2017年08月26日

2017 8月第4週海外GⅠ レース回顧part2

 今週末の海外競馬シーンは、ソングバードとレディオーレリアという名牝2頭が破れる波乱もあり、個人的にちょっとガッカリしたなぁ、というところです。
 いつものように気になったレースを拾ってみていきましょう。

**★ナンソープS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=MEyA8nABjV0)**

 というわけで、まずはヨーク開催最終日の、伝統の1000mスプリントGⅠ、やっぱり個人的な印象としてはマーシャが勝った、というより、レディオーレリアが負けた、と形容したくなるレースですね。

 開催を通じて少しずつ馬場は回復し、この日は良馬場開催だったようですが、それでも例年に比べると少し時計は掛かるコンディションだったように思えます。
 またレース映像が途中からなんですが、それだけ見てもはっきりわかるように、スタートから一気に飛び出したレディオーレリアが軽快に飛ばし、逃げ込みを図るところで、馬群の中から最後一気に群を抜く末脚で伸びてきたマーシャが襲い掛かり、最後の最後で鼻差交わした、というレース内容です。
 レディオーレリアのデットーリJは勝ったと思ってガッツポーズなんてしちゃってますが、実は差されていました、という意味でも、話題性のあるレースになってしまっています。。。

 このレースに限って言えば、後続は3馬身以上離されているので、レディオーレリアが止まったというよりは、マーシャが予想以上に強い競馬をした、と考えるべきでしょうか。
 この馬はキングズスタンドSでは3着完敗でしたが、去年のアベイユドロンシャン賞を制していたり、相対的に重い斤量のレースの方が強さを発揮するタイプになってくるのかもしれません。
 キングズスタンドSからはレディオーレリアとの斤量差も4ポンド小さくなっていましたし、それらが噛み合っての強敵撃破、というイメージですね。

 レディオーレリアも持ち前のスピード能力はしっかり見せてくれたと思いますが、この馬にとってはより軽いスピードの乗り易い馬場の方がベストだった、というのはあるかもしれません。
 負けて強し、とは思いますが、それでも負けて欲しくなかったのは本音で、次がどこになるかはわかりませんがしっかり巻き返して欲しいですね。

**★トラヴァーズS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=sWIMkpYrsr4)**

 一昨年はまさかのアメリカンファラオの敗戦があり、去年は巨星アロゲートの出現で沸いた真夏のダービー・トラヴァーズS。
 今年はクラシック戦線の力関係が猫の目のようにコロコロと変わる中で、それだけ上位に与する有力馬が多いという事でもあり、そのほとんどの馬がここに出てきて、字面だけは非常に豪華な一戦になりました。
 しかし結果として、三冠レースの勝ち馬は全て見所もなく敗れ去り、勝ち切ったのは前走で重賞初制覇を遂げたばかりの上がり馬、ウェストコーストで、改めてこの路線の象徴の激しさを思い知らされることとなっています。

 レースではそのウェストコーストが逃げてオールウェイズドリーミングが番手、そのすぐ後ろにイラップとクラウドコンピューティング、タップリットが続く展開で進み、ガンネヴェラは中団、グッドサマリタンは前走同様に序盤はついていけずに後ろからになっています。
 ラップが23,82-24,30-24,11-24,59-24,37=2,01,19という推移で、やや前傾、くらいの平均ペースであり、逃げたウェストコーストは最後まで極端にラップを落とさずかなり強い競馬を見せているといえますね。

 昨年はアロゲートが1,59,36というお化けのような時計を出しましたがあれは例外的ですし、近年で2分1秒台に入ってきたのは、一昨年アメリカンファラオをキーンアイスが差し切ったレースくらいのもので、平均ペースのパーソナルエンスンSが1,49,16だったことを踏まえても、時計面でもその内容の濃さは見せられていると言えます。
 勿論馬個々の調子などもあるでしょうが、あまり傑出した馬がいなかったクラシック路線よりも、遅れて台頭してきたこの馬の方が素材的にも能力的にも上だった、と見做すことはできるでしょう。
 無論楽に逃げられてはいたので、よりマークがきつくなる展開でどうか、少なくとも去年のアロゲートのように、間違いなく最上位と断言できるだけのものではないかもしれませんが。

 ただ鞍上スミスJにバファート調教師はアロゲートと同じ組み合わせですし、しっかり新世代のエースが台頭してきたな、というイメージは持ちやすいところで、ここまで低レベルだった3歳世代の代表格に育っていって欲しいですね。
 にしても本当に、オールウェイズドリーミングはあのフロリダダービー~ケンタッキーダービーまでの強さはどこに消えてしまったんでしょうね?ここまでズルズルと見せ場なく負けるのは本当に切ないばかりです。

**★パーソナルエンスンS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=OamMoEgoNAc)**

 レース直前に回避もあり、僅か4頭立てと寂しいメンバーになった当レースでは、逃げて粘り込みを図るソングバードを、フォーエヴァーアンブライドルドがゴール寸前で差し切り、ソングバードに生涯二つ目の黒星をつけました。
 まあ勿論この馬も、去年のBCディスタフでも1馬身ちょっとの差で3着、ステラウインドには先着した実力の馬ですので、一叩きしてのここでしっかり結果を残してきたのは驚く事ではないのですが、やはりソングバードが負けてしまったのはショックですねぇ。

 レースラップ的にも24,14-23,77-24,32-24,67-12,20=1,49,16という平均ペースで、ラスト1Fでむしろ加速しているくらいですので決して無理はしていないのですが、この馬のファンとしてはなんとももどかしい結果です。
 まあ単純に去年とは相手関係が違う、と言えばそれまででもありますし、この上がりを後ろから捲って差し切ったフォーエヴァーアンブライドルドを誉めるべきところでもありますが、どうにも古馬になっての成長を感じられないのはありますね。少なくとも牡馬と張り合ってどうこう、というレベルの馬ではなかったという事でしょう。

 とはいえそれでも牝馬戦線の最上位の一頭なのは間違いないですし、多頭数になった時にはこの馬の先行力は当然強い武器になりますので、今後も応援していきたいところですね。
 牝馬路線もこの2頭にステラ、3歳勢も去年よりレベルは高そうで、BCディスタフに全ての有力馬が駒を進めてくれれば嬉しい限りです。

**★フォアゴーS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=eoPvy-HWvEk)**

 去年のBCスプリントを勝った快速馬ドレフォングが、文字通り影も踏ませぬ逃亡劇で圧勝しました。
 今年の復帰戦のビングクロスビーSでは、スタート直後に横に飛び跳ねて騎手を振り落とし、そのままカラ馬でゴールするお茶目を発揮していましたが、このレースでは完璧にスタートダッシュを決めて悠々と一人旅、文字通りスピードの違いを見せつけた格好になります。

 ラップは22,89-22,67-23,34-12,20=1,21,12という推移で、前傾ラップではありますがアメリカのスプリント戦としては極端ではなく、BCスプリントで21,49-22,54なんて狂気的なラップで逃げた経験もあるこの馬にとっては楽走に近いものでしたでしょう。
 去年もこのサラトガの1400m戦、3歳限定のキングズビショップSを同じようなラップ推移で圧勝しており、まともに走れば現状スプリント路線ではこの馬のスピードは1枚上、というイメージですね。

 今年のキングズビショップS(なんかレース名は変わってしまったみたいですがとりあえず便宜上)は、三冠路線から路線をシフトしてきたプラクティカルジョークが惜敗続きに終止符を打つ完勝を収めましたが、こちらがよりハイペースながらも1,21,96止まりでしたし、そのあたりの比較からでも、ドレフォングのラストは抑えたままでのこの時計は圧巻だったと言えるでしょう。
 こちらもスミスJにバファート調教師の百戦錬磨コンビで、BCスプリント連覇に向けて一点の曇りもなく視界良し、という印象を与える素晴らしい逃げ切りでした。
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2017 キーンランドC・新潟2歳S レース回顧 とWASJの話もちょっと

**★キーンランドC**

 実力伯仲で大混戦模様のキーンランドCは、古豪エポワスが最後方から馬群をスルスルと縫うように上がってきて、前から粘り込みを図るソルヴェイグとナックビーナスを差し切り、悲願の重賞初制覇となりました。
 しかし夏競馬の重賞では、人気を背負っては圏外続きだったルメールJが、ここでこの人気薄で持ってくるのかぁ…………と唸るしかないですね。レースを振り返っていきましょう。

 まず馬場ですが、前日から目立った回復もなく、かなり重いコンディションだったと思います。
 今日は1200m戦が新馬しかないので、あまり明確に比較はしにくいですが、9Rの1500m戦も超ハイペースながら1,29,0まで、他のどのレースでも速いラップをまず踏めない、相当にタフな状態だったと考えていいでしょう。

 展開は、真ん中からこうスタートを決めたナックビーナスと、そとからいつものように鋭いダッシュを見せたソルヴェイグが牽制し合いながら先行争いとなり、結局枠の並びのままナックが逃げてソルヴェイグが番手外につけます。
 シュウジも好スタートでしたが、ある程度控える競馬を模索する中でじわっと下げて2列目のインを確保、その後ろにライトフェアリーとネロがいて、3歳勢のモンドキャンノ・メイソンジュニアは丁度中団くらいでレースを進めます。
 フミノムーン、ブランボヌール、ノボバカラあたりは後方で追走に苦労している感じで、エポワスもスタートは先ず先ずでしたが、自分のリズムを重視した結果道中はほぼ最後方、残り600mからじわじわとエンジンを掛けて進出していきました。

 レースラップは33,5(11,17)-35,5(11,83)=1,09,0(11,50)という推移でした。
 やはりソルヴェイグが外目からしっかりプレッシャーをかけていったのもあり、前半のペースはかなり上がって、ラップ推移も綺麗な消耗戦になっています。
 ただ結果的に前傾2秒と相当に流れても1,09,0止まりだったことを鑑みると、馬場予想自体はより重い方向に見誤っていたかな、というのはありますね。
 どうあれレース全体としては相当に高い追走力が求められていると言えますし、結果的に1、2番手と最後方にいた馬で決まった、というところからも、かなり特化的な一戦にはなっていると考えていいかなと思っています。

 しかし勝ったエポワスは、本当にここで来るか、って感じですね。ルメールJが人気薄に乗ること自体がレアケースながら、しっかり噛み合う所なら持ってくるのが名手たる所以なのかと、ちょっと去年のエリ女を思いだしましたが時すでに遅し、というやつです。
 というかダービーの時に、今後はルメールJはどんな時でも基本拾っておくべき、とか書いたくせに、ちょっと調子を落とすとすぐ忘れる鳥頭が憎いですな。。。

 この馬自身元々洋芝巧者なのは確かで、ゴリゴリの時計勝負向きでもないのでこの馬場自体は悪くなかったでしょうが、好走スポットの幅自体はそんなに広くなくて、基本的には平均くらいの走破に持ち込んだ時に良さが出るタイプなんですよね。
 例年UHB賞で好走して、人気になってここで負けるのがお約束だったのも、馬場のいい時期のUHB賞がハイペースになりにくいから、っていうのが大きくて、今年はそちらでも崩れた上に今回はハイペース必至、と見ていたので正直いの一番に消したくらいでした…………。
 しかし今日は、スタートは完璧に決めつつひとつも馬のリズムを崩さず、そしてしっかり馬場状態を見極めてフラットなバランスで走破してきて、勿論一か八か、の騎乗ではあったと思いますが、基本ある程度先行する馬でこれですから文字通り脱帽ですね。

 この馬の走破バランスは34,6-34,4と綺麗な平均で、仕掛けどころも絶妙の上に、コーナーで外を回さずにタイトに回ってきたら、インがぽっかり空いたというのも完璧に噛み合っての差し込み、ラスト1F12,2のレースラップのところ、ナックビーナスと4馬身くらいあったのを差し込んできたので、この馬自身は後半11,5前後をずっと続けてきたイメージでしょう。
 全てが上手く嵌ったのは間違いないですし、人気薄ならではの博打でもありましたが、ある程度それが予想出来るメンバー構成でもありましたので、前の争いが激化するのを尻目に、クールに自分の走りに徹してきた、正に職人芸と言っていい素晴らしい騎乗だったと思います。

 2着のソルヴェイグは、まず自分の競馬は出来た、とは言えるでしょうが、立ち回りの中でああいう形で足を掬われたのは今後のローテーションを考えると痛いですねぇ。
 スタートからの二の足はいつも通りに快調で、重い馬場でも良馬場ならやはり行きっぷりは違う、というのをしっかり見せてきました。
 逃げてしまうと微妙なタイプかは、シルクロードの結果だけでは断定は出来ないですが、理想が番手外なのも間違いないですし、その上で馬場の綺麗な所を選びつつの進出もまずは王道、という所でしょう。

 おそらく4コーナーで外目外目に持っていったのは、その馬場意識と、あと内のシュウジの手応えが悪いのを見越して、敵は外から差してくる馬と見てコーナーでのロスを作らせよう、という魂胆もあったのかなと感じます。
 実際モンドやメイソンあたりの人気していた3歳勢はその罠にはまって直線伸びあぐねていましたが、逆にインに1頭分綺麗にスペースが出来てしまって、そこからエポワスが差し込んでくるのは想定外だったのかな、って思いますね。

 この馬自身は前傾2秒でも最後までしぶとく、追走力の高さと力の要る馬場への対応力を改めて証明はしたと思います。
 正直スプリンターズSですと基本7秒前半の時計勝負にはなってくるので、勝ち切るにはよほど条件が噛み合わないと、とは思うのですが、この先行力自体はやはり魅力的ですので、まだ期待は大きく掛けていきたいところです。

 3着ナックビーナスも、時計勝負向きではないスプリンターですので、こういう馬場でなら相対的にハイペースにも対応してきましたね。
 逃げる形までは想定していなかったですけど、そのあたりは横山Jらしい思い切りでしたし、逃げるなら半端にはしない、という意思を感じるラップを作ってくれたと思います。
 この馬も高速馬場で勝ち切る武器はあまり持っていないタイプではありますが、印象としては1200mより1400mの方が高速馬場なら噛み合うはずです。基本堅実さはありますし、好走できる条件なら相手関係次第で積極的に狙っていける馬だと思いますね。

 4着フミノムーンも、エポワスほど徹底的にではないけれど後方から後半勝負型で進めて、ただこの馬は一番外を通すことになりましたし、展開的には向いたけれど進路取りの面で少し噛み合わなかった、その分圏内まで差し込めなかった感じですね。
 こちらも力の要る馬場がかなり合っていたと思いますし、人気上位勢が予想以上に馬場適性やペース適正がなくてだらしなかった分も含めての好走、と見ていいと思います。

 5着ライトフェアリーも、外々を先行したこの馬が残る=人気勢の脆さを象徴しているとは思うんですよね。
 正直消耗戦の適正が高い馬とは思っていなかったですし、それでもポジション差だけで粘り込めてしまった、というのがこのレースの特殊性を示していて、健闘ですけどじゃあ次に自己条件で確勝か、となるとそうでもない、というタイプではあると感じますね。

 モンドキャンノやメイソンジュニアは、やっぱり本質的には前傾スプリント戦向きの馬ではないと思っていますし、その上で外を回されたのも響きました。
 どちらも1400m~1600mでややゆったり入るくらいがベストの適正に思うので、この結果は度外視して次に見直す手は充分に有ると思います。
 
 ネロは逆に、この流れでダメなのはまだ状態が良くないのか、って感じです。
 馬体重も-14kgと良くない感じでしたし、立て直しにはもう少し時間がかかりそうですね。
 
 シュウジもけっきょく半端な位置でハイペースに巻き込まれる、というところで、直線向く前にもうガス欠、やる気なしって感じになっちゃってましたね。
 ちょっとこれは気性的にかなり難しくなってくる負け方ですし、といって当然逃げれば甘くなるので、もうスプリントは見切りをつけて、1400m~1600mで平均的な逃げを打つスタイルに活路を見出すしかないのでは?と思ってしまいますね。

**★新潟2歳S**

 しっかりと時計の出る良馬場にまで回復した新潟2歳Sは、超スローの流れで番手から鋭く抜け出したフロンティアが、粘るコーディエライトを競り落として無敗での重賞初制覇となりました。レースを振り返りましょう。

 馬場は多少傷みも目立ってきてはいるものの、それでもまだインが伸びる馬場でしたし、6Rの500万下1800m戦で1,46,2が出ているように、流れれば普通に高速馬場だったと思います。
 でも9Rのマイル戦なども超スローからの4F戦で前残りですし、どうしてもジョッキーの質的に札幌に上位勢が集まっている中で、しっかりコンディションを読み切れず、昨日の渋りのイメージを残しての競馬が目立っていましたね。
 このレースが傾向とは裏腹に徹底的な前残り競馬になったのもそのあたりは影響していますし、基本的に前半のポジショニングが全て、に近いので、評価の難しい一戦ではあります。

 展開は、まずフロンティアが絶好のスタートを切り、左右を見ながら少し下げて、最終的に外からハナをじんわりと奪っていったコーディエライトの番手外という絶好位を確保します。
 マイネルサイルーンも早めの競馬で2列目ポケット、その後ろにテンクウがつけ、キボウノダイチ、シンデレラメイク、ダンツセイケイなどの外枠勢が好位に取りついていきます。

 内のプレトリアとムスコローソもそこまで悪いスタートではなかったと思いますが、中団くらいで前を壁にして我慢している内に外から前に入られて、結果的にやや後方寄りにポジションを押し下げられる形になってしまいました。
 エングローサーはやや出負けして後方外目からじわっとリカバーを仕掛け、オーデットエールは新馬同様にダッシュが悪く後方からの競馬になります。

 レースラップは36,6(12,2)-25,0(12,5)-33,0(11,0)=1,34,6(11,77)という推移でした。
 前半が予想通りかなりゆったり目の流れになって馬群が凝縮していて、ただラップの底が4F目の12,7で、そこからじわっと加速しつつ後半に入っていく流れなので、最低限のイメージでの4F戦、と言えるかもしれません。
 ハーフで見ると49,3-45,3と4秒後傾の超スローバランスですし、かつ残り1000mからが12,7-12,3-11,4-10,4-11,2と、常識の範疇での段階的な加速を前が踏み切っています。
 その上でラスト1Fまで全く落とさない推移ですので、それは当然後ろからでは太刀打ちできませんし、といって中盤で捲っていく戦略は、キャリアの浅い2歳馬では取りにくいですからね。今日は前の支配のバランスがスローなりに、という意味でうわてだった、と見るべきでしょう。

 ともあれ追走面はほぼ問われず、後半で極端ではないほどの加速力と瞬発力の質、そしてラストまで落とさない持続力をバランスよく問われていて、前目につけられた上に素材でも上位だった3頭がそのまま結果に繋げた、と考えていいと思いますね。

 勝ったフロンティアは、レースセンスの良さと後半要素の確かさを改めてしっかり見せてきたと思います。
 新馬に比べれば流れたとはいえ、それでも1000m通過61,6はかなり遅いですし、その点であの位置で楽に入れたのは当然アドバンテージでした。
 かつそこから、新馬でも見せていた加速の良さと切れ味はしっかり発揮し、ラストの持続力もコーディエライト比較で正直どのくらいのレベルか、と言うとそこまで高くはない気もするんですが、それでもこのメンバーでは最上位、というのを見せてきたと言えますね。

 血統的にダイワメジャーの仔ですので、もう少し前半のスピードが問われても戦える素地はあると思います。おそらく後半要素だけでは、今後より素質馬が揃ってくる中では少し足りなくなってくると思いますので、次は平均くらいでは流れる中で、ポジショニングの良さをしっかり生かしてこられるかが見たいですし、それが可能ならばクラシック戦線でもワンチャンスは出てくる素材かな、と感じます。
 ただ2戦目で馬体がかなり減っていたのはあまりいい印象ではなかったので、あまり無理使いせずじっくりと、秋の府中の1800m戦あたりを視野に入れて欲しいかなと思います。

 2着のコーディエライトに関しては、うーん最低限かなぁ、というイメージですかね。
 一応前目にいつつ、コーナー途中からじわっと引き上げて加速補助の意識は持てているのですが、この馬の持ち味を考えるともう少しそこで一気に引き離す競馬に持ち込んでいたらどうだったかな?とは考えてしまいます。前半は折り合わせつつゆったりハナ、というのは理想的だったと思いますし、もう少し明確に4F勝負で、ラップを分散させてくれれば面白かったとは思うんですよね。

 このレースの敗因としても、やっぱり最速地点でフロンティアやテンクウには切れ負けしていた、というのがあると感じていて、ラストの粘り腰は中々見事だったのですけれど、早い地点でフロンティアには前に出られてしまって、それを挽回することが出来ませんでしたからね。
 でもこういう競馬でも強さを引きだせたのは当然収穫ですし、距離も1600mは何ら問題ない、むしろこちらの方が絶対に良いと思いますね。逆に1200m戦で下ろしたのが勿体無かったくらいです。
 
 現状最大の武器は後半要素よりは全体のスピードの持続性にあると思いますので、順調に成長すれば牝馬クラシック戦線でも楽しみはあると思います。
 ただ性能や血統的には、桜花賞よりはNHKマイル向きかもしれませんね。その辺はいかにもダイワメジャーの仔、という感じで、ここ数年はダイワメジャーはコンスタントにいい牝馬を輩出していますし、メジャエン・レーヌの流れに続く1頭になって欲しいですね。

 3着テンクウに関しては、結果的にマイネルサイルーンに前に入られて3列目になってしまったのが致命傷、というところでしょうか。
 コーナーからじわっと前が引き上げてくれたので、加速のスペース自体はあり、最速地点では一番目立つ脚色で詰めてきたのですが、上位2頭に比べるとその分逆に持続力では少し足りなかった格好ですね。
 奇しくも兄イブキと同じ3着止まりでしたが、この流れからでも鋭く動けるセンスは面白いですし、マイル路線でいいところまでいける可能性はある1頭だと感じます。

 4着エンクローザーは、これまでのキャリアが生きた部分もあるというか、コーナーで外から吹かしていった分加速の流れにも対応できたと見るべきか、ともあれ後方から外を回して差し込んできたのはそれなりに評価できるところでしょう。
 血統的にも走りも地味ですけど堅実さはありますし、おそらく持続戦ならもっと明確にラストが落ちるパターンでこそ良さが出ると思うので、阪神1800mとかで見てみたいですね。

 5着キボウノダイチもも新馬戦は地味でしたが、ここでもペース的には楽な中でポジション差を上手く生かせました。
 ただコーナーから前を向けていたのに、後半要素では上位3頭には完敗ですので、少なくとも上がり勝負では底は見せてしまっていますね。よりタイトなレース展開で良さが出てくれば、という感じです。

 期待していたプレトリアは、スタート後のポジション取りが後手後手になってしまったのが痛かったですかね。
 どうしてもテンションの高い馬だけに、出していって掛かるのは嫌だった、という中で、概ね外主導の先団になってじわじわ下げていくしかなかったのは勿体なかったです。
 ラストも明確に切れているわけでもないので、もう少し常識的な流れからの持続戦向き、というところも出ましたし、窮屈な競馬の中では仕方なかったかなと思います。素材は高いと見ているので、次の巻き返しに期待ですね。

 シンデレラメイクは、勝負出来る位置にいて全く後半要素で見せ場がなかったので、新馬同様に流れて追走を問われるタフな競馬向きなのは間違いないでしょうね。
 ムスコローソも今日はリズムの悪い競馬・位置取りでしたし、やはり前走自体着差はともかく内容には凄みはなかったので、ここまで後手後手だと崩れるのも致し方なし、というところでしょうか。

**★WASJ**

 今年は例年にない団子の大混戦で、馬場が特殊で波乱含みなのもあり、最後まで息を呑む展開が続きましたね。
 最終レースなど最後抜け出した2頭で、勝った方が優勝、というポイント推移でしたし、しかしなんだかんだで武Jは役者というべきか、ここでギブアンドテイクをあそこまで持ってきたのは痺れましたね。
 ダシルヴァJも前日の3着は完璧な競馬でしたし、ここも外から強気の競馬で、しっかりひとつでも上の着順を、という強い意思と腕の為せる業だったと思います。

 モレイラJも10Rの逃げ切りなどは流石のスタートダッシュで、充分に見せ場を作ってくれましたし、前日上位につけていた生え抜き勢の失速はやや残念な所でもありましたが、今年も大変に楽しませていただきました。
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2017 8月第4週海外GⅠ レース回顧part1 その他雑談

 とりあえず英ヨーク開催の重要なレースがふたつ行われたので、速報的に書いていこうと思います。
 ちょっといつものようにレース全部が見られる映像をまだ見つけられなかったので、そのあたりは後々差し替えるかもしれません。

**★英インターナショナルS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=AidPIzenJRg)**

 今年のヨーク開催はあいにくの雨に祟られ、このレースは稍重発表ですが、結果的に他のレースも含めて、良馬場の時より平均して4~5秒時計がかかっているように見えます。それだけ力の要る馬場になっているのは間違いないでしょう。

 レースも途中からですのでなんともですが、チャーチルが早めに抜け出すところにバーニーロイが襲い掛かり、2頭が熾烈な叩き合いに入るその外から、ワンテンポ遅れてスパートしたユリシスが、ジリジリと伸びて前を捕まえ、最後には2馬身差をつけての勝利を収めました。
 勝ち時計は2,12,11と2200m戦くらいの時計になっていて、普段は2,06~08秒くらいで走ってくるレースですので、渋ってスローからの決め脚勝負の色合いは強そうです。

 それにしてもユリシスは、ここにきて勝ち味を覚えたというか、完全に本格化しましたね。
 エクリプスSからバーニーロイに差をつけていますが、これは馬場適性の差が大きいように思えます。前走のキングジョージも渋った馬場で2着を確保していますし、純粋な切れ味勝負よりは、ガリレオ産駒らしいパワー勝負でより良さが出ているとも言えるかなと。
 ただ春先から使い詰めでしたし、凱旋門賞はまだ出走してくるか未定、というよりどちらかというとパスする可能性が高い、というコメントが出ているみたいですね。それでも前走で2400mは克服していますし、出てくれば当然侮れない1頭になりそうです。

 2着のチャーチルは、ここでバーニーロイに雪辱しつつ距離延長も克服、という事で、敗れはしたものの一定の成果は見せたと思えます。
 けどやっぱり少し時計のかかる馬場の方が強いんじゃないか、ってのは、セントジェームズパレスSとこのレースの内容からしても思うところで、つくづくサセックスSは回避しなければ良かったのに、と思ってしまうのですが。
 早め先頭からしぶとく粘り込んでいるように、基本的には前目につけて勝負したい馬ですし、マイルだと前走のようにポジショニングで足りない場合もあるので、今後は2000m路線が主戦場になりそうですね。流石にこれ以上距離を伸ばして、というのは現実的ではないですし、英愛チャンピオンSが目標になってくるでしょうか。

 3着バーニーロイは、最後力尽きての3着に距離の限界を見るか、それとも馬場の適正を見るかですが、個人的にはこういう重い馬場が合わなかったと考えたいですね。
 要所での動き出しはしっかりしていましたし、けれど良馬場で速い流れから鋭く伸びるのが一番の武器に思うので、ペースが上がっての良馬場2000m戦がベストに感じます。 
 こちらはマイル路線との両睨みらしいですが、どちらの路線でもトップクラスの力はあるので楽しみが大きいですね。以前にも書いたように、今欧州馬の中ではこの馬を一番応援しているので、今回負けてしまったのは残念ですが改めて強い馬だと感じさせる内容ではありました。

 4着クリフスオブモハーは、エクリプスSに続き上位からかなり離されてしまって、やはりこの世代の牡馬はマイル路線>2400m路線、というのはありそうです。
 同日の2400mのGⅡを、英愛ダービー惜敗のクラックスマンが独走で勝ち切りましたが、それでも相手関係もありますし、総合的に見るとこの世代の牡馬は2400m路線ではイマイチだなぁ、となりますね。フランスサイドはもっと弱そうですし、エミネントは時計の出る馬場なら2400mでも面白そうでしたけど。

**★ヨークシャーオークス [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=i0wO5VMJMt8)**

 こちらは凱旋門賞のブックメーカーオッズで一本被りになっているイネーブルが登場し、逃げてスローに落として直線突き放すだけの楽な競馬でGⅠ4連勝を達成しました。
 地味にこのヨークシャーオークスって名牝の墓場的なところもあり、記憶に新しいところではタグルーダなんかもキングジョージ勝った直後にここで負けてたりするわけですが、この馬は脚質もありますし、今のところそういう隙を一切見せませんね。

 ただ勝ち時計の2,35,79は、上で触れた前日のGⅡ戦より1秒ちょっと遅い時計ですし、またこの馬にとっては当然渋ったのも大きなプラスだったでしょう。
 良開催ならば2,27~8秒くらいの時計は出るレースですので、むしろ陣営としてはここで良馬場2400mのスピード勝負に一定の目途をつける走りをしたかった可能性はありますが、結果的に本番前に高速決着への適正がまるっきりわからないまま、となってしまいましたね。

 無論簡単に崩れる馬ではないと思いますし、ポジションも取れるので普通なら圏内には食い込んでくるかなと感じますが、やはり去年のように超高速馬場でのハイペース、とかになるとリズムが大きく狂う可能性は当然あります。
 これだけの強い馬が、年明け初戦は2000mのレースで敗れている、というのも、スピード勝負適正懐疑派にとっては付け込めるところではあり、金ねん有数の名牝であることはもはや疑いの余地はないだけに、本番近くになるまでその取り捨てに迷う1頭になりそうですね。

**★WASJ**

 明日から2日間、札幌でWASJが開催されますね。
 世界の名手が揃って非常にタイトなレースが見られるのは毎年の楽しみのひとつではありますし、今年も中々にいいジョッキーが出揃って面白いレースになりそうです。
 内容的にも、普段背負わない重い斤量に乗り替わり、コンディションも先週に引き続きタフな条件が予想され、コース形態にいい意味でも悪い意味でも慣れていない外人や地方ジョッキーの存在もあり、一筋縄ではいかない難しいレースになってくるでしょう。

 サラッと今の時点での注目馬というか簡易予想を立ててみます。

・第1戦 芝1200m戦

 ◎サルドナ…………内枠のキンカメ産駒なので昇級戦でも怖さはありそう。
 〇マイネルパラディ…………外目から前を見る位置を取れそうで、あと中野Jの気迫を買いたいところ。
 ▲クリノスイートピー…………時計のかかる条件に変わって粘りが増しそう。
 △ラホーヤビーチ…………安定した先行力と好調の近走から、それなりには走ってきそう。

・第2戦 芝2000m戦

 ◎ウインフェニックス…………去年の実績と、捲りの上手い田辺Jで休み明けでも狙い目かと。
 〇メイクアップ…………こちらも去年の実績に加え、モレイラJの立ち回りは武器になりそう。
 ▲エトルディーニュ…………3歳牡馬は古馬戦で結果出てないですが、この馬の先行力は怖いぞと。
 △ハツガツオ…………この距離で消耗戦になれば、斤量実績もありチャンスありかなと。

 余裕があれば明日も、重賞予想のついでに触れてみたいと思っています。
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