2017年03月03日

2017 黒船賞 レース回顧

 黒船賞は、上がり馬プラゾンドゥリスがその勢いのままに初重賞制覇を果たしました。レースを振り返ってみましょう。
 馬場は重馬場で、でもかなり時計はかかって力の要る印象でしたね。
 レース展開はほぼ予想通りにニシケンがハナ、グレイスフルリープが番手につけてすぐ後ろに外からブラゾン、その後ろでドリームバレンチノ、キングズガードはちょうど中団くらいでレースを進めていきました。

 ラップは細かく出ないので実況などから推察していきますが、まずテンの2Fが23,7、後半4Fが50,3-39,1なので、向こう正面の直線地点が12,2、レース全体が1,28,2なので、逆算すると1~2コーナー地点は13,2になる計算ですね。
 並べ替えると大体12,5-11,2-13,2-12,2と前半が進んで、後半3Fが平均13,03とかなり消耗している流れになっています。
 イメージとしては最初のコーナーからある程度後続がプレッシャーをかけていって、3~4コーナーでは早めにグレイスフルリープとプラゾンが進出、そこで前の馬が脚を使った分、ラストでラップ自体が加速しない展開になっているのかなと感じます。

 勝ったブラゾンドゥリスは一番いい位置で流れに乗れていましたし、3コーナーからグレイスフルリープが仕掛けていくところでやや置かれている感もありました。
 でも流石剛腕内田J、馬体重のあるダート馬を持たせる腕は見事で、直線で前が消耗する中しっかり外から伸び切る強い競馬だったと思います。
 この印象ですと、むしろ中央より時計のかかる地方の馬場の方が合いそうなイメージですし、今後も交流重賞での活躍が期待できますね。

 2着のキングズガードは上手く乗ってきましたね。
 序盤はやや追走に苦しむ形も、勢いがついた向こう正面からはじわっと前に取りつき、そしてコーナーで外を回さずインに決め打ったややギャンブルな騎乗だったと思います。
 ニシケンがもう少し脚が残っていたらどうだったか、というのはありますが、結果的に上手く前が空いたところでしっかり伸び脚を見せてきましたが、先に抜け出したブラゾンドゥリスには完敗、でもありました。

 結局立ち回りとしては、小回りで前々から勝負できる馬に対してのアドバンテージは薄いですし、今日のように綺麗な形で前が空いても差し込み切れてはいないので、地方の重い馬場、コースがベストではないでしょう。
 それでも実質の頭数的な面で不器用さを相殺は出来ていましたし、交流重賞路線でも戦える目途はつけたと思います。
 けど中央では相手関係や位置取り、地方だと立ち回りでやや見劣って、結果的に善戦止まりになってしまうのはもどかしいところですね。もうひとつ何か武器が欲しい感じです。

 3着グレイスフルリープは、やはり条件が噛み合えばまだ好走してくる余地はあるな、と感じさせますね。
 重い馬場で絶対的な速度を前半で問われなければしっかり脚を使えますし、中央でも斤量面など難しさはありますが、OPクラスならまだ展開ひとつで好走してくると思うので、ペースが上がり切らなそうで、要所の機動力を生かせる場面では甘く見ない方がいいでしょうね。

 4着ドリームバレンチノは、今日は不利もなく前がやり合ってもくれていい展開かな、と思っていたけれど案外でした。
 あまり極端に消耗戦寄りにならない方がいいのかもしれませんし、年も年なので頑張っていると言えばそうですが、評価の難しいところですね。

 5着ニシケンモノノフは、懸念していた前走の反動と、あと今日は早めに徹底的なマークに合って息を入れるタイミングが見つけられなかったのがこの凡走の主因2つになりますかね。
 個人的にもある程度グレイスフルリープも早仕掛けの展開にしてこないと見ていたのですが、中央勢の中の最内で圧倒的一番人気、逃げるしかないという枠組みの中ではちょっと安直に決め過ぎました。それでも消耗戦自体は強い馬の筈なので、状態面も含めて一度立て直しがいるかな、という感触です。
posted by clover at 04:35| Comment(0) | レース回顧・地方競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017 フィリーズレビュー・中山牝馬S レース回顧

**★フィリーズレビュー**

 桜花賞のラスト三枚の切符を巡って争われたフィリーズレビューは、高速馬場でかなりのハイペースになる中、唐紅に水くくらん、とばかりに、大外から一気にカラクレナイが全馬を飲み込む豪快な差し脚で制しました。詳しく振り返っていきましょう。

 まず展開は、スタートはレーヌミノル、ベルカプリあたりが良く、レーヌは戦前のコメント通りスーッと下げていきますが、ベルは強気に先行策、そのすぐ内からアルミューテンも中々譲らず、その内に二の足のダッシュを効かせたアズールムーンがハナを取り切るという、中々に激しい展開になります。
 ジューヌエコールも好スタートから先団の後ろに取りつき、レーヌは中団くらいにまで下げる競馬を選択、カラクレナイは一歩目はやはり少し遅く、流れには乗っているものの後方二番手、ゲートに突進したらしいゴールドケープが明確に出遅れて最後方からとなります。

 ラップは33,5(11,17)-12,0-35,5(11,83)=1,21,0(11,58)という推移、馬場も良かったですが、それでも予想以上の高速決着にはなりました。
 ただ、この数字を見てもわかる通り、テンが猛烈に速い分中盤の1Fはそこそこ明確に緩んでいて一息は入っています。
 それでも前目で進めるとかなり上質な追走力が問われましたし、結果的にその緩みの地点でフラットに押し上げてきた後続馬に優位な展開になったのは間違いないと思いますね。

 勝ったカラクレナイは、昨日の予想では印を打たない理由を書かなかったのですが、全体的に流れるレースでの追走力と、あともう少し前半がコントロールされれば緩み自体がそんなにない、という可能性も含め、先行の伏兵に有利な流れになると思ったからです。
 ただ蓋を開けてみると前はかなりの激流になってしまった上に緩みで押し上げる余地を与えてしまっているわけで、しかしそこを見逃さないのが流石のデムーロJ、というところですね。
 
 スタート直後から極端にリカバーはせず前半はリズム重視、けれどある程度前の馬群が凝縮してきたところで、見た目にはっきりそうなるワンテンポ前に、きっと緩むと決め打ちして動き出している、それを選択できる胆力があるのは、ゴールドドリームのフェブラリーステークス回顧でも触れましたが、デムーロJの最大の武器と言えます。
 今回はそれに流れがピッタリ嵌りましたし、馬自身も後半4Fで11,5前後の脚を長く使ってきて、ラストもレーヌとの差を見る限りでは大体11,6くらいかなと思います。
 この馬やゴールドケープの位置でもバランス的には34,6-11,6-34,4くらいのフラットとは思うので、一定以上の追走力は示した上で後半要素をしっかり発揮できた、と見るべきでしょうか。

 正直今日の馬場でこのラップ推移だと、持久力の範疇か持続力に踏み込んでいるか見極めにくいのと、後は本番だともっと明確に瞬間的な切れ味の質は問われると思うので、より速いラップを踏んでから同等の持続力を引き出せるか、それが出来れば桜花賞でも展開次第で圏内まで食い込んでくるチャンスはあるかな、とは思わせる脚でした。
 ただ出し切ってあげたいタイプとは思うので、デムーロJが継続騎乗できないのはマイナス、同タイプの騎手を上手くチョイスできれば、というところです。

 2着のレーヌミノルは、思った以上に下げてしまったなぁ、というのはありますが、ラップ的にはそれでもハイバランスでは駆けているのである程度は仕方ないのかなと。
 ただやはり押し上げていくときの加速力、一瞬の質は高いですけど、そこからの持続には課題がある馬なので、あまり早めにそれを使ってしまうと持続力タイプにラスト食い込まれるわけで、1400mまでならもっと追走力を生かした競馬の方が安定して強いのは確かだとは思っています。
 それにああして一気に動かすことで、馬の挙動的にも荒くなっての斜行ですし、もうこの辺はそろそろ浜中Jは完全にリズムも狂っているし、気持ちにゆとりがないのかな、と感じさせてしまいますね。

 馬自身はやはり堅実ですが、前目でハイペースを自分で演出するくらいの、肉を切らせての形でないと強敵相手には常にちょい負けし続けそうなんですよね。でもこのレースの上位は後々スプリント路線には繋がりますし、今は古馬のスプリント路線も混沌としていますから、長いスパンでは楽しみの大きい馬です。

 3着ゴールドケープはまぁ漁夫の利というか、禍福は糾える縄の如しというか。
 基本的には前目で粘り込みたい馬が出遅れたことで最後方からとなりましたが、かなりのハイペースの中でコースロスを減らしつつじわっとスムーズに進出出来ましたし、直線もカラクレナイの後ろからかなり長くいい脚を使ってきて、やはり地力自体はある馬だなと感じましたね。
 とはいえ今日は流れや展開が嵌り過ぎましたし、これでポジション関係なくやれる、とは思わず、基本的には前目からしっかり追走力を生かした競馬をスタイルとして確立して欲しいタイプです。

 4着ジューヌエコールは、やはり相当に不利は痛かった、と思います。
 レース全体が減速傾向の中で、それでも勝負所でもう一足、と伸びかけていたところですから、完全に勢いは削がれましたし、むしろそこからジリジリとでも盛り返しているのは地力の証かな、と感じます。
 この馬自身前半34秒を切るくらいの位置で入っていますし、流れた方が安定するという見立ては間違ってないかな、とは思います。
 むしろデイリー杯は苦手な展開でもポジショニングの良さで勝ち切ったイメージですし、桜花賞でもみんながソウルをマークしに来て、ペース自体が前掛かりになった時にインでじっと我慢して、という競馬が出来ればワンチャンスはあるやもしれませんね。

**★中山牝馬S**

 ヴィクトリアマイルに向けての春の牝馬路線の一翼を担う中山牝馬Sは、良血馬トーセンビクトリーが見事に制しました。どのようなレースだったか回顧していきましょう。

 展開はまずプリメラとパールコードが好スタート、トーセンもいいスタートながらプリメラを行かせてのポケットは予想通りの形でしたね。
 その上で、パールに前に入られるのを嫌ってサンソヴールが少し押して番手外を確保、パールはその外で折り合い重視、内枠を利してクイーンズミラグロやハピネスダンサーが3列目、ギリギリ先団の位置に入ってきました。
 ビッシュも出足はあまり良くなかったですが、昨日に引き続き戸崎Jそこそこ積極的に中団を確保、ただし外には壁がある形で、その少し後ろでマジックタイムはゆったり待機、という隊列になりました。

 ラップ推移は37,8(12,6)-36,7(12,23)-34,9(11,63)=1,49,4(12,17)となっています。
 見ての通りにテンがかなり遅く、中盤も緩んではいませんが淡々としたスローペースで、3コーナー過ぎからペースが徐々に上がって400-200m地点が11,3と顕著に速くなっています。
 当然ながらコーナー地点で前目・インを立ち回ったほうが優位な展開でしたし、外から食い込んでくるにはかなり高い持続力を問われたレースになっていると思いますね。

 勝ったトーセンビクトリーは、ポジショニング自体も良かったですし、やはり加速地点で少し待たされ置かれるところはあったものの、上手く外に持ち出せましたし、そうなれば最後の持続力は非凡、という所を遺憾なく発揮したと思います。
 ベスト距離が見極めづらい馬ですが、パワー馬場よりなら1800mでもう少し流れても対応はできると思います。でも高速マイルは確実に短い&追走力で無理があるので、秋のエリ女に向けてしっかりステップを踏んでいって欲しいですね。
 少なくともマーメイドSあたりは合うと思いますし、夏の北海道開催あたりでも今のポジショニングの良さがあれば十分牡馬に伍して戦っていけるのではないかと感じました。

 2着のマジックタイムは、やはり地力では1枚上、という競馬になったと思います。
 こういう前優位のパターンでも圏内までしっかり食い込んでこられる持続力の高さ、坂地点の伸び脚は流石でしたし、もうちょっと誰かが早めに仕掛けてくれれば、というのはあったでしょうが、この馬の競馬はきちんとしてくれたと言えますかね。これで引退は勿体ないくらいまだまだ強いのですけれど、いい仔を出してくれることを期待しましょう。

 3着クイーンズミラグロも、内枠を利してしっかり食い込んできましたね。
 ペースもここまでゆったりなら全く問題ないですし、トーセンとはポジションの前後の差、マジックタイムには素材的に完敗でしょうがあっちは引退ですし、加速力とそこからの持続力共にそこそこ非凡なので、この馬も2000m前後の高速過ぎないところでなら楽しみが大きいですね。
 ただトーセンほどポジショニング自体が上手いわけではないので、今回のように枠と展開の恩恵があれば、という留保はつきますし、外枠で自分から勝負に行く形だと足りないとは思うので、狙いどころを間違えないように見極めたいタイプです。

 4着パールコードはうーん、ここまでのスローは追走力面でやや不安があった中では僥倖とも言えるところでしたし、自分から勝ちに行ったとはいえ内からクイーンズミラグロに差し込まれているのは、休み明けを差し引いても印象は良くはない、ですかね。
 基本的には秋華賞でも持続力面ではヴィブロスに完敗しているわけで、いい脚は一瞬タイプである以上はもう少し距離を伸ばして、追走力で無理のない範囲で平均的に流れる状況がないと勝ち切るまでは難しいのかな、と思います。
 あとやっぱり、ビッシュの結果も含めて、この世代の生き残っている牝馬ではちょっと一線級には足りないのかな、という感触もより強くなってきたので、その辺の世代レベルも意識しつつ今後を見ていきたいですね。

 5着デニムアンドルビーは、予想的には流石に追走力そのものはともかく、ポジションで置いていかれると思って軽視しましたし、やはりレースが終わってからの差し込み、にはなっています。
 ただやはりその持続力自体はまだまだ非凡ですし、マジックタイムと互角のものは見せているので、より適距離、適コースになってくれば、もう一花はあっても全然不思議ないな、と思わせますね。
 少なくとも屈腱炎明けでの極端な能力の減衰はないと見ますし、好走スポットはかなり狭い馬ですが、持続特化戦になれば牡馬一線級とも戦える素材ですので注視していきたいところです。

 6着ウキヨノカゼも、この距離でここまでやれるのか、というのはありますね。
 元々短距離でもやれる馬だけに、追走自体はもっと楽に出来てもいいのですが、それでポジション取ったらダメ、ってのが追い込み馬の宿命でもありますので、その辺は難しいところです。
 末自体も距離のせいでこれでも多少は削がれている感はありますし、現状は1400m~1600mくらいが合うでしょうか。ヴィクトリアマイルでも、極端に馬場が軽くなく、後半の持続が強く問われる展開だと一発ある可能性を秘めたタイプなので、頭の片隅には置いておきたいですね。

 7着サンソヴールはまぁ、現状の力関係だとここまでか、と。
 愛知杯とは相手関係もですが、あと元々持続力自体はそこまで高くない中で、加速地点で坂か、減速地点で坂かの差は結構大きいと感じましたし、クイーンズミラグロに逆転されたのはそのあたりでしょう。
 マイルでは基本短いですし、2000mでも持続が強く問われるコースだと甘くなりそうですので、その辺で着順を落としての札幌クイーンSあたりが次の狙い目になりそうかな、と考えています。

 そしてグレーターロンドン、強い競馬でしたけど前半通過63秒じゃなぁ、と。
 溜めれば切れるのはわかり切ってる話ですし、今日はラスト200m推定10,6くらいで差し込んでるので、やはり瞬発力の質そのものは特級なんですけれど、それをある程度以上引き出せる幅を計らせて欲しいなぁ、と思いますし、流れても強くあって欲しいので、楽勝してくれたのは嬉しい反面もどかしい競馬でしたね。
posted by clover at 04:35| Comment(0) | レース回顧・中央競馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする