2017年01月07日

注目馬:グレイトパール

 1月5日の初夢S(ダート1900m)を圧勝したグレイトパールの将来性について見ていこうと思います。

**★[現時点での成績](http://keiba.yahoo.co.jp/directory/horse/2013104508/)**

 6戦4勝、芝の2000mでデビュー勝ちするものの、500万での2戦は鳴かず飛ばす。
 休養後の秋、4戦目からダート路線に転向するとこれが大当たり、京都ダート1900mを3連勝して一気にオープンまで昇り詰めました。
 ここではそのダート3戦の内容をざっくり分析してみようと思います。同じ距離・コースのレースに出ているので比較しやすいですね。京都の9,5Fはどこで中盤を区切るか悩む距離なのですが、一応3,5F-3F-3F(カッコ内はハロン平均)で見ていきます。

**★500万下**

 ラップは41,7(11,92)-39,1(13,03)-37,7(12,57)=1,58,5(12,48)。
 明確に序盤が速くて中緩み大、直線の仕掛けも遅く、まず前半の追走力、そしてL3が13,0に対しL2が12,0となる中で高い加速性能と、ダートの範疇での質の高い切れ味を求められています。
 この日は京都大賞典の開催日で良馬場、当日の1800mの500万下が平均で流れて1,52,7(12,52)なので、走破時計はまずまず優秀ですね。

 1番枠からもっさりしたスタート、ただダート初戦で内で揉まれたくない、という意識が働いたのか、最初のコーナーに入るまでかなり押して先団に取りつき、前との間隔を適度に保ちつつの2列目ポケットを確保。
 中緩みで隊列が縮まる中、早めに外に持ち出して3コーナーでは3番手の外、そこから馬なりで先頭に取りつき、ほぼ直線入り口で先頭、そこから明確に突き抜けて、最後は抑える余裕のある完勝でした。

 このレースでの収穫は、序盤でやろうと思えば追走出来るのを示したことと、ペースの緩急にしっかり対応できていること、直線入りの加速を自力で為していることですね。
 その先の活躍を見れば一目瞭然ではありますが、このレースは中緩みが顕著な中で、地力で断然抜けていたこの馬には序盤はともかく中盤以降は楽過ぎる流れだった、とは言えて、その中での急加速性能なのでもっとタイトな流れの時にどうか、って課題はありますが、まず圧倒的な性能ではあったと思います。

**1000万下**

 ラップは42,3(12,08)-37,0(12,33)-35,9(11,93)=1,55,2(12,11)。
 ほぼ綺麗な平均ペースで1Fごとの波も少なめ、淡々と流れる中で最速ラップがL3、4コーナー地点の11,7となってきて、基本的には当然前目、内目を通した馬が俄然有利な展開です。
 この日はJCの当日で不良馬場、1200mのOPで1,09,4(11,57)とかなりの時計は出ているものの、500万下はレースレベルは低そうなものの中盤緩まないハイペースでも1,51,7(12,41)止まりの中で、このレースでは時計面でのパフォーマンスもかなり優秀です。

 15番枠から互角に出て、前半は特に無理はせずに馬なりで中団外目を確保、レース自体が加速する3~4コーナーでスーッと外から動き4コーナー中盤ではもう先頭列に並びかける積極的な競馬。2頭分外を回しつつも脚色断然で直線向いてもう先頭、ここでもそこから突き放すのみ、ラップ的にも11,7-12,0-12,2とほとんど落とさず、自身の上がりは35,7なので4コーナー地点でこれより速い脚を外々で使って最後まで落とさないのは非凡なレースぶり。
 前走に比べて圧倒的に中盤が速くなっている中で、本来の性能が存分に生きた格好であり、このラップの中でラスト3Fの平均が最速にまで引き上げたのは凄まじいですね。コーナーで速いラップへの適応も見せたし、元々芝でもそこそこやれた故の、高速馬場巧者という一面も見せたと思います。

**初夢S(1600万下)**

 ラップは44,0(12,57)-38,1(12,70)-36,1(12,03)=1,58,2(12,45)。
 明確に前半が緩く、中盤でも緩いままの、後半4Fの特化戦となっていて、逃げ番手のテイエム・ヒデノが4着以下を突き放しての2、3着を確保していることからわかる通り、完全に先行有利、3~4コーナーで内目を通した馬の必勝パターンのレース。
 時計自体も同日の3歳500万で1,52,5(12,50)、古馬500万下で1,52,4(12,49)とそこそこ出ている中で、この2レースの勝ち馬のサンライズノヴァとハリケーンバローズもこれから出世しそうな馬ではありますが、それと比較しても1600万下としては走破タイムそのものに価値は見出せないレース、となっています。

 5番枠から互角に出るものの、やはり馬任せで道中はやや後方の外目、中盤までは自分のリズムに徹して、残り800mから一気に動いてあっという間に先団に接近、そこで前も一気にペースが上がって、4コーナー地点では6頭分ほど大外をぶん回しつつもやはり脚色断然、直線に向いたところで既に前の2頭を射程圏に捉え、残り200mで先頭。
 流石にそこから一気に突き放すまではいかないものの、最後まで脚色に余裕を残しながらの完勝、でした。

 正直これは有り得ないレベルで強かった、と言っていいと思います。
 ラスト4Fが12,4-12,0-12,0-12,1というラップを刻む中で、この馬の上がり3Fが35,4、ラスト1Fはほぼこの馬のラップと思うし、L4の段階でもはっきり見てわかるほど後方から先団すぐ後ろまで一気に押し上げていて、そこは推定になりますが、この馬の後半4Fは11,9-11,7,11,6-12,1くらいにはなるはずで。
 不良馬場ならいざ知らず、いくらスローで足を溜めたとはいえ後半で47,3は桁違いの脚力だし、しかもそれを6頭分も外をぶん回して、ってのがえげつないところで、正直騎乗としてはスローの箇所でのんびり、レースが加速するところで押し上げと全く噛み合っていないのにこの強さ、後半特化で更に鋭さを上げてきたのには正直戦慄しました。能力的には優に重賞級、いずれGⅠレベルでも充分にやれるだけの素材力を見せつけた、と言っていいでしょう。

**★総括**

 この3連勝の中で、ハイペース、ミドルペース、スローペースを経験し、500万と初夢Sではレースの流れにフラットに入れない真逆の展開で結果を出していて、かつ後半要素において、ダートレベルでの加速性能、コーナリングの器用さ、一瞬の切れ味の高さ、最高速に乗ってからの持続力の全てで高い資質を見せており、これは凄い馬が出てきたなと感じます。
 ただ、やはり基本的に雄大なフットワークをしていて、自分のリズムを守りたいタイプであるのは間違いないので、揉まれる競馬や、序盤に急かされる競馬・コースへの適正はやや低いかな、とは思います。後は直線で坂のあるコースでの適応も未知数ですね。
 京都1900mは1コーナーまでの距離が比較的長いので、ステイヤータイプのダート馬が活躍しやすい舞台でもあり、入りが速くなりがちな1800mとはたった100mの延長でも全然問われる質が変わってくるのは良く知られていると思いますが、この馬もどちらかと言えばステイヤー資質の問われるコースと距離、後半要素での勝負の方が合っているでしょう。

 その意味で中京1800mはやや忙しい舞台かな、と思いますし、大井の2000mなどはピッタリなのではないでしょうか。
 ただ500万下で、前半ハロン12秒そこそこの流れを前目で追走する先行力そのものは見せているので、今後レースの質が上がって相対的にペースが上がることになっても大崩れは考えにくいですし、本当に先が楽しみですね。

 血統的にもキングカメハメハ×デヒアと、いかにもダートを走りそうであり、デヒアは自身も種牡馬としてもやや短距離寄りではありますが、母の母がエリシオで、あの雄大なフットワークとスタミナの源泉はむしろそっちかな、と感じます。
 奇しくもキンカメ産駒のダート王、ホッコータルマエが引退したばかり、この馬はその後継者になっても不思議ない素質を秘めた馬ではないかと思いますね。
 
posted by clover at 04:18| Comment(0) | 次代のスターを探せ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする