2017年07月26日

2017 函館2歳S・中京記念 レース回顧

**★函館2歳S**

 好天の中で行われた函館2歳S、見事世代の一番星に輝いたのは1番人気のカシアスでした。レースを振り返りましょう。

 馬場コンディションは朝から良に回復していましたが、時計自体はやっぱり全体的に掛かり気味になっていたと思います。
 1Rの2歳未勝利戦が35,0-35,5で1,10,5、午後の古馬中距離戦でも軒並みハロンラップは12秒を超える推移になっていましたので、このレースの1,10,0はまず水準の時計には届いている、と感じます。

 展開は、好スタートを決めたのが内からパッセ、ウインジェルベーラ、ダンツクレイオー、カシアス、スズカマンサクあたりでした。
 その中から内野ぱっせが押して先手を奪い、ウインがスッと番手で追走、ダンツが3番手の外でポケットにはデルマキセキが上がってきます。
 カシアスは内外の勢いを見て早めにスッと下げて中団やや前目で流れをじっくり見る形、アリアとナンヨープランタンは揃って立ち遅れ、アリアは多少リカバーして中団やや後ろ、ナンヨーはそのままダッシュつかず馬群から離れた後方2番手の追走になりました。

 レースラップは34,5(11,5)-35,5(11,83)=1,10,0(11,67)という推移になりました。
 これでも過去5年と比べると一番テンの入りは遅い形ですが、それでも1秒ジャストの前傾ラップで、後半も11,6-11,6-12,3とコーナーで緩みはなく、ある程度しっかり追走面が問われた上で、後ろの馬はある程度地力で加速してくる必要もあった、機動力もそれなりには問われての持久力戦、という感じですね。

 勝ったカシアスは、昨日の予想で触れた通り、好スタートからあのまま前目外目で速い流れに乗っていたら少し甘くなっていた可能性が高いのではないか、とは感じていて、あそこでスッと逸らずに下げたのが浜中Jの好判断だったと思います。
 血統的にこういうパワーの要る馬場は合っていたでしょうが、新馬でラストがちょっと甘かったように、本質的にはこの距離だと後傾ラップで入って良さが出るタイプと見ていたので、結果的に自身35,2-34,8とやや後傾の平均で走破出来たことが、この馬の現状の力、ラストのしぶとさを遺憾なく発揮させたな、と考えます。

 このローテーションでも+8kgで出られたようにタフな馬ですし、ポジションに注文がつかず、動かしたいところでスッと動けるのは素晴らしい持ち味ですね。
 今日もしっかりコーナーで先んじていいコースラインを取れていましたし、最後はウインもしぶとかったですが地力で差し込んできた、と言えそうです。
 
 母父がディラントーマスですので、キンシャサの仔としては距離の融通は効きそうなイメージでもあり、ここ2走の走りからも若駒の内は1400~1600mあたりは充分守備範囲になると思います。
 去年のモンドキャンノほどやれるかはともかくとしても、素材面の高さと競走馬としてのセンスの良さをしっかり見せてきましたし、この先大成してくるといいですね。

 2着のウインジェルベーラは拾えなかったなぁ、と。今日は全部のメインでラフィアン軍団大暴れですね。丹内Jも先週の無念を、こういう形でとはいえ巡ってきたチャンスでしっかり生かしたのは見事でしたし、実に強気な良い競馬でした。
 馬自身も新馬の時より前半・後半要素をそれぞれに高めていて、2戦目の成長を一番見せてくれたのかな、とは思います。スタートも素晴らしく、無理なく2番手外の絶好位を確保できましたし、4コーナーでパッセもペースを落としてはいないのですが、それを凌駕する形でしっかり一脚を使って一気に先頭と、伏兵とは思えない堂々たる競馬でしたね。

 血統的に父アイルハヴアナザーで、アメリカ血統らしく前半のペースが上がって良さが出た可能性は高いですし、1200mでこれだけ上手な競馬が出来ると逆に延長が難しいところはありますが、距離延長でも強気の競馬で後続の脚を削ぐスタイルを確立できれば面白いかもしれません。

 3着アリアは出負けが手痛かったですね。
 もう少しポジションは取れるかな、と思っていたのが後方寄りになってしまいましたし、結果的にカシアスの真後ろでしっかり動いてはこれているのですけど、出遅れてリカバーしてのマークでは、敢えて下げてきたカシアスとの余力の差は大きかったでしょう。
 それでもラスト1Fの脚は新馬同様にしっかりしたものでしたし、牝馬路線で距離延長してどこまで戦えるか楽しみはあると思います。

 4着デルマキセキは、血統的に渋馬場はまず得意だろうから最後に拾うべきかスズカと迷ったのですが、結果的にやっぱりこちらもアメリカ血統らしくペースが上がって、後半の緩急がないところでしぶとさを引き上げてきた印象です。
 自分でペースを作れるほどのスピード感はないですし、いずれダートなのかな、という気はしますが、今日はコース取りも上手かったですし健闘したと言っていいでしょう。

 5着パッセは、まさかこの馬が逃げる形になるのかー、というのはありましたね。
 確かに包まれたくはなかったかもですし、予想でももう少し外が理想、とは書きましたが、ちょっと鞍上が気負い過ぎた印象はあります。
 このくらいのハイペース自体はこなせる馬だと思っていましたが、番手のウインの勢いが凄かったですし、騎手自身函館に慣れていない分だけ後半の動き出しで後手を踏んだ感はありますね。
 完全にウインに前に出られてからもしぶとく粘り、そこから差はつけられていないので、もう少しこちらもコーナーから抵抗する動きが出来ていたならどうだったかな?という所はありつつ、その辺も含めてまだ見立てが甘かったと反省ですね。

 6着ナンヨープランタンは、完全に流れ切ってしまうと1200mではいかにも厳しい、というのを露呈したと思います。
 スタートも悪く二の脚も悪いので全くペースに乗れていませんでしたし、後半もある程度促して外目からエンジンは掛けられていますが、前が緩ませていない限りはそこで決定的に詰められるほどの鋭さはなく、頭数が多い分コースロスも大きくて、最後は雪崩れ込むだけ、になってしまいました。
 上がりは34,4で最速、新馬と同じだけの脚は使っていますが、やっぱりその競馬で勝ち切るのは厳しかったですし、前で緩みのない強気のレースを実質的にコントロールしてきたウイン丹内Jが今日は中々に見事でした。それをギリギリ届く範囲で後半型の競馬に持ち込んだカシアス浜中Jもいい騎乗でしたし、全体的にいい競馬だったと思っています。

**★中京記念**

 こちらはウインガニオンが最内を通してしてやったりの押し切り勝ちを見せました。
 しかしこれだけ荒れる荒れると言われて、蓋を開けると上位5番人気までで掲示板独占になるのですから、本当に競馬は難しいなぁと思いつつ、レースを振り返っていきましょう。

 馬場はこの日ちらほら雨模様だったのもあり、昨日よりもまた少しだけ時計がかかる馬場にはなっていたかな、と思います。
 馬場自体もかなり荒れてきてはいましたが、それでもこなせる馬には苦にならない、くらいの荒れ方で、結果的にインを通した馬が1、3着ですので、雨の影響もあり外の優位性が相対的に削がれてもいたのかな、と感じます。午後のレースは顕著に逃げ先行が圏内に絡んでいましたし、最終が35,2-11,6-34,6で1,21,7止まりですので、このレースの1,33,2はそれなりに出た方なのではないかと考えます。

 レース展開は、ウインガニオンの出足がイマイチよくなく、逆にトウショウピストが絶好のスタートからダッシュも決めて、結果的にトウショウピストが単騎逃げで、リカバーしたウインがやや離れた2番手で実質的には逃げている形を作ります。
 その直後にスーサンジョイとマイネルアウラート、内からはピークトラムとこのあたりは大体予想通りのメンバーが先団で、アスカビレンも中団より前、グランシルクも中団やや後ろと普段よりは積極的なポジション取りになります。
 ダノンリバティはスタートからの行きっぷりが良くなくやや後方からの苦しい展開で、ブラックムーンはいつものようにほぼ最後方から、徐々に内に誘導してイン差し狙いを明らかにしていましたね。

 レースラップは34,7(11,57)-23,7(11,85)-34,8(11,6)=1,33,2(11,54)という推移でした。
 全体的に平均気味ではありますが、中盤が11,6-12,1で、トウショウピストが下がってきたところでウインガニオンは一気に差を詰めています。
 ウインの上がり3Fはレースラップとイコールですので、内外の差があり見えにくいのですが、大体ここで3~4馬身差がなくなっていて、ウインは11,4~5くらいの脚を使っていると感じます。

 なので、ウイン走破で補正すると35,4-23,0-34,8くらいのバランスっぽく、そうなると実質的には序盤スローからの5Fのロンスパ戦、という見立てが出来るかなと思いますし、中盤が速い分後続に押し上げるタイミングを作らせず、といって極端に切れ味も問われない持続力戦に持ち込んでいるなというイメージで、特に最速地点になっている4コーナーでほぼ全ての馬が外目を回ているので、ここでの脚の使い方が結果に大きく影響していると感じます。

 ともあれ勝ったウインガニオンは、早めにつつかれる形になって苦しいか、と思っていたんですが、やや出負けて隊列が早々に決まったことで、実質的に自分のペースでの逃げから、後続に足を使わせる絶妙のロンスパに持ち込めたな、と。
 基本的には前半はゆったり目で入りたい馬ですので、このくらいのペースは理想に程近い流れですし、また血統的にもこの日の荒れ馬場を苦にしないパワーが備わっていましたね。
 他の馬が避けて通る内目をスルスルと上がっていったことで、他の馬がコーナーで一番いい脚を求められているのに対し、この馬自身は直線まで最高速の脚は取っておけた、という感覚で、坂地点での出し抜きの鋭さは素晴らしかったです。

 馬自身去年もこの時期に3連勝しているように夏馬なんだな、と思わせられますし、自分の形に持ち込むと強いな、と改めて感じさせる圧巻の勝ちっぷりでした。
 この後はサマーマイル転戦になりそうですが、新潟で高速馬場ですとよりバランスが問われて難しさはありそうです。それでも今の充実度ならこなしてきそうな感じはありますね。

 2着のグランシルクは教科書通りの正攻法、という感じで、ウインには出し抜かれたもののようやく賞金を加算する事に成功しましたね。
 この馬はやはりどうしても馬場のいいところを通したい、というのはありますし、そことのバランスで前半のポジショニング、コーナーの立ち回りにもロスは少なく、直線の持ち出し方も綺麗で、持続戦自体も得意な部類ではあるので、この馬自身の力は出し切れているだろうと思います。
 ただメカニズム的にどうしても外目を通した馬は坂手前から最高速度を問われた感じはありますし、実際持続力に乏しいタイプは全滅していますので、地力はみせたものの今日はどうにもならなかった、というべきでしょうね。勝ち馬の立ち回りを誉めるべきです。

 3着のブラックムーンは、この枠から最内に潜り込むたりはいかにもデムーロJらしい勝負手だなと感じました。
 でもこの馬はやっぱり綺麗な馬場で切れ味を引き出したいタイプなのかな、とは思いますし、最内を丁寧に通して坂で満を持して追い出してもスパッと切れる感じがなかったのは、やっぱり力の要る馬場に足を取られた分はあるのではないかと思わせます。
 上がり時計はコース取りの差もあるので最上位ですけど、ラストの持続力面では普段なら問題にしないグランシルクにもやや劣った感じもあり、脚の使いどころが難しい馬なのは確かだなぁと。

 それでもようやく重賞で結果は出してきましたし、関屋記念に出てくるなら当然楽しみは大きいです。秋には大きい舞台にチャレンジして欲しいレベルの馬ですし、どこかで嵌り切れば、と思いますけどね。

 4着アスカビレンは位置取りも、最後のコース取りも決して悪くはなく、ただ後半5Fのロンスパ気味の持続力戦、というのはかなりタフな展開ではあるので、牝馬としては辛いところはある、というべきでしょうか。
 最後もジリジリ伸びてはいますが、グランシルクのように切れ味を引き出すところまでは余力を持てていませんでしたし、調子は良かったと思うのですがちょっと流れ的に噛み合い切らなかった、と感じますね。
 あとマイルでこれくらいまで流れると、若干追走面でも危うさはあるのかもしれません。やっぱりべストは1800mという感じはします。

 5着ダノンリバティはやっぱり位置取りがああだと、決定的な武器がないので雪崩れ込みしか出来ないなぁ、と。
 今日はスタートは悪くなかったと思うのですが、序盤での前進気勢が足りない感じで、調教やり過ぎたかも、なんてコメントも出てたように、夏バテとかも含めて少し状態面も良くなかったのかもしれません。
 最後はこの馬なりに脚を使っていますが、結果的に去年と同じレース、着順になってしまいましたね。
 去年もここを叩いて関屋記念で前々から粘り込む良さを発揮してきましたので、改めて期待はしたいと思います。
 

 
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2017 7月第3週新馬戦ほか レース回顧(日曜編)

**★7/16(日) 福島5R 芝1800m戦**

 この日曜日は各競馬場で中々に見所のある馬が勝ち上がってきましたが、その中でもこのレースは、序盤からのハイペースという新馬中距離戦らしからぬレースの中、堂々とノームコアが番手から押し切る強い競馬を見せてきました。
 
 レース展開は、2番人気のヘッドストリームが逃げて、そのすぐ外目にノームコアがつけて、延々プレッシャーをかける形で進めていきます。
 1番人気の3着ムーランナヴァンはまずまずのスタートから先団を見る位置、最後2着に突っ込んできたマイティテソーロは外枠もあり後方からじわじわと進出する形になります。

 レースラップは35,6(11,87)-36,5(12,27)-37,0(12,33)=1,49,1(12,12)という推移でした。
 序盤から人気2頭が鬩ぎ合う形で進めたことではっきりハイペースになっていて、かつ後半3Fが12,6-12,2-12,2となっており、後続の馬は12,6の地点で前に取りつきつつ、という競馬が出来ているので、当然高い追走力は問われたものの、それでも基本的には後ろからの馬が絶対的に有利な展開だったと思います。

 しかし勝ったノームコアはこの流れをピッタリ番手でマーク、ほぼレースラップと同じ推移で刻みながら、ラスト2Fで再加速、かつラスト1Fでも落としていないという中々に凄みのあるラップを踏んできました。
 むしろ早めに押し上げた好位勢の方が最後辛くなって差が広がっていますし、唯一詰めてきたのが後方からのマイティ、というところからも、前半要素を高く問われてのレースでは確実に2枚は上の競馬をしてきたと言えるでしょう。

 血統的にハービンの仔はあまり追走を問われて良さが出ないタイプがこれまでは多かったですが、今後は配合などにも工夫が凝らされて、こういう前傾型の中距離馬を出してくるかもしれません。
 全体時計としても当日の福島の馬場を考えれば新馬としてはかなり優秀ですし、これで今後ペースが緩い流れに入った時に後半要素でどこまで勝負できるか、の課題はありますが、流れても強い、というのは強みになるでしょう。現時点で60秒ラインをクリアできるなら、2歳時のマイル戦レベルなら追走で苦慮はしないのではないかと感じますし、かなり先が楽しみですね。

 2、3着馬も勝ち馬が強烈なだけで、この流れの中でそこそこしぶといいい競馬をしているとは思いますし、競り潰されたヘッドストリームにしてもこれは特殊な展開ですので、巻き返しの余地は充分あると思います。全体的に上位は質の高い競馬をしていると感じるので、未勝利クラスなら勝ち上がってくる馬がそこそこいるのではないでしょうか。

**★7/16(日) 中京1R 芝1400m未勝利戦**

 新馬マイル戦で惜しくも2着に敗れたレッドシャーロットが、中1週できっちり勝ち上がってきました。
 新馬とは真逆の34,0-11,8-36,0という強烈なハイペース戦の中、追走面でもさほど苦労はしていませんでしたし、中団の外目から勝負所でスッと一脚を使ってくるあたりは、やはり血統的にもスピード色は濃いのかなと感じます。
 ラストは12,5を要しましたが、ある程度流してもいましたし、新馬とセットで好走できるスポットの幅が現時点での2歳馬としてはかなり広いな、と思います。こういうタイプは上でも大崩れはしないと感じるのですが、反面ハイでもスローでも図抜けて強い、というところはないので、物差しタイプになっていくのかなとも。

 この日は-8kgとギリギリでしたし、一回休ませて秋、ということになるでしょうが、牝馬クラシック路線には顔を出してこられる素質はある1頭かなと感じますので、この先も注目していきたいですね。

**★7/16(日) 中京5R 芝2000m戦**

 世代最初の2000m戦にして、中々の良血・評判馬が集まり注目を集めた一戦は、超スローからの瞬発力・持続力勝負となる中、人気のディープ産駒2頭の火の出るような叩き合い、一騎打ちになりました。
 最後はシルバーステートの全弟で1番人気のヘンリーバローズを外からハナ差競り落としたワグネリアンが勝利、早くも2頭揃ってクラシック候補の呼び声が高まっています。

 レース展開は、まずヘンリーバローズが兄譲りの素晴らしいスタートを決めますが、ここでは逃げる気は絶対にない、とばかりに外の動きを見ながらの進出、キタサンとブレイクを前に行かせて3番手の外目を確保します。
 ワグネリアンは五分のスタートながら行き足はやや鈍く、その2馬身ほど後ろでマーク、人気の一角のスヴァルナも同じようなポジションで折り合いに専念し、全体が画像で見ても足の運びではっきりわかるくらいのスローになります。

 ラップは40,2(13,4)-51,4(12,85)-33,1(11,03)=2,04,7(12,47)という推移でした。
 ハーフで見ると67,0-57,7という馬鹿げた後傾ラップで、それこそ1000m助走してからの1000mスプリント戦みたいな事になっていて、少なくとも追走面での資質は微塵も垣間見ることは出来ていません。

 ただ後半の5F57,7というのは、高速馬場を加味してもかなり凄まじい数字ではあります。
 ラスト5Fが12,2-12,4-11,2-10,9-11,0という流れで、その前は13秒台でしたので、まず向こう正面で1段階目の加速があり、そこから4コーナー中間でもう1段階ペースが上がって、そこからラストまで全く落とさない強烈な3F持続力戦、という様相です。
 なので後半要素での加速力面はかなり強く問われていますし、当然瞬発力の質、なにより持続力面での素材差がまざまざと浮き彫りになった1戦である、とは言えるでしょう。

 勝ったワグネリアンは非常に競馬にいってしなやかというか、静かというか、あまり余計な挙動をせずにしっかり鞍上の意のままに反応できるタイプだなと感じます。
 少なくともこの流れの中で、加速地点で置かれてしまう感じはなかったですし、強いて言えば最速地点の坂加速は今一歩でしたが、その代わり坂を登ってからの一瞬の切れ味で勝ち馬をはっきり凌駕してきました。

 推定でこの馬のラスト3Fは11,0-10,8-10,8くらい、残り200mで1馬身差あったのを、そこから2~3完歩でスッと詰めていて、平坦な所に戻っての一瞬の加速は凄みがありました。
 ただハロンラップで見ると究極的に切れる、というほどではなく、むしろ10秒台を2F余裕で続けてきた持続力の高さが目を引きますね。
 ここまでラップが速いと、坂加速がイマイチなのか、純粋に最高速度がここまでなのかは見極めにくいですが、少なくともこれだけの機動力を坂で見せられるなら府中適正も高いでしょうし、今の時点でもダービー、という言葉を意識できるだけの走りではあります。

 無論前半要素で最低限61秒まで詰めて、その上でこの脚が使えるか、という話ですので、時期尚早なのは間違いないですが、少なくとも後半要素の絶対値だけで言うなら重賞・GⅠレベルでも遜色ないものを見せてきたのは確かだと思いますね。
 テンダリーヴォイスの下ですが、姉と違ってそこまでスピード色が前掛かりに出ていないので、現状は2000m路線で見ていきたいところです。ただコーナーでの加速が上手いかはまだなんともですので、小回りコースだと難しさはありそうですけど。

 2着のヘンリーバローズも当然かなり強い競馬で、スタートの良さなども含めて総合的に見ると、こちらの方が好走スポットの幅は広くなっていくのではないか、と感じます。
 シルバーステートの下ですし、追走面でもそこに一定の担保は置けるかな、というのと、機動力や切れ味、持続力と後半要素が全てバランス良く整っているので、ダービーはともかく皐月賞向きの競馬が出来そうなタイプはこっちかな、と。
 次はどんな距離でも楽に勝ち上がれるとは思いますし、兄も足元が弱い馬なので、2歳時はあまり焦らず慎重に育てていって欲しいですね。

 あと全然関係ない余談ですけど、ワグネリアン、って名前を見ると、宮本輝さんの『優駿』という小説を想起するんですよね。
 次々主観キャラが変わっていく10章構成の物語ですけど、主人公格の馬主さんの名字が和具で、持ち馬の冠号にワグ~ってつけて走らせてたのを思い出して、なんか懐かしいなー、また読み返したいなー、なんて思ったりしました。
 まぁ向こうは冠号に拘るのを止めて走らせた馬が2冠馬になるサクセスストーリーですし、こっちは冠号関係なくワーグナーファンの意、となってるので、ただ漠然とそういう発想が出てきた、ってだけの話です。
 この作品映画化もされてて、だけど本編では漆黒の馬体のはずのオラシオン役が栗毛流星のメリーナイス、という中々にミスキャストなことになってたらしいです。見た事はないんですけどね。。。

**★7/16(日) 中京6R 芝1200m戦**

 こちらはブリランテ産駒のテイエムスグレモンが好スタートからポケットに入り、直線でインから抜け出す教科書通りの競馬で見事に勝ち上がりました。
 スタートはテイエムが一番良く、そこに外から2着のリリープリンセスが押し上げていってハナを奪う格好になります。
 1番人気で3着のヴァルディノートはスタートで重心が後ろにかかるような形でダッシュがつかず後方から、かつ道中で下がってきた馬を交わすのに更に下がるシーンなどもあり、ちぐはぐな競馬になっていました。

 ラップは35,0(11,67)-35,5(11,77)=1,10,3(11,72)という推移でした。
 時計としては平均ペースの中でラスト12,4とかなり落としており、レースレベルは平凡だったと思います。
 ただ勝ち馬は馬場の荒れたところも苦にせず、要所の反応もかなり良かったので、相手関係が強くなり過ぎない限りは自分の競馬は出来るタイプなのかな、と感じました。ただこの日は減量の恩恵も大きかったでしょうし、もう1戦様子は見たいですね。
 しかしブリランテの仔は高速馬場適性も高く、かつ荒れた馬場を苦にしないパワーもあって中々面白いですね。

 2着のリリープリンセスは形としては完敗ですし、勝ち馬以上にラストを落としているので中々次ですぐに、とはいかない気もします。
 むしろ巻き返しがあるとしたら3着ヴァルディノートの方でしょう。
 この日はスタートも悪く、道中の不利もあり、かつ4コーナーで少頭数なのに激しく大外ぶん回しとかなりロスの多い競馬になっていて、それでもラストはしっかり差を詰めてきました。
 まだ馬自身が遊び遊び、という感じではありますが、常識にかかってくればひとつふたつは勝てそうな雰囲気はある最後の走りでしたね。

**★7/16(日) 函館5R 芝1800m戦**

 先週は同舞台でオルフェーヴル産駒が初勝利、そして今週はあのゴールドシップの全弟が登場しましたが、しかし勝ったのは1番人気でもう1頭のステイゴールド産駒、ディロスの方でした。

 日曜ほどではないにせよ、少しずつ時計がかかってきた中でのレースでしたが、好スタートを決めたディロスは、外からリズモン、2着のユニオンローズを先に行かせ、1コーナーで外目に出す巧みなハンドリングで絶好位を確保します。
 ゴールドフラッグの方はスタートで躓くような格好になり、押して押してリカバーするも中団やや後ろまでと、誰しもがこれを見て、血は争えないなぁ、と慨嘆した事でしょう(笑)。まぁゴルシ自体3歳暮れくらいまではあそこまで奇矯なキャラではなかったですけどね。

 ラップは38,9(12,97)-38,9(12,97)-35,0(11,67)=1,52,8(12,53)という推移でした。
 見ての通り序盤も中盤も緩く、かつ仕掛けどころも遅くてラスト3Fが12,1-11,4-11,5という2F戦、ある程度の加速力と切れ味は問われたものの、全体的に評価のしづらいレースにはなっているかなと感じます。

 勿論勝ち馬はレースセンスの良さと、一定の切れ味に持続力を見せてきて中々に味のある競馬でしたが、他2場の中距離新馬戦が強烈でしたので、その中に入ると派手さはなく、ハンドリングも非常に上手かったのでそのあたりも加味してみると難しさはありますね。
 少なくとも先週のクリノクーリングに比べると追走面や持久力面の担保が確実にある分、レースレベルが上がった時に信頼度が高いのはあちらだと思います。明日ここの2着のカレンが走るので、それ次第でまた色々判断も変わってくるかもですが。
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2017 7月第3週新馬戦ほか レース回顧(土曜編)

**★7/15(土) 福島1R 芝1800m未勝利戦**

 福島の馬場はまだ高速状態を維持、という感じで、その中でこのレースは、新馬戦はテンクウとの切れ味勝負の中でポジション差負けしたニシノベースマンがきっちりいい競馬で勝ち上がってきました。

 スタートこそもっさりでしたが道中内目から少しずつポジションを上げていく戸崎Jらしいそつのない競馬で、4コーナー中韓あたりから一気に進出して直線大外から楽々突き抜けたのは見事でしたね。
 ラップ的にも36,5-38,6-35,7と中緩み顕著の中で、広範12,0-11,9-11,8と微差ながら加速するレースラップでも、しっきり機動力を引き出せてきたのはポイントです。
 おそらくこの馬自身は11,7-11,4-11,6くらいかな、と思っていて、新馬ほど切れ味はみせていないものの、コーナーでの加速力とそこからの持続力は面白いものがあると感じます。

 全体時計としては平凡ですし、ノヴェリストは新馬勝ちした馬がかなりのハイペース戦でやれているのでまだ傾向が掴み辛いですが、この馬はある程度後半勝負で良さが出るタイプかな、と。洋芝適正もあると思うので、札幌2歳Sとか使って来たらちょっと注目してみたいかなと感じています。

**★7/15(土) 福島5R 芝1200m戦**

 このレースは、ポンと好スタートを決めたオジョーノキセキが、番手外で追走する圧倒的人気のマドモワゼルを直線で振り切り新馬勝ちを収めました。
 ラップは35,9(11,97)-34,5(11,5)=1,10,4(11,73)という推移で、見た目より前半が遅く、特に2F目がスプリント戦らしからぬ11,5という遅いラップになっています。
 なので前2頭で決着するのは当然、と言えばそうですが、ただ前半が遅かった分、後半のラスト2Fは11,3-11,4とそこそこのラップを刻んでおり、加速度や鋭さなどには面白い部分がありました。

 こういう競馬が出来るタイプはそこまでポジションにはこだわらないと思いますので、前半要素を詰められるかはともかく、もう少し距離延長しても対応は可能に思える走りでしたね。
 上位2頭はきっちり後続も突き放していますし、時計は遅いですがまずまず評価していい内容だったかなと考えます。

**★7/15(土) 福島6R ダート1150m戦**

 このレースは人気馬が総崩れとなり、外から好スタートを決めたココロノイコロが4角先頭で堂々と押し切ってみせました。
 道中は内目の速い馬を行かせて3番手の外、2着に差し込んできたハルキストンは出足鈍くやや後方から押して押して追走という感じでしたね。
 ラップは32,5(11,83)-38,2(12,73)=1,10,7(12,28)という推移で、一貫減速の消耗戦になっています。基本的には高い追走力が問われていますし、勝ち馬はその文脈でいいですが、2着馬はある程度のペースに耐えつつ後半でひと足くらいはコーナー出口で加速しているかも、という感じですね。

 勝ち馬はシスターミニスターの仔らしいパワーとスピードですし、時計もまずまずですので、1200m戦までは優位に戦えるでしょう。ただスピード色が強いので距離延長が噛み合うかは微妙なイメージです。
 2着馬はこの距離ですと序盤のポジショニング、先行力に難がありそうですので、1400m戦でまず見てみたいかなと思いますね。コーナーでの機動力もありますし、最後までしっかり差を詰めていますので、距離が延びれば逆転も、と考えられる力関係かな、と見ます。

**★7/15(土) 中京5R 芝1600m戦**

 ここは母父ディープの人気2頭の一騎打ちになり、スワーヴポルトスが前々から早め先頭に立ち、クアトレフォイルの強襲を何とか凌ぎ切りました。
 中京の馬場も、内側が荒れてきたものの時計自体はまだまだ出ている感じで、この日も高速決着が多かったですね。
 そんな中で勝ったスワーヴポルトスは2番手の外目を追走し、クアトレフォイルはややダッシュがつかず、外枠もあって道中はやや後方の外目と苦しい位置取りになります。

 ラップは37,2(12,4)-24,9(12,45)-34,7(11,57)=1,36,8(12,1)という推移でした。
 序盤中盤ともに緩いのですが、ラップ的に波は少なく、淡々と12秒3~5を刻んでのラスト2F勝負で、12,3-11,1-11,3という推移の中、坂地点での1,2秒の加速と、そこからの持続力が強く問われたレースになっていると思います。

 勝ったスワーヴポルトスは、いかにもクロフネの仔らしい加速力に加え、母父ディープの持続力もそこそこ備えていた感じですね。
 ポジションを取るのも上手かったですし折り合いもしっかりついていて、直線外目からしっかり加速扶助されていたとはいえ、残り400mで抜け出しての坂地点の切れ味は中々でした。
 この馬自身のラスト2Fはレースラップそのものと思うので、最後は少し落としたものの誤差の範囲内であり、全体時計としても極端に遅いわけではない中で、悪くないレースだったなと思います。

 2着のクアトレフォイルも中々スケール感を感じさせました。
 この馬の場合この日はポジション差が大きかったのもありますし、あと坂地点での切れはそこまででもなかったのは、純粋な加速力と坂加速のどちらにやや難があるか微妙なところです。
 ただ坂を上がってからの伸び脚は非凡で、おそらくこの馬は12,0-11,1-10,9くらいのラスト1F最速で上がってきており、より距離延長で噛み合いそうなイメージを見せてきましたね。
 ルーラーの仔なのでこういう波の少ないレースが噛み合ったのもあるでしょうが、個人的にはこちらの方が先が楽しみに思えました。

**★7/15(土) 函館5R 芝1200m戦**

 このレースは、大外からサンダベンポートが素晴らしいスタートを決めて楽々ハナに立ち、スローに落とし込んでまんまと逃げきりました。
 ただラップは36,9(12,3)-35,2(11,73)=1,12,1(12,02)と極端に前半が遅く、それでいて後半も12,1-11,5-11,6という推移ですので、全体的にここはいい能力を見せてきた、と言えるところはないかなぁと感じます。
 ただこのテンのダッシュ力は面白いので、連闘で函館2歳Sに出てくるようですが、ペースが上がってもポジショニングではある程度太刀打ちできそうで、そこで前半要素を高めてくれば或いは、というところはなくはない、くらいですね。

 しかし意外とストロングリターン産駒の活躍は目立ってますね。自身府中マイルのレコードホルダーですし、血統イメージ以上にスピード色が強く出ていて、かつ仕上がりの早いタイプは、今後安価な種牡馬としては重宝される資質になるかもしれません。
posted by clover at 05:10| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする