2017年07月26日

2017 7月第5週海外GⅠなど レース回顧 

 今週は週中にもポツポツ大きなレース(サセックスSとか)がありますので、その辺はまた金曜日くらいに取り上げるとして、一先ず土日での主要なレース回顧を上げていきます。

**★キングジョージ六世&クイーンエリザベスS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=ycES4TiXzRw)**

 イギリスの2400m路線における古馬最高峰の格を誇るキングジョージは、唯一の3歳牝馬にして英愛オークスを圧勝してきたイネーブルが、一番人気に応えて好位から危なげなく抜け出し、斤量差も活かして歴戦の古馬をも楽々突き放して圧勝しました。

 当日の馬場はかなりの雨量でほぼ重馬場、という感じだったようで、レースもペースメーカー以外は道中からやや外目の芝のいい部分を通っている様子がうかがえました。
 展開は、ペースメーカーのすぐ後ろに、いつもスタートはすごくいいイネーブルがスッとつけ、内枠からだったハイランドリールは一旦少し下げて、イネーブルの外に出してからじわじわとポジションを上げるプランを選びました。
 イネーブルのすぐ後ろに僚馬で人気の一角、ジャックホブスがつけて、中団よりやや前にエクリプスSを勝ったユリシスがいましたね。

 全体のペースはわからないですが、勝ち時計2,36,22は過去20年でももっとも遅い時計であり、表記以上に馬場が悪く、巧拙を強く問われたレースになっていたのではないか、と感じます。
 
 勝ったイネーブルはそれは強い競馬でしたが、英・愛オークスに続いてここでも道悪の状況となり、かなり時計がかかったのは確実にプラスだったとは思います。
 とにかくパワーがありバテない、というタイプで、直線でも一気に抜け出す、というよりはじわじわ最後まで差をつけ続けた、という感じで、これがより切れ味を問われたり、レース全体がスピード決着になった時の不安はあります。

 ただ3年前のタグルーダに比べても、愛オークスから中1週でここを使っての圧勝、というのは競走馬としての圧倒的なスケール感、タフさを感じさせますし、当然斤量面の優位も続く上、ポジショニングがとても上手な馬ですので、凱旋門賞でも期待される1頭になるのは間違いありません。
 去年のようにハイペースからの消耗戦になった時に、スピード不足が露呈しなければ強そうなイメージも持てますし、この後はヨークシャーオークスから凱旋門賞と確実に2400mに拘ったローテになりそうですが、本番まで勝ち続けていって欲しいですね。

 2着のユリシスも、ここにきて一気に充実期と見るべきか、初GⅠ制覇となったエクリプスSに続いて、2400mのここでもしっかり結果を出してきましたね。
 着差を見れば完敗なのは確かですが、他の有力馬は楽に振り切りましたし、この馬自身は前走も含め、前半ゆったり入れる方が噛み合いそうですので、2400m路線の方が今なら面白いのかもしれません。
 前走の切れ味を見ても、良馬場の方がパフォーマンスは高くなると思いますので、益々今後が楽しみになるとともに、凱旋門賞でも勝つチャンスのある一角に入ってきたのではないか、と感じるレースぶりでした。

 ハイランドリールはこういう馬場は完全に苦手ですので度外視でいいと思います。
 ジャックホブスはドバイ勝った時のイメージからですと、そんなに道悪は苦にしない気がしていたのですが、この日は最初から走りのバランスが悪かったですね。どうも馬の調子自体が完全に崩れてしまっているようで、同厩のイネーブルと直線入り口では並んでいたのに、くっきり明暗が分かれる形になってしまいましたし、ちょっとすぐに本領発揮、というイメージを持ちにくい負け方でしたね。

**★ハスケル招待S [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=Q0nQSFjV0tk)**

 真夏のダービー、トラヴァースSの前哨戦になるGⅠ、ハスケル招待Sは、ややハイ気味の流れの中、後方待機のガーヴィンが先に抜け出したマックラーケンをしぶとく差し切って、嬉しい初GⅠ制覇を成し遂げました。

 人気は4戦無敗のタイムライン、ベルモントS2着のアイリッシュウォークライ、堅実なプラクティカルジョークと続いていましたが、レースは人気2頭が先行、特にタイムラインがやや引っかかり気味に前を主張した事で、道中のペースが速くなります。
 ラップが23,93-23,41-23,91-24,40-12,70=1,48,35という推移は、アメリカ競馬としては最序盤は速くないですが、400-800地点が最速で、ここで前が少し離し、後続はラップが落ち始めた残り4F地点くらいから押し上げる競馬をしていて、力関係が拮抗しているメンバー構成で、少し前が無理をする中で、道中の立ち回りの差が出た格好ですね。

 ガーヴィンは元々ダービートライアル路線でベルモントS勝ち馬のパッチを破っていたりと、素材面では評価されていた馬でしたが、ケンタッキーダービーの惨敗から一度立て直して、しっかり結果を出してきましたね。
 展開としては噛み合ったとは思いますし、次は1F延長が鍵になりそうですが、クラシック上位馬が悉く当てにならない状況の中で、次も楽しみな一頭です。
 マックラーケンもダービー後別路線でしっかり結果を出して、ここでも早めに抜け出す強い競馬を見せましたが、もう一押し足りませんでしたね。
 プラクティカルジョークは道中内々から外に出すのにロスがあったものの、そこからはしぶとく伸び、改めて堅実さを見せてきましたが、やっぱりここで勝ち切れないのがキャラ、という感じでしょうか。

 アイリッシュウォークライはやっぱり前半リズム良くいけないと厳しいのかなぁと。タイムラインにリズムを崩されたところもあるでしょうし、早めに抜け出して勝ちに行ったもののラストは明確に甘くなっていて、この馬の場合は距離延長はプラスに感じるので巻き返しはあるかもですが、どうあれ枠と逃げ馬同士での相性がポイントですかね。

**★クレメント・L・ハーシュS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=0-KgpF1L0ws)**

 ビホルダーマイルに続き、ステラウインドとヴェールドリの一騎打ちになりました。
 ステラウインドは去年のこのレースで、ハイペースで逃げるビホルダーを撃破する大金星を挙げて一線級に台頭してきましたが、今年は牝馬のチャンピオンとして迎え撃つレース、その中でややスロー気味にコントロールされた分、斤量差も含めて苦戦したのかな、というイメージです。

 今年は僅差勝ちのレースが多いですが、おそらくこの馬は明確に前傾型で、ペースが上がるほど強いと思うので、むしろこのくらいのイーブンペースにコントロールされても捻じ伏せる強さを見せているのは大したものだと思います。
 一応まだ今年無敗ですし、ソングバードやアベルタスマンと対決するまでは負けて欲しくないですね。

 ヴェールドリもやはりすごくいい馬だなぁとは思いますが、この馬はペースをコントロールしたいタイプと思えるので、多頭数になって先行争いが激化した時にどうなるか、はポイントでしょうね。

**★ジムダンディS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=obX_N6pphUo)**

 こちらはGⅡですが、トラヴァースSの前哨戦でもあり、ケンタッキーダービー馬のオールウェイズドリーミングと、プリークネスS馬のクラウドコンピューティングが出てきたので取り上げておきます。
 レースは序盤から人気二頭が先頭二番手で淀みない流れを作っていきますが、極端に速いというほどではありませんでした。
 しかし3コーナーあたりから2強の手応えはやや怪しく、コーナーで後続の伏兵たちも取り付いて直線は一時横一線の激戦になったものの、最後は大外から伏兵グットサマリタンが楽々突き抜け快勝しました。

 この馬はどうやらこのレースがはじめてのダート戦だったようで、前半は画面から消えてしまうくらい離されていたものの、エンジンがかかってからの脚と最後の持久力は中々のものがありましたね。これは距離延長しても楽しみが大きそうです。
 それにひきかえ、2強のだらしないレースぶりはなんとも言えませんね。
 特にオールウェイズドリーミングは、このペースで潰れるくらいならケンタッキーダービーやフロリダダービーはなんだったんだ、というくらいですし、なんとか立て直して本来の輝きを取り戻して欲しいものです。
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2017 クイーンS・アイビスサマーダッシュ レース回顧

**★クイーンS**

 夏の北都牝馬チャンピオン決戦は、好スタートからまさかの大逃げを敢行したアエロリットが、そのまま後続を全く寄せ付けずにタイレコードで完勝しました。レースを振り返っていきましょう。

 馬場は7Rの500万下が36,0-35,8-35,5=1,47,3という推移で、平均ペースで好時計が出ており、昨日に引き続き絶好のコンディションだったと見ていいと思います。
 その中での展開ですが、内からアエロリットとシャルールが好スタートを切り、クロコスミアとヤマカツグレースもまずまずでしたが、二頭ともに無理に逃げる形には拘らず、もう一頭の逃げ候補のノットフォーマルはやや立ち遅れてしまいました。
 シャルールがかなり積極的にポジションを取りに行くのに対し、内のアエロリットもそれで包まれるよりは、と枠の差を利してしっかり抵抗し、それでもコーナーまでフラットに入っていきつつ、そのままペースを落とさずにマイペースの逃げに持ち込みます。

 2番手にシャルール、ポケットにはヤマカツが潜り込みその外にクロコスミアがいて、トーセンビクトリー、パールコードあたりが内外離れて中団のやや前目、という感じで入っていきます。
 やや立ち遅れたクインズミラーグロはトーセンの後ろ、やっぱりスタートダッシュで負けて挟まれる格好になったマキシマムドパリは後方で、アドマイヤリードもその外、後方二番手あたりの追走になりました。

 ラップは35,2(11,73)-35,0(11,67)-35,5(11,83)=1,45,7(11,61)という推移でした。
 バランス的にはややハイ気味の平均で、中盤もほぼ緩むことなく、絶対的なスピードの違いで押し切ったレースにはなっていて、ただ細かく見ると色々と凄みがあるのでその辺は後述します。
 実際のところ、逃げたアエロリットと後続は全く違う競馬をしており、後ろの馬は1000m通過が推定59,7~8で、そこから長いコーナーを使って押し上げ、後半4F46秒ちょっと、という内容です。
 ラスト4Fが11,9-12,1-11,5-11,9で、800-400m地点のコーナー部分で後続はかなり差を詰めてきていますので、おそらく11,5前後を3F続けて、ラストは少し落ち込むスローロンスパ持続戦ぎみの展開ではないか、と思っていて、その場合当然ながら外々を回せばそれだけロスが大きいので、インを上手く立ち回ったトーセン・クインズが2、3着、というのは比較的納得の結果ではありますね。

 ただ本当に勝ったアエロリットは後続の思惑など全く関係ない、自分との戦いで楽に勝ち切ってくれましたね。
 基本的に追走力が高く、ハイペースからでも足を使える馬ですので、こういう大逃げの形になった時点で勝ったな、と結構安心して見ていたんですけど、それでも休み明け+18kgでありながら、期待以上に強い競馬を見せてくれました。

 レースラップ通りに道中1000mまでは特に息を入れず気分良く走れるペースで飛ばし、後続とのリードをしっかり作ってから2F息を入れ、そこからまた11,5-11,9と再加速し、ラストも11秒台でまとめてくるパフォーマンスは、いかに52kgとはいえ並の馬に出来る芸当ではありません。
 ちょっと大袈裟に言えばサイレンススズカ的な競馬をしていて、前半他の馬ではついていくと後半の脚を確実に削がれるペースを作りつつも、きちんと息さえ入れられればそこからもう一段加速できるのは、今後の距離延長を考えた時に非常に強みになってくるなと感じました。

 また今までは逃げる競馬はしてきませんでしたが、距離が伸びた時に周りのペースに合わせてしまうと、折り合いの不安や、前半の良さを生かせない、という可能性はありましたので、流れないなら自分で逃げてもいい、というオプションをここで付け足せたのは本当に今後に楽しみしかない、と感じさせる内容でした。
 この競馬でラスト1Fは後続を全く寄せ付けていませんし、本当に最後の持続力・踏ん張りの良さが顕著に見られる馬なので、2000mくらいまでならこういうスピードを十全に生かす強気の競馬を作っていければまず崩れることはないかなと感じます。これは本当に秋華賞が楽しみになる競馬でしたし、その後マイル路線に戻すにせよ、2000m路線を継続するにせよ、古馬一線級とでも充分に渡り合えるイメージを持てる強さでした。

 2着のトーセンビクトリーは、今回に限って言うと馬群全体がついていかずに実質スローで入れたことと、コーナーいっぱいを使っての持続戦で最内を楽に立ち回れる枠だったのが良かったですね。
 私の予想としては、もう少し馬群全体が早い流れに付き合うイメージでいましたので、追走面で危うさがあるこの馬に印を回せませんでしたが、序盤の展開もアエロリットとシャルールが出していってくれて、出足そのものは足りなくても前にスペースがある中で楽に3列目までリカバー出来ました。
 これが外主導だともう一列は後ろになっていたわけですから、その点でも恵まれたと思いますし、ちょっと展開面で読みがズレたなぁ、と反省です。

 馬自身は洋芝も合うでしょうし、持続戦そのものはべストとは思いませんが、あれだけ綺麗にインを立ち回って、スムーズに外に出せればそれは余力はあるでしょう。
 ややシャルールが下がっていく中で、外に持ち出すのが一瞬早過ぎて交錯しかかった危うさもありましたが、あそこで待ち過ぎるとクインズミラーグロに先に入られてインで詰まる可能性もありましたし、ギリギリではありますが勝負に拘った捌きではあった、と見做したいですかね。ただ騎乗停止事案になってますから、福永Jらしからぬ焦った進路取りではあったと思います。

 3着のクインズミラーグロも、解釈としてはほぼトーセンと同様なんですよね。
 単純に序盤のポジショニングの差で一列下がった分、勝負所での立ち回りも少し後手になりましたし、実質中山牝馬Sの時と同じ形でちょい負けと、その辺からするとこの2頭は展開を味方につけた上で実力は引き出しきれている、と見ていいのかなと思います。
 やっぱりこの馬の場合どうしても後半要素ではちょっと足りないですし、といって序盤で前目を楽に取れるタイプでもないから苦労しますよね。それでもこれで5戦連続馬券圏内と、本当に堅実さには頭の下がるところです。

 4着クロコスミアに関しては、ちょっとバランス的に中途半端だったかな、という気はしましたね。
 序盤からある程度位置を志向しつつも、結果的に2列目の2頭分外目で我慢する形になりましたが、この馬自身アエロリットのハイペースについていったら厳しいにせよ、もう少しペースを上げて2番手、実質単騎という形まではもっていっても良かったんじゃないかなと思いました。
 結局この馬の後半の武器は加速力と一瞬の切れ味ですので、コーナーで延々2頭分外から押し上げさせられた分、どうしてもその一番の速い脚をそこで使い切ってしまう形になっていて、ラスト1Fは2~3着争いの中で見ても失速気味、持続力の足りなさを顕著に見せてしまっています。
 
 前走は自身が逃げて内目を立ち回った分、トップギアに入れ切らずにじわじわ、という形で良さを出せましたが、外から追い掛ける形ではどうしてもそういう脚の使い方は難しかったですし、バランスの取り方が難しい馬ではありますね。
 ただ噛み合えば牝馬重賞のひとつくらいは勝てる素材と思っているので、改めて自分の形に持ち込めそうな舞台では期待したいところです。

 6着アドマイヤリードはまぁ仕方ない、と言えば仕方ない負け方ですね。
 まず単純に、自身6F通過が1,12,0とぴったりハロン12秒ペースであり、この馬にとってはもう少しゆったり入りたかった、という部分はあるでしょう。VMでも自身前半5F60,5とかなりのんびりと入れましたし、後半要素を無理なく引き出せる幅がそんなに広くないのは間違いないと思います。

 かつ道中もずっと枠なりに外々で、コーナーで押し上げていくところでも4~5頭分外を通さざるを得ませんでした。
 この馬自身後半要素は全て高いレベルで保持はしていますが、突き詰めれば最大の武器は一瞬の切れで、持続力は超一級品ではないと思っていまして、その馬が実質11,5-11,5-11,5くらいの地点でずっと外々を押し上げるとなると、数字以上に速い脚をコーナーの入り口から求められてしまっており、その分ラストまで落とさず持続する、というだけの威力は引き出せなかったと考えます。

 やはりマイル2戦の好走はペースの緩さと馬場、その上にコースロスを最小限にした好騎乗が噛み合ってのもので、良馬場で流れてしまうと1800mでも総合スピード不足、と感じます。まだワンターンなら対応出来るでしょうが、1周コースではより厳しいかな、と。
 裏を返せば、今なら距離延長はマイナスにならない可能性は高く、スローからの切れ味勝負になりやすいエリ女は絶好の舞台だと思っていますので、しっかりそこを目標に作っていって欲しいなと思います。

 7着マキシマムドパリも文脈的には同じような負け方ですね。
 ただこの馬の場合、過去秋華賞でもかなり速いペースを前々から追走して粘り込む競馬を見せていたり、追走力自体は持っているので、こういう競馬でも位置さえ取れていればもっとやれたとは思っています。
 でも今日は絶対的に枠の並びが悪かったですし、前走のようにせめて外枠から早め早めにリカバー出来る形なら3着争いくらいまではこれたと思うんですけどね。兎にも角にも出足が良くないので、それでも前を取れる、という条件でのみ狙うべき馬だと考えます。

**★アイビスサマーダッシュ**

 新潟は心配された雨もなく、こちらも夏の強い日差しに照らされた綺麗なグリーンベルトの上での決戦となり、序盤からスピード自慢の激しい競り合いになる中で、最後はラインミーティアが無欲の一閃を決めて見事に初重賞制覇を飾りました。レースを振り返りましょう。

 こちらも馬場は超高速に近い条件で、直前の9Rの1400m戦でも34,9-11,5-35,0とほぼ平均ペースで1,20,4が出ていて、確実に54秒そこそこの凌ぎ合いになることは予想出来ましたし、実際に54,2は近年の平均タイムにピッタリ嵌る数字でしたね。
 展開は、フィドゥーシアが好スタートを決めてすぐに外埒の方に誘導、アクティブミノルとレジーナフォルテもまずまずダッシュが効いて先頭列に入っていきます。
 ネロはやはり斤量が厳しかったか、ダッシュ一息で外にも壁が出来てしまい半端な位置取り、内の馬も少しずつ外に寄せてくる中で、ラインミーティアはその争いに我関せず、とばかりに外枠を利して外埒沿いの後方をゆったり追走する形でした。

 ラップは21,8(10,9)-10,4-22,0(11,0)=54,2(10,84)という推移でした。
 というより5Fくらいなら全部乗せろ、という話で、11,8-10,0-10,4-10,3-11,7という流れ、これは細かく見ると残り400-200m地点で微差の加速は見せているものの、前後半のバランスとしてもやや前傾で、かつ緩みもないので、息がしっかり入る、というペースではなかったのかなと感じます。
 その分ラストは11,7とそこそこ消耗していて、漁夫の利を狙っていたラインミーティアの差しがズバリ嵌った感はありますが、それにしてもこの馬かぁ、というのは正直なところです。

 実際ラインミーティアは直線巧者なのは確かでも、これだけ1000m戦のキャリアがあって最速は54,5止まり、かつ前走は上がり31,6は素晴らしいとはいえ52kgで完敗でしたので、この4kg増の舞台で7歳馬が時計を詰めて勝ち切るところまでは考えにくかったですね。
 ただやや前掛かりになって差しが嵌る可能性そのものは結構有り得ると見ていたので、重い印はともかくヒモで拾うかはそこそこ考えて止めた経緯があるので、色々含めて反省です。

 結局この舞台はやっぱり後傾の方が時計を出しやすい、ってのは確実にある上で、それでも後半の持続力や切れ味の面で上がり時計に限界のある馬は当然いるので、今回も31,6という究極の上がりが示すように、こういう特別な武器がある馬はその他のマイナスファクターを脇に置いても狙う価値はある、ということなのでしょう。
 形としては本当に完璧に嵌っていて、序盤の位置取りも良く、全く左右に進路を選ぶ必要もなく真っ直ぐ走ってこられましたし、とはいえ実際に時計も詰めてきたのですから完全にフロック、とは言えない、この馬の良さが最大限に発揮された結果と見るべきでしょうね。流石に直千巧者の西田Jの面目躍如、というべきでしょうか。

 2着フィドゥーシアも、前目から強気の競馬で堂々勝ちに行っての2着ですし、時計も0,1秒とはいえ詰めているので悪くはない、のですが、結果論的に言えばもう少しゆったり入れていたらどうだったかなぁ?というのはありますね。
 今回は外目に速い馬が揃っていて、あまりゆったりしていると半端なところを通らされる、という懸念は、ネロを見ても決して悲観論ではなかったと思うので、スタートダッシュを完璧に決めて外に誘導したこと自体はべストだったと思います。

 ただミノルやレジーナが追いかけてくる中で、この2頭より前には入り切れませんでしたし、ミノルもかなり出してきたので抵抗して息を入れるラップに落とし切れなかったのは勿体ない所でした。
 前走0,5秒の後傾ラップで息を入れて、ラスト1Fを11,2でまとめてきたように、微差程度でも前傾で入ってしまうと甘くなる、というのが今日は出てしまった感じで、意思は感じたもののちょっと形を決めつけ過ぎたのが最後の最後で明暗を分けたのかな、という気はしています。
 この馬自身は1200mでも時計勝負ならかなりやれそうですし、それでも後傾戦の方が、というのはあるのでスプリンターズS、というイメージではないですが、京都1200mなどで内枠を引いてきたら、まずかなり強い競馬を見せてくると思いますね。

 3着のレジーナフォルテも、現状の力は出せたんじゃないかなと思います。
 スタートダッシュもまずまずで、ポジションも取れましたし、特に不利もなく進められましたけど、強いて言えば後半の最速地点でやや置かれて、ラスト1Fは失速しそうに見えて粘っていた、というあたり、タイプとしては消耗戦向きなんだろうなぁ、とは思いました。
 ただこの舞台でこのレベルになると、消耗ラップで勝ち切るのは厳しい、ということでしょうし、この斤量でも切れ味で劣った、というのは、後半要素に限界がある可能性は高いので、これ以上時計を詰めるのが地味に難しいタイプかも、とは感じました。
 今後もこの条件では確実に走ってくるとは思いますけど、勝ち切れないパターンは常に想定しておいた方がいいかもしれませんね。

 4着アクティブミノルも、理想を言えばもう少し前半ゆったり入りたかったですし、ブリンカー効果があり過ぎて前向きになり過ぎるからこの舞台だと、というのは感じますね。
 前傾でもCBC賞ほど極端ではなく、1秒程度の前傾でならもう少し粘りも増してくるかなと思いますし、北九州記念は逃げ争い次第の面もありますが、コース的にはかなり噛み合うと思いますので、この夏は好調を維持していますし出てきたら引き続き注意、ですね。

 ネロはこの枠でダッシュが効かない時点で流石に無理ですね。やはり58kgは鬼門のようです。
 予想としては正直こうなる確率はかなり高いと踏んでいたので、はっきり消して穴馬に印回すべきだったのに、そうしきれないのが予想ベタの真骨頂というか。馬券買わないくせに本命党の気質から脱却できないのは度し難いなぁ、と思いつつ、大抵それで人気馬バッサリするとあっさり裏目を引くから困っちゃうんですよね。。。
 ともあれこの馬自身は使ってから、でしょうし、去年も押せ押せの中でスプリンターズS路線で健闘していましたし、そこにピークをぶつけられるなら面白さはある馬だと思っていますので、改めて次走の巻き返しに期待ですね。
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2017 上半期私的名レースベストテン

**★はじめに**

 今週はあまりネタがないのと、列伝を書けるほど準備に時間を作れませんでしたので、箸休め的な企画としてまず上半期の振り返りを兼ねて、個人的に心に響いた名レースを改めてピックアップしてみようと思います。
 とりあえず今回に関しては、中央・地方・海外ごちゃ混ぜでベストテンを作成してみました。好きなレースや思い出深いレースというのは人によって見方が様々だと思いますが、やっぱりどうしても私の場合厳しい流れでの激戦とか、圧巻の強い競馬、という方向に偏ってしまうのは仕方ないですね。
 あと上半期と謳いつつ七月のレースも入っていますがご了解ください。

 ちなみに明日は、どこよりも早い(かどうかは定かではありませんが)下半期GⅠ予想――というより願望――を書いてみようと思っています。

**★第十位 キングズスタンドS 勝ち馬レディオーレリア**

 第十位は、アスコットミーティングの中でももっとも鮮烈な勝ち方だった、キングズスタンドSのレディオーレリアです。
 3歳限定のスプリント戦もある中で、敢えて古馬混合の1000mという距離にこだわり、レース序盤から圧倒的なスピードで古馬を圧倒、ほぼレコード、という素晴らしいタイムで3馬身差の圧勝でした。

 レース回顧でも触れたように、今世界中のスプリンターの中でもこの馬が一番強いのではないか、と思っていますし、今後世界中のスプリントレースを総なめにするような名牝に成長していって欲しいですね。

**★第九位 青葉賞 勝ち馬アドミラブル**

 第九位は、府中では御法度の3コーナー捲りを敢行しながら最後まで余力充分、青葉賞レコードで完勝してみせたアドミラブルです。
 府中は直線が長いので、あの位置から動く馬はほとんどいませんし、いても大抵は坂上で息切れしてしまうのですが、この馬は圧倒的な持続力で、むしろ坂上から他の馬を突き放す凄まじいレースぶりを披露し、素材としては世代ナンバーワンだろう、と衆目を一致させるに充分なパフォーマンスでした。

 ダービーこそ魔力に見入られたように動けず、切れ味勝負で不覚を取る形になりましたが、少なくとも現時点ではこの馬が3歳牡馬最強だと信じていますし、古馬との戦いでも大いに期待できると思っています。

**★第八位 ジャパンダートダービー 勝ち馬ヒガシウィルウィン**

 第八位は、並み居る中央勢を押しのけて見事東京ダービーからの連勝を飾ったヒガシウィルウィンのジャパンダートダービーですね。
 レースレベルそのものはさほど高くなかったと思いますが、各有力馬がそれぞれ持ち味を引き出せる様なしっかりした騎乗に導かれ、直線も白熱した競り合いになって、その中から地方の馬が台頭してきた、というのはやはり印象深いです。

 昨日の記事でも触れたスアデラなども含め、交流戦で地方馬がもっと活躍して欲しいですし、この馬の成長力はそれを充分に期待させるものがあるので楽しみですね。

**★第七位 ドバイターフ 勝ち馬ヴィブロス**

 第七位は、多士済々の強豪の中で、モレイラJの素晴らしいコンタクトに導かれ、見事牝馬の身で海外GⅠ制覇を達成した、ヴィブロスのドバイターフです。
 道中は後方インと苦しい位置にいたように思えましたが、それすらも鞍上の緻密な作戦の賜物、直線も右に左に、柔軟に進路を切り替えながら、一回もブレーキを踏まずに突き抜けてきたコース取りはまさに神業の一言でした。

 勿論それに応えた馬自身の強さも素晴らしかったですし、結果的に相手がリブチェスターにザラク、デコレーテッドナイトと、今春の欧州GⅠ路線の主軸となった馬が相手でしたので、その価値も一層に高まる、というものです。
 秋シーズンの国内にもライバルは犇めいていますが、このレースがフロックではなかったと証明する走りを期待ですね。

**★第六位 小倉大賞典 勝ち馬マルターズアポジー**

 第六位は、強烈な逃亡劇で後続の脚をなし崩しに使わせ完勝した、マルターズアポジーの小倉大賞典です。
 それまでスロー気味の逃げで結果を出していた馬だけに、このレースでのインパクトは非常に大きかったですし、改めて競馬とはペースひとつでガラッと着順が変わるものだと明確に認識させてくれるタフなレースでした。

 残念なことにその後のレースではいいところを見せられていませんが、ああいう厳しいレースをしてしまうとダメージが大きい、という証左にも思え、そのあたりは複雑なものの、やはりこういうレースは胸がすくものがありますね。

**★第五位 平安S 勝ち馬グレイトパール**

 第五位は、こちらも強烈なハイペースの中で、淀みの全くない中外々を一頭だけ楽々押し上げて圧勝した、グレイトパールの平安Sです。

 3秒以上の前傾ラップになっていましたので、それこそ2着のクリソライトのように漁夫の利を得る馬も出てきますが、この馬の場合はまだペースが速い段階から押し上げ、最後まで余力充分に突き抜けていて、規格外の強さを感じさせました。
 実際にこのレースで楽に退けたケイティブレイブとクリソライトが帝王賞でも1、2着と、能力的には既に現役最強と言っていいパフォーマンスでしたし、つくづく骨折が惜しまれます。なんとか能力を減衰させないままに復帰して、ダート中距離路線を席巻して欲しいですね。

**★第四位 クイーンS 勝ち馬アドマイヤミヤビ**

 第四位は、去年に続いてハイレベル戦になった、アドマイヤミヤビの差し切ったクイーンCです。

 翌日の共同通信杯と比較しても明確にラップ的に優位を紡いでいて、向こうの勝ち馬がダービー2着のスワーヴリチャードですから、これは本当に価値のあるレースだったなと。
 ここの上位メンバーから後の桜花賞馬、NHKマイルC馬が出ていますし、ミヤビも不利な枠からオークス3着と結果を出していて、レース自体はある程度の紛れもありつつ、それでも最後のミヤビとアエロリットの競り合いは迫力がありました。

 今週のクイーンSにも3歳牝馬が何頭か出てきますし、改めて世代レベルの高さが実証され、その上でまた秋に一堂に会しての激戦が見たいですね。

**★第三位 ドバイワールドカップ 勝ち馬アロゲート**

 第三位は、致命的な出遅れから破壊的な大捲りでものの違いをまざまざと見せつけた、アロゲートのドバイワールドカップです。

 本当にこの日のドバイのダートは前に行ったもの勝ち、という状況であり、そして本格化してきたガンランナーが完璧な立ち回りでレースを支配していたのに、それを最後方から楽に捲り切って突き抜けたのは、驚嘆を通り越して唖然とするレベルでしたね。
 文字通り世界に敵なし、どころか、今世紀最強のダート馬では、とすら思わせるパフォーマンスでしたが、しかしその代償も大きかったのか、復帰戦での体たらくはちょっと目を覆いたくなるほどでした。なんとかもう一度、この強烈な強さを取り戻して欲しいと切に願いますね。

**★第二位 安田記念 勝ち馬サトノアラジン**

 第二位は、ハイペースから懸命に粘り込むロゴタイプを、大外一気にサトノアラジンが捕らえた安田記念です。

 ダービーが超スローだったからというのもあったでしょう、このレースは府中マイルチャンピオン決定戦らしいタフな流れになり、それを先導して粘り込んだロゴタイプの走りも鮮烈でしたが、久し振りの適性条件で馬の力を信じ、一切ブレーキを踏まない大外を通して馬の力を出し切ってみせた川田Jの胆力を感じさせる素晴らしいレースでした。
 3着以下の馬も、それぞれが持ち味を発揮して秋の飛躍を予感させましたし、実に見ごたえのあるレースでした。

**★第一位 天皇賞・春 勝ち馬キタサンブラック**

 第一位は、超高速馬場の中で全く淀みのないペースを刻み、ライバルに影も踏ませず押し切り大レコードを樹立した、キタサンブラックの天皇賞・春です。

 ヤマカツライデンの大逃げがあったとはいえ、実質的に逃げの形で、後続に一切取り付く隙を与えないまま、堂々の早仕掛けで押し切ってみせたレースぶりは本当に凄まじく、シュヴァルグランやサトノダイヤモンドの健闘も含めていいものを見た、と心から思えるレースでした。
 ただその後遺症はかなり大きかったようで、宝塚での上位2頭の見る影もない惨敗を見てしまうと、この先が不安にもなるわけで、なんとか立て直して欲しいですし、早々と休養に入っていたサトノにも、しっかりフランスで活躍してもらって、凱旋レースでまた万全の体勢での激突が見たいですね。
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