2017年07月26日

2017 7月第5週海外GⅠなど レース回顧 

 今週は週中にもポツポツ大きなレース(サセックスSとか)がありますので、その辺はまた金曜日くらいに取り上げるとして、一先ず土日での主要なレース回顧を上げていきます。

**★キングジョージ六世&クイーンエリザベスS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ycES4TiXzRw)**

 イギリスの2400m路線における古馬最高峰の格を誇るキングジョージは、唯一の3歳牝馬にして英愛オークスを圧勝してきたイネーブルが、一番人気に応えて好位から危なげなく抜け出し、斤量差も活かして歴戦の古馬をも楽々突き放して圧勝しました。

 当日の馬場はかなりの雨量でほぼ重馬場、という感じだったようで、レースもペースメーカー以外は道中からやや外目の芝のいい部分を通っている様子がうかがえました。
 展開は、ペースメーカーのすぐ後ろに、いつもスタートはすごくいいイネーブルがスッとつけ、内枠からだったハイランドリールは一旦少し下げて、イネーブルの外に出してからじわじわとポジションを上げるプランを選びました。
 イネーブルのすぐ後ろに僚馬で人気の一角、ジャックホブスがつけて、中団よりやや前にエクリプスSを勝ったユリシスがいましたね。

 全体のペースはわからないですが、勝ち時計2,36,22は過去20年でももっとも遅い時計であり、表記以上に馬場が悪く、巧拙を強く問われたレースになっていたのではないか、と感じます。
 
 勝ったイネーブルはそれは強い競馬でしたが、英・愛オークスに続いてここでも道悪の状況となり、かなり時計がかかったのは確実にプラスだったとは思います。
 とにかくパワーがありバテない、というタイプで、直線でも一気に抜け出す、というよりはじわじわ最後まで差をつけ続けた、という感じで、これがより切れ味を問われたり、レース全体がスピード決着になった時の不安はあります。

 ただ3年前のタグルーダに比べても、愛オークスから中1週でここを使っての圧勝、というのは競走馬としての圧倒的なスケール感、タフさを感じさせますし、当然斤量面の優位も続く上、ポジショニングがとても上手な馬ですので、凱旋門賞でも期待される1頭になるのは間違いありません。
 去年のようにハイペースからの消耗戦になった時に、スピード不足が露呈しなければ強そうなイメージも持てますし、この後はヨークシャーオークスから凱旋門賞と確実に2400mに拘ったローテになりそうですが、本番まで勝ち続けていって欲しいですね。

 2着のユリシスも、ここにきて一気に充実期と見るべきか、初GⅠ制覇となったエクリプスSに続いて、2400mのここでもしっかり結果を出してきましたね。
 着差を見れば完敗なのは確かですが、他の有力馬は楽に振り切りましたし、この馬自身は前走も含め、前半ゆったり入れる方が噛み合いそうですので、2400m路線の方が今なら面白いのかもしれません。
 前走の切れ味を見ても、良馬場の方がパフォーマンスは高くなると思いますので、益々今後が楽しみになるとともに、凱旋門賞でも勝つチャンスのある一角に入ってきたのではないか、と感じるレースぶりでした。

 ハイランドリールはこういう馬場は完全に苦手ですので度外視でいいと思います。
 ジャックホブスはドバイ勝った時のイメージからですと、そんなに道悪は苦にしない気がしていたのですが、この日は最初から走りのバランスが悪かったですね。どうも馬の調子自体が完全に崩れてしまっているようで、同厩のイネーブルと直線入り口では並んでいたのに、くっきり明暗が分かれる形になってしまいましたし、ちょっとすぐに本領発揮、というイメージを持ちにくい負け方でしたね。

**★ハスケル招待S [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=Q0nQSFjV0tk)**

 真夏のダービー、トラヴァースSの前哨戦になるGⅠ、ハスケル招待Sは、ややハイ気味の流れの中、後方待機のガーヴィンが先に抜け出したマックラーケンをしぶとく差し切って、嬉しい初GⅠ制覇を成し遂げました。

 人気は4戦無敗のタイムライン、ベルモントS2着のアイリッシュウォークライ、堅実なプラクティカルジョークと続いていましたが、レースは人気2頭が先行、特にタイムラインがやや引っかかり気味に前を主張した事で、道中のペースが速くなります。
 ラップが23,93-23,41-23,91-24,40-12,70=1,48,35という推移は、アメリカ競馬としては最序盤は速くないですが、400-800地点が最速で、ここで前が少し離し、後続はラップが落ち始めた残り4F地点くらいから押し上げる競馬をしていて、力関係が拮抗しているメンバー構成で、少し前が無理をする中で、道中の立ち回りの差が出た格好ですね。

 ガーヴィンは元々ダービートライアル路線でベルモントS勝ち馬のパッチを破っていたりと、素材面では評価されていた馬でしたが、ケンタッキーダービーの惨敗から一度立て直して、しっかり結果を出してきましたね。
 展開としては噛み合ったとは思いますし、次は1F延長が鍵になりそうですが、クラシック上位馬が悉く当てにならない状況の中で、次も楽しみな一頭です。
 マックラーケンもダービー後別路線でしっかり結果を出して、ここでも早めに抜け出す強い競馬を見せましたが、もう一押し足りませんでしたね。
 プラクティカルジョークは道中内々から外に出すのにロスがあったものの、そこからはしぶとく伸び、改めて堅実さを見せてきましたが、やっぱりここで勝ち切れないのがキャラ、という感じでしょうか。

 アイリッシュウォークライはやっぱり前半リズム良くいけないと厳しいのかなぁと。タイムラインにリズムを崩されたところもあるでしょうし、早めに抜け出して勝ちに行ったもののラストは明確に甘くなっていて、この馬の場合は距離延長はプラスに感じるので巻き返しはあるかもですが、どうあれ枠と逃げ馬同士での相性がポイントですかね。

**★クレメント・L・ハーシュS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=0-KgpF1L0ws)**

 ビホルダーマイルに続き、ステラウインドとヴェールドリの一騎打ちになりました。
 ステラウインドは去年のこのレースで、ハイペースで逃げるビホルダーを撃破する大金星を挙げて一線級に台頭してきましたが、今年は牝馬のチャンピオンとして迎え撃つレース、その中でややスロー気味にコントロールされた分、斤量差も含めて苦戦したのかな、というイメージです。

 今年は僅差勝ちのレースが多いですが、おそらくこの馬は明確に前傾型で、ペースが上がるほど強いと思うので、むしろこのくらいのイーブンペースにコントロールされても捻じ伏せる強さを見せているのは大したものだと思います。
 一応まだ今年無敗ですし、ソングバードやアベルタスマンと対決するまでは負けて欲しくないですね。

 ヴェールドリもやはりすごくいい馬だなぁとは思いますが、この馬はペースをコントロールしたいタイプと思えるので、多頭数になって先行争いが激化した時にどうなるか、はポイントでしょうね。

**★ジムダンディS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=obX_N6pphUo)**

 こちらはGⅡですが、トラヴァースSの前哨戦でもあり、ケンタッキーダービー馬のオールウェイズドリーミングと、プリークネスS馬のクラウドコンピューティングが出てきたので取り上げておきます。
 レースは序盤から人気二頭が先頭二番手で淀みない流れを作っていきますが、極端に速いというほどではありませんでした。
 しかし3コーナーあたりから2強の手応えはやや怪しく、コーナーで後続の伏兵たちも取り付いて直線は一時横一線の激戦になったものの、最後は大外から伏兵グットサマリタンが楽々突き抜け快勝しました。

 この馬はどうやらこのレースがはじめてのダート戦だったようで、前半は画面から消えてしまうくらい離されていたものの、エンジンがかかってからの脚と最後の持久力は中々のものがありましたね。これは距離延長しても楽しみが大きそうです。
 それにひきかえ、2強のだらしないレースぶりはなんとも言えませんね。
 特にオールウェイズドリーミングは、このペースで潰れるくらいならケンタッキーダービーやフロリダダービーはなんだったんだ、というくらいですし、なんとか立て直して本来の輝きを取り戻して欲しいものです。
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2017 クイーンS・アイビスサマーダッシュ レース回顧

**★クイーンS**

 夏の北都牝馬チャンピオン決戦は、好スタートからまさかの大逃げを敢行したアエロリットが、そのまま後続を全く寄せ付けずにタイレコードで完勝しました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場は7Rの500万下が36,0-35,8-35,5=1,47,3という推移で、平均ペースで好時計が出ており、昨日に引き続き絶好のコンディションだったと見ていいと思います。
 その中での展開ですが、内からアエロリットとシャルールが好スタートを切り、クロコスミアとヤマカツグレースもまずまずでしたが、二頭ともに無理に逃げる形には拘らず、もう一頭の逃げ候補のノットフォーマルはやや立ち遅れてしまいました。
 シャルールがかなり積極的にポジションを取りに行くのに対し、内のアエロリットもそれで包まれるよりは、と枠の差を利してしっかり抵抗し、それでもコーナーまでフラットに入っていきつつ、そのままペースを落とさずにマイペースの逃げに持ち込みます。

 2番手にシャルール、ポケットにはヤマカツが潜り込みその外にクロコスミアがいて、トーセンビクトリー、パールコードあたりが内外離れて中団のやや前目、という感じで入っていきます。
 やや立ち遅れたクインズミラーグロはトーセンの後ろ、やっぱりスタートダッシュで負けて挟まれる格好になったマキシマムドパリは後方で、アドマイヤリードもその外、後方二番手あたりの追走になりました。

 ラップは35,2(11,73)-35,0(11,67)-35,5(11,83)=1,45,7(11,61)という推移でした。
 バランス的にはややハイ気味の平均で、中盤もほぼ緩むことなく、絶対的なスピードの違いで押し切ったレースにはなっていて、ただ細かく見ると色々と凄みがあるのでその辺は後述します。
 実際のところ、逃げたアエロリットと後続は全く違う競馬をしており、後ろの馬は1000m通過が推定59,7~8で、そこから長いコーナーを使って押し上げ、後半4F46秒ちょっと、という内容です。
 ラスト4Fが11,9-12,1-11,5-11,9で、800-400m地点のコーナー部分で後続はかなり差を詰めてきていますので、おそらく11,5前後を3F続けて、ラストは少し落ち込むスローロンスパ持続戦ぎみの展開ではないか、と思っていて、その場合当然ながら外々を回せばそれだけロスが大きいので、インを上手く立ち回ったトーセン・クインズが2、3着、というのは比較的納得の結果ではありますね。

 ただ本当に勝ったアエロリットは後続の思惑など全く関係ない、自分との戦いで楽に勝ち切ってくれましたね。
 基本的に追走力が高く、ハイペースからでも足を使える馬ですので、こういう大逃げの形になった時点で勝ったな、と結構安心して見ていたんですけど、それでも休み明け+18kgでありながら、期待以上に強い競馬を見せてくれました。

 レースラップ通りに道中1000mまでは特に息を入れず気分良く走れるペースで飛ばし、後続とのリードをしっかり作ってから2F息を入れ、そこからまた11,5-11,9と再加速し、ラストも11秒台でまとめてくるパフォーマンスは、いかに52kgとはいえ並の馬に出来る芸当ではありません。
 ちょっと大袈裟に言えばサイレンススズカ的な競馬をしていて、前半他の馬ではついていくと後半の脚を確実に削がれるペースを作りつつも、きちんと息さえ入れられればそこからもう一段加速できるのは、今後の距離延長を考えた時に非常に強みになってくるなと感じました。

 また今までは逃げる競馬はしてきませんでしたが、距離が伸びた時に周りのペースに合わせてしまうと、折り合いの不安や、前半の良さを生かせない、という可能性はありましたので、流れないなら自分で逃げてもいい、というオプションをここで付け足せたのは本当に今後に楽しみしかない、と感じさせる内容でした。
 この競馬でラスト1Fは後続を全く寄せ付けていませんし、本当に最後の持続力・踏ん張りの良さが顕著に見られる馬なので、2000mくらいまでならこういうスピードを十全に生かす強気の競馬を作っていければまず崩れることはないかなと感じます。これは本当に秋華賞が楽しみになる競馬でしたし、その後マイル路線に戻すにせよ、2000m路線を継続するにせよ、古馬一線級とでも充分に渡り合えるイメージを持てる強さでした。

 2着のトーセンビクトリーは、今回に限って言うと馬群全体がついていかずに実質スローで入れたことと、コーナーいっぱいを使っての持続戦で最内を楽に立ち回れる枠だったのが良かったですね。
 私の予想としては、もう少し馬群全体が早い流れに付き合うイメージでいましたので、追走面で危うさがあるこの馬に印を回せませんでしたが、序盤の展開もアエロリットとシャルールが出していってくれて、出足そのものは足りなくても前にスペースがある中で楽に3列目までリカバー出来ました。
 これが外主導だともう一列は後ろになっていたわけですから、その点でも恵まれたと思いますし、ちょっと展開面で読みがズレたなぁ、と反省です。

 馬自身は洋芝も合うでしょうし、持続戦そのものはべストとは思いませんが、あれだけ綺麗にインを立ち回って、スムーズに外に出せればそれは余力はあるでしょう。
 ややシャルールが下がっていく中で、外に持ち出すのが一瞬早過ぎて交錯しかかった危うさもありましたが、あそこで待ち過ぎるとクインズミラーグロに先に入られてインで詰まる可能性もありましたし、ギリギリではありますが勝負に拘った捌きではあった、と見做したいですかね。ただ騎乗停止事案になってますから、福永Jらしからぬ焦った進路取りではあったと思います。

 3着のクインズミラーグロも、解釈としてはほぼトーセンと同様なんですよね。
 単純に序盤のポジショニングの差で一列下がった分、勝負所での立ち回りも少し後手になりましたし、実質中山牝馬Sの時と同じ形でちょい負けと、その辺からするとこの2頭は展開を味方につけた上で実力は引き出しきれている、と見ていいのかなと思います。
 やっぱりこの馬の場合どうしても後半要素ではちょっと足りないですし、といって序盤で前目を楽に取れるタイプでもないから苦労しますよね。それでもこれで5戦連続馬券圏内と、本当に堅実さには頭の下がるところです。

 4着クロコスミアに関しては、ちょっとバランス的に中途半端だったかな、という気はしましたね。
 序盤からある程度位置を志向しつつも、結果的に2列目の2頭分外目で我慢する形になりましたが、この馬自身アエロリットのハイペースについていったら厳しいにせよ、もう少しペースを上げて2番手、実質単騎という形まではもっていっても良かったんじゃないかなと思いました。
 結局この馬の後半の武器は加速力と一瞬の切れ味ですので、コーナーで延々2頭分外から押し上げさせられた分、どうしてもその一番の速い脚をそこで使い切ってしまう形になっていて、ラスト1Fは2~3着争いの中で見ても失速気味、持続力の足りなさを顕著に見せてしまっています。
 
 前走は自身が逃げて内目を立ち回った分、トップギアに入れ切らずにじわじわ、という形で良さを出せましたが、外から追い掛ける形ではどうしてもそういう脚の使い方は難しかったですし、バランスの取り方が難しい馬ではありますね。
 ただ噛み合えば牝馬重賞のひとつくらいは勝てる素材と思っているので、改めて自分の形に持ち込めそうな舞台では期待したいところです。

 6着アドマイヤリードはまぁ仕方ない、と言えば仕方ない負け方ですね。
 まず単純に、自身6F通過が1,12,0とぴったりハロン12秒ペースであり、この馬にとってはもう少しゆったり入りたかった、という部分はあるでしょう。VMでも自身前半5F60,5とかなりのんびりと入れましたし、後半要素を無理なく引き出せる幅がそんなに広くないのは間違いないと思います。

 かつ道中もずっと枠なりに外々で、コーナーで押し上げていくところでも4~5頭分外を通さざるを得ませんでした。
 この馬自身後半要素は全て高いレベルで保持はしていますが、突き詰めれば最大の武器は一瞬の切れで、持続力は超一級品ではないと思っていまして、その馬が実質11,5-11,5-11,5くらいの地点でずっと外々を押し上げるとなると、数字以上に速い脚をコーナーの入り口から求められてしまっており、その分ラストまで落とさず持続する、というだけの威力は引き出せなかったと考えます。

 やはりマイル2戦の好走はペースの緩さと馬場、その上にコースロスを最小限にした好騎乗が噛み合ってのもので、良馬場で流れてしまうと1800mでも総合スピード不足、と感じます。まだワンターンなら対応出来るでしょうが、1周コースではより厳しいかな、と。
 裏を返せば、今なら距離延長はマイナスにならない可能性は高く、スローからの切れ味勝負になりやすいエリ女は絶好の舞台だと思っていますので、しっかりそこを目標に作っていって欲しいなと思います。

 7着マキシマムドパリも文脈的には同じような負け方ですね。
 ただこの馬の場合、過去秋華賞でもかなり速いペースを前々から追走して粘り込む競馬を見せていたり、追走力自体は持っているので、こういう競馬でも位置さえ取れていればもっとやれたとは思っています。
 でも今日は絶対的に枠の並びが悪かったですし、前走のようにせめて外枠から早め早めにリカバー出来る形なら3着争いくらいまではこれたと思うんですけどね。兎にも角にも出足が良くないので、それでも前を取れる、という条件でのみ狙うべき馬だと考えます。

**★アイビスサマーダッシュ**

 新潟は心配された雨もなく、こちらも夏の強い日差しに照らされた綺麗なグリーンベルトの上での決戦となり、序盤からスピード自慢の激しい競り合いになる中で、最後はラインミーティアが無欲の一閃を決めて見事に初重賞制覇を飾りました。レースを振り返りましょう。

 こちらも馬場は超高速に近い条件で、直前の9Rの1400m戦でも34,9-11,5-35,0とほぼ平均ペースで1,20,4が出ていて、確実に54秒そこそこの凌ぎ合いになることは予想出来ましたし、実際に54,2は近年の平均タイムにピッタリ嵌る数字でしたね。
 展開は、フィドゥーシアが好スタートを決めてすぐに外埒の方に誘導、アクティブミノルとレジーナフォルテもまずまずダッシュが効いて先頭列に入っていきます。
 ネロはやはり斤量が厳しかったか、ダッシュ一息で外にも壁が出来てしまい半端な位置取り、内の馬も少しずつ外に寄せてくる中で、ラインミーティアはその争いに我関せず、とばかりに外枠を利して外埒沿いの後方をゆったり追走する形でした。

 ラップは21,8(10,9)-10,4-22,0(11,0)=54,2(10,84)という推移でした。
 というより5Fくらいなら全部乗せろ、という話で、11,8-10,0-10,4-10,3-11,7という流れ、これは細かく見ると残り400-200m地点で微差の加速は見せているものの、前後半のバランスとしてもやや前傾で、かつ緩みもないので、息がしっかり入る、というペースではなかったのかなと感じます。
 その分ラストは11,7とそこそこ消耗していて、漁夫の利を狙っていたラインミーティアの差しがズバリ嵌った感はありますが、それにしてもこの馬かぁ、というのは正直なところです。

 実際ラインミーティアは直線巧者なのは確かでも、これだけ1000m戦のキャリアがあって最速は54,5止まり、かつ前走は上がり31,6は素晴らしいとはいえ52kgで完敗でしたので、この4kg増の舞台で7歳馬が時計を詰めて勝ち切るところまでは考えにくかったですね。
 ただやや前掛かりになって差しが嵌る可能性そのものは結構有り得ると見ていたので、重い印はともかくヒモで拾うかはそこそこ考えて止めた経緯があるので、色々含めて反省です。

 結局この舞台はやっぱり後傾の方が時計を出しやすい、ってのは確実にある上で、それでも後半の持続力や切れ味の面で上がり時計に限界のある馬は当然いるので、今回も31,6という究極の上がりが示すように、こういう特別な武器がある馬はその他のマイナスファクターを脇に置いても狙う価値はある、ということなのでしょう。
 形としては本当に完璧に嵌っていて、序盤の位置取りも良く、全く左右に進路を選ぶ必要もなく真っ直ぐ走ってこられましたし、とはいえ実際に時計も詰めてきたのですから完全にフロック、とは言えない、この馬の良さが最大限に発揮された結果と見るべきでしょうね。流石に直千巧者の西田Jの面目躍如、というべきでしょうか。

 2着フィドゥーシアも、前目から強気の競馬で堂々勝ちに行っての2着ですし、時計も0,1秒とはいえ詰めているので悪くはない、のですが、結果論的に言えばもう少しゆったり入れていたらどうだったかなぁ?というのはありますね。
 今回は外目に速い馬が揃っていて、あまりゆったりしていると半端なところを通らされる、という懸念は、ネロを見ても決して悲観論ではなかったと思うので、スタートダッシュを完璧に決めて外に誘導したこと自体はべストだったと思います。

 ただミノルやレジーナが追いかけてくる中で、この2頭より前には入り切れませんでしたし、ミノルもかなり出してきたので抵抗して息を入れるラップに落とし切れなかったのは勿体ない所でした。
 前走0,5秒の後傾ラップで息を入れて、ラスト1Fを11,2でまとめてきたように、微差程度でも前傾で入ってしまうと甘くなる、というのが今日は出てしまった感じで、意思は感じたもののちょっと形を決めつけ過ぎたのが最後の最後で明暗を分けたのかな、という気はしています。
 この馬自身は1200mでも時計勝負ならかなりやれそうですし、それでも後傾戦の方が、というのはあるのでスプリンターズS、というイメージではないですが、京都1200mなどで内枠を引いてきたら、まずかなり強い競馬を見せてくると思いますね。

 3着のレジーナフォルテも、現状の力は出せたんじゃないかなと思います。
 スタートダッシュもまずまずで、ポジションも取れましたし、特に不利もなく進められましたけど、強いて言えば後半の最速地点でやや置かれて、ラスト1Fは失速しそうに見えて粘っていた、というあたり、タイプとしては消耗戦向きなんだろうなぁ、とは思いました。
 ただこの舞台でこのレベルになると、消耗ラップで勝ち切るのは厳しい、ということでしょうし、この斤量でも切れ味で劣った、というのは、後半要素に限界がある可能性は高いので、これ以上時計を詰めるのが地味に難しいタイプかも、とは感じました。
 今後もこの条件では確実に走ってくるとは思いますけど、勝ち切れないパターンは常に想定しておいた方がいいかもしれませんね。

 4着アクティブミノルも、理想を言えばもう少し前半ゆったり入りたかったですし、ブリンカー効果があり過ぎて前向きになり過ぎるからこの舞台だと、というのは感じますね。
 前傾でもCBC賞ほど極端ではなく、1秒程度の前傾でならもう少し粘りも増してくるかなと思いますし、北九州記念は逃げ争い次第の面もありますが、コース的にはかなり噛み合うと思いますので、この夏は好調を維持していますし出てきたら引き続き注意、ですね。

 ネロはこの枠でダッシュが効かない時点で流石に無理ですね。やはり58kgは鬼門のようです。
 予想としては正直こうなる確率はかなり高いと踏んでいたので、はっきり消して穴馬に印回すべきだったのに、そうしきれないのが予想ベタの真骨頂というか。馬券買わないくせに本命党の気質から脱却できないのは度し難いなぁ、と思いつつ、大抵それで人気馬バッサリするとあっさり裏目を引くから困っちゃうんですよね。。。
 ともあれこの馬自身は使ってから、でしょうし、去年も押せ押せの中でスプリンターズS路線で健闘していましたし、そこにピークをぶつけられるなら面白さはある馬だと思っていますので、改めて次走の巻き返しに期待ですね。
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2017 上半期私的名レースベストテン

**★はじめに**

 今週はあまりネタがないのと、列伝を書けるほど準備に時間を作れませんでしたので、箸休め的な企画としてまず上半期の振り返りを兼ねて、個人的に心に響いた名レースを改めてピックアップしてみようと思います。
 とりあえず今回に関しては、中央・地方・海外ごちゃ混ぜでベストテンを作成してみました。好きなレースや思い出深いレースというのは人によって見方が様々だと思いますが、やっぱりどうしても私の場合厳しい流れでの激戦とか、圧巻の強い競馬、という方向に偏ってしまうのは仕方ないですね。
 あと上半期と謳いつつ七月のレースも入っていますがご了解ください。

 ちなみに明日は、どこよりも早い(かどうかは定かではありませんが)下半期GⅠ予想――というより願望――を書いてみようと思っています。

**★第十位 キングズスタンドS 勝ち馬レディオーレリア**

 第十位は、アスコットミーティングの中でももっとも鮮烈な勝ち方だった、キングズスタンドSのレディオーレリアです。
 3歳限定のスプリント戦もある中で、敢えて古馬混合の1000mという距離にこだわり、レース序盤から圧倒的なスピードで古馬を圧倒、ほぼレコード、という素晴らしいタイムで3馬身差の圧勝でした。

 レース回顧でも触れたように、今世界中のスプリンターの中でもこの馬が一番強いのではないか、と思っていますし、今後世界中のスプリントレースを総なめにするような名牝に成長していって欲しいですね。

**★第九位 青葉賞 勝ち馬アドミラブル**

 第九位は、府中では御法度の3コーナー捲りを敢行しながら最後まで余力充分、青葉賞レコードで完勝してみせたアドミラブルです。
 府中は直線が長いので、あの位置から動く馬はほとんどいませんし、いても大抵は坂上で息切れしてしまうのですが、この馬は圧倒的な持続力で、むしろ坂上から他の馬を突き放す凄まじいレースぶりを披露し、素材としては世代ナンバーワンだろう、と衆目を一致させるに充分なパフォーマンスでした。

 ダービーこそ魔力に見入られたように動けず、切れ味勝負で不覚を取る形になりましたが、少なくとも現時点ではこの馬が3歳牡馬最強だと信じていますし、古馬との戦いでも大いに期待できると思っています。

**★第八位 ジャパンダートダービー 勝ち馬ヒガシウィルウィン**

 第八位は、並み居る中央勢を押しのけて見事東京ダービーからの連勝を飾ったヒガシウィルウィンのジャパンダートダービーですね。
 レースレベルそのものはさほど高くなかったと思いますが、各有力馬がそれぞれ持ち味を引き出せる様なしっかりした騎乗に導かれ、直線も白熱した競り合いになって、その中から地方の馬が台頭してきた、というのはやはり印象深いです。

 昨日の記事でも触れたスアデラなども含め、交流戦で地方馬がもっと活躍して欲しいですし、この馬の成長力はそれを充分に期待させるものがあるので楽しみですね。

**★第七位 ドバイターフ 勝ち馬ヴィブロス**

 第七位は、多士済々の強豪の中で、モレイラJの素晴らしいコンタクトに導かれ、見事牝馬の身で海外GⅠ制覇を達成した、ヴィブロスのドバイターフです。
 道中は後方インと苦しい位置にいたように思えましたが、それすらも鞍上の緻密な作戦の賜物、直線も右に左に、柔軟に進路を切り替えながら、一回もブレーキを踏まずに突き抜けてきたコース取りはまさに神業の一言でした。

 勿論それに応えた馬自身の強さも素晴らしかったですし、結果的に相手がリブチェスターにザラク、デコレーテッドナイトと、今春の欧州GⅠ路線の主軸となった馬が相手でしたので、その価値も一層に高まる、というものです。
 秋シーズンの国内にもライバルは犇めいていますが、このレースがフロックではなかったと証明する走りを期待ですね。

**★第六位 小倉大賞典 勝ち馬マルターズアポジー**

 第六位は、強烈な逃亡劇で後続の脚をなし崩しに使わせ完勝した、マルターズアポジーの小倉大賞典です。
 それまでスロー気味の逃げで結果を出していた馬だけに、このレースでのインパクトは非常に大きかったですし、改めて競馬とはペースひとつでガラッと着順が変わるものだと明確に認識させてくれるタフなレースでした。

 残念なことにその後のレースではいいところを見せられていませんが、ああいう厳しいレースをしてしまうとダメージが大きい、という証左にも思え、そのあたりは複雑なものの、やはりこういうレースは胸がすくものがありますね。

**★第五位 平安S 勝ち馬グレイトパール**

 第五位は、こちらも強烈なハイペースの中で、淀みの全くない中外々を一頭だけ楽々押し上げて圧勝した、グレイトパールの平安Sです。

 3秒以上の前傾ラップになっていましたので、それこそ2着のクリソライトのように漁夫の利を得る馬も出てきますが、この馬の場合はまだペースが速い段階から押し上げ、最後まで余力充分に突き抜けていて、規格外の強さを感じさせました。
 実際にこのレースで楽に退けたケイティブレイブとクリソライトが帝王賞でも1、2着と、能力的には既に現役最強と言っていいパフォーマンスでしたし、つくづく骨折が惜しまれます。なんとか能力を減衰させないままに復帰して、ダート中距離路線を席巻して欲しいですね。

**★第四位 クイーンS 勝ち馬アドマイヤミヤビ**

 第四位は、去年に続いてハイレベル戦になった、アドマイヤミヤビの差し切ったクイーンCです。

 翌日の共同通信杯と比較しても明確にラップ的に優位を紡いでいて、向こうの勝ち馬がダービー2着のスワーヴリチャードですから、これは本当に価値のあるレースだったなと。
 ここの上位メンバーから後の桜花賞馬、NHKマイルC馬が出ていますし、ミヤビも不利な枠からオークス3着と結果を出していて、レース自体はある程度の紛れもありつつ、それでも最後のミヤビとアエロリットの競り合いは迫力がありました。

 今週のクイーンSにも3歳牝馬が何頭か出てきますし、改めて世代レベルの高さが実証され、その上でまた秋に一堂に会しての激戦が見たいですね。

**★第三位 ドバイワールドカップ 勝ち馬アロゲート**

 第三位は、致命的な出遅れから破壊的な大捲りでものの違いをまざまざと見せつけた、アロゲートのドバイワールドカップです。

 本当にこの日のドバイのダートは前に行ったもの勝ち、という状況であり、そして本格化してきたガンランナーが完璧な立ち回りでレースを支配していたのに、それを最後方から楽に捲り切って突き抜けたのは、驚嘆を通り越して唖然とするレベルでしたね。
 文字通り世界に敵なし、どころか、今世紀最強のダート馬では、とすら思わせるパフォーマンスでしたが、しかしその代償も大きかったのか、復帰戦での体たらくはちょっと目を覆いたくなるほどでした。なんとかもう一度、この強烈な強さを取り戻して欲しいと切に願いますね。

**★第二位 安田記念 勝ち馬サトノアラジン**

 第二位は、ハイペースから懸命に粘り込むロゴタイプを、大外一気にサトノアラジンが捕らえた安田記念です。

 ダービーが超スローだったからというのもあったでしょう、このレースは府中マイルチャンピオン決定戦らしいタフな流れになり、それを先導して粘り込んだロゴタイプの走りも鮮烈でしたが、久し振りの適性条件で馬の力を信じ、一切ブレーキを踏まない大外を通して馬の力を出し切ってみせた川田Jの胆力を感じさせる素晴らしいレースでした。
 3着以下の馬も、それぞれが持ち味を発揮して秋の飛躍を予感させましたし、実に見ごたえのあるレースでした。

**★第一位 天皇賞・春 勝ち馬キタサンブラック**

 第一位は、超高速馬場の中で全く淀みのないペースを刻み、ライバルに影も踏ませず押し切り大レコードを樹立した、キタサンブラックの天皇賞・春です。

 ヤマカツライデンの大逃げがあったとはいえ、実質的に逃げの形で、後続に一切取り付く隙を与えないまま、堂々の早仕掛けで押し切ってみせたレースぶりは本当に凄まじく、シュヴァルグランやサトノダイヤモンドの健闘も含めていいものを見た、と心から思えるレースでした。
 ただその後遺症はかなり大きかったようで、宝塚での上位2頭の見る影もない惨敗を見てしまうと、この先が不安にもなるわけで、なんとか立て直して欲しいですし、早々と休養に入っていたサトノにも、しっかりフランスで活躍してもらって、凱旋レースでまた万全の体勢での激突が見たいですね。
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2017 7月第4週海外GⅠその他 レース回顧 

**★サンディエゴハンディキャップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=2VOEUs6LlpE)**

 このレースはGⅠではないんですけれど、今週の海外ニュースとしてはまずこれを取り上げないわけにはいかないだろう、と。
 レース自体は逃げたアクセラレートがややハイペースの流れをそのまま押し切った淡泊な内容ですが、なにはともあれここでは、ドバイワールドカップで衝撃の強さを見せたアロゲートが復帰戦として登場し、往時の豪脚が見る影もなく惨敗してしまった事に尽きるでしょう。

 勿論アロゲートにとっては、1700mという距離自体は短い、とは思うのですが、それでも1800mのペガサスワールドカップをレコードで完勝しているように、この程度のペースで追走に苦労する馬ではありませんでした。
 しかしこの日はスタートこそ普通に出たものの二の脚が全くつかずに最後方から、道中も促しながらの追走で全く差が縮まらず、3コーナーから鞍上もかなり叱咤している中で、ほんの一瞬だけ脚を使ったものの最終4コーナーで外を回した時にはもう失速気味で、あの雄大かつ回転力の高いフットワークはどこに消えたのか、と見たものを唖然とさせる走りとなってしまいました。

 それこそアロゲートの替え馬が走ったんじゃないか、ってくらいの負け方で、やはりあのドバイの無茶なレースの代償は大きかったのか、と感じると同時に、流石にこの負け方だともう能力というより気持ちの面でダメになっている可能性すら感じてしまいます。
 次走は2000mのパシフィッククラシックらしいので、何とかそこで復権してもらいたいですがどうでしょうね。雰囲気的にはアレですね、4歳春の天皇賞で惨敗した後、宝塚に出てきたオルフェに対する半信半疑感に近そうな感じで、気持ちが前向きになって、最低限体調が整っていれば負けようのない馬ではあるはずなんだけど…………というモヤモヤ感があります。
 これだけの馬ですから、もしも次また不甲斐無いレースをするようなら、これ以上種牡馬価値を下げない為に即引退、という可能性が高くなってしまいますので、まだこの馬の強い走りが見たいファンとしてはなんとか、と注視したいところです。

 勝ち馬に関してはまぁ、相手関係も弱いところですしなんとも、ですね。時計面でもとりわけ優秀、というほどではないですし、今までのイマイチっぷりを払拭する快走ではありましたが、相手が強くなってどうかはやってみないと、という気はします。

**★CCAオークス [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=j9MEOck747Q)**

 ニューヨーク牝馬三冠の第二戦、CCAオークスは、第一戦のエイコーンSを制したアベルタスマンが向こう正面からの積極捲りから最後まで押し切り二冠達成、ケンタッキーオークスから続けてGⅠ3連勝となりました。

 レースラップ的にはアメリカらしくなく400m過ぎから25秒そこそこのラップを刻み続ける、そこまで前傾でないレースになりましたが、いつものようにスタートはもっさりのアベルタスマンは、そのペースが落ちた400-800m地点で早くも動き出し、一気に先頭列に並びかける競馬を見せます。
 そこからもう一度ペースを落として堂々4角先頭でしたが、序盤に脚を使った分があるのか直線でいつものように力強く持久力を発揮する、というほどではなく、内から2着馬に忍び寄られてヒヤッとはしましたが、それでも一度も先頭は譲らずの横綱相撲でしたね。

 この勝利で、アベルタスマンのニューヨーク牝馬三冠達成の可能性がかなり大きくなった感はあります。
 実のところ、2003年から今の1600m⇒1800m⇒2000mというレース体系になって以降、ニューヨーク牝馬三冠を達成した馬っていないんですよね。近年ですとイッツトリッキーが後の超名牝ロイヤルデルタにアラバマSで大きく千切られ、一昨年のキュラリナもアラバマSで距離の壁に阻まれました。それ以前は悲劇の名牝ラフィアンをはじめ、そこそこ達成馬がいるのですけどね。
 去年のソングバードがエイコーンSに出ていれば達成は濃厚だった気もしますが、ともあれ今のアメリカではマイル戦と2000m戦は完全に別体系、という扱いに近いですので、その両方を制するのは、いくら牡馬三冠に比べてローテ的には厳しくなくとも、十二分に難易度が高いのでしょう。

 でもアベルタスマンの場合、スタートが悪く後ろから追い込む馬ですので、距離が長い方が楽であり、むしろエイコーンSをよく勝てたな、という所があるので、アラバマSに出てくるならば、むしろ適性的にはお誂え向き、となりそうで、これは非常に注目ですね。


**★ダイアナステークス [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=c8aG76jjnzk)**

 アメリカでは主流とは言い難い芝のレース、しかも牝馬限定戦ですが、レディイーライは好きな馬なので書いておきましょう。
 6頭という少頭数のレースになり、後方2番手でじっくり脚を溜めたレディイーライは、4コーナーから外を通して進出、直線で切れ味を発揮し一気に先頭に立ち、内から軽斤量の伏兵に脅かされるもののこれをなんとか捻じ伏せる、というレースぶりになりました。
 時計的にもややスロー寄りの平均から3F戦、という感じで、しかしこの馬は安定して強いですけど、持続力勝負になるといつもほんのちょっと最後が甘いですよね。追走力が高く必ず一足は使えるタイプで、かつスローになれば瞬発力の質を高めてくるので安定して好走はしますけど、ハイペースだった前走ゲイムリーステークスの方が危なげなかったですし。

 ただそれでも未だに生涯連対率100%は見事なものですし、今年こそは去年鼻差で取り逃がしたBC勝ち馬の称号を手に引退の花道を、となるか、しっかり追いかけていきたいところです。

**★習志野きらっとスプリント**

 基本的に交流重賞以外の地方戦は、取り上げていると切りがないので基本見るだけにしているのですが、昨日のこのレースは非常にインパクトがあったので書いておこうかな、と。

 人気は中央からの移籍初戦のブルドックボスで、それに去年の覇者のフラットライナーズ、短距離路線に転向して圧巻の2連勝と波に乗るスアデラが続いていました。
 というか、ブルドックボスをはじめ中央からの移籍初戦馬が非常に多く、斤量の差もあり非常に展開予想から結果まで難解なレースだったと思うのですが、しかしまさかこのメンバー相手にあんなに楽々スアデラが先手を取れるとは流石に予想しなかったですね。

 基本的に過去6年、ラブミーチャンが3連覇したころも含めて、全てのレースで2F目からラストまで一貫して減速ラップを踏む消耗戦になっていて、とにかくテンのダッシュ力勝負の様相は強いレースで。
 今年も条件クラスとはいえ1200mで1分16秒を切るのがやっとこ、という重い馬場でしたので、勝ち時計としても1分を切れれば上々と思って見ていましたし、先行争いは激しくなるのだろうと思っていました。

 しかし蓋を開ければ素晴らしいスタートダッシュでスアデラが楽にハナを取り切り、北海道の快速馬タイセイバンデットも、内のフラットライナーズもついていくのが精一杯、という感じでした。
 ブルドックボスもスタートは悪く、押して押して追走するもののポジショニングの面では見劣り、やはり斤量とこの距離での前傾戦は合わないな、南関移籍は今の馬場だと微妙だな、と思いましたね。

 そんな後続を尻目にスイスイ馬なりで飛ばすスアデラ、ラップも前半3F34,6と例年と遜色ない数字で、しかし驚愕するのはここからでした。
 スタートから12,1-10,9-11,6-12,4と、いつものように一貫減速戦になるはずの展開の中で、ラスト200mからスアデラだけが更に加速し、ラスト1Fを12,0の加速ラップで締めてくるという離れ業を演じてみせたのです。

 他の馬も速い上がりが使えているならそんなに驚きではないのですが、普通に2着のタイセイ規準ですとラスト13,3と振れ幅の大きい減速ラップになっていて、馬場状態も考えればこの馬が勝ち馬でもそんなに悪くはない、と言える内容でした。
 なのにスアデラだけラスト1Fで余裕綽々、とにかく圧倒的な追走力と底力、短距離適性を発揮していて、かつまだ出し切っていない以上1200mあたりでも当然これくらいのハイペースで楽に対応できる計算が立ちます。
 このパフォーマンスなら普通に交流重賞で勝負になりますし(ブルドックボス比較でもそれは言えますしね)、加速対応が出来るという事は大井も適性はあるはずなので、今年のJBCスプリントの台風の目として一気に浮上してきた、そんな圧巻のレースぶりだったと思います。本当に先々が楽しみな一頭ですね。
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2017 7月第4週新馬戦ほか レース回顧(日曜編)

**★7/23(日) 福島5R 芝2000m戦**

 先週の中京に続き、福島の最終日でも2000mの新馬戦が組まれました。
 一昔前ですとこの時期に中距離の新馬戦など北海道以外では見なかったものですが、色々と時代は変わっていくなぁとこの辺でも実感しますし、どうしても短距離以上にヨーイドンの競馬にはなりますけど、これはこれで趣深いものです。

 閑話休題、ともあれこのレースはやや人気薄のスターリバーとサノサンが先行策から直線で競り合い、僅かにスクリーンヒーロー産駒のスターリバーが凌いで初勝利を上げました。
 3着に突っ込んできた人気のギルドエッジは全くダッシュがつかず後方からで、改めて新馬の水物感を感じさせる結果でもありましたね。
 ラップは36,8(12,27)-52,4(13,1)-35,7(11,9)=2,04,9(12,49)という推移で、とにかく中盤の中緩みが大きく、後半は3コーナー入り口辺りからペースアップしての4F戦ですけれど、小雨の影響もあったのか、ラップ的には前日の1800m戦のように見所のある数字でもなく、評価の難しいレースにはなっていますね。

 レースのポイントとしては、大きく出遅れたギルドエッジが中盤の緩みに乗じて外から一気に押し上げてきて、それに呼応する形でスターリバーとサノサンが動いたところで、当然ながら前受していた分だけしっかり反応も出来て脚色も良く、逆にそこまで順調に押し上げてきていたギルドエッジは4コーナーでもう一段の加速に手間取る感じでした。
 直線も最後は伸びずばてず、という感じになっていましたし、素材としてはこの3着馬が一番に感じるのは確かですけど、色々競馬ぶりが不器用に過ぎて、ひとつ勝つにももう少し常識にかかってこないとなぁ、とは思いましたね。

**★7/23(日) 中京5R 芝1400m戦**

 このレースは人気のアントルシャが好位から押し切り、人気薄のライリーが2着に入っての波乱決着でした。
 馬場も少し時計がかかり出していたとはいえ、1,24,2の勝ち時計はあまり速くはなく、ラップも36,0-12,5-35,7と平凡な平均ペースでした。

 ただそれでも一応取り上げたのは、ラップ推移的に12,5-12,2-11,4-12,1と、はっきり坂地点での加速力戦となっていて、勝ち馬のそこでの反応が凄く良かったな、と思ったからですね。
 勿論外から勢いをつけて、というのはあったとはいえ、坂加速性能は意外と後々重宝する適正ですので、全体は平凡でも、次にそのあたりペースが上がって追走面で良さが出てくれば、要所の出し抜き、というのが武器になってくる感はあります。

 あとノヴェリスト産駒が結構新馬でも活躍していますが、不思議なくらい今のところ好走したレースの傾向がバラバラなんですよね。
 追走力を強く問われるレースやロンスパ持久力戦で勝つ馬がいれば、こういう小器用な競馬で勝つ馬もいて、まだ産駒全体の傾向が掴み辛いところはありますが、逆に言えばそれだけ多様性がある、とも言えます。
 ドイツ血統ですから日本では重い、とは思いがちですが、ハービンもキングジョージレコード勝ちだけでここまでまずまずの活躍ですし、そのレコードを更新したノヴェリストは意外と今年の台風の目になってくるかもしれないな、と予感させるところです。

**★7/23(日) 函館5R 芝1800m戦**

 函館最終日で、外差し傾向が強くなってきた中での一戦は、後方外からシスターフラッグが豪快に差し切って初勝利を上げました。

 伏兵が先導する流れの中、人気の3頭は揃って中団より後ろでじっくり構える形となり、スローペースから仕掛けも遅い3F戦で、それでも人気馬が素材の差を見せつけてきたレースになっています。
 ラップは36,8(12,27)-38,3(12,77)-36,0(12,0)=1,51,1(12,35)という推移で、函館にしては向こう正面でもペースが上がらず、ラスト3Fに集約された珍しい流れ、その分後方にいた3頭にとっては緩みに乗じて押し上げやすい流れだったともいえるでしょう。

 勝ったシスターフラッグは、圧倒的人気のジェネラーレウーノを前に置く形で道中はゆったり構え、残り800mあたりから一気に進出を開始し、外々を回しながらもコーナーでの加速力はジェネラーレウーノをあっさり置き去りにする鋭さがありました。
 この反応の良さ、コーナーの上手さは武器になりそうですし、コーナーを相対的にタイトに回して馬体を並べてきたノストラダムスもラストはしっかり振り切っていて、持久力の面でもそれなりに高い評価が出来そうです。
 前半の追走面は未知数で、少なくともポジショニングが一気に改善されそうな雰囲気でもなかったので、如何に後半自分のタイミングで仕掛けられるか、という、自分でロンスパを作るイメージが大切になってくる馬かなぁと感じます。この辺りいかにもゴルシの近親、という雰囲気はありますね。

 2着のノストラダムスもそつのない競馬でしたし、勝ち馬にはスケール感でちょっと見劣るところはありましたが、その分競馬センス自体は高そうですので、すぐに勝ち上がりのチャンスはやってきそうに感じます。
 逆に3着のジェネラーレウーノは、凄い人気でしたが結果的に見るとまだ長い目で見ないと、という気はします。機動力面でははっきりシスターフラッグに劣りましたし、ラストの脚もまだエンジンがかかり切っていない、という感じで、素質はあるのかもですが、競馬にいってのスピード感がちょっと微妙な感じですね。
 本質的にはもう少し距離が欲しいタイプでしょうが、一回使って変わってくればこの距離でも洋芝なら、というイメージでしょうか。
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2017 中京2歳S 土曜2歳戦 レース回顧

 いよいよ2歳の特別戦も始まりましたので、しばらくはこんな感じで、特別回顧をメインにしつつ、新馬戦なども取捨選択はさせてもらいつつ出来る限り拾っていきたいと思います。
 まぁOPや特別の数が増えてきたら、その頃は新馬未勝利は本当にこれは!と感じたレースに絞っていく感じになると思いますけどね。全部やりたいのは山々ですけど、流石に時間との兼ね合いが厳しいですしねぇ。

**★中京2歳S**

 世代最初のOP特別のマイル戦は、阪神の新馬で強い逃げ切り勝ちをしてきたアマルフィコーストが、一転後方からの競馬で素質馬アドマイヤアルバとの一騎打ちを制して勝利しました。

 この土日の中京の馬場は少し時計は掛かり出してきていて、古馬のマイル戦でもワントゥワンが1,34,0止まりでしたので、このレースの1,34,7もこの時期の2歳戦としては優秀、後続が千切られたのも納得の推移です。
 純粋に時計だけですと、この前の未勝利のシュバルツボンバーの方が優秀ですけど、展開や馬場補正を加味すれば互角のレース内容で、意外と例年地味に出世馬を輩出しているように、今年の上位2頭も楽しみな内容でした。

 展開はナムラバンザイが逃げて外からマイネルエメが番手外と、ダッシュ力と追走力に裏付けのある2頭が飛ばしていく形になります。
 アマルフィコーストもゲートは五分に出ますが、周りが速かったのでスッと控えて5番手と、中団よりやや後ろでじっくり構え、それをマークするようにアドマイヤアルバが追走していました。

 ラップは35,8(11,93)-23,8(11,9)-35,1(11,7)=1,34,7(11,78)という推移でした。
 ややスロー寄りの平均ペース、というイメージで、中盤に緩みもなく、この時期の2歳戦としては珍しく2F目から8F目まで全部11秒台を刻んでいて、波の少ない流れの中で一貫した追走力とスピード寄りの持久力を問われた上で、要所で加速できる余力が残せたか?という差が結果に出ていると思います。

 勝ったアマルフィコーストは新馬とは全く違う競馬で、しかししっかり自分の持ち味を発揮したいい競馬だったと思います。
 前に馬を置いても落ち着いて走れていましたし、指示にも従順な感じで残り600mからスーッと進出、坂の上りでしっかり加速力を発揮して一気に前を捉えると、追い込んできたアドマイヤアルバを際どく退けての勝利となりました。
 位置取りはああでしたが、レース全体がそこそこ流れたことで追走面での良さも出ましたし、何よりやはり坂地点での加速力が素晴らしかったですね。

 自身のラップ推定は、大体400-200m地点で2~2,5馬身くらい詰めているので、11,5-11,1-11,7くらいではないかと思います。
 新馬も残り400mからスッと切れ味を見せて突き放していましたし、この日はそれを坂で繰り出せたのもポイントが高いなと思います。
 一方ラストの持続力に関してはやや甘く、少なくともアドマイヤアルバにはちょっと見劣ったので、より高いレベルでとなると、ある程度前半要素を引き上げて、なるべく仕掛けを待ちたい、それこそレーヌミノルに似たタイプに育っていくかなと感じます。
 とにかくレースセンスは良く、今のところは大きく崩れるイメージはないので、まずは一頭、年末のJFに向けて楽しみな馬になるかな、と考えています。新馬で楽に退けたスカーレットカラーも日曜に強い競馬で勝ち上がっていますしね。

 2着のアドマイヤアルバも強い競馬ば出来ていました。
 新馬戦がドスローからの2F戦でしたのでなんとも、だったのですが、この日は常識的な流れで最後方とはいえちゃんと追走できていましたし、前走は明らかに脚を余した格好で負けていたところを、3Fしっかり脚を使って、後半要素も高めてきたのは収穫と言えるでしょう。
 外から早めに動き出しを意識されていて、それでも坂加速では少し見劣ったように、加速力や瞬発力よりは持続力で勝負するタイプになると思います。
 まぁ未勝利ならどういう競馬をしても勝てそうですが、距離はもう少しあった方がいいですし、現状はワンターンの方が良さが出る気がします。府中1800mで見てみたい馬ですね。

 3着ナムラバンザイはここより小倉2歳の方が良くない?なんて思ったものですが、平均ペースからしぶとく粘り込んできました。
 ある程度距離延長しても、前半要素で周りを削ぐ競馬が出来ればやれるかも、という目途は立てましたし、その為にはこのペースではまだ遅い、というのも見えたでしょうか。若駒の内は前半要素で勝負する馬は少ないので、その意味では結構面白い馬になるかもしれません。

**★7/22(土) 福島5R 芝1800m戦**

 福島も最終週で少し時計がかかってきましたが、まだ常識的な高速馬場ではあり、その中での1800m新馬戦は、かなりのスローからの4F戦を、ナスノシンフォニーが外々を捲り切る強引な競馬で勝ち切りました。

 展開は、2着に入ったプトラナが好位でそつなく進める反面、ナスノは出負けしてかなり後方からの競馬、3着のヴェロニカグレースも少し立ち遅れて後方のインから、という苦しい競馬になります。 
 ラップは39,1(13,03)-38,9(12,97)-34,8(11,6)=1,52,8(12,53)という推移でした。
 とにかく前半4Fが遅く、14,0なんてラップを刻んでから徐々に加速して、向こう正面出口から明確にペースが上がり、12,0-12,0-11,3-11,5と4F戦の中でも更にもう一段階加速が問われたレースになっています。基本的には後ろからはくるしい競馬ではあったはずです。

 しかし勝ったナスノシンフォニーは、最初のコーナーでは後方3番手くらいでしたが、コーナーから向こう正面の入りくらいのラップが遅いところで少し押し上げて中団、そこからもずっと促しっぱなしながら、全体が流れ始める中では明確に詰め切れるほどではなく、コーナー出口から直線入り口で11,3とかなりの切れ味を問われるところでも大外ぶん回しと、かなり粗い競馬になります。
 エンジンのかかりが遅いのと、外を回した分、内から抜け出したプトラナに残り200mでは3馬身近くの差がありましたが、それをラスト100mくらいから一気に詰めて差し切るという、中々に破天荒な芸当を見せてくれましたね。

 全体のペースが遅かったとはいえ、新馬レベルでラスト1F11秒を切ったかも?というくらいの脚は中々見ませんし、それを11,3の地点で外々ぶん回しとロスの大きい競馬でやってきたのには凄みがあります。はっきり言って騎乗としては強引でしたが、コメント通り力が違った、という勝ちっぷりでした。
 ただここまで追走が出来ない、加速も鈍いとなると、広いコースで、かつ距離ももっと欲しいですね。百日草特別とかはハーツの仔ですしかなり合うんじゃないでしょうか。

 2着のプトラナは競馬の立ち回りは上手かったですが、この馬としては経済コースを通しての2F戦に近い形ですので、あまり高く評価するのは危険ですね。ペースが上がった時にどうか、っていうのも含めて様子見はしたいです。
 むしろ画面上は目立ってないですけど、3着のヴェロニカグレースもラスト1Fはナスノと同等の脚で伸びてきていました。
 ただこちらは道中綺麗に内を通して、前に壁も作らず丁寧に加速扶助が出来ていましたので、ナスノよりはしっかり脚を溜めてのズドン、という感じで、面白い素材ではありますけどすぐにどうこう、とまでは言い難いですね。ポジショニングが良くなればこの後半要素は強みになってくると思うのですが。

**★7/22(土) 中京5R 芝1600m戦**

 ここはロードカナロア×トゥザヴィクトリーという良血のトゥザフロンティアが圧倒的な人気となり、道中非常に反応が悪いところを見せつつも地力の違いで差し切りました。

 3着のアップファーレン、2着のダンツセイケイがそつなく前目につける中、大外枠のトゥザはスタートは出たものの道中の行きっぷりがあまり良くなく、しきりに促されての追走となっていました。
 ラップは36,4(12,13)-25,3(12,65)-35,1(11,7)=1,36,8(12,1)という推移でした。
 新馬らしく序盤中盤共に緩く、特に中盤の後ろ1Fで12,9とかなり緩んでおり、そこから12,0-11,3-11,8と二段階に加速していく流れで、淀みで外から取り付けた馬は有利、当然前目から壁を作らず動け出せた馬もという感じで、その割に後半要素もそんなに優れた数字ではないので、レースレベル自体は微妙だったと思います。
 実際、当日に中京2歳Sがあったので、前半はともかく、後半要素でも見劣っているのははっきりしていますしね。

 勝ったトゥザフロンティアは、本当に最後まで遊び遊び、という感じで、ここは素質だけで勝ち切れましたけど、もう少し常識にかかってこないと厳しいな、とは思います。
 展開的にも少しトリッキーなところはありましたが、加速戦の流れで反応がやや鈍め、直線坂地点では内に刺さってその修正で手一杯、という感じで、坂を登ってから惰性で伸びてきたものの、このあたりは今後を考えると大きな修正ポイントになるでしょう。
 馬の素材としてはもう少し流れて波のないレース、それこそ中京2歳Sみたいな中に前目で入ってしまった方が競馬しやすいところはあるかもしれません。血統的にもカナロアの仔で、じっくり溜める競馬をしてクラシック路線に、というイメージでもあまりないですし、勿論今後が楽しみな一頭ではありますが、今のところは過大評価は禁物かなと感じています。

**★7/22(土) 函館1R 芝1800m未勝利戦**

 メンバー的にはクリノクーリング戦の焼き直し、というところで、カレンシリエージョの圧勝は当然なのですが、内容的にちょっと面白かったので拾っておこうと思います。
 今回のカレンは内枠でもあり、前半は2列目ポケット近辺でじっと我慢する競馬でしたが、残り1000m付近から、出遅れて後方にいた2着のソングオブローランが一気に捲りを敢行して先頭に立ち、ペースがグンと上がります。

 後半5Fは11,9-11,5-12,2-12,4-12,4という推移なのですが、ソングの動きに呼応する形でカレンも早めに2番手から前を追い掛けていて、その動き出しの地点が最速11,5のところなんですよね。
 ここでカレンは前と1~2馬身詰めてきているので、実質的に11,2くらいの脚を使っている計算になり、これはこの日の重馬場を考えると中々に驚異的な反応の良さ、加速力と瞬発力の質だと感じます。

 かつこの馬が凄いのは、それだけはっきり一瞬の切れ味を早めに使っておきながら、後半も自身推定12,0-12,3-12,4と、そこまでラップを落とさずにまとめてきているところです。
 この日は他のレースも軒並み時計は掛かっていて、ハロンラップで11,5を切るような場面が一切なかったことを踏まえると、この切れ味と持久力の兼備ぶりは中々のものだなぁと。コーナーでの機動力も高いですし、結果的に新馬は後ろを待ち過ぎて失敗したパターンにも感じますね。

 勿論それだけで、じゃあマイルの高速決着でどうこう、とは言えないですけど、少なくともこういう加速力も持ち合わせている、というのは、オークスの舞台には適切な素材に感じるんですよね。
 長い距離のレースが少ない、混合戦しかない内は、逆に2勝目を上げるのに苦労する可能性もありますが、長い目で見ていきたい馬だと思いました。
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2017 函館2歳S・中京記念 レース回顧

**★函館2歳S**

 好天の中で行われた函館2歳S、見事世代の一番星に輝いたのは1番人気のカシアスでした。レースを振り返りましょう。

 馬場コンディションは朝から良に回復していましたが、時計自体はやっぱり全体的に掛かり気味になっていたと思います。
 1Rの2歳未勝利戦が35,0-35,5で1,10,5、午後の古馬中距離戦でも軒並みハロンラップは12秒を超える推移になっていましたので、このレースの1,10,0はまず水準の時計には届いている、と感じます。

 展開は、好スタートを決めたのが内からパッセ、ウインジェルベーラ、ダンツクレイオー、カシアス、スズカマンサクあたりでした。
 その中から内野ぱっせが押して先手を奪い、ウインがスッと番手で追走、ダンツが3番手の外でポケットにはデルマキセキが上がってきます。
 カシアスは内外の勢いを見て早めにスッと下げて中団やや前目で流れをじっくり見る形、アリアとナンヨープランタンは揃って立ち遅れ、アリアは多少リカバーして中団やや後ろ、ナンヨーはそのままダッシュつかず馬群から離れた後方2番手の追走になりました。

 レースラップは34,5(11,5)-35,5(11,83)=1,10,0(11,67)という推移になりました。
 これでも過去5年と比べると一番テンの入りは遅い形ですが、それでも1秒ジャストの前傾ラップで、後半も11,6-11,6-12,3とコーナーで緩みはなく、ある程度しっかり追走面が問われた上で、後ろの馬はある程度地力で加速してくる必要もあった、機動力もそれなりには問われての持久力戦、という感じですね。

 勝ったカシアスは、昨日の予想で触れた通り、好スタートからあのまま前目外目で速い流れに乗っていたら少し甘くなっていた可能性が高いのではないか、とは感じていて、あそこでスッと逸らずに下げたのが浜中Jの好判断だったと思います。
 血統的にこういうパワーの要る馬場は合っていたでしょうが、新馬でラストがちょっと甘かったように、本質的にはこの距離だと後傾ラップで入って良さが出るタイプと見ていたので、結果的に自身35,2-34,8とやや後傾の平均で走破出来たことが、この馬の現状の力、ラストのしぶとさを遺憾なく発揮させたな、と考えます。

 このローテーションでも+8kgで出られたようにタフな馬ですし、ポジションに注文がつかず、動かしたいところでスッと動けるのは素晴らしい持ち味ですね。
 今日もしっかりコーナーで先んじていいコースラインを取れていましたし、最後はウインもしぶとかったですが地力で差し込んできた、と言えそうです。
 
 母父がディラントーマスですので、キンシャサの仔としては距離の融通は効きそうなイメージでもあり、ここ2走の走りからも若駒の内は1400~1600mあたりは充分守備範囲になると思います。
 去年のモンドキャンノほどやれるかはともかくとしても、素材面の高さと競走馬としてのセンスの良さをしっかり見せてきましたし、この先大成してくるといいですね。

 2着のウインジェルベーラは拾えなかったなぁ、と。今日は全部のメインでラフィアン軍団大暴れですね。丹内Jも先週の無念を、こういう形でとはいえ巡ってきたチャンスでしっかり生かしたのは見事でしたし、実に強気な良い競馬でした。
 馬自身も新馬の時より前半・後半要素をそれぞれに高めていて、2戦目の成長を一番見せてくれたのかな、とは思います。スタートも素晴らしく、無理なく2番手外の絶好位を確保できましたし、4コーナーでパッセもペースを落としてはいないのですが、それを凌駕する形でしっかり一脚を使って一気に先頭と、伏兵とは思えない堂々たる競馬でしたね。

 血統的に父アイルハヴアナザーで、アメリカ血統らしく前半のペースが上がって良さが出た可能性は高いですし、1200mでこれだけ上手な競馬が出来ると逆に延長が難しいところはありますが、距離延長でも強気の競馬で後続の脚を削ぐスタイルを確立できれば面白いかもしれません。

 3着アリアは出負けが手痛かったですね。
 もう少しポジションは取れるかな、と思っていたのが後方寄りになってしまいましたし、結果的にカシアスの真後ろでしっかり動いてはこれているのですけど、出遅れてリカバーしてのマークでは、敢えて下げてきたカシアスとの余力の差は大きかったでしょう。
 それでもラスト1Fの脚は新馬同様にしっかりしたものでしたし、牝馬路線で距離延長してどこまで戦えるか楽しみはあると思います。

 4着デルマキセキは、血統的に渋馬場はまず得意だろうから最後に拾うべきかスズカと迷ったのですが、結果的にやっぱりこちらもアメリカ血統らしくペースが上がって、後半の緩急がないところでしぶとさを引き上げてきた印象です。
 自分でペースを作れるほどのスピード感はないですし、いずれダートなのかな、という気はしますが、今日はコース取りも上手かったですし健闘したと言っていいでしょう。

 5着パッセは、まさかこの馬が逃げる形になるのかー、というのはありましたね。
 確かに包まれたくはなかったかもですし、予想でももう少し外が理想、とは書きましたが、ちょっと鞍上が気負い過ぎた印象はあります。
 このくらいのハイペース自体はこなせる馬だと思っていましたが、番手のウインの勢いが凄かったですし、騎手自身函館に慣れていない分だけ後半の動き出しで後手を踏んだ感はありますね。
 完全にウインに前に出られてからもしぶとく粘り、そこから差はつけられていないので、もう少しこちらもコーナーから抵抗する動きが出来ていたならどうだったかな?という所はありつつ、その辺も含めてまだ見立てが甘かったと反省ですね。

 6着ナンヨープランタンは、完全に流れ切ってしまうと1200mではいかにも厳しい、というのを露呈したと思います。
 スタートも悪く二の脚も悪いので全くペースに乗れていませんでしたし、後半もある程度促して外目からエンジンは掛けられていますが、前が緩ませていない限りはそこで決定的に詰められるほどの鋭さはなく、頭数が多い分コースロスも大きくて、最後は雪崩れ込むだけ、になってしまいました。
 上がりは34,4で最速、新馬と同じだけの脚は使っていますが、やっぱりその競馬で勝ち切るのは厳しかったですし、前で緩みのない強気のレースを実質的にコントロールしてきたウイン丹内Jが今日は中々に見事でした。それをギリギリ届く範囲で後半型の競馬に持ち込んだカシアス浜中Jもいい騎乗でしたし、全体的にいい競馬だったと思っています。

**★中京記念**

 こちらはウインガニオンが最内を通してしてやったりの押し切り勝ちを見せました。
 しかしこれだけ荒れる荒れると言われて、蓋を開けると上位5番人気までで掲示板独占になるのですから、本当に競馬は難しいなぁと思いつつ、レースを振り返っていきましょう。

 馬場はこの日ちらほら雨模様だったのもあり、昨日よりもまた少しだけ時計がかかる馬場にはなっていたかな、と思います。
 馬場自体もかなり荒れてきてはいましたが、それでもこなせる馬には苦にならない、くらいの荒れ方で、結果的にインを通した馬が1、3着ですので、雨の影響もあり外の優位性が相対的に削がれてもいたのかな、と感じます。午後のレースは顕著に逃げ先行が圏内に絡んでいましたし、最終が35,2-11,6-34,6で1,21,7止まりですので、このレースの1,33,2はそれなりに出た方なのではないかと考えます。

 レース展開は、ウインガニオンの出足がイマイチよくなく、逆にトウショウピストが絶好のスタートからダッシュも決めて、結果的にトウショウピストが単騎逃げで、リカバーしたウインがやや離れた2番手で実質的には逃げている形を作ります。
 その直後にスーサンジョイとマイネルアウラート、内からはピークトラムとこのあたりは大体予想通りのメンバーが先団で、アスカビレンも中団より前、グランシルクも中団やや後ろと普段よりは積極的なポジション取りになります。
 ダノンリバティはスタートからの行きっぷりが良くなくやや後方からの苦しい展開で、ブラックムーンはいつものようにほぼ最後方から、徐々に内に誘導してイン差し狙いを明らかにしていましたね。

 レースラップは34,7(11,57)-23,7(11,85)-34,8(11,6)=1,33,2(11,54)という推移でした。
 全体的に平均気味ではありますが、中盤が11,6-12,1で、トウショウピストが下がってきたところでウインガニオンは一気に差を詰めています。
 ウインの上がり3Fはレースラップとイコールですので、内外の差があり見えにくいのですが、大体ここで3~4馬身差がなくなっていて、ウインは11,4~5くらいの脚を使っていると感じます。

 なので、ウイン走破で補正すると35,4-23,0-34,8くらいのバランスっぽく、そうなると実質的には序盤スローからの5Fのロンスパ戦、という見立てが出来るかなと思いますし、中盤が速い分後続に押し上げるタイミングを作らせず、といって極端に切れ味も問われない持続力戦に持ち込んでいるなというイメージで、特に最速地点になっている4コーナーでほぼ全ての馬が外目を回ているので、ここでの脚の使い方が結果に大きく影響していると感じます。

 ともあれ勝ったウインガニオンは、早めにつつかれる形になって苦しいか、と思っていたんですが、やや出負けて隊列が早々に決まったことで、実質的に自分のペースでの逃げから、後続に足を使わせる絶妙のロンスパに持ち込めたな、と。
 基本的には前半はゆったり目で入りたい馬ですので、このくらいのペースは理想に程近い流れですし、また血統的にもこの日の荒れ馬場を苦にしないパワーが備わっていましたね。
 他の馬が避けて通る内目をスルスルと上がっていったことで、他の馬がコーナーで一番いい脚を求められているのに対し、この馬自身は直線まで最高速の脚は取っておけた、という感覚で、坂地点での出し抜きの鋭さは素晴らしかったです。

 馬自身去年もこの時期に3連勝しているように夏馬なんだな、と思わせられますし、自分の形に持ち込むと強いな、と改めて感じさせる圧巻の勝ちっぷりでした。
 この後はサマーマイル転戦になりそうですが、新潟で高速馬場ですとよりバランスが問われて難しさはありそうです。それでも今の充実度ならこなしてきそうな感じはありますね。

 2着のグランシルクは教科書通りの正攻法、という感じで、ウインには出し抜かれたもののようやく賞金を加算する事に成功しましたね。
 この馬はやはりどうしても馬場のいいところを通したい、というのはありますし、そことのバランスで前半のポジショニング、コーナーの立ち回りにもロスは少なく、直線の持ち出し方も綺麗で、持続戦自体も得意な部類ではあるので、この馬自身の力は出し切れているだろうと思います。
 ただメカニズム的にどうしても外目を通した馬は坂手前から最高速度を問われた感じはありますし、実際持続力に乏しいタイプは全滅していますので、地力はみせたものの今日はどうにもならなかった、というべきでしょうね。勝ち馬の立ち回りを誉めるべきです。

 3着のブラックムーンは、この枠から最内に潜り込むたりはいかにもデムーロJらしい勝負手だなと感じました。
 でもこの馬はやっぱり綺麗な馬場で切れ味を引き出したいタイプなのかな、とは思いますし、最内を丁寧に通して坂で満を持して追い出してもスパッと切れる感じがなかったのは、やっぱり力の要る馬場に足を取られた分はあるのではないかと思わせます。
 上がり時計はコース取りの差もあるので最上位ですけど、ラストの持続力面では普段なら問題にしないグランシルクにもやや劣った感じもあり、脚の使いどころが難しい馬なのは確かだなぁと。

 それでもようやく重賞で結果は出してきましたし、関屋記念に出てくるなら当然楽しみは大きいです。秋には大きい舞台にチャレンジして欲しいレベルの馬ですし、どこかで嵌り切れば、と思いますけどね。

 4着アスカビレンは位置取りも、最後のコース取りも決して悪くはなく、ただ後半5Fのロンスパ気味の持続力戦、というのはかなりタフな展開ではあるので、牝馬としては辛いところはある、というべきでしょうか。
 最後もジリジリ伸びてはいますが、グランシルクのように切れ味を引き出すところまでは余力を持てていませんでしたし、調子は良かったと思うのですがちょっと流れ的に噛み合い切らなかった、と感じますね。
 あとマイルでこれくらいまで流れると、若干追走面でも危うさはあるのかもしれません。やっぱりべストは1800mという感じはします。

 5着ダノンリバティはやっぱり位置取りがああだと、決定的な武器がないので雪崩れ込みしか出来ないなぁ、と。
 今日はスタートは悪くなかったと思うのですが、序盤での前進気勢が足りない感じで、調教やり過ぎたかも、なんてコメントも出てたように、夏バテとかも含めて少し状態面も良くなかったのかもしれません。
 最後はこの馬なりに脚を使っていますが、結果的に去年と同じレース、着順になってしまいましたね。
 去年もここを叩いて関屋記念で前々から粘り込む良さを発揮してきましたので、改めて期待はしたいと思います。
 

 
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2017 7月第3週新馬戦ほか レース回顧(日曜編)

**★7/16(日) 福島5R 芝1800m戦**

 この日曜日は各競馬場で中々に見所のある馬が勝ち上がってきましたが、その中でもこのレースは、序盤からのハイペースという新馬中距離戦らしからぬレースの中、堂々とノームコアが番手から押し切る強い競馬を見せてきました。
 
 レース展開は、2番人気のヘッドストリームが逃げて、そのすぐ外目にノームコアがつけて、延々プレッシャーをかける形で進めていきます。
 1番人気の3着ムーランナヴァンはまずまずのスタートから先団を見る位置、最後2着に突っ込んできたマイティテソーロは外枠もあり後方からじわじわと進出する形になります。

 レースラップは35,6(11,87)-36,5(12,27)-37,0(12,33)=1,49,1(12,12)という推移でした。
 序盤から人気2頭が鬩ぎ合う形で進めたことではっきりハイペースになっていて、かつ後半3Fが12,6-12,2-12,2となっており、後続の馬は12,6の地点で前に取りつきつつ、という競馬が出来ているので、当然高い追走力は問われたものの、それでも基本的には後ろからの馬が絶対的に有利な展開だったと思います。

 しかし勝ったノームコアはこの流れをピッタリ番手でマーク、ほぼレースラップと同じ推移で刻みながら、ラスト2Fで再加速、かつラスト1Fでも落としていないという中々に凄みのあるラップを踏んできました。
 むしろ早めに押し上げた好位勢の方が最後辛くなって差が広がっていますし、唯一詰めてきたのが後方からのマイティ、というところからも、前半要素を高く問われてのレースでは確実に2枚は上の競馬をしてきたと言えるでしょう。

 血統的にハービンの仔はあまり追走を問われて良さが出ないタイプがこれまでは多かったですが、今後は配合などにも工夫が凝らされて、こういう前傾型の中距離馬を出してくるかもしれません。
 全体時計としても当日の福島の馬場を考えれば新馬としてはかなり優秀ですし、これで今後ペースが緩い流れに入った時に後半要素でどこまで勝負できるか、の課題はありますが、流れても強い、というのは強みになるでしょう。現時点で60秒ラインをクリアできるなら、2歳時のマイル戦レベルなら追走で苦慮はしないのではないかと感じますし、かなり先が楽しみですね。

 2、3着馬も勝ち馬が強烈なだけで、この流れの中でそこそこしぶといいい競馬をしているとは思いますし、競り潰されたヘッドストリームにしてもこれは特殊な展開ですので、巻き返しの余地は充分あると思います。全体的に上位は質の高い競馬をしていると感じるので、未勝利クラスなら勝ち上がってくる馬がそこそこいるのではないでしょうか。

**★7/16(日) 中京1R 芝1400m未勝利戦**

 新馬マイル戦で惜しくも2着に敗れたレッドシャーロットが、中1週できっちり勝ち上がってきました。
 新馬とは真逆の34,0-11,8-36,0という強烈なハイペース戦の中、追走面でもさほど苦労はしていませんでしたし、中団の外目から勝負所でスッと一脚を使ってくるあたりは、やはり血統的にもスピード色は濃いのかなと感じます。
 ラストは12,5を要しましたが、ある程度流してもいましたし、新馬とセットで好走できるスポットの幅が現時点での2歳馬としてはかなり広いな、と思います。こういうタイプは上でも大崩れはしないと感じるのですが、反面ハイでもスローでも図抜けて強い、というところはないので、物差しタイプになっていくのかなとも。

 この日は-8kgとギリギリでしたし、一回休ませて秋、ということになるでしょうが、牝馬クラシック路線には顔を出してこられる素質はある1頭かなと感じますので、この先も注目していきたいですね。

**★7/16(日) 中京5R 芝2000m戦**

 世代最初の2000m戦にして、中々の良血・評判馬が集まり注目を集めた一戦は、超スローからの瞬発力・持続力勝負となる中、人気のディープ産駒2頭の火の出るような叩き合い、一騎打ちになりました。
 最後はシルバーステートの全弟で1番人気のヘンリーバローズを外からハナ差競り落としたワグネリアンが勝利、早くも2頭揃ってクラシック候補の呼び声が高まっています。

 レース展開は、まずヘンリーバローズが兄譲りの素晴らしいスタートを決めますが、ここでは逃げる気は絶対にない、とばかりに外の動きを見ながらの進出、キタサンとブレイクを前に行かせて3番手の外目を確保します。
 ワグネリアンは五分のスタートながら行き足はやや鈍く、その2馬身ほど後ろでマーク、人気の一角のスヴァルナも同じようなポジションで折り合いに専念し、全体が画像で見ても足の運びではっきりわかるくらいのスローになります。

 ラップは40,2(13,4)-51,4(12,85)-33,1(11,03)=2,04,7(12,47)という推移でした。
 ハーフで見ると67,0-57,7という馬鹿げた後傾ラップで、それこそ1000m助走してからの1000mスプリント戦みたいな事になっていて、少なくとも追走面での資質は微塵も垣間見ることは出来ていません。

 ただ後半の5F57,7というのは、高速馬場を加味してもかなり凄まじい数字ではあります。
 ラスト5Fが12,2-12,4-11,2-10,9-11,0という流れで、その前は13秒台でしたので、まず向こう正面で1段階目の加速があり、そこから4コーナー中間でもう1段階ペースが上がって、そこからラストまで全く落とさない強烈な3F持続力戦、という様相です。
 なので後半要素での加速力面はかなり強く問われていますし、当然瞬発力の質、なにより持続力面での素材差がまざまざと浮き彫りになった1戦である、とは言えるでしょう。

 勝ったワグネリアンは非常に競馬にいってしなやかというか、静かというか、あまり余計な挙動をせずにしっかり鞍上の意のままに反応できるタイプだなと感じます。
 少なくともこの流れの中で、加速地点で置かれてしまう感じはなかったですし、強いて言えば最速地点の坂加速は今一歩でしたが、その代わり坂を登ってからの一瞬の切れ味で勝ち馬をはっきり凌駕してきました。

 推定でこの馬のラスト3Fは11,0-10,8-10,8くらい、残り200mで1馬身差あったのを、そこから2~3完歩でスッと詰めていて、平坦な所に戻っての一瞬の加速は凄みがありました。
 ただハロンラップで見ると究極的に切れる、というほどではなく、むしろ10秒台を2F余裕で続けてきた持続力の高さが目を引きますね。
 ここまでラップが速いと、坂加速がイマイチなのか、純粋に最高速度がここまでなのかは見極めにくいですが、少なくともこれだけの機動力を坂で見せられるなら府中適正も高いでしょうし、今の時点でもダービー、という言葉を意識できるだけの走りではあります。

 無論前半要素で最低限61秒まで詰めて、その上でこの脚が使えるか、という話ですので、時期尚早なのは間違いないですが、少なくとも後半要素の絶対値だけで言うなら重賞・GⅠレベルでも遜色ないものを見せてきたのは確かだと思いますね。
 テンダリーヴォイスの下ですが、姉と違ってそこまでスピード色が前掛かりに出ていないので、現状は2000m路線で見ていきたいところです。ただコーナーでの加速が上手いかはまだなんともですので、小回りコースだと難しさはありそうですけど。

 2着のヘンリーバローズも当然かなり強い競馬で、スタートの良さなども含めて総合的に見ると、こちらの方が好走スポットの幅は広くなっていくのではないか、と感じます。
 シルバーステートの下ですし、追走面でもそこに一定の担保は置けるかな、というのと、機動力や切れ味、持続力と後半要素が全てバランス良く整っているので、ダービーはともかく皐月賞向きの競馬が出来そうなタイプはこっちかな、と。
 次はどんな距離でも楽に勝ち上がれるとは思いますし、兄も足元が弱い馬なので、2歳時はあまり焦らず慎重に育てていって欲しいですね。

 あと全然関係ない余談ですけど、ワグネリアン、って名前を見ると、宮本輝さんの『優駿』という小説を想起するんですよね。
 次々主観キャラが変わっていく10章構成の物語ですけど、主人公格の馬主さんの名字が和具で、持ち馬の冠号にワグ~ってつけて走らせてたのを思い出して、なんか懐かしいなー、また読み返したいなー、なんて思ったりしました。
 まぁ向こうは冠号に拘るのを止めて走らせた馬が2冠馬になるサクセスストーリーですし、こっちは冠号関係なくワーグナーファンの意、となってるので、ただ漠然とそういう発想が出てきた、ってだけの話です。
 この作品映画化もされてて、だけど本編では漆黒の馬体のはずのオラシオン役が栗毛流星のメリーナイス、という中々にミスキャストなことになってたらしいです。見た事はないんですけどね。。。

**★7/16(日) 中京6R 芝1200m戦**

 こちらはブリランテ産駒のテイエムスグレモンが好スタートからポケットに入り、直線でインから抜け出す教科書通りの競馬で見事に勝ち上がりました。
 スタートはテイエムが一番良く、そこに外から2着のリリープリンセスが押し上げていってハナを奪う格好になります。
 1番人気で3着のヴァルディノートはスタートで重心が後ろにかかるような形でダッシュがつかず後方から、かつ道中で下がってきた馬を交わすのに更に下がるシーンなどもあり、ちぐはぐな競馬になっていました。

 ラップは35,0(11,67)-35,5(11,77)=1,10,3(11,72)という推移でした。
 時計としては平均ペースの中でラスト12,4とかなり落としており、レースレベルは平凡だったと思います。
 ただ勝ち馬は馬場の荒れたところも苦にせず、要所の反応もかなり良かったので、相手関係が強くなり過ぎない限りは自分の競馬は出来るタイプなのかな、と感じました。ただこの日は減量の恩恵も大きかったでしょうし、もう1戦様子は見たいですね。
 しかしブリランテの仔は高速馬場適性も高く、かつ荒れた馬場を苦にしないパワーもあって中々面白いですね。

 2着のリリープリンセスは形としては完敗ですし、勝ち馬以上にラストを落としているので中々次ですぐに、とはいかない気もします。
 むしろ巻き返しがあるとしたら3着ヴァルディノートの方でしょう。
 この日はスタートも悪く、道中の不利もあり、かつ4コーナーで少頭数なのに激しく大外ぶん回しとかなりロスの多い競馬になっていて、それでもラストはしっかり差を詰めてきました。
 まだ馬自身が遊び遊び、という感じではありますが、常識にかかってくればひとつふたつは勝てそうな雰囲気はある最後の走りでしたね。

**★7/16(日) 函館5R 芝1800m戦**

 先週は同舞台でオルフェーヴル産駒が初勝利、そして今週はあのゴールドシップの全弟が登場しましたが、しかし勝ったのは1番人気でもう1頭のステイゴールド産駒、ディロスの方でした。

 日曜ほどではないにせよ、少しずつ時計がかかってきた中でのレースでしたが、好スタートを決めたディロスは、外からリズモン、2着のユニオンローズを先に行かせ、1コーナーで外目に出す巧みなハンドリングで絶好位を確保します。
 ゴールドフラッグの方はスタートで躓くような格好になり、押して押してリカバーするも中団やや後ろまでと、誰しもがこれを見て、血は争えないなぁ、と慨嘆した事でしょう(笑)。まぁゴルシ自体3歳暮れくらいまではあそこまで奇矯なキャラではなかったですけどね。

 ラップは38,9(12,97)-38,9(12,97)-35,0(11,67)=1,52,8(12,53)という推移でした。
 見ての通り序盤も中盤も緩く、かつ仕掛けどころも遅くてラスト3Fが12,1-11,4-11,5という2F戦、ある程度の加速力と切れ味は問われたものの、全体的に評価のしづらいレースにはなっているかなと感じます。

 勿論勝ち馬はレースセンスの良さと、一定の切れ味に持続力を見せてきて中々に味のある競馬でしたが、他2場の中距離新馬戦が強烈でしたので、その中に入ると派手さはなく、ハンドリングも非常に上手かったのでそのあたりも加味してみると難しさはありますね。
 少なくとも先週のクリノクーリングに比べると追走面や持久力面の担保が確実にある分、レースレベルが上がった時に信頼度が高いのはあちらだと思います。明日ここの2着のカレンが走るので、それ次第でまた色々判断も変わってくるかもですが。
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2017 7月第3週新馬戦ほか レース回顧(土曜編)

**★7/15(土) 福島1R 芝1800m未勝利戦**

 福島の馬場はまだ高速状態を維持、という感じで、その中でこのレースは、新馬戦はテンクウとの切れ味勝負の中でポジション差負けしたニシノベースマンがきっちりいい競馬で勝ち上がってきました。

 スタートこそもっさりでしたが道中内目から少しずつポジションを上げていく戸崎Jらしいそつのない競馬で、4コーナー中韓あたりから一気に進出して直線大外から楽々突き抜けたのは見事でしたね。
 ラップ的にも36,5-38,6-35,7と中緩み顕著の中で、広範12,0-11,9-11,8と微差ながら加速するレースラップでも、しっきり機動力を引き出せてきたのはポイントです。
 おそらくこの馬自身は11,7-11,4-11,6くらいかな、と思っていて、新馬ほど切れ味はみせていないものの、コーナーでの加速力とそこからの持続力は面白いものがあると感じます。

 全体時計としては平凡ですし、ノヴェリストは新馬勝ちした馬がかなりのハイペース戦でやれているのでまだ傾向が掴み辛いですが、この馬はある程度後半勝負で良さが出るタイプかな、と。洋芝適正もあると思うので、札幌2歳Sとか使って来たらちょっと注目してみたいかなと感じています。

**★7/15(土) 福島5R 芝1200m戦**

 このレースは、ポンと好スタートを決めたオジョーノキセキが、番手外で追走する圧倒的人気のマドモワゼルを直線で振り切り新馬勝ちを収めました。
 ラップは35,9(11,97)-34,5(11,5)=1,10,4(11,73)という推移で、見た目より前半が遅く、特に2F目がスプリント戦らしからぬ11,5という遅いラップになっています。
 なので前2頭で決着するのは当然、と言えばそうですが、ただ前半が遅かった分、後半のラスト2Fは11,3-11,4とそこそこのラップを刻んでおり、加速度や鋭さなどには面白い部分がありました。

 こういう競馬が出来るタイプはそこまでポジションにはこだわらないと思いますので、前半要素を詰められるかはともかく、もう少し距離延長しても対応は可能に思える走りでしたね。
 上位2頭はきっちり後続も突き放していますし、時計は遅いですがまずまず評価していい内容だったかなと考えます。

**★7/15(土) 福島6R ダート1150m戦**

 このレースは人気馬が総崩れとなり、外から好スタートを決めたココロノイコロが4角先頭で堂々と押し切ってみせました。
 道中は内目の速い馬を行かせて3番手の外、2着に差し込んできたハルキストンは出足鈍くやや後方から押して押して追走という感じでしたね。
 ラップは32,5(11,83)-38,2(12,73)=1,10,7(12,28)という推移で、一貫減速の消耗戦になっています。基本的には高い追走力が問われていますし、勝ち馬はその文脈でいいですが、2着馬はある程度のペースに耐えつつ後半でひと足くらいはコーナー出口で加速しているかも、という感じですね。

 勝ち馬はシスターミニスターの仔らしいパワーとスピードですし、時計もまずまずですので、1200m戦までは優位に戦えるでしょう。ただスピード色が強いので距離延長が噛み合うかは微妙なイメージです。
 2着馬はこの距離ですと序盤のポジショニング、先行力に難がありそうですので、1400m戦でまず見てみたいかなと思いますね。コーナーでの機動力もありますし、最後までしっかり差を詰めていますので、距離が延びれば逆転も、と考えられる力関係かな、と見ます。

**★7/15(土) 中京5R 芝1600m戦**

 ここは母父ディープの人気2頭の一騎打ちになり、スワーヴポルトスが前々から早め先頭に立ち、クアトレフォイルの強襲を何とか凌ぎ切りました。
 中京の馬場も、内側が荒れてきたものの時計自体はまだまだ出ている感じで、この日も高速決着が多かったですね。
 そんな中で勝ったスワーヴポルトスは2番手の外目を追走し、クアトレフォイルはややダッシュがつかず、外枠もあって道中はやや後方の外目と苦しい位置取りになります。

 ラップは37,2(12,4)-24,9(12,45)-34,7(11,57)=1,36,8(12,1)という推移でした。
 序盤中盤ともに緩いのですが、ラップ的に波は少なく、淡々と12秒3~5を刻んでのラスト2F勝負で、12,3-11,1-11,3という推移の中、坂地点での1,2秒の加速と、そこからの持続力が強く問われたレースになっていると思います。

 勝ったスワーヴポルトスは、いかにもクロフネの仔らしい加速力に加え、母父ディープの持続力もそこそこ備えていた感じですね。
 ポジションを取るのも上手かったですし折り合いもしっかりついていて、直線外目からしっかり加速扶助されていたとはいえ、残り400mで抜け出しての坂地点の切れ味は中々でした。
 この馬自身のラスト2Fはレースラップそのものと思うので、最後は少し落としたものの誤差の範囲内であり、全体時計としても極端に遅いわけではない中で、悪くないレースだったなと思います。

 2着のクアトレフォイルも中々スケール感を感じさせました。
 この馬の場合この日はポジション差が大きかったのもありますし、あと坂地点での切れはそこまででもなかったのは、純粋な加速力と坂加速のどちらにやや難があるか微妙なところです。
 ただ坂を上がってからの伸び脚は非凡で、おそらくこの馬は12,0-11,1-10,9くらいのラスト1F最速で上がってきており、より距離延長で噛み合いそうなイメージを見せてきましたね。
 ルーラーの仔なのでこういう波の少ないレースが噛み合ったのもあるでしょうが、個人的にはこちらの方が先が楽しみに思えました。

**★7/15(土) 函館5R 芝1200m戦**

 このレースは、大外からサンダベンポートが素晴らしいスタートを決めて楽々ハナに立ち、スローに落とし込んでまんまと逃げきりました。
 ただラップは36,9(12,3)-35,2(11,73)=1,12,1(12,02)と極端に前半が遅く、それでいて後半も12,1-11,5-11,6という推移ですので、全体的にここはいい能力を見せてきた、と言えるところはないかなぁと感じます。
 ただこのテンのダッシュ力は面白いので、連闘で函館2歳Sに出てくるようですが、ペースが上がってもポジショニングではある程度太刀打ちできそうで、そこで前半要素を高めてくれば或いは、というところはなくはない、くらいですね。

 しかし意外とストロングリターン産駒の活躍は目立ってますね。自身府中マイルのレコードホルダーですし、血統イメージ以上にスピード色が強く出ていて、かつ仕上がりの早いタイプは、今後安価な種牡馬としては重宝される資質になるかもしれません。
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私的名馬列伝 第十話 アグネスワールド

**★はじめに**

 先週にジュライカップがあり、今週は函館2歳Sなので、このレースから大きく飛躍を遂げた名スプリンターのアグネスワールドを紹介してみようと思います。

 この馬は前回書いたグラスワンダーと同期生で、マル外全盛期の一翼を担う存在でしたが、他の馬があまりに強烈だったことで今では印象の薄い馬になっている気がします。
 それは国内GⅠを結局勝てなかった事と、種牡馬として大成しなかった事も大きな要因でしょうが、しかしこの馬の残した足跡は今に至っても打ち破られない金字塔的な側面があり、改めて見ていく価値はあるでしょう。

 [生涯通算成績](https://keiba.yahoo.co.jp/directory/horse/1995108665/)は20戦8勝2着6回、自分の得意な距離ではまず崩れず、海外を飛び回りながらも堅実に走り続けた、極めてタフな名馬でした。
 その足跡をまずは細かく振り返っていきましょう。

 馬齢表記は当時のものをそのまま使用します。
 あと実は、この記事一度ジュライカップあたりまで書いたのが綺麗さっぱり吹っ飛ぶという、絶望的な事態が発生した後に書き直しているので、元記事よりはかなり簡素にやる気なくなっていると思いますがご了承ください。。。

**★新馬戦~シンザン記念 <ローテーションの異端児>**

 アメリカ血統らしく仕上がりは早かったアグネスワールドは、新馬戦を大外枠から楽に抜け出し、5馬身差の圧勝で飾ります。
 次走の函館3歳Sでは、ラベンダー賞で強烈な逃げ切りを見せたサラトガビューティとの一騎打ちになりますが、直線で並ぶ間もなく楽に交わして1,09,8のレコード勝ち、これは当時、2歳戦ではじめて1分10秒の壁が破られた瞬間でした。
 この当時からその傑出したスプリント能力の片鱗は確かに見せていたと言えるでしょう。

 しかしここで軽度の骨折があり、3歳馬の最大目標である朝日杯には何とか間に合ったものの、馬体重が+26kgと明らかに仕上がり途上の復帰戦になりました。
 加えてここには怪物グラスワンダーがおり、中団インからアグネスワールドも必死に抵抗するものの為すすべなく、1秒以上離されての4着となります。

 次走に陣営が選んだのがダート1600mの全日本3歳優駿でした。
 完全なアメリカ血統故にダートでも、という思惑はあったでしょうが、ここでは後に地方移籍後交流重賞で大活躍するインテリパワーを2馬身半退けて楽に勝利を収めます。
 
 そして次走は、年明け直ぐのシンザン記念でした。
 いくらなんでもこのローテは、と当時も思ったものですが、レースもズブズブの不良馬場となり、血統面の適正とスタミナに長ける牝馬のダンツシリウスに大きく千切られての2着、しかもその後に再びの故障が発覚し、長期休養を余儀なくされます。

 森調教師と言えば当時から斬新なローテーションを組むことで有名でしたし、かつ師匠の戸山調教師の理念も継承しているからか、とにかくレースに使って鍛える方針が顕著でした。
 この馬に関してもそれが如実に出ていましたが、結果的には二度の故障で頓挫を余儀なくされ、その真価が発揮されるのは古馬になってから、ということになります。

**★ガーネットS~安田記念 <何かが足りない>**

 丸一年休養後の復帰戦は、足元の負担を考慮してかダート1200mのガーネットSでした。
 ここでは手探りのレースとなり、この馬らしからぬ後方からの追走で、ワシントンカラーには千切られるものの、2着とはそう差のない6着まで押し上げ、本格的な復活に向けての狼煙を上げます。

 しかし適距離に戻した淀短距離Sでは、好位からトキオパーフェクトを捉え切れず2着、改めての重賞挑戦となったシルクロードSでも、前年のスプリンターズSの覇者マイネルラヴに早々と抜け出されて2着と、復活を証明する最大の美酒である勝利には中々手が届きません。

 それでも安定感と素質を買われて、高松宮記念では2番人気に推されますが、ここでも外枠から好位を追走、マサラッキが鋭く抜け出す中でじりじりとしか伸びず5着と、最上位相手では何かが足りない、というところを如実に示してしまいます。
 ならば距離延長なら、と挑んだ安田記念では、軽快に平均ペースでの逃げを打つものの早々に失速、グラスワンダーとエアジハードの壮絶な叩き合いを余所に8着惨敗を喫しました。

 ただ、敢えてこのレースを使った事で、馬自身に逃げる、前目につけるという前進気勢がより強く備わった感もあり、個人的にはそれが次走からの快進撃の理由の一翼にあると思っています。
 競馬はなにが功を奏するかわからない、という好例ですね。

**★北九州短距離S~アベイユドロンシャン賞 <誇るべきはそのスピードにあり>**

 4歳春シーズンはGⅠの壁に呆気なく跳ね返されたアグネスワールドは、捲土重来を期して、改装なった小倉のOP特別、[北九州短距離S](https://www.youtube.com/watch?v=VBmU7LWXcQc)に出走します。

 小雨は降りつつも超高速条件だった中、快速馬マウントアラタの逃げを番手で追走、残り600mで早々と競り落として独走態勢に入ったアグネスワールドは、日本レコードの1,06,5という快時計で圧勝を収めます。
 当時の印象としては、前年のシルクロードSでエイシンバーリンがマークした33,5-33,4=1,06,9のほうがインパクトは大きく、このレースは32,2-34,3という超前傾ラップだったこともあって、確かに凄い時計だけど、これから馬場がどんどん良くなればこのくらいの時計が普通になるのかも、なんて思っていました。
 しかし今現在もこのレコードは破られておらず、どれだけ高速馬場になっても1,06,7止まりなのを鑑みれば、やはりこの馬のスプリント能力は突出していたと言わざるを得ませんね。

 その後、小倉日経OPも逃げ切ったアグネスワールドは、年末のスプリンターズS参戦の前に海外に雄飛する選択を取ります。
 この年の欧州にはエルコンドルパサーが長期遠征で滞在しており、そのレースぶりで話題を席巻、日本馬に対する認識も格段に高まっていました。
 そのエルコンの海外キャンペーンの総決算とも言える凱旋門賞当日、それに花を添える形で、アグネスワールドは[アベイユドロンシャン賞](https://www.youtube.com/watch?v=XfqjLz0KeTA)に出走する事になったのです。
 
 実績面ではまだまだのアグネスワールドでも4番人気に推され、日本馬への注目度と脅威の度合いを感じる中で、しかしレースでは、はじめての62kgという酷量に、史上最悪と呼ばれた不良馬場もものともせず、素晴らしいスピードを披露します。
 ポンッと好スタートを切ったアグネスワールドは逃げ馬とほぼ並走する形でレースを先導し、勝負所でスッと抜け出して、追撃するインペリアルビューティを鼻差退け、見事に3歳時以来の重賞制覇を海外GⅠで飾ってみせたのです。

 結局のところ、直線だけ、というロケーションはこの馬のスピードを存分に生かすのに最適の舞台だったと言えそうで、海外では水を得た魚のように走りましたね。
 結果的にはこのように、とにかくスピードを生かしてどこまで粘れるか、という王者的な競馬に開眼した事が、この4歳秋の飛躍に繋がっているのでしょう。
 
**★CBC賞~高松宮記念 <されど何かが足りない>**

 凱旋レースは、スプリンターズSの前哨戦で、この年は小倉開催だったCBC賞でした。
 このあたりのローテも中々えぐくて、夏の小倉で走って中4週でフランス、そこから2ヶ月経たずにまた出走って、今では考えられないですよね。

 ともあれここでは59kgを背負い、春の高松宮記念の覇者マサラッキとの一騎打ちになりますが、これを何とか凌いでみせ、改めて国内GⅠにも手が届く資質を見せつけます。
 しかしその肝心のスプリンターズSでは、速い流れを果敢に追走するものの最後の坂で少し甘くなり、スプリント戦初参戦のブラックホークに鋭く差し切られてしまいます。

 その後、流石に疲れが出たのか、春の高松宮記念には珍しくぶっつけで挑戦する事になったアグネスワールドは、前哨戦を完勝したブラックホークと人気を分け合う形になっていました。
 しかしこのレースは、やや時計のかかる馬場で相当な前傾戦になり、早め抜け出しのアグネスも、それをマークして動いたブラックも最後甘くなり、内外から伏兵が差し込む中で、キングヘイローが悲願の初GⅠ制覇を成し遂げることとなります。

 つくづく国内GⅠとは縁がないアグネスですが、このレースを見る限り、どちらかというと使い込んだ方が強いのかな?というところもあって、色々な意味で規格外な馬だったのは確かですね。

**★キングズスタンドS~BCスプリント <世界を股にかけて>**

 今でもそうですが、スプリント王者は宮記念から秋のスプリンターズSまで、使えるレースがあまりありません。
 勿論距離延長に活路を見出す馬もいますが、生粋のスプリンターのアグネスワールドは、その期間を改めての海外遠征のチャンスに用います。

 まず挑戦したのはロイヤルアスコット開催のキングズスタンドSで、ここでは欧州スプリント路線で息の長い活躍を見せたニュークリアディベートに押し切られるものの2着を確保、改めて直線競馬への適正を示します。

 次に選んだのがイギリス伝統のスプリント戦、[ジュライカップ](https://www.youtube.com/watch?v=IbMBojXqxMg)でした。
 堂々の1番人気に支持されたアグネスワールドは、ここでも軽快なスピードを見せて先行、早めに抜けだしを図って、最後リンカーンダンサーに際どく追いつめられるもののなんとかしのぎ切り、見事に海外GⅠ2勝目を挙げたのです。

 今から見てもこれは途轍もない快挙で、実際にあれ以来イギリスのGⅠを制した馬もいなければ、欧州GⅠを2勝した馬も出ていません。
 まぁ今はリスクを負って挑戦する陣営が少ないのもありますが、純正スプリンターは欧州に面白いレースが沢山あるのですから、今後遠征を企図してみてもいいと思うんですよね。少なくとも香港のスプリント戦よりは勝ち目のあるレースはそこそこあると思うのですが。

 閑話休題、かくして更なる勲章を手にしたアグネスワールドは、この年から秋開催に変わったスプリンターズSで、今度こその国内GⅠ制覇に挑みます。
 しかしながらここでも、運命の女神はアグネスワールドを見放します。
 稍重馬場でかなりのハイラップが刻まれる中、今までよりも少し後ろのポジションで我慢する形を取ったアグネスワールドですが、その分後ろから差し込むブラックホークはなんとか退けたものの、まさかの最低人気の伏兵・ダイタクヤマトにまんまと逃げ切りを許してしまったのです。
 これも勝負の綾と言うべきか、アグネスがいつものポジションを取っていたらダイタクには勝てていたとは思うのですが、その場合マークしてくるブラックを振り払えたかは微妙で、どうあれ本当に国内戦では最後まで噛み合わない結果となってしまいました。

 その後、今度はアメリカGⅠの勲章を求めてBCスプリントに出走するものの、ここでは流石に周りの馬が非常に速く、前半4F43,4という極限的なスプリント戦の中、外枠もあって先行勢についていくのがやっと、ダートの質も合わなかったか8着惨敗という結果になりました。
 しかしこのレースは、今でもダートのBCスプリントレコードでもありますし、それだけレベルの高い一戦でそこまで大敗しなかった事は、改めてスプリンターとしてのオールラウンド性を示したものと言えるでしょう。

**★能力分析**

 この馬自身の能力について考える前に一言思うのは、この時代のスプリント戦は本当にわかりやすく前傾ラップばかりだなぁ、というところですね。
 今はGⅠでも時に緩んだり、後傾ラップになったりすることすらあるので、こういうスピード全開の真っ向勝負の方がやっぱり白熱する、というのはあります。

 その中でのアグネスワールドの特色は、とにかく追走力が高いものの、後半要素は乏しい、ここに尽きるでしょう。
 かつ、相対的に馬場が重くて前傾度合いが強いと、後半要素が更に甘くなるパターンも多く、国内戦に限れば基本高速馬場であればあるほど前後半のバランスが小さくなるので楽だった、と言えそうです。

 その意味で、ポジショニングの面では4歳春のように好位から、だと後半要素で足りなくなり、その後逃げか番手をメインにして一段ステージは上げてくるものの、重い馬場になるとラストの落ち込みが大きくて差し込まれる危険が大きい、というのが顕著に出ています。
 だからラストのスプリンターズSなどは、少し下げてバランスを取ったのは正解だったとは思うのですが、あの時点でダイタクヤマトがあの馬場の前傾ラップであれだけ強いとは見抜けませんでしたからね。
 本来馬場がいいはずの秋開催になっても雨が降って重くなったりと、そのあたりも含めて運のない馬だったのはあると思います。

 海外では重馬場もこなしていますが、レースラップがわからないので何とも言えません。
 ただコーナーがあるコースよりは直線の方が強かったのではないか、という感はあって、もしもこの馬がアイビスサマーダッシュに出走する機会があったら、とちょっと考えてしまいますね。カルストンライトオも素晴らしい快速馬でしたが、この馬ならより凄いレコードを叩き出したかもしれません。
 
 とにかく、基本的には馬場やコース問わず、環境の変化にも動じずに安定して力を発揮する強い馬でした。
 ただベストの条件のスポットはそこまで広くなく、国内で勝ち切れなかったのもそのスポットに噛み合わなかったと考えられるでしょうね。

**★終わりに**

 うーん、書き直しって本当に苦痛ですね。。。流石に一から書くよりはスイスイ進められますけれど。
 元の記事に比べると、そこまでの分量が7割くらいに縮小してしまいましたが、まぁ書くべきことは書けたのでいいでしょう。ある意味普段は私特に推敲はしませんので、むしろ余計な事を書き過ぎてるのかもしれません(笑)。

 ともあれ、改めて見てもこの馬はちょっと異端の、だけどとにかくスピード能力に傑出した素晴らしいスプリンターだったと思います。
 近年の函館2歳Sは、その後鳴かず飛ばずの馬ばかりというのが寂しい現状ですが、またこの馬くらい活躍する馬が出てくればいいなと思いますし、改めてこの馬の事績の偉大さを胸に、適性を加味した海外挑戦を目指す馬が出てくればいいなぁと感じます。
 
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2017 7月第3週海外GⅠ レース回顧 

**★パリ大賞典 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=mAhiptnto14)**

 仏ダービーが2100mに短縮されてから、しばらくはレイルリンクやバゴなどこのレースの勝ち馬が凱旋門賞での活躍を見せていましたが、近年は精々フリントシャーが活躍したくらいで、近代のスピード重視の様相からやや取り残された感もあるパリ大賞典。
 今年は仏ダービー組がほぼおらず、英ダービー大敗で、前走はロイヤルアスコットで12F戦をきっちり勝ち切ったバーミアンが参戦して一番人気、それ以下の馬はフランスの2400m戦のGⅡ・GⅢで好走した馬、という感じで、例年以上に小粒なメンバー構成に感じました。

 レースは夕焼けがターフを黄金色に染める幻想的な雰囲気の中で行われていますが、内容としてはかなり淡泊で、逃げたバーミアンがラストまでしぶとく粘り込むところを、先行してインコースをタイトに立ちまわってきたスミヨンJのシャキールがハナ差捉えての勝利でした。

 馬場表記は良ですし、ラップが出ていないながらもおそらくかなりのスローで、時計水準としても平年の良馬場よりは良くない感じですので、メンバー構成同様にレースレベルも今一歩だったのは確かでしょう。
 この組から一気に成長して、凱旋門賞で好走する馬が出てくるビジョンはちょっと持ちにくいですし、やはりどうも今年の欧州の2400m路線3歳牡馬勢は不作のイメージですね。翻ってマイル路線は豪華ですし、これもまたスピード志向の時代の趨勢、というものなのでしょうか。

 まぁおそらくここでの上位組はニエユ賞あたりに出てくると思いますので、そこで改めて真価を見たい、というイメージですね。

**★愛オークス [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=6uxEpxeyp1o)**

 こちらは英オークスを5馬身差の好時計で圧勝したイネーブルが圧倒的な1番人気に支持されていました。
 レース内容も危なげなく、スッと逃げ馬の直後、番手につけたイネーブルは、最終コーナーで早々と先頭に立ち、そのままラスト200mで楽々後続を突き放す横綱相撲で完勝しました。

 とはいえ相手関係は英オークス以上に弱いので、ここでの着差はそこまで高く評価できるものでもないでしょう。勝つべくして勝った、という感じです。
 おそらくここからヨークシャーオークスで古馬牝馬と対決するか、或いはキングジョージあたりに果敢に参戦するのか、どうあれ英オークスの時にも触れたように、血統面で明らかにサドラーが濃く、2400mでこそ、という馬ですので、今後のレース選択が楽しみになってきますね。
 高速決着の2400mをこなせるかはどこかで試して欲しいですし、持久力に長けていそうですので、去年のように凱旋門賞が前傾のタフなレースになっても対応してきそうな馬だというイメージはありますが。

**★ジュライカップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=TP6-OxkhMks)**

 こちらはかつてアグネスワールドが勝利した事もある、英国伝統の1200mスプリント戦ですね。
 ロイヤルアスコット開催で3歳限定のコモンウェルスカップが設立されて以降は、このレースが3歳馬と古馬のはじめての直接対決になることが増えている感じで、今年も例に漏れず、コモンウェルスカップ1、2着馬に、ダイヤモンドジュビリーS1~3着馬が出てきて、中々に役者の揃った一戦となりました。

 人気はコモンウェルスカップでデビューからの連勝を6に伸ばした3歳馬のカラヴァッジョ、2番人気がダイヤモンドジュビリーSではやや不利を受けて3着に甘んじた当レース前年の覇者のリマトで、次いでコモンウェルスカップ2着で未だ連対を外していないハリーエンジェル、ダイヤモンドジュビリーS1着のザディンマンと続き、人気面ではやや3歳馬優勢となっていました。

 レースはカラヴァッジョがスタートで躓きやや後方からとなり、その一方もう1頭の3歳馬のハリーエンジェルは軽快に飛ばしてスタートからほぼ先頭を走り続けます。
 勝負所になってもカラヴァッジョの手応えは鈍く、一番最初に追い出されているくらいで、それを外を振るような形でリマトも脚を伸ばしてきますが、前を行くハリーエンジェルは全く止まらず、軽快な脚色のまま堂々と押し切ってみせました。
 最後はリマトが追い込んで2着、カラヴァッジョは伏兵にも先んじられての4着と、生涯はじめての敗戦を喫する事となりました。

 まぁ正直ロイヤルアスコットのレースぶりからして、無敗の看板ほど強い馬とは思っていなかったですが、それでもここでは同じ3歳馬に逆転を許しているので、一概にあのレースのレベルが低かったとも言いづらいんですよね。
 勝ち馬は前走よりもはっきり積極的なレースを組み立ててきましたし、今後もスプリント路線で楽しみな1頭になりそうです。リマトもやはり堅実で、ダイヤモンドジュビリーS組1、2着馬が大きく崩れたことを鑑みると重い斤量の中で健闘していると思います。

 ただ結局現状のスプリント路線って、レディオーレリアが一番強いという印象は変わらないですね。
 でもアメリカに移籍した馬だから、欧州のレースを使ってくるかはわからないですし、このあたりの組と対決するとしてもBCとかになるのかもしれません。
 カラヴァッジョは前走もややスタートが良くなかったですし、これが続くようだとスプリント路線では頭打ちになりかねませんね。一度1400mまで試してみても、とは感じます。

**★デラウェアハンデキャップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=VnVq2CCB0Io)**

 舞台をアメリカに転じて、ソングバードの古馬復帰2戦目になります。
 牝馬限定のハンデキャップ戦で2000m、相手関係もかなり弱く、ソングバードが淡々と逃げて直線で楽に突き放すだけ、かと思いきや、ハンデ差が思いの外効いたのか、直線では結構まともに鞭も入れられ、当然地力で押し切ってみせたものの、どこか素軽さが感じられないレースぶりは前走同様でしたね。

 正直3歳時はこんな馬ではなかった、というイメージが鮮烈ですが、或いは古馬になって斤量を背負う形で苦慮する部分はあるのかもしれません。元々非常に綺麗な走りをする馬ですし、そのバランスが少しでも崩れると、という可能性はあるので、それだとかえって混合栓の方がパフォーマンスを発揮できるかも、とは思います。
 どうあれやはりこの馬が古馬牝馬戦線を引っ張っていってくれないと面白くないので、次こそは昨年の走りを取り戻して欲しいなと感じます。
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2017 マーキュリーカップ レース回顧

 近年は海の日開催が定着してきて、ジョッキーズカップなども同時に開催されて盛り上がった盛岡の指定交流重賞・マーキュリーカップは、外からミツバが力強く差し切って嬉しい重賞初制覇を遂げました。レースを振り返りましょう。

 馬場状態は稍重まで回復しており、それでもレースレベルはわからないながらそれなりに他のレースでも時計は出ていて、高速状態だったのは間違いないと思います。
 展開はやはり連闘策のドリームキラリが押して押してハナを取り切り、その内側からクリノスターオーが早めに手綱を外に寄せて番手外に誘導、ディアデルレイがその2頭の更に外を追走する格好になります。
 ピオネロは五分のスタートからその3頭を見る形で内々をタイトに、ミツバは少し出負けした感じで、外からピンク帽の地方勢2騎も出してくる中で、コーナーまでには外に出しじわじわと前との差を詰めていく形を取りました。

 レースラップは細かくは出ないのですが、勝ち時計が2,02,1で、上がり4F49,3、3Fが37,3と出ています。
 なので前半6Fが72,8(12,12)で後半4Fが49,3(12,33)という推移、かつ800-600m地点が12,0で、その後のコーナーでも番手がクリノとはいえ前に詰めていく感じではなかったので、しっかりコーナーで引き上げられてラスト1Fが13秒に近い時計になっている、淡々と流れての持久力消耗戦ではないか、と思います。
 勿論バランス的に極端ではないですし、馬場も速かったので、序盤の追走力は強く問われたと同時に、しっかり長く持久力を引き出せるかが終盤のポイントで、あまり加速面は問われていないと感じましたね。

 勝ったミツバは、結果的に外から早め早めに押し上げてエンジンをかけ切る形が噛み合ったところはあるかな、と思います。
 この高速馬場ですので、道中ずっと外々だったのはそれなりのロスだとは思うのですが、それでもこの馬は追走面で強みがあり、かつ早めに仕掛けても極端に切れ味を求められなければ最後までしぶとく脚を使える馬で、4コーナー中間あたりから堅実に前との差を詰める脚を使えていたのは、コーナーの円周が広い盛岡ならではのプラス要素だったかなと。
 最後は内からピオネロやクリノもしぶとかったですが、外から捻じ伏せる形で勝てたのは強い競馬だったと思います。
 どうしても器用さはないですので、常にこうした早め早めの競馬を心がける必要はあると思いますが、噛み合ってくればより上位の相手にでも通用する持久力は保持しているな、と改めて感じましたね。

 2着のピオネロはまずそつのない立ち回りでしたが、思った以上に直線で前が捌けなかったのもあり、結果的に勢いをつけてきたミツバにアドバンテージを取られてしまったかな、というイメージです。
 ただペース分析でも触れたように、特に直線向いて再加速、というイメージではない展開ですので、そんなに前が空かなかったのがロスにはなっていないはずで、ここはしっかり出し切ってきたミツバを誉めるべきレースかもしれません。
 この馬としてはきちんとややハイくらいの流れで一足は使えていますし、距離もこのくらいが噛み合うと感じますね。どこかで重賞のひとつくらいは手が届いてもいい馬だと思います。

 3着クリノスターオーに関しては、まともなら地力はやっぱり上位だな、という所は見せてくれました。
 昨日の記事であやふやなこと書いて済みません、でしたが、前走の敗因は道中で自分で爪をぶつけて戦意喪失、というコメントが出てましたね。
 その怪我のせいで一度放牧に出す予定が、意外と早く回復したので急遽参戦、という運びになったようで、その分が+11kgという体重にも出ていた、というべきでしょうか。

 レース自体は最初から幸Jらしく番手外を取る、という意思を持って外目に誘導していましたし、多少運の良さもあったとはいえ自分の形に持ち込めればやはりしぶとい馬です。
 盛岡はコーナーが長くて、地方競馬としてはかなり緩めなので、コーナリングが致命的に下手なこの馬でも対処できるコースですし、それでもコーナーでは追って追って、最後にやや止まって内外から差されたのはその調整過程の不備と馬体増が響いたのかな、という感じです。
 ともあれまだ地力は衰えていないのを証明しましたし、また自分の形に嵌りそうな条件なら狙っていきたい馬ですね。

 4着ドリームキラリは、今回は自分の競馬は出来たと思います。
 ある程度ハイペースで淀みなくレースを作って、コーナーからじわっと仕掛けて後続の脚を削ぎにいっていましたし、馬自身もこの距離と高速馬場が合っていたのはあるのでしょう、交わされてからも近走とは違う粘り腰を見せていましたね。
 現状はこれが実力、力の差だとは思いますが、適性条件を選んで自分の形をより精密に模索していければ、逃げのスタイルでもう一皮剥けてもいい、と感じる馬ではあるんですけどね。

 6着ディアデルレイに関しては、まぁ難しかったとは思うのですけど敢えて苦言を上げるとするなら、スタートから1コーナーの入りですよね。
 今日はかなり出足が良く、ある程度促しながら好位を取りに行ったのは悪くない選択でしたが、ただあの出足と勢いがあったなら、もう少し頑張って出していって、ドリームキラリの番手を取り切って、クリノをポケットに押し込める戦略を取るのは可能だったのでは?と思ったんですよね。
 この馬自身まだ地力は足りない以上、外々からの正攻法では勝ち目が薄いのは当然で、それならばライバルの嫌がる競馬、相手の力を削ぐ戦略を狙うべきだったとは思うし、それが出来得る枠の並びだったんですよね。

 もしもクリノがポケットに押し込められていれば、当然ピオネロも3列目まで下げたくないから外目、という競馬にシフトしたと思いますし、ディアデルレイ自身も一列内側を走れる利点はあったわけで、このあたり若手らしく空気を読まない強気の競馬を仕掛けて欲しかったなと感じます。
 実際に馬自身はこのペース自体は対応できても、後半の持久力勝負で外々を回されて早めに苦しくなっていましたし、どう乗っても距離的に辛かったのかもしれませんが、掲示板まで外したのはこの枠の並びの中で無策に過ぎたせい、とは思いました。
 馬自身は、マイルでゴリゴリに流れると辛かったことも含めて、一先ずは1700~1800mあたりのOPで地道に力をつけて、ということになるでしょうか。人馬ともに、もう一段の成長を望みたいですね。
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2017 函館記念 レース回顧

 思いがけない集中豪雨があったようで、かなり渋った馬場での開催となった函館記念は、これまで重賞でも善戦を続けてきたルミナスウォリアーが、今までのもどかしさを振り払うような鮮やかな差し切りを決めました。
 多分サムソン産駒も牡馬ではこれが初重賞だと思いますし、色々な意味で見応えのあった函館記念を改めて振り返っていきましょう。

 馬場は、午前中は昨日と同等くらいに時計が出ていたのですが、どうやら5Rから6Rの間あたりでかなり強く降ってきて、明確に6Rから時計がかかり出していますね。
 5Rの新馬はラスト2F11,4-11,5なんて軽い時計が出ているのに、6Rは60,5-62,5という前傾ラップでの消耗戦で2,03,0、9Rの1200m戦も35,5-35,8で1,11,3と、一気に2秒程度は時計のかかる馬場に変貌したと見ていいでしょう。
 その視座でのこのレースの2,01,2は、水準クラスに時計は出してきたかなと感じます。

 展開は、外からヤマカツライデンがハナを切り、そのすぐ内側からタマモベストプレイも積極的に前につけて2列目ポケットを確保します。
 マイネルミラノはスタートからかなり押していたものの動きは鈍く、外からパリカラノテガミにも来られてしまい4番手外目の追走、その後ろにステイとケイティープライドがつけます。
 アングライフェンも枠を利して早めの競馬で中団より前、それを見る形で外からこちらも積極的にルミナスとツクバがいて、サトノアレスは中団のインでじっくり構える形になりました。

 ラップは35,6(11,87)-49,4(12,35)-36,2(12,07)=2,01,2(12,12)という推移でした。
 結果的に馬場が重かったとはいえ、予想よりも外の馬の出足が良く、そこまで先行争いが激しくならなかった感じで、中盤も前半2Fで12,4-12,6と少し息が入っており、ハーフで見ると60,6-60,6と綺麗な平均ペースを刻んでいます。
 残り1000mから少しペースアップして、5Fロンスパ持久力戦の様相は色濃くなり、かつコーナー出口から直線入り口で11,8と多少加速もしています。そのあたりを見ても、この馬場適性と持久力戦適性、重たい馬場なりの追走力も総合的に問われていて、どちらかと言えばスタミナが強く問われる競馬になっているのかなと感じますね。

 あと、これはあくまでそうかもしれない、レベルの話ですが、急激に馬場が悪化して、1周コースですと当然スタンド前の内側のコースは荒れてくる度合いが強かったのかもしれないなと感じました。
 思った以上に重馬場での走りが上手くない内枠勢がダッシュつかなかった感はありますし、今日に限ってはむしろ外枠から綺麗な芝の上で加速出来た事が、こういう外主導の流れを形成する要因になったのかもしれないですね。

 勝ったルミナスウォリアーは、1頭だけ4コーナーからの手応えが違い過ぎましたね。
 レースのラスト3Fは12,2-11,8-12,2ですが、この馬は残り200mでは先頭に立っていて、かつコーナー半ばで仕掛けた時の切れ味が鋭かったので、推定としては11,7-11,7-12,2くらいでしょうか。

 外主導の流れに上手く乗っていけたとはいえ、この馬があれだけポジション取れるのもちょっと驚きでしたし、それだけ滞在競馬、休み明けが合う馬なのでしょう。
 斤量面でもやや恵まれていたとは思えますし、あの手応えなら強気に出していけるわけで、本質的にはラストの持続面で甘くなりがちな馬でしたが、その面を問われない持久力戦の中で、馬場適性含めて良さを見せてきたと考えられると思います。
 実際のところ重馬場自体走るのが初めてでしたし、良馬場2000mですとポジショニングで難しいかなと思って嫌ってしまいましたが、この強さはある程度噛み合ったとはいえ、本格化を意識してもいい走りだったかなと思います。

 2着のタマモベストプレイも、全体的に時計がかかる馬場になってくれたことは当然プラスに働いたと思います。
 スタートから上手くヤマカツを前に生かせつつポケットに潜り込んだあたりは非常に巧みでしたし、その分要所でスッと動けなかったものの、ルミナスとアングライフェンが先に抜けてくれたので進路取りにもそんなに不利はなく、最後は持ち前のしぶとさ、スタミナを生かして雪崩れ込んできましたね。
 この馬の場合は多分11,8地点では少し置かれて、ラストの12,2で盛り返している、と感じますし、馬場条件がどうあれ、後半はあまり波を作らずに分散させて入ってくる時に粘り強さが出るなぁと。洋芝適正も高い馬でしたし、終わってみれば距離だけで14番人気は舐められ過ぎでしたね。

 3着ヤマカツライデンも、純粋な2000mのスピード勝負では前半・後半要素共にちょっと足りないところを、馬場適性と雨が補ってくれた感はあります。
 この馬も極端に速いラップを問われたりすると脆いので、こうして平均ペースからの持久力戦はもってこいだったと思いますし、早めに押し上げられながらも最後まで怯まずに粘り通し、アングライフェンを差し返したのは中々に底力を感じさせました。
 でも本質的には2400m前後がべストだろうとは思いますし、このクラスで好走するためにはペースが速くても遅くてもダメ、というスポットの狭さはありますが、型に嵌れば強い馬だなと再認識させられましたね。

 4着アングライフェンは、結果的に気分よく行き過ぎたのかな、というのはありますね。
 元々重馬場自体は得意ですが、基本的なスタイルとしてはスローからの後半型ですので、この平均ペースで自分から早めに前を捕まえにいく形は、結果的に追走面でも、持久力面でも少しずつ甘くなる要素だったのではないでしょうか。
 ただこの枠であのポジションを取りに行くのは、このコースならセオリーとも言えますし、4コーナーで外のルミナスの勢いが良過ぎたのもあるので、ここは仕方ない所かな、とも思います。今日の馬場傾向を踏まえれば、結果論的にはもう少し外でじっくり構えられていた方が良かったのかもしれませんね。

 5着ケイティープライドは、序盤からしっかりポジションも取れましたし、内目は外の馬に取られてしまったので外を回すしかなかったとはいえ、最後まで軽斤量を生かしてしぶとく食らいついてはいましたね。
 ただこの馬自身はもう少し時計の出る馬場の方がより良かったとは思いますし、最後甘くなったのも決定的に持久力戦になりきってしまったのがあるのではないか、と感じます。
 今後も条件が噛み合う所でなら激走が期待できると感じられる走りでしたね。

 6着サトノアレスは、この馬場と展開の中でも最低限の格好はつけてきた、と感じました。
 インでじっと我慢して、コーナー出口まで一切動かさなかった辺り、この馬の最大の武器はきちんと把握してるんだな、とは思ったのですが、それだけ溜めてもこの馬場、このペースの中ではスパッと切れる脚は使えず、外からダラッと雪崩れ込むだけになってしまって、1番人気としてレースに参加できなかったのは確かと思います。
 でもこの馬でこの条件なら最大限出来ることをやったと思いますし、もっと前にいったり、早めに外から動いたりしていたらもっと大敗していたと感じるので、改めて適鞍でじっくり脚を溜める競馬でどこまで古馬とやれるか、次を注視したいところですね。

 マイネルミラノはここまで重くなると馬場適性的にちょっとダメなんですよね。
 少し時計のかかる程度ならこなしてきますけど、帰ってきてヤフートップで北海道豪雨のニュース見た時にこうなるのは覚悟してましたし、出足が悪かったのもそのあたりと斤量の合わせ技になるかなと。
 展開的にはこういう平均からの分散ロンスパは得意のはずなので、コーナーであれだけ動けず早々失速というのは概ね馬場と、あと多少状態面も考えていいのかもしれません。どの道ベストの好走スポットは狭い馬ですので、天気予報を読み違えた時点で無理筋でした。
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競馬における斤量の影響についての一考察

**★はじめに**

 リクエストをいただいたので、斤量とハンディキャップに関する個人的な見解などをつらつら語ってみようと思います。
 ただお断りさせていただきますと、私はデータ収集には伝手のない人間ですので、今回語ることはいつにも増して説得的なエビデンスがあるわけでもなく、あくまで長年競馬を見てきて、現状私が能力分析に用いているツールの範疇での印象論になります。そのあたりはご了承くださいませ。

**1.古来言われる1kg1馬身は正しいのか?**

 古くから伝わる競馬の格言に、斤量1kgで1馬身差、というものがあります。
 私達も普段からなんとなく、この計算尺度を当て嵌めて、この斤量差でこの着差だったから、今回の斤量なら通用する、など考える向きがありますが、果たしてこれはそこまで万能の尺度なのでしょうか?

 或いは全ての条件を糾合して考えた時には、この尺度に近似した数字になるのかもしれませんが、しかし競馬のレースは常に一期一会、距離も馬場も展開も全く違う中で、果たしてこの要素が一律で通用するのか、というと、やはりそうではないと思います。
 といって、どの条件なら斤量差があまり出ないか、逆に大きく出るか、出るとしてその幅はどのくらいなのか、という点に、明確な答えを与えられるわけではありませんが、純粋な能力適性面でもいくつか、斤量の影響が大きいのでは?と感じる要素はあるので、そのあたりから掘り下げていきましょう。

**2.加速力と瞬発力に対する影響を考える**

 重い斤量を背負った馬の敗因としてよく耳にするのが、思ったようなポジションを取れなかった、或いは勝負所でもたついてしまった、というものです。

 競馬におけるポジショニング争いとは、雑にまとめてしまえばレース2F目での加速にどれだけスムーズに対応できるか、であり、勝負所の動き出しにしても概ね加速ラップが問われている、という視座で言えば、斤量は加速力の面にはかなり大きく影響を与えると考えられます。
 人でも重いものを持っていれば、即座に素早く動くのは難しくなりますし、普段通りの動作に至るまでの準備加速に時間がかかるのは当然なので、このあたりは競走馬にもストレートに反映する部分ではないかと思います。

 丁度先週、マルターズアポジーが重い斤量を背負って七夕賞に出走し、序盤にフェイマスエンドに頻りに絡まれてペースを上げさせられ、直線を待たずに失速する、という例がありました。
 元々加速性能に非常に優れた同馬ですが、ここではレース2F目に10,5というスプリント戦並のダッシュを問われていて、その負担がレース後半に大きく圧し掛かった可能性は高いと思っています。3コーナーから被せられたとはいえ、流石に本来あんなに早く失速する馬ではないので、序盤のペースアップに斤量負担の相乗効果があった、と見てもいいのではないでしょうか。

 要するに重い斤量を背負う馬にとっては、普通のレース以上にラップの波が大きくならない方がいい、というのは言えると思います。
 今週の函館記念でも、近年で57kg以上を背負って連対したのはトウケイヘイローとダークシャドウくらいしかいませんが、どちらのレースもかなり波が少なく、後半の加速要素も最低限に留められた一貫ペースのレースでした。

 重い斤量を背負った馬にとって難しいのは、後半でも加速要素を少なくしたいから、出来るだけいいポジションは取りたい、けれどいいポジションを取る為には最序盤にある程度頑張って加速しないとならない、その2箇所の加速地点におけるエネルギー分配のバランスを取ることでしょう。
 それに対しては、結構レースロケーションが影響を及ぼす面も強いと思います。
 具体的には、最初のコーナーまでの入りが長く、テンのスピードが上がりやすいレースは、その分だけポジション争いが厳しくなり、ポジションとペースのバランスを守りにくい、と考えられます。

 それこそ函館記念など典型的なレースとも言えて、テンのペースが上がりやすく極端に外枠不利な条件では、重い斤量の馬が好走するためのスポットはより一層狭くなってしまうでしょう。
 逆にスタートしてすぐコーナーで、テンのペースが上がりにくいコースならば、相対的にポジショニング面に無理がないですが、その分レース全体がスローになりやすいので、仕掛けどころで急加速を問われないような工夫が必要になってくる、と思います。

 加えてもうひとつ思うのは、やはり瞬発力面における最大速度は、斤量によってある程度削がれてしまうのではないか、という点です。
 こちらはレースの中で、常に最大速度が問われるほどスローになるのは稀、とまでは言いませんが、ポンポン頻発するわけでもないので、判断要素としての優先度は加速度には及ばないと思います。
 ただ新潟外回りのように、ほぼ必ず400-200m地点が最速になり、非常に高いレベルでの瞬発力が問われる条件もそれなりにはありますし、その切れ味の質の差がレースの結果に直結しやすい舞台では、頭に入れておいていいと思います。

 本当にこの辺りの話は統計を取っているわけではないのでなんともですが、少なくとも斤量の重い馬が好走しやすいコースと好走しにくいコース、というのは厳然として存在するとは思っています。
 それは突き詰めれば、斤量が重い場合に一番走りやすいのは、結局平均ペースの底力勝負という平凡な結論になってしまいますし、そういうレースが現出しやすい条件とそうでない条件を振り分けてみる、という考え方はアリだと考えます。

**3.基礎的な速度面への影響を考える**

 2で考察したのは、あくまでもレースの一部分の特殊条件においての影響でしたが、それとは別に当然レース全体での負担、というものも考えられます。

 今週は函館記念で、サトノアレスの年齢アローワンスの是非が多く語られていると感じますが、その是非はひとまず置いておいて、現在のJRAの基準でもレース全体の斤量の影響が長距離>中距離>短距離と、距離延長に伴って大きくなると考えられているのは、この年齢アローワンスのズレからも顕著にみられるといえます。
 日本では現状、58kg以上の斤量を背負う条件は障害戦くらいしかありませんが、欧州では60kg以上を背負う平地レースもザラで、特に格の高いスプリント戦などは62kgが基本の負担重量になっていたりもします。
 つまり、長い距離を走るだけ、斤量による消耗度は大きいと見做せるわけで、この蓄積が前述の1kg1馬身とも通じるところなのでしょう。

 この点においての個人的な印象としては、楽走、つまり息が入るラップの下限に一番影響が出るのではないかな、と見ています。
 本来なら息を入れられるくらいに緩んでいても、重い斤量を背負っていると息を入れて走りにくくなったり、或いは一度息を入れてからのひと踏ん張りが効きにくくなることで、相対的に軽い斤量の馬と余力の差が出てしまうイメージです。

 2でも触れたように、そうなるくらいなら一貫ペースの底力勝負の方が条件的に平等に近くなる、と個人的には思っていて、それは総合的に言えば、ハイペース適正、スローペース適正の幅が狭くなると考えてもいいのではないかな、と。
 スプリント戦の場合は、基本的にスタートからダッシュを効かせてその惰性で乗り切る、というのが基礎的な概念(近年は必ずしもそうではないですが)なので、斤量の影響が最序盤の加速地点に大きく掛かり、限定的と考えることも出来るでしょう。

 とはいえ、レース全体を考えた時にもうひとつ言えるのは、極端な脚質の馬はそれだけで不利、という事にはなると思います。斤量とうまく付き合うコツは、極端なバランスで走ったり、加減速を頻りに繰り返したりせず、淡々と一定のペースを刻む方がいい、というところで、このあたりは鞍上の体内時計の正確さなどにも関わってくる点と思います。

**4.騎手による斤量の影響の違いについて考える**

 前項で重い斤量を背負った時はより騎手の腕、判断力が問われやすいと指摘しました。
 それに加えて昔からちょっと思っているのは、騎手の体重と負担重量に相関関係はないのかな?という部分です。

 一般に、騎手の体重と馬具の重量で足りない分は、騎手自身の身体や、馬の鞍に鉛を入れて調整する、と聞き及んでいます。
 でもこういう調整って、微弱な差であったとしても、馬自身に騎手の体重とは別のベクトルで重さを感じさせる要素になっていないのかな?と思うところはあるんですよね。

 例えば、最低斤量の48kgにも乗れる、体重46kgの騎手が55kgの負担重量の馬に乗るとしたら、おそらくその補正重量は7kgくらいになるでしょう。
 対して、55kg以下の馬には乗らないムーアJだったら、当然55kgの馬にはほぼ余計な補正重量なしで乗ってきます。

 基本的に騎手は、いかに自分の体重を馬に感じさせずに走らせるか、という技術を磨いているわけですが、乗れる斤量の幅によって微細な調整が必要になる場合、自身に重りを載せるにしても、馬に負担させるにしても、常にベストのバランスを保ち続ける、というのは中々難しい事ではないかと感じます。
 トップジョッキーが上位条件でしっかり結果を出すのは、そのあたりの補正幅を小さく保っていても騎乗馬が集まり、そのブレを極力減らす技術を体得できるから、という印象は結構あるのですよね。

 ともあれ、普段軽い斤量でも乗れる騎手が、重い斤量の馬に乗っている場合は、より負担が大きくなる懸念がある、という指摘です。

**5.馬自身の馬体重の差による影響を考える**

 これも昔からよく語られますが、400kgの馬と550kgの馬が同じ斤量で走るのが不利ではないのか?という観点です。
 私の考えとしては、当然全く影響がないとは考えませんが、それ以上に馬の適正タイプの影響度の方が大きいだろう、とは思っています。

 上で触れたように、斤量差が一番覿面に出やすいのは加速力面において、と思っていますので、その文脈で言うなら当然器用さで勝負する加速力/瞬発力タイプは斤量の影響を受けやすく、底力を高く持つ持続力/持久力タイプは比較的影響を受けにくい、と考えます。
 また、軽量馬でもカンカン負けしない馬、重量馬でもカンカン負けする馬、というのはいますし、体重そのものよりは個体差、その適正面を考えた方が有益かな、とは思っています。ただ当然ながら、同じような適正なら馬体の大きい馬の方が有利と考えてもいいでしょう。

**6.馬場状態の差による影響を考える**

 これも昔から、重馬場の時は斤量3kg増、なんてまことしやかに語られていますが、個人的にはそれは眉唾に思っています。
 そもそも斤量による機動力の減衰と、馬場状態によるそれは別個のファクターかな、とは思っていて、どちらも苦手、という馬なら相乗効果で全くダメ、なんてパターンもあるでしょうが、馬場をこなせる馬なら斤量による影響は特に加算されないと考えます。

 ただ、基本的に重い馬場になれば後ろから加速するのが難しいのは当然ですし、その分前半に無理してしまってバランスを崩す、というパターンは良馬場の時より多いでしょうから、そのあたりでも重い馬場だと重斤量の馬が崩れやすい、というイメージが確立しているのかもしれません。

 逆に超高速馬場の時の方が、斤量の影響は出やすいと思っています。
 それは相対的に平均ラップが上がることと、ほぼ確実に後傾ラップを踏む流れになるので、後半の加速要素や瞬発力要素が強く問われるからですね。

**7.斤量経験の必要性について考える**

 競馬において、レースでしか本質的に鍛えられない能力というのはあると思っていて、例えば追走力などはその代表例として考えていますが、斤量経験もその範疇に入ってくると思います。
 やはり馬自身が酷量をどこまで経験しているか、どこまで耐えられるかというのはありますし、それを一度経験することで克服する可能性も当然あると思っています。

 近年の春の天皇賞で、58kgがはじめての4歳馬が勝ち切りにくいのは、ここまで語ってきた様々なファクターが絡み合っていると思います。
 まず距離が長く、その分だけ斤量の影響が大きい事、そして基本高速馬場開催で、中盤に大きく緩んで後半加速する展開になりやすい事、その場合に加速度や瞬発力の質も高く問われる事などが、はじめての斤量の馬には辛い条件になりやすいと見做せます。
 近年4歳で、はじめての58kgで勝ち切ったのはスズカマンボとフェノーメノくらいですが、この2頭の時は馬場が渋っていたり、超例外的にレース全体が一貫ペースになったりと、斤量の影響が出にくい展開、条件になった事も影響していると思います。

 キタサンは大阪杯で58kgを経験済みでしたし、それ以降、90年代の馬は大抵前哨戦で58~9kgを背負ってからの参戦になっていたので、このあたりは斤量面でスターホースに甘い近年の傾向の影響が反映していると考えられますね。

 ついでに凱旋門賞についても考えてみましょう。
 そもそも海外の年齢アローワンスは、このレースに限らず3歳馬有利に作られています。
 けれど凱旋門賞ほど顕著に3歳馬有利のレースはそこまで多くはなく、それを鑑みるに、ロンシャン開催での当レースが、基本的には超スローで入り、フォルスストレートでも上がり切らずに、結果直線600mの加速力/瞬発力勝負になっている要素が大きいのだと思います。

 実際去年のシャンティイ開催では、例年にないハイペースで展開した結果古馬の上位独占でしたし、ああいう一貫ペースの方が斤量差が出にくい、というひとつの証左にもなるのではないでしょうか。
 基本的に59,5kgなんて酷量の経験はない日本馬が、重馬場の時にしか好成績を出せていないのも、要所の加速力が問われにくい展開になりやすいから、とも考えられて、その意味ではやっぱり、本気で凱旋門賞を勝ちたいと望むなら、事前に斤量面でのチャレンジはしておくべきだと思うんですよね。

 ここまでのスケールではなくとも、はじめての重い斤量が、その数字以上に負担になるパターンは当然ある、と考えておくのが無難でしょう。

**8.ハンディキャップの在り方について考える**

 ハンディキャップ戦は当然ながらギャンブル的な面での面白さがあると同時に、ちょっと力の足りない馬の救済措置にもなっていて、来年以降降級制度がなくなるという話もありますし、その存在意義は増していくかもしれません。
 それだけにこの時期に、改めてハンデの適正さについて考えてみるのも意義のあることにはなるでしょう。

 まず馬齢によるハンディに関してですが、上で触れたように短距離と長距離では2ヶ月の移行期間のズレを設けています。
 ただ巷間でも言われるように、短距離路線に関してはもっと早い段階で斤量差を縮めてしまってもいいのではないか、と個人的にも思います。

 というのも、基本的に3歳馬は春は概ねクラシック路線を指向するわけですが、それは本来の距離適性を撓めている部分も大いにあり、大体の馬はクラシックディスタンスより本質的な適性は短い、という事になります。
 つまり距離短縮で出てくる馬の方が、基本的に本来の適正に噛み合う可能性は高くて、かつ上でざっくり考察したように、加速のタイミングが序盤と終盤2回発生しやすい中距離以上のレースより、一貫してスピードが落ちないスプリント戦の方が斤量の影響は小さいので、今よりもう少し差が小さくなったとしても、スプリント適正が高い馬なら問題なく古馬と伍して走ってくると思います。

 中長距離に関しては、現状で妥当と思っています。
 今週のサトノアレスがこの絶好枠と54kg(実質は58kg)でどうなるか、は興味深いケースになりますが、そもそも夏場からの出走自体がスプリント戦より少なめですし、斤量の影響度も大きい、適正面でも噛み合ってくる馬がスプリント戦程ではないでしょうから、むしろ挑戦を奨励する意味でも現状維持を支持したいですね。

 ハンディのつけ方についての是非は、現行のやり方に不満があるとしても、じゃあもっとロジカルにそれを決定できる方法論があるか、と言われればそれはないので難しいところです。
 ただまぁ、ハンディが一番明確に可視化された有利不利だとすれば、競馬には馬場状態や枠、騎手や適性など、見えにくい有利不利のファクターも多数あるわけで、結局出されたものに対して偏りがあると思っても、それを前提に考えるしかないでしょう。
 この辺は馬券派はシビアに見られるかもですけど、観戦派としては期待・応援している馬が不当なハンディだったりするとうーん、ってなりますけど、それも含めて競馬ではありますしね。

 強いて言うなら、ハンディキャッパーがハンディをつける際に明確に基準にしているツールがあるならば、それを公開して欲しい、というのはありますけどね。
 そうすればそのツール自体の不備や疑問に声を上げることも出来ますし、上でも触れたように、今後降級がなくなる中で、能力的に頭打ちの馬にとってのハンディキャップ戦の救済性はより強くなっていくはずで、そこで公平を欠くようなイメージを抱かれるのは、胴元としてもマイナスではないか、って思います。

**★終わりに**

 正直あまり深く考えた事のない論点でしたので、まとまりに欠いた茫洋としたものになってしまいました。
 ダラダラと書いた割に中身は少ないですが、今後夏のハンディキャップ競争が続く中で、ほんのささやかでも指針になってくれれば幸いです。
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2017 7月第2週新馬戦ほか レース回顧(日曜編)

**★7/9(日) 福島5R 芝1800m戦**

 福島開催では数少ない1800mの新馬戦は、グランデウィークが出遅れや4コーナーでの不利をものともせずに押し切りました。
 展開は、4着降着になったハクサンフエロが逃げて(シルポート産駒、という所に趣きがあります)、外からロードジパング、3着のピースユニヴァースあたりが追走して先団を形成します。
 2着のトッカータはまずまずのスタートから先団のやや後ろでじっくり、勝ったグランデウィークはスタート一歩で最初のコーナーでは後方の位置取り、そこからじわじわ向こう正面手前までに押し上げて中団くらいを確保し、勝負所で更に外から仕掛けて上がっていく形になりました。

 ラップは37,6(12,53)-36,9(12,3)-36,7(12,23)=1,51,2(12,36)という推移になりました。
 全体的にはややスロー気味の平均ペースで、福島らしく3コーナー入り口の残り800m付近から後続が押し上げ、11,8-11,6と速いラップを踏んでいます。
 直線入り口でハクサンが大きく外に斜行した煽りもあり、ここのラップは12,4と落ちていて、ラストも12,7とやや消耗気味になっており、単純な数字上のレースレベルは馬場を考えてもそこまで高くないでしょう。最低限の追走力と後半の持続性能をある程度問われたレース、と考えます。

 ただ勝ったグランデウィークはかなりロスの大きい競馬をしており、数字以上の内容はあると思います。
 出遅れてから取り付く場面でも、特にラップが落ちている事はないのでこの馬自身はそこそこ長く12秒前半くらいで押し上げている計算になりますし、その上で勝負所も11,8-11,6と速いラップの地点で一気に差を詰めています。

 かつ4コーナーではかなり大きく外に振られていて、それでもしっかり直線では惰性を削らず粘り込んでいて、ラストはかなり肉薄されたものの、これは鞍上がある程度抑えていたのもありますし、流れ的にもかなりロンスパの中で速いラップを踏んでいると思うので仕方がないでしょう。
 競馬としては粗削りですが、スタートが解消されてくれば後半要素はかなり面白いものがありますし、改めてまともな競馬の流れの中で真価を見てみたいと思える馬ですね。
 
 逆に2着のトッカータは、ポジショニングは良かったものの3コーナーからの前の仕掛けに上手く対応できずにやや下がり気味、その分コーナーのロスには巻き込まれずタイトに回ってこられましたので、ラスト12,7と消耗するところで一気に突っ込んでこられたのも然るべき、という所です。
 結果的にこの馬自身は持久力ラップでラストまでバテない、という競馬をしていると思うので、グランデウィークとはその質が違うと思いますし、素材面ではどうしても着差以上に向こうかな、とは感じます。
 基本的に未勝利レベルだと要所の機動力がないと勝ち切れないパターンが多いので、その点で心配はある、けれどタフな流れになれば強いタイプかなと見ています。

**★7/9(日) 福島6R 芝1200m戦**

 こちらはナムラストロベリーが好位から抜け出し初戦勝ちを飾りました。
 ややバラっとしたスタートの中、人気の3着パスポートが逃げて勝ったナムラがその番手につけます。
 最後2着に突っ込んできたハーモニーライズは出足は鈍く中団より後ろくらいからの追走でした。

 ラップは36,6(12,2)-36,2(12,07)=1,12,8(12,12)という推移でした。
 見てわかる通りにスプリント戦とは思えないほど序盤がゆったりで、それでいて後半も12,6-11,7-11,9という推移で、強いて言えばコーナー出口での加速度に対応できたか、という部分で見せ場はあったかな、くらいの、全体的に凡戦と言える内容だったと思います。せめてこのペースなら、ラスト1F最速で回ってきて欲しかったですね。

 その中ではナムラはポジショニングが良かったですし、やや加速地点ではおかれていたものの、ラストの100mまで減速せずしっかり伸びてはいました。
 ただ結果的に2着馬のラストの脚勢の方が、将来性や距離の融通などを踏まえてもまだ、という感じですし、この組は少なくとも芝のスプリントの条件では頭打ちになるかな、とは感じましたね。

**★7/9(日) 中京1R 芝1600m未勝利戦**

 未勝利戦としては淀みなく一貫したペースになる中で、中団からシュバルツボンバーが楽に突き抜けてレコード勝ちを収めた一戦を見ていきましょう。

 展開は4着のウインに3着のタイセイが掛かり気味に競りかけていって、結果的に36,0-23,3-34,9という中盤が極めて速いタフなラップ推移になりました。2~7F目まで綺麗に11,4~7の範疇でまとまっているのは面白いですね。
 最序盤だけ遅かった分、比較的ステイヤー的な競馬になった中で、中団でしっかり脚を溜められたシュバルツボンバーは、最低限の追走力と高い持続力を見せてきた、と言っていいと思います。

 レコード自体は超高速馬場でしたのでさほど評価する必要もないでしょうし、この勝ち方でダノンプレミアム組はやはり強い、といってもウインが負けているのでなんともですが、少なくともこの馬自身はこういう一貫ペースで、前走のように極端に要所で切れ味が問われない方がいい、というのは言えると思います。
 なので前にスローにコントロールされると厳しいタイプとは思いますが、中山のマイル戦などは噛み合いそうですし、先が楽しみな1頭ですね。

**★7/9(日) 中京5R 芝1400m戦**

 こちらは1番人気のフランケル産駒イッツパーフェクトがハイペースを刻み、早々に馬群に沈む中で、内目からあっさり突き抜けたシンデレラメイクが好時計で勝利しました。
 逃げたイッツパーフェクトにシンゼンホープが絡んでいく展開の中で、勝ったシンデレラメイクはちょうど中団くらいのイン、2着のタムロリバティはそれより後ろで進出の機会を伺っていました。

 ラップは34,6(11,53)-11,9-35,9(11,97)=1,22,4(11,77)という推移になっています。
 序盤がそこそこ速く、中盤で一息入ったもののこの次のコーナー出口で11,5とまた速いラップを踏んでおり、仕掛けの速い消耗戦で、先行馬には総じてつらい流れだったのは確かですし、後ろからでもある程度の追走力は問われていると思います。

 その中でシンデレラメイクは、やや荒れ始めたインをすいすいと追走し、外を回した先行馬を尻目に内を綺麗に回ってきてあっさり突き抜け、ラストまで他馬を寄せ付けませんでした。
 この日は前述のシュバルツボンバー含めてディープブリランテ産駒が大活躍で、この日のような超高速馬場で追走を高めに問われる展開が合う産駒が多いのかな、と感じさせます。自身のダービーがそういう馬場・競馬でしたしね。
 この馬自身もラスト2Fは減速ラップですので、極めて強い、という事はないのでしょうが、それでもこのペースへの対応と要所の加速など、総合的なスケールの大きさは感じさせるので、次が楽しみになる走りでした。

 2着のタムロも悪くない競馬でしたが、ラストで突き放されているようにこのペースでは辛いものがあったかもしれません。
 もう少し前半が緩い流れでポジションが取れるようになれば、と思いますが、すぐに未勝利で勝ち負けか、と言うとちっょと微妙に感じますし、それ以外の馬もガラッと変わってきそうな感じはあまりなかったです。
 イッツパーフェクトは名前とは裏腹に徹頭徹尾赤点、って感じの走りでしたね。どうもフランケル産駒はムラが大きいですし、欧州でも結局大レースは勝ち切れずで、ソウル以外で大した馬が出てこないなぁ、と。

**★7/9(日) 函館5R 芝1800m戦**

 人気2頭の一騎打ちになったこのレースは、クリノクーリングが最後力強く差し切って、父オルフェーヴルに初めての新馬勝ちをもたらしました。
 展開は3着のキョウエイルフィーが逃げて、それを1番人気で2着のカレンシリエージョがピタッとマークするように追走、クリノクーリングはやや離れた3番手で前を窺う格好になりました。

 ラップは37,8(12,6)-36,1(12,03)-35,8(11,93)=1,49,7(12,19)という推移でした。
 最序盤こそゆったりですが、向こう正面の残り1000m地点からペースが上がり、そこから淡々と12秒を少し切るくらいのラップでラストまで推移していて、スローからの5Fロンスパ戦になっています。
 当然ながら序盤の緩い地点でポジションを取れた方が有利ですし、残り1000mの地点でカレンとクリノの差は5馬身近くあったので、後半要素では明らかにクリノが圧倒してきたレースと見ていいと思います。

 勝ったクリノクーリングはスタートも悪くはなく、そこから前に壁を置かない単独3番手でしたが折り合いもピッタリで、オルフェの仔らしからぬ行儀のいいレースを見せてくれました。
 それでいて後半は、残り1000mからじわじわと前との差を詰めており、推定で11,7-11,6-11,9-11,9-11,7=58,8くらいのラップで走破しているように見えます。
 これは新馬としては中々にレベルの高い持久力ですし、勝ち馬もかなりしぶとく抵抗する中で、ラスト1Fでまたラップを上げてきたのも評価すべきポイントでしょう。

 半面どの地点でも鋭く動けたわけではないので、今後後半の加速度の大きなレースになった時に上手く対応できるかの不安は付き纏いますが、少なくとも持久力面では重賞クラスの威力を見せたと言えますし、こういうタイプにしてはスタートからのポジショニングセンスも悪くなさそうなので、これはかなり先が楽しみな馬ですね。
 今後もある程度自分から強気に動いて、ロンスパを作り出す競馬が合うと思いますし、上手く軌道に乗ってくればクラシック戦線まで楽しめるかなと思います。後は瞬発力が備わっていればなお良し、というところですね。

 2着のカレンシリエージョもほぼ完璧な立ち回りで、3着以下は千切っているように高い持久力を見せてくれました。
 牝馬ですし、かつスローロンスパで強い競馬が出来たというのはいかにもハービンの仔らしい結果であり、3歳春までの主戦場のマイル戦線で戦うには色々武器が足りない感もありますが、じっくりオークス路線を最大目標に育てていけば、かなり面白いところまでいけそうな気がします。
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2017 ジャパンダートダービー レース回顧

 3歳世代限定ダート路線の総決算ともいうべきジャパンダートダービーは、東京ダービーを圧勝したヒガシウィルウィンが、ここでも並み居る中央の強豪を見事に振り切っての差し切り勝ちを決めました。レースを振り返っていきましょう。

 結局昨日から雨は一滴も降らなかったようで、表記は良馬場のままでした。
 時計自体もその分昨日と大差なく、9Rが1,13,7、10Rが1,27,2という勝ち時計で、馬場の内外のバイアスもそこまで感じないフラットな条件だったと思います。
 その視座で言うと、勝ち時計の2,05,8は水準よりはやや落ちるかな?というイメージではあり、それだけ混戦模様で、かつ中央勢の中にこの条件で一気にパフォーマンスを上げてくる馬がいなかった、その間隙をついて、自身はしっかりパフォーマンスを上げてきてのヒガシウィルウィンの快勝、という感覚があります。

 展開は、外からノーブルサターンが好スタートを決めて一気に切れ込みハナを主張、内からはローズとヒガシが好スタートで番手を窺いますが、その外からサンライズソアもそこに加わってきて、ヒガシウィルウィンは一列下げて様子を見る形で入っていきます。
 更にその外からリゾネーター、ややダッシュがつかなかったシゲルコングが追い上げていき、スタートではっきり後手を踏んだサンライズノヴァは中団くらいから終始外々でじわじわポジションを上げる形、いつも通りに出足の悪かったタガノティグオは中団のインで我慢しつつ進出の機会を伺っていました。

 ラップは35,8(11,93)-50,4(12,6)-38,6(12,87)=2,05,8(12,58)という推移になりました。
 このコースですのでテンの入りがそこそこ速くなるのは普通で、ただ中盤がそこまで緩くなく、向こう正面残り1000mから一度加速、そしてコーナーで緩んで直線入り口で再び加速と、大井らしい競馬にはなっていると思います。
 ハーフで取ると62,0-63,8ですのでやや前傾度の強いレースにはなっていて、一定の追走力と後半の持久力に加え、要所での機動力、加速性能も問われていて、総合力勝負の様相が強いと考えます。

 立ち回りとしてはハイペースではあるものの先団にいた方が楽でしたし、また今日の馬場を考えると内目も普通に伸びていましたので、全体的にタイトに回ってこられた方が余裕は持てたのかな、というイメージです。
 コーナーのラップ自体は12,7-13,3とかなり落ちていて、ここの巧拙はそこまで強く問われていませんので、むしろそこから12,3まで一気に加速するところで、スタミナ性能と加速性能をしっかり発揮してきた馬が上位に来た、と感じますね。

 勝ったヒガシウィルウィンは、前走の強さは本物、という所をはっきり見せてくれましたし、鞍上もテン乗りの中で非常に冷静に進路を取れていて、人馬一体で地方の意地を見せてくれたなと思います。
 サウスヴィグラスの仔にしては珍しく、この距離でゆったり入って良さを引き出してきた馬ですし、加えて今日は好スタートからのポジショニングセンス、そこから控えてしっかり折り合える操縦性の良さ、前走に比べると1,5秒くらい速い前半の流れの中でも脚を削がれない追走力と、前半要素に関しても凄く良さが出ていました。

 3コーナーまでは内目でじっと我慢して、サンライズソアの押し上げの後ろからじわっと進出、4コーナー出口でスッとスムーズに外目を出して進路を確保し切ったのは素晴らしい立ち回りでしたし、そこで勢いを削がずに直線に向けたので、最速地点の12,3のところでも置かれる事なくじわっと前との差を詰めていました。
 かつこの馬の後半要素での最大の良さは、前走もラスト2Fを24,7でまとめてきた持久力にあり、今日も残り200mでインから出し抜いたソアとの差は1馬身半くらいありましたが、それをしっかり捉え切って、自身は12,7くらいのラップでまとめてきたのは見事な底力だったなと思います。

 この馬自身全体時計を1秒以上詰めていますし、ペースが上がっても後半要素を削がれなかった、という部分、かつ中央勢がこの条件で一気にパフォーマンスを上げてこなかった、というのもあっての戴冠ではあり、このレース自体はそこまでレベルは高くない、と感じるので、現状で古馬混合の交流重賞でどこまで、というのはあります。
 でもこの馬自身はダート馬としては小柄な中で、徐々に年明けから成長を見せてここまで強くなってきていますので、これから更なる成長、飛躍は期待できると思います。近年は交流重賞で気を吐く地方馬がめっきり少ない状況ですし、この馬にはその現状を打開する強さを身につけていって欲しいなと思いますね。
 それにしても、結果論的に言うと羽田杯を負けたのが勿体無かったですね。やはり三冠は中々達成できるものではないとも言えますが、最難関のこのレースを制しての準三冠は本当に立派な成績です。

 2着のサンライズソアは、昨日懸念していた部分が逆にプラスに転じて、かつ馬自身も距離延長で良さをある程度引き出してきたかなと感じます。
 スタートからの行き脚は上々で、2列目ポケットに早々と潜っていったあたりは賭けの要素もあったと思いますが、結果的にノーブルも一定動ける馬だったのと、コーナーで少し馬群全体が外目に膨れていく中で、綺麗に回ってきてスムーズに最内のスペースを使えたのは、色々と噛み合った部分もあります。
 でも馬自身、そこからの1秒の加速に即座に反応して鋭く伸びていましたし、最後は甘くなって差し込まれてしまったものの、持ち味は存分に発揮したレースになったかなと思います。

 ラストの止まり方を見ると、地方の馬場よりは中央の方が、と思いますし、距離は1800mくらいがベストになるのではと思います。
 ある程度前で受けて、オーバーペースにならなければ鋭く脚を使えるタイプですので、今後も安定して上位を賑わしてくると思いますし、適鞍で古馬とどこまでやれるかは見てみたいですね。

 3着タガノティグオは、やっぱりこの枠順だと立ち回りで後手後手になってしまうか、という印象ですね。
 今回は中央勢と地方勢の力差もそんなになく、結構馬群が一団で進んでいったのもあり、スタートで後手を踏んでリカバーしたくとも外に壁が犇めく格好で、中々動き出せない辛さはあったかなと思います。
 3コーナーからノヴァの後ろを通して進出はしてきていて、ここのラップ自体は遅めだったので噛み合っていない事はないと思うのですが、それでもかなり外々になった結果、直線最速地点で持ち前の鋭さを発揮し切れず、ラスト1Fは一番いい脚を使っていますが、ポジション差が響いて届かず、という惜しい結果でしたね。

 馬自身の素材としても、あそこから問答無用に持久力で突き抜けられるほどではないのは、500万戦で捲りに脚を使ってラストやや甘くなっていた一連のレースと同じメカニズムと思いますし、距離延長、重い馬場でその辺が払拭される可能性も期待していたのですが、そこまでの凄みはなかった、というところでしょうか。
 どうしても出足の鈍さは今後も弱点になってきますし、多頭数で力量差が近い相手だとこういう形での取りこぼしは多くなりそうですね。
 この世代の牡馬では、持久力面ではトップクラス(エピカリスが国内のそういう競馬でどこまでやれるかはまだ未知数な部分もあるので)とは思いますが、古馬のトップクラスにすぐ太刀打ちできるレベルではなかった、と見ていい負け方かなと思います。
 騎乗面としては、流石に抜群に上手く乗った、とは思いませんが、決して悪くはなかった、この馬の競馬は出来ていたので、結果的にはこの枠を引いた時点で厳しかった、と言えるのではないでしょうか。

 4着リゾネーターも、悪くはないけどもう一歩が足りないもどかしさは付き纏いますね。
 スタート自体はあまり良くなく、そこから促して前目前目を意識して入っていくものの2列目のやや外と、相対的にはベストではない位置取りになりましたし、3コーナーから早めに動いていくものの、やはりここでの機動力はそこまで鋭くはなかったかな、と思います。
 コーナー出口のラップが13,3なので、流石に置かれる事はなく進出出来ましたが、そこから直線の再加速で鈍さが出てしまい、ラストもバテてはいないながら伸び切れもしない、ジリジリトした脚色になってしまいました。

 馬の素材としては高いものはあるでしょうが、やっぱりこの馬に関してはラップの波がないレースでないと良さが完全に引き出しきれないタイプなのかなと改めて感じます。
 後は強いて言えば、この距離でも前半62秒のペースでやや持久力を削がれている感じもなくはなくて、また今回も騎乗としては悪くはなかったですが、馬自身に息を入れさせるタイミングを上手く作れていない感じもあったので、若手の有望株として頑張って欲しい気持ちはありつつ、一度トップジョッキーでどういう動きが出来るかは見てみたいと思ってしまいますね。

 5着ノーブルサターンは、自分の競馬は出来たのかなと思います。
 この馬自身に関して言うなら、ちょっとコーナーで引き付け過ぎたきらいはあって、勿論コーナリングが上手くなくて加速できなかった可能性もあるのですが、結果的には加速地点での鋭さで1、2着馬に劣り、総合的な持久力で3、4着馬に劣り、という感じの負け方でした。
 このペースでも自分の脚は引き出せる余地はあったと思うので、向こう正面で引き上げたところからコーナーで落とし切らずに、12秒後半で淡々と刻み切っていたら、圏内まで肉薄できたかも、とは感じますが、どうしても総合力で1枚下、というのはありますし、鞍上的にもこれ以上を望むのは難しかったかな、と思います。

 6着サンライズノヴァは、まず今日は前走以上にはっきり出負けしてしまったのは痛かったでしょう。
 その上で外々からじわっと取り付き、3~4コーナーで押し上げる王道の競馬に徹してきましたが、直線入り口の再加速地点でもう余力なく、ヒガシとの手応えの差は歴然でしたので、この結果を見るとタフな馬場と距離が合わなかったと思うしかないですね。

 個人的にはこの馬はそこはクリアできると見ていたのですが、持ち前の要所の鋭さが全く出なかった限り、持久力戦の土俵では常に1枚下げて考えるべき、と判断を修正します。前走を踏襲するなら、ダートでも切れ味と持続力水準のラップを問われてこそ、のようですし、マイルから1800mでゆったり溜める競馬で改めて真価を問いたいところです。
 前走のパフォーマンス自体は、充分古馬と戦えるレベルにあったとは思っているのですが、それを完璧に発揮できるスポットは狭い、という意味で、リゾネーターと似たようなもどかしさが今後付き纏うかもしれません。それでもこの一戦で期待値まで下げる事はないかな、とは思います。
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2017 7月第2週新馬戦ほか レース回顧(土曜編)

**★7/8(土) 福島5R 芝1200m戦**

 土日通じて絶好の良馬場だった福島の新馬戦は、フィルハーモニーが外から一気に差し切って勝ち名乗りを上げました。
 サカショウクイーンが好スタートから、内に切れ込んで同じくスタートが良かったショウナン、ダイメイあたりの進路をカットする粗さを見せつつ先頭、そのすぐ後ろに3着のジョブックコメンがつけて、外からハッピーナココロが引っ掛かり気味に押し上げて番手外に取りついていきます。

 スタートでダッシュがつかず大きく出遅れた2着のテルキーネスは、馬群の切れ目から外に出して早め早めのリカバーで、残り600m地点ではハッピーナココロの外までポジションを上げてきました。
 勝ったフィルハーモニーは追走に苦慮する感じで中団、押して押してなんとか、という感じでコーナーを迎えます。

 ラップは35,7(11,9)-35,3(11,77)=1,11,0(11,82)という推移でした。
 正直スプリント戦としてはテンの1、2F目はそんなに速くなく、結果として平均気味のバランスになっていました。
 新馬戦として勝ち時計は平凡ですが、面白いのはテルキーネスの押し上げがあり、ラップ推移としては11,8-11,6-11,5-12,2と、道中で一旦緩んで息が入るポイントがなかったところかな、と思います。
 この数字ですと、馬場条件を踏まえても切れ味面がそこまで強烈に問われてはいないとは思いますが、イメージとしてはスタートゆっくり、後半4Fくらいのロンスパ気味の勝負で、総じてスプリント戦らしくはない展開だったなと感じますね。ここで先行して上位に入った馬でも、まともなスプリントの流れでは苦労するかと思いますし、適性的には揃って距離延長の方が噛み合う印象です。

 その中でも特に勝ち馬のフィルハーモニーは、全体のレースレベルが高くなく、かつ前が比較的楽をしにくい後半勝負の形になったことで、この馬自身はラストまでスピードを維持して突き抜けた、という見立てになりますね。
 この馬自身36,3-34,7とはっきり後傾の推移ですし、残り200mで3馬身はあったので、コーナーで鋭い脚を使えているわけでもなく、おそらく自身は11,6-11,5-11,6くらい、エンジンがかかってから速めの脚を長く維持してきた、そこの性能差で勝ち切ったかな、と思います。
 なので正直時計水準同様に内容も平凡には思いますし、距離延長でポジションが取れれば面白さは出てくるかもですが、もう少しラストで伸びて最後の1Fか明確に最速、とかの資質を見せてくれてないところを踏まえると、中々上では苦戦するかな、という印象ですね。

 2着のテルキーネスは出遅れからのリカバー、という形でしたので、まず出遅れがなければ、という点は挙げられます。
 スタート直後のポジション差を鑑みれば、いくら序盤ラップが緩かったとはいえ、まともならこの馬がスプリント能力面では一番かな、と感じさせましたので、前半要素であとどれくらい詰めてこられるか、前で受けて息を入れるまともな形なら、未勝利クラスなら戦える素地はあると考えます。

**★7/8(土) 中京1R 芝1200m未勝利戦**

 ここは阪神の新馬でスロー気味に逃げて2着だったナムラバンザイが、ジュンドリームとともに速い流れを刻んでスピードで押し切る競馬を見せました。
 ラップ的には33,8-35,6と1,8秒の前傾で、かつコーナーまで緩めずテンの4Fで44,8は、この土日の中京が超高速馬場だったことを差し引いても中々のスプリント力だと思います。

 勿論この流れですので坂地点から失速はしていますが、きっちり後続の脚を削ぐレースは出来ていますし、新馬で後半要素の限界を感じさせた以上、このレースぶりが現状はべストなのではないかと感じますね。ペースの恩恵もあれど、2番手からでも競馬が出来たのも収穫です。
 流石にこの時期から函館は忙しいですが、小倉2歳あたりで内枠を引ければちょっと面白さはあると思いますね。前走も今走も坂で一気に甘くなっている感じはありますし、平坦高速馬場でハイラップで飛ばしてどこまでやれるか見てみたい馬です。

 2着のジュンドリームもこういうハイラップでの競馬が作れるなら、追走力型の強敵がいないメンバー構成になればすんなり勝ち上がれると思います。
 3着アオラニも、1200mでポジショニングは悪くなりましたが、自身ほぼ平均ペースで走破して、追走をある程度問われつつワンペースの流れの方が向いているのでしょう。前走はアマルフィの出し抜きに全く抵抗できていませんでしたしね。べストは1400mの一貫ハイペースかな、と思います。

**★7/8(土) 中京5R 芝1600m戦**

 ディープ産駒2騎が人気を分け合ったこのレースは、ダノンレジェンド、ダノングッドなどの半弟になるミッキーマインドが好位からしぶとく抜け出して初戦を飾りました。

 スタートはペイシャルアスが一番良かったですが(枠入り不良だったらしいですけどね)、それを内から人気の一角2着ロードマドリードが交わしていってハナを取り切ります。
 3着のオークヒルロッジが2列目のポケットに入り、その外目に勝ったミッキーマインドがつけて、進出の機会をじっくり窺う格好で進んでいきました。

 ラップは37,2(12,4)-25,5(12,75)-34,9(11,63)=1,37,6(12,27)という推移になっています。
 前半ゆったりで中盤もかなり緩く、新馬戦らしい後半勝負です。
 ラスト4Fは12,8-11,9-11,3-11,7と、コーナーから直線にかけて2段階での加速を問われていて、坂加速性能とそこからの持続力がある程度問われているのかな、というイメージですね。

 ただ正直、全体のレースレベルとしてはそこまでインパクトはないです。
 今週の方が確実に馬場は軽かったのでは?と思える中で、先週の新馬マイル2戦の後半推移や全体時計と見比べても突出するところはなく、素質馬の片鱗は見せたと思いますが、今後上でやっていくにはもっと成長は欲しいなと感じさせましたね。

 勝ったミッキーマインドの場合、ここは坂加速地点での切れ味の差で何とか勝った、というイメージです。
 外からじわっと押し上げる形になったのは展開的にも噛み合っていますし、画像で見ても明確に坂地点で一気に先頭に並んでいて、残り200mでは楽に突き抜けそうな雰囲気があったものの、そこからが案外でした。
 馬がまだ遊んでいる、というコメントもあったように、早め先頭で良さが出にくいタイプなのかもしれませんが、半兄達のみならず、全姉も現状芝で頭打ち、ダート路線に舵を切ってそこそこ頑張っている、という感じですので、本質的な芝適正が高くない可能性もありそうです。
 少なくともこのレースでは凄みは感じませんでしたので、前半要素で内容を高めてくるかしないと、とは思いますね。その持続性能だけ見ると、距離伸ばしてクラシック、というイメージは持ちにくいです。

 2着のロードマドリードも同様に、後半要素ではそこまで味があるとは言えませんし、血統的にも短距離色が強くなっていきそうです。
 もう少しペースを引き上げてレース全体を使ったスピード勝負の方が噛み合う印象はありますし、レースセンス自体は良さそうですので未勝利はいずれクリアできそうですが、その先を考えるなら色々試して欲しいかなと思います。
 3着オークヒルロッジは終始内々で掛かり気味でもあり、もう少し血統的にも伸び伸びした競馬が出来た方が、という感じはありましたね。ただ外目の枠で壁が作れないとガツンと行ってしまう可能性も見えたので、ちょっと乗り難しさはありそうです。

**★7/8(土) 中京6R ダート1400m戦**

 こちらは父エスポワールシチーに母父アグネスデジタルと、いかにもダートのスピード競馬が合いそうな渋い血統のマイネルオスカルが、人気をしていたワンミリオンスの半妹、レディバードをきっちり差し切りました。
 レディバードの父はスマートファルコンで、ゴールドアリュール血統も自身は今年亡くなってしまったので、今後その子供の世代に覇権争いは移っていくのだろうと、その嚆矢を見るようなレースになりましたね。

 展開は最内の4着アサクサゲンキが軽快に飛ばしていき、番手外に2着レディバード、そのすぐ後ろに勝ったマイネルオスカルがつけました。
 最後凄い脚で追い込んできた3着のドンフォルティスは出足がつかず、中団よりも後ろのインで苦しい追走になっていましたね。

 ラップは35,2(11,73)-11,9-38,7(12,9)=1,25,8(12,26)という推移になりました。
 同日最終の500万戦が35,5-11,7-37,4=1,24,6という推移でしたので、前半4Fに関しては遜色ない数字を叩き出しており、この時点での良質なポジショニング、追走力を上位はしっかり見せてきたと言えそうです。
 かつ後半は12,7-12,4-13,6と、僅かとはいえ上位2頭は坂で加速する余地を残しており、全体時計としても内容としても、今後よりパワーをつけてくればかなりダート路線で楽しめる2頭になるのではないか、と感じさせました。

 勝ったマイネルオスカルは、無論マイネルの馬ですので初戦から仕上がりも良くて、どこまで上積みがあるか、というところはありますけれど、少なくとも前半の追走に苦労している感じはなく、世代戦の内なら距離短縮でも延長でも一定対応できそうなセンスの良さを感じさせましたね。
 芝スタートも上手でしたし、基本阪神や京都の1400m戦あたりが主戦場になっていくのなら、これは面白い武器になってくるでしょう。全体時計も優秀ですし、OPまでは行ける器だと思います。

 2着のレディバードもほぼ同等の内容ですし、テンのダッシュも鋭いので、1200~1400mの未勝利でなら簡単に勝ち上がってくるはずです。
 こちらは牝馬ですのでまた路線が難しいかもしれませんが、若い内は色々可能性を試しつつ、最終的にはダートのマイル近辺で良さを発揮してくるのかな、と思いますね。

 3着のドンフォルティスは、もう少し出足が良くなれば、と思いますし、このペースでラスト1Fは明らかに前との差を詰めていて、追走力という観点ではそこまで悪くないですので、相手関係次第では1400mでも戦えると思います。
 でももう少し距離を伸ばした方が噛み合うと思いますし、1400mダートでも府中のようにダートスタートの方が良さそうですね。この馬の時計でも新馬としては水準クラスにはあると思うので、楽しみはあると感じます。

**★7/8(土) 函館5R 芝1200m戦**

 開催が進んで少しずつは時計もかかり出してきたとはいえ、まだまだ高速馬場と言える中でのこのレースは、外目から進出したウインジェルベーラがラストの鍔迫り合いを制して新馬勝ちとなりました。

 展開は、内からトランプという世相を反映したような名前の馬が逃げ(最後一気に失速するあたりになにかこう示唆を感じる向きもありつつ)、番手外に2着のアルレーサー、その外に勝ったウインジェルベーラがいて、最後追い込んで3着のホワイトサクセスがその後ろ、という隊列でした。
 
 ラップは34,9(11,63)-35,7(11,9)=1,10,6(11,78)という推移になっています。
 同日の500万下が34,4-34,4=1,08,8を出しているので、馬場自体は開幕週はともかく2週目以降さほど変化は感じなく、その中でこの時計は平凡、特にラスト12,6の失速ぶりはちょっと物足りない推移ですね。
 新馬らしくコーナーで緩んでの再加速要素もありますがその幅も大きくはなく、正直レベル面には疑問符がつく一戦だったと言えるでしょう。

 勝ったウインジェルベーラは、上手くレースの流れに乗って外目からじわっと進出出来ましたし、ラストは前がパタリと止まる中で、相対的に脚を維持できた、というところですね。
 馬自身は馬群の外目でもリラックスして走れていましたし、血統的にもう少し距離はあっても、と思うので、そのあたりで違う適性が花開けば、と思いますが、現状の内容だけでは強調できる部分はないなぁ、となってしまいます。
 そのあたりは2、3着馬も大差ないですし、勝ち上がるにも簡単ではないかなと感じますね。

**★7/8(土) 函館6R ダート1000m戦**

 ここは先行した3頭の熾烈な叩き合いになり、一番外にいたフリオーソ産駒のガウラミディがきっちり交わしての勝利になりました。正直画像だけ見てると、差し届いているように感じないんですけどね。

 展開は6頭立てと少数の中、内の3頭がはっきり出遅れるというわかりやすい形で、外の3頭が枠順そのままに先行列を形成して淡々と進めていきます。
 ラップも25,1-12,5-24,3=1,01,9と、ダートの短距離戦にあるまじき前半3Fの遅さになっていて、この先ダート1000m戦で先行できたから、という理由で2、3着馬が人気するようなら、その初戦は疑ってみてもいい、と言い切れるくらいには前半要素が問われていません。
 なので結果的に後半コーナーから直線で多少なり加速しての2F戦で、勝ち時計も最終で57,8が出る馬場と考えれば平凡、レベルの低い一戦だったと言っていいでしょう。
 勿論前半の速度が問われて良さが出てくる馬もいるでしょうが、現時点では語れる要素も少ない、というところですね。
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2017 7月第2週海外GⅠ レース回顧 

**★エクリプスS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=keNPrcDi9FY)**

 3歳馬と古馬がはじめて激突する中距離路線の伝統の一戦、エクリプスSは、直線外から追い込んだユリシスとバーニーロイの熾烈な叩き合いになり、最後はハナ差ユリシスが差し切って嬉しい初GⅠ制覇となりました。
 プリンスオブウェールズSの時はまだパワー不足か、など書いたものですが、このレースではよりしっかり脚を溜める競馬にシフトして、ラストに鋭い脚を引き出してきましたね。

 展開としては、オブライエン勢のペースメーカーが外から流れを作りに行くものの、最序盤の隊列は中々落ち着かずに出入りの激しい感じで、レース中盤手前あたりでは最内にいたクリフスオブモハーが大きく頭を上げて下がってしまうシーンなどもあり、ポジション取りの熾烈さを感じさせます。
 結局エミネントやデコレーテッドナイトが先団につけて、クリフスはその後ろのインでじっと我慢、バーニーロイはそれを見る位置で、更に後ろにユリシスという、綺麗な2列の対決が形成されて淡々と流れていた感があります。

 ラップは出ないのでペースはわかりませんが、直線向いて先行馬が伸びあぐねる中で、その後ろにいたクリフスも進路取りに苦労している間に、外目に持ち出したバーニーロイが一気に伸びて、そしてそれをマークしていたユリシスが鋭く上がってきます。
 一瞬の切れ味でスッとユリシスが前に出ますが、バーニーロイもしぶとく、斤量差を生かして最後は差し返すような形にもなっていましたね。
 3着にも最後方待機の伏兵が飛び込み、英ダービー2、4着馬は4,5着と、展開や道中の不利などを踏まえてもやや煮え切らない結果になりました。

 ユリシスは前走、早めに仕掛けて一旦は先頭か、というシーンがあったものの、最後にバテてハイランドリールは勿論、デコレーテッドにも差し返された教訓を生かしてか、とにかくこのレースでは仕掛けを遅く遅く、という意識があったように感じます。
 展開的にも外差しが嵌る格好になりましたし、バーニーロイという格好の目標が前にいた分、じっくり溜めて最高の地点で持ち前の一瞬の切れ味を引き出せたゆえの勝利、と思いました。脚の使いどころが難しい馬ですから、常に勝ち切れるタイプとは思いませんが、少なくともここ2走で、自分の競馬がしっかり出来れば最上位にも通用するのは見せてきました。
 今後2000m路線に専念するのか、距離延長も視野に入れるのかは不透明ですが、先が楽しみになる1頭なのは間違いありませんね。

 そして2着のバーニーロイは惜しい競馬でしたね。個人的にはこの馬を超応援していたので実に悔しい敗戦です。
 ここまでずっとマイル路線を使ってきた馬なので、やや道中折り合い面でギリギリ、という感じもありましたが、力みつつも直線までは辛抱できていましたし、抜け出す時の脚も力強かったなと思います。
 強いて言えばこの馬は英2000ギニーでもそうでしたが、一瞬の切れでスッと離される感じがあり、前走みたいにレコードが出るような一貫戦の方が向いているのでしょう。
 ここでも切れ味でユリシスに後れを取ったものの、最後まで諦めずにジリジリ伸びて差を詰めていますし、今回は距離延長で手探りだったのもあるでしょうから、もう少ししっかり早めに仕掛けの意識を持ってくれば、中距離路線でも面白い存在になってくれるでしょう。

 今年の3歳勢はどちらかと言うと2400mのクラシック路線がそこまでパッとせず、マイル路線の方が粒揃いの印象ですね。牡馬は特にその傾向が強い気がします。
 勿論このレースひとつだけで判断するのは早計ですが、バーニーロイ自体は1600-2000mまで問題なくこなす高い資質を見せてくれたので、この後どういうローテーションを組むかも含めて大注目したいですね。
 

**★ジャンプラ賞 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=c51-01cxV0E)**

 こちらはフランス・シャンティイでの3歳限定マイル戦になります。
 バーニーロイやチャーチルがいないレース、という事で、1番人気こそ無敗馬に譲ったものの、当然のように人気になったサンダースノーが、逃げてそのまま押し切る競馬を見せました。まあ頭数も5頭とかなり少ないですし、相手関係も楽でしたので順当勝ちでしょうね。

 馬場は少し重い条件だったようですが、それでもペースはスローもスロー。
 前半1000mまでが65,4で、そこから11,5-10,9-11,0くらいのラップ推移(追記、レース画像内のゴールタイムはやっぱり訂正されているみたいです。確かに時計止まるの遅くない?とは思ったんですよね。。。)、直線で一気に加速して瞬発力の質を強く問われたレースになっています。
 サンダースノー自体が本来ここまで仕掛けの遅い切れ味勝負に向いているか、と言われると微妙な気もしますが、このレースに関しては余力を残したままの完勝、という事でいいと思いますし、今後改めてマイル路線の混合戦で戦っていくのに、これをきっかけにもう一段の成長があれば、と思いますね。

 2着馬もラストはいい脚で追い込んできましたし、この日はポジショニングの差で負けた感じですので、改めてまともな流れのレースで真価を問いたいですね。

**★ベルモントダービー招待ステークス [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=bS1MjSTGWmU)**

 正直アメリカの芝レースまではほぼ好きな馬以外追い掛けていないのですが、このレースは日本産のハーツクライ産駒・その名もずばりヨシダが1番人気に推されていたレースでしたので、折角だから取り上げてみました。
 レース自体は2歳芝チャンピオンの勝ち馬が逃げてそのまま押し切り、ヨシダは3~4番手から直線で伸び切れず最後は失速して5着という結果になっています。

 このレースは、同日開催で同距離の[ベルモントオークス](https://www.youtube.com/watch?v=2C-M5hFTwRk)(折角ですのでこちらもレース映像だけ貼っておきます)に比べ、アメリカらしからぬ極端なスローペースでした。
 1200m通過が1,14,37と、オークスに比べて3秒も遅く、そこから22,98-22,90と、後半4Fの平均ラップが11,47、明確に後半4Fでの機動力と持続力勝負になっていると見做せます。

 かつアメリカの芝コースはダートの内側で小回りなので(ベルモントはそれでも広い方ですが)、コーナーから加速していって、直線350mあまりでもおそらくその入り口で勝ち馬がかなり鋭く伸びている感じの中で、不器用さが出やすいハーツの仔では、という感じですね。
 アメリカの芝レースはどうしても高速馬場であっても小回りならではの前半の追走力・コーナーの機動力が問われやすいので、この血統でどこまでやれるかは注目して追いかけていきたいところです。

 ちなみにこのレースは招待制でもあり、今年もサトノアレスが視野に入れていたことでも記憶にあるかと思います。
 賞金もかなり高めですし、今後は距離適性面がより重視されて、いつぞやのアンビシャスのようにトライアルを勝ってもダービー回避、なんてパターンも増えてきそうですから、そういう中距離まで、というイメージの馬の受け皿として面白いレースにならないかな?とは思いますね。馬券発売もあることで、向こうからの誘致もより積極的になるでしょうし、小気味よく先行できる馬が出れば充分勝負になると思います。
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2017 プロキオンS・七夕賞 レース回顧

**★プロキオンS**

 昨日に引き続き、熱波で陽炎が浮かび上がりそうな馬場で開催されたプロキオンSは、常に堅実な走りを見せ続けてきたキングズガードが見事に差し切り、嬉しい初重賞制覇を飾りました。レースを振り返っていきましょう。

 この時期はダート戦が少ないのでなんともですが、午前中の未勝利戦でも1,24,7が出ていたので、良馬場としては比較的軽めではあったと見てもいいとは思います。

 展開は、外からレヴァンテライオンが好スタート、それに内からトウケイタイガーが競りかけていき先頭、内からきゴーインググレート、外からナンチンノンやウォータールルドなどが先団に取りついていきました。
 チャーリーブレイヴは外から来られて怯むようなところもあり少し下げながら、ベストマッチョとアキトクレッセントはスタートが今一歩の上にペースも速くて中団のやや前くらいでの追走になります。
 メイショウウタゲはインからリカバーしつつ中団、ブライトラインがその外で、イーデンホールを外に置いてカフジテイク、キングズガードは一番内目に潜り込んで虎視眈々と進出の機会を伺っていました。

 ラップは34,1(11,7)-11,8-36,9(12,3)=1,22,9(11,84)という推移でした。
 予想よりも先行争いは激しくなって、前傾度合い2,8秒とかなりのハイペースになりましたね。ラップ的にも後半は11,8-12,1-12,4-12,4と加速地点がひとつもない一貫消耗戦で、後方からでもかなり高い追走力は問われましたし、その上で要所の立ち回りや持久力性能が強めに問われたレースかな、と思います。

 勝ったキングズガードは、ここまで綺麗に嵌ることはないだろう、と思っていましたが、嵌りましたね。。。
 ただそれは、鞍上が最初から勝負ゾーンであるインに拘って、前が空かなかったら仕方ない、と腹を括って進めていったから、ではありますし、この外目の枠から最内を通し、綺麗に馬群を割ってくるのは見事なコース取りでした。まぁそれで進路取りが強引で過怠金取られていなければなお良かった、という話ではありますが。

 馬自身は芝スタートでペースが上がっても追走面には余裕を持って入れるタイプですし、前が空いたところでスッと反応できるのも強みで、抜け出してくる時の小気味よいピッチ走法は印象的でしたね。
 今回は前傾型の強敵がほぼいなかった、という点はあり、例えば去年みたいにノボやニシケンがいたら、このラップでも前々で押し切られていた、と考えることは出来ます。時計面も流れ切った割にはもうひとつ、という印象もありますしね。
 結果的に去年のプロキオンS上位馬で決まっているところも含めて、やはりコース適性は鍵を握る舞台だなと思いますし、その中で最高に噛み合った競馬が出来たと思います。

 2着のカフジテイクも、いつもの大外ぶん回しでなく、馬群の中からしっかり外に出して脚を伸ばす小器用な競馬を試みて、一定の結果を出してきたのは今後を考えるとプラスでしょう。
 今日のレースに関してはどうしてもドバイ明けで完調、とはいかなかったでしょうし、こういう一貫減速戦の流れの中では、キングズと比較して考えると追走面でちょっと厳しさはあったかな、と感じます。この馬のベストはやはり、ある程度再加速戦の中で、自身も足を溜め切れて、その最速地点でより切れる脚を使って、というパターンになってくると考えますし、この負け方は悪いものではないと思います。

 この馬も戒告貰っているように、差し追い込み馬が外に出す過程でごちゃつく所もあったレースですが、特に不利はなかったので今日の時点では力負け、ただやはり本領は府中でこそ、の馬ですので、そのあたりは加味しつつ、今後もこの馬らしい切れ味をしっかり引き出す騎乗を心がけて欲しいですね。

 3着ブライトラインは、実質的にはかなり強い競馬をしての3着だなとは思っています。
 残り600m地点手前から外々を通して押し上げており、まだその時点ではペースは落ち切っていなかったので、これは通したコースの差も含めて中々のロスにはなっていたと感じます。
 それでもしっかりコーナーで勢いを殺さずに直線に入って、坂地点でも実質減速はしつつしっかり粘り込んで前は捉えていて、コーナーで楽をしていたキングズとカフジに差し込まれるのはやむを得ない展開だったかな、と思いますね。
 やはりまだまだ実力は衰えていないですし、このペースで自分から動いていけるように追走力は高く、スプリント色が強く出てきているので、賞金的に可能ならJBCスプリントで見てみたい1頭ですね。

 4着ゴーインググレートは驚きましたが、この流れを内々で追走してバテ切ることなくしっかり粘れていて、こういう追走力を強く問われる競馬で久々に良さが出たのかな、とは思います。
 基本的にこのペースでも、ここまで先行馬が総崩れになるのはダート戦としては珍しい光景ですし、その中では気炎を吐いた、と見ていいでしょうが、じゃあ次は、と言えるかと言うとそこは微妙な感じはありますね。

 5着メイショウウタゲは、やっぱりちょっと追走で汲々としている感はあって、カフジあたりと一緒に上手く立ち回ってきましたけれど、ラストの反応が今一歩だったのは前半で削がれた分、と考えたいですね。
 1400mだと流れ切っては苦しい、というのは見て取れたので、今後は主戦場の1600m、1800mあたりで、しっかり持久力を生かす競馬をしてくれば、重賞路線でも楽しみはあると感じました。

**★七夕賞**

 予想以上の激流となった荒れる七夕賞は、早めに抜け出したマイネルフロストをしぶとくゼーヴィントが差し切り、コース巧者ぶりを見せつけての重賞2勝目を飾り、秋の飛躍をはっきりと予感させました。レースを振り返りましょう。

 馬場は9Rの500万下2000m戦でも、ハイペースで勝ち馬ぶっちぎりとはいえ1,58,8が出ていますので、むしろこのレースの1,58,2も、ペースを考えるとちょっと物足りないか、くらいの水準、高速馬場ではあったと思います。

 展開はいつものようにマルターズアポジーが楽逃げ、と思いきや、内から積極的にフェイマスエンドが出していって譲らず、結局外からアポジーがハナを取り切るまでにかなりペースアップする事になります。
 そこで一度勢いをつけた分、道中も落とすタイミングを見つけられないまま縦長の展開になって、フェイマスエンドのすぐ後ろにヴォージュとマイネルフロスト、中団にタツゴウゲキやフェルメッツァがつけて、人気のゼーヴィントはその後ろ、ソールインパクトは後方からで、スズカデヴィアスはダッシュつかず後方でポツンと待機策になりました。

 ラップは33,9(11,3)-47,7(11,93)-36,6(12,2)=1,58,2(11,82)という推移になりました。
 見ての通りに最序盤がえぐいレベルで速く、中盤もさほど緩むことなく淡々と流れていて、ハーフでも58,0-60,2とかなりの前傾ラップが刻まれています。
 かつ、3コーナーからマイネルフロストが強気に前を捕まえにいったことで、レースの仕掛け自体も800-600m地点の11,6が最速となっていて、非常に高い追走力と持久力が問われたレースだったと見ていいでしょう。正直想定と真逆に近い展開になってしまったので、これははっきりお手上げでしたね。

 勝ったゼーヴィントは、しかしこのペースでもポジショニング的には厳しいながら、最後まで脚を残せる追走力の高さは流石と言えます。
 無論差し込めたのはフロストが本質的に持久型ではなく、ラスト12,9と激しく消耗している故の面もありますが、それでもこの馬自身しっかりコーナーから押し上げてきていますし、こんな風に極端に速いラップを問われない中でなら、長くいい脚をしっかり使ってくるなと改めて認識しました。
 もう少しペースが落ち着けばポジショニングもこなせる馬ですし、大舞台で勝ち切るにはまだひとつ武器が足りない感じはありますが、ここはしっかり一息入れて王道的な路線、サマー2000を狙うにしても札幌記念あたりで強い馬とぶつけて欲しいなと感じましたね。

 2着のマイネルフロストに関しては、この馬がこんな厳しい流れからの持久力戦で結果を出してくるとは思っていなかったので驚きです。
 基本的に上がりに限界はあれ、必ず鋭く一足は使う馬で、スローの方が絶対にいい、という認識でしたので、それが根底からひっくり返る追走面での強み、機動力を見せてきていて、これは甘く見て申し訳ありませんでした、としか言えませんね。
 結果的に夏馬っぽさはありますし、逆にここまで振り切れてハイペースで、他に追走面で強みのある先行勢がいなかった、という考え方も出来るラストのラップですが(グランデッツァ的な馬がいたらもっと圧勝していた気がするので)、ここで好走スポットの幅を広げてきたのは面白い要素ですね。
 この馬はサマー2000狙いになるでしょうが、今の充実度なら斤量が重くなっても一定戦えるのではないかと感じさせました。

 3着ソールインパクトは、展開的にかなり楽が出来る位置にいましたし、前はコーナーから徐々に落とす流れではあったので、そこまで動き出しを我慢して、という競馬が噛み合ったのは間違いありません。
 勝ちに行っての3着とは思わないので、まだ上位とは力の差はあると思いますが、どんなペースでも食い込んでくる堅実さは流石でしたし、またコツコツ自己条件から頑張って欲しいですねる

 4着スズカデヴィアスも、この展開で前半完全に死んだふりだったとはいえよく差し込んでこられたな、とは思います。
 元々夏負けかも、というコメントも出ていましたし、そのせいで無理させないのかな?という感じのポツンでしたが、これだけ流れてくれればあの位置でもプラスに転じることになりますし、最後脚勢が鈍ったのは体調の分、と考えれば、持久力戦の土俵でも一定の存在感は見せたと言えるでしょう。どこかで綺麗に差しが嵌る場面はあっても、と感じますね。

 ヴォージュに関しては、戦前にも唯一懸念していた、流れ切ってしまった時の追走面の不安がはっきり顕在化したかな、と思いますし、その上で外から延々フロストに被せられる展開も厳しかったと言えるでしょう。
 コメントにも臆病な所がある、なんて出ていましたし、そのあたりメンバーが強くなっての難しさかもですが、素材そのものはまず重賞を勝ち負けできるレベルと思っているので、2000m戦でももう少しゆったり入れそうな条件なら改めて狙ってみたいとは思っています。
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私的名馬列伝 第九話 グラスワンダー

**★はじめに**

 ちょっと宝塚記念からタイミングがずれてしまいましたが、今回取り上げるのは栗毛の怪物と称され、エルコンドルパサー・スペシャルウィークなどと最強の座をかけて鎬を削った最強世代の一角、グラスワンダーです。

 デビュー前に怪物、と叫ばれる馬は多いものの、いざデビューしてみると案外、などという事もしょっちゅうの競馬シーンですが、この馬はその中でも希少種の、デビュー前の期待をその走りで更に上回ってきた名馬でした。
 [生涯通算成績](https://keiba.yahoo.co.jp/directory/horse/1995108676/)は15戦9勝、勝つときは本当に強いながら、負ける時は淡泊に馬群に沈むような極端さもあり、その体質の弱さも相俟って掴みどころのない馬とも言えます。
 最初の骨折以降は、万全の状態でレースに出られたことがない、など嘯かれながらも、グランプリレース3連勝などの輝かしい偉業を成し遂げた当馬の波乱万丈な競走馬の歴史、その能力の神髄を、当時の印象などと併せて改めて振り返っていきたいと思います。
 
 なお、年齢表記は当時の基準に従っています。

**★新馬~朝日杯3歳S <怪物の名を恣に>**

 今にして思えば、いわゆるマル外、と呼ばれる外国産馬が国内の大レースで猛威を振るったのは、この馬とエルコンドルパサーが活躍した時期が最後だったようにも思えます。
 勿論その後もクロフネやアグネスデジタルなど、散発的に強い外国産馬は出てきましたが、それ以上にサンデーの出現で国内産の血統、能力レベルが底上げされて、規制を掛けないと太刀打ちできない、というほどの強さを発揮する馬は出てこなくなりました。

 そんなマル外全盛時代の掉尾を飾る1頭のグラスワンダーは、デビュー前から調教などで抜群の動きを見せ、これは規格外の馬ではないか、と巷間で囁かれるほどにその存在が際立っていました。
 デビュー戦は中山の1800m戦、この時代はまだ折り返しの新馬戦、という言葉が死語でない時代ですので、相手の中にはレース経験馬もいましたが、そんなものは全く関係ない、とばかりに、やや出遅れるものの素早くリカバーし2番手からレースを進め、直線坂地点であっさり抜け出して3馬身差と、評判に違わぬ強さを見せつけます。

 そして、いよいよこの馬は本物だと盛り上がったのが2戦目のアイビーSでした。
 ここでもやや立ち遅れて中団より後ろからの競馬になったグラスワンダーですが、直線を向くと豪脚を発揮し、坂地点で楽々先頭に立つと後は突き放す一方、5馬身差の圧勝でその強さを誇示し、このあたりから怪物、という呼称が定着していきます。

 次走の京王杯3歳Sでは、新潟と小倉の3歳ステークスチャンピオンなどを向こうに回しながらも圧倒的な人気となり、このレースでは内枠からしっかりスタートも決めて楽々2番手を確保、直線もほぼ追うところなしに楽に突き抜けて6馬身差と、手に負えない強さで3歳チャンピオン決定戦の[朝日杯3歳S](https://www.youtube.com/watch?v=G4m3yYoDi5Y)に駒を進めます。
 ここでも、マイネルラヴ、アグネスワールド、ボールドエンペラーなどの後々の活躍馬を向こうに回し、まずまずのスタートから中団を追走、前半1000m57,1の激流にも戸惑うことなく4コーナーでは抜群の手応えで上がっていき、直線で先に抜け出したマイネルラヴを楽に捕まえての圧勝でした。

 このレースは同時に、はじめて3歳馬がマイル戦で1分34秒の壁を超えたレースとしても記憶されます。
 この時計が決して馬場に恵まれたものではないのは、同日1600万下のマイル戦が、やはりそれなりの急流でありながら1,34,3止まりだったことでも間接的に証明されます。
 この若駒の時点で、数字的にも明らかに古馬重賞クラスの走りを見せてきたグラスワンダーが、今になっても史上最強の3歳(現2歳)馬と呼ばれるのも決して違和感はない、記憶にも記録にも残る走りでファンを魅了したものでした。

 しかし、好事魔多し。
 翌年春の飛躍を期待され、まずはNHKマイルCに向けて調整されていたグラスワンダーですが、春先に骨折が発覚し、無念の戦線離脱となったのです。
 この年のNHKマイルCは、こちらも規格外の化け物だったエルコンドルパサーが、4角からの早仕掛けをものともせず押し切る凄みのある競馬を見せていて、この時点でグラスワンダーと対決していたらどちらが強かったのか?また的場Jがどちらを選んでいたのか?というのは、今になって考えてもワクワクするファクターです。
 私見としては、この2頭は最適距離が違ったと思っているので、基本マイルならグラスの方が強かったとは思っています。ただし府中というコース自体は持続力に長けたエルコンドルパサー向きなので、結局結論の出ない話ではありますね。

**★毎日王冠~有馬記念 <挫折からの鮮烈な復活>**

 骨折も癒えて、満を持してターフに戻ってきたグラスワンダーが復帰初戦に選んだのは、前回サイレンススズカの項でも紹介した、伝説のGⅡと語り継がれるあの毎日王冠でした。
 このレースを選んだ経緯としては、後々の事を考えて早めにエルコンドルパサーとぶつけて、主戦確保をはっきりさせたいという思惑があったとかも噂されましたが、渦中の的場Jはグラスワンダーを選択し、エルコンドルパサーの鞍上には新たに蛯名Jが迎えられての一戦になりました。

 そのあたりの事情も含めてか、このレースのグラスワンダーは、最強の逃げ馬であるサイレンススズカに対し真っ向勝負を仕掛けていきます。
 前半1000m57,7の速い流れを前目で追走し、4コーナーで一気に進出して射程圏に捉え、いざ直線どれだけ弾けるか!?と多くのファンが復活を期待しましたが、現実はそう甘くはありませんでした。
 流石に骨折明けの影響が大きかったのか、いつもならグンと加速する坂地点で伸びあぐね失速、当面のライバルエルコンドルパサーには勿論、最後は伏兵勢にも交わされて5着と、生涯はじめての敗戦を喫する事になります。

 しかし敗れたとはいえ、古馬最強のサイレンススズカに果敢に挑んだレースぶりは評価され、怪物の片鱗は見せた、とフォローされる形で、その能力に対する信頼は揺るがず、次走に選んだ一気の距離延長となるアルゼンチン共和国杯でも1番人気に支持されます。
 陣営も叩き2戦目のここは落とせない、と背水の陣を引いて臨んだ一戦でしたが、しかし好位の3~4番手からレースを進めたグラスワンダーは、一時は馬群から抜け出してくるものの、直線坂上でパタリと足が止まってしまい、ゴール前で外差し勢に一気に飲み込まれてしまって6着と、3歳時の圧倒的な走りを知るものからすればなんとも不甲斐無い、もどかしい結果に終わってしまいます。

 流石にこの敗戦で神話も翳りを見せ、或いはグラスワンダーはただの早熟馬だったのではないか?と囁かれるようになる中、それでも陣営は復活を信じ、年末のグランプリ、[有馬記念](https://www.youtube.com/watch?v=qs6wSEhqdOs)への参戦を決意します。
 錚々たる名馬が出揃ったここでは、いかにグラスワンダーでも人気を落として4番人気での出走となりますが、その見限りぶりを嘲笑うかのように、ここでは鮮やかなレースぶりを見せます。

 中山2500mでは有利になる2番枠からいいスタートを決めたグラスワンダーは、他馬が荒れた内を嫌って外目外目を走る中、スイスイと内目のコースから楽に追走していきます。
 菊花賞馬セイウンスカイが大きく離して逃げる展開の中で、3コーナーから徐々に進出を始めたグラスワンダーは、4コーナーでの勢い、手応えも抜群で、坂下で一気に同世代のライバルセイウンスカイを交わし去り、古豪メジロブライトの強襲も楽々凌いで、叩き3戦目の有馬記念という大舞台で高らかに復活の凱歌を上げたのです。

 エルコンドルパサーが楽々JCを勝った中で、それでもこの馬を的場Jが選択した事は決して間違いではなかった、むしろそれはどちらを選んでも正解の極限の選択だったことを、改めて満天下に知らしめて、ここからグラスワンダーの第二次活躍期が幕を上げる事になるのでした。

**★京王杯スプリングC~宝塚記念 <震撼せし最強の証明>**

 明け5歳、鮮烈な復活を遂げて益々の飛躍が期待されたグラスワンダーですが、いくつかの頓挫があり、結局復帰戦は春も盛りを過ぎた5月の京王杯スプリングCまでずれ込んでしまいます。
 有馬記念の2500mから、一気に1100mも距離を短縮しての1400m戦に懸念の声も上がるものの、しかしここでのグラスワンダーは間違いなく3歳時の怪物ぶりを取り戻していました。

 流石に久々の短距離戦でポジショニングは悪くなり、ペースとしてはややスローの中でほぼ中団の位置からの追走になり、結果的に先行した馬が上位を独占する流れの中で、しかしこの馬1頭だけ別次元の末脚を発揮します。
 直線外に持ち出したグラスワンダーは、当時では極限的な上がり33,3の切れ味を駆使し、内で粘る後の安田記念・マイルチャンピオンシップの覇者エアジハードを楽々交わし去ってみせたのです。

 この、古馬になっても距離不問の爆発力を見せつけられたことで、次走の安田記念では更なる一本被りの圧倒的人気に推されますが、しかしここでは思わぬ落とし穴が待ち受けていました。
 中目の枠から中団にポジションを取ったグラスワンダーですが、向こう正面の出口あたりで外国馬と接触し、それをゴーサインと勘違いして早め早めに進出してしまう事になり、直線でも坂下で早くも先頭と、後続の目標にされやすい競馬を強いられます。
 そしてその隙を見逃さなかったのが、前走の雪辱を狙うエアジハードでした。
 きっちりグラスの背後に張り付いていた同馬は、直線坂上からジリジリと追撃を開始し、必死に粘り込みを図るグラスワンダーを最後の最後でハナ差交わし去り、見事ジャイアントキリングを成し遂げたのです。

 結果的に見てエアジハードも、活躍時期が短かったものの歴史的名馬と呼んでいい能力の持ち主でしたが、それでも古馬になっての最盛期と言える5歳時の輝かしい戦歴に唯一土をつけられたのには、レースプランの瓦解、というファクターが大きく作用している事は確かなのでしょう。
 この先グラスワンダーは左回りのレースが嫌いになった、という的場Jの証言が、どこまで的を射ていたのかは何とも言えないところはあります。個人的にはそもそも府中向きの馬ではなかったと考えているのですが、そのあたりは能力分析に回すとして、どうあれ確勝と思われていたレースを落とした影響は、次の[宝塚記念](https://www.youtube.com/watch?v=fRKBeK3Kr4I)での2強対決において、オッズ差に顕著に表れることになります。

 この年のスペシャルウィークは、前年秋の菊花賞・JCの脆さが嘘のような快進撃を続けていました。
 ダービー馬としては異例のAJCCからの始動、その中で今までと違う先行脚質を確立し、春の天皇賞では前を行くライバルセイウンスカイを早々に交わし去り、後ろから漁夫の利を狙うメジロブライトを凌ぎ切るという、前年有馬のグラスワンダーと同じようなパフォーマンスを見せて圧勝して、破竹の勢いを保ったまま宝塚記念に駒を進めてきたのです。
 エルコンドルパサーが海外に渡った今、JCのリベンジの舞台は世界最高峰のレース・凱旋門賞しかないと的を定め、このレースで国内最強を誇示できたなら遠征プランが現実味を帯びる、というところで、安田の捲土重来を図るグラスワンダーにとっても、実力面でも世論的な意味でも大きな壁として立ちはだかっていました。

 最終的にスペシャルウィーク1,5倍、グラスワンダー2,8倍という単勝オッズでのレースになりますが、しかしグラスワンダーという馬は或いは新聞でも読めたのか、人気がない時の方が圧巻の走りを見せるというところがありました。
 或いはそれは、現役時代屈指のマーク屋として名を馳せた的場Jのタクト故かもですが、ここでもスペシャルウィークが前々から強気の競馬を展開する中、それをピタリとマークする戦法に出ます。
 3コーナーから進出し、早め先頭で押し切りを狙うスぺシャルウィークに対し、ただ1頭だけ楽な手応えで追撃してきたグラスワンダーは、直線半ばでライバルを悠々と交わし去り、3馬身という決定的な差をつけて完勝してみせたのです。

 このレースのスペシャルウィークが弱かったわけではないのは、3着の物差し馬ステイゴールドに7馬身の大差をつけているところからも明らかで、それを粉砕したグラスワンダーの圧倒的な破壊力は見たものを震撼させるもので、間違いなく力を出し切れば国内最強はこちらだ、と思わせるに充分なパフォーマンスでした。

**★毎日王冠~有馬記念 <チャンピオンの矜持>**

 宝塚記念の勝利で、スペシャルウィーク陣営の野望も粉砕し、改めて国内最強の座を獲得したグラスワンダーは、秋は古馬王道路線を目指して毎日王冠から始動します。
 ここでは斤量も59kgを背負い、仕上げもそこまで良くはない、と感じさせる中で、直線坂上で抜け出すも、伏兵メイショウオウドウの強襲にハナ差まで迫られる薄氷の勝利となりました。
 同時期に行われた京都大賞典で、スペシャルウィークが不可解な惨敗を喫しているように、宝塚記念の激走のダメージがこの秋シーズンにも影響を及ぼしているのか、と思わせる2強の出だしでしたが、その後立て直して秋天・JCと連勝したスペシャルに対し、こちらはまた足元の不安が出て休養を余儀なくされてしまいます。

 ライバルが改めて王道路線で強さを示し、まだ勝負付けは済んでいないと獅子吼する中で、懸命の調整を続けたグラスワンダーは、万全とは程遠いながらもなんとかディフェンディングチャンピオンとして、[有馬記念](https://www.youtube.com/watch?v=0oc56wcg-TE)の出走に漕ぎ着けます。
 その臨戦過程の不安さもありながら、春の宝塚の圧勝が尾を引いたのか、ここでは僅差ながらグラスワンダーが1番人気に支持され、秋の古馬王道路線3連勝の偉業を目前にしたスペシャルウィークとの2度目の激突が幕を開けます。

 戦前から逃げ馬不在が囁かれる中、レースは空前のスローペースでの展開になり、しかしややスタートで後手を踏んだグラスワンダーは後方3番手あたりからの苦しい競馬になります。
 しかしこのレースでは、そのゆったりした流れの中で、3番という好枠を引いていたスペシャルウィークが、敢えて枠順の利を捨て、最後方に位置した事が観衆にとっても最大の驚きだったでしょう。
 秋天こそ後方差しにスタイルを戻して復活したものの、JCでは中団から堂々抜け出す王者の競馬を見せていただけに、ここもある程度の位置を取ると目されていましたが、武Jは敢えて敵は1頭だけ、どんな流れでも関係ないとばかりに、グラスワンダーをがっちりマークする競馬を選択したのです。

 向こう正面まで淡々とした遅い流れで進み、馬群が凝縮していく中で、3コーナー過ぎからグラスワンダーは、内にいたツルマルツヨシの進出に呼応する形で外々から一気に押し上げていき、4コーナー出口ではほぼ先頭というレースを披露します。
 それを真後ろでピタリとマークしていたスペシャルウィークは、直線坂下から待ってましたとばかりに追い出して、一歩ずつグラスとの差を詰めていきます。
 内でツルマルや、翌年古馬グランドスラムの大偉業を達成するテイエムオペラオーなども粘っている中で、グラスはいつもほどの末脚を見せられずもがくものの、それでもチャンピオンの矜持を見せて最後の最後までしぶとく抵抗します。
 半馬身、首、頭、ハナ――――1完歩ずつ詰まっていくスペシャルとの差、その馬体が完全に並び、差し切られたか、という所でゴール板を迎え、このスローペースにも拘らず後方からワンツーを決めた2強の凄みが改めて満天下に示されるとともに、その最終的な決着は写真判定に持ち込まれます。

 勝利を確信したかのようにウイニングランを敢行するスペシャルウィーク武Jに対し、早々と装鞍所に引き上げてきたグラスワンダー的場Jですが、数分に渡る写真判定の結果は、なんと僅か4cmの差でグラスワンダーに軍配が上がっていました。
 文字通り紙一重の死闘、どちらに天運が転んでも不思議はなかった、素晴らしい名レースでした。
 結果論的に言う事を許されるなら、もしもグラスワンダーという馬がいなければ、スペシャルウィークはオペラオーに先駆けること1年、古馬王道路線完全制覇という偉業を達成していたとも言えて、それだけ伯仲した実力の中で、決して大きな舞台では取りこぼすことなく最強クラスの馬が最強の座を守り続けたことが、この世代を最強世代と長く呼ばせる大きな理由になっているのでしょう。

**★日経賞~宝塚記念 <怪物の黄昏>**

 海を渡り、凱旋門賞で僅差の2着という輝かしい実績を上げたエルコンドルパサー、前年古馬王道路線の絶対的な主役を務め切ったスペシャルウィークが引退する中で、グラスワンダーだけは更に現役生活を延長し、下の世代の高い壁として君臨する、はずでした。

 しかし前年のスペシャルウィークとの死闘で燃え尽きてしまったのか、この6歳春のグラスワンダーは、今までの怪物ぶりが嘘のような凡走を繰り返すことになります。
 復帰戦は有馬記念と同じ舞台の日経賞でしたが、しかしパドックに出てきたグラスワンダーを見て、あちこちから疑義の声が上がったのは今でも鮮明に覚えています。
 なにしろ前年の有馬記念の時点で+12kgとかなり立派に見せていた馬体が、そこから更に+18kgとなっていて、それが成長分、という感じもなく、文字通り完全な太目残りが素人目にも明らかだったのです。

 それこそ「牛」だなどという揶揄すら飛び交う中で、レースでもその印象通り、圧倒的な人気を背負いつつも中団からまるで動けず、伏兵レオリュウホウに楽々逃げ切りを許す、6着惨敗という不甲斐無い結果となってしまいました。
 正直このレースに至るまでの出走経緯まで記憶にないのですが、あの馬体を見る限りはまともに調整できていなかったのは確かでしょうし、それが馬のメンタル面なのか、それとも陣営の傲りだったのか、ともあれグラスワンダーの6歳シーズンにはにわかに暗雲が漂う事となりました。

 流石にあの結果を受けて陣営も立て直しに必死になったのか、次走に選択した京王杯スプリングCでは-20kgと馬体をかなり絞ってきましたが、それでも5歳時は500kg前後の場体重で安定して走っていたこの馬にとってはまだ重め残りだったか、或いはやはりメンタル面や府中苦手要因が重なったか、スタートから行きっぷりも悪く、進路取りにまずさもあったにせよ、前年に見せた鮮やか過ぎる豪脚の面影は片鱗すらも見せられずの9着惨敗でした。

 この敗戦を受けて、それまでデビューからずっと手綱を取り続けてきた的場Jが降板となります。
 カンフル剤としての騎手変更で白羽の矢が立ったのは、エルコンドルパサー絡みでこの馬とも因縁深い蛯名J、そして得意のグランプリの舞台で復活を期し、必死の調整が続けられました。
 かくしてグランプリ4連覇の偉業をかけて臨んだ宝塚記念ですが、しかし一度狂った歯車は最後まで軋みを上げたままでした。

 雨が降りそぼる中の決戦になった宝塚記念は、天皇賞まで3連勝でチャンピオンホースとしての風格を纏ったテイエムオペラオーが中心視される中、先行するこの馬をグラスワンダーお得意のマーク作戦で追走する事になります。
 しかし勝負所の4コーナーで普段の行きっぷりが全く見られず、直線を向いて必死に追われるものの伸びる気配はなく、前年10馬身差をつけていたステイゴールドにも楽々交わされての6着、しかもレース後に蛯名Jが下馬し、骨折が発覚してそのまま引退を余儀なくされるという、これだけの名馬としては非常に寂しい晩年の競争生活となってしまったのです。

 このレースでは骨折さえなければ、と言われる事もありましたが、私見ではもうこの時点で馬自身に活力が残っていなかったのは確かだと思いますし、展開的にもテイエムに勝ち切れるような条件ではなかったなと感じています。
 その辺は能力分析で触れていきますが、ともあれ結果的に蛇足、輝かしい競争生活に傷をつける結果となった6歳シーズン、志半ばで満身創痍のグラスワンダーはターフを去っていったのでした。

**★能力分析**

 この馬に関しては、本当に馬の調子自体が安定していなかった、というのは確かだと思いますので、他の馬に比べてもレース成績そのもので資質を図る、というのが難しいところはあると感じます。
 ただある程度結論的に先出ししてしまえば、この馬はどんな展開でも一定強かったものの、本当に最大級の強さを発揮できるスポット自体はそんなに広くなく、総じて言えば後半型、かつ機動力の高さと瞬発力が最大の武器で、仕掛けどころが遅いほどそれは威力を発揮した、と考えます。

 これは3歳時からある程度その要素は見せていると思っていて、個人的に3歳時で一番強かった印象があるのがアイビーSなのも含めて、前半速い流れに乗っかっていく展開はそこまで得意ではなかったのではないか?という仮説が立てられます。
 朝日杯は確かに強かったですが、でも実のところそこまでの一連のレースをリアルタイムで見ていた人にとっては、あれ?こんなもの?と感じた部分も結構あったのではないか、と思いますし、実際後付けでタイムやらを見れば凄みはあるのですが、もっと強いはずと私は思っていました。

 それも結局のところ、あのレースが自身の通過で58,2(11,64)-35,4(11,8)と、実質的に前傾ラップで走破している故に、最大の武器であるコーナーの機動力とそれに伴う瞬発力が最大限に生かし切れなかった、と考えられます。
 とにかくこの馬はコーナーでの機動力が群を抜いて優れていて、けれどそこでの加速力は凄まじいながら、持続力自体は一線級に入ると絶品、というほどではなく、それだけにレース自体の仕掛けが速い展開ではあまり噛み合わなかった、という見立ては出来るでしょう。

 結果的に府中よりも阪神内回りや中山の方が安定して強かったのも、仕掛けどころのコーナーを抜けてからの直線の短さに起因するところは大きいと思いますし、府中で強いレースが出来ている時は大抵400-200mの坂地点で最速ラップを踏んでいます。
 5歳時の京王杯スプリングCなどは顕著で、自身47,2(11,8)-33,3(11,1)と明確な後傾ラップを刻み、そうやって前半余裕を持って入ることで、後半のレースラップが11,8-10,8-11,5と、坂地点での加速力、切れ味の質が高く問われる展開で、その最速地点ではっきり差を詰めているように、他を凌駕する爆発的な切れ味を引き出すことが出来た、というのがこの馬の最大のえげつなさだと思います。

 加えていかにもアメリカ血統らしく、力の要る馬場になってもその切れ味を削がれる事なく発揮できたのが、グランプリレースで強かった由縁でもあると思います。
 本質的な距離適性としては1600m-2000mあたりにあると考えていて、それは同じ2500mでも、ステイヤータイプの庭であるアルゼンチン共和国杯でベストなペースバランス、ポジショニングから伸び切れていない所からもある程度推察できます。
 けれど中山の2500mはコーナー6回回る特殊なコースで、距離の誤魔化しが効きやすい屈指のコースでもあり、かつ2年共に実質的にはかなりのスローペースから、コーナーの機動力を強く問われる展開になっていて、そのあたりで噛み合ったからこそ、というのはあると感じます。

 特に2年目の有馬などは、レースラップが12,4-11,0-11,9と激しい加速力がコーナーで問われていて、オペラオーの敗因はそこでのギアチェンジ面の拙さに尽きる、と感じるレースの中で、あれだけ大外を回し、実質的には10秒台半ばくらいのラップで一気に先頭まで押し上げられた、そこの機動力の凄みが、底力を発揮しにくい体調の中でも勝ち切れた大きな要因になっていたでしょう。

 最初の年の宝塚記念も、レースバランスで言えば61,0-12,1-59,0と実質的にはかなりのスローバランスで入れたこと、そして早仕掛けの展開でも後半コーナー出口の勝負所で11,0という高速ラップを踏む余地があり、そこでの加速力でスペシャルウィークを圧倒してきたことが、最終的な着差にも大きく影響を及ぼしているでしょう。
 実際ラストは12,7とかなり消耗していますし、あのレース自体はスペシャルウィークの適正面からするとやや自爆、というところもあり、それでも異次元に強かったのは間違いなくて、その辺は力の要る馬場への抜群の相性もあった、と感じます。

 ちょっと脈絡が取り留めなくなっていますが、なので安田記念などは、前半折り合いを欠いてゆったり入れなかった事と、レース自体がある程度流れていたこと、仕掛けどころも速かったなど、この馬にとって良くない要素が全て積み重なってああなった、と考えられます。
 マイル戦としてはモーリスに似た適正ですね。流れてもある程度強いけれど、脚を溜めて後半型にシフトした方がなお強い、そういうタイプだったと分析できます。骨折明けだったとはいえ、4歳時毎日王冠であれだけ崩れたのもオーバーペース、と考えればしっくりきますね。

 あと、斤量的にも58kgまでは我慢できたけど、59kgは辛かった可能性も考えておいていいと思います。5歳時の毎日王冠は、ラップバランスとしてはこの馬にとって悪くなかったのにあの微妙な勝ち方ですので、無論体調面の不備もあったでしょうが、6歳時の惨敗も含めて馬自身が気力を発揮できない条件になっていた、とも言えるでしょう。
 最後の宝塚記念がまともでも勝てていないだろう、と考えるのも、ペースバランスが60,7-12,1-61,0とやや前掛かりで、かつ600-400m地点最速の持久力戦になっており、前半、後半要素共にこの馬の良さが生きる展開ではなく、逆にオペラオーにとってはお誂え向きの流れだったことからそういう結論を導いています。

**★終わりに**

 当時は強さと脆さが同居する不可思議な馬、というイメージが先行していて、個人的に3強の中では一番贔屓していたこともあって思い入れは強いのですが、いざきちんと検証してみると、存外明確に適性というものが浮かび上がってきましたね。
 あの頃からコーナーでの機動力が凄い、というのは感じていましたが、数字面でもそれが裏付けられましたし、とにかく型に嵌れば凄まじい爆発力を発揮する、実にドラマ性に溢れた魅力的な馬でした。

 当時は走れるレースがなかったとはいえ、多分ペースの上がりにくいレイアウトの小回り2000mとか鬼のように強かったと思います。力の要る馬場も適性が高かったので、今の時代なら香港の2000m戦あたり総なめに出来たかもしれません。
 外国産馬でレース選択の門戸が狭い中、適正面で合致し切らないレースでも素晴らしい強さを発揮した事は流石の一言ですし、本当に当時の3強は、同じ時代に生まれなければもっともっと燦然たる成績を残していたんだろうな、と思わせますね。

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2017 スパーキングレディーC レース回顧

 古馬と3歳馬の初顔合わせも魅力の一つの初夏の交流牝馬重賞、スパーキングレディーCは、中央からは唯一の3歳馬の参戦となったアンジュデジールが軽斤量を味方に歴戦の古馬牝馬を打ち負かし、この路線での世代交代への第一歩を踏み出しました。レースを振り返っていきましょう。

 今日の馬場は結局稍重までの回復で、全体的に時計は掛かり気味だったと思います。
 流石に地方で他のレースまで全部は見ていないのですが、ペース如何に関わらずほとんどのレースで逃げ・先行馬が上位に食い込んでいるのを鑑みるに、先行有利・イン有利の馬場だった可能性は高そうです。

 レース展開は、内からトーコーヴィーナスが、外の先行馬を牽制するようなコース取りをしながら逃げを打ち、そこに中目からプリンセス、アンジュ、外からララベルが早めに加わっていきます。
 結果的にアンジュが2列目ポケットに入り、ララベルが番手外、外枠からじんわりリカバーしていったサクラがその外につけて、タイニーダンサーは中団やや前目のインでレースを進めていきます。
 圧倒的人気のホワイトフーガは、スタートで少しトモを落とすようなところもあり、最序盤は中団より後ろ目から、上手く馬群の切れ目を利用して外に持ち出し、じわじわとリカバーして向こう正面手前ではサクラの後ろくらいまでポジションを上げてきていました。

 ラップは37,1(12,37)-25,4(12,7)-39,1(13,03)=1,41,6(12,7)という推移になっています。
 このレースはハーフラップで取ると50,8-50,8と綺麗な平均ペースに見えるのですが、基本的に川崎の1~2コーナーではまずペースアップが出来ませんし、その分向こう正面から一気にペースが上がって4F戦になるのが通例ですので、実質的にはこの3-2-3のバランスで見るようにハイ寄りの流れだったと考えます。
 序盤のコーナーの入りまではそれなりに流れて、追走力を問われていますし、その上で向こう正面から11,7-12,7-13,0-13,4というラップは、3~4コーナーで再減速してからの再加速になりやすい川崎では珍しく一貫減速ラップを踏んでいて、勝負所のコーナーでもかなり足を使っている展開に思えます。
 なので当然序盤のポジショニングは大切でしたし、かついつも以上に横のポジショニング差も大きく影響しているレースで、そのタフな持久力戦で足を削がれなかった馬、無駄足を使わずに直線向けた馬が強い競馬をしてきた、と考えていいと思います。

 勝ったアンジュデジールは最序盤からかなり積極的に位置を取りに行って、上手くインに潜り込んだのが最大の勝因に思えます。
 ともすると急コーナーの川崎でインに入り込むのは、コーナーの機動力面で後手を踏みやすく諸刃の剣のところもありますが、今日の馬場コンディション的には正解だったと感じますし、馬自身が機動力に長けていて、外から早め早めにフーガが進出する流れの中でも置かれる事なくいい位置を確保し続けられていました。

 直線もトーコーが早めに下がって上手くスペースが作れましたし、仕掛け自体も直線まで待てていて、そこからしっかり反応して動けるのは、追走力面で担保があるこの馬らしい性能でしたね。
 無論今日は軽斤量が武器になった面も強かったですが、前走とは違いラストまでしっかり伸び切れていて、マイル前後なら地方の馬場でも戦える素地はここではっきり見せてきたなと感じます。難しいところですが、大井の1800mならクイーンマンボとも互角の戦いが出来るのではないかと思えます。
 今年の関東オークス1、2着馬は、適正面で違いはあれど素材としてはかなり高いと踏んでいたので、ここで完勝してくれたのは嬉しいところですし、今後の牝馬ダート路線を盛り上げてくれると思いますね。

 2着のララベルも、決して前走がフロックではないというのを証明する、一段とパワーアップした素晴らしい走りを見せてくれたと思います。
 速い流れの中でも外から無理なくいいポジションが取れましたし、3コーナー過ぎからホワイトフーガに被せられて早めに仕掛けざるを得なかったにもかかわらず、直線ではフーガを楽に振り切り、アンジュのインからの強襲にもある程度抵抗出来ていて、馬場の恩恵はあったにせよ見方によっては一番強い競馬が出来ている、とも言えるでしょう。
 常にこういうレースが出来るなら、今後は牝馬路線の地方代表として常に上位を賑わす存在になれるでしょうし、リンダリンダの分まで活躍して欲しいものです。

 3着タイニーダンサーは、今日は他の馬が速くて位置取りは後ろ目になりましたが、コーナーでタイトに回ってこれたのも幸いして、最後は持ち前の粘り強さを見せられたと思います。
 ただどうしたって決め脚で上位の存在ではないので、前が消耗する流れでもこれが精一杯ですし、更に上を目指すならより強気のポジショニングは必須でしょうね。

 4着ホワイトフーガの敗因は難しいところですが、まず今日は内枠と躓きのコンボがかなり痛かったのは確かだと思います。
 元々外枠の方が安定して好走する傾向にありますし、今日は最序盤上手く外に持ち出せた、とは思うのですけど、それでも外からフラットに先行するよりは、じわじわと前半でリカバーに足を使う形になって、その分厳しさはあったでしょう。
 あともうひとつ言えるのは、この馬自身持久力は高いと思うのですが、本当にいい脚は一瞬しか使えなくて、かつそれを持続力水準のラップにまで引き上げて使ってしまうと、持ち前の持久力を生かせない、というのはあると思います。

 前走のさきたま杯も非常に強かったですが、あのレースは残り600-400mで11,3というレースラップの中でそれ以上の切れ味を使い、そこから息切れはするもののリード差で粘り込む競馬になっていて、最大速度を引き出してからの残り距離は400mちょっとでした。
 しかし川崎ですと、向こう正面からの4Fスパートになりやすく、今日のレースもそこが11,7と最速ラップになる中で、この馬はじわっと前に取りついて早仕掛けを敢行しています。
 そうなるとそれをラストまで持続させるのは無理ですし、かつコーナーでもララベルに抵抗されて外々を回される結果になっていて、その相乗効果で、もう直線に向いたら余力が残っていなかった、と見做すことはできるかなと思います。

 実際去年の同レースでも、向こう正面からの4Fロンスパでコーナー地点では楽勝ムードに見えて、ラストは結構ブルーチッパーに食い下がられていて、それだけこの馬自身のラスト1Fの失速度合いが高かった、と考えることが出来ます。
 去年はポジション差を作れていたのでそれでも押し切れましたが、今年のように序盤で後手を踏んで、外々から押し上げる形になると良さが生きない、という難しさがある馬なのではないかと思いますね。

 当然斤量面でも辛いものはありますが、船橋のように極端なハイラップを踏まず、持久力水準での4F戦なら対応できているので、川崎というコースに対する適性がやや微妙、と考えられるでしょうか。
 去年のJBCもこのコースで勝ち切っているとはいえ、55kgの斤量に、この馬にしては珍しくインで器用に前目で立ち回れた、かつ向こう正面での加速度が低く、絶対速度自体も12,1とそこまで上がり切らなかったのが噛み合った、と考えればしっくりきますね。
 ともあれ、船橋や浦和なら外からでもいいのですが、川崎で4F真っ向勝負を外から仕掛けると微妙、というのは、頭に入れておいていい条件かもしれません。個人的な見立てでは、今日の負け方には必然があると感じたので、次に条件が噛み合う所なら当然巻き返しは期待していいと思います。

 5着トーコーヴィーナスは、自分の競馬は出来ましたが、早めに後続に押し上げられてしまいましたし、あとこの馬自身としてはこれだけの前半のペースはややオーバーペース気味だったかもしれません。
 後半のロンスパ戦には強い馬ですので、もう少し序盤ゆったりと入れる距離、コース形態の方が、というのはありそうで、好走実績のある大井1800mなどでは改めて圏内食い込みを警戒したい1頭、というイメージですね。
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2017 7月第1週海外GⅠ レース回顧 その他雑談

**★愛ダービー [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=j7dwD10GFkw)**

 毎年恒例のオブライエン勢多頭出しに対し、英ダービー3着のクラックスマン、仏ダービー2着のワルドガイストがその包囲網打倒に挑む、という構図になった今年の愛ダービー。
 オブライエン勢の大将格になる英ダービー馬ウイングオブイーグルスは、今回即座にトップジョッキーのムーアJに乗り替わっての一戦で、このあたりのシビアさは実に欧州らしいと感じます。

 レースはオブライエン勢のペースメーカーが引っ張り、番手に英ダービー6着のカプリがつけて、ウイングオブイーグルスも中団くらいと、オブライエン勢が比較的前目に密集する隊列になります。
 そのウイングをマークする位置にクラックスマンとワルドガイストはつけて、虎視眈々と出し抜く機会を伺っていました。

 直線でペースメーカーがバテて、番手にいたカプリが力強く伸びて先頭、それを巡って馬群の真ん中からウイングオブイーグルス、その外からクラックスマンが素晴らしい脚で差してきて、ワルドガイストはその脚勢に僅かに見劣る感じでした。
 最後は3頭の激戦になるも、イン一杯でカプリが粘り込み嬉しい初GⅠ制覇、クラックスマンが僅差の2着に入り、ウイングオブイーグルスも差し比べで見劣ったものの3着と、決して英ダービーがフロックでないことは証明しました。
 ただ残念なことに、この馬はレース中の骨折が判明し、これで競走馬としてのキャリアを早々に終えることになってしまいました。2400m路線なら大成できる可能性があっただけに惜しいですね。

 結局レースレベル的にも、善戦マンだったカプリが押し切ったレースではあり、あまり高く評価はしにくいでしょう。
 クラックスマンの安定感は確かに思えますが、脚質的にも勝ち切れないところはついて回りますし、今後古馬との対戦になってすぐにどうこう、というイメージはちょっと持ちにくかったですね。

**★サンクルー大賞典 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=0jol-j_DegQ)**

 フランスの上半期2400m路線の総決算的な位置づけのサンクルー大賞典、かつてエルコンドルパサーが勝ったレースでもありますが、今年は最後方一気の競馬でザラクが差し切り、こちらも嬉しいGⅠ初制覇となりました。

 レースは淡々とした流れの中、2列目ポケットにいた人気のシルヴァーウェイヴがバテた逃げ馬を交わすところに、最後方から一瞬でザラクが肉薄、残り200mは2頭のマッチレース的な様相になる中で、勢いをつけたザラクがしぶとく粘り切った、という印象です。
 直線の攻防では内目がごちゃつき、落馬などもあったレースですが、外から素晴らしい一瞬の切れ味を見せたザラクの作戦勝ち、というイメージが鮮烈に残りましたね。

 結局ここまで人気先行でしたが、このレースを見る限り2400m、という距離が合っている感じは強いです。
 前走のように1800mだと追走で足を使ってしまって苦しい、という感じでしょうし、ゆったり入れば後半の素晴らしい切れ味を引き出せるタイプで、今日の差し足は偉大なる母親を彷彿とさせるものはありました。
 ただ、どこまでも長くいい脚を使うように思えたザルカヴァに比べると、やっぱりこの馬は一瞬すごく切れるけど持続力は高くない、という感じですよね。
 このレースでも、残り500m付近から仕掛けて、そこから150mくらいで楽々6~7馬身差を詰め切っていますが、その勢いの割にラスト1Fはジリジリ、という感じで、脚の使いどころがすごく難しいタイプだなぁと。

 2着もこの路線の物差し的な存在のシルヴァーウェイヴですし、この勝利でこの路線の大将格、凱旋門賞母仔制覇に視界良し、とまではならないでしょうが、この極端な競馬が板についてくれば一発の魅力はある、というところですね。

**★その他**

 欧州も3歳路線の主要レースは消化され、概ね凱旋門賞に向けてのふんわりした外観が見えてくるようになりました。
 今年はまだアルマンゾルが走っていなくて、マインディングも故障から復帰の目途が立たずと、去年のチャンピオン級が順調ではない上に、3歳勢からも絶対的な核になる、と感じさせるパフォーマンスを見せた馬がおらず、そこまでレベルが高くない中での混戦模様が予想されますね。

 そんな中でサトノダイヤモンドのローテーションも発表されていましたが、相変わらずフォア賞から、というのが個人的にはどうかなぁ、とは感じます。
 今年から3歳馬と古馬の斤量差が是正され、その点では有利なのですが、そういう相対的な部分より、個人的には斤量面では絶対的な経験の方が大切になってくるんじゃないか、と思っているんですよね。

 フォア賞からのローテーションは、輸送などのデメリットもなく相手関係も楽で、調整もしやすいというのはわかるのですが、あのレースは58kgなので、そこから本番だと、いきなり1,5kg増で未知の59,5kgとなり、それは結構辛い条件で。
 本気で凱旋門賞を勝ちに行く、というのなら、敢えて前哨戦に重斤量のレースを使っておく、という視点もアリじゃないか、と思っているのです。それこそ少し渡欧を早めて、インターナショナルSを使ってみるとか、愛チャンピオンSを使ってみるとか、当然リスクも大きいですが、本場の有力馬が踏んでくるローテーションを踏襲して、それで本番前に消耗し切ってしまう程度ではそもそも勝ち目はない気はするんですよ。

 勿論厩舎側としても、オルフェーヴルで一定の結果を残している以上はこれでも大丈夫、という信念はあるでしょうし、今年のメンバーなら、と期待するところは大きいですけどね。どちらにせよまだ3か月は先の話で、そこまで順調に駒を進められるかが大切なので、今から少しずつ期待感を蓄積しつつ、ライバルの動向をしっかり追いかけておきたいと思います。
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2017 7月第1週新馬戦ほか レース回顧(日曜編)

**★7/2(日) 福島5R 芝1800m戦**

 ここは人気のレーツェルがスタートから一気に逃げを打ち、終始後続に絡まれる厳しい展開ながらも最後もう一度突き放す、奥を感じさせる競馬で完勝しました。
 レーツェルは内枠だったこともあり、スタートからある程度主張していきますが、最序盤はそれにクエントアスールが、中盤からは4着のクリノバルデュスが掛かり気味に馬体を合わせてきて、その分だけ中盤からペースアップするロンスパ気味の競馬になりました。
 2着のサテラノサトは中団の外目、3着スカルダイヤモンドは更にその後ろからレースを進めており、分断気味の隊列でしたね。

 ラップは38,3(12,77)-36,7(12,23)-35,9(11,97)=1,50,9(12,41)という推移でした。
 最序盤は新馬らしくかなり緩いものの、残り1000m地点から12,1-11,8とペースアップして、そこからは大体12秒前後のラップを淡々と刻む後半のロンスパ持久力戦になっています。
 ただちょっと面白いのは、ラスト3Fの推移が11,8-12,3-11,8と、本来は勝負所で最速ラップを踏みやすい400-200m地点で一度減速して、再度直線で加速しているところで、これを逃げ馬が踏んでいるのはかなりレアケースと言えます。
 結果的にコーナーから直線入り口で緩んだことで、後方から押し上げる馬には楽な展開になりましたし、実際直線半ばで一度肉薄されながら、再度鞭に応えて一気に突き放した勝ち馬は、ステイヤー的な資質をふんだんに見せる奥のある競馬だったなと思いますね。

 コーナーで加速できなかったのがスパイラルの出口で不器用さを見せたからなのか、前半絡まれた分脚を溜めたのかはなんともですが、このロンスパの流れで終始つつかれる形でも加速する余力があったのは強い競馬でしたので、今後も楽しみな逸材になってくるかもしれません。
 ただ序盤はこのペースで追走面は全く問われていませんし、牝馬ですけどマイルの速い流れに入ってどうか、は微妙かもしれませんね。レース内容的にも距離延長の方が噛み合いそうなところはありましたし、その辺は慎重に見ていきたいところです。

**★7/2(日) 福島6R 芝1200m戦**

 こちらはパイロ産駒のパッセが、好スタートから先団の外目につけて、直線あっさりと抜け出して完勝でした。
 逃げたのは外からスタート抜群だった2着のシャインカメリア、内外を入れ替えるようにパッセが番手外で追走して、内からは3着サクライザベルが追走、結果的にはこの3頭のスピード能力が抜けていた、という結果でしたね。

 ラップは34,5(11,5)-35,2(11,73)=1,09,7(11,61)という推移でした。
 新馬らしくコーナーから緩んでの再加速戦ですが、11,7-11,5-12,0ですのでその比重は低く、前半の追走力、そこから削がれずラストまで脚を使ってこられる総合力勝負になっており、そこでラスト1Fではっきりと突き抜けたパッセがその面で1枚は確実に上だった、という印象です。
 血統的にもいかにも短距離向き、というスピード感とレースセンスでしたし、一先ずは芝の短いところで今後も楽しめそうですね。血統的にダートに行っても面白さはありそうですし、この日の福島はやや時計はかかっていたと思うので、その面でもイメージより優秀な時計、勝ち方だったとは思っています。

**★7/2(日) 函館5R 芝1200m戦**

 こちらはロードカナロア産駒のスズカマンサクが、押して押してハナを取り切りそのまま逃げ切りました。
 ただ先行争いのイメージほどペースは速くなく、結局逃げた馬が勝って、2番手につけたドナカデンツァが2着と、全体的に淡泊なレースになっています。
 ラップ的にも35,8(11,93)-35,1(11,7)=1,10,9(11,82)と平凡な推移で、特に前半がかなり遅いのが特徴的です。
 後半も12,0-11,4-11,7と、コーナー出口からの加速力勝負の比重が高く、前半のペースの割にはその幅も、ラスト1Fのラップも平凡で、流石に1200m路線では足りない印象を残しました。

 勝ち馬のレースセンスはとてもいい、と思うのですが、よりペースが上がっていくと単純なポジショニングも、追走面でも怪しさが出てくると思うので、もう少し距離を伸ばして、今回見せた要所の一足を同じ水準で引き出せれば、くらいのプラス補正がないと、上のクラスでは難しいかなとは感じましたね。勿論初戦なので、今後の上積みには期待したいところです。

**★7/2(日) 中京1R 芝1400m未勝利戦**

 中京は先に1Rの未勝利戦を振り返っておきましょう。
 こちらは阪神1200mでデビューして3着だったコーディエライトが、逃げて後続をぶっちぎる圧巻の競馬を見せました。
 ラップとしては35,6-11,8-34,8=1,22,2とややスローのバランスなのですが、それでもこの日の馬場と未勝利レベルでは全馬追走に苦しさはあったのかなとは思います。
 数字的にも2F目からラストまで一度も12秒台を踏まない息の入らない流れでしたし、その中で坂地点で11,3と綺麗に出し抜く脚を使って、ラストも11,8でまとめたのは、距離延長と一回使った効果で、本来の適正である後半のスピードの持続力を遺憾なく発揮してきた、と見ていいのかなと思います。

 新馬の時は外々を回して、要所で切れ負けしていた印象もありましたし、こうやってレース全体を淀みなく、けどハイになり過ぎない程度に支配出来るのが現状ベター、という感じで、小細工を考えなければ一つ上でも充分戦える素地はあるでしょうね。
 距離はもう少しあっても対応できると思いますし、この馬もダイワメジャーらしい良さを持った牝馬なので、後々の桜花賞路線を見据えてじっくり育てていって欲しいですね。

 2着のレピアーウィットは、デムーロJらしい重心が後ろに寄ってしまっての出遅れから、じわじわリカバーするもののペース的に取り付くタイミングもなくて、一貫したスピード勝負だとこの距離では短いのかな、というのを見せた格好ですね。
 新馬の時はもっと前半が緩くてポジションを取れていましたし、といって後半要素で光るものも特にはなかった、と考えると、やはり淡泊な流れになりやすいダート戦か、芝ならマイル以上を試して欲しいかなと思います。

**★7/2(日) 中京5R 芝1600m戦**

 こちらは人気のロードカナロア産駒同士の一騎打ちとなり、トロワゼトワルが番手からしぶとく伸びて、レッドシャーロットの追撃を何とか振り切り嬉しい初勝利になりました。父カナロアを管理していた安田厩舎の馬、というのも趣深いですね。

 展開は、3着に入ったエムケイフローラルが逃げて、トロワゼトワルがスッと番手、その後ろにレッドシャーロットがつけて、外主導で隊列が形成されていきます。
 ラップは36,9(12,3)-24,8(12,4)-35,1(11,7)=1,36,8(12,1)という推移でした。
 新馬らしく前半スローの展開ではありますが極端でなく、上で触れたコーディエライトのレースほどではないですが、ここも中盤12,4が最も遅い、あまり緩急なく淀みない流れになっていて、かつ上位3頭はそこから12,0-11,4-11,7としっかり加速する余力を残していました。
 結果から見ても上位3頭の仕上がりと完成度が抜けていたレースですし、この流れでラストも11,7で留めているのはそこまで悪くなく、土曜日のフロンティアよりは明らかに総合力の面で計算が立ちやすいレースになっていると思いますね。

 勝ったトロワゼトワルは、いかにも福永Jらしいそつのない運びで、直線も坂地点で鋭く反応してスッと先頭に立てているように、レースセンスと機動力が武器になっていきそうです。
 半面レッドシャーロットは、やや加速地点で後手を踏む中でのラストの持続力は勝ち馬以上のものを見せていて、より仕掛けが速い展開になってくればこちらの方が奥行きはあるかもしれない、と思わせました。
 2頭ともにロードカナロア産駒としては距離が持ちそうな馬体、走りをしていますし、先が楽しみになるレースぶりでしたね。

**7/2(日) 中京6R 芝1400m戦**

 こちらのレースは、大外枠からスッと番手につけたヨハネスブルク産駒のタイセイプライドが、直線で加速力と持続力の違いを見せつけて圧勝しました。
 逃げたのは2着のアトレヴィードで、内の馬が総じて出足が悪い中ですんなり外主導の流れを作り、緩急あるペースを演出していきます。
 ラップは35,4(11,8)-12,9-35,1(11,7)=1,23,4(11,92)という推移でした。
 前後半のバランスはそんなに崩れていないのですが、中盤の12,9がなんとも遅く、ここでの淀みが全体の勝ち時計への影響を及ぼしているとともに、12,9-12,1-11,2-11,8という推移の中での、加速力勝負の様相をかなり強く浮かび上がらせています。

 当然ながら後ろから差を詰めるにはこれ以上の加速度で、となるのでそれは簡単ではないですし、番手につけた勝ち馬が圧勝したのも頷けるのですが、その中でもしっかりと加速力・切れ味の質・持続力でそれぞれ1枚は上の競馬を見せてきました。
 ただ当然ながらコーディエライトに比べると、あちらが2戦目、という分を差し引いてもそこまでインパクトは強くないですね。時計差は中盤1Fだけで1,1秒違うのでそこまで気になりませんが、それでいてラストの推移が同等、というあたり、こちらは一貫型の性能よりは、上手く加減速がある中で器用に立ち回ってこそ、というのは感じます。
 大型馬ですし、走りそのものはスケール感があるので楽しみはありそうですが、素材的にもマイル新馬での1、2着馬の方が少し上かな、というイメージですね。
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2017 7月第1週新馬戦ほか レース回顧(土曜編)

 段々レース数も増えてきましたので、ある程度簡素にまとめていきたいと思います。

**★7/1(土) 福島5R 芝1200m戦**

 福島開幕週最初の新馬戦は、伏兵ジェッシージェニーが外から鋭く差し切って勝利しました。
 2着のセイウンリリシイが逃げ、3着のカガスター、ウインファルコンあたりが先団を形成する中、勝ち馬はそれを見る形で馬群の中からレースを進めていました。
 ラップは34,4(11,47)-35,6(11,87)=1,10,0(11,67)という推移で、新馬戦らしくコーナーで12,0と一気に緩み、そこから11,6-12,0と再加速戦になっています。

 勝ったジェッシージェニーは、自身走破34,8-35,2とほぼ平均で走れていて、かつ12,0のコーナー地点で上手くじわっと押し上げて勢いをつけられていました。
 コーナーも外の馬が膨れてくれた分スムーズに進路確保できましたし、勢いを削がずに直線に入れた分最後までしっかり、という印象で、立ち回りの良さが結果に繋がったと見ています。

 当日の芝1200m戦は、3歳未勝利で1,09,8、メインがハイペースだったとはいえ1,07,6ですので、新馬としては悪くはないけど特筆するほどでもなく、というイメージです。2着馬も出し抜きが鋭い、というほどではなかったので、次に楽勝クラスか、というと違うだろうなとは思います。
 血統的にはストロングリターンにスズカマンボと滅茶苦茶渋いので、この先活躍してくれれば面白いなとは思いますが、このレースだけでは何とも言えないところですね。

**★7/1(土) 福島6R ダート1150m戦**

 福島名物のめっちゃ半端な距離のダート1150mでの新馬戦は、1番人気のオーヴァーライトが好位から軽々と抜け出し楽勝しました。
 芝スタートで外有利、というのもあるでしょうが、序盤は外目の馬の先導でレースが進み、2着に入ったパリモンマルトルの逃げでレースは展開していきます。
 オーヴァーライトは芝地点でのダッシュはイマイチですが、ダートに入ってからスピードに乗ってリカバーし2列目ポケット、そこで前の緩みに合わせる形でレースを進めていきました。
 
 ラップは2,75-3というバランスになりますが、33,4(12,12)-38,0(12,67)=1,11,4(12,4)という推移でした。なんか数字だけ見てると超ハイペースの1200m戦に見えますね。
 当日の3歳未勝利で、完全前傾戦とはいえ31,5-37,8=1,09,3が出ていますので、レースレベルとしては平凡かな、とは思います。

 ただ勝ち馬オーヴァーライトは、内枠で苦しい所でもスムーズに追走できていましたし、砂を被っても怯むところはなく、前が開くとスッと反応するセンスの良さを感じました。
 4コーナーでは内がぽっかり空いた分の恩恵もあるでしょうが、ラストもまだ余力を感じさせる走りで、もう少し高いステージで、タフな流れに入ってどこまでやれるか、という期待は持てる馬だったと思います。枠的には外目の方が現状スタートダッシュは抜群ではないので安定するかもしれません。ダートスタートでどうなるかも見てみたいですね。

**★7/1(土) 中京5R 芝1600m戦**

 生憎の稍重馬場での開催になった中京の新馬開幕戦は、良血フロンティアが逃げて、アドマイヤアルバの追撃を凌ぎ切り初勝利を挙げました。
 スタート直後はフロンティアとアクアレーヌが雁行状態でしたが、枠の並びの差を利して最終的にフロンティアがハナ、その争いに外から2着アドマイヤアルバが絡んでいく形になり、3着シャルルマーニュはその後ろからリカバーしつつの追走になりました。

 ラップは38,2(12,73)-25,6(12,8)-34,4(11,47)=1,38,2(12,37)という推移でした。
 当日稍重だった分より序盤から慎重に、というところはあったのでしょうが、結果的に他のレースで、マイル1,33,9、1400m戦1,20,6なんて時計が出てましたので、実質的には良に近い馬場ではあったと思います。
 それ故にここまで全体的にスローで流れ、かつ後半が12,7-12,1-11,1-11,2という推移で、仕掛けどころも遅いレースでは、最序盤のポジショニングの良さがほぼ全て、という淡泊なレースになってしまっています。

 勝ち馬は逃げていましたし、そこから自力で坂地点で12,1-11,1と加速した性能は、いかにもダイワメジャー産駒という感じでしたが、このペースでの2F戦なのでそれ以外の部分、追走力や持続力などはほぼヴェールに包まれたまま、というのが率直なところです。
 2着のアドマイヤアルバも、ラップが遅い地点で外からじわっと動いて上手く取り付けていますし、このレースそのものの着順はあまり当てにならないと思いますが、それでも上位2頭は素質馬らしい雰囲気、勝負所のフットワークの良さは見せてくれていますので、改めてまともなレースの流れに入ってどんな良さが出てくるか楽しみではありますね。

**★7/1(土) 函館5R 芝1000m戦**

 靄でけぶる中でのレースになりましたが、インから果敢にハナを主張したキタノユウキがそのまま押し切って勝ち名乗りを上げました。
 序盤はプリティロコガールを振り切るのに苦労しましたが、23,3-11,3-23,4と一貫減速戦のラップ推移の中で、最後はツクバクロオーの追撃を何とか凌いだ、という格好です。
 血統的にゴリゴリのアメリカ血統で、いかにもワンペースが合っている、という感じなのですが、このレース自体のレベルはさほどでもないと感じますので、距離が伸びていく中でどれだけ前傾の流れを我慢し続けられるか、或いは一度試しに後半勝負にシフトしてみるのもアリでしょうが、芝で大成するイメージは持ちにくいですかね。

 ツクバのほうはやや出遅れてじわじわリカバーしながらの競馬で、直線入り口は前の馬が大きく外に膨れた分スムーズにカシノに馬体を合わせる位置で追撃できたのは楽でした。このあたりは勝ち馬共々コーナリングの上手さ、レースセンスがものを言った感じです。こちらの方が距離伸びて味が出るタイプかな、とは感じますね。

**★7/1(土) 函館1R 芝1200戦**

 2週前の新馬戦で惜しい2着だったカシアスが、好位から抜け出す競馬で完勝してきました。
 時計面も新馬より詰めてきて、かつそれを後半要素で上げてきたのは面白さがあります。ただしラップ的にラスト200m最速なのは、相手関係が弱くて前が要所で引き上げる余力を持たない中、この馬は新馬で見せた出し抜きの脚をラストまで温存できた、というだけなので過信は禁物です。

 キンシャサの仔ですが、こういう馬を前に置くレースが出来るなら、もう少し距離があった方が良さそうな気がしますね。
 前走も一足使ってからの粘りはそこまで非凡ではなかったですし、こういうタイプが勢いに任せて函館2歳に行くと、前半のハイペース、激流に飲まれて失速する傾向がかなりあるなぁと思うので、個人的にはダリア賞とか、あと府中の1400m戦とかで見てみたいと思う馬です。
 
 余談ですが、函館2歳Sで未勝利圧勝で人気して負けた馬の傾向とかざっと見てて、2012年のこのレースのメンバーが実に面白いな、と思ってしまいました。
 1、2着馬こそその後鳴かず飛ばずなんですが、3着ティーハーフ、4着ロゴタイプ、5着アットウィル、6着トルークマクトと、今もバリバリOPで頑張っている馬が揃っていて、昨日のシャイニングレイも含め、改めて2歳戦で適性面を見ていく曖昧さ、難しさを感じさせますね。 
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2017 CBC賞・ラジオNIKKEI賞 レース回顧

**★CBC賞**

 風雲急を告げる直前の雨が、混戦模様に一層の拍車をかけた桶狭間電撃決戦のCBC賞は、決死の先行から粘り込みを図るセカンドテーブルにアクティブミノルを、その名の通り閃光のような切れ味でまとめてかわし去ったシャイニングレイが、スプリント路線で高らかに復活の凱歌を上げました。
 レースを振り返っていきましょう。

 馬場状態は、少なくとも昨日から直前まで雨は降らず、散水などもなかったので、ある程度の高速状態にはなっていたと思います。
 ただ8Rの500万下1200m戦が、34,0-35,1の前傾で1,09,1ですので、極端な回復とまではいきませんが、このレースでの1,08,0は、直前の雨の影響を踏まえてもまず妥当な所だったのかなと感じますね。
 もう少し高速化すると踏んでいたのですが、最終的には雨に祟られて馬場の巧拙も多少は影響が出る条件になっていましたし、展開面も含めて力をうまく発揮できない馬もそれなりには出てきたかな、とは感じました。

 レース展開は、初ブリンカーのアクティブミノルが出鞭を入れて一気にハナを奪い、その後ろにラインスピリットが入って、そとからはセカンドテーブルが楽に番手を取り切ります。
 内からはオウノミチやオメガヴェンデッタが進出、アルティマブラッドも好スタートでしたが少し下げて、それと入れ替わるように外からメイソンジュニアが早めに前に押し上げていきます。
 人気のメラグラーナはこの馬なりに出てやや後方の内目、外へ出す機会を伺いつつティーハーフと並走、という感じで、一歩目が遅かったシャイニングレイは、前走と違い後方三番手と苦しい位置取りでの競馬になりました。

 ラップは33,2(11,07)-34,8(11,6)=1,08,0(11,33)という推移でした。
 アクティブミノルがなにがなんでも、という姿勢を見せましたし、馬場を考えればかなりの前傾ラップなのですが、後半推移も11,1-11,1-12,6と、坂上までの1000mが55,4というのを見ると、字面以上に息の入らない一貫減速戦、追走面での素材が問われたと感じます。
 後半型で勝負するなら、流石にラストのバテた地点での差し脚一辺倒では足りず、この馬場・展開でも追走であまり削がれず、かつ要所で鋭さを引き出せた馬が、という考え方になってくるでしょうか。

 流石にラスト1Fはかなり消耗していますが、そこまでのリードの作り方が良かったですし、後続もコンディションが悪化する中で押し上げるポイントを中々見つけられなかったレースでしょう。
 ただ、全体時計や、物差しとしてかなり有効に機能するセカンドテーブルが僅差の2着、という点から鑑みても、前半のペースで削がれた馬と、後半要素を馬場で削がれた馬がかなりいて、という見立ては出来ると思いますし、大きく負けた馬も次に巻き返しは充分に考えられるレースにはなっているかなと思います。

 勝ったシャイニングレイは、改めて素材の奥行きが浮き彫りになった、中々に素晴らしいレースをしてきたと思います。
 スタートはあまり良くなく、外の馬も前に入り込んできたので下がって下がって、という形で苦しかったと思いますが、結果的に超ハイペースになって、それに真っ向から乗らずに脚を溜められたのは悪くない材料だったのかな、と感じます。

 この馬自身は34,8-33,2と、レースラップと真逆の後傾1,6秒の推移で差し込んでおり、レース映像から考えると、コーナーでは大外に持ち出していてそんなに前との差は詰めておらず、坂地点ではややカメラの角度で見えにくいですが、外からの差し馬の中ではこの地点でも群を抜く切れ味は見せていると思います。
 ラスト1Fで大体6馬身くらいは詰めていると思うので、そのあたりを逆算して推定すると、おそらく11,0-10,7-11,5くらいの上がり時計、ということになるのではないでしょうか。

 ここでのポイントは、ある程度後ろからになったとはいえ、このペースでなおしっかり後半要素を引き出せている事と、切れ味の質で他馬を圧倒している事です。
 元々新馬戦の時点で、かなりの高速ラップに対応できる素材力を見せていた馬ですが、このペースでしっかり坂地点で加速できるというのは強みになりますし、ラストの持続力も圧巻でした。これははっきりと、後傾走破タイプのスプリンターとしての素材力を見せつけてきたレース、と言えそうです。

 今日のレースや前走にしても、ある程度流れても削がれないのは強みですし、そこから一瞬の切れで勝負できるタイプなのは面白いですね。
 例えばもっと高速の時計勝負になると不安も出てきそうですが、前走を担保にすれば良馬場なら前半34,0くらいで入っていっても対応は出来そうですし、これだけの後半要素があるのであれば、1,07,0前後の高速戦にも対応できる下地はあります。
 今日のようにポジショニングで後手を踏むと難しさはありそうですので、外目の枠からじわっと追い掛けていって、後半しっかり切れ味を出し切るイメージで進められれば、最高峰の舞台でも期待は持てる内容だったのではないでしょうか。
 勿論この一戦だけで決めつけられませんが、見た目にも、ラップ推移的にも、非常にインパクトのある差し切り勝ちでした。

 2着のセカンドテーブルは、少し渋って全体時計がかかってくれたのが最終的にはあの粘り込みにつながったのかな、とは思います。
 元々先行してしぶとい馬ですし、平均からややハイくらいであれば崩れない馬ながら、高速決着には対応力が低い、と見ていて軽視してしまいましたが、結果的にこの馬自身33,4-34,6という前傾ラップであそこまで粘れたのは、今までのイメージより一段強い競馬をしたとも言えます。
 ただこの馬自身ラストはほぼ12,6そのままと思うので、ベストの適正はもう少し平均寄りだとは感じますが、こういう競馬で一定の結果を出せたのは今後に向けてのプラス材料にはなってくると思います。

 3着アクティブミノルは、初ブリンカーも追い切りがべらぼうに良かったのもわかってはいたのですが、それでも一気呵成に逃げて自分の形に、までは難しいかなと軽視してしまったのは反省ですね。セカンドテーブルは拾えない予想でしたけど、この馬は、というところ。
 元々このコース巧者であり、ファルコンSなども超ハイペースを自力で演出して粘り込んでいて、結果的にこういうワンペースな競馬が一番合う、という事になると思います。

 ただ、今まではスタートが安定せずに、最近は逃げの形も取れないことが多かったので、今回のレースをきっかけに、1200m路線でハイペースを作り上げ、他馬の末脚を削ぐ前傾型スプリンターとしてのスタイルを確立して欲しいな、と思います。
 けど今日のレースでも、馬場が悪くなってのイン粘りと条件は噛み合いましたし、純粋な地力勝負になると一歩足りない馬ではあると思うので、追走力が高くて強い馬、がいるシーンでは狙いを一段下げる、というイメージで見ておきたいですね。実際セカンドテーブルに負けている、となると、ってのはあります。

 4着ティーハーフはいかにもティーハーフの競馬でしたね。
 予想通りの直線イン差しでしたが、この馬にとっては前半のペースはかなり速かったと思いますし、コーナリングでロスを極力減らした割には伸びあぐねたイメージです。どうあれ、安定はしていますがワンパンチ足りないのはありますし、緩みに乗じて噛み合うような競馬でないと、圏内まで食い込んでくるのは難しいのかもしれませんね。

 5着スノードラゴンは、前走に続き頑張るなぁ、と、改めて高齢馬の難しさを感じつつ、まぁ基本的には夏馬、なんでしょうね。
 立ち回りとしてはほぼシャイニングレイと同じで、あちらよりもコーナーはタイトに回して上手く外に出しているのですけど、結果的にここまでしか差し込めていないのは、わかりやすく坂地点での切れ味の差が出ている、と見ていいと思います。
 この馬自身の追走力は高いですし、前がバテる展開なら本当に安定して突っ込んできますけど、ラップ推移的には400-200m地点から減速傾向に入っているか、その直前で緩みがあって押し上げてこられているか、など、2F分優位を作れる条件でないと差し切るところまでは行けませんね。

 これはもうひとえに最大速度の質の差、としか言えませんし、シャイニングレイはそれを持っている、メラグラーナも乾いた馬場ならそういう脚を使えるタイプですが、それがないと一貫減速戦では逆にスピード負けして善戦止まりになってしまう、というわかりやすい比較ができるレースぶりだったなと思いますね。
 
**★ラジオNIKKEI賞**

 夏のハンデ戦らしく、様々な路線からの参戦があり、ハンデ差も大きく混戦模様を呈していたラジオNIKKEI賞は、無敗馬のセダブリランテスが外から堂々の競馬で押し切り、秋の飛躍を大いに期待させる無傷の3連勝を飾りました。レースを振り返っていきましょう。

 今日の馬場状態ですが、少しだけ降った雨の影響もあったのか、昨日よりは若干時計がかかっている印象でした。
 9Rの500万下1800m戦は36,4-36,1-35,5という推移で1,48,0、10Rの1000万下1200m戦は33,3-34,8の前傾ラップで1,08,1でしたので、このレースの1,46,6はそこそこ優秀な部類には入ってくるとおもいます。

 展開は、ウインガナドルがスッと好スタートからハナを切り、外からセダブリランテスが早めに前に進出していきます。
 スタートで立ち遅れたニシノアップルパイも馬群を縫って先団に加わっていきますが、その分だけ折り合いを欠き気味で、クリアザトラックはセダの更に外、サトノクロニクルとライジングリーズンは揃っていいスタートを決めて、馬群の内目、先団を見る位置にポジションを確保します。
 マイネルスフェーンは後方の内々でじっと我慢、ロードリベラルは注文を付けて最後方からの競馬になりました。

 ラップは35,3(11,77)-35,9(11,97)-35,4(11,8)=1,46,6(11,84)という推移でした。
 前後半にほぼ差がなく、中盤の緩みも少ない平均ペースですが、細かく見るとやはり2コーナー出口から向こう正面の入り口にかけて一旦息が入っていて、前半1000mが59,5、そこから後半4F11秒台後半を刻んでくる、一定の追走力を問われつつの4Fロンスパ戦、という様相でしょうか。
 後半推移も11,7-11,9-11,6-11,9と地味に上げ下げがあってなんとも言いづらいのですが、結果的に前目の馬に優位な流れで、けれどコーナーからしっかり勢いをつけてこられれば後ろからでも、という感じで、中途半端な競馬が噛み合いにくい流れになったのかなと感じます。

 勝ったセダブリランテスは、流石に新潟戦がいくら楽な勝ち方だったとはいえ、一気に相手強化のここで、外々回して押し切る強さを見せてくるとは思っておらず、この辺は単純に馬の素材を見抜く目がないなぁ、というところです。いかんせんあのレースだけではここでの適性を見るのには足りませんですしね。
 結果的にニシノアップルパイがスタート失敗した事で、ウインがややスロー寄りの平均に淡々と支配した中で、それを外からスムーズに追走できたのは良かったですし、コーナーでの機動力も中々高く、見た目以上に器用な馬だなぁ、という印象を持ちました。

 レースラップ的には、微差ではあれ、前の本仕掛けが400-200m地点のコーナー出口とかなり遅くはなっていて、そこまでじわじわ引き上げてきたことで、勝負所をコーナーに持ってこられたのが上位2頭の大きな好走要因になるとは思います。
 ただ全体時計は今日の馬場なら悪くないと思いますし、有力馬が勝負所であまりに動けなかったのや、展開面で噛み合ったのにも助けられたとはいえ、今後の飛躍を期待できるだけの最低限の素地は見せた競馬だったと感じます。

 この馬自身、ここでも新潟戦でも最速地点で前を捕まえているように、一瞬の機動力・切れ味が秀でていて、それが最大の武器、という感じです。
 手応えの割にラストはウインに粘られましたし、ラップも11,9はそこまで目立って良くはないので、レース全体を上手く使っての総合力勝負が一番合う馬でしょう。
 後半勝負の度合いが高くなると、持続力面や絶対的な面での切れ味の質で足りない可能性は出てくると思うので、常にある程度ポジションを取って、後半4~5Fでそこそこ速いラップを分散させつつ、更に一足使うという競馬に持ち込む意識を持って欲しいですね。無論可能性を試す意味でも、どこかで別の競馬はしてみて損はないと思いますが。

 2着のウインガナドルは、思った以上にペースに対する適性があったなというのと、やはりスムーズに進められるとこういうタイプは強いなと思いました。まぁニシノアップルパイが逃げる想定での無印でしたので、このあたりはもう立ち回りの差、とも言えるのですが。
 少なくとも今日のレースでのペース配分はこの馬にとってベストに近かったと思いますし、あまり速い脚を使えるタイプではないので、こういうローカル小回りで3コーナーからじわじわ仕掛ける競馬は今後も武器になっていくでしょう。血統的に成長力もありそうですし、地味に菊花賞3000mを逃げさせてみたりすると面白いタイプかもしれません。

 3着のロードリベラルは、最初から注文を付けての後ろから折り合い専念、というのが、結果的にレースの質にも、この馬の気性にも噛み合った部分はあるのかな、と思います。
 もう完全にラスト600mだけの競馬に徹していて、そしてコーナーでの機動力は群を抜いて素晴らしく、大体自身は11,3-11,3-11,8くらいで回ってきているのではないでしょうか。
 合図を出してからの取りつきの速さ、大外を回しても速度負けせず、最速地点で明確にセダブリランテスとの差は詰めていて、これ自体は今後も大きな武器になっていくと思います。

 ただし持続力はそこまで凄みはなく、直線残り200mで1馬身差まで詰めてからはジリジリ、コーナーでの勢いそのままに突き抜けるところまでは行かず、レースラップもラストは落ちている事を考えるとその点は素材面での限界を感じさせましたかね。
 折り合いひとつ、というのはあれ、距離はもう少しあってもいい印象ですし、ある程度ペースが上がってコーナーで緩むような形になると、より怖さが出てくるタイプと覚えておきたいところです。

 4着クリアザトラックは、直前乗り替わりで難しさもありましたし、やはりこの枠で外々で折り合いも微妙、となると厳しいですね。
 セダブリランテスがあそこまで綺麗にポジション取れたのもこの馬にとっては苦しかったと思いますし、斤量差もありますので、正攻法では今日は辛かった、と考えていいと思います。
 後は多少なり流れる展開の中で、持ち味の持続力を引き出すに至らなかった感も強いですし、この馬も折り合いが課題になるとはいえ、もう少しゆったり入れる距離で面白さはある気はしますね。

 5着マイネルスフェーンは、上手く最内を捌いてきましたが、この距離だと絶対的なスピード不足だとは思います。
 時計のかかる馬場での2000m、くらいは欲しいですし、ダービー青葉賞では結果は出なかったものの、あの2レースは特殊な展開で、かつどちらも噛み合わないポジショニングでしたから、改めて2400mまでは視野に入れていい馬ではないでしょうか。

 6着サトノクロニクルは、うーんやっぱりコーナーで動けないか、という一言に尽きますね。
 スタートは良かったですし、ポジションを取る意識も大切ですが、それ以上に仕掛けどころでの前のスペースの作り方に意識を割くべき馬なのかな、というのはあります。
 どうしても動き出しで他の馬より速く仕掛けていかないと、狙い通りの進路を確保できるイメージは持てないですから、小回りを意識し過ぎず、ある程度下げて外から、という感じでも良かったとは思うんですよね。すぐ前のニシノの手応えがなかったのも不運でしたが、どちらにせよここに出すべき馬ではなかったよなぁ、としか言えませんね。

 ライジングリーズンも思った以上に前から積極的な競馬で、追走面での問題はなかったはずですが、どうしてもこの馬はインから立ち回る形では良さが出ないのでしょうかね、あまりにも脆かったなと思います。
 もっとも高速馬場で、外から回した時に、ロードリベラルのようにスピード負けしない切れ味を引き出せるかもちょっと未知数なのですが、それでもこんな風にインで流れに合わせて、じわじわとメリハリなく脚をなし崩しに使うよりは、形を決め打って入る方が良績に繋がるタイプなのではないでしょうか。

 ニシノアップルパイはスタートがなぁ、というのはありますし、出来ればあそこからでもハナまで取り切ってしまって欲しかったですね。今日の馬場で59,5では、この馬にとっては遅すぎた、と言えるでしょう。
 もっともああまで引っ掛かる感じになって出していくのも難しいですし、前走の反動なども考えなくてはいけない所なのですが、こういうタイプは気分よく先行出来ればポカンと大穴を開けてくるタイプとも思うので、この惨敗で見限らず、次からも期待はしたいですね。もっとも私が予想する重賞路線まで上がってくる素材かは微妙、とは思いますけど。。。
posted by clover at 05:10| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする