2017年07月26日

私的名馬列伝 第十話 アグネスワールド

**★はじめに**

 先週にジュライカップがあり、今週は函館2歳Sなので、このレースから大きく飛躍を遂げた名スプリンターのアグネスワールドを紹介してみようと思います。

 この馬は前回書いたグラスワンダーと同期生で、マル外全盛期の一翼を担う存在でしたが、他の馬があまりに強烈だったことで今では印象の薄い馬になっている気がします。
 それは国内GⅠを結局勝てなかった事と、種牡馬として大成しなかった事も大きな要因でしょうが、しかしこの馬の残した足跡は今に至っても打ち破られない金字塔的な側面があり、改めて見ていく価値はあるでしょう。

 [生涯通算成績](https://keiba.yahoo.co.jp/directory/horse/1995108665/)は20戦8勝2着6回、自分の得意な距離ではまず崩れず、海外を飛び回りながらも堅実に走り続けた、極めてタフな名馬でした。
 その足跡をまずは細かく振り返っていきましょう。

 馬齢表記は当時のものをそのまま使用します。
 あと実は、この記事一度ジュライカップあたりまで書いたのが綺麗さっぱり吹っ飛ぶという、絶望的な事態が発生した後に書き直しているので、元記事よりはかなり簡素にやる気なくなっていると思いますがご了承ください。。。

**★新馬戦~シンザン記念 <ローテーションの異端児>**

 アメリカ血統らしく仕上がりは早かったアグネスワールドは、新馬戦を大外枠から楽に抜け出し、5馬身差の圧勝で飾ります。
 次走の函館3歳Sでは、ラベンダー賞で強烈な逃げ切りを見せたサラトガビューティとの一騎打ちになりますが、直線で並ぶ間もなく楽に交わして1,09,8のレコード勝ち、これは当時、2歳戦ではじめて1分10秒の壁が破られた瞬間でした。
 この当時からその傑出したスプリント能力の片鱗は確かに見せていたと言えるでしょう。

 しかしここで軽度の骨折があり、3歳馬の最大目標である朝日杯には何とか間に合ったものの、馬体重が+26kgと明らかに仕上がり途上の復帰戦になりました。
 加えてここには怪物グラスワンダーがおり、中団インからアグネスワールドも必死に抵抗するものの為すすべなく、1秒以上離されての4着となります。

 次走に陣営が選んだのがダート1600mの全日本3歳優駿でした。
 完全なアメリカ血統故にダートでも、という思惑はあったでしょうが、ここでは後に地方移籍後交流重賞で大活躍するインテリパワーを2馬身半退けて楽に勝利を収めます。
 
 そして次走は、年明け直ぐのシンザン記念でした。
 いくらなんでもこのローテは、と当時も思ったものですが、レースもズブズブの不良馬場となり、血統面の適正とスタミナに長ける牝馬のダンツシリウスに大きく千切られての2着、しかもその後に再びの故障が発覚し、長期休養を余儀なくされます。

 森調教師と言えば当時から斬新なローテーションを組むことで有名でしたし、かつ師匠の戸山調教師の理念も継承しているからか、とにかくレースに使って鍛える方針が顕著でした。
 この馬に関してもそれが如実に出ていましたが、結果的には二度の故障で頓挫を余儀なくされ、その真価が発揮されるのは古馬になってから、ということになります。

**★ガーネットS~安田記念 <何かが足りない>**

 丸一年休養後の復帰戦は、足元の負担を考慮してかダート1200mのガーネットSでした。
 ここでは手探りのレースとなり、この馬らしからぬ後方からの追走で、ワシントンカラーには千切られるものの、2着とはそう差のない6着まで押し上げ、本格的な復活に向けての狼煙を上げます。

 しかし適距離に戻した淀短距離Sでは、好位からトキオパーフェクトを捉え切れず2着、改めての重賞挑戦となったシルクロードSでも、前年のスプリンターズSの覇者マイネルラヴに早々と抜け出されて2着と、復活を証明する最大の美酒である勝利には中々手が届きません。

 それでも安定感と素質を買われて、高松宮記念では2番人気に推されますが、ここでも外枠から好位を追走、マサラッキが鋭く抜け出す中でじりじりとしか伸びず5着と、最上位相手では何かが足りない、というところを如実に示してしまいます。
 ならば距離延長なら、と挑んだ安田記念では、軽快に平均ペースでの逃げを打つものの早々に失速、グラスワンダーとエアジハードの壮絶な叩き合いを余所に8着惨敗を喫しました。

 ただ、敢えてこのレースを使った事で、馬自身に逃げる、前目につけるという前進気勢がより強く備わった感もあり、個人的にはそれが次走からの快進撃の理由の一翼にあると思っています。
 競馬はなにが功を奏するかわからない、という好例ですね。

**★北九州短距離S~アベイユドロンシャン賞 <誇るべきはそのスピードにあり>**

 4歳春シーズンはGⅠの壁に呆気なく跳ね返されたアグネスワールドは、捲土重来を期して、改装なった小倉のOP特別、[北九州短距離S](https://www.youtube.com/watch?v=VBmU7LWXcQc)に出走します。

 小雨は降りつつも超高速条件だった中、快速馬マウントアラタの逃げを番手で追走、残り600mで早々と競り落として独走態勢に入ったアグネスワールドは、日本レコードの1,06,5という快時計で圧勝を収めます。
 当時の印象としては、前年のシルクロードSでエイシンバーリンがマークした33,5-33,4=1,06,9のほうがインパクトは大きく、このレースは32,2-34,3という超前傾ラップだったこともあって、確かに凄い時計だけど、これから馬場がどんどん良くなればこのくらいの時計が普通になるのかも、なんて思っていました。
 しかし今現在もこのレコードは破られておらず、どれだけ高速馬場になっても1,06,7止まりなのを鑑みれば、やはりこの馬のスプリント能力は突出していたと言わざるを得ませんね。

 その後、小倉日経OPも逃げ切ったアグネスワールドは、年末のスプリンターズS参戦の前に海外に雄飛する選択を取ります。
 この年の欧州にはエルコンドルパサーが長期遠征で滞在しており、そのレースぶりで話題を席巻、日本馬に対する認識も格段に高まっていました。
 そのエルコンの海外キャンペーンの総決算とも言える凱旋門賞当日、それに花を添える形で、アグネスワールドは[アベイユドロンシャン賞](https://www.youtube.com/watch?v=XfqjLz0KeTA)に出走する事になったのです。
 
 実績面ではまだまだのアグネスワールドでも4番人気に推され、日本馬への注目度と脅威の度合いを感じる中で、しかしレースでは、はじめての62kgという酷量に、史上最悪と呼ばれた不良馬場もものともせず、素晴らしいスピードを披露します。
 ポンッと好スタートを切ったアグネスワールドは逃げ馬とほぼ並走する形でレースを先導し、勝負所でスッと抜け出して、追撃するインペリアルビューティを鼻差退け、見事に3歳時以来の重賞制覇を海外GⅠで飾ってみせたのです。

 結局のところ、直線だけ、というロケーションはこの馬のスピードを存分に生かすのに最適の舞台だったと言えそうで、海外では水を得た魚のように走りましたね。
 結果的にはこのように、とにかくスピードを生かしてどこまで粘れるか、という王者的な競馬に開眼した事が、この4歳秋の飛躍に繋がっているのでしょう。
 
**★CBC賞~高松宮記念 <されど何かが足りない>**

 凱旋レースは、スプリンターズSの前哨戦で、この年は小倉開催だったCBC賞でした。
 このあたりのローテも中々えぐくて、夏の小倉で走って中4週でフランス、そこから2ヶ月経たずにまた出走って、今では考えられないですよね。

 ともあれここでは59kgを背負い、春の高松宮記念の覇者マサラッキとの一騎打ちになりますが、これを何とか凌いでみせ、改めて国内GⅠにも手が届く資質を見せつけます。
 しかしその肝心のスプリンターズSでは、速い流れを果敢に追走するものの最後の坂で少し甘くなり、スプリント戦初参戦のブラックホークに鋭く差し切られてしまいます。

 その後、流石に疲れが出たのか、春の高松宮記念には珍しくぶっつけで挑戦する事になったアグネスワールドは、前哨戦を完勝したブラックホークと人気を分け合う形になっていました。
 しかしこのレースは、やや時計のかかる馬場で相当な前傾戦になり、早め抜け出しのアグネスも、それをマークして動いたブラックも最後甘くなり、内外から伏兵が差し込む中で、キングヘイローが悲願の初GⅠ制覇を成し遂げることとなります。

 つくづく国内GⅠとは縁がないアグネスですが、このレースを見る限り、どちらかというと使い込んだ方が強いのかな?というところもあって、色々な意味で規格外な馬だったのは確かですね。

**★キングズスタンドS~BCスプリント <世界を股にかけて>**

 今でもそうですが、スプリント王者は宮記念から秋のスプリンターズSまで、使えるレースがあまりありません。
 勿論距離延長に活路を見出す馬もいますが、生粋のスプリンターのアグネスワールドは、その期間を改めての海外遠征のチャンスに用います。

 まず挑戦したのはロイヤルアスコット開催のキングズスタンドSで、ここでは欧州スプリント路線で息の長い活躍を見せたニュークリアディベートに押し切られるものの2着を確保、改めて直線競馬への適正を示します。

 次に選んだのがイギリス伝統のスプリント戦、[ジュライカップ](https://www.youtube.com/watch?v=IbMBojXqxMg)でした。
 堂々の1番人気に支持されたアグネスワールドは、ここでも軽快なスピードを見せて先行、早めに抜けだしを図って、最後リンカーンダンサーに際どく追いつめられるもののなんとかしのぎ切り、見事に海外GⅠ2勝目を挙げたのです。

 今から見てもこれは途轍もない快挙で、実際にあれ以来イギリスのGⅠを制した馬もいなければ、欧州GⅠを2勝した馬も出ていません。
 まぁ今はリスクを負って挑戦する陣営が少ないのもありますが、純正スプリンターは欧州に面白いレースが沢山あるのですから、今後遠征を企図してみてもいいと思うんですよね。少なくとも香港のスプリント戦よりは勝ち目のあるレースはそこそこあると思うのですが。

 閑話休題、かくして更なる勲章を手にしたアグネスワールドは、この年から秋開催に変わったスプリンターズSで、今度こその国内GⅠ制覇に挑みます。
 しかしながらここでも、運命の女神はアグネスワールドを見放します。
 稍重馬場でかなりのハイラップが刻まれる中、今までよりも少し後ろのポジションで我慢する形を取ったアグネスワールドですが、その分後ろから差し込むブラックホークはなんとか退けたものの、まさかの最低人気の伏兵・ダイタクヤマトにまんまと逃げ切りを許してしまったのです。
 これも勝負の綾と言うべきか、アグネスがいつものポジションを取っていたらダイタクには勝てていたとは思うのですが、その場合マークしてくるブラックを振り払えたかは微妙で、どうあれ本当に国内戦では最後まで噛み合わない結果となってしまいました。

 その後、今度はアメリカGⅠの勲章を求めてBCスプリントに出走するものの、ここでは流石に周りの馬が非常に速く、前半4F43,4という極限的なスプリント戦の中、外枠もあって先行勢についていくのがやっと、ダートの質も合わなかったか8着惨敗という結果になりました。
 しかしこのレースは、今でもダートのBCスプリントレコードでもありますし、それだけレベルの高い一戦でそこまで大敗しなかった事は、改めてスプリンターとしてのオールラウンド性を示したものと言えるでしょう。

**★能力分析**

 この馬自身の能力について考える前に一言思うのは、この時代のスプリント戦は本当にわかりやすく前傾ラップばかりだなぁ、というところですね。
 今はGⅠでも時に緩んだり、後傾ラップになったりすることすらあるので、こういうスピード全開の真っ向勝負の方がやっぱり白熱する、というのはあります。

 その中でのアグネスワールドの特色は、とにかく追走力が高いものの、後半要素は乏しい、ここに尽きるでしょう。
 かつ、相対的に馬場が重くて前傾度合いが強いと、後半要素が更に甘くなるパターンも多く、国内戦に限れば基本高速馬場であればあるほど前後半のバランスが小さくなるので楽だった、と言えそうです。

 その意味で、ポジショニングの面では4歳春のように好位から、だと後半要素で足りなくなり、その後逃げか番手をメインにして一段ステージは上げてくるものの、重い馬場になるとラストの落ち込みが大きくて差し込まれる危険が大きい、というのが顕著に出ています。
 だからラストのスプリンターズSなどは、少し下げてバランスを取ったのは正解だったとは思うのですが、あの時点でダイタクヤマトがあの馬場の前傾ラップであれだけ強いとは見抜けませんでしたからね。
 本来馬場がいいはずの秋開催になっても雨が降って重くなったりと、そのあたりも含めて運のない馬だったのはあると思います。

 海外では重馬場もこなしていますが、レースラップがわからないので何とも言えません。
 ただコーナーがあるコースよりは直線の方が強かったのではないか、という感はあって、もしもこの馬がアイビスサマーダッシュに出走する機会があったら、とちょっと考えてしまいますね。カルストンライトオも素晴らしい快速馬でしたが、この馬ならより凄いレコードを叩き出したかもしれません。
 
 とにかく、基本的には馬場やコース問わず、環境の変化にも動じずに安定して力を発揮する強い馬でした。
 ただベストの条件のスポットはそこまで広くなく、国内で勝ち切れなかったのもそのスポットに噛み合わなかったと考えられるでしょうね。

**★終わりに**

 うーん、書き直しって本当に苦痛ですね。。。流石に一から書くよりはスイスイ進められますけれど。
 元の記事に比べると、そこまでの分量が7割くらいに縮小してしまいましたが、まぁ書くべきことは書けたのでいいでしょう。ある意味普段は私特に推敲はしませんので、むしろ余計な事を書き過ぎてるのかもしれません(笑)。

 ともあれ、改めて見てもこの馬はちょっと異端の、だけどとにかくスピード能力に傑出した素晴らしいスプリンターだったと思います。
 近年の函館2歳Sは、その後鳴かず飛ばずの馬ばかりというのが寂しい現状ですが、またこの馬くらい活躍する馬が出てくればいいなと思いますし、改めてこの馬の事績の偉大さを胸に、適性を加味した海外挑戦を目指す馬が出てくればいいなぁと感じます。
 
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2017 7月第3週海外GⅠ レース回顧 

**★パリ大賞典 [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=mAhiptnto14)**

 仏ダービーが2100mに短縮されてから、しばらくはレイルリンクやバゴなどこのレースの勝ち馬が凱旋門賞での活躍を見せていましたが、近年は精々フリントシャーが活躍したくらいで、近代のスピード重視の様相からやや取り残された感もあるパリ大賞典。
 今年は仏ダービー組がほぼおらず、英ダービー大敗で、前走はロイヤルアスコットで12F戦をきっちり勝ち切ったバーミアンが参戦して一番人気、それ以下の馬はフランスの2400m戦のGⅡ・GⅢで好走した馬、という感じで、例年以上に小粒なメンバー構成に感じました。

 レースは夕焼けがターフを黄金色に染める幻想的な雰囲気の中で行われていますが、内容としてはかなり淡泊で、逃げたバーミアンがラストまでしぶとく粘り込むところを、先行してインコースをタイトに立ちまわってきたスミヨンJのシャキールがハナ差捉えての勝利でした。

 馬場表記は良ですし、ラップが出ていないながらもおそらくかなりのスローで、時計水準としても平年の良馬場よりは良くない感じですので、メンバー構成同様にレースレベルも今一歩だったのは確かでしょう。
 この組から一気に成長して、凱旋門賞で好走する馬が出てくるビジョンはちょっと持ちにくいですし、やはりどうも今年の欧州の2400m路線3歳牡馬勢は不作のイメージですね。翻ってマイル路線は豪華ですし、これもまたスピード志向の時代の趨勢、というものなのでしょうか。

 まぁおそらくここでの上位組はニエユ賞あたりに出てくると思いますので、そこで改めて真価を見たい、というイメージですね。

**★愛オークス [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=6uxEpxeyp1o)**

 こちらは英オークスを5馬身差の好時計で圧勝したイネーブルが圧倒的な1番人気に支持されていました。
 レース内容も危なげなく、スッと逃げ馬の直後、番手につけたイネーブルは、最終コーナーで早々と先頭に立ち、そのままラスト200mで楽々後続を突き放す横綱相撲で完勝しました。

 とはいえ相手関係は英オークス以上に弱いので、ここでの着差はそこまで高く評価できるものでもないでしょう。勝つべくして勝った、という感じです。
 おそらくここからヨークシャーオークスで古馬牝馬と対決するか、或いはキングジョージあたりに果敢に参戦するのか、どうあれ英オークスの時にも触れたように、血統面で明らかにサドラーが濃く、2400mでこそ、という馬ですので、今後のレース選択が楽しみになってきますね。
 高速決着の2400mをこなせるかはどこかで試して欲しいですし、持久力に長けていそうですので、去年のように凱旋門賞が前傾のタフなレースになっても対応してきそうな馬だというイメージはありますが。

**★ジュライカップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=TP6-OxkhMks)**

 こちらはかつてアグネスワールドが勝利した事もある、英国伝統の1200mスプリント戦ですね。
 ロイヤルアスコット開催で3歳限定のコモンウェルスカップが設立されて以降は、このレースが3歳馬と古馬のはじめての直接対決になることが増えている感じで、今年も例に漏れず、コモンウェルスカップ1、2着馬に、ダイヤモンドジュビリーS1~3着馬が出てきて、中々に役者の揃った一戦となりました。

 人気はコモンウェルスカップでデビューからの連勝を6に伸ばした3歳馬のカラヴァッジョ、2番人気がダイヤモンドジュビリーSではやや不利を受けて3着に甘んじた当レース前年の覇者のリマトで、次いでコモンウェルスカップ2着で未だ連対を外していないハリーエンジェル、ダイヤモンドジュビリーS1着のザディンマンと続き、人気面ではやや3歳馬優勢となっていました。

 レースはカラヴァッジョがスタートで躓きやや後方からとなり、その一方もう1頭の3歳馬のハリーエンジェルは軽快に飛ばしてスタートからほぼ先頭を走り続けます。
 勝負所になってもカラヴァッジョの手応えは鈍く、一番最初に追い出されているくらいで、それを外を振るような形でリマトも脚を伸ばしてきますが、前を行くハリーエンジェルは全く止まらず、軽快な脚色のまま堂々と押し切ってみせました。
 最後はリマトが追い込んで2着、カラヴァッジョは伏兵にも先んじられての4着と、生涯はじめての敗戦を喫する事となりました。

 まぁ正直ロイヤルアスコットのレースぶりからして、無敗の看板ほど強い馬とは思っていなかったですが、それでもここでは同じ3歳馬に逆転を許しているので、一概にあのレースのレベルが低かったとも言いづらいんですよね。
 勝ち馬は前走よりもはっきり積極的なレースを組み立ててきましたし、今後もスプリント路線で楽しみな1頭になりそうです。リマトもやはり堅実で、ダイヤモンドジュビリーS組1、2着馬が大きく崩れたことを鑑みると重い斤量の中で健闘していると思います。

 ただ結局現状のスプリント路線って、レディオーレリアが一番強いという印象は変わらないですね。
 でもアメリカに移籍した馬だから、欧州のレースを使ってくるかはわからないですし、このあたりの組と対決するとしてもBCとかになるのかもしれません。
 カラヴァッジョは前走もややスタートが良くなかったですし、これが続くようだとスプリント路線では頭打ちになりかねませんね。一度1400mまで試してみても、とは感じます。

**★デラウェアハンデキャップ [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=VnVq2CCB0Io)**

 舞台をアメリカに転じて、ソングバードの古馬復帰2戦目になります。
 牝馬限定のハンデキャップ戦で2000m、相手関係もかなり弱く、ソングバードが淡々と逃げて直線で楽に突き放すだけ、かと思いきや、ハンデ差が思いの外効いたのか、直線では結構まともに鞭も入れられ、当然地力で押し切ってみせたものの、どこか素軽さが感じられないレースぶりは前走同様でしたね。

 正直3歳時はこんな馬ではなかった、というイメージが鮮烈ですが、或いは古馬になって斤量を背負う形で苦慮する部分はあるのかもしれません。元々非常に綺麗な走りをする馬ですし、そのバランスが少しでも崩れると、という可能性はあるので、それだとかえって混合栓の方がパフォーマンスを発揮できるかも、とは思います。
 どうあれやはりこの馬が古馬牝馬戦線を引っ張っていってくれないと面白くないので、次こそは昨年の走りを取り戻して欲しいなと感じます。
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2017 マーキュリーカップ レース回顧

 近年は海の日開催が定着してきて、ジョッキーズカップなども同時に開催されて盛り上がった盛岡の指定交流重賞・マーキュリーカップは、外からミツバが力強く差し切って嬉しい重賞初制覇を遂げました。レースを振り返りましょう。

 馬場状態は稍重まで回復しており、それでもレースレベルはわからないながらそれなりに他のレースでも時計は出ていて、高速状態だったのは間違いないと思います。
 展開はやはり連闘策のドリームキラリが押して押してハナを取り切り、その内側からクリノスターオーが早めに手綱を外に寄せて番手外に誘導、ディアデルレイがその2頭の更に外を追走する格好になります。
 ピオネロは五分のスタートからその3頭を見る形で内々をタイトに、ミツバは少し出負けした感じで、外からピンク帽の地方勢2騎も出してくる中で、コーナーまでには外に出しじわじわと前との差を詰めていく形を取りました。

 レースラップは細かくは出ないのですが、勝ち時計が2,02,1で、上がり4F49,3、3Fが37,3と出ています。
 なので前半6Fが72,8(12,12)で後半4Fが49,3(12,33)という推移、かつ800-600m地点が12,0で、その後のコーナーでも番手がクリノとはいえ前に詰めていく感じではなかったので、しっかりコーナーで引き上げられてラスト1Fが13秒に近い時計になっている、淡々と流れての持久力消耗戦ではないか、と思います。
 勿論バランス的に極端ではないですし、馬場も速かったので、序盤の追走力は強く問われたと同時に、しっかり長く持久力を引き出せるかが終盤のポイントで、あまり加速面は問われていないと感じましたね。

 勝ったミツバは、結果的に外から早め早めに押し上げてエンジンをかけ切る形が噛み合ったところはあるかな、と思います。
 この高速馬場ですので、道中ずっと外々だったのはそれなりのロスだとは思うのですが、それでもこの馬は追走面で強みがあり、かつ早めに仕掛けても極端に切れ味を求められなければ最後までしぶとく脚を使える馬で、4コーナー中間あたりから堅実に前との差を詰める脚を使えていたのは、コーナーの円周が広い盛岡ならではのプラス要素だったかなと。
 最後は内からピオネロやクリノもしぶとかったですが、外から捻じ伏せる形で勝てたのは強い競馬だったと思います。
 どうしても器用さはないですので、常にこうした早め早めの競馬を心がける必要はあると思いますが、噛み合ってくればより上位の相手にでも通用する持久力は保持しているな、と改めて感じましたね。

 2着のピオネロはまずそつのない立ち回りでしたが、思った以上に直線で前が捌けなかったのもあり、結果的に勢いをつけてきたミツバにアドバンテージを取られてしまったかな、というイメージです。
 ただペース分析でも触れたように、特に直線向いて再加速、というイメージではない展開ですので、そんなに前が空かなかったのがロスにはなっていないはずで、ここはしっかり出し切ってきたミツバを誉めるべきレースかもしれません。
 この馬としてはきちんとややハイくらいの流れで一足は使えていますし、距離もこのくらいが噛み合うと感じますね。どこかで重賞のひとつくらいは手が届いてもいい馬だと思います。

 3着クリノスターオーに関しては、まともなら地力はやっぱり上位だな、という所は見せてくれました。
 昨日の記事であやふやなこと書いて済みません、でしたが、前走の敗因は道中で自分で爪をぶつけて戦意喪失、というコメントが出てましたね。
 その怪我のせいで一度放牧に出す予定が、意外と早く回復したので急遽参戦、という運びになったようで、その分が+11kgという体重にも出ていた、というべきでしょうか。

 レース自体は最初から幸Jらしく番手外を取る、という意思を持って外目に誘導していましたし、多少運の良さもあったとはいえ自分の形に持ち込めればやはりしぶとい馬です。
 盛岡はコーナーが長くて、地方競馬としてはかなり緩めなので、コーナリングが致命的に下手なこの馬でも対処できるコースですし、それでもコーナーでは追って追って、最後にやや止まって内外から差されたのはその調整過程の不備と馬体増が響いたのかな、という感じです。
 ともあれまだ地力は衰えていないのを証明しましたし、また自分の形に嵌りそうな条件なら狙っていきたい馬ですね。

 4着ドリームキラリは、今回は自分の競馬は出来たと思います。
 ある程度ハイペースで淀みなくレースを作って、コーナーからじわっと仕掛けて後続の脚を削ぎにいっていましたし、馬自身もこの距離と高速馬場が合っていたのはあるのでしょう、交わされてからも近走とは違う粘り腰を見せていましたね。
 現状はこれが実力、力の差だとは思いますが、適性条件を選んで自分の形をより精密に模索していければ、逃げのスタイルでもう一皮剥けてもいい、と感じる馬ではあるんですけどね。

 6着ディアデルレイに関しては、まぁ難しかったとは思うのですけど敢えて苦言を上げるとするなら、スタートから1コーナーの入りですよね。
 今日はかなり出足が良く、ある程度促しながら好位を取りに行ったのは悪くない選択でしたが、ただあの出足と勢いがあったなら、もう少し頑張って出していって、ドリームキラリの番手を取り切って、クリノをポケットに押し込める戦略を取るのは可能だったのでは?と思ったんですよね。
 この馬自身まだ地力は足りない以上、外々からの正攻法では勝ち目が薄いのは当然で、それならばライバルの嫌がる競馬、相手の力を削ぐ戦略を狙うべきだったとは思うし、それが出来得る枠の並びだったんですよね。

 もしもクリノがポケットに押し込められていれば、当然ピオネロも3列目まで下げたくないから外目、という競馬にシフトしたと思いますし、ディアデルレイ自身も一列内側を走れる利点はあったわけで、このあたり若手らしく空気を読まない強気の競馬を仕掛けて欲しかったなと感じます。
 実際に馬自身はこのペース自体は対応できても、後半の持久力勝負で外々を回されて早めに苦しくなっていましたし、どう乗っても距離的に辛かったのかもしれませんが、掲示板まで外したのはこの枠の並びの中で無策に過ぎたせい、とは思いました。
 馬自身は、マイルでゴリゴリに流れると辛かったことも含めて、一先ずは1700~1800mあたりのOPで地道に力をつけて、ということになるでしょうか。人馬ともに、もう一段の成長を望みたいですね。
posted by clover at 05:10| Comment(0) | レース回顧・地方競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする