れたのですが、ここまで一貫して息の入らない展開の中では、後半型の持ち味が生かし切れなかった部分もあり、コース取りとしても結果的にサクラがスッと外から動いてきたことで、直線で少し待たされるところもあり、最後の差はそのあたりでしょう。
 基本的にポン駆けは効くタイプですから、2000mでこういう流れだとこのくらい、とも言えますが、まだ能力落ちはないでしょうし、秋の大目標に向けては悪くない一戦だったと思います。

 5着エアスピネルも、外枠はスムーズに前に入っていけてプラスだと思いましたが、結果的にずっと外々、というのはヤマカツほどではないにせよ響いた面はありそうです。
 このペースなら追走面での余裕はあったはずですが、マイルからの距離延長で完全にリラックスして、ともいかなかったのか、本来は動き出しでもっと反応の良さを見せる馬ですが、コーナーでもかなりじんわりした動きになっていて、直線を向いてももう余力を残していない感じでした。

 全体的にロンスパの流れで少しずつ足を削がれた感もあり、この距離ですともう少し軽い馬場のほうが良かったなと感じます。
 ラストが甘くなるのはいつも通りですが、ただ形としては悪くはなかった上で、よりロスの大きい競馬をしたヤマカツに完敗、となると、2000m路線でもGⅠ戦線でどうこう、という目途は立てにくいかなぁと言うしかないですね。
 キンカメの仔って成長力があるタイプが多いですけど、この馬はデビューからほとんど馬体重の変動がないタイプで、そのあたりも物足りなさに繋がってきていますし、秋の路線選択は難しいところですね。マイルチャンピオンシップはそこそこ合う条件とは思うのですが、結局こういうタイプはひとつはっきり成長がないと善戦マンで終ってしまうんですかねぇ…………。
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2017 8月第2週海外GⅠなど レース回顧

**★アーリントンミリオン [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=idStftYM3T4)**

 真夏の芝の祭典、アーリントン開催の目玉レースのアーリントンミリオンは、ビーチパトロールが先行策からしぶとく押し切り、丁度1年ぶりのGⅠ勝利を飾りました。

 レース映像を見るとわかるのですけど、このコースの2000mってスタートして直後にコーナーなんですね。
 そのせいで明らかに外枠の馬のポジショニングに不利が生じているコースには見えますし、けれど勝ち馬はそこそこ外目の枠から思い切って出していったのが功を奏している感はありますね。
 相手関係としては、欧州のGⅠ戦線では勝ち切れないドーヴィルや、イスパーン賞を勝ったメクタールあたりですが、レースセンスと地の利を生かしての上手いレースぶりでした。
 この馬自身、前年のこのコースでの3歳限定戦のセクレタリアトSを勝って以来、ずっと2~4着と善戦はするも勝ち切れないレースが続いていましたので、これをきっかけに出来れば、というのはありそうです。

 ただレースとしてはかなりスローの展開で、62-60,5くらいのバランスで、かつラスト2Fが最速なので仕掛けも早くなく、すぐ下で触れるセクレタリアトSに比べてもレースレベルとしては微妙かな、とは感じます。
 ドーヴィルはドーヴィルで、ポケットから上手く捌いてきたものの伸び切れず去年に続いての3着で、相変わらず勝ち味に遅いですし、全体的にパッとしない印象は強いです。

 札幌記念と被るところはあるとはいえ、この距離得意で先行力がある馬なら充分勝ち負けできそうなレースですし、馬場もそんなに重くはないので、たまにはここに遠征計画立てる馬が出てきても、とも感じますけどね。
 随分昔にオグリキャップが遠征計画立てて取りやめたことがあったと思いますけど、マイル~2000mが主戦場のスピードのあるGⅡクラスの馬ならまず通用するはずです。

**★セクレタリアトS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=HfoDvJaXteU)**

 こちらの3歳限定2000m戦は、オスカーパフォーマンスが他の馬より重い斤量を背負いつつ圧巻のパフォーマンスで押しきりました。
 頭数が少なかったので楽、というのもありますが、欧州からの遠征馬、パリ大賞典の2着馬パーミアンが全く勝負にもなりませんでしたし、時計的にもアーリントンミリオンと同斤量で、ペースも後半ラップも上回ってきているので、明確にこちらの方が強いと感じます。

 この馬自身、2歳時はBCジュベナイルターフで、欧州マイル路線の物差し馬的なランカスターボマーや、こないだダート初挑戦でクラシックホースを一蹴してみせたグッドサマリタンあたりに楽に勝ち切っており、シーズン序盤こそ不調だったものの、前走ベルモントでのベルモントダービーも勝ってここもあっさり突き抜け連勝と、現状のアメリカ中距離路線の芝馬では実力・実績ともに申し分ない最右翼と言えるでしょう。

 マイルのスピード勝負も強い馬だけに、2400mのターフを選ぶのか1600mのマイルに行くのかわかりませんが、今年のBCにおいて芝路線の地元の期待を強く集める馬になるでしょうし、今後も注目しておきたいですね。

**★ジャック・ル・マロワ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=hXAhbWs_X70)**

 かつてタイキシャトルが勝った真夏のフランス伝統のマイル戦ですが、今年は6頭立て、かつ3歳馬が5頭とやや興ざめなメンバーでの戦いになりました。
 まぁもっとも、今の欧州マイル路線に関しては、古馬で強いと言えるのはリブチェスターくらいしかいないのは確かなんですけどね。

 1番人気は前走ジャンプラ賞を勝ったサンダースノーで、けれどそれなりに各路線で底を見せていないメンバーが揃い、人気も割れていたようです。
 レースではそのサンダースノーが逃げて超スローに落とし、それを後続がピッタリマークしていく展開になります。
 ラップ的には前半600mが40,68、そこからの2Fが23,54で、ラスト3Fが10,94-11,04-12,31で1,38,51となっていて、ラスト1000mからの2段階加速的な形で、ラスト3Fは切れ味と持続力を強く問われた特化的なレースかなと思います。

 残り200mまではしっかりサンダースノーが出し抜いて勝ち切るか、と思わせましたが、ラスト1Fで甘くなったところを英2000ギニー3着馬のアルウケアと伏兵インズオブコートが強襲し、最後は大接戦の中アルウケアが鼻差抜け出しての勝利となりました。
 まぁ内容的にはかなりスローからですので、全体的なマイル戦としての総合力は問われていなくて微妙なところもありますけど、総じて言えるのはこのレースもそうながら、大体今年は3歳牡馬はイギリス>フランスの構図が明確なのかなと、この一戦の結果からも想像は出来ますね。

 とはいえこの馬もサンダースノーも安定して走ってはくるので、今後も展開が噛み合えば、強い相手とでもそれなりには戦える素地はありそうです。
 

**★ギヨーム・ド・ルナーノ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=54eG1e62wj8)**

 ここはGⅡなんですが、仏2冠馬のブラムトが出てきたので拾っておきましょう。
 凱旋門賞でも有力視されている馬でしたが、これまでのレースぶりでもゲートが課題で、ここでも大きく出遅れる失態を演じ、結果英ダービー4着馬のエミネントに大きく離されての5着と、不甲斐無い結果に終わってしまいました。

 ただレース自体はそこそこレベルが高そうで、序盤からそれなりに流れて綺麗な縦一列の展開、前半62,97から、24,21-11,48-11,51-12,09=2,02,26という好時計を、エミネントは逃げてそのまま押し切る強い競馬でマークしてきました。
 レースぶりとしてはハイランドリールみたいでとても強かったのですが、この馬とて英国のGⅠ戦線では掲示板止まりの善戦マンでしたので、この意味でもやはりイギリスのほうが全体的に強そう、というのを裏付けてくるのかなと。
 今度英国際Sにバーニーロイとチャーチルが出てくるようですけど、2000m近辺ならバーニーロイが一番3歳牡馬の中では強いかな、と贔屓目抜きに思います。

 ただこのエミネントも、こういう思い切った競馬で開眼してきたところもありそうですし、またフランケルの仔ですので、そこそこ時計が出る良馬場に向いていた、というのもありそうです。
 ブラムトとしても、ある程度コーナーからペースが上がって後半の持続力勝負、という中で、あの位置から押し上げるのは至難ですし、休み明けで擁護できるところもありますが、やはりスタートは改善されておらず、距離適性的にも疑問符がつく中で、凱旋門賞よりは2000m路線を選びそうな感じもありますね。
 相手関係的にも、古馬や英国の3歳勢と当たったら苦しいところはありそうです。

**★ゴントー・ビロン賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=_y6458x-l20)**

 そして同日のGⅢ戦で、去年欧州の2000m路線を席巻したアルマンゾルがようやく復帰してきたのですけれど、こちらも往時の鋭い差し足は見る影もなく最下位5着同着に敗れてしまいました。
 
 しかしこのレース、本当に上のレースと同じ日?ってくらい、メンバーの走路も違えば時計も平凡、前半1400m1,30,31の超スローながら上がりも35,80と平凡で、それなのにある程度のポジションから内目に潜って、全くいい脚を引き出せずに惨敗というのはうーん、って感じです。
 元々英愛チャンピオンSも渋った馬場でハイペース、というところから、ハイペースの差し馬的な要素はあったと思うのですけど、それにしたって走らなさすぎで、やはりウイルス感染症などの影響が尾を引いているのか、という感じですね。
 流石にこの有様ですとすぐに立て直して、というのも難しそうですし、実際にブラムトとアルマンゾルはブックメーカーの凱旋門賞人気が一気に急落したようですね。現状イネーブル一強扱いですが、あの馬もまだ良馬場時計勝負の2400mは未知数だけに、今年はかなり混沌とした情勢がレース直前まで続きそうです。
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