2017年04月09日

2017 皐月賞 レース回顧

 一足早い初夏の陽気に包まれながら、絶交の好天、良馬場で開催された皐月賞。
 大混戦の下馬評通りに出入りの激しい競馬になり、その中で好位を虎視眈々と立ち回ったアルアインが、馬群を鋭く切り裂いて他馬の追撃を凌ぎ切り、見事な戴冠を果たしました。

 このレースで松山JはGⅠ初制覇がなんとクラシックの大舞台、去年はミッキーアイルとのコンビであと一歩でGⅠタイトルを逃していましたが、そうしてコツコツと積み重ねてきた実績と悔しさをバネに、この晴れ舞台で乾坤一擲の大仕事をやってのけましたね。
 また2着のペルシアンナイト共々に池江厩舎所属馬のワンツーとなり、大舞台でこそ生きてくる名門厩舎の底力、というものをまざまざと見せつけるレースになったと思います。

 まず今日の馬場ですが、中間の散水情報はなく昨日に引き続き、というより昨日よりも更に乾いた超高速馬場にまで至っていたと思います。
 8Rの2000m鹿野山特別が60,3-58,4と、後半2秒近くペースアップする流れで1,58,7の好時計であり、準メインのOP1200m戦も34,0-33,5で1,07,5と、ちょっとやそっとのペースでは前が止まらない条件になっていたと思います。

 また、昨日もそうでしたが、砂埃が舞うほどにはインの馬場は悪く感じさせず、特にタフなレースになればなるほどインの経済コースを生かした乗り方が嵌るイメージはありました。
 血統面からも、時計が出る割には比較的パワータイプの馬も台頭してきていて、元々先週までは重い馬場だった分の名残はそれなりにはあったとは感じます。

 展開は、注目のファンディーナもまずまず、サトノアレス以外は特に極端な出遅れはない綺麗なスタートでした。
 先行争いは、思った以上に最内のマイスタイルは出していかず、中目からポジションを伺うファンディーナが外の逃げ馬を待つ形になります。
 そこからアダムバローズ、トラストが前に出していき、アルアインやダンビュライトもファンディーナのすぐ外まで押し上げてきてプレッシャーをかけ、スタートからの出足は今一歩だったクリンチャーもコーナー過ぎからじんわり先団に加わっていきます。

 内の隊列は、スワーヴリチャードがそれなりに出してきたものの外主導の流れについていけるほどではなく中団まで、結果的に最内がぽっかり空く中で、ファンディーナがそこに入っていって2列目のポケット、それにアルアインとダンビュライトが並んだまま進めていく形でコーナーを進んでいきます。
 プラチナヴォイスがそれを見るあたりで、ウインブライトもかなり頑張って出してきて中団やや後ろの外目、スワーヴリチャードもコーナーワークで徐々に外目に出していく形を取ります。
 アウトライアーズがその後ろで、ペルシアンナイトはこのあたりから一気にインに潜り込んで、向こう正面で最内からスルスルとポジションアップ、カデナもそれについていく形で内から進出していきます。
 レイデオロはスタートから無理はさせない追走で、コース取りも完全にイン決め打ちという形、サトノアレスは最後方から、勝負所で外に持ち出していく形を選びました。

 前は3コーナー過ぎから、早々とトラスト、クリンチャーの番手勢が外目を回しながら進出していき、ファンディーナもそれに呼応する形で外に持ち出し追撃を開始、後続もそこ目掛けて内外から殺到し、横一線、という形で直線を迎えます。
 そこから坂地点でしっかり末を落とさずに伸び切った馬が上位を占め、非常に立ち回りと仕掛けのタイミングなど難しい判断を強いられる中、イメージとしてはコーナーでしっかり我慢できた馬が最後は、という印象になりますね。

 ラップは35,1(11,7)-48,2(12,05)-34,5(11,5)=1,57,8(11,78)というレースレコード、コースレコードタイを計時しました。
 ハーフで見ますと59,0-58,8の綺麗な平均ペースで、前半がそれなりに速いので時計面で1000万下を上回ってきたのはまず当然として、その上で後半ラップのほうが速い、という形でレコードまで押し上げたのは立派な数字だと思います。前評判はあまり高いレベルではなく混戦、でしたが、この馬場で、という補足を置くにしても、今日の競馬レベルは非常に高かったと見ています。

 最中盤の2Fで12,2-12,4とひとつ息を入れてから、後半4Fが11,9-11,4-11,4-11,7という推移で、極端に消耗しているわけでもなく、適度な4Fロンスパで3~4コーナー全体を使ってぺースが上がっています。
 ここの立ち回りが一番の肝ではありますが、レース全体でも非常に高い追走力とポジショニングの巧さを問われ、そこからしっかり持続力を引き出す事を求められているので、時計は出るとはいえかなりタフなレースでしたし、今まで見えていなかった適正が随分と開花した馬が多かった、適性判断としては収穫の多いレースだと思います。

 勝ったアルアインは前走でも見せていた自在性と追走力の高さ、要所のコントロール性能と持続力をフルに生かしきっての戴冠となりました。
 勿論この馬も高速化の中で拾うか迷ったんですけども、結果的に元々の予想に引きずられ過ぎましたね。
 超高速馬場までのシフトを踏まえればもう少し思い切った割り切りは必要だったと思いますし、予想的には結局、元々のスタンスから乖離し過ぎないように理由づけは出来る余地はあった、けれど完全に上位馬が未知に近い、マイル戦のスピードが生きそうな条件であるならば、ペルシアンナイトと同じ文脈で最低限拾うべき馬でした、と反省です。

 結果的にはこの枠も絶妙に上手く嵌った感じで、序盤は当面のライバルのファンディーナにプレッシャーをかけつつ先行し、中盤ではじっと我慢して息を入れ、前の仕掛けにもすぐには反応せず、ファンディーナが動くのを待ってその後ろから進路を確保するクレバーかつ冷静な進路取りが光りました。
 直線で前の馬が予想以上に外にばらけて、直ぐに進路が出来たのも幸運でしたし、馬もそこでスッと反応できる加速力、機動力があり、一瞬内からペルシアンナイトに差し込まれかけますが、坂上でしっかり振り切ったのは強い、の一言でいいと思います。
 ここではマイルでも対応できるスピードをフルに生かした形ですので、2400mになってより流れにメリハリがついてプラスになるか、は一概には言いにくいところですが、レースセンスの良さは疑う余地もないですし、脚質も安定しているので、3歳春の同世代ならば2400mでも充分戦える素地はあるでしょうし、楽しみですね。

 2着のペルシアンナイトは実にデムーロJらしいコース取りが光りました。
 スタートは五分に出るも二の足は良くなく後方からは予想通りですが、序盤は前の隊列の形成をじっくり見ながら、向こう正面でぽっかり空いたインに潜り込んでスルスルと中団前まで一気にポジションを上げる、正にデムーロJの皐月賞の乗り方、と言っていい動きでした。
 ラップ的にも毎年ここは、序盤でそこそこ流れる分落ち着く傾向にありますし、立ち回りとしては理に適っていて、多少力の要る馬場でも平気なのは、いかにもハービンジャー産駒らしいところです。
 余談ですが8Rでぶっちぎった勝ち馬もハービンの仔だったので、血統的に合う余地はそこでも見出せていましたね。

 前が忙しくなるコーナーでもあわてず騒がずに最内を回って直線、垂れてきたトラストとクリンチャーの間を鋭く割っていざ戴冠か!?と思わせましたが、同じように器用に立ち回ったアルアインに捻じ伏せられる形になりました。
 この辺りは序盤の器用さの違いが如実に出たと思いますし、このペースで中団から動いていく形で末もしっかりしていたので、距離には一定の目途を立ててきたとは思います。
 無論アルアイン共々、3歳春で良馬場なら、という留保はつくでしょうが、この2頭にサトノアーサーも加わった池江厩舎三本の矢は、ダービーを非常に盛り上げてくれそうですね。

 そして、3着ダンビュライトが正直一番ビックリしました。久々に豊マジック、という言葉を思い出しましたね。
 ただレースに入っての立ち回りは非常にそつがなく、勿論馬自身がいきなり器用になるとは思えないのですが、それを踏まえて常にスムーズなレースをさせることを序盤から心掛けていたと感じます。
 道中もずっと前にスペースを置いての外目追走でしたし、前がごちゃつく中でも自分のペースは崩さず、4コーナーでも一気に進出はせずに前を射程に入れつつ直線向いてしっかり一脚を見せてきました。ラスト100mの食い込みはレイデオロと並んで一番くらいでしたし、高速馬場でのポテンシャル面をはっきり見せた競馬だったなと思います。

 一連のレースぶりから、追走力面で厳しいと思っていましたが、元々マイル重賞でもそこそこやれていたようにそうではなく、渋った馬場や重たい馬場が血統や新馬のイメージほどには合っていなかった、むしろこういうパンパンの時計の出る軽い馬場のほうが良かった、というしかない激走でした。
 このレースが出来るとなると、更に距離伸びてのダービーでも全体が流れてしまえば面白さは出てくるかなと思います。
 多分ラップ面でメリハリがつき過ぎる、例えば12,0-11,3とか、そういう落差を伴っての瞬発力勝負だと脆いと思うんですが、レース全体が適度に流れて、後半が分散される形なら、と期待が持てる内容でしたね。

 4着クリンチャーも、決して侮っていたわけではないですが、この高速馬場で非常に強い競馬を見せてくれたと思います。
 出足はやはり今一歩でしたが、外枠の分自分のリズムでゆったり前に取りつけましたし、そこそこ流れている中でも追走力面での脆さは感じさせませんでした。
 3コーナーから、積極的に、という戦前のオーダー通りに外から一気に進出していく強気の競馬を展開して、コーナーで後続の脚を削ぐ作戦に出ており、流石に馬場が高速過ぎてみんな余力はある、というところで瞬間的な切れでは劣ってしまい、直線入り口では下がりかけるものの、そこからラスト1Fはしっかり盛り返しての立派な4着、ダービー優先権を確保しました。

 これを見ても最大瞬間の瞬発力は足りないですが、要所の加速力やそこからの持続力は決して上位に劣らないものがあり、かつ根本的なスタミナ面では1、2着馬がマイル的な競馬だったのもあり、この上位メンバーでは屈指と見ていいでしょう。
 ダービーでもこの馬が先行して、積極的にロンスパを仕掛け、例年の傾向的に400-200m地点でかなりの切れ味が問われる形を潰しに行くくらいの展開になれば、ダンビュライトともども上位逆転は充分に見込めるパフォーマンスだったなと思います。

 5着レイデオロは、やっぱり素質は凄いものがあるのだな、と思わせる差し込みでした。
 パドックでも太くは見えましたし、レースも序盤から後方をトコトコ追走してインベタ決め打ち、コーナー回って前もぽっかり空いていましたし、最後の差し足も勝負に関係ない所で、というのはあります。
 ただレースそのものは馬群が凝縮していたので、最後方でもそれなりの追走力は問われたと思いますし、実際に持ち時計をここまで一気に縮めてきたところからも、ある程度馬場不問で戦える素養は示したと言えますね。

 ただ今日の立ち回りでもラストで多少前が止まったところで一番食い込んでいるように、速いラップのところを更に速く、というタイプではないので、展開的には切れ味が問われない場面なら、と見立てたいです。その視座ですと、クリンチャー仕様のタフな流れは合うと思いますので、これも要注意の1頭になりますね。

 6着スワーヴリチャードはまぁ、枠なりに出していきつつ中盤からは四位Jらしい正攻法、外々の立ち回りでしたし、そういう競馬をした馬の中では最上位だったことを考えれば悪くはない、と思います。
 ここで追走力面は一定のものは見せたと思いますし、ただどうしても持続力面ではもう一歩で、そこが本物なら最後もう少し迫力ある食い込みが出来たとは思うので、ダービーでもチャンスはあると思いますが、立ち回りが今回以上に問われるかなと感じます。
 この馬の場合は共同通信杯の様に、内枠から前目で受けて加速力を生かす、瞬発力が問われる流れのほうが合うと思うので、展開読み次第で上げ下げしていきたいと思います。

 7着ファンディーナは、まあ勝ちに行く競馬はしてくれたので仕方ないかな、と思います。
 個人的には1コーナーで最内に寄っていったのは、懸念した通りに厳しいマークに合って苦しくなる、と踏んでいたので避けて欲しかったのですが、ある意味でマイスタイルの自由さに翻弄されたというか、外からのプレッシャーがきつい中で、それを跳ねのけて横の位置を取り切るだけのものは流石に3歳牝馬に求めるべきでもなかったのか、と。
 理想的にはダンビュライトの競馬をして欲しかったですが、それでもポジション取って要所では外目に出して進路自体は取れていたわけで、コーナーで自分から動いていった分だけラストが辛くなるのは確かなのですが、それを凌駕出来る素材と期待していたので素直に残念です。

 実質的に見て、追走力面でちょっと脆さがあったのかな、と感じます。
 勿論道中のプレッシャーのロスもあるし、元々パドックからテンションも高く、馬体重も三戦続けてマイナスと、ローテション面での辛さがあったのも間違いないでしょう。
 ただレースそのもので考えるなら、ゆったり入ることで引き出せていた要所の爆発的な加速力と瞬発力が見られなかったですし、はじめてロンスパの流れに入って持続力面でもはっきりラストは甘かったので、この流れの中で正攻法で勝ちきれるほどの強さはなかった、と見ていいでしょう。

 この後春にどこを使うのか、そもそも年明け5戦目になるので使っていいのか、というところもありますが、今回負けたことでもう少し楽に、自分に合う競馬のスタイルを模索できる余地は出てきたと思います。
 現状ポジショニングの良さを生かして前目の競馬ですが、ある程度前半はしっかり溜めて、後半の爆発力を引き出すメリハリのある競馬の方が強さを見せられるかな、と今日で感じたので、オークス、もしくはダービーでは、展開とポジション次第で巻き返しを充分期待できるとは思います。


 8着ウインブライトは、やれることはやった、とは思います。
 この枠ですと流石にインに潜り込むのは難しいですし、外目からなるべく前につけてコーナーをタイトに回ってロスを減らす、という意識は感じられましたが、今日の馬場、展開で正攻法から外々はやはり死に戦法でしたね。
 この馬自身ここまでの時計勝負だと持ち味が生かしきれませんし、ダービーもこれ以上の瞬発力が問われる可能性はそれなりに高いので、ある程度渋るなどの恩恵がないと難しいかもしれません。

 9着カデナは、ちょっと悩ましい負け方にはなりましたね。
 競馬の形としてはかなりロスなく乗れていて、スタートからは無理をさせずに後方、中盤でペルシアンナイトの後ろをついていってインからポジションアップ、コーナーもタイトに回って直線入り口でしっかり外に出して進路を確保と、この辺の立ち回りにミスがあったとは全く思いません。むしろ差し馬として理想的な形で入ってきたと思います。

 けれどそれで直線ジリジリ、外々を回したスワーヴリチャードやウインブライトにも見劣り、ファンディーナも捕らえられないというのは、今まで見せてきた末脚からは考えづらいものでした。
 この馬も考えられるのは追走力面ではっきり甘さが出た、というところで、もっとゆっくり入ってこそ後半の爆発力を引き出せる、という可能性は高いです。
 ならばダービーでこそ、と考えがちですが、近年のダービーもかなりポジショニングの比重は高く問われるので、ある程度流れに入っていくと甘くなる、ということでは流石に辛いのかな、と思います。外に馬を置く形が合わなかった可能性も残りますが、素直に内容を取るならスワーヴリチャード以上には評価できない、と見ていいと感じますね。

 12着アウトライアーズは、もう少し内々を立ち回ってくれると期待したんですけど、外回しちゃいましたね。
 ただでさえ距離適性で疑問がある中で、インもごった返していた中でむずかしさはあったにせよ、すぐ横の枠のペルシアンナイトが完璧なイン差しをみせたのとは対象的な形となってしまいました。
 この馬は血統的にも、多少重いままの方が良かったのかなと今になっては思いますし、脚の使いどころが難しい馬で、このペースでもややコントロールし切れていない感じもありました。
 じゃあ高速マイル戦なら、となっても、ポジション的には甘くなりそうですし、距離短縮で切れ味を引き出せるかですが、馬の素材的にも乗り方としてもちょっと残念な結果になってしまいました。
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2017 アンタレスS・中山GJ レース回顧

**★アンタレスS**

 春の大一番、帝王賞に繋がる一戦は、インからしぶとく差し切ったモルトベーネが制しました。レースを振り返っていきましょう。
 
 馬場は週中の雨の影響を少し残していて、良発表ながら脚抜きのいい時計の出やすい馬場だったと思います。未勝利でもほぼ平均ペースで1,52,9が出ているので、このメンバーで50秒を切ってきたのはまずまず、と見ていいと思います。

 展開ですが、モンドクラッセが好スタートからフラットにハナを取るか、と思いきや、インから気迫を持ってショウナンアポロンがハナを取り切りました。
 外からはリーゼントロックが強気に主張してきてモンドの外、アスカノロマンはその外から道中外々を回る形で進めていきます。
 モルトベーネはデムーロJらしく少し出負け、しかしそこからリカバーして2列目の真ん中に入っていき、マイネルバイカとロワジャルダンが内、ロンドンタウンはちょうど中団で、出足一歩のグレンツェントはその後ろ、ミツバは今日はスタートから行きっぷりが良くなく後方を追走する事になります。

 ラップは36,3(12,1)-37,0(12,33)-36,6(12,2)=1,49,9(12,21)という推移になりました。
 個人的な展開予想の失敗としては、ショウナンが意地でも取り切る形の確率を軽く見たことで、この馬の支配になると比較的スローから平均まで落ち着きがち、というのは戦績が示す通りです。
 対してのモンドは岩田Jなので、無理せず流れに合わせてしまう可能性はもう少し幅広く見ておくべきでした。
 後は、アスカノロマンが出足は良かった割に無理には出していかず、リーゼントロックに前に入られてしまったところですね。
 
 ペース自体はほぼ綺麗な平均ですが、細かく見るとこのクラスのダート戦としては前半が緩むのが早く、かつ後半の加速地点も残り800mからと極端なロンスパにまではなっていません。
 その分後半ラップが12,1-12,1-12,0-12,5という推移になっていて、極端に持久力は問われず総合力面が生きてくる流れ、馬場が軽い分ラストも落としておらず、シンプルにコーナーで内目前目を立ち回った馬が優位に立てる展開にはなっていたと思います。

 勝ったモルトベーネは、近走の充実を踏まえて適正的にもう一歩でも狙っておくべきか迷いはしたのですが、実に鮮やかな勝ちっぷりでしたね。
 この馬としては存外にペースが落ち着いての団子になってくれて、前半無理せず流れに入っていけたと思いますし、直線もやや狭くなる地点はあったものの、結果的にコーナーで内々、仕掛けも我慢させられる形で脚を残せたのが、ラストの抜け出しに直結しているかなと感じます。

 前走は距離というよりタフな馬場での消耗戦が厳しかった、と見るべきでしたし、これまでは軽い馬場でもスローバランスでこそ、という馬でしたが、今日は平均で強い競馬を見せてきて、時計の出る馬場であれば、今ならある程度ハイになっても対応してくるかもしれません。
 展開は確かに向いたと思いますが、そういう流れを作っていけるタイプでもありますし、今後もこの血統でどこまで最上位勢に戦っていけるか注目です。

 2着のロンドンタウンは、もう少し流れて馬群がばらける展開にはなって欲しかったな、というイメージですね。
 平均だからこそ楽についていけた、という考え方も出来ますが、最大の持ち味は持久力面にあり、そして今日でかなり確信が持てましたが、この馬はコーナー加速戦はそこまで得意ではないのかもしれません。
 今日も馬群の中で若干とはいえペースアップしてコーナー最速の展開で、中目を通していながらも少し置かれる感じはあり、けれど最後の12,5の地点では確実に伸びてきていました。

 そう考えると阪神コース自体は悪くないと思いますし、もう少しハイペース、ロンスパの流れでラストが大きく落ちる流れでなら突き抜けてもいいポテンシャルを見せてはくれたと思います。
 明け4歳で、斤量面でもそこまで楽ではない中で立派と思いますし、いずれ交流GⅠの常連にまで上がってきて欲しいですね。

 3着ロワジャルダンも、ある程度きちんと競馬出来ればやはりこのくらいは戦える、というのは示してくれたと思います。
 道中は3列目のポケットで、コーナーでは内々を通していい立ち回りでしたが、本質的には全体のペースがもう少し速くなって、それでも確実に一脚を使えるのが最大の武器になるので、この平均までの流れだとポジション差を詰め切る武器がないな、というイメージです。
 まだまだ重賞クラスでもやれるはずですし、時計の速い決着でハイペースが予想出来るときは積極的に拾っていきたい馬になりますね。

 4着リーゼントロックは、地道に階段を上ってきている感じですね。
 基本的に今回の予想は、マーチS組はそれなりに強い、という前提で組んでいたのですが、流石にこの馬にまでは印が回りませんでした。
 ただレースは好スタートから三番手の外と積極的に進めて、前の2頭に自分から動いて競りかけ直線を向き、内から進出したモルトには一気に抜け出されたものの、すぐ外のアスカノロマンには競り勝つ粘り強さを見せてくれました。

 この感じですとこの馬は極端な流れよりはこういう平均で総合力を生かす、それをポジショニングの良さでより補っていく、という形がベストに落ち着いていきそうです。むしろ直線に坂のある阪神中山より、京都1800mで期待してみたい馬ですね。
 実際オールブラッシュ戦も強いですし、今は最上位クラスと準オープンクラスのレベル差が一時期ほど大きくないと感じるので、適性条件ならレース格の持ち具合に関わらず適正で柔軟に判断していく方が面白いかもしれません。

 5着アスカノロマンは悪くないですが、結果的に並びの面で難しさがあったのでしょうかね。
 近走の内容や斤量面もあったでしょうが、リーゼントも速かったですし仕方ないところはあります。
 本質的には追走力で後ろをある程度削ぎ、その上でコーナーのロンスパを内目で演出して押し上げ組の脚を削ぐ、という2段構えの消耗戦、時計勝負が出来る馬なので、外々から前のロンスパに合わせてじわじわだと、負け方としては勿体なかった、とは感じます。

 馬自身はある程度復調はしていると思いますし、今日はコーナー最速で外々でラスト失速の形ですから完全な力負けとは思いません。
 狙いどころが難しい馬ですが、条件が噛み合いそうな時は積極的に狙っていきたいところですね。

 グレンツェントは、思ったよりも流れなかった中で外から押し上げざるを得ないのは仕方ないでしょう。
 東海Sでもロンスパ気味の流れをかなり外から捲って押し切っていたし、決して不向きな展開とは思わなかったので、となると純粋に斤量が応えた面と、あと時計勝負そのものはそこまで得意ではない、という可能性も見ておきたいところです。

 元々ゴールドドリームには府中マイルのスピード戦で足りないという力関係ですので、1800mでもある程度時計がかかったほうが相対的に力を発揮しやすいのかも、という所感は持ちましたし、この凡走で軽く見る必要のある馬でもないでしょう。
 ただ純粋に抜けた能力がある、という事はなかったと言うだけですので、元々好走スポットは広いですし、その中でもより合いそうな条件を細かく見極めていきたいですね。

**★中山GJ**

 こちらに関してはスタートからアップトゥデイトが出足もう一歩、道中も前の流れに合わせてゆったりしたペースになった時点でお手上げでした。
 実際勝ち時計は去年よりもゆったりの4,50,8、アップトゥデイトのレコードからは4秒近く遅いもので、かつ上がり時計が49,7-36,5と、障害戦では滅多に見ない高速ラップを踏んでいます。皐月展望でも書きますが、芝は確実に高速化していますね。
 レース全体の平均が13,7で、ラスト3Fは12,2を切るくらいですから、如何に後半の加速力が問われたか、という結論になりますし、そうなればオジュウチョウサンが負ける理由はない、と感じますね。

 しかしこの馬がきちんと最初から最後まで走るのを全部見たのははじめてですが、本当に走りのバランスが崩れず、頭を低くして集中している感じが素晴らしいですね。
 グランドジャンプとレース名が棲み分けになってから、J・GⅠを3連勝した馬はいないようですし、この安定感は見事でした。なればこそ時計勝負での強さ、というのもどこかで見せて欲しいな、とは思いますね。

 しかしサンレイデュークとは。去年の大障害の結果から軽視してしまいましたが、ここで変わってくるというのは中々に難しいものですね。
 アップトゥデイトはこの流れに乗った時点で厳しかったろうとは思いますが、前半もあまり行きっぷりは良くなく、そろそろ能力的にも踏ん張りどころなのか、と感じさせるところもありました。ただ今は完全にオジュウチョウサン一強状態なので、それを食い止めるべくもうひと踏ん張りして欲しいところです。
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2017 4月第2週海外GⅠ レース回顧

 今週も中々に興味深いレースがありましたので、まとめてササッと紹介していきましょう。

**★クイーンエリザベスS [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=pLzN1kmmQk0)**

 ロイヤルランドウィック開催2週目の目玉、最高賞金レースのクイーンエリザベスS芝2000m戦です。
 もはやそろそろこのブログでも説明不要になってきた、と自分では勝手に思っています最強牝馬ウィンクスが出走し、危なげない勝ちっぷりで見事に17連勝を達成しました。

 このレースでもいつものように好スタートを決めつつ序盤は少し下げて、2つに割れた馬群の後方集団の先頭で、いつでも進出出来る構えを取る泰然自若のレースぶりを披露します。
 そして最後のコーナーから軽く合図されただけで一気にピッチを上げ、直線入り口で既に先頭、そこからは突き放すのみ、こちらもお馴染みの善戦馬ハートネルに6馬身近くの差をつけての圧勝でした。

 もうここまでくると国内のレースなんて調教代わりにもならないんじゃ、ってくらいの楽な勝ちっぷりですね。
 今後はコックスプレート3連覇が最大目標になるとアナウンスされていましたが、その合間に海外遠征は視野に入れてくれるのでしょうかね?ブラックキャビアの様にロイヤルアスコット開催辺りでその雄姿を見てみたいです。
 クイーンアンSで去年のテピンの様にマイル路線を制圧するのでも、プリンスオブウェールズSでアルマンゾルと世界最強の中距離馬の座を争って戦うのでも、どちらにせよワクワク出来る妄想なのですがさてどうなりますか、今後の動向にますます注目です。

**★サンタアニタダービー [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=keLRgFlz8aY)**

 先週のフロリダダービーに続き、近年ではいま日本で種牡馬になっている2冠馬アイルハヴアナザーや、前年までアメリカ最強の名を恣にしていたカリフォルニアクロームなどを輩出、古い話ではサンデーサイレンスなどもここをステップに2冠を達成したサンタアニタダービー、今年は接戦をゴームリーが制しました。

 アメリカの3歳牡馬路線には、1月前までマスタリーという圧倒的な逃げ先行馬がいたのですが、サンフェリペSを完勝したゴール後に騎手が下馬し故障が発覚、戦線離脱となって一気に群雄割拠の感を呈してきました。
 このレースでは、そのサンフェリペSの2着イリアドが人気し、4着だったゴームリーはやや評価を落としていましたが、ハイペースからの消耗戦の中でしぶとく伸びる根性を見せてここを勝ち切ってきました。

 ただ、後に触れますがここは勝ちタイムが遅く、特に後半4Fで相当にラップを落としていて、正直レベルは高くなかったと感じます。
 ゴームリーも強い相手にはコロッと負けるタイプでもありましたし、イリアドとも僅差ですので、このあたりは展開ひとつで変わってくる力関係と見ていいでしょう。

 とにかくマスタリー以外の主力路線はコロコロ猫の目のように勢力図が変わるのが今年のアメリカ3歳牡馬路線で、BCジュヴェナイルの勝ち馬クラシックエンパイア(この時ゴームリーは7着)が、年明け初戦のホーリーブルSでアイリッシュウォークライとガンネヴェラに完敗を喫します。
 ここで、すわ!とアイリッシュウォークライの評判が上がったと思えば、次走のファウンテンオブユースSでガンネヴェラにあっさり逆転を許し惨敗、同じく4月2週のウッドメモリアルSで弱敵相手に勝ち切り立て直してきたもののちょっと信頼は置けず。

 BCジュヴェナイルでクラシックエンパイアには大きく離された3着、ファウンテンオブユースSでやっぱりガンネヴェラには大きく離された2着と、堅実ながら勝ち切れないプラクティカルジョークも、この週のブルーグラスSで(しかしアメリカはトライアルレース多過ぎますね。。。)、2歳時にマスタリーに完敗を喫していた未勝利馬イラップの後塵を拝して、と、本当に混沌としています。
 流石に全部映像拾ってくる気力はないのですが、レースレベルもサンタアニタダービーとどっこい、というイメージで、この辺は本当にマスタリーに負けた組のどんぐりの背比べ状態です。

 やはりそう考えると、マスタリーの穴を埋めるのは、それまで未対戦の新興勢力で、先週のフロリダダービー勝ち馬のオールウェイズドリーミングになるのかな、と思います。このレースでは前述ガンネヴェラを7馬身近く千切っていますし、先週触れたように勝ち時計も優秀、現状もっともケンタッキーダービーの栄冠に近いのはこの馬じゃないかなと考えます。
 無論日本のレースと違って沢山見落としはあると思うんですが、どうあれ本番はどういう序列になるのか、更なる新興勢力の台頭があるのか、中々に楽しみですね。

 あと余談ですけど、このサンタアニタダービーの4着馬の名前、リーチザワールドってなんか笑えます。ムーヴザワールドといい、大仰な名前をつけられると位負けしてしまうのは古今東西一緒なのか、と(笑)。

**★サンタアニタオークス [レース映像](https://www.youtube.com/watch?v=sNLLmaN61Tc)**

 こちらも近年の勝ち馬に、ビホールダー、ステラウインド、ソングバードと、去年のBCディスタフで1,4,2着だった名牝の名がずらりと並ぶ出世レースですが、今年も類い稀なる名牝の誕生を予感させるレースになりました。

 アメリカの3歳牝馬は、牡馬に比べてレースの選択の幅が広く、長距離輸送の負担なども踏まえて西と東で比較的棲み分けが出来ている、という観点もあり、必ずしもケンタッキーオークスに繋がる、という言い方は出来ないんですよね。実際上記3頭の内でも、チャーチルダウンズのケンタッキーオークスに出走したのはステラウインドだけで、しかもそこでは4着に敗れていますし。

 そういう先行きの話はともかく、3歳の春先まで牝馬戦線を牽引していたのは、葦毛の快速馬ユニークベラでした。
 しかしこの馬も、前走サンタイザベルSを逃げ切った後に故障が発覚して戦線離脱し、それに代わって期待されたのが、2歳時にもGⅠを制し、サンタイザベルSでそれまで圧勝続きのユニークベラに2馬身あまりまで食い下がったアベルタスマンで、このサンタアニタオークスでも単勝1倍台の圧倒的な人気に支持されます。

 が、いざレースが始まってしまえば、勝ち馬パラダイスウッズの一人舞台でした。
 先月に1300mの未勝利戦を勝ち上がったばかりの馬、という事で、それでも3番人気だったのは余程勝ちっぷりが良かったのでしょうが、その期待を遥かに上回る圧倒的なパフォーマンスを披露したのです。

 レースは見て貰えばわかりますが、3番枠の勝ち馬がスタートからダッシュを決めて敢然とハナ、そして隣4番枠のアベルタスマンはダッシュが良くなく道中最後方からのレースを強いられます。
 淡々と波のないラップを刻むパラダイスウッズは、勝負所の3~4コーナーに入っても手応え十分で、むしろ追走していた番手以降の馬がバテてどんどん離されていく中、雄大なフットワークで直線も一人旅を決め込みます。
 直線半ばでアベルタスマンも最後方から捲って追い込んできますが勝敗は決した後、なんと11馬身以上の差をつけて大楽勝を決めたのです。

 2着馬とは斤量差があったとはいえ、そんな些末な事が全て吹き飛ぶ圧勝であり、何より凄みがあるのが勝ち時計。
 1700mのレースで1,42,5ですから、ハロン平均で12,07くらいであり、これは同日に、100mだけ長い距離で行われたサンタアニタダービーの1,51,1(平均12,35)と比較すると、ダービーの方が低レベルだったのを差し引いても凄まじい数字だと思えます。

 何より、1200m通過に関してはサンタアニタオークスの方が0,5秒くらい遅いわけで、そこからこの時計まで引き上げてきたのですから後続が千切られるのも当然というものです。2着馬のアベルタスマンが弱かったのではなく、勝ったパラダイスウッズが強すぎた、と見るべきでしょう。
 馬場差があった、という可能性もあるにせよ、上記名牝3頭の勝ち時計も悠々上回ってきていますし、これは去年のトラヴァースSのアロゲート並、とまでは言わないにせよ、かなりインパクトの強い勝ちっぷりでした。本当に今後が楽しみですね。
posted by clover at 03:48| Comment(0) | レース回顧・海外競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする